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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091528
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】舟体
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/22 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B60L5/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204412
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100104064
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 岳人
(72)【発明者】
【氏名】光用 剛
(72)【発明者】
【氏名】小林 樹幸
【テーマコード(参考)】
5H105
【Fターム(参考)】
5H105AA02
5H105AA14
5H105BA02
5H105BB01
5H105CC02
5H105CC12
5H105DD04
5H105DD08
5H105DD12
5H105DD15
5H105DD25
5H105EE03
5H105EE07
5H105EE13
(57)【要約】
【課題】揚力特性を安定化させつつ追従性能を確保し、空力音を低減することができる舟体を提供する。
【解決手段】舟体6は、すり板5を上下方向に移動自在に支持する。舟体6は、すり板5を支持する舟体上側部分を構成する舟体上部7と、舟体上部7とは別部材であり、舟体下側部分を構成する舟体下部8と、舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとが一体となった状態で、この舟体下部8に対してこの舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する支持部9とを備えている。支持部9は、舟体上部7の前縁部7bの内側に舟体下部8の前縁部8bの外側が位置した状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する。舟体6は、断面形状が平滑化された平滑化舟体である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すり板を上下方向に移動自在に支持する舟体であって、
前記すり板を支持する舟体上側部分を構成する舟体上部と、
前記舟体上部とは別部材であり、舟体下側部分を構成する舟体下部と、
前記舟体上部の前縁部と前記すり板の前縁部とが一体となった状態で、この舟体下部に対してこの舟体上部を上下方向に移動自在に支持する支持部と、
を備える舟体。
【請求項2】
請求項1に記載の舟体において、
前記支持部は、前記舟体上部の前縁部の内側に前記舟体下部の前縁部の外側が位置した状態で、前記舟体上部を上下方向に移動自在に支持すること、
を特徴とする舟体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の舟体において、
前記支持部は、前記舟体上部の後縁部と前記すり板の後縁部とが一体となった状態で、この舟体下部に対してこの舟体上部を上下方向に移動自在に支持すること、
を特徴とする舟体。
【請求項4】
請求項3に記載の舟体において、
前記支持部は、前記舟体上部の後縁部の内側に前記舟体下部の後縁部の外側が位置した状態で、前記舟体上部を上下方向に移動自在に支持すること、
を特徴とする舟体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の舟体において、
前記舟体は、断面形状が平滑化された平滑化舟体であること、
を特徴とする舟体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、すり板を上下方向に移動自在に支持する舟体に関する。
【背景技術】
【0002】
(新幹線パンタグラフの追従機構について)
新幹線パンタグラフの追従機構として、トロリ線に対してすり板を上下方向に移動させて、トロリ線に対するすり板の追従性能を構成する可動すり板機構が広く用いられている。従来の追従機構を備える舟体(以下、従来技術1という)は、複数個のすり板小片と、これらの複数個のすり板小片が取り付けられた可撓性シートと、この可撓性シートを支持する複数個のばねなどからなる可動すり板機構を備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1は、すり板を複数個に分割したすり板小片にすることによって、1枚当たりのすり板(可動部)の質量を小さくして、トロリ線にすり板小片がしゅう動するときの追従性能を向上させている。
【0003】
