IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブリヂストンの特許一覧

特開2022-91611シートパッド、および、シートパッドの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091611
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】シートパッド、および、シートパッドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220614BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204536
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】山口 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 佳之
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084CB01
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】着座感を快適にすることができる、シートパッドを提供する。
【解決手段】本発明に係るシートパッド1は、着座者を支持するための、シートパッド1において、樹脂発泡体によって形成されているベース部11と、ベース部11と一体となって、樹脂発泡体によって形成され、ベース部11の、着座者側に位置している複数の突起12と、互いに隣接する複数の突起12を区画している複数のスリット13と、を備え、突起12における、スリット13に面している突起側面121の一部は、樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、突起側面121の他の部分は、樹脂発泡体のスキン部によって形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者を支持するための、シートパッドにおいて、
樹脂発泡体によって形成されているベース部と、
前記ベース部と一体となって、前記樹脂発泡体によって形成され、前記ベース部の、前記着座者側に位置している複数の突起と、
互いに隣接する前記複数の突起を区画している複数のスリットと、を備え、
前記突起における、前記スリットに面している突起側面の一部は、前記樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、前記突起側面の他の部分は、前記樹脂発泡体のスキン部によって形成されている、シートパッド。
【請求項2】
前記突起側面は、前記着座者に対向する側の端部を含む表面側領域と、前記表面側領域より前記ベース部側に位置するベース部側領域と、を有し、
前記シートパッドの平面視における、前記突起側面の少なくとも一部において、
前記表面側領域は、前記樹脂発泡体の前記非スキン部によって形成され、前記ベース部側領域は、前記樹脂発泡体の前記スキン部によって形成されている、請求項1に記載のシートパッド。
【請求項3】
前記複数のスリットは、前記シートパッドの平面視において、全体として格子状に設けられており、
前記突起側面は、前記シートパッドの平面視において、端部を含む端部領域と、前記端部領域より中央側に位置する中央領域と、を有し、
前記端部領域は、前記樹脂発泡体の前記非スキン部によって形成され、前記中央領域は、前記樹脂発泡体の前記スキン部によって形成されている、請求項1または2に記載のシートパッド。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシートパッドを得るための、シートパッドの製造方法であって、
板状ブレードを備える金型であって、前記板状ブレードは、当該板状ブレードの板面の延在方向が、前記金型の成形面と交差する向きとなるように、前記金型の平面視において格子状となるように配置され、前記板状ブレードにおける、前記成形面側の領域に、前記板状ブレードの、一方の前記板面に面する空間と、他方の前記板面に面する空間とを連通させる連通部が形成されている、前記金型を準備する、金型準備ステップと、
前記金型準備ステップ後に、前記金型に、溶融された発泡性樹脂材料を充填し、前記連通部を介して、前記溶融された前記発泡性樹脂材料を連通させ、前記金型に充填された前記発泡性樹脂材料を発泡させて樹脂発泡体を成形する、発泡成形ステップと、
前記発泡成形ステップ後に、前記樹脂発泡体を前記金型から脱型する、脱型ステップと、を含む、シートパッドの製造方法。
【請求項5】
前記板状ブレードの厚さは、前記連通部に近くなるほど、薄くなるような、テーパ形状を有している、請求項4に記載のシートパッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートパッド、および、シートパッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車用座席のクッションとして、ポリウレタン発泡体の表面に全表面がスキン層で覆われた複数の突起を並設したものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-6825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の自動車用座席のクッションのように、突起の全面がスキン層で覆われている場合、突起間の離間部の幅が狭くなると、着座時に、互いに隣接する、複数の突起を覆うスキン層が重なる状態になり、当該状態に起因して、着座者が着座すると、快適な着座感が得られないことがあった。
【0005】
