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  • 特開-帯状フィルタ式ドラム型濾過装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091635
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】帯状フィルタ式ドラム型濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/04 20060101AFI20220614BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20220614BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20220614BHJP
   B24B 55/12 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B01D33/04 A
B23Q11/00 U
B23Q11/10 Z
B24B55/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204614
(22)【出願日】2020-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】平田 隆幸
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4D116
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C011EE08
3C047GG13
3C047GG17
3C047GG18
4D116AA27
4D116BB11
4D116BC54
4D116BC70
4D116BC77
4D116DD06
4D116FF14B
4D116FF15B
4D116FF16B
4D116KK01
4D116QC08A
4D116QC50
4D116QC52
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】ダーティ液の流入によって帯状フィルタの内周側に堆積した異物の舞い上がりが抑制される帯状フィルタ式ドラム型濾過装置を提供する。
【解決手段】帯状フィルタ式ドラム型濾過装置10のドラム42を支持する支持軸30は、ダーティ液DFが導かれる管状部材であって、支持軸30の長手方向の中間部に形成されてダーティ液DFを排出する排出口を有し、支持軸30には、排出口から流れ落ちるダーティ液DFの方向を変換してダーティ液DFの流速を緩和する流入緩衝箱54が取り付けられている。支持軸30の長手方向の中間部に形成された排出口からダーティ液DFが流れ出るので、比較的小さな落差でダーティ液DFが液面Lへ流れ出る。また、流入緩衝箱54によりダーティ液DFの流出方向が変換されて、ダーティ液DFの流出の勢いが抑制される。これにより、ダーティ液DFの流入による異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁および後壁と前記前壁および前記後壁を連結する一対の側壁とを有するケースと、前記一対の側壁に両端部が取り付けられた水平な支持軸と、前記支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状フィルタと、を備える帯状フィルタ式ドラム型濾過装置であって、
前記支持軸は、ダーティ液が導かれる管状部材であって、前記支持軸の長手方向の中間部に形成されて前記ダーティ液を排出する排出口を有し、
前記支持軸には、前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液の方向を変換して前記ダーティ液の流速を緩和する流入緩衝箱が、取り付けられている
ことを特徴とする帯状フィルタ式ドラム型濾過装置。
【請求項2】
前記流入緩衝箱は、
前記支持軸の前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液を受けて前記ダーティ液の方向を変換する斜板と、
前記斜板からの前記ダーティ液を受ける水平な底板と、
前記底板に設けられ、前記底板に沿って流れる前記ダーティ液の流速を抑制する堰板と、
水平方向に開口し、前記堰板を超えた前記ダーティ液を流出させる流出口と、を有する
ことを特徴とする請求項1の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置。
【請求項3】
前記一対の側壁には、前記支持軸を挿入状態で支持するための一対の支持フランジが固定されており、
前記支持軸は、前記一対の支持フランジの少なくとも一方に径方向に螺進するように設けられた押しねじを用いて固定されており、
前記支持軸の前記一対の側壁間に位置する前記中間部には、前記流入緩衝箱が前記流入緩衝箱から突設された耳部がボルトにより前記支持軸に締結されることにより固定されている
ことを特徴とする請求項1又は2の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置。
【請求項4】