従来の追従機構を備える舟体(以下、従来技術2という)は、複数個のすり板小片と、このすり板小片をそれぞれ支持する舟体と、舟体内に収容される芯部材と、この芯部材と舟体との間に挟み込まれた状態で舟体を支持する板ばねなどからなる可動すり板機構を備えている(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2は、芯部材に対して舟体をすり板小片と一体で上下方向に動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-160266号公報
【0005】
【特許文献2】特開2018-164362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6及び図7に示す従来の追従機構を備える舟体106Aは、図7に示すように、架線101のトロリ線101aとしゅう動する複数のすり板105がこの舟体106Aの凹部にばね109よって支持されている。この従来の追従機構を備える舟体106Aは、図6(A)及び図7(A)に示すすり板105が中立位置にあるときから、図6(B)及び図7(B)に示すすり板105が押下状態に変化することがある。その結果、舟体106Aの前縁部106bからすり板105の前縁部105aにかけての断面形状が変化するとともに、舟体106Aの後縁部106cからすり板105の後縁部105bにかけての断面形状が変化する。
【0007】
図8及び図9に示す従来の追従機構を備える舟体106Bは、図9に示すように、架線101のトロリ線101aとしゅう動する複数のすり板105及びこの舟体106Bが一体となって上下方向に動作するように、支持部材109aにすり板105がばね109よって支持されている。この従来の追従機構を備える舟体106Bは、図6(A)及び図7(A)に示すすり板105が中立位置にあるときから、図6(B)及び図7(B)に示すすり板105が押下状態に変化することがある。しかし、舟体106Aの前縁部106bからすり板105の前縁部105aにかけての断面形状が変化せず、舟体106Aの後縁部106cからすり板105の後縁部105bにかけての断面形状が変化しない。
【0008】
図6図9に示す従来の追従機構を備える舟体106A,106Bは、図1に示すように、この舟体106A,106Bの前縁部106bが鈍頭でやや太く形成されており、この舟体106A,106Bの後縁部106cがやや細く形成されている。この従来の追従機構を備える舟体106A,106Bは、揚力特性の安定化と空力音の低減を両立する舟体断面形状(以下、平滑化舟体)に形成されている。
【0009】
(追従機構と空力音低減・揚力安定化との両立の課題)
舟体はパンタグラフの主要な空力音源であり、図10に示すような断面形状の平滑化による空力音低減が必要である。また、このとき、揚力特性の安定化(すり板摩耗による断面形状変化、対向風の風向変化による揚力変化が小さい)も両立する必要がある。
【0010】
図10に示す平滑化舟体のような流線形に近い形状の舟体106Aに可動すり板機構を適用した場合、図7に示すようにすり板の上下変位によって舟体断面形状が変化し、揚力特性に影響が及ぶことが懸念される。特に、舟体106Aは前縁部106bの形状が揚力特性に大きく寄与する。このため、図6及び図7に示すように舟体106Aの前縁部106bからすり板105の前縁部105aにかけての形状が大きく変化する可動すり板機構と、図10に示すような平滑化舟体を組み合わせることは揚力安定化の点から好ましくない。また、舟体106Aの前縁部106bほど揚力特性の影響は大きくないものの、舟体106Aの後縁部106cについても揚力特性に寄与する。このため、図6及び図7に示すように舟体106Aの後縁部106cからすり板105の後縁部105bにかけての形状が大きく変化する可動すり板機構と、図10に示すような平滑化舟体を組み合わせることは揚力安定化の点から好ましくない。
【0011】
また、図8及び図9に示すようなすり板105と舟体106Bとを一体で上下方向に動作可能な構造を適用した場合、可動部の質量が大きくなるため、トロリ線101aに対するすり板105の追従性が低下してしまう。また、すり板105と舟体106Bとを一体で上下方向に動作させるためには、すり板105や舟体106Bに軽量な素材を適用する必要があるが、材料の適用を実用化するためには課題が多い。
【0012】
この発明の課題は、揚力特性を安定化させつつ追従性能を確保し、空力音を低減することができる舟体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4及び図5に示すように、すり板(5)を上下方向に移動自在に支持する舟体であって、前記すり板を支持する舟体上側部分を構成する舟体上部(7)と、前記舟体上部とは別部材であり、舟体下側部分を構成する舟体下部(8)と、前記舟体上部の前縁部(7b)と前記すり板の前縁部(5a)とが一体となった状態で、この舟体下部に対してこの舟体上部を上下方向に移動自在に支持する支持部(9)とを備える舟体(5)である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の舟体において、前記支持部は、前記舟体上部の前縁部の内側に前記舟体下部の前縁部(8b)の外側が位置した状態で、前記舟体上部を上下方向に移動自在に支持することを特徴とする舟体である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の舟体において、前記支持部は、前記舟体上部の後縁部(7c)と前記すり板の後縁部(5b)とが一体となった状態で、この舟体下部に対してこの舟体上部を上下方向に移動自在に支持することを特徴とする舟体である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の舟体において、前記支持部は、前記舟体上部の後縁部の内側に前記舟体下部の後縁部(8c)の外側が位置した状態で、前記舟体上部を上下方向に移動自在に支持することを特徴とする舟体である。