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特開2022-91721スペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091721
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】スペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B65D19/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021198275
(22)【出願日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2020204494
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520486502
【氏名又は名称】株式会社イディアトランスポートサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100098523
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 恵
(72)【発明者】
【氏名】手塚 博志
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063FF06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業性に優れコストを抑えることが可能なスペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて積載され、複数のパレット4上に各々積み付けられた積み荷3の、互いに隣り合う2つの前記積み荷間に介在され、下端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも狭く、上端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも広く、前記2つの前記積み荷に各々臨む部位は平坦であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて積載され、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷の、互いに隣り合う2つの前記積み荷間に介在され、
下端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも狭く、上端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも広く、
前記2つの前記積み荷に各々臨む部位は平坦であることを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記所定方向に弾性変形可能であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記2つの前記積み荷のうちの一方に臨む部位と、前記2つの前記積み荷のうちの他方に臨む部位とがなす角度は、6度以上12度以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のスペーサ。
【請求項4】
前記角度は、8度以上10度以下であることを特徴とする請求項3に記載のスペーサ。
【請求項5】
互いに対向する2つの面を形成する板材と、
上端における前記所定方向の幅が、下端における前記所定方向の幅よりも広く、弾性変形可能な緩衝材と、を有し、
前記緩衝材は、前記所定方向において、前記2つの面の間に挟持されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のスペーサ。
【請求項6】
前記板材は折り畳み自在となっており、着脱可能手段により、前記緩衝材を板材の2つの面の間に挟持した折り畳み状態を維持し、また展開可能となっていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のスペーサ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載のスペーサを用いた積み荷の積載方法であって、
貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷を積載する積載ステップと、
互いに隣り合う2つの前記積み荷間の各々に、前記スペーサを上方から挿入するスペーサ挿入ステップと、
を有することを特徴とするスペーサを用いた積み荷の積載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、隣り合う積み荷の間に介在されるスペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷を運搬する際には、フォークリフトを用いて積み荷をパレットごとトラックなどの貨物車両の荷台に、所定方向に並べて積載する。積み荷は、例えば段ボール箱に梱包されたビールなどの飲料である。パレットは、荷物が載置される上面にはゴムなどの滑り止めが設けられているものを採用することが多い。この場合、運搬中の積み荷は、特に貨物車両の急発進や急ブレーキの際、積み荷はパレットからスライドして落下せず、その全体が傾くことから、より下段に積み付けられた積み荷に荷重が集中し、段ボール箱が潰れる等の破損のおそれがあり商品品質が劣る。そこで、運搬時の積み荷を保護するために、互いに隣り合う積み荷の間に介在させるスペーサとして、例えば、特許文献1のように、略矩形の平板状の基板と、伸縮性を有し基板に巻設されたバンドとの間に衝撃吸収性を有する略矩形の平板状の緩衝部材が挿入されている輸送用緩衝材が知られている。
【0003】
この輸送用緩衝材は、例えば、まずパレットに積み付けた積み荷をトラックの荷台上に積み込んだ後、該積み荷に輸送用緩衝材を倒れないように斜めに立て掛け、次いで、その隣に積載する積み荷をフォークリフトによりトラックの荷台に積載する際、後に積載する積み荷を、既に積載されている積み荷側に移動させることにより、2つの積み荷の間に輸送用緩衝材を押圧した状態で挟み込んでいる。以上の作業は、トラックにすべての積み荷を積載するまで繰り返される。
【0004】
また、特許文献2のように、荷物が積載されたパレットが載せられる枠状の板部材と、板部材の下に回転可能に取付けられた走行輪と、板部材の端部に下側に向かって延びるように設けられた補強板とを備える台車であって、荷物が積載された複数の台車の隙間に発泡スチロール等の平板状の緩衝材を挟み込むことも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-26285号公報
【特許文献2】特開2020-45086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記輸送用緩衝材は、複数の積み荷を貨物車両に積載する際には、積み荷を貨物車両の荷台上に積み込む作業と、輸送用緩衝材を荷物に立て掛ける作業と、その後、フォークリフトにより新たな荷物を積み込むとともに既に積み込まれた荷物側に移動する作業とを、繰り返し行わなければならない。このとき、平板状のスペーサを倒れないように支持する必要があるので、作業が煩わしいほか、作業者が指等を挟むおそれを回避するため、慎重な作業を行う必要があって作業時間が長くなる。また、フォークリフトを運転する作業員のほかに少なくとも他の作業員が、輸送用緩衝材が倒れないように支える人工を用意する必要があり、コストがかかる。また、緩衝材は平板状であり、積み荷間の距離に応じては複数枚の緩衝材を重ねて挟む必要があるので、一つの貨物車両について多数枚の緩衝材を用意し、管理しなければならない。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、作業性に優れコストを抑えることが可能なスペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための主たる発明は、貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて積載され、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷の、互いに隣り合う2つの前記積み荷間に介在され、下端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも狭く、上端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも広く、前記2つの前記積み荷に各々臨む部位は平坦であることを特徴とするスペーサである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、作業性に優れコストを抑えることが可能なスペーサ、及び、このスペーサを用いた積み荷の積載方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るスペーサの使用状態を示す側面図である。