前記流入緩衝箱は、前記支持軸の長手方向に長手状の直方体形状であり、
前記支持軸の長手方向の前記中間部に形成された前記排出口は、前記流入緩衝箱内に納まる長さで前記支持軸の長手方向に長手形状の開口であり、
前記斜板および前記堰板は前記排出口の長手寸法よりも大きい幅寸法を有する
ことを特徴とする請求項2の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置。
【請求項5】
前記ドラム内において前記帯状フィルタ上に滞留する前記ダーティ液の液面を検出する液面センサと、
前記帯状フィルタを送る送りモータと、
前記液面センサにより検出された液面が予め設定された液面高さとなるように前記送りモータを駆動して前記帯状フィルタを送るモータ制御装置と、を含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状フィルタを備え、その帯状フィルタにクーラントを通過させることで、クーラントに含まれる異物を除去する帯状フィルタ式ドラム型濾過装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品、ベアリングなどの製造に際して用いられる研削盤、切削盤等の機械加工において、ドラムの下側半周に沿って連続的に送られる帯状フィルタに機械加工に用いたクーラントを通過させることで、機械加工によって生じた異物をクーラント中から除去してクーラントを再利用可能とする帯状フィルタ式ドラム型濾過装置が、提案されている。たとえば、特許文献1に記載された帯状フィルタ式ドラム型濾過装置がそれである。
【0003】
帯状フィルタ式ドラム型濾過装置には、回転可能な水平支持軸に所定の間隔をあけて固定された一対の円形部材と、その一対の円形部材の下側半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、メッシュベルトと各円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状フィルタとが備えられ、帯状フィルタが一対の円形部材およびメッシュベルトとともに周方向へ送られつつ、研削盤から排出されたクーラントが帯状フィルタの内周側から外周側へ通されることで、クーラントが濾過されるようになっている。これによれば、磁気ドラムを用いたマグネチックセパレータ等と比較して非鉄加工のクーラント処理や、油性クーラントにも適用でき、濾過精度が向上し、排出スラッジの脱水性が向上し、装置がコンパクトになるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-314703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置においては、研削盤から排出されたクーラント(ダーティ液)を濾過装置に流入させるに際しては、水平支持軸の上方から帯状フィルタすなわちペーパーフィルタの内周側へ落下させていた。この場合には、帯状フィルタの内周側には所定量のクーラントが滞留していてその液面が水平支持軸付近まで上昇しており、帯状フィルタの内周側に堆積した異物を含むスラッジが上記クーラントの落下によって舞い上がり、濾過性能が充分に得られない場合があった。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ダーティ液の流入によって帯状フィルタの内周側に堆積した異物の舞い上がりが抑制される帯状フィルタ式ドラム型濾過装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、クーラント(ダーティ液)の流入の勢いを抑制しつつ、帯状フィルタの内周側に滞留しているダーティ液の液面付近において僅かな落差で新たなダーティ液を流れ落とす流入緩衝箱を用いると、好適に、帯状フィルタの内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制されることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて為されたものである。
【0008】
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)前壁および後壁と前記前壁および後壁を連結する一対の側壁とを有するケースと、前記一対の側壁に両端部が取り付けられた水平な支持軸と、前記支持軸により回転可能に支持された一対の円形部材が所定の長さの連結部材を介して相互に連結されたドラムと、前記一対の円形部材の下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルトを備えたフィルタ送り装置と、前記メッシュベルトと前記一対の円形部材との間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状フィルタと、を備える帯状フィルタ式ドラム型濾過装置であって、(b)前記支持軸は、ダーティ液が導かれる管状部材であって、前記支持軸の長手方向の中間部に形成されて前記ダーティ液を排出する排出口を有し、(c)前記支持軸には、前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液の方向を変換して前記ダーティ液の流速を緩和する流入緩衝箱が、取り付けられていることにある。