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の舟体において、前記舟体は、断面形状が平滑化された平滑化舟体であることを特徴とする舟体である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によると、揚力特性を安定化させつつ追従性能を確保し、空力音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の第1実施形態に係る舟体を備える集電装置の使用状態を模式的に示す側面図であり、(A)は進行方向D1に集電装置が移動する場合の側面図であり、(B)は進行方向D2方向に集電装置が移動する場合の側面図である。
図2】この発明の第1実施形態に係る舟体を備える集電装置を概略的に示す側面図である。
図3】この発明の第1実施形態に係る舟体を模式的に示す斜視図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの斜視図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの斜視図である。
図4】この発明の第1実施形態に係る舟体の縦断面図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの斜視図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの縦断面図である。
図5】この発明の第2実施形態に係る舟体の縦断面図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの斜視図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの縦断面図である。
図6】従来の追従機構を備える舟体の斜視図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの斜視図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの斜視図である。
図7】従来の追従機構を備える舟体の縦断面図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの縦断面図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの縦断面図である。
図8】従来の追従機構を備える舟体の斜視図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの斜視図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの斜視図である。
図9】従来の追従機構を備える舟体の縦断面図であり、(A)はすり板が中立位置にあるときの縦断面図であり、(B)はすり板が押下状態であるときの縦断面図である。
図10】従来の追従機構を備える舟体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1図4に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線である。架線1は、所定の間隔をあけて支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置4A,4Bが接触移動する電線である。トロリ線1aは、集電装置4A,4Bがしゅう動することによって、車両2に負荷電流を供給する。図1及び図2に示す車両2は、電車又は電気機関車などの電気車である。車両2は、例えば、高速で走行する新幹線などの鉄道車両である。車体2aは、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。
【0021】
図1に示す遮音板3は、集電装置4A,4Bから沿線に放射する騒音を遮る部材である。遮音板3は、集電装置4A,4Bの側面を覆って騒音源を隠すように、集電装置4A,4Bの両側に対向して配置されている。図1に示す遮音板3は、集電装置4A,4Bの両側から放射する騒音を遮音するパンタグラフ遮音板(二面側壁)である。遮音板3は、集電装置4A,4Bが上昇状態であるときには、この集電装置4A,4Bの側面の殆どの部分を覆う。遮音板3は、集電装置4A,4Bが下降状態であるときにはこの集電装置4A,4Bの側面全体を覆う。遮音板3は、車体2aの幅方向における車体2aの屋根上の両縁部に取り付けられており、車体2aと一体に固定された状態でこの車体2aに支持されている。