本発明は、着座感を快適にすることができる、シートパッド、および、着座感を快適にすることができる、シートパッドを得ることができる、シートパッドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシートパッドは、
着座者を支持するための、シートパッドにおいて、
樹脂発泡体によって形成されているベース部と、
前記ベース部と一体となって、前記樹脂発泡体によって形成され、前記ベース部の、前記着座者側に位置している複数の突起と、
互いに隣接する前記複数の突起を区画している複数のスリットと、を備え、
前記突起における、前記スリットに面している突起側面の一部は、前記樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、前記突起側面の他の部分は、前記樹脂発泡体のスキン部によって形成されている。
本発明のシートパッドによれば、快適な着座感を得ることができる。
【0007】
本発明のシートパッドにおいては、
前記突起側面は、前記着座者に対向する側の端部を含む表面側領域と、前記表面側領域より前記ベース部側に位置するベース部側領域と、を有し、
前記シートパッドの平面視における、前記突起側面の少なくとも一部において、
前記表面側領域は、前記樹脂発泡体の前記非スキン部によって形成され、前記ベース部側領域は、前記樹脂発泡体の前記スキン部によって形成されていることが好ましい。
これにより、より快適な着座感を得ることができる。
【0008】
本発明のシートパッドにおいては、
前記複数のスリットは、前記シートパッドの平面視において、全体として格子状に設けられており、
前記突起側面は、前記シートパッドの平面視において、端部を含む端部領域と、前記端部領域より中央側に位置する中央領域と、を有し、
前記端部領域は、前記樹脂発泡体の前記非スキン部によって形成され、前記中央領域は、前記樹脂発泡体の前記スキン部によって形成されていることが好ましい。
これにより、より快適な着座感を得ることができる。
【0009】
本発明のシートパッドの製造方法は、
上記のシートパッドを得るための、シートパッドの製造方法であって、
板状ブレードを備える金型であって、前記板状ブレードは、当該板状ブレードの板面の延在方向が、前記金型の成形面と交差する向きとなるように、前記金型の平面視において格子状となるように配置され、前記板状ブレードにおける、前記成形面側の領域に、前記板状ブレードの、一方の前記板面に面する空間と、他方の前記板面に面する空間とを連通させる連通部が形成されている、前記金型を準備する、金型準備ステップと、
前記金型準備ステップ後に、前記金型に、溶融された発泡性樹脂材料を充填し、前記連通部を介して、前記溶融された前記発泡性樹脂材料を連通させ、前記金型に充填された前記発泡性樹脂材料を発泡させて樹脂発泡体を成形する、発泡成形ステップと、
前記発泡成形ステップ後に、前記樹脂発泡体を前記金型から脱型する、脱型ステップと、を含む。
本発明のシートパッドの製造方法によれば、快適な着座感を得ることができる、シートパッドを得ることができる。
【0010】
本発明のシートパッドの製造方法においては、前記板状ブレードの厚さは、前記連通部に近くなるほど、薄くなるような、テーパ形状を有している。
これにより、快適な着座感を得ることができる、シートパッドを、より確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、快適な着座感を得ることができる、シートパッド、ならびに、快適な着座感を得ることができる、シートパッドを得ることができる、シートパッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシートパッドを備えた、車両用シートを示す、斜視図である。
図2図1のクッションパッドを上側から観たときの様子を示す、平面図である。
図3図1のクッションパッドを、図2のA-A線に沿う断面により示す、A-A断面図である。
図4図3の一部を拡大して示す、斜視図である。
図5A】メインパッド部における、荷重とたわみの関係の、一例を示す、グラフである。
図5B】メインパッド部における、荷重とたわみの関係の、他の例を示す、グラフである。
図5C】メインパッド部における、荷重とたわみの関係の、さらなる他の例を示す、グラフである。
図6図3のメインパッド部の一例を製造するための金型の一例を示す、断面図である。
図7図6の金型が含む、下型を、図6のB-B線に沿う断面により示す、断面図である。
図8図7の下型の一部の一例を拡大して示す、拡大斜視図である。
図9図7の下型の一部の他の例を拡大して示す、拡大斜視図である。
図10図7の下型の一部の、さらなる他の例を拡大して示す、拡大斜視図である。
図11A図1のメインパッド部を製造するための脱型ステップの一例を詳細に説明するための、模式図である。
図11B図1のメインパッド部を製造するための脱型ステップの一例を詳細に説明するための、模式図である。
図11C図1のメインパッド部を製造するための脱型ステップの一例を詳細に説明するための、模式図である。
図11D図1のメインパッド部を製造するための脱型ステップの一例を詳細に説明するための、模式図である。
図11E図1のメインパッド部を製造するための脱型ステップの一例を詳細に説明するための、模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のシートパッドは、任意の種類の車両、または家庭用もしくは業務用の椅子等に利用できる。以下、本発明に係るシートパッドの一実施形態について、図面を参照しながら例示説明する。各図において共通する構成要素には同一の符号を付している。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るシートパッド1(車両用のシートパッド)を備えた、車両用シート100を示している。図1に示すように、本実施形態のシートパッド1は、着座者が着座するためのクッションパッド1aと、着座者の背中を支持するためのバックパッド1bと、バックパッド1bの上側に設置され、着座者の頭部を支持するためのヘッドレスト1cとを備える。クッションパッド1aと、バックパッド1bと、ヘッドレスト1cとは、互いに別体に構成することができる。