【0009】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、前記流入緩衝箱は、前記支持軸の前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液を受けて前記ダーティ液の方向を変換する斜板と、前記斜板からの前記ダーティ液を受ける水平な底板と、前記底板に設けられ、前記底板に沿って流れる前記ダーティ液の流速を抑制する堰板と、水平方向に開口し、前記堰板を超えた前記ダーティ液を流出させる流出口と、を有することにある。
【0010】
第3発明の要旨とするところは、第1発明又は第2発明において、前記一対の側壁には、前記支持軸を挿入状態で支持するための一対の支持フランジが固定されており、前記支持軸は、前記一対の支持フランジの少なくとも一方に径方向に螺進するように設けられた押しねじを用いて固定されており、前記支持軸の前記一対の側壁間に位置する前記中間部には、前記流入緩衝箱が前記流入緩衝箱から突設された耳部がボルトにより前記支持軸に締結されることにより固定されていることにある。
【0011】
第4発明の要旨とするところは、第2発明において、前記流入緩衝箱は、前記支持軸の長手方向に長手状の直方体形状であり、前記支持軸の長手方向の前記中間部に形成された前記排出口は、前記流入緩衝箱内に納まる長さで前記支持軸の長手方向に長手形状の開口であり、前記斜板および前記堰板は前記排出口の長手寸法よりも大きい幅寸法を有することにある。
【0012】
第5発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明のいずれか1の発明において、前記ドラム内において前記帯状フィルタ上に滞留する前記ダーティ液の液面を検出する液面センサと、前記帯状フィルタを送る送りモータと、前記液面センサにより検出された液面が予め設定された液面高さとなるように前記送りモータを駆動して前記帯状フィルタを送るモータ制御装置と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0013】
第1発明の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置によれば、前記支持軸は、ダーティ液が導かれる管状部材であって、前記支持軸の長手方向の中間部に形成されて前記ダーティ液を排出する排出口を有し、前記支持軸には、前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液の方向を変換して前記ダーティ液の流速を緩和する流入緩衝箱が、取り付けられている。このことから、ダーティ液が導かれる管状部材である支持軸の長手方向の中間部に形成された排出口からダーティ液が流れ出るため、水平支持軸の上方からダーティ液を落下させる従来に比較して、ダーティ液の液面付近においてダーティ液の液面との間の小さな落差でダーティ液が支持軸の排出口から液面へ流れ出る。また、流入緩衝箱によりダーティ液の流出方向が変換されることで、ダーティ液の流出の勢いが抑制される。これにより、ダーティ液の流入によって帯状フィルタの内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制されるので、濾過性能が充分に得られる。
【0014】
第2発明の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置によれば、前記流入緩衝箱は、前記支持軸の前記排出口から流れ落ちる前記ダーティ液を受けて前記ダーティ液の方向を変換する斜板と、前記斜板からの前記ダーティ液を受ける水平な底板と、前記底板に設けられ、前記底板に沿って流れる前記ダーティ液の流速を抑制する堰板と、水平方向に開口し、前記堰板を超えた前記ダーティ液を流出させる流出口と、を有する。これにより、帯状フィルタの内周側に滞留したダーティ液に対して、新たなダーティ液の流入が一層緩やかとされるので、ダーティ液の流入によって帯状フィルタの内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制される。
【0015】
第3発明の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置によれば、前記一対の側壁には、前記支持軸を挿入状態で支持するための一対の支持フランジが固定されており、前記支持軸は、前記一対の支持フランジの少なくとも一方に径方向に螺進するように設けられた押しねじを用いて固定されており、前記支持軸の前記一対の側壁間に位置する中間部には、前記流入緩衝箱が前記流入緩衝箱から突設された耳部がボルトにより前記支持軸に締結されることにより固定されている。これにより、押しねじおよびボルトが取り外されることで、流入緩衝箱および支持軸がケースから取り外されるので、支持軸やドラムの円形部材等の消耗部品の交換が容易となる。
【0016】