【0022】
図1に示す集電装置4A,4Bは、トロリ線1aから車両2に電力を導くための装置である。集電装置4A,4Bは、図1図4に示すすり板5と、舟体(集電舟)6と、図1及び図2に示す枠組11と、図2に示す台枠12と、がいし13などを備えている。図1及び図2に示す集電装置4A,4Bは、車両2の進行方向D1,D2対して非対称であり、一方向に使用可能なシングルアーム式パンタグラフである。集電装置4A,4Bは、図1に示すように、進行方向前側に中間ヒンジ11dが位置するなびき方向で使用され、進行方向後側に中間ヒンジ11dが位置する反なびき方向では使用されない。集電装置4Aは、図1(A)に示す進行方向D1方向に車両2が移動するときには上昇して、図1(B)に示す進行方向D2方向に車両2が移動するときには折り畳まれる。集電装置4Bは、図1(A)に示す進行方向D1方向に車両2が移動するときには折り畳まれて、図1(B)に示す進行方向D2方向に車両2が移動するときには上昇する。集電装置4A,4Bは、いずれも同一構造であり、以下では集電装置4Aを中心に説明し、集電装置4Bについては詳細な説明を省略する。
【0023】
図1図4に示すすり板5は、トロリ線1aと摺動する部材である。すり板5は、図3に示すように、車両2の進行方向D1,D2と直交する方向(まくらぎ方向)に伸びた金属製又は炭素製の板状部材である。すり板5は、舟体上部7とともに上下方向に動作するため追従性能の観点から、C/Cコンポジットなどの炭素系複合材料のような炭素を主原料とした軽量のすり板材料を使用することが好ましい。すり板5は、舟体6とは別個に製造される別部品であり、舟体6の長さ方向(まくらぎ方向)に複数並べた状態で、この舟体6の上部に取り付けられている。すり板5は、図3及び図4に示すように、前縁部5aと後縁部5bなど備えている。
【0024】
図3及び図4に示す前縁部5aは、舟体上部7の前縁部7bと連なる部分である。前縁部5aは、図4に示すように、舟体上部7の上面と同一高さ(面一)になるように、舟体上部7の前縁部7bと連続するように滑らかに接続されている。図3及び図4に示す後縁部5bは、舟体上部7の前縁部7bと連なる部分である。後縁部5bは、図4に示すように、舟体上部7の上面と同一高さ(面一)になるように、舟体上部7の後縁部7cと連続するように滑らかに接続されている。すり板5は、舟体6とともに平滑化舟体の一部を構成している。
【0025】
図2図4に示す舟体6は、すり板5を支持する部材である。舟体6は、図3及び図4に示すように、すり板5を上下方向に移動自在に支持する可動すり板機構を備えている。舟体6は、図4に示すように、すり板5が中立位置から押下状態に変化したときに、この舟体6の断面形状がほぼ一定で変化せず、この舟体6の揚力特性を安定化させる揚力特性安定化構造を備えている。ここで、断面形状とは、舟体6の中心線に対して直交する平面で舟体6を切断したときの舟体6の切断面の形状である。舟体6は、図3に示すように、トロリ線1aと直交する方向(まくらぎ方向)に伸びた細長い金属製の柱状部材である。図4に示す舟体6は、この舟体6の中心軸に対して前後非対称であり、前側が比較的に太く鈍い形状に形成されており、後側が比較的に細い形状に形成されている。舟体6は、流れ(気流)Fのはく離を可能な限り防止するために断面形状が流線型又は流線型に近似した曲面で構成されており、滑らかな曲線によって構成されている。舟体6は、断面形状が平滑化された平滑化舟体(平滑形状舟体)である。舟体6は、例えば、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics(CFD))解析及び最適化手法を組み合わせた手法によって、空力音低減及び揚力特性安定化を両立可能なように舟体断面形状が平滑化されている。図1図4に示す舟体6は、例えば、トロリ線1aに対する追従性能を向上させた新幹線用(高速用)パンタグラフ舟体である。舟体6は、図3及び図4に示す舟体上部7と、舟体下部8と、図4に示す支持部9と、図2及び図3に示すホーン10などを備えている。
【0026】
図3及び図4に示す舟体上部7は、舟体6の上側部分を構成する部分である。舟体上部7は、舟体6を分割したときの上側構成部材であり、舟体下部8とともに舟体6を構成する。舟体上部7は、図4(A)に示すように、すり板5が中立位置にあるときには、舟体下部8とともに断面が平滑形状に形成されている。舟体上部7は、図4に示すように、取付部7aと、前縁部7bと、後縁部7cなどを備えている。舟体上部7は、例えば、板状部材を曲げ加工することによって、前縁部7b及び後縁部7cが平滑形状に形成されており、すり板5を取り付けるすり板体としても機能する。舟体上部7は、例えば、質量を小さくして軽量化を図り追従性能を向上させるため、薄肉の板状体に形成されている。
【0027】