図2】本実施形態に係るスペーサの使用状態を示す平面図である。
図3】本実施形態に係るスペーサを展開した状態を示す図である。
図4図3におけるA矢視図である。
図5】本実施形態に係るスペーサの斜視図である。
図6】本実施形態に係るスペーサの使用状態を示す図である。
図7】他の実施形態に係るスペーサの斜視図である。
図8】スペーサを用いた積み荷の積載方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。すなわち、トラック等の貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて積載され、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷の、互いに隣り合う2つの前記積み荷間に介在され、下端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも狭く、上端における前記所定方向の幅は前記間隔よりも広く、前記2つの前記積み荷に各々臨む部位は平坦であることを特徴とするスペーサである。
【0012】
このようなスペーサによれば、下端における所定方向の幅は、貨物車両の荷台上に互いに間隔を空けて積載された複数の積み荷の間隔より狭いので、荷台上に既に予め所定の間隔を置いて積載された積み荷の間に上方から落とし込み挿入するだけで、容易に積み荷間に介在させることができる。また、上端における所定方向の幅は、荷台上に互いに間隔を空けて積載された複数の積み荷の間隔よりも広いので、上方から挿入したスペーサは、車両の走行振動が作用するとその自重により隣り合う2つの積み荷の間に楔を打ち込むように入り込み、積み荷の間の距離を確実に保持することができる。このように、隣り合う2つの積み荷の間に容易に介在させることができるので、作業性に優れたスペーサを提供することができる。
【0013】
このとき、スペーサにおいて、積み荷に各々臨む部位は平坦なので、隣り合う2つの積み荷の間に上方から落とし込み挿入するだけで、スペーサの幅が隣り合う2つの積み荷の間隔よりも広くなる位置まで、確実に挿入させることができる。また、スペーサの積み荷に各々臨む部位は平坦なので、貨物車両が走行したときに、その振動により2つの積み荷の間隔が変動したとしても、間隔の変動に合わせてスペーサが移動し全体として積み荷の揺れを防止することができる。
【0014】
また、スペーサは既に荷台上に積載された複数の積み荷間に挿入するだけなので、複数の積み荷を載置した後に、フォークリフトによる積載作業後、フォークリフトの運転者一人であってもスペーサを挿入することができる。このため、人工を抑えてコストを抑えることが可能である。また、従来のように、平板状のスペーサのように倒れないように支持する必要がないので、作業者が指等を挟む虞はなく、必要以上に慎重に作業する必要はない。このため、安全性に優れ、且つ、作業時間を短縮することができる。
【0015】
さらに、スペーサの下端より上端の幅が広くなっているので、平板のスペーサのように、2つの積み荷の間隔に合わせて介在させる枚数を調節する必要がない。このため、作業性に優れるとともに作業時間を短縮することが可能である。また、2つの積み荷の間に介在させるスペーサの数を調整しないので、積載する積み荷の数に合わせたスペーサを備えておけばよい。このため、スペーサを保管するスペースを狭くできるとともにスペーサの管理も容易である。
【0016】
かかるスペーサであって、前記所定方向に弾性変形可能であることを特徴とする。このようなスペーサによれば、積み荷が並べられている所定方向に弾性変形可能なので、互いに隣り合う2つの積み荷の間にて緩衝材としても機能する。このため、積み荷の潰れ等の破損を抑制することが可能である。
【0017】
かかるスペーサであって、前記2つの前記積み荷のうちの一方に臨む部位と、前記2つの前記積み荷のうちの他方に臨む部位とがなす角度は、6度以上12度以下であることを特徴とする。
【0018】