【0015】
本明細書では、各図面に表記するとおり、シートパッド1に着座した着座者から観たときの「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の各方向を、それぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」などという。
【0016】
図2は、図1のシートパッド1のクッションパッド1aを上側から観たときの様子を示す平面図であり、言い換えれば、クッションパッド1aを水平投影面に投影させた様子を示す水平投影図でもある。図1および図2に示すように、クッションパッド1aは、着座者を下から支持するように構成されたメインパッド部10と、メインパッド部10の左右両側に位置し、メインパッド部10よりも上側へ盛り上がり、着座者を左右両側から支持するように構成された、一対のサイドパッド部20と、メインパッド部10よりも後側に位置し、バックパッド1bと上下方向に対向配置するように構成された、バックパッド対向部30と、を有している。
【0017】
図2および図3に示すように、本実施形態において、シートパッド1、より具体的に、メインパッド部10は、ベース部11と、複数の突起12と、複数のスリット13とを備えている。なお、図2においては、複数の突起12のうちの、一の突起12に符号を付しており、他の突起12の符号を省略している。スリット13についても、同様である。
また、本明細書の各図における、各部材の寸法及びそれらの間の比率は、実際の各部材の寸法及びそれらの間の比率と同じとは限らず、特にスリット13は、理解容易のために模式的にその幅が比較的大きく描かれており、実際のスリットと必ずしも同じとは限らない。
【0018】
ベース部11は、樹脂発泡体RFによって形成されている。ベース部11を形成する樹脂発泡体RFは、軟質樹脂発泡体が好ましく、軟質ポリウレタンフォームがより好ましい。
【0019】
複数の突起12それぞれは、ベース部11と一体となって、当該ベース部11を形成している樹脂発泡体RFと同じ樹脂発泡体RFによって形成され、ベース部11の、着座者側に位置している。
【0020】
図2に示すように、左右方向における、複数の突起12それぞれの長さLは、例えば、15mm~100mmである。「左右方向」とは、シートパッド1に着座者が着座した場合に、着座者の左右方向となる方向である。また、前後方向における、複数の突起12それぞれの長さLは、例えば15mm~100mm)である。「前後方向」とは、シートパッド1に着座者が着座した場合に、着座者の前後方向となる方向である。
【0021】
複数のスリット13それぞれは、互いに隣接する複数の突起12を区画している。複数のスリット13は、メインパッド部10(シートパッド1)の平面視において、全体として格子状に設けられていてもよい。図2の例では、複数のスリット13それぞれは、メインパッド部10(シートパッド1)の平面視において、複数の正方形の突起12を区画しているが、これに限られず、複数の、任意の形状の突起12を区画してしてもよい。
ここで、本発明において、「スリット」とは、極めて幅の狭い(薄い)切込みを指し、当該スリットの最小幅は、着座者が着座していない状態で、3.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以下であることがさらに好ましく、0mmである(即ち、実質的に幅がなく、スリットの少なくとも一部でスリットが閉じている)ことが、最も好ましい。
本実施形態において、複数のこのようなスリット13を設けることにより、メインパッド部10(シートパッド1)の一定の剛性を確保しつつ、メインパッド部10(シートパッド1)に適度な柔軟性を付与することができる。
【0022】
突起12における、スリット13に面している突起側面121の一部は、樹脂発泡体RFの非スキン部によって形成され、突起側面121の他の部分、即ち、突起側面121のうち非スキン部によって形成された一部でない部分(一部以外の部分)は、樹脂発泡体RFのスキン部によって形成されている。具体的には、図3および図4に示すように、複数の突起12それぞれ(より詳細には、複数の突起12それぞれの外表面)は、隣接するスリット13に面している突起側面121と、着座者に面する領域である着座側領域122とを含む。なお、図4は、図2および図3に示す、複数の突起12のうちの4つの突起12と、当該4つの突起12と一体となっている、ベース部11の部分とを意味している。4つの突起とは、第1の突起と、第1の突起に、左方向または右方向で隣接している第2の突起と、第1の突起に前方向または後方向で隣接している第3の突起と、第2の突起および第3の突起に隣接している第4の突起とを含む。また、図3および図4においては、複数の突起12のうちの、一の突起12における、突起側面121、および、着座側領域122に符号を付しており、他の突起12における、突起側面121、および、着座側領域122の符号を省略している。
【0023】
突起側面121の一部は、非スキン部によって形成され、突起側面121のうち、非スキン部でない部分はスキン部によって形成されている。着座側領域122は、スキン部によって形成されている。
ここで、「スキン部」とは、樹脂発泡体RFの一部であって、発泡樹脂材料が型成形時に金型と接することにより、樹脂発泡体RFの外表面に形成される、密度が高い部分である。「非スキン部」とは、樹脂発泡体RFの一部であって、スキン部でない部分である。
【0024】