図4に示す取付部7aは、すり板5を取り付ける部分である。取付部7aは、舟体上部7の中央部付近に所定の幅で形成されており、すり板5の下面を取り付ける平坦部である。前縁部7bは、舟体上部7の前部を構成する部分である。前縁部7bは、舟体上部7の前部を下側に湾曲して形成されており、すり板5が可動範囲内で上下移動したときに、この前縁部7bの内側に舟体下部8の前縁部8bの外側が常に位置するように形成されている。前縁部7bは、舟体下部8の前縁部8bと対向してこの前縁部7bに被さる部分の断面が直線状に形成されている。後縁部7cは、舟体上部7の後部を構成する部分である。後縁部7cは、舟体上部7の後部を下側に湾曲して形成された湾曲部であり、すり板5が可動範囲内で上下移動したときに、この後縁部7cの内側に舟体下部8の後縁部8cの外側が常に位置するように形成されている。後縁部7cは、舟体下部8の後縁部8cと対向してこの後縁部8cに覆い被さる部分が直線状に形成されている。
【0028】
図3及び図4に示す舟体下部8は、舟体6の下側部分を構成する部分である。舟体下部8は、舟体上部7とは別部材であり、舟体6を分割したときの下側構成部材であり、舟体上部7とともに舟体6を構成する。舟体下部8は、図4(A)に示すように、すり板5が中立位置にあるときには、舟体上部7とともに断面が平滑形状に形成されている。舟体下部8は、図4に示すように、支持部8aと、前縁部8bと、後縁部8cなどを備えている。舟体下部8は、例えば、合成樹脂を成形加工、金属材料を成形加工又は鋳造加工することによって、支持部8a、前縁部8b及び後縁部8cが平滑形状に形成されており、舟体6の主要部を構成する舟体本体である。
【0029】
図4に示す支持部8aは、舟支え部11aによって支持される部分である。支持部8aは、舟体下部8の中央部付近に形成されており、平滑形状の一部を構成するように湾曲部に形成されている。前縁部8bは、舟体下部8の前部を構成する部分である。前縁部8bは、舟体下部8の前部を上側に湾曲して形成された湾曲部であり、舟体上部7が可動範囲内で上下移動可能なように、この前縁部8bの外側表面と舟体上部7の前縁部7bの内側表面との間にわずかに隙間が形成されている。後縁部8cは、舟体下部8の後部を構成する部分である。後縁部8cは、舟体下部8の後部を上側に湾曲して形成された湾曲部であり、舟体上部7が可動範囲内で上下移動可能なように、この後縁部8cの外側表面と舟体上部7の後縁部7cの内側表面との間にわずかに隙間が形成されている。
【0030】
図4に示す支持部9は、舟体下部8に対して舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する手段である。支持部9は、トロリ線1aに向かって舟体上部7を押し上げる押し上げ力を発生するコイルばねのような圧縮ばねである。支持部9は、舟体上部7と舟体下部8との間に挟み込まれた状態で、この支持部9の下端部が舟体下部8の上面に固定されており、この支持部9の上端部が舟体上部7の下面に接触している。支持部9は、舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとが一体となった状態で、舟体下部8に対して舟体上部7を上下方向に移動自在に支持している。支持部9は、舟体上部7の前縁部7bの内側に舟体下部8の前縁部8bの外側が位置した状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する。支持部9は、舟体上部7の後縁部7cとすり板5の後縁部5bとが一体となった状態で、舟体下部8に対して舟体上部7を上下方向に移動自在に支持している。支持部9は、舟体上部7の後縁部7cの内側に舟体下部8の後縁部8cの外側が位置した状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する。支持部9は、舟体上部7の前縁部7bの位置とすり板5の前縁部5aの位置とが一定となった状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する。支持部9は、舟体上部7の後縁部7cの位置とすり板5の後縁部5bの位置とが一定となった状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持する。支持部9は、例えば、舟体下部8に対する舟体上部7の上下動作の可動範囲(ストローク)が5~8mm程度の範囲内になるように舟体上部7を支持している。
【0031】
図2及び図3に示すホーン10は、車両2が分岐器を通過するときに、この分岐器の上方で交差する2本のトロリ線1aのうち車両2の進行方向とは異なる方向のトロリ線1aへの割込みを防止するための部材である。ホーン10は、舟体6の長さ方向の両端部から突出しており、図2及び図3に示すように先端部が下方に向かって湾曲して形成された金属製の部材である。
【0032】
図2に示す枠組11は、舟体6を支持する部材である。枠組11は、舟体6を支持した状態で上下方向に動作可能なリンク機構を備えている。枠組11は、図1図4に示す舟支え部11aと、上枠11bと、図1及び図2に示す下枠11cと、中間ヒンジ(屈曲部)11dなどを備えている。枠組11は、例えば、使用時にはばねの付勢力によって上昇し、非使用時(折畳時)にはばねの付勢力に抗してシリンダ装置が発生する駆動力によって下降する。
