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  • 特開-飛散防止ネット取付具 図1
  • 特開-飛散防止ネット取付具 図2
  • 特開-飛散防止ネット取付具 図3A
  • 特開-飛散防止ネット取付具 図3B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091623
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】飛散防止ネット取付具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/28 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
E04G21/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204569
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】520313345
【氏名又は名称】大嶋 奈穂子
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大西 哲史
(57)【要約】
【課題】簡易かつ迅速に飛散防止ネットを着脱する。
【解決手段】棒材の表面に固定される固定部(6、7)と、固定部と連結し、予め定められた長さを有するアーム部(4、5)と、アーム部(4、5)の表面に一定の間隔を置いて設けられた一組の柱状部(3a)と、各柱状部(3a)の先端にそれぞれ設けられ、底面の直径が飛散防止ネットに設けられた貫通孔(11a)の直径よりも大きい円錐の形状に形成された一組の嵌合部(3b)と、各嵌合部(3b)の頂点および底面の中心を通り、各嵌合部(3b)および各柱状部(3a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部(3c)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛散防止ネット(11)を棒材(8、9)に取り付ける飛散防止ネット取付具(1、2)であって、
前記棒材の表面に固定される固定部(6、7)と、
前記固定部と連結し、予め定められた長さを有するアーム部(4、5)と、
前記アーム部(4、5)の表面に一定の間隔を置いて設けられた少なくとも一つの柱状部(3a)と、
前記柱状部(3a)の先端にそれぞれ設けられ、底面の直径が前記飛散防止ネットに設けられた貫通孔(11a)の直径よりも大きい円錐の形状に形成された一組の嵌合部(3b)と、
前記各嵌合部(3b)の頂点および底面の中心を通り、前記各嵌合部(3b)および前記柱状部(3a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部(3c)と、を備え、
前記各嵌合部(3b)は、底面の直径が前記貫通孔(11a)の直径よりも一時的に小さくなった状態で前記貫通孔(11a)に挿通され、挿通後に底面の直径が復位することによって、前記貫通孔(11a)と嵌合することを特徴とする飛散防止ネット取付具。
【請求項2】
前記棒材は、くさび緊結式足場に用いられるくさびポケット(9a)付き棒材(9)であって、
前記固定部(7)は、前記くさびポケット(9a)の最大内径よりも大きい底辺を有する二等辺三角形の形状に形成された固定用嵌合部(7b)と、
前記固定用嵌合部(7b)および前記アーム部(5)とを連結する連結部(7a)と、
前記固定用嵌合部(7b)の頂点および底辺の中点を通り、前記固定用嵌合部(7b)および前記連結部(7a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する固定用切込み部(7c)と、を備え、
前記固定用嵌合部(7b)は、底辺の長さが前記くさびポケット(9a)の最大内径よりも一時的に小さくなった状態で前記くさびポケット(9a)に挿通され、挿通後に底辺の長さが復位することによって、前記くさびポケット(9a)と嵌合することを特徴とする請求項1記載の飛散防止ネット取付具。
【請求項3】
前記棒材は、単管足場に用いられる単管(8)であって、
前記固定部(6)は、前記単管(8)と直交する平面上で略C字の形状に形成され、前記単管の外径以上の内径を有する単管収容部(6a)および前記単管(8)の外径より小さい間隔で開口する開口部(6b)を備え、
前記開口部(6b)は、前記間隔が前記単管(8)の外径よりも一時的に大きくなった状態で前記単管(8)を前記単管収容部(6a)に案内し、案内後に前記間隔が復位することによって、前記単管(8)と嵌合することを特徴とする請求項1記載の飛散防止ネット取付具。
【請求項4】
前記固定部(6)は、
二つの円弧部(60a、60b)と、