また、本例では、スキン部は、突起側面121における、非スキン部によって形成されていない部分から、突起12の内部に向かって厚みを有するように形成され、さらに、着座側領域122から、突起12の内部に向かって厚みを有するように形成されている。厚みは、発泡樹脂材料の種類や製造条件等によって異なるが、例えば、0.1mm~5mmとすることができる。非スキン部は、突起12のその他の部分、および、ベース部11に形成されている。
【0025】
これにより、着座者が着座して、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、突起12の全ての外表面又は突起側面121の全てがスキン部によって形成されている場合に比べて、スキン部の重なりや接触度合いを低減することができる。このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、低減することができる。したがって、着座者は、快適な着座感を得ることができる。また、本実施形態によれば、突起側面121の全てが非スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者をより強固に保持することができ、これにより、姿勢を容易に保持することができる。
【0026】
また、図3および図4に示すように、突起側面121は、着座者に対向する側の端部を含む表面側領域121Aと、表面側領域121Aよりベース部11側に位置するベース部側領域121Bと、の仮想の領域を有する。なお、図3および図4においては、複数の突起12のうちの、一の突起12における突起側面121の、表面側領域121Aおよびベース部側領域121Bに符号を付しており、他の突起12における突起側面121の、表面側領域121Aおよびベース部側領域121Bの符号を省略している。
【0027】
シートパッド1の平面視における、突起側面121の少なくとも一部において、表面側領域121Aは、非スキン部によって形成され、ベース部側領域121Bは、スキン部によって形成されていてもよい。すなわち、シートパッド1の平面視における、突起側面121の少なくとも一部において、突起側面121の表面側端部を含む表面側の一部のみが、非スキン部とされていてもよい。本例では、シートパッド1の平面視における、突起側面121のうちの、後述する端部領域121Cにおいて、非スキン部が表面側領域121Aに形成されているとともにスキン部がベース部側領域121Bに形成されており、後述する中央領域121Dにおいて、スキン部が全体に形成されており、さらに、スキン部が突起12の着座側領域122の全体に形成されている。なお、突起12の内部、および、ベース部11の内部は、非スキン部となっている。
【0028】
このように、メインパッド部10(シートパッド1)の平面視における、突起側面121の少なくとも一部において、表面側領域121Aが、樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、ベース部側領域121Bが、樹脂発泡体のスキン部によって形成されていることによって、着座者が着座して、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、表面側領域121Aがスキン部によって形成され、ベース部側領域121Bが非スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者が押圧する部分でのスキン部の重なりや接触度合いを低減することができる。このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができる。したがって、着座者は、より快適な着座感を得ることができる。
【0029】
また、突起12の内部を構成する非スキン部の柔らかさは一定ではなく、部分によって異なる。そのため、突起12の内部を構成する非スキン部における、所望とする柔らかさの部分に隣接している、突起側面121の一部を表面側領域121Aとし、当該表面側領域121Aを非スキン部によって形成することによって、着座者は、着座時に、所望の柔らかさを得ることができる。特に、突起12の内部を構成する非スキン部における、他の部分より柔らかい部分に隣接している、突起側面121の一部を表面側領域121Aとし、当該表面側領域121Aを非スキン部によって形成することによって、着座者は、着座時により柔らかい着座感を得ることができる。
【0030】
着座者が着座する過程で印加される程度の荷重(250N程度)が印加された時、上下方向における、スリット13の高さ(ひいては、上下方向における突起側面の長さ)L図4参照)が略15mmである場合(図5Aの実線参照)のたわみは、スリット13が設けられていない場合(図5Aの破線参照)に比べて、大きくなる。また、上下方向における、スリット13の高さLが略15mmである場合(図5A参照)のたわみは、高さLが略5mmである場合(図5B参照)、および、高さLが略30mmmある場合(図5C参照)に比べて、たわみが大きくなる。即ち、高さLが略15mmである場合においては、特に、メインパッド部10は、着座者が着座する過程で印加される程度の荷重が印加されたときに、たわみやすくなっており、これにより、スキン部の重なりに伴う硬さによって、着座者が感じる違和感はより大きくなっている。このような場合においては、特に、当該違和感を低減させることが重要であり、突起側面121の少なくとも一部が非スキン部によって形成されることによる硬い着座感の低減は有効となる。
【0031】
上下方向における、非スキン部とされる表面側領域121Aの長さL図4参照)は、1mm~8mmであるであると好適である。この場合、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、長さLが、1mm未満である場合に比べて、スキン部同士の重なりや接触度合いを低減することができ、このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができる。また、この場合、長さLが、8mmより長い場合に比べて、着座者をより強固に保持することができる。