2つの積み荷のうちの一方に臨む部位と、2つの積み荷のうちの他方に臨む部位とがなす角度が大きい場合には、2つの積み荷の間にスペーサを挿入しても進入し難くなり、当該角度が小さい場合には、スペーサを介在させることができる、2つの積み荷の間隔の許容範囲が狭くなるので、予め積載する積み荷の間隔をより正確に配置しなければならない。このため、2つの積み荷のうちの一方に臨む部位と、2つの積み荷のうちの他方に臨む部位とがなす角度を6度以上12度以下とすると、2つの積み荷の間に挿入し易く、かつ、2つの積み荷の間に介在され易くなるので、作業性が向上する。
【0019】
かかるスペーサであって、前記角度は、8度以上10度以下であることを特徴とする。このようなスペーサによれば、2つの積み荷のうちの一方に臨む部位と、2つの積み荷のうちの他方に臨む部位とがなす角度を8度以上10度以下とすると、より作業性が向上する。
【0020】
かかるスペーサであって、互いに対向する2つの面を形成する板材と、上端における前記所定方向の幅が、下端における前記所定方向の幅よりも広く、弾性変形可能な緩衝材と、を有し、前記緩衝材は、前記所定方向において、前記2つの面の間に挟持されることを特徴とする。
【0021】
このようなスペーサによれば、2つの面の間に挟持される緩衝材は、上端における所定方向の幅が、下端における所定方向の幅よりも広いので、2つの積み荷に各々臨む部位が平坦で、且つ、上端における所定方向の幅が、下端における所定方向の幅よりも広い、所謂楔状をなすスペーサを形成することができる。このとき、2つの面の間に挟まれる部材は、弾性変形可能な緩衝材なので、2つの積み荷の間に介在されたときに積み荷の損傷を抑制することができる。
【0022】
かかるスペーサであって、前記板材は折り畳み自在となっており、着脱可能手段により、前記緩衝材を板材の2つの面の間に挟持した折り畳み状態を維持し、また展開可能となっていることを特徴とする。
【0023】
このようなスペーサによれば、容易に、板材を折り畳んだときに重ね合わされた楔状となる形態を維持することができ、また板材を平面状に展開することができる。
【0024】
また、かかるスペーサを用いた積み荷の積載方法は、貨物車両が有する荷台上に、所定方向に互いに間隔を空けて、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷を積載する積載ステップと、互いに隣り合う2つの前記積み荷間の各々に、前記スペーサを上方から挿入するスペーサ挿入ステップと、を有することを特徴とする。
【0025】
このようなスペーサを用いた積み荷の積載方法によれば、複数の積み荷を、間隔を空けて積載した後に、隣り合う積み荷の間に、スペーサを上方から挿入するだけで、各積み荷の間に容易にスペーサを介在させることができる。このため一人でも作業ができるため人工が抑えられるのでコストを抑えることができる。また、積み荷を積載する積載ステップと、スペーサを挿入するスペーサ挿入ステップとを、別の工程に分けたので、例えばスペーサを支えた状態で積み荷を積載する必要はない。このため、作業の安全性が向上し、作業時間を短縮することも可能である。
===実施形態===
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るスペーサ及びスペーサを用いた積み荷の積載方法について図面を参照して説明する。
【0027】
スペーサ1は、図1に示すように、トラックなどの貨物車両2が有する荷台2a上に、貨物車両2の前後方向及び前後方向と直交する幅方向に互いに間隔を空けて積載される複数の積み荷3において、互いに隣り合う2つの積み荷3の間に介在させて用いられる。ここで、前後方向及び幅方向がいずれも所定方向に相当する。なお、貨物車両2の積み荷3の積載数、積載態様は図示のものに限定されないことはいうまでもない。
【0028】
積み荷3は、例えば、段ボール箱に梱包されたビール等の飲料であり、フォークリフト(不図示)に設けられているフォークが挿入されて移動可能なパレット4に、複数(例えば72ケース)の積み荷が規則的に積み付けられる。
【0029】
パレット4上に積み付けられた積み荷3は、図2に示すように、荷台2a上に、例えば前後方向に沿い互いに間隔を空けて10個配置された積み荷3の列30が、幅方向に互いに間隔を空けて2列配置される。
【0030】
