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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091731
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 43/00 20060101AFI20220614BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20220614BHJP
   F02B 25/14 20060101ALI20220614BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20220614BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20220614BHJP
   F02M 59/46 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F02B43/00 A
F02M21/02 L
F02M21/02 P
F02B25/14 A
F02D13/02 A
F02D13/02 B
F02D19/02 E
F02M59/46 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021199264
(22)【出願日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】PA 2020 70823
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】519441006
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ、フィリアル・エフ・マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー、ティスクランド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・ビットフェルト、ラスムッセン
【テーマコード(参考)】
3G066
3G092
【Fターム(参考)】
3G066AA08
3G066AA16
3G066AC10
3G066BA01
3G092AA01
3G092AA02
3G092AA03
3G092AB03
3G092AB04
3G092AB06
3G092AC10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低圧2ストロークユニフロー掃気式内燃機関においてガススリップを低減する。
【解決手段】少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システムとを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関が開示され、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有する。燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置された燃料ガス弁を備える。燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能である。燃料ガス弁は、弁シャフト及び弁板が、閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システムとを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関において、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは、前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気入口を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、かつ圧縮ストローク中に燃料ガスノズルを介して前記シリンダ内に燃料ガスを流入させるように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが前記掃気入口からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、
前記ピストンが上死点にあるときに、前記燃料ガス弁が、前記ピストンより下の高さで前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されており、前記燃料ガス弁が、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項2】
前記燃料ガスノズルは、前記燃料ガス弁の一体部分である、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項3】
前記燃料ガス弁は弁ハウジングを備え、前記弁ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備え、前記燃料ガスノズル及び前記弁座は、前記弁ハウジングの前記第2の部分に形成されており、前記弁ハウジングの前記第1の部分及び前記弁ハウジングの前記第2の部分は、前記弁座の上流で接続されている、請求項2に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項4】
前記燃料ガス供給システムは、前記燃料ガス弁の上流に配置された安全弁を更に備え、前記燃料ガス弁は、前記安全弁を介して前記燃料ガスタンクに流体接続可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項5】
前記安全弁と前記燃料ガス弁との間の体積に第1のセンサが配置され、前記第1のセンサは、動作不良を起こしている燃料ガス弁を示す、前記安全弁と前記燃料ガス弁との間の前記体積における圧力変化を直接的又は間接的に検出するように構成されている、請求項4に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項6】
前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記安全弁の前記出口が前記燃料ガス弁の前記入口に直接接続されるように、前記燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接接続されている、請求項4又は5に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項7】