第4発明の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置によれば、前記流入緩衝箱は、前記支持軸の長手方向に長手状の直方体形状であり、前記支持軸の長手方向の中間部に形成された前記排出口は、前記流入緩衝箱内に納まる長さで前記支持軸の長手方向に長手形状の開口であり、前記斜板および前記堰板は前記排出口の長手寸法よりも大きい幅寸法を有する。これにより、支持軸に形成された排出口から流出するダーティ液が幅方向に広がって流速が低下させられることから、帯状フィルタの内周側に滞留したダーティ液に対して、新たなダーティ液の流入が一層緩やかとされるので、ダーティ液の流入によって帯状フィルタの内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制される。
【0017】
第5発明の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置によれば、前記ドラム内において前記帯状フィルタ上に滞留する前記ダーティ液の液面を検出する液面センサと、前記帯状フィルタを送る送りモータと、前記液面センサにより検出された液面が予め設定された液面高さとなるように前記送りモータを駆動して前記帯状フィルタを送るモータ制御装置と、を含む。これにより、帯状フィルタが過不足なく送られるので、帯状フィルタの消耗が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置の構成を説明する模式図である。
図2図1の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置の流入緩衝箱が取り付けられ且つ円形板を回転可能に支持する支持軸を説明する図であって、図1のII-II視断面図である。
図3図1および図2の流入緩衝箱の内部を説明する、図2のIII-III視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0020】
図1は、本発明の一実施例の帯状フィルタ式ドラム型濾過装置(以下、濾過装置という)10の側壁12bの一部を切り欠いて示す側面図である。図1において、濾過装置10は、前壁12cと、後壁12dと、前壁12cおよび後壁12dを連結する一対の側壁12a、12bと、前壁12c、後壁12d、および一対の側壁12a、12bにより囲まれた空間の開口を上側から閉じる上壁12eと、底壁12fと、を有するケース12を、浄化後のクーラントすなわちクリーン液CFを貯留するクリーンタンク14上に備えている。
【0021】
ケース12の上壁12eには、帯状フィルタとして機能する所定幅の帯状の濾紙16が巻回された円柱状の濾紙ロール18が安定的に載置される凹溝20が形成されている。ケース12の後壁12dには、濾紙ロール18から巻きだされた帯状の濾紙16をケース12内に導入する濾紙導入口22が貫通して形成されている。ケース12の底壁12fには、浄化後のクリーン液CFをクリーンタンク14へ落下させる連通穴24と、スラッジが堆積した帯状の濾紙16をスラッジ収容容器26へ排出する排出穴28と、が形成されている。
【0022】
図2は、ドラム42を回転可能に支持する支持軸30を説明する図であって、図1のII-II視垂直断面図である。図2に示すように、水平な回転軸線C1と同心に位置するように、円筒状の支持軸30の先端部(右端部)30aおよび基端部(左端部)30bが一対の側壁12a、12bにそれぞれ締結された右左一対の支持フランジ32a、32bにより貫通状態で支持され、支持フランジ32a、32bのうちの支持軸30の先端部30a側の支持フランジ32aに支持軸30の径方向に螺進するように設けられた押しねじ36により、支持軸30が着脱可能にケース12に取り付けられている。支持軸30の基端部30bには、図示しない研削盤から排出されたクーラントすなわちダーティ液DFを導くダーティ配管38が接続されており、支持軸30の長手方向(回転軸線C1方向)の中間部30cに形成された長手状の排出口40からダーティ液DFがケース12内に流入させられるようになっている。
【0023】
ドラム42は、支持軸30に回転可能に支持された円形部材であって互いに同径である一対の円形板44a、44bと、一対の円形板44a、44bの周方向に離隔した複数位置を相互に連結する所定の長さの複数本の連結部材48と、を有し、ダーティ液DFを通過させるように内周面と外周面が連通する円筒状を成している。ドラム42は、支持軸30上において、一対の円形板44a、44bと一対の側壁12a、12bとの間に一対の円筒状のカラー50a、50bが介在させられることにより、一対の側壁12a、12bから離隔するように位置決めされている。
【0024】
支持軸30の中間部30cには、流入緩衝箱54が長手状の排出口40を覆うように取り付けられている。流入緩衝箱54は、流入緩衝箱54から回転軸線C1方向に突き出す耳部56a、56bがボルト60により支持軸30に締結されることにより、着脱可能に固定されている。ワイヤWは、図1に示す液面センサ76と制御装置78とを接続する電線である。
【0025】
図3は、流入緩衝箱54の内部を説明する、図2のIII-III視断面図である。図3に示すように、流入緩衝箱54は、水平方向に支持軸30の排出口40より長い長手状の上板54e、底板54f、前板54c、および後板54dと、それらにより囲まれた長手状の空間を右左から閉じる一対の端板54a、54bと、を有する直方体を成している。また、流入緩衝箱54は、ダーティ液DFの流れる方向を変換する斜板62と、ダーティ液DFの流速を抑制する所定高さの堰板64と、を備えている。