【0032】
なお、上述のように、表面側領域121Aは、非スキン部によって形成され、ベース部側領域121Bは、スキン部によって形成されていてもよいが、突起側面121は、上下方向において、非スキン部とスキン部とが交互に合わせて3以上形成されていてもよい。この場合、表面側領域121Aが非スキン部によって形成され、ベース部側領域121Bがスキン部によって形成されている場合に比べて、着座者をより強固に保持することができる、構成とすることができる。また、この場合、表面側領域121A、および、ベース部側領域121Bのいずれもが、スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者が感じる硬い着座感を低減することができる。
【0033】
図4に示すように、突起側面121は、シートパッド1の平面視において、端部を含む端部領域121Cと、端部領域121Cより中央側に位置する中央領域121Dと、の仮想の領域を有する。なお、図4においては、複数の突起12のうちの、一の突起12における突起側面121の、端部領域121C、および、中央領域121Dに符号を付しており、他の突起12における突起側面121の、端部領域121C、および、中央領域121Dの符号を省略している。
【0034】
端部領域121Cは、非スキン部によって形成され、中央領域121Dの少なくとも一部は、スキン部によって形成されていてもよい。図4の例では、シートパッドの平面視における一部、具体的には、シートパッドの平面視における端部側である、端部領域121C内の、表面側領域121Aは、非スキン部によって形成され、端部領域121C内の、ベース部側領域121Bは、スキン部によって形成されており、かつ、中央領域121Dは、スキン部によって形成されている。言い換えれば、突起側面121における、表面側領域121Aであって端部領域121Cである、角部領域121Eは、非スキン部によって形成され、突起側面121における、角部領域121E以外の領域は、スキン部によって形成されている。
【0035】
すなわち、前述の通り、本例では、シートパッド1の平面視における、突起側面121のうちの、端部領域121Cにおいて、非スキン部が表面側領域121Aに形成されているとともにスキン部がベース部側領域121Bに形成されており、中央領域121Dにおいて、スキン部が全体に形成されており、さらに、スキン部が突起12の着座側領域122の全体に形成されている。
【0036】
このように、端部領域121Cが樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、中央領域121Dが、樹脂発泡体のスキン部によって形成されていることによって、着座者が着座して、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、端部領域121Cがスキン部によって形成され、中央領域121Dが非スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者が触れやすい部分での、スキン部同士の重なりや接触度合いを低減することができ、このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができる。
【0037】
なお、図4に示す例においては、端部領域121Cのうち、表面側領域121Aである角部領域121Eのみを、非スキン部によって形成したが、端部領域121Cの全部が、非スキン部であってもよく、すなわち、端部領域121Cが、スキン部を有さなくてもよい。
【0038】
ここで、角部領域121Eにおける違和感の低減について、より詳細に説明する。
シートパッド1がたわんだ時に、突起12の中央領域121Dは、当該突起12に隣接する1つの他の突起12と重なることがあるのに対して、突起12の角部領域121Eは、当該突起12に隣接する3つの他の突起12と重なりやすい。即ち、角部領域121Eは、中央領域121Dに比べて、多くの他の突起12と重なりやすく、そのため、角部領域121Eがスキン部によって形成されている場合、スキン部が重なっている部分を押圧することによって着座者が感じる違和感は、より大きくなる。そのため、上述したように、角部領域121Eが、非スキン部によって形成され、中央領域121Dは、スキン部によって形成されることによって、違和感を大きく低減することができる。
【0039】
左右方向または前後方向における、端部領域121C(ひいては、角部領域121E)の長さL図4参照)は、1mm~8mmであるであると好適である。この場合、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、長さLが、1mm未満である場合に比べて、スキン部の重なりや接触度合いを低減することができ、このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができる。また、この場合、長さLが、8mmより長い場合に比べて、着座者をより強固に保持することができる。
【0040】
なお、上述のように、端部領域121Cは、非スキン部によって形成され、中央領域121Dは、スキン部によって形成されていてもよいが、突起側面121は、左右方向または前後方向において、非スキン部とスキン部とが交互に合わせて4以上形成されていてもよい。この場合、端部領域121Cが非スキン部によって形成され、中央領域121Dがスキン部によって形成されている場合に比べて、着座者をより強固に保持することができる、構成とすることができる。また、この場合、端部領域121C、および、中央領域121Dのいずれもが、スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者が感じる硬い着座感を低減することができる。
【0041】