パレット4は、例えば合成樹脂製であり、荷物が載置される上面にはゴムなどの滑り止めが設けられていることが望ましい。このような場合、運搬中の積み荷が急ブレーキ等の際、その全体が傾き、段ボール箱が潰れる等の破損の生じるおそれがあることは既に述べたとおりである。パレット4の大きさは、例えば、1100mm×900mmまたは1100mm×1100mm等であり、並べられたパレット4の間隔は、パレット4上に積み付けられた積み荷3の間隔sが50mm~100mm程度となるように配置されることが望ましい。
【0031】
スペーサ1は、図3図6に示すように、表面が平坦な合成樹脂製の板材10と、合成樹脂製の発泡材でなる緩衝材11と、を有している。板材10としては、例えば、いわゆるプラスチック段ボールと呼ばれるポリプロピレン中空構造シートであり、ポリプロピレン中空構造シートの板材10としては、目付が800g/m程度のものが好ましく、例えば酒井化学製ミナダン(登録商標)を用いることができる。
【0032】
板材10は、たとえば、縦2000mm×横1000mm、縦1800mm×横900mmなどで、厚さ5mm程度の板材10が、縦方向の中央(縦100mmまたは900mmの位置)にて二つ折りに折り曲げられて用いられる。この板材10は、2枚の平板状をなす板部10a、10bの間に長手方向に沿う複数のリブ10cが幅方向に互いに間隔を空けて設けられて一体に成型されており、複数の各リブ10cの間に長手方向に貫通する中空部10dが設けられている。
【0033】
この板材10は、長手方向における中央に、幅方向にハーフカット、すなわち、一方の面をなす板部10aとリブ10cとが切除された直線切除部10eが設けられており、他方の板部10bが直線切除部10eとは反対側に、二つ折り状態に折り曲げ可能となっている。以下の説明では、二つ折りされて対向し、板材10の約半分のサイズとなる一方の部位を第一板材100とし、他方の部位を第二板材101として説明する。なお、板材100、101を二つ折りにする方法は、ハーフカットに限らず、たとえば、一方の面側から加熱しつつ押圧してV字状の折り曲げ線(V字状の溝)を形成する熱罫線加工を施してもよい。
【0034】
緩衝材11はポリエチレンの押出発泡体であり、例えば、旭化成株式会社製サンテックフォーム(登録商標)Q35(圧縮強さ0.057MPa、反発弾性34%、硬さ(スキン面)26~29度、硬さ(スライス面16~19度)、密度28.6kg/m)を採用することができる。サンテックフォーム(登録商標)Q35は、耐久性、反発弾性、硬さ等において、積み荷の緩衝材として好適であるが、サンテックフォーム(登録商標)Q45(密度22.2kg/m)を用いれば、耐久性等の問題なく、より軽量化を図ることができる。緩衝材11は、棒状をなしており、本実施形態においては、緩衝材11の長手方向を、板材10の長手方向に沿わせて6本設けられており、幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0035】
各緩衝材11は、例えば長さLが700mm、板材10の幅方向となる長さW(以下、幅という)が50mmであり、長手方向における一方側の厚みt1が20mm、他方の厚みt2が120mmまたは90mmに形成されている。すなわち、緩衝材11は、板材10の幅方向から見たときには、図4に示すように、台形状をなしている。
【0036】
各緩衝材11は、二つ折り状態で重なって対向する第一板材100側にホットメルト等により接着されている。各緩衝材11は、厚みが20mmの一方側の端が、板材10の直線切除部10e側に配置されており、板材10の第一板材100側において長手方向のほぼ中央に配置されている。
【0037】
第一板材100側に緩衝材11が張り付けられた状態で、図5のように、第二板材101側を折り返すと、図6に示すように、いわゆる楔状の鋭角三角形状となる。鋭角三角形状をなすスペーサ1の鋭角の角度は、例えば6度~12度であり、8度~10度とすることがより好ましい。このスペーサ1は、鋭角をなす側が下に向けられて使用される。スペーサ1の下端の厚みt3は、ほぼ第一板材100の厚みt4と第二板材101の厚みt4とを足した厚みであり、スペーサ1の上端の厚みt5は、緩衝材11の上端の厚みt2よりも厚い厚みを有している。ここで、スペーサ1の下端の厚みt3が、スペーサ1の使用状態におけるスペーサ1の下端の幅に相当し、スペーサの上端の厚t5みが使用状態におけるスペーサ1の上端の幅に相当する。
【0038】