【0033】
図1図4に示す舟支え部11aは、舟体6を支持する部分である。舟支え部11aは、舟体6を架線1に対して水平に押上げるとともに、舟体6にばねによる緩衝作用を与える。舟支え部11aは、舟体6の平衡維持を図るとともに、トロリ線1aへの追従性を向上させる。舟支え部11aは、上枠11bの頂部に支持されている。上枠11bは、舟支え部11aに回転自在に連結される部材である。上枠11bは、この上枠11bの一端が舟支え部11aに回転自在に連結されており、この上枠11bの他端が下枠11cに回転自在に連結されており、枠組11の上半分を構成している。図1及び図2に示す下枠11cは、台枠12に回転自在に連結される部材である。下枠11cは、この下枠11cの一端が上枠11bに回転自在に連結されており、この下枠11cの他端が主軸に連結されており、枠組11の下半分を構成している。中間ヒンジ11dは、上枠11bと下枠11cとを回転自在に連結する部分である。中間ヒンジ11dは、上枠11bと下枠11cとを連結する関節部として機能する。
【0034】
図2に示す台枠12は、枠組11を支持する部材である。台枠12は、枠組11の基部を支持した状態で、がいし13を介して車体2aの屋根上に設置されている。台枠12は、枠組11を昇降動作させる主軸などの昇降機構部を支持している。がいし13は、車体2aと台枠12との間を電気的に絶縁する部材である。がいし13は、例えば、空力音の発生に対して抑制効果のある形状に形成されている低騒音がいしである。がいし13は、このがいし13の後縁部に発生する渦の放出を抑制するために、水平面で切断したときの断面形状が略楕円形に形成されている。
【0035】
次に、この発明の第1実施形態に係る舟体の作用を説明する。
図6に示すように、従来の舟体106Aでは、架線101を支持する支持点と支持点との間をすり板105が通過すると、図7に示すようにすり板105が中立位置から押下状態に変化して、舟体106Aの前縁部106bからすり板105の前縁部105aまでの断面形状が変化する。また、舟体106Aを上昇させる方向に気流Fが作用すると、図7に示すようにすり板105が中立位置から押下状態に変化して、舟体106Aの前縁部106bからすり板105の前縁部105aまでの断面形状が変化する。その結果、断面形状の変化によって舟体106Aに作用する揚力が安定しなくなるとともに、舟体106Aの前縁部106bとすり板105の前縁部105aとの間に凹部Cが形成されて、空力音の発生原因となる可能性がある。
【0036】
一方、図4に示すように、この第1実施形態では、すり板5が中立位置にあるときには、舟体6の断面が平滑形状であり舟体6の揚力が安定する。架線1を支持する支持点と支持点との間をすり板5が通過すると、図3(B)及び図4(B)に示すようにすり板5が中立位置から押下状態に変化する。また、舟体6を上昇させる方向に気流Fが作用すると、図3(B)及び図4(B)に示すようにすり板5が中立位置から押下状態に変化して、すり板5と舟体上部7とが一体化した状態で舟体下部8に対して上方に移動する。このとき、舟体上部7の前縁部7bと舟体下部8の前縁部8bとの間に隙間をあけた状態で、舟体上部7の前縁部7bの内側が舟体下部8の前縁部8bの外側をスライドする。このため、図4に示すように、揚力特性への影響が大きい舟体6の前縁部6bからすり板5の前縁部5aにかけての断面形状の変化が回避されて、揚力特性への影響が小さくなる。すり板5の前縁部5aと舟体6の前縁部6bとの間や、舟体上部7の前縁部7bと舟体下部8の前縁部8bとの間に、図7に示すような凹部Cが形成されないため、舟体6から大きな空力音が発生することがない。また、舟体106Aの前縁部106bほど揚力特性の影響は大きくないが、舟体6の後縁部6cからすり板5の後縁部5bにかけての断面形状の変化が回避されるため、揚力特性への影響がより一層小さくなる。また、すり板5の後縁部5bと舟体6の後縁部6cとの間や、舟体上部7の後縁部7cと舟体下部8の後縁部8cとの間に、図7に示すような凹部Cが形成されないため、舟体6から大きな空力音が発生することがない。
【0037】
図8に示すように、従来の舟体106Bでは、架線101を支持する支持点と支持点との間をすり板105が通過すると、図9に示すようにすり板105が舟体106Bと一体となって中立位置から押下状態に変化する。また、舟体106Bを上昇させる方向に気流Fが作用すると、図9に示すようにすり板105が舟体106Bと一体となって中立位置から押下状態に変化する。従来の舟体106Bでは、可動部であるすり板105と舟体106Bとが一体となって上下方向に移動するため可動部の質量が大きくなり、トロリ線101aに対するすり板105の追従性能が低下する。
【0038】
一方、図4に示すように、この第1実施形態では、舟体6が舟体上部7と舟体下部8とに分割されており、すり板5と舟体上部7とが一体となって舟体上部7に対して上下方向に移動する。このため、図8に示す従来の舟体106Bに比べて、可動部であるすり板5と舟体上部7との質量が小さくなり、トロリ線101aに対するすり板105の追従性能が向上する。
【0039】
