(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091649
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】栽培ユニットおよび栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220614BHJP
A01G 31/04 20060101ALI20220614BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20220614BHJP
A01G 27/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
A01G31/00 614
A01G31/04 A
A01G9/02 E
A01G27/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204633
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】516271068
【氏名又は名称】株式会社プラントライフシステムズ
(71)【出願人】
【識別番号】591236932
【氏名又は名称】株式会社ロッソ
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】早川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】松岡 孝幸
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314MA07
2B314MA33
2B314NA13
2B314NA37
2B314NC06
2B314NC14
2B314ND02
2B314ND25
2B314ND27
2B314ND29
2B314ND40
2B314PB08
2B314PB47
2B314PB64
2B314PC29
2B314PD07
2B314PD08
2B314PD65
2B327NC05
2B327NC42
2B327ND15
2B327NE01
2B327QA03
2B327QB03
2B327QB11
2B327QC28
2B327TC07
2B327TC13
2B327TC25
2B327UA09
2B327UA21
2B327VA01
(57)【要約】
【課題】大面積をとる大がかりな栽培ベッドを要することなく、植物の培地栽培を容易に行うことができ、ユニット化が可能な新規な植物の栽培を実現することができる栽培ユニットおよび栽培システムを提供する。
【解決手段】栽培ユニット10は、筒状体と、筒状体の側方または周囲に設けられた液体分配部と、筒状体の側方または周囲に設けられ、かつ、液体分配部の下に設けられた培地収容部とを含む。液体分配部は、培地収容部内の培地に液体を供給するためのものであり、筒状体の内部を通じて前記液体分配部に液体を供給することができる第1の連通部が設けられている。培地収容部から筒状体の内部に液体を排出するための第2の連通部により筒状体を通じて液体の排出をすることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体と、
前記筒状体の側方または周囲に設けられた液体分配部と、
前記筒状体の側方または周囲に設けられ、かつ、前記液体分配部の下に設けられた培地収容部とを含み、
前記液体分配部は、前記培地収容部内の培地に液体を供給するためのものであり、
前記筒状体の内部を通じて前記液体分配部に液体を供給することができる第1の連通部が設けられている栽培ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記液体分配部は、前記培地収容部の複数の領域に液体を分配するための複数の液体供給口が設けられている栽培ユニット。
【請求項3】
請求項1において、
前記筒状体の内部に、液体が前記筒状体の下に向かうのを妨げ、前記液体分配部に液体を誘導するための止水部が設けられている栽培ユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかにおいて、
前記培地収容部から前記筒状体の内部に液体を排出するための第2の連通部が設けられている栽培ユニット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかにおいて、
前記筒状体の上部の側方または周囲に設けられた液体受け部を含み、
前記液体受け部から前記筒状体の内部に液体を流すための第3の連通部が設けられている栽培ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記筒状体の内部に設けられた内管を通じて、前記液体分配部に液体が供給される栽培ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかにおいて、
前記培地収容部内に収容された培地を被覆するための第1の被覆体が設けられている栽培ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかにおいて、