本発明の一実施形態において、メインパッド部10が備える、複数の突起12のうちの一部が、上述の構成を有してもよいし、複数の突起12のうちの全部が、上述の構成を有してもよい。また、複数の突起12のうちの、少なくとも一部の突起12における、一部の突起側面121(図2の例では、1つ、2つ、または3つ)の突起側面121が、上述した構成を有してもよいし、全ての突起側面121(図2の例では、4つ)が、上述した構成を有してもよい。
【0042】
また、表面側領域121Aの全部(すなわち、表面側領域121Aのうちの、端部領域121Cおよび中央領域121Dの全部)が非スキン部によって、形成されてもよい。この場合、表面側領域121Aの一部が、非スキン部によって、形成されている場合に比べて、スキン部の重なりや接触度合いを低減することができ、このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができる。
【0043】
上述においては、シートパッド1のうち、クッションパッド1aのメインパッド部10について詳細に説明したが、サイドパッド部20、バックパッド対向部30、バックパッド1b、およびヘッドレスト1cの1つ以上が、ベース部11と、複数の突起12と、複数のスリット13とを備えてもよい。この場合、サイドパッド部20、バックパッド対向部30、バックパッド1b、およびヘッドレスト1cの1つ以上それぞれの、ベース部11、複数の突起12、および、複数のスリット13は、メインパッド部10のそれぞれベース部11、複数の突起12、および、複数のスリット13と、形状および数を除いては同様に構成されてもよい。
【0044】
続いて、図6図10を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る、シートパッド1の製造方法において、用いられる金型の一例について、説明する。ここでは、車両用のシートパッド1が備えるメインパッド部10の製造に用いられる金型4について、説明する。
【0045】
具体的には、図6に示すように、金型4は、上型41と、下型42と、を備える。上型41と下型42とが組み合わされることによって、金型4の内部に形成される空間の形状は、成形品であるメインパッド部10の外形に相当する。金型4の内部に形成される空間には、追って詳細に説明する、製造方法が含む発泡成形ステップにおいて、発泡樹脂材料が充填される。以降において、当該空間を「充填空間FS」という。
【0046】
上型41は、充填空間FSを画定する側において、メインパッド部10の、着座者に対向する側とは反対側(メインパッド部10の下面)の外形に対応する形状を有する。
【0047】
下型42は、複数の板状ブレード422を有する。下型42は、充填空間FSを画定する側において、メインパッド部10の、着座者に対向する側(メインパッド部10の上面)の外形に対応する形状を有する。なお、図7においては、一の板状ブレード422に符号を付しており、他の板状ブレード422の符号を省略している。
【0048】
板状ブレード422は、当該板状ブレード422の板面の延在方向が、金型4の成形面421aと交差する向きとなるように、図7に示すように、金型4の平面視において格子状となるように配置されている。「交差する向き」とは、例えば、直交する向きであってもよい。図6に示すように、本例において、成形面421aとは、金型4における、メインパッド部10の、着座者に対向する側を成形する面である。図6および図7の例では、複数の板状ブレード422は、充填空間FSにおける、成形面421a側の一部を、複数の直方体の空間に区画するように、配置されている。
【0049】
図6及び図8に示すように、板状ブレード422における、成形面421a側の領域に、板状ブレード422の板面の、一方側と反対側とを連通させる連通部422aが形成されている。即ち、板状ブレード422は、成形面421a側の領域に、連通部422aを画定するように、形成されている。板状ブレード422によって区画された、互いに隣接する空間は、連通部422aを介して連通している。なお、図6においては、一の連通部422aに符号を付しており、他の連通部422aの符号を省略している。
【0050】
図8の例では、板状ブレード422において、成形面421aにまで延在している延在部422bは、平面視において、両方の端部側に設けられ、成形面421aにまで延在していない非延在部422cは、平面視において、当該両方の端部側より中央側に設けられている。これにより、延在部422bと、非延在部422cと、成形面421aとによって囲まれて、連通部422aが画定されている。
【0051】
この例に限られず、板状ブレード422は、連通部422aを画定しつつ、成形面421aに対して固定して配置されていれば、図8の例に限られない。他の例では、例えば、図9に示すように、平面視における、延在部422bの長さは、図8の例より長く設けられ、平面視における、非延在部422cの長さは、図8の例より短く、連通部422aの外縁が円弧となるように設けられていてもよい。
【0052】
さらに他の例では、例えば、図10に示すように、延在部422bは、平面視において、中央側に設けられ、非延在部422cは、平面視において、端部側に設けられていてもよい。
さらに他の例では、板状ブレード422は、延在部422bを有さなくてもよい。この場合、板状ブレード422は、成形面421aには固定されておらず、金型4の外枠に固定されるようにして設けられていてもよい。
【0053】