この発明の第1実施形態に係る舟体には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、すり板5を支持する舟体上側部分を舟体上部7によって構成し、舟体上部7とは別部材である舟体下側部分を舟体下部8によって構成している。また、この第1実施形態では、舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとが一体となった状態で、舟体下部8に対して舟体上部7を上下方向に移動自在に支持部9が支持する。このため、中立位置からすり板5が上下方向に移動したときに、すり板5及び舟体上部7の断面形状が変化せず、これらの断面形状を上下動作の前後において一定にすることができ、舟体上部7の前縁部7bからすり板5の前縁部5aまでの断面形状が変化するのを防ぐことができる。その結果、揚力特性への影響が大きい舟体前縁部の形状が、すり板5の上下動作によって変化せず、トロリ線1aに対するすり板5の追従性能を確保しつつ、舟体6の揚力特性を安定化させることができる。また、舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとの間に、図7に示すような凹部Cが形成されないため、舟体6から発生する空力音を低減することができる。例えば、図1に示すように、1編成に2台の集電装置4A,4Bを搭載して、空力音が小さくなるなびき方向となるいずれか一方の集電装置4A,4Bのみを、進行方向D1,D2に応じて上昇させて運用する1個パンタグラフ化を実現することができる。その結果、1個パンタグラフ化を前提としたパンタグラフの設計が可能となり、なびき方向での走行を前提とした空力音低減などを図ることができる。また、従来の可動すり板機構を基本として、すり板5と舟体上部7とが一体で上下動作する構造にすることができる。このため、製造コストを低減することができるとともに、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、舟体上部7と舟体下部8とに舟体6を分割することによって、可動部となるすり板5及び舟体上部7の質量を小さくすることができる。このため、揚力特性の安定化を損なうことなく、トロリ線1aに対するすり板5の良好な追従性能を得ることができる。
【0040】
(2) この第1実施形態では、舟体上部7の前縁部7bの内側に舟体下部8の前縁部8bの外側が位置した状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持部9が支持する。このため、中立位置からすり板5が上下方向に移動したときに、舟体上部7と舟体下部8との間に間隙部や凹部が形成されるのを防ぐことができ、舟体6の揚力特性を安定化させることができるとともに、舟体6から発生する空力音を低減することができる。
【0041】
(3) この第1実施形態では、舟体上部7の後縁部7cとすり板5の後縁部5bとが一体となった状態で、舟体下部8に対して舟体上部7を上下方向に移動自在に支持部9が支持する。このため、中立位置からすり板5が上下方向に移動したときに、すり板5及び舟体上部7の上下動作の前後において、すり板5の後縁部5bから舟体上部7の後縁部7cまでの断面形状が変化するのを防ぐことができる。その結果、トロリ線1aに対するすり板5の追従性能を確保しつつ、舟体6の揚力特性をより一層安定化させることができる。また、舟体上部7の後縁部7cとすり板5の後縁部5cとの間に、図7に示すような凹部Cが形成されないため、舟体6から発生する空力音をより一層低減することができる。
【0042】
(4) この第1実施形態では、舟体上部7の後縁部7cの内側に舟体下部8の後縁部8cの外側が位置した状態で、舟体上部7を上下方向に移動自在に支持部9が支持する。このため、舟体6の揚力特性をより一層安定化させることができるとともに、舟体6から発生する空力音をより一層低減することができる。
【0043】
(5) この第1実施形態では、断面形状が平滑化された平滑化舟体である。このため、空力音の低減を目的とした平滑な断面形状の舟体6についても、揚力特性の安定化とトロリ線1aに対する追従性能の両立を図ることができる。
【0044】
(第2実施形態)
以下では、図1図4に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この第2実施形態は、既存の可動すり板機構を基礎とするより具体的な検討例であり、第1実施形態とすり板5及び舟体6の形状が異なる。図5に示すすり板5は、断面がほぼ平滑形状であり、前縁部5a及び後縁部5bがほぼ垂直に切り落とされたような切欠形状に形成されている。すり板5は、断面が直線状に形成されており、このすり板5の上面が平坦面に形成されている。すり板5は、このすり板5の前縁部5aと舟体上部7の前縁部7bとの間に段差部Sが形成されているとともに、このすり板5の後縁部5bと舟体上部7の後縁部7cとの間に段差部Sが形成されている。前縁部5aは、断面が直線状に形成されており、すり板5の前縁部5aから所定の傾斜角度で下方に向かって傾斜する平坦な傾斜面に形成されている。後縁部5bは、断面が直線状に形成されており、すり板5の後縁部5bから所定の傾斜角度で下方に向かって傾斜する平坦な傾斜面に形成されている。