【0026】
流入緩衝箱54の斜板62は、前板54cの下端縁から後板54d側へ斜め下方に突設され、支持軸30の排出口40から流れ落ちるダーティ液DFを受けてその方向を後板54d側へ向う方向に変換する。流入緩衝箱54の堰板64は、斜板62から落下し且つ後板54dから反転して底板54f上を流動するダーティ液DFの流れに対して交差する方向たとえば回転軸線C1に平行な方向に底板54fに設けられ、底板54f上をそれに沿って流れるダーティ液DFの流速を抑制する。斜板62および堰板64は、流入緩衝箱54の長手寸法と同等の長手形状を有している。よって、斜板62および堰板64は排出口40の長手寸法L1よりも大きい幅寸法L2を有している。
【0027】
流入緩衝箱54には、前板54cの下端縁と堰板64との間に、長手状に開口し、堰板64を超えたダーティ液DFを流出させる流出口66が形成されている。流入緩衝箱54において、支持軸30に形成された排出口40から排出されたダーティ液DFは、斜板62により受けられて方向変換させられ、さらに後板54dに衝突して方向が反転させられることで流速が緩和され、さらに堰板64により滞留させられて乱流が消去された後、その堰板64を超えて流出口66から流出させられる。これにより、流入緩衝箱54の流出口66から流出させられるダーティ液DFは、濾紙16の内周面に滞留しているダーティ液DFの液面Lに、緩やかに流入させられる。
【0028】
図1に戻って、ドラム42の下側外周を半周にわたって沿わせた無端環状のメッシュベルト68を備え、帯状の濾紙16を送るフィルタ送り装置70が、一対の側壁12a、12bに設けられている。フィルタ送り装置70は、ドラム42と後壁12dに形成された濾紙導入口22との間に送りローラ72aを備え、ドラム42と前壁12cとの間に送りローラ72bを備え、ドラム42と連通穴24との間に送りローラ72cを備え、ドラム42と排出穴28との間に送りローラ72dを備えている。
【0029】
フィルタ送り装置70は、それら4本の送りローラ72a、72b、72c、72dのうち、ドラム42の上側半周の露出部分においてドラム42の回転方向d1の上流側に位置する送りローラ72bを回転駆動する電動機74を備えている。フィルタ送り装置70は、電動機74によりメッシュベルト68を駆動して、ドラム42の下側外周を半周にわたって沿わせた無端環状のメッシュベルト68とドラム42との間に挟まれた帯状の濾紙16を送る。この濾紙16の送りに伴って、ドラム42が回転軸線C1まわりに回転させられる。
【0030】
このように、ドラム42の下側外周を半周にわたって沿わせた無端環状のメッシュベルト68とドラム42との間に挟まれた帯状の濾紙16上には、流入緩衝箱54の流出口66から流出したダーティ液DFは濾過時間が必要であるために滞留させられる。この滞留したダーティ液DFの液面Lは、流出口66から流出したダーティ液DFの液量や、帯状の濾紙16の送り速度によって影響を受ける。
【0031】
図1に示すように、濾過装置10には、たとえば流入緩衝箱54に設けられ、帯状の濾紙16上に流入緩衝箱54の流出口66から流出したダーティ液DFの液面Lを検出する液面センサ76と、液面センサ76により検出された実際の液面Lが予め設定された液面高さ(目標液面高さ)Ltとなるように電動機74による濾紙16の送り動作を連続的に或いは間欠的に制御する制御装置78とが、設けられている。上記液面高さLtは、流出口66から流出したダーティ液DFの液面Lまでの落差が小さくなるように、たとえば、支持軸30に固定された流入緩衝箱54の底板54fを中心として、所定値たとえば数センチ高い液面Lと所定値たとえば数センチ低い液面Lとの間に設定される。
【0032】
本実施例の濾過装置10は、前壁12cおよび後壁12dと前壁12cおよび後壁12dを連結する一対の側壁12a、12bとを有するケース12と、一対の側壁12a、12bに両端部30a、30bが取り付けられた水平な支持軸30と、支持軸30により回転可能に支持された一対の円形板(一対の円形部材)44a、44bが所定の長さの連結部材48を介して相互に連結されたドラム42と、一対の円形板44a、44bの下側外周に半周にわたって沿わせる無端環状のメッシュベルト68を備えたフィルタ送り装置70と、メッシュベルト68と一対の円形板44a、44bとの間に挟まれた状態で連続的に送られる帯状の濾紙(帯状フィルタ)16と、を備えている。
【0033】
本実施例の濾過装置10によれば、支持軸30は、ダーティ液DFが導かれる管状部材であって、支持軸30の長手方向の中間部30cに形成されてダーティ液DFを排出する排出口40を有し、支持軸30には、支持軸30の排出口40から流れ落ちるダーティ液DFの方向を変換してダーティ液DFの流速を緩和する流入緩衝箱54が取り付けられている。このことから、ダーティ液DFが導かれる支持軸30の排出口40からダーティ液DFが流れ出るとき、水平支持軸の上方からダーティ液を落下させる従来の濾過装置と比較して、ダーティ液DFの液面L付近においてダーティ液DFの液面Lとの間の小さな落差でダーティ液DFが支持軸30の排出口40から液面Lへ流れ出る。また、流入緩衝箱54によりダーティ液DFの流出方向が変換されて流出口66から流入することで、ダーティ液DFの流出の勢いが抑制される。これにより、ダーティ液DFの流入によって帯状の濾紙16の内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制されるので、濾過性能が充分に得られる。