前記安全弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、前記安全弁は、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに下流方向に移動するように構成されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項8】
前記燃料ガスノズルは、ノズル軸に沿って延在しており、燃料ガスを受け入れるための入口と、燃料ガスを前記シリンダの内部に送出するための出口とを有し、前記弁シャフト及び前記弁板は、前記閉位置から前記開位置に移動するときに前記弁軸に沿って距離d1を移動し、前記燃料ガスノズルは、前記ノズル軸に沿って前記入口から距離d1をあけて、前記弁板の断面積よりも小さい断面積を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項9】
前記弁板は、第1の側面及び第2の側面を有し、前記弁シャフトは前記第1の側面から延びており、前記第2の側面は前記燃料ガスノズルの出口に面しており、前記燃料ガス弁は、前記弁板の前記第2の側面から前記燃料ガスノズル内に延在するガス置換要素を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁において、前記燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、
前記燃料ガス弁が、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、燃料ガス弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2ストローク内燃機関及び燃料ガス弁に関する。
【背景技術】
【0002】
2ストローク内燃機関は、コンテナ船、ばら積み貨物船、及びタンカなどの船舶において推進機関として使用されている。内燃機関からの不要な排気ガスを低減することが、ますます重要になってきている。
【0003】
不要な排気ガス量を低減する効果的な方法は、燃料油、例えば、重油(HFO)から燃料ガスに切り替えることである。燃料ガスを圧縮ストロークの最後にシリンダ内に噴射することができ、ここで、燃料ガスは、シリンダ内のガスが圧縮されたときに到達する高温又はパイロット燃料の着火のいずれかによって即座に着火し得る。しかしながら、圧縮ストロークの最後にシリンダ内に燃料ガスを噴射するには、シリンダ内の高圧を克服するために、噴射前に燃料ガスを圧縮するための高圧ガス圧縮機が必要となる。
【0004】
しかしながら、高圧ガス圧縮機は、製造及び維持するのが高価かつ複雑である。高圧圧縮機が必要となるのを回避する1つの方法は、シリンダ内の圧力がかなり低い圧縮ストロークの開始時に燃料ガスを噴射するように構成された燃料ガス弁を有することである。
【0005】
EP3015679は、このような燃料ガス弁を開示している。燃料ガス弁は、弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で移動可能であり、弁板は、開位置において、燃料ガス弁に接続されたガス燃料ノズル内へと延びる。
【0006】
しかしながら、低圧2ストロークユニフロー掃気式内燃機関は、ガススリップ(gas slip)の問題を抱えている。これは、一般に使用されている燃料ガスが強力な温室ガスであるため問題である。一例として、メタンは、温室ガスとしてCO2よりも84倍強力である可能性がある。したがって、わずかなガススリップでさえも、機関の寿命にわたり、特にガススリップが機関サイクル毎に繰り返し発生する場合に著しい環境への影響を引き起こす。排気弁と燃料ガス弁のタイミングの制御により、ガススリップの量を制限できるが、一定の程度までしかできない。
【0007】
したがって、依然として更にガススリップを低減する課題が残っている。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システムとを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関し、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されており、掃気システムは、シリンダの底部に配置された掃気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、かつ圧縮ストローク中に燃料ガスノズルを介してシリンダ内に燃料ガスを流入させるように構成された燃料ガス弁を備え、燃料ガスが掃気入口からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能であり、燃料ガス弁は、弁シャフト及び弁板が閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。
【0009】
燃料ガス弁が閉じ、ピストンが燃料ガスノズルを通過した後、残留量の燃料ガスが燃料ガスノズルに捕捉されている。この残留量の一部がピストンより下の掃気空間に流入/拡散していき、ここで掃気と混合することになる。次の機関サイクルにおいて、ピストンが掃気入口より下に移動すると、混合気がシリンダ内に流入し、混合気の一部は、掃気プロセスの開始時に排気弁から直接出ることになり、ガススリップを引き起こす。
【0010】
したがって、燃料ガス弁のリフト方向を反転させることによって、弁シャフト及び弁板が開位置にあるときに燃料ガスノズルが弁板を収容する必要がなくなるので、燃料ガスノズルの内部容積を低減することができる。よって、弁が閉じたときに燃料ガスノズルに残る燃料ガスの残留量も低減することができ、その結果、ガススリップの量が低減することになる。ガススリップが低減すると、更に、対応して効率が増大することになる。
【0011】
内燃機関は、好ましくは、1シリンダ当たり少なくとも400kWのパワーを有する船舶を推進するための、大型低速ターボチャージャ付きのユニフロー掃気の2ストローククロスヘッド型内燃機関である。内燃機関は、内燃機関によって発生される排気ガスによって駆動され、かつ掃気を圧縮するように構成されたターボチャージャを備え得る。内燃機関は、燃料ガスで動くときのオットーサイクルモードと、代替燃料、例えば、重油又は船舶用ディーゼル油で動くときのディーゼルサイクルモードとを有する複式燃料機関であり得る。このような複式燃料機関は、代替燃料を噴射するためのそれ自体の専用の燃料供給システムを有し、この燃料供給システムはまた、燃料ガスと掃気との混合気を着火させるためのオットーサイクルモードで動作するときにパイロット燃料の噴射のために使用され得る。