折り曲げられたスペーサ1のサイズは、ほぼ1000mm×1000mmであり、1100mm×1100mmのサイズのパレット4に積み付けられた積み荷3に使用する。すなわち、スペーサ1は、パレット4のサイズよりもわずかに小さなサイズのものを使用する。これは、スペーサ1が積み荷3よりも外側にはみ出さないように配置することにより、はみ出したスペーサ1により積み荷3を損傷することを防止するためである。また、スペーサ1の重量は、作業者が取り回し易く、また、自重により2つの積み荷3の間に進入しやすいように例えば2kg~3kg程度とするのが望ましい。上述した材料及びサイズを採用すると、約2kg~3kgのスペーサ1を実現することができる。
【0039】
図7は、本発明の他の実施形態に係るスペーサを示している。同図のスペーサ1は、第一板材100及び第二板材101が折り畳み自在となっており、面ファスナ20a、20b等の着脱可能手段により、緩衝材11を両板材100、101の2つの面の間に挟持した折り畳み状態を維持し、また展開可能となっている。具体的には、スペーサ1は、第一板材100側に接着された緩衝材11と、第二板材101とが、それぞれに接着された面ファスナによって、容易に着脱可能、すなわち両板材100、101を折り畳んだときに重ね合わされた楔状となる形態を維持することができ、また両板材100、101を平面状に展開することができるようになっている。図7では、緩衝材11の表面に、その両端部と中央に位置してループ状に起毛された雌側の面ファスナ20aが設けられ、第二板材101の表面に、緩衝材11の面ファスナ20aに対して両板材を重ね合わせたときに整合する位置に、フック状に起毛された雄側の面ファスナ20bが設けられている。緩衝材11の面ファスナ20aと第二板材101の面ファスナ20bにおける雌雄の関係は逆であってもよいことは勿論である。また、面ファスナ20a、20bが設けられる数、位置も上記のものに限られない。さらに、緩衝材11の第一板材100への取付け自体も面ファスナによって行うこともできる。なお、本実施例では、着脱可能手段として面ファスナを採用したが、ホックその他の手段を採用できることは勿論である。
【0040】
それぞれの面ファスナ20a、20bは、例えば50mm×50mmであり、緩衝材11、第二板材101のそれぞれにホットメルト等により接着されている。緩衝材11の表面全面に面ファスナ20aを設けることもでき、面ファスナ20a、20bの大きさ、数も任意に設定することができるが、図7のように、両端部と中央に位置させることにより、くさび状となる形態を安定的に維持することと、平面状への展開時における面ファスナ20a、20bの剥がしやすさとを両立させることができる。
【0041】
なお、図7の実施形態では、第一板材100及び第二板材101のそれぞれの四周角部が丸く形成されることにより、作業員の安全を図っている。また、同図の実施形態では、第一板材100に持ち手用の穴30が形成され、これにより、重ね合わせ作業時、積み荷間への差し込み時、及び作業終了後の展開時のいずれの作業においても持ち運びやすくなる。同図では、穴30が第一板材100のみに設けられているが、第二板材101に設けられていてもよいし、両板材に設けられていてもよい。また、穴30に樹脂カバーを取り付けることもできる。
【0042】
次に、スペーサ1を用いた積み荷3の積載方法について説明する。
スペーサ1は複数個が予めトラックに積載されているか、荷積み場に用意されている。スペーサ1を使用する場合には、図8(a)に示すように、まず貨物車両2の荷台2aに、パレット4上に積み付けられた積み荷3を、前後方向及び幅方向に互いの間隔sが約100mmになるように配置して積載する(積載ステップ)。図8(a)~図8(c)では、前後方向に10個の積み荷3を配置し、図2に示すように、10個配置された積み荷3の列30を、幅方向に互いに間隔sを空けて2列配置する。この作業は、一人のフォークリフトの運転者により行うことができる。
【0043】
次に、図8(b)に示すように、隣り合う各積み荷3の間に、それらの上方からスペーサ1の鋭角側を下にして落とし込み挿入する(スペーサ挿入ステップ)。このとき、スペーサ1は、鋭角をなす先端を、隣り合う2つの積み荷3の間に挿入して降下させ、各板材100、101の表面が各々積み荷3に接触したところで手を離すことにより自重により2つの積み荷3の間に保持される。この作業も、一人で行うことができ、上述したフォークリフトの運転者により行うことができる。スペーサ1は、すべての積み荷3の間に配置することが好ましいが、少なくとも1箇所であっても本発明の範囲に含まれる。
【0044】