前記各円弧部(60a、60b)の一端を軸支して開閉可能に連結するヒンジ機構(61)と、
前記各円弧部(60a、60b)のヒンジ機構(61)の反対側の端部にそれぞれ設けられた鈎型突起(63a、63b)と、
前記各円弧部(60a、60b)の内側に棒材(8)を押圧する複数の弾性体(65)と、を備え、
前記各円弧部(60a、60b)は、前記ヒンジ機構(61)と対峙する位置で前記各鈎型突起(63a、63b)によって係合することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の飛散防止ネット取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛散防止ネットを棒材に取り付ける飛散防止ネット取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、比較的小規模な建築物の建築現場または建築物解体現場において、建築部材または解体で発生する部材が周囲に飛散しないように、建築現場または建築物解体現場を包囲する飛散防止ネットが用いられている。この飛散防止ネットに設けられている貫通孔に紐が挿通され、その紐が建築足場の支柱に縛り付けられることにより、飛散防止ネットは建築足場の支柱に取り付けられる。
【0003】
このような飛散防止ネット(シート)を支柱に取り付ける際に、従来から、種々の手法が提案されてきている。例えば、特許文献1に開示されている技術では、接合する両側のシートをシートジョイントの両側縦パイプのスリット内に通して、その両側のシートの係止棒体をシートジョイントの両側縦パイプ内にそれぞれ抜き差し可能に挿入嵌着する。そして、シートジョイントの台板を仮設建築物Aの骨組みパイプの外側面に当接し、適当箇所において、ジョイント固定具を骨組みパイプの内側部に当ててそのジョイント固定具の両側腕の掛け片をシートジョイントの両側の止め片にそれぞれ係脱可能に引掛けた後、ジョイント固定具の開閉操作機構により該ジョイント固定具の両側腕の基部を閉じる。そして、シートジョイントの台板とジョイント固定具の両側腕により骨組みパイプを挟持して仮設建築用シートを仮設建築物Aに取付ける。
【0004】
また、特許文献2に開示されている技術では、仮設建築物の屋根枠上に着脱可能に取付ける横長の台座の上方に、両側屋根シートの接続側端部の係止棒体をそれぞれ挿入する両側横パイプを一体に並設する。また、その両側横パイプの斜め外側下方には、該横パイプの全長にわたって上記屋根シートが入り込むスリットをそれぞれ形成し、上記両側横パイプの外側に該横パイプのスリットよりも下方へ突出する側片をそれぞれ設けて仮設建築物の屋根シート取付具を構成する。
【0005】
また、特許文献3に開示されている技術では、仮設テントの支柱間に架設された架設部材に対して取り付け可能な取付部材と、この取付部材から側部方向に延びる延出部と、この延出部に取り付けられ、かつランナーが走行可能な形態でガイド部材を保持可能な保持部材と、この保持部材のスライド溝に沿って走行可能であり、かつ遮蔽シートの上端部に接続可能なランナーとを備えている。そして、仮設テントにおいて遮蔽シートを横方向に開閉可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-328933号公報
【特許文献2】特開2000-45533号公報
【特許文献3】特開2010-285860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、飛散防止ネットの取り付け、取り外しに手間と時間がかかってしまう。このため、台風などの風害が予想される際に、取り外す作業が間に合わない恐れがある。また、飛散防止ネットを取り付ける際に紐を用いる場合は、取り外しの際に紐を切断するため、紐を再利用することができず、無駄な材料や経費が生じてしまう。さらに、従来の技術では、構造が複雑で、重量が大きく、高価となる傾向があると共に、壊れやすいという課題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ迅速に飛散防止ネットを着脱することが可能な飛散防止ネット取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の飛散防止ネット取付具は、飛散防止ネット(11)を棒材(8、9)に取り付ける飛散防止ネット取付具(1、2)であって、前記棒材の表面に固定される固定部(6、7)と、前記固定部と連結し、予め定められた長さを有するアーム部(4、5)と、前記アーム部(4、5)の表面に一定の間隔を置いて設けられた少なくとも一つの柱状部(3a)と、前記柱状部(3a)の先端にそれぞれ設けられ、底面の直径が前記飛散防止ネットに設けられた貫通孔(11a)の直径よりも大きい円錐の形状に形成された一組の嵌合部(3b)と、前記各嵌合部(3b)の頂点および底面の中心を通り、前記各嵌合部(3b)および前記柱状部(3a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部(3c)と、を備え、前記各嵌合部(3b)は、底面の直径が前記貫通孔(11a)の直径よりも一時的に小さくなった状態で前記貫通孔(11a)に挿通され、挿通後に底面の直径が復位することによって、前記貫通孔(11a)と嵌合することを特徴とする。