前記培地収容部は、培地を収容するための内容器と、前記内容器を収容する外容器とを含む栽培ユニット。
【請求項9】
請求項8において、
前記培地収容部は、前記内容器が複数周状に並べられて構成されている栽培ユニット。
【請求項10】
請求項8または9において、
前記内容器は、底面に貫通孔が設けられている栽培ユニット。
【請求項11】
請求項8~10のいずれかにおいて、
前記培地収容部は、前記内容器の底部と前記外容器との間の少なくとも一部に空間が設けられている栽培ユニット。
【請求項12】
請求項8~11のいずれかにおいて、
前記筒状体は、前記内容器の底部と前記外容器との間の少なくとも一部に設けられた空間に供給された液体が前記筒状体の内部に排出するための連通部が設けられている栽培ユニット。
【請求項13】
請求項8~12のいずれかにおいて、
前記内容器は、底面が傾斜面を構成している栽培ユニット。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかにおいて、
前記培地収容部の底面と、前記培地収容部に収容される培地との間に空間を構成するための空間確保部材が設けられている栽培ユニット。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかにおいて、
前記培地収容部は、仕切り部により仕切られている栽培ユニット。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかにおいて、
前記液体分配部から前記培地収容部に液体を供給するための供給管が設けられている栽培ユニット。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかにおいて、
前記液体分配部は、第2の被覆体が設けられている栽培ユニット。
【請求項18】
請求項1~17のいずれかにおいて、
前記筒状体の周囲に誘引用の留め具を引っ掛ける誘引具引掛け部が設けられている栽培ユニット。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかにおいて、
前記培地収容部の側面に栽培する植物の茎を掛けるための茎掛け部が設けられた栽培ユニット。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかにおいて、
前記液体受け部に液体中の固形物を取り除くためのフィルタ部が設けられている栽培ユニット。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の栽培ユニットと、
前記栽培ユニットの移動を案内するレールとを含む栽培システム。
【請求項22】
請求項21において、
前記レールは、前記栽培ユニットの上に設けられ、
前記栽培ユニット前記レールに吊り下げられて移動する栽培システム。
【請求項23】
請求項21において、
前記栽培ユニットは、前記レールの上に設けられ、
前記栽培ユニットは、前記レール上を移動する栽培システム。
【請求項24】
請求項23のいずれかにおいて、
前記栽培ユニットの側面に第1の歯形部またはチェーンが設けられ、前記レールに第1の歯形部またはチェーンに対応する第2の歯形部またはチェーンが設けられ、
前記栽培ユニットの前記第1の歯形部またはチェーンと第2の歯形部とが係合して、前記栽培ユニットを回転させる栽培システム。
【請求項25】
請求項23において、
前記栽培ユニットは回転可能に設けられ、
前記レールに対して回動可能に設けられた係合片を有し、
前記係合片と前記栽培ユニットが係合することで、前記栽培ユニットを回転させる栽培ユニット。
【請求項26】
請求項25において、
前記係合片は、その内面が栽培ユニットと当接し、前記栽培ユニットとの当接する箇所で抵抗を与え前記栽培ユニットを回転させる栽培システム。
【請求項27】
請求項26において、
前記係合片は、前記レールの内側に屈曲し、前記レールの外側に開いた部分を有する栽培システム。
【請求項28】
請求項25~27のいずれかにおいて、
前記係合片の前記栽培ユニット側に摩擦体が設けられている栽培ユニット。
【請求項29】
請求項25~28のいずれかにおいて、
前記液体受け部に対して水を供給するための液体供給部が設けられている栽培ユニット。
【請求項30】
請求項25~29において、
前記栽培ユニットの移動領域の下に液体を受ける液体排水部が設けられている栽培ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の栽培ユニットおよび栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
養液を培地に供給して、植物を栽培する技術が提案されている(特許文献1参照)。培地は直線状の栽培ベッドに収容され、その栽培ベッド内において養液を循環させて植物を栽培することが行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-033151号公報