このとき、前後方向に隣り合う積み荷3間に挿入されるスペーサ1は、図2に示すように、幅方向において各々の積み荷3のほぼ中央に配置し、幅方向に隣り合う積み荷3間に挿入されるスペーサ1は、前後方向において各々の積み荷3のほぼ中央に配置することにより、前後方向にも幅方向にも積み荷3の外側にスペーサ1が突出しないように配置することができる。図8(c)に示すように、挿入されたスペーサ1は、積み荷3よりも上方に突出した状態で2つの積み荷3の間に保持される。
【0045】
本実施形態のスペーサ1によれば、下端における所定方向の幅t3は、貨物車両2の荷台2a上に互いに間隔を空けて積載された複数の積み荷3の間隔sより狭いので、既に積載された積み荷3の間に上方から容易に挿入することができる。また、上端における所定方向の幅t5は、荷台2a上に互いに間隔を空けて積載された複数の積み荷3の間隔sよりも広いので、上方から挿入したスペーサ1を、隣り合う2つの積み荷3により確実に挟持することができる。このため、隣り合う2つの積み荷3の間にスペーサ1を上方から落とし込み挿入するだけで容易にスペーサ1を介在させることができる。このため作業性に優れている。
【0046】
また、本実施形態のスペーサ1は、各々平坦な第一板材100と第二板材101との間に緩衝材11が挟持される構成なので、第一板材100と第二板材101を隣り合う2つの積み荷3と各々接触しつつ滑らせて容易に挿入させることができる。
【0047】
また、スペーサ1は、弾性変形可能な緩衝材11が第一板材100と第二板材101との間に挟持される構成なので、積み荷3が並べられている前後方向または幅方向に弾性変形可能である。このため、輸送中に互いに隣り合う2つの積み荷3が揺れ動いたとしても、緩衝材11により衝撃や押圧力を吸収できるので、積み荷3の損傷を抑制することが可能である。
【0048】
また、緩衝材11は、幅方向に互いに間隔を空けて配置されているので、各緩衝材11の間には空間が設けられている。このため、スペーサ1の軽量化を図れるとともに、緩衝材11が設けられていない空洞部分は、緩衝材11が設けられている部分よりも柔軟性が高い部位となる。このため、積み荷3により作用する荷重に幅方向においてバラツキがあったとしても追従して変形しやすく、局所的な衝撃を逃がすことができる。特に、積み重ねられた荷物の一部が、他の荷物よりも側方に突出している場合には、突出している荷物によるスペーサ1への押圧力を空洞部分により吸収させることができる。
【0049】
このとき、スペーサ1の積み荷3に各々臨む第一板材100及び第二板材101は表面が平坦なので、隣り合う2つの積み荷3の間に上方から挿入するだけで、スペーサ1は、幅が隣り合う2つの積み荷3の間隔sよりも広くなる位置まで、2つの積み荷3に案内されつつ、最終的に積み荷3の表面を滑りつつ確実にスペーサ1を挿入させることができる。
【0050】
また、スペーサ1において、積み荷3に各々臨む第一板材100及び第2板材101が平坦なことにより、貨物車両2が移動したときに、輸送時の走行振動により2つの積み荷3の間隔sが変動したとしても、間隔sの変動に合わせてスペーサ1が移動し、揺れによる積み荷3の移動を防止することができ、すべての積み荷3の間隔がほぼ同程度に維持できる。
【0051】
特に、例えば箱(ケース)詰めされたビールなどを複数ケース重ねて積み付けた積み荷3の場合には、急ブレーキや急加速などにより生じる揺れにより積み荷3が傾いてしまうと、傾いた側の下端を中心として積み荷3の上部が回転するようなモーメントが作用し、重ねられた積み荷3の下側に配置されている箱に荷重が集中し箱が潰れる虞がある。このとき、本実施形態のように、隣り合う積み荷3の間にスペーサ1を介在させることにより、積み荷3の傾きが抑えられるので段ボール箱の潰れを防止することができる。
【0052】
本実施形態のスペーサ1は、緩衝材11が第一板材100側に接着されて、第二板材101が、展開可能な構成としたので、2つのスペーサ1を展開状態で、緩衝材11が設けられている側を向かい合わせにし、各々の緩衝材11の幅方向の位置を互いにずらして重ね合わせることが可能である。このため、使用していないときにはコンパクトに収納することが可能である。また、第二板材101を展開可能とすることにより、第一板材100と第二板材101との間に溜まる塵や埃を取り除きやすいので、清掃頻度を少なくすることができる。
【0053】