このように構成された金型4に発泡樹脂材料が充填され、充填された発泡樹脂原料が発泡し、樹脂発泡体RFが成形されると、板状ブレード421に相当する部分は、スリット13を構成する。また、樹脂発泡体RFにおける、成形面421aに隣接している部分は、成形面421aに接して密度が高くなった、樹脂発泡体RFのスキン部を形成する。樹脂発泡体RFにおける、板状ブレード422に隣接している部分は、板状ブレード422に接して密度が高くなった、樹脂発泡体RFのスキン部を形成する。また、樹脂発泡体RFにおける、上型41の内側の面に隣接している部分は、当該面に接して密度が高くなった、樹脂発泡体RFのスキン部を形成する。また、樹脂発泡体RFにおける、板状ブレード422に隣接している部分は、板状ブレード422に接して密度が高くなった、樹脂発泡体RFのスキン部を形成する。また、樹脂発泡体RFにおける、成形面421aにも、板状ブレード421にも、上型41の内側の面にも隣接していない部分は、樹脂発泡体RFの非スキン部を形成する。
【0054】
また、図6に示すように、板状ブレード422の非延在部422cの厚さは、連通部422aに近くなるほど、薄くなるような、テーパ形状を有していてもよい。なお、図8図11において、非延在部422cのテーパ形状は省略されている。
【0055】
続いて、本発明の一実施形態に係る、シートパッド1の製造方法を、説明する。
【0056】
ここでは、車両用のシートパッド1が備えるクッションパッド1aのメインパッド部10(図1参照)の製造方法の一例を、詳細に説明する。本例では、図8図10を参照して説明した板状ブレード422を含む、下型42を備える、金型4を用いて、メインパッド部10(シートパッド1)を製造する例について、詳細に説明する。クッションパッド1aのサイドパッド部20、および、バックパッド対向部30、並びに、バックパッド1b、ヘッドレスト1cの製造方法は、金型の形状を除いては、クッションパッド1aのメインパッド部10の製造方法と同様であり、その説明を省略する。
【0057】
まず、板状ブレード422を備える金型4であって、板状ブレード422は、当該板状ブレード422の板面の延在方向が、金型4の成形面421aと直交するように、金型4の平面視において格子状となるように配置され、板状ブレード422における、成形面421a側の領域に、板状ブレード422の、一方の板面に面する空間と、他方の板面に面する空間とを連通させる連通部422aが形成されている、金型4を準備する、金型準備ステップを行う。金型準備ステップにおいて準備される金型4は、図6図10を参照して説明した金型4である。
【0058】
次に、前記金型準備ステップの後に、金型4に、液状の発泡性樹脂材料を充填し、連通部422aを介して、液状の発泡性樹脂材料を連通させ、金型4に充填するように発泡性樹脂材料を発泡させて、樹脂発泡体RFを成形する、発泡成形ステップを行う。このとき、金型4に充填された、液状の発泡樹脂材料として、ポリイソシアネートとポリオールを反応させることにより、発泡樹脂材料を発泡させることができる。
【0059】
さらに、前記発泡成形ステップの後に、樹脂発泡体RFを金型4から脱型する、脱型ステップを行う。
具体的には、樹脂発泡体RFを、金型4の上型41および下型42それぞれから脱型する。
ここでは、樹脂発泡体RFの上型41からの脱型についての詳細な説明を省略し、図11A図11Eを参照して、樹脂発泡体RFの下型42からの脱型について、以下に詳細に説明する。なお、図11Aは、上述したように、樹脂発泡体RFが成形された後、上型41から脱型され、下型42からは、まだ脱型されていない状態を示している。また、図11A図11Eにおいて、1つの非延在部422cに符号を付しており、他の非延在部422cの符号を省略している。連通部422aについても同様である。また、図11A図11Eにおいて、2つの表面側領域121Aに符号を付し、他の表面側領域121Aの符号を省略している。ベース部側領域121Bについても同様である。
【0060】
図11Aに示すように、樹脂発泡体RFが下型42から脱型される前の状態から、図11Bに示すように、樹脂発泡体RFが下型42から脱型され始めると、樹脂発泡体RFの成形面421aとは反対側の一部が、下型42から抜き出される。脱型前の状態にて、板状ブレード422に相当する部分には、スリット13の一部が形成され、当該一部に隣接している樹脂発泡体RFの部分は、スキン部によって形成されたベース部側領域121Bを構成する。また、脱型前の状態にて、樹脂発泡体RFにおける、連通部422aに位置していた部分が、板状ブレード422によって一部、引き裂かれることによって、スリット13が延長される。なお、図11A図11Eは、メインパッド部10の製造方法を説明するための図であるが、理解を容易にするために、当該製造方法によって製造されるメインパッド部10が備える、スリット13を示す符号を、併せて付している。
【0061】
図11Cに示すように、樹脂発泡体RFにおける脱型が進むと、樹脂発泡体RFが、さらに下型42から抜き出される。このとき、図11Bにて、樹脂発泡体RFにおける、連通部422aに位置していた部分が、板状ブレード422によって、さらに引き裂かれることによって、スリット13がさらに延長される。
【0062】
図11Dに示すように、樹脂発泡体RFにおける脱型がさらに進むと、板状ブレード422の全体が、樹脂発泡体RFから離れ、脱型前の状態にて、樹脂発泡体RFにおける、連通部422aに位置していた部分は、成形面421a側の端まで引き裂かれて、これにより、スリット13の全体が構成される。このとき、スリット13における、引き裂かれて形成された部分は、非スキン部によって形成された表面側領域121Aを構成する。
【0063】
図11Eに示すように、樹脂発泡体RFにおける脱型がさらに進むと、樹脂発泡体RFの全体が下型42から取り出され、脱型が完了する。
【0064】
これにより、脱型前に、充填空間FS内において、板状ブレード422における、上型41側の端部であるブレード端部422d(図11A図11E参照)より上型41側に位置していた、樹脂発泡体RFの部分は、ベース部11を構成する。また、脱型前に、充填空間FS内において、ブレード端部422dより成形面421a側に位置していた、樹脂発泡体RFの部分は、突起12を構成する。また、脱型前に、充填空間FS内において、板状ブレード422に相当していた部分は、スリット13の一部を構成し、板状ブレード422より成形面421a側に位置していた、樹脂発泡体RFの部分が、上述したように脱型時に引き裂かれることによって、当該一部が拡張されて、スリット13の全体が構成される。