【0010】
(2)また、本発明の飛散防止ネット取付具において、前記棒材は、くさび緊結式足場に用いられるくさびポケット(9a)付き棒材(9)であって、前記固定部(7)は、前記くさびポケット(9a)の最大内径よりも大きい底辺を有する二等辺三角形の形状に形成された固定用嵌合部(7b)と、前記固定用嵌合部(7b)および前記アーム部(5)とを連結する連結部(7a)と、前記固定用嵌合部(7b)の頂点および底辺の中点を通り、前記固定用嵌合部(7b)および前記連結部(7a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する固定用切込み部(7c)と、を備え、前記固定用嵌合部(7b)は、底辺の長さが前記くさびポケット(9a)の最大内径よりも一時的に小さくなった状態で前記くさびポケット(9a)に挿通され、挿通後に底辺の長さが復位することによって、前記くさびポケット(9a)と嵌合することを特徴とする。
【0011】
(3)また、本発明の飛散防止ネット取付具において、前記棒材は、単管足場に用いられる単管(8)であって、前記固定部(6)は、前記単管(8)と直交する平面上で略C字の形状に形成され、前記単管の外径以上の内径を有する単管収容部(6a)および前記単管(8)の外径より小さい間隔で開口する開口部(6b)を備え、前記開口部(6b)は、前記間隔が前記単管(8)の外径よりも一時的に大きくなった状態で前記単管(8)を前記単管収容部(6a)に案内し、案内後に前記間隔が復位することによって、前記単管(8)と嵌合することを特徴とする。
【0012】
(4)(3)また、本発明の飛散防止ネット取付具において、前記固定部(6)は、二つの円弧部(60a、60b)と、前記各円弧部(60a、60b)の一端を軸支して開閉可能に連結するヒンジ機構(61)と、前記各円弧部(60a、60b)のヒンジ機構(61)の反対側の端部にそれぞれ設けられた鈎型突起(63a、63b)と、前記各円弧部(60a、60b)の内側に棒材(8)を押圧する複数の弾性体(65)と、を備え、前記各円弧部(60a、60b)は、前記ヒンジ機構(61)と対峙する位置で前記各鈎型突起(63a、63b)によって係合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工具類を使用することなく、飛散防止ネットの取り付けおよび取り外しに時間と手間がかからなくて済む。その結果、人件費を抑えることが可能となる。また、取付具を再利用することができると共に、飛散防止ネットを取り外す際に廃材が発生しない。さらに、飛散防止ネットを容易に着脱することができるため、作業の安全を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の斜視図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の斜視図である。
図3A】本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の変形例1の斜視図である。
図3B】本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の変形例2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者は、くさび緊結式足場(「ピケ足場」または「ビケ足場」とも呼称される。)に用いられる支柱が、くさびポケットを有していることに着目し、このくさびポケットにワンタッチで着脱できる樹脂製の取付具を適用することで、容易に飛散防止ネットの取り付けおよび取り外しができることを見出し、本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明の飛散防止ネット取付具は、飛散防止ネット(11)を棒材(8、9)に取り付ける飛散防止ネット取付具(1、2)であって、前記棒材の表面に固定される固定部(6、7)と、前記固定部と連結し、予め定められた長さを有するアーム部(4、5)と、前記アーム部(4、5)の表面に一定の間隔を置いて設けられた少なくとも一つの柱状部(3a)と、前記柱状部(3a)の先端にそれぞれ設けられ、底面の直径が前記飛散防止ネットに設けられた貫通孔(11a)の直径よりも大きい円錐の形状に形成された一組の嵌合部(3b)と、前記各嵌合部(3b)の頂点および底面の中心を通り、前記各嵌合部(3b)および前記柱状部(3a)をそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部(3c)と、を備え、前記各嵌合部(3b)は、底面の直径が前記貫通孔(11a)の直径よりも一時的に小さくなった状態で前記貫通孔(11a)に挿通され、挿通後に底面の直径が復位することによって、前記貫通孔(11a)と嵌合することを特徴とする。