スペーサ1は、隣り合う2つの積み荷3のうちの一方に臨む第一板材100と、隣り合う2つの積み荷3のうちの他方に臨む第二板材101とがなす角度が、6度以上12度以下であることが望ましい。第一板材100と第二板材101とがなす角度を大きくし過ぎると、スペーサを2つの積み荷3の間に深く挿入させることができず、また、挿入した位置において、積み荷3と第一板材100及び第二板材101との摩擦が大きくなるので、スペーサ1を滑らせて滑らかに進入させることができない。
【0054】
また、第一板材100と第二板材101とがなす角度を小さくし過ぎると、2つの積み荷3の間にスペーサ1を介在されるべく、予め積載する積み荷3の間隔sをより正確に調節して積載することが必要となり作業性が低下する。このため、第一板材100と第二板材101とがなす角度を6度以上12度以下とすると、隣り合う2つの積み荷3間にスペーサ1を配置する作業の作業性が向上する。
【0055】
さらに、第一板材100と第二板材101とがなす角度を8度以上10度以下とすると、より作業性が向上させるとともに、運送時の揺れにより2つの積み荷3の間隔sが変化したとしても、変化に合わせて追従し2つの積み荷3の間隔を確保することが可能である。
【0056】
また、本実施形態のスペーサ1を用いた積み荷3の積載方法によれば、複数の積み荷3を、間隔を空けて荷台2aに積載した後に、隣り合う積み荷3の間に、スペーサ1を上方から挿入するだけで、各積み荷3の間に容易にスペーサ1を介在させることができる。このため、一人でも作業ができるので、人工を削減することができ、コストを抑えることが可能である。
【0057】
また、積み荷3を積載する積載ステップと、スペーサ1を挿入するスペーサ挿入ステップとを、別の工程に分けたので、例えば平板状のスペーサを積み荷の側面に押し当てて支えた状態で、隣接する積み荷を積載する必要はない。このため、平板状のスペーサを支持する作業者の指を挟む虞はないので、安全性に優れ、且つ、作業時間を短縮することができる。
【0058】
上記実施形態においては、1枚の板材10を2つに折り曲げたスペーサ1を例に挙げて説明したが、これに限らず、2枚の板材をテープ等で折り畳み自在に接合してもよく、また、下端は必ずしも繋がっていなくとも構わない。
【0059】
また、上記実施形態においては、緩衝材11を板材100、101にて挟むスペーサ1を例に挙げて説明したが、例えば、楔状のもの全体をポリエチレンなどの発泡性樹脂により一体成形してもよい。この場合、スペーサは、本実施形態のように緩衝材に相当する部分が離間していることにより空洞を有しているものであってもよいし、中実となっていてもよいことは勿論である。また、スペーサを紙製にすることにより、使い捨てとすることも可能である。
【0060】
また、上記実施形態では、緩衝材11を棒状としたが、長さが短い角柱形状や円柱形状などのブロック状の緩衝材を縦横に並べる、或いは、千鳥状に配置しても構わない。また、上記実施形態においては棒状の緩衝材11を幅方向に6本並べた例について説明したが、6本に限るものではない。
【0061】
また、上記実施形態においては、緩衝材11を第一板材100のみに接着して、第二板材101を展開可能としたが、第二板材101も接着して展開不能な構成であっても構わない。すなわち、スペーサ1は、下端における所定方向の幅t3が、隣り合う2つの積み荷3の間隔sよりも狭く、上端における所定方向の幅t5が隣り合う2つの積み荷3の間隔sよりも広く、2つの積み荷3に各々臨む部位が平坦であれば構わず、さらに弾性変形可能であることがより好ましい。
【0062】
また、スペーサ1は、幅、厚みを違えて複数種類設けておくことが望ましく、この場合には、サイズごとに、例えば色分けをすると、より作業性が向上する。
【0063】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、複数のパレット上に各々積み付けられた積み荷を運搬する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 スペーサ、2 貨物車両、2a 荷台、3 積み荷、4 パレット、
10 板材、10a 一方の板部、10b 他方の板部、10c リブ、
10d 中空部、10e 直線切除部、11 緩衝材、20a、20b 面ファスナ
30 積み荷の列、100 第一板材(板材)、101 第二板材(板材)
t1 緩衝材の下端の厚み、t2 緩衝材の上端の厚み、
t3 スペーサの下端の幅、t4 板材の厚み、t5 スペーサの上端の幅、
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図8