【0045】
舟体上部7は、すり板5が上下方向に動作したときに、この舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとの間に常に段差部Sが形成されており、この舟体上部7の後縁部7cとすり板5の後縁部5bとの間にも常に段差部Sが形成される。舟体上部7は、例えば、板状部材の両縁部を曲げ加工することによって、断面が凹状に形成されている。前縁部7bは、舟体上部7の前部を下側に90°折り曲げて形成されており、後縁部7cは舟体上部7の後部を下側に90°折り曲げて形成されている。
【0046】
舟体下部8は、すり板5が上下方向に動作したときに、すり板5及び舟体上部7とともに断面がほぼ平滑形状に形成されている。前縁部8bは、舟体上部7の前縁部7bが可動範囲内で上下移動可能なように、この前縁部8bの外側表面と舟体上部7の前縁部7bの内側表面との間にわずかに隙間が形成されており、この前縁部8bの上端部が凹状に形成されている。後縁部8cは、舟体上部7の後縁部7cが可動範囲内で上下移動可能なように、この後縁部8cの外側表面と舟体上部7の後縁部7cの内側表面との間にわずかに隙間が形成されており、この後縁部8cの上端部が凹状に形成されている。舟体下部8は、貫通孔8dを備えている。
【0047】
貫通孔8dは、舟体6の長さ方向に間隔を開けて、舟体下部8の前縁部8bから後縁部8cに向かって舟体下部8を貫通する部分である。貫通孔8dは、例えば、舟体6と舟支え部11aとの接合部の付近から発生するエオルス音(狭帯域音)が増加したときに、この接合部の付近に発生するカルマン渦を、この貫通孔8dを通過する気流と干渉させて乱し、この接合部の付近から発生する空力音の発生を抑制する。貫通孔8dは、開口部の形状が四角形又は円形に形成されている。
【0048】
この第2実施形態では、すり板5が上下方向に動作したときに、舟体上部7の前縁部7bとすり板5の前縁部5aとの間に段差部Sが常に形成されており、舟体上部7の後縁部7cとすり板5の後縁部5bとの間に段差部Sが常に形成されている。しかし、すり板5が上下方向に動作したときに、揚力特性への影響が大きいすり板5の前縁部5aから舟体上部7の前縁部7bまでの断面形状に変化がなく、すり板5の後縁部5bから舟体上部7の後縁部7cまでの断面形状も変化がない。このため、第1実施形態と同様に、舟体6の揚力特性を安定化させることができる。
【0049】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、集電装置4A,4Bとしてシングルアーム式パンタグラフを例に挙げて説明したが、菱型パンタグラフなどの他の形式のパンタグラフについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、4枚のすり板5を支持する舟体6を例に挙げて説明したが、舟体6の長さ方向(まくらぎ方向)にすり板5が多数のすり板片に分割された多分割すり板機構を備える舟体についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、すり板5の前縁部5aと舟体上部7の前縁部7bとが一体となって上下方向に移動するとともに、すり板5の後縁部5bと舟体上部7の後縁部7cとが一体となって上下方向に移動する舟体6を例に挙げて説明したが、このような構造にこの発明を限定するものではない。例えば、すり板5の前縁部5aと舟体上部7の前縁部7bのみが一体となって上下方向に移動する舟体についても、この発明を適用することができる。
【0050】
(2) この実施形態では、舟体6が平滑化舟体である場合を例に挙げて説明したが、鈍頭形状の舟体についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、舟体6の断面形状が前後非対称である場合を例に挙げて説明したが、断面形状が前後対称の舟体についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、すり板5の断面が平滑形状の一部を構成する場合を例に挙げて説明したが、平滑形状以外の任意の断面形状のすり板についても、この発明を適用することができる。例えば、すり板5の断面を曲線形状、直線形状又は縁部に段差を有する形状などに形成することができる。さらに、この第2実施形態では、貫通孔8dを備える舟体6を例に挙げて説明したが、貫通孔8dを備えていない舟体6についても、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 架線
1a トロリ線
2 車両
2a 車体
3 遮音板
4A,4B 集電装置
5 すり板
5a 前縁部
5b 後縁部
6 舟体
7 舟体上部
7a 取付部
7b 前縁部
7c 後縁部
8 舟体下部
8a 支持部
8b 前縁部
8c 後縁部
8d 貫通孔
9 支持部
10 ホーン
11 枠組
F 流れ
1,D2 進行方向
S 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10