【特許文献2】特開2018-111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、植物の培地栽培を容易に行うことができる栽培ユニットおよび栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.栽培ユニット
本発明の栽培ユニットは、
筒状体と、
前記筒状体の側方または周囲に設けられた液体分配部と、
前記筒状体の側方または周囲に設けられ、かつ、前記液体分配部の下に設けられた培地収容部とを含み、
前記液体分配部は、前記培地収容部内の培地に液体を供給するためのものであり、
前記筒状体の内部を通じて前記液体分配部に液体を供給することができる第1の連通部が設けられている。
【0006】
本発明において、前記液体分配部は、前記培地収容部の複数の領域に液体を分配するための複数の液体供給口が設けられていることができる。
【0007】
本発明において、前記筒状体の内部に、液体が前記筒状体の下に向かうのを妨げ、前記液体分配部に液体を誘導するための止水部が設けられていることができる。
【0008】
本発明において、前記培地収容部から前記筒状体の内部に液体を排出するための第2の連通部が設けられていることができる。
【0009】
本発明において、前記筒状体の上部の側方または周囲に設けられた液体受け部を含み、前記液体受け部から前記筒状体の内部に液体を流すための第3の連通部が設けられていることができる。
【0010】
本発明において、前記筒状体の内部に設けられた内管を通じて、前記液体分配部に液体が供給されることができる。
【0011】
本発明において、前記培地収容部内に収容された培地を被覆するための第1の被覆体が設けられていることができる。
【0012】
本発明において、前記培地収容部は、培地を収容するための内容器と、前記内容器を収容する外容器とを含むことができる。
【0013】
本発明において、前記培地収容部は、前記内容器が複数周状に並べられて構成されていることができる。
【0014】
本発明において、前記内容器は、底面に貫通孔が設けられていることができる。
【0015】
本発明において、前記培地収容部は、前記内容器の底部と前記外容器との間の少なくとも一部に空間が設けられていることができる。
【0016】
本発明において、前記筒状体は、前記内容器の底部と前記外容器との間の少なくとも一部に設けられた空間に供給された液体が前記筒状体の内部に排出するための連通部が設けられていることができる。
【0017】
本発明において、前記内容器は、底面が傾斜面を構成していることができる。液体の滞留を防ぐことができる。
【0018】
本発明において、前記培地収容部の底面と、前記培地収容部に収容される培地との間に空間を構成するための空間確保部材が設けられていることができる。
【0019】
本発明において、前記培地収容部は、仕切り部により仕切られていることができる。
【0020】
本発明において、前記液体分配部から前記培地収容部に液体を供給するための供給管が設けられていることができる。
【0021】
本発明において、前記液体分配部は、第2の被覆体が設けられていることができる。
【0022】
本発明において、前記筒状体の周囲に誘引用の留め具を引っ掛ける誘引具引掛け部が設けられていることができる。
【0023】
本発明において、前記培地収容部の側面に栽培する植物の茎を掛けるための茎掛け部が設けられていることができる。
【0024】
本発明において、前記液体受け部に液体中の固形物を取り除くためのフィルタ部が設けられていることができる。
【0025】
2.栽培システム
本発明の栽培システムは、
本発明の栽培ユニットと、
前記栽培ユニットの移動を案内するレールとを含む。
【0026】
本発明において、前記レールは、前記栽培ユニットの上に設けられ、前記栽培ユニット前記レールに吊り下げられて移動することができる。
【0027】
本発明において、前記栽培ユニットは、前記レールの上に設けられ、前記栽培ユニットは、前記レール上を移動することができる。
【0028】
本発明において、前記栽培ユニットの側面に第1の歯形部またはチェーンが設けられ、前記レールに第1の歯形部またはチェーンに対応する第2の歯形部またはチェーンが設けられ、前記栽培ユニットの前記第1の歯形部またはチェーンと第2の歯形部とが係合して、前記栽培ユニットを回転させることができる。
【0029】
本発明において、前記栽培ユニットは回転可能に設けられ、前記レールに対して回動可能に設けられた係合片を有し、前記係合片と前記栽培ユニットが係合することで、前記栽培ユニットを回転させることができる。
【0030】
本発明において、前記係合片は、その内面が栽培ユニットと当接し、前記栽培ユニットとの当接する箇所で抵抗を与え前記栽培ユニットを回転させることができる。
【0031】
本発明において、前記係合片は、前記レールの内側に屈曲し、前記レールの外側に開いた部分を有することができる。
【0032】
本発明において、前記係合片の前記栽培ユニット側に摩擦体が設けられていることができる。
【0033】