【0017】
これにより、本発明者は、飛散防止ネットを支柱や棒材に簡単に着脱することを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の斜視図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る飛散防止ネット取付具1は、飛散防止ネット11を、くさび緊結式足場に用いられるくさびポケット9a付き支柱(棒材)9に取り付けるために用いられる。飛散防止ネット取付具1は、弾力性を有する樹脂等の材料によって、一体的に形成することが可能である。従って、飛散防止ネット取付具1は、弾性範囲内の力を受けて変形する一方(変形状態)、その受ける力がなくなると元の形状に戻る(定常状態)。
【0019】
飛散防止ネット取付具1において、固定部7は、くさびポケット9aの最大内径よりも大きい底辺を有する二等辺三角形の形状に形成された固定用嵌合部7bを備えている。くさびポケット9aの最大内径とは、図1において、くさびポケット9aの径計方向の内径であり、固定用嵌合部7bの底辺の長さは、定常状態では、くさびポケット9aの径計方向の内径よりも大きい。また、固定部7は、固定用嵌合部7bおよびアーム部5とを連結する連結部7aと、固定用嵌合部7bの頂点および底辺の中点を通り、固定用嵌合部7bおよび連結部7aをそれぞれ一定の距離を置いて二分する固定用切込み部7cとを備えている。
【0020】
飛散防止ネット取付具1が弾力性を有する材料で形成されると共に、この固定用切込み部7cを有しているため、固定用嵌合部7bは、底辺の長さがくさびポケット9aの最大内径よりも一時的に小さくなった状態(変形状態)でくさびポケット9aに挿通され、挿通後に底辺の長さが復位(定常状態)することによって、くさびポケット9aと嵌合する。これにより、飛散防止ネット取付具1をワンタッチでくさびポケット9aに嵌合させることが可能となる。
【0021】
また、飛散防止ネット取付具1は、固定部7と連結し、予め定められた長さを有するアーム部5と、アーム部5の表面に一定の間隔を置いて設けられた一組の柱状部3aを備えている。各柱状部3aの間隔は、飛散防止ネット11を取り付ける事情に応じて、適宜選定される。また、各柱状部3aの先端には、底面の直径が飛散防止ネット11に設けられた貫通孔11aの直径よりも大きい円錐の形状に形成された嵌合部3bが、それぞれ設けられている。そして、各嵌合部3bおよび各柱状部3aには、各嵌合部3bの頂点および底面の中心を通り、各嵌合部3bおよび各柱状部3aをそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部3cが設けられている。
【0022】
飛散防止ネット取付具1が弾力性を有する材料で形成されると共に、この切込み部3cを有しているため、各嵌合部3bは、底面の直径が貫通孔11aの直径よりも一時的に小さくなった状態(変形状態)で貫通孔11aに挿通され、挿通後に底面の直径が復位(定常状態)することによって、貫通孔11aと嵌合する。これにより、飛散防止ネット取付具1をワンタッチで貫通孔11aに嵌合させることが可能となる。
【0023】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の斜視図である。図2に示すように、第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具2は、単管足場に用いられる単管8に取り付けるために用いられる。飛散防止ネット取付具2は、弾力性を有する樹脂等の材料によって、一体的に形成することが可能である。従って、飛散防止ネット取付具2は、弾性範囲内の力を受けて変形する一方(変形状態)、その受ける力がなくなると元の形状に戻る(定常状態)。
【0024】
第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具2において、固定部6は、単管8と直交する平面上で略C字の形状に形成されている。そして、単管8の外径以上の内径を有する単管収容部6a、および単管8の外径より小さい間隔で開口する開口部6bを備えている。開口部6bは、間隔が単管8の外径よりも一時的に大きくなった状態(変形状態)で単管8を単管収容部6aに案内する。そして、案内後に間隔が復位(定常状態)することによって、単管8と嵌合する。
【0025】