【0034】
また、本実施例の濾過装置10によれば、流入緩衝箱54は、支持軸30の排出口40から流れ出るダーティ液DFの方向を変換する斜板62と、斜板62からのダーティ液DFを受ける水平な底板54fと、底板54fに設けられ、底板54fに沿って流れ出るダーティ液DFの流速を抑制する堰板64と、水平方向に開口し、堰板64を超えたダーティ液DFを流出させる流出口66と、を有する。これにより、濾紙16の内周側に滞留したダーティ液DFに対して、新たなダーティ液DFの流入が一層緩やかとされるので、ダーティ液DFの流入によって濾紙16の内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制される。
【0035】
また、本実施例の濾過装置10によれば、一対の側壁12a、12bには、支持軸30を挿入状態で支持するための一対の支持フランジ32a、32bが固定されており、支持軸30は、一対の支持フランジ32aに径方向に螺進するように設けられた押しねじ36を用いて固定されており、支持軸30の一対の側壁12a、12b間に位置する中間部30cには、流入緩衝箱54が流入緩衝箱54から突設された耳部56a、56bがボルト60により支持軸30に締結されることにより固定されている。これにより、押しねじ36およびボルト60が取り外されることで、流入緩衝箱54および支持軸30がケース12から取り外されるので、支持軸30やドラム42の円形板44a、44b等の消耗部品の交換が容易となる。
【0036】
また、本実施例の濾過装置10によれば、流入緩衝箱54は、支持軸30の長手方向に長手状の直方体形状であり、支持軸30の長手方向の中間部30cに形成された排出口40は、流入緩衝箱54内に納まる長さで支持軸30の長手方向に長手形状の開口であり、斜板62および堰板64は排出口40の長手寸法L1よりも大きい回転軸線C1方向の幅寸法L2を有する。これにより、支持軸30に形成された排出口40から流出するダーティ液DFが幅方向に広がって流速が低下させられることから、濾紙16の内周側に滞留したダーティ液DFに対して、新たなダーティ液DFの流入が一層緩やかとされるので、ダーティ液DFの流入によって濾紙16の内周側に堆積した異物を含むスラッジの舞い上がりが抑制される。
【0037】
また、本実施例の濾過装置10によれば、ドラム42内において濾紙16上に滞留するダーティ液DFの液面Lを検出する液面センサ76と、濾紙16を送る送りモータとして機能する電動機74と、液面センサ76により検出された液面Lが予め設定された液面高さLtとなるように電動機74を駆動して濾紙16を送る制御装置(モータ制御装置)78と、を含むことから、濾紙16が過不足なく送られるので、濾紙16の消耗が抑制される。
【0038】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0039】
たとえば、前述の実施例では、帯状フィルタとして濾紙16が用いられていたが、不織布或いは織布などから成る帯状シートが、帯状フィルタとして用いられてもよい。
【0040】
また、前述の実施例において、流入緩衝箱54は、斜板62および堰板64の少なくとも一方が除去されたものであってもよい。要するに、流入緩衝箱54は、支持軸30の排出口40から流れ落ちるダーティ液DFの方向を変換してダーティ液DFの流出口66からの流出速度を緩和するものであればよい。
【0041】
また、前述の実施例において、ドラム42は、一対の円形板44a、44bが連結部材48により連結されたものであったが、円形板44a、44bは、円板状ではなく、ハブとリング状部材とが放射状の部材により接続された円形の部材であってもよい。
【0042】
また、前述の実施例において、支持軸30は、側壁12aに固定された支持フランジ32aに設けられた押しねじ36により固定されていたが、側壁12bに固定された支持フランジ32bに設けられた押しねじにより固定されても差し支えない。
【0043】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
10:濾過装置(帯状フィルタ式ドラム型濾過装置)
12:ケース
12a,12b:側壁(一対の側壁)
12f:底壁
16:濾紙(帯状フィルタ)
26:スラッジ収容容器
30:支持軸
30a:先端部(端部)
30b:基端部(端部)
30c:中間部
32a,32b:支持フランジ(一対の支持フランジ)
36:押しねじ
40:排出口
42:ドラム
44a,44b:円形板(一対の円形部材)
48:連結部材
54:流入緩衝箱
54e:上板
54f:底板
56a、56b:耳部
60:ボルト
62:斜板
64:堰板
66:流出口
68:メッシュベルト
70:フィルタ送り装置
74:電動機(送りモータ)
76:液面センサ
78:制御装置(モータ制御装置)
C1:回転軸線
CF:クリーン液
DF:ダーティ液
L:液面
Lt:予め設定された液面高さ
L1:排出口の長手寸法
L2:幅寸法
図1
図2
図3