本発明において、前記液体受け部に対して水を供給するための液体供給部が設けられていることができる。
【0034】
本発明において、前記栽培ユニットの移動領域の下に液体を受ける液体排水部が設けられていることができる。
【0035】
本発明において、培地とは、たとえば、植物の根を保持する機能、または、水分を吸収および放出可能で養分を吸着保持する機能を有する固形状のもの全般を含む概念であり、土壌培地、多孔質素材を含むものとする。多孔質素材には、サンゴ砂およびサンゴ砂礫を含む。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、大面積をとる大がかりな栽培ベッドを要することなく、植物の培地栽培を容易に行うことができる。ユニット化が可能な新規な植物の栽培を実現することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す分解図である。
【
図4】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す図である。
【
図5】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る栽培ユニットを模式的に示す図である。
【
図7】実施の形態に係る栽培ユニットの部分を模式的に示す拡大図である。
【
図8】実施の形態に係る栽培ユニットの内容器を模式的に示す拡大図である。
【
図9】実施の形態に係る栽培ユニットの内容器を模式的に示す拡大図である。
【
図10】実施の形態に係る栽培ユニットの部分を模式的に示す拡大図である。
【
図11】実施の形態に係る栽培ユニットの変形例を模式的に示す図である。
【
図12】実施の形態に係る栽培ユニットに適用するポンプを模式的に示す図である。
【
図13】実施の形態に係る栽培ユニットの適用例を模式的に示す図である。
【
図14】実施の形態に係る栽培ユニットの適用例を模式的に示す分解図である。
【
図15】実施の形態に係る栽培ユニットの適用例を模式的示す図である。
【
図16】実施の形態に係る栽培ユニットの適用例を模式的示す図である。
【
図17】実施の形態に係る栽培ユニットの適用例を模式的示す図である。
【
図18】実施の形態に係る栽培システムを模式的示す図である。
【
図19】実施の形態に係る栽培システムを模式的示す図である。
【
図20】
図19に示すB-B線に沿った栽培システムの断面を模式的に図である。
【
図21】栽培システムを水平面に沿った断面より下を模式的に図である。
【
図22】実施の形態に係る栽培システムの一例を模式的示す図である。
【
図23】栽培ユニットの回転態様を模式的に示す図である。
【
図24】栽培システムの転倒防止態様を模式的に示す図である。
【
図25】栽培システムの移動態様を模式的に示す図である。
【
図26】栽培システムのレールの態様を模式的に示す図である。
【
図27】栽培システムの適用例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0039】
1.栽培ユニット10
図1~
図6を参照しながら、本実施の形態に係る栽培ユニット10を説明する。
【0040】
本実施の形態に係る栽培ユニット10は、筒状体20と、筒状体20の側方または周囲に設けられた液体分配部30と、筒状体20の側方または周囲に設けられ、かつ、液体分配部30の下に設けられた培地収容部40とを含む。液体は、植物栽培するために必要な液体であれば特に限定されず、たとえば水や養液を含むことができる。
【0041】
液体分配部30は、培地収容部40内の培地50に液体を供給するためのものであり、筒状体20の内部を通じて液体分配部30に液体を供給することができる第1の連通部70が設けられている。液体分配部30は、培地収容部40の複数の領域に液体を分配するための複数の液体供給口が設けられていることができる。
【0042】
筒状体20の内部に、液体が筒状体20の下に向かうのを妨げ、液体分配部30に液体を誘導するための止水部24が設けられていることができる。筒状体20はたとえばステンレス製の支柱からなる
培地収容部40から筒状体20の内部に液体を排出するための第2の連通部72が設けられている。また、筒状体20の上部の側方または周囲に液体受け部60を設けることができ、液体受け部60から筒状体20の内部に液体を流すための第3の連通部74を設けることができる。これにより、液体受け部60が受けた液体は、第3の連通部74を通じて筒状体20の内部に入り、第1の連通部70を通じて液体分配部30および培地収容部40と順に流れ、第2の連通部72により筒状体20の内部に流れ込み、排出される。
【0043】
図7に示すように、培地収容部40内に収容された培地50を被覆するための第1の被覆体46を設けることができる。第1の被覆体46を設けることで、培地50中の液体の蒸発を抑えることができる。
【0044】
培地収容部40は、培地50を収容するための内容器40bと、内容器40bを収容する外容器40aとを含むことができる。内容器40bには、
図8および