また、飛散防止ネット取付具2は、固定部6と連結し、予め定められた長さを有するアーム部4と、アーム部4の表面に一定の間隔を置いて設けられた一組の柱状部3aを備えている。各柱状部3aの間隔は、飛散防止ネット11を取り付ける事情に応じて、適宜選定される。また、各柱状部3aの先端には、底面の直径が飛散防止ネット11に設けられた貫通孔11aの直径よりも大きい円錐の形状に形成された嵌合部3bが、それぞれ設けられている。そして、各嵌合部3bおよび各柱状部3aには、各嵌合部3bの頂点および底面の中心を通り、各嵌合部3bおよび各柱状部3aをそれぞれ一定の距離を置いて二分する一組の切込み部3cが設けられている。
【0026】
飛散防止ネット取付具2が弾力性を有する材料で形成されると共に、この切込み部3cを有しているため、各嵌合部3bは、底面の直径が貫通孔11aの直径よりも一時的に小さくなった状態(変形状態)で貫通孔11aに挿通され、挿通後に底面の直径が復位(定常状態)することによって、貫通孔11aと嵌合する。これにより、飛散防止ネット取付具1をワンタッチで貫通孔11aに嵌合させることが可能となる。
【0027】
[変形例1]
図3Aは、本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の変形例1の斜視図である。図3Aに示すように、変形例1に係る飛散防止ネット取付具30は、単管足場に用いられる単管に取り付けるために用いられる。飛散防止ネット取付具30は、二つの円弧部60a、60bと、各円弧部60a、60bの一端を軸支して開閉可能に連結するヒンジ機構61と、各円弧部60a、60bのヒンジ機構61の反対側の端部にそれぞれ設けられた鈎型突起63a、63bと、各円弧部60a、60bの内側に棒材13を押圧する複数の弾性体65とを備えている。各円弧部60a、60bは、ヒンジ機構61と対峙する位置で各鈎型突起63a、63bによって係合する。
【0028】
各弾性体65は、樹脂で作製された樹脂バネであり、単管8に飛散防止ネット取付具30を装着すると、単管8は、各弾性体65により、センタリングされる。また、各弾性体65により、各円弧部60a、60bは、ヒンジ機構61を支点として開こうとする力が発生する。図3Aに示すように、飛散防止ネット取付具30は、各弾性体65により発生した力を用いて、各鈎型突起63a、63bを係合し、内部に収容した単管8を固定する。また、鈎型突起63bを飛散防止ネット取付具30の内側へ押すことにより、鈎型突起63aと鈎型突起63bとを係合が解除することができる。これにより、単管8を飛散防止ネット取付具30の中央に配置するとともに、単管8に飛散防止ネット取付具30を密着させ、外れにくくすることが可能となる。
【0029】
また、図3Aに示す変形例1では、柱状部3aおよび嵌合部3bを一つ設けた形態を採った。この場合は、各貫通孔11aが重なるように、飛散防止ネット11を重ねて、各貫通孔11aに柱状部3aおよび嵌合部3bを嵌合させることが可能となる。これにより、飛散防止ネット取付具1、2の材料が少なくて済む。
【0030】
[変形例2]
図3Bは、本発明の第2の実施形態に係る飛散防止ネット取付具の変形例2の斜視図である。図3Bに示すように、変形例2に係る飛散防止ネット取付具32は、単管足場に用いられる単管に取り付けるために用いられ、変形例1と同様の構成を採っている。変形例2が変形例1と異なる点は、柱状部3aおよび嵌合部3bを二つ設けた形態を採る点である。これは、上述した第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、一組(2つ)の柱状部3aおよび嵌合部3bが設けたことと同様である。
【0031】
[効果]
本実施形態に係る飛散防止ネット取付具によれば、工具類を使用することなく、足場の支柱にワンタッチで取り付けることができると共に、飛散防止ネットについてもワンタッチで固定することが可能となる。これにより、飛散防止ネットの取り付けおよび取り外しに時間と手間がかからなくて済む。その結果、人件費を抑えることが可能となる。また、取付具を再利用することができると共に、飛散防止ネットを取り外す際に廃材が発生しない。さらに、飛散防止ネットを容易に着脱することができるため、作業の安全を確保することが可能となる。さらに、既存の足場部材や飛散防止ネットを利用することができるため、専用の足場部材や飛散防止ネットを用意する場合に対して、コストを大幅に削減することが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1、2、30、32…飛散防止ネット取付具
3a…柱状部
3b…嵌合部
3c…切込み部
4、5…アーム部
6…固定部
6a…単管収容部
6b…開口部
7…固定部
7a…連結部
7b…固定用嵌合部
7c…切込み部
8…単管
9…ポケット9a付き支柱(棒材)
9a…ポケット
11…飛散防止ネット
11a…貫通孔
図1
図2
図3A
図3B