【0065】
また、脱型前に、樹脂発泡体RFにおける、板状ブレード422に隣接していた部分は、スキン部によって形成されたベース部側領域121Bを構成し、樹脂発泡体RFにおける、板状ブレード422より、成形面421a側に位置していた部分は、非スキン部によって形成された表面側領域121Aを構成する。
【0066】
このようにして、本明細書で前述した、本発明の一実施形態に係るメインパッド部10(シートパッド1)、すなわち、樹脂発泡体RFによって形成されているベース部11と、ベース部11と一体となって、樹脂発泡体RFによって形成され、ベース部11の、着座者側に位置している複数の突起12と、互いに隣接する複数の突起12を区画している複数のスリット13と、を備え、突起12における、スリット13に面している突起側面121の少なくとも一部は、樹脂発泡体RFの非スキン部によって形成されている、メインパッド部10(シートパッド1)を、得ることができる。
【0067】
したがって、上述した、本発明の一実施形態に係る、メインパッド部10(シートパッド1)の製造方法によれば、成形後(脱型ステップ後)の切削等によらず当該構成のメインパッド部10(シートパッド1)を製造できるので、容易に、メインパッド部10(シートパッド1)を製造できる。さらに、上述したような、表面側領域121Aが、樹脂発泡体の非スキン部によって形成され、ベース部側領域121Bが、樹脂発泡体のスキン部によって形成されているような構成のメインパッド部10(シートパッド1)も容易に製造できる。
【0068】
したがって、着座者が着座して、互いに隣接する、複数の突起12がたわんで、当該複数の突起12の外表面どうしが重なった時や接触した時に、表面側領域121Aがスキン部によって形成され、ベース部側領域121Bが非スキン部によって形成されている場合に比べて、着座者が押圧する部分でのスキン部の重なりや接触度合いを低減することができるメインパッド部10(シートパッド1)を得ることができる。このため、密度の高いスキン部が重なっている部分や接触している部分を押圧することによって着座者が感じる違和感を、より低減することができるメインパッド部10(シートパッド1)を得ることができる。
【0069】
メインパッド部10と同様にして、サイドパッド部20、および、バックパッド対向部30、ならびに、バックパッド1b、および、ヘッドレスト1cを製造可能である。この場合、メインパッド部10、サイドパッド部20、および、バックパッド対向部30、ならびに、バックパッド1b、および、ヘッドレスト1cをそれぞれ製造するために用いられる金型4は異なっていてもよい。さらに、メインパッド部10、サイドパッド部20、および、バックパッド対向部30、ならびに、バックパッド1b、および、ヘッドレスト1cを組み立てることによって、シートパッド1を製造することができる。
【0070】
また、図10の例では、図8を参照して説明した板状ブレード422を含む、下型42を備える、金型4を用いてシートパッド1を製造する例とは異なり、充填空間FS内において、板状ブレード422のうち、延在部422bに隣接していた樹脂発泡体RFの部分は、スキン部によって形成された、角部領域121E以外の領域(中央領域121D)を構成し、非延在部422cに隣接していた樹脂発泡体RFの部分は、スキン部によって形成された、角部領域121Eを構成する。
【0071】
これにより、メインパッド部10(シートパッド1)の平面視において、表面側領域121Aであって端部領域121Cである、角部領域121Eが、非スキン部によって形成され、突起側面121における、角部領域121E以外の領域が、スキン部によって形成されている、メインパッド部10(シートパッド1)を得ることができる。
【0072】
また、板状ブレード422が、上述したようなテーパ形状を有している場合、上述したようなテーパ形状を有していない場合に比べて、連通部422a以外に成形されていた樹脂発泡体RFの部分を引き裂くことなく、樹脂発泡体RFの脱型時に、連通部422aに成形されていた樹脂発泡体RFの部分を、確実に引き裂くことができる。したがって、脱型を確実に行うことができるため、メインパッド部10(シートパッド1)を確実に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のシートパッドは、任意の種類の車両、または、家庭用もしくは業務用の椅子等に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1:シートパッド、
1a:クッションパッド、 1b:バックパッド、 1c:ヘッドレスト、
10:メインパッド部、 20:サイドパッド部、 30:バックパッド対向部、
11:ベース部、 12:突起、 13:スリット、100:車両用シート、
121:突起側面、 121A:表面側領域、 121B:ベース部側領域、 121C:端部領域、 121D:中央領域、 121E:角部領域、122:着座側領域、
4:金型、 41:上型、 42:下型、
421a:成形面、 422:板状ブレード、 422a:連通部、 422b:延在部、 422c:非延在部、 422d:ブレード端部、
FS:充填空間、
:左右方向における、複数の突起それぞれの長さ、
:左右方向における、ベース部の長さ、
:前後方向における、複数の突起それぞれの長さ、
:前後方向における、ベース部の長さ、
:上下方向における、スリットの高さ、
:上下方向における、表面側領域の長さ、
:左右方向または前後方向における、角部領域の長さ、
RF:樹脂発泡体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E