図9に示すように、底面および側面に貫通孔40b1を設けることができる。培地収容部40は、内容器40bが複数周状に並べられて構成されることができる。培地収容部40は、内容器40bの底部と外容器40aとの間の少なくとも一部に空間が設けることができる。内容器40bを設けた場合には、第2の連通部72は、内容器40bの底部と外容器40aとの間の少なくとも一部に設けられた空間に供給された液体が筒状体20の内部に排出することができるように設けることができる。内容器40bは、底面が傾斜面を構成することができる。複数の内容器40bに培地50を入れることで、培地50の洗浄や交換が容易となる。
【0045】
図3に示すように、培地収容部40の底面と、培地収容部40に収容される培地50との間に空間を構成するための空間確保部材48を設けることができる。根や培地50が空気に触れ、酸素供給や温度調整が容易となる。たとえば、空気に触れることで、液体が気化しやすくなり、根の温度を下げる効果も奏される。培地収容部40は、仕切り部42により仕切ってもよい。培地50を培地ネット52で包むことで、培地50を取り出しやすくなり、培地50の洗浄が容易となる。空間確保部材48は、空間を確保することができるものであれば特に限定されないが、たとえば、スプリングネットにより構成することができる。
【0046】
液体分配部30には、液体分配部30の供給口から伸びる供給管32を設けることができる。供給管32を設けることで、培地収容部40に液体を供給する位置をポイントで設定することができ、かつ、容易にその位置を変更することができる。液体分配部30は、第2の被覆体34を設けることができる。第2の被覆体34を設けることで、ゴミの混入などを防ぐことができる。
【0047】
筒状体20の周囲に誘引用の留め具(誘引具)86を引っ掛ける誘引具引掛け部80を設けることができる。誘引具引掛け部80を周状に設けることで、らせん状に植物の茎を巻いていくことができる。すなわち、植物が成長するにつれて、誘引具86を一定の回転方向に回転させていくことで、誘引紐をらせん状に栽培ユニット10の周りに巻かれていくようにすることができる。
【0048】
培地収容部40の側面に栽培する植物の茎を掛けるための茎掛け部82が設けることができる。これにより、茎が伸びたとしても、この茎掛け部82に茎を巻き付けることができる。
【0049】
図10に示すように、液体受け部60に液体中の固形物を取り除くためのフィルタ部62を設けてもよい。フィルタ部62は、貫通孔を有する半球状の受け皿でもよいし、スプリングネットにより実現してもよい。
【0050】
筒状体20の内部に設けられた内管22を通じて、液体分配部30に液体が供給してもよい。
【0051】
2.液体の供給態様の変形例
液体分配部30への液体の供給は、
図11に示すように、下からの供給であってもよい。具体的には、筒状体20の内部に内管22を設け、その内管22を通じて液体分配部30に液体を供給してもよい。液体はタンクT1に溜まった液体をポンプP1により吸い上げてもよい。栽培ユニット10を回転させる場合には、筒状体20を回転させて、内管22は回転させないように固定させてもよい。
【0052】
本実施の形態に適用されるタンクT1は、特に限定されないが、たとえば、
図12に示すように、サブタンクT1aと本タンクT1bとがある形態であってもよい。
【0053】
3.栽培ユニットを使用した栽培システム
(1)第1の栽培システム
栽培ユニット10は、
図13に示すように、土台90の上に設けることができる。
図14に示すように、栽培ユニット10と土台90との間にリングベアリング92を設け、制御装置S1によりモータM1を駆動してリングベアリング92を稼働させ、栽培ユニット10が土台90に対して回転可能に設けられることができる。土台90の中にタンクT1を設けることができる。タンクT1から液体分配部20および培地収容部30への液体の流れの一例を
図15に示す。タンクT1からポンプにより液体を吸い上げ、内管22を通じて液体分配部30に供給し、供給管32により培地収容部40に液体を供給し、第2の連通部72を通じて筒状体20内部に液体を流れ込ませ、タンクT1に戻すことができる。なお、栽培ユニット10を操作者の手動により回転させてもよい。このように栽培ユニット10を回転させることができることで、栽培する植物に対して光を均等に当てることが容易となる。
【0054】
(2)第2の栽培システム
栽培ユニット10は、
図16および
図17に示すように、ベース体94aの上に設けられた回転テーブル94bに複数設けてもよい。回転テーブル94bとベース体94aとの間に、第1のリングベアリング92aを設け回転テーブル94bをベース体94aに対して回転可能に設けることができる。栽培ユニット10は、回転テーブル94bの上に第2のリングベアリング92bを介して載置することができ、これにより栽培ユニット10を回転テーブル94bに対して回転可能とすることができる。ベース体94aの周囲に栽培ユニット10からの排液を回収する周状の樋96を設け、その樋96とタンクT1とを管路で接続してもよい。液体供給柱98を回転テーブル94bの中央に設け、その液体供給柱98から各栽培ユニット10に液体を供給してもよい。液体供給柱98の周囲には、LED光源などの栽培する植物の光合成を促す光源を設けてもよい。
【0055】
(3)第3の栽培システム
栽培システム100は、
図18~
図21に示すように、栽培ユニット10とレールとを含む。栽培ユニット10は、レールにより案内して移動させることができる。一つの態様として、栽培ユニット10は、上部レール110に取り付けられた移動体112に吊り下げて、移動体112を動かすことで栽培ユニット10を移動させることができる。
【0056】
別の態様としては、下部レール120の上に台車122を設け、台車122の上に栽培ユニット10を載置し、台車122を動かすことで栽培ユニット10を移動させることができる。栽培ユニット10と台車122との間にボールベアリングなどを介在させて、栽培ユニット10を台車122に対して回転可能とすることができる。この場合には、係合片140の横を通ることにより、栽培ユニット10を回転させるようにすることもできる。係合片(回転機構)140は、その内面が栽培ユニット10と当接し、栽培ユニット10との当接する箇所で抵抗を与え前記栽培ユニットを回転させることができる(
図20(A)参照)。また、係合片140は、レールの内側に屈曲し、レールの外側に開いた部分を有していてもよい(
図20(B)参照)。これにより、双方向の移動において、栽培ユニット10を回転させることができる。係合片140には、栽培ユニット10と当接する面にゴム材などの弾性のある板を設けておくと、滑らかな回転を実現することができる。
【0057】
栽培ユニット10が移動する下には、栽培ユニット10からの排液を受ける樋96が設けられている。
【0058】
図22および
図23に示すように、栽培ユニット10の底面にチェーンを設け、下部レール110の側方に歯形部(平スプロケット)142を設け、その歯形部142とチェーン144とが噛むように設定することで、栽培ユニット10が歯形部142の横を通る際に栽培ユニット10を回転させることができる。栽培ユニット10の底面に下部レール110の側方に設けた歯形部142に対応する歯形部をチェーンの代わりに設けてもよい。栽培ユニット10が下部レール110の側方の歯形部142の横を通る際に、ウレタン材などの樹脂板142で栽培ユニット10を押し当ててもよい。
【0059】
図24に示すように、台車122の下にLアングル状ステー124を設け、下部レール120のサイドにそのLアングル状ステー124を受けるステー受け部126を設けることで、栽培ユニット10の転倒を防止することができる。
【0060】
図25に示すように、栽培ユニット10が載置された台車122をフランジ付きのチェーン126と係合させ、スプロケット128によりチェーン126を回転させて、栽培ユニット10を移動させることもできる。V溝付き車輪122aを山形レール120aに噛み合うようなかたち移動させることができる。
【0061】
図26に示すように、栽培ユニット10の移動は直線移動する領域と、カーブする領域とに分けることができ、直線移動する領域を栽培スペースとし、カーブする領域をたとえば作業スペースやメンテナンススペースとすることもできる。
図27に示すように、作業スペースやメンテナンススペースと、栽培スペースとを仕切り、作業スペースやメンテナンススペースにおいて空調が効くようにし、作業環境を向上させることができる。つまり、栽培ユニット10を空調の効いたスペースと、育成場所との間を移動させることが容易となる。
【0062】
図27に示すように、栽培スペースにおいて、LED照射システム150や薬剤噴霧システム152を設けてもよい栽培ユニット10をクレーンなどの移動手段160によりトラックに移動させてもよい。トラックに移動させるに当たって、培地部分に何らかの液体を浸漬させる領域があってもよい。
【0063】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
10 栽培ユニット
20 筒状体
22 内管
24 止水部
30 液体分配部
32 供給管
34 第2の被覆体
40 培地収容部
40a 外容器
40b 内容器
42 仕切り部
46 第1の被覆体
48 空間確保部材
50 培地
52 培地ネット
60 液体受け部
62 フィルタ部
70 第1の連通部
72 第2の連通部
74 第3の連通部(開口部)
80 誘引具引掛け部
82 茎掛け部
84 吊り用具
86 誘引具
90 土台
92 リングベアリング
92a 第1のリングベアリング
92b 第2のリングベアリング
94a ベース体
94b 回転テーブル
96 樋
98 液体供給柱
100 栽培システム
110 上部レール
112 移動体
120 下部レール
120a 山形レール
122 台車
122a V溝付き車輪
124a Lアングル状ステー
124b ステー受け部
126 フランジ付きチェーン
128 スプロケット
130 液体供給部
132 液体排水部
140 係合片
142 歯形部
144 チェーン
146 樹脂板
150 LED照射システム
152 薬剤噴霧システム
160 移動手段
T1 タンク
P1 ポンプ
M1 モータ
S1 制御装置