【0012】
内燃機関は、ちょうどの量が燃料ガスと掃気との混合気を着火させることができるように正確に量り分けられた、例えば重油又は船舶用ディーゼル油などの少量のパイロット燃料を噴射することが可能である、パイロット燃料システムなどの専用の着火システムを備えていてもよく、それにより必要な量だけのパイロット燃料が使用される。このようなパイロット燃料システムのほうが、構成要素のサイズが大きいことに起因してこの目的には好適でない代替燃料のための専用の燃料供給システムと比較して、サイズが更に小さくなり、きっかりの量のパイロット燃料を噴射するのに好適である。
【0013】
パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体接続されている予燃焼室に噴射され得る。代替的に、燃料ガスと掃気との混合気は、スパークプラグ又はレーザ着火を備える手段によって着火されてもよい。各シリンダには、シリンダの底部に1つ又は複数の掃気入口が、そしてシリンダの上部に排気出口が設けられ得る。
【0014】
弁シャフト及び弁板は、閉位置から開位置に移動するときに、弁軸に沿ってシリンダの中心から離れるほうに移動することによって、上流方向に移動し得る。これに対応して、弁シャフト及び弁板は、開位置から閉位置に移動するときに、弁軸に沿ってシリンダの中心に向かうほうに移動することによって、下流方向に移動し得る。弁軸は、弁シャフト及び弁板が、閉位置から開位置に移動するときにシリンダの中心からまっすぐ離れるほうに移動できるように半径方向に対応し得る。しかしながら、弁軸は、半径方向に対して角度が付いていてもよい。
【0015】
弁板は、第1の側面及び第2の側面を有していてよく、第2の側面は第1の側面とは反対であり、弁シャフトは第1の側面から延びており、第2の側面の一部は、弁が閉位置にあるときに弁座に当接している。
【0016】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は、圧縮ストローク中に、下死点から0度~160度以内、下死点から0度~130度以内、又は下死点から0度~90度以内で、シリンダ内に燃料ガスを噴射するように構成されている。
【0017】
燃料ガスの例には、天然ガス、メタン、エタン、液化石油ガス、及びアンモニアがある。
【0018】
いくつかの実施形態では、燃料ガスノズルは燃料ガス弁の一体部分である。
【0019】
その結果、燃料ガスノズルを燃料ガス弁に組み込むことによって、機関部品の数が低減され、機関がより単純になる。
【0020】
いくつかの実施形態では、燃料ガス弁は弁ハウジングを備え、弁ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備え、燃料ガスノズル及び弁座は弁ハウジングの第2の部分に形成されており、弁ハウジングの第1の部分及び弁ハウジングの第2の部分は、弁座の上流で接続されている。
【0021】
その結果、弁ハウジングの第1の部分と第2の部分との接続部からのガス漏れをより検出しやすくなり得る。これは、接続部からのガス漏れにより、燃料ガス弁が閉じたときに燃料ガス弁の上流で圧力低下が生じるが、これを、以下で説明するセンサが検出することができるからである。
【0022】
いくつかの実施形態では、燃料ガス供給システムは、燃料ガス弁の上流に配置された安全弁を更に備え、燃料ガス弁は、安全弁を介して燃料ガスタンクに流体接続可能である。
【0023】
いくつかの実施形態では、安全弁は、燃料ガス弁が開くように構成される前に開き、燃料ガス弁が閉じるように構成された後に閉じるように構成されており、それによって、燃料ガスが安全弁を通って燃料ガス弁に流れることが可能である制限された時間期間をつくる。
【0024】
いくつかの実施形態では、安全弁と燃料ガス弁との間の体積に第1のセンサが配置され、第1のセンサは、動作不良を起こしている燃料ガス弁を示す、安全弁と燃料ガス弁との間の体積における圧力変化を直接的又は間接的に検出するように構成されている。
【0025】
その結果、異なるタイプの燃料ガス弁の動作不良を確実に検出することが可能となる。
【0026】
第1のセンサは、圧力変化を直接的に検出するように構成された圧力センサであり得る。代替的に、第1のセンサは、例えば温度センサなどの、圧力変化を間接的に検出するように構成された別のセンサであってもよい。第2のセンサが、安全弁と燃料ガス弁との間の体積に更に配置されてもよく、例えば、第1のセンサは圧力センサであり得、第2のセンサは温度センサであり得る。内燃機関は、第1のセンサに(及び、場合によっては第2のセンサにも)動作可能に接続された制御ユニットを更に備え得る。制御ユニットは、第1のセンサから受信されるセンサ信号を監視し、例えば、損傷した弁板若しくは弁座、又は動かなくなった弁シャフトのいずれかを示す、安全弁と燃料ガス弁との間の体積における圧力低下が検出された場合など、動作不良を起こしている燃料ガス弁が検出された場合に、アラームを発するように構成され得る。制御ユニットは、アラームに応答して措置を行うように構成され得、例えば、制御ユニットは、動作不良を起こしている燃料ガス弁の安全弁が永続的に閉じていることを確実にし、及び/又は燃料ガス供給システムからガスを噴出させるためのブロー動作を開始し、及び/又はガスモードから、例えばディーゼルモードなどの代替モードに切り替わるように機関を制御し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、ここにおいて、安全弁の弁ハウジングは、安全弁の出口が燃料ガス弁の入口に直接接続されるように、燃料ガス弁の弁ハウジングに直接接続されている。
【0028】
その結果、安全弁と燃料ガス弁との間のガスの体積が少なくなり得る。これにより、燃料ガス弁が動作不良を起こしている場合にシリンダ内に制御不能に放出される恐れのある燃料ガスの量を減らすことができる。燃料ガス弁と安全弁との間に捕捉される燃料ガスの量が少ないことにより、結果として生じる圧力低下が大きくなるので、更に、漏出している燃料ガス弁を検出しやすくなり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、安全弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能であり、安全弁は、弁シャフト及び弁板が閉位置から開位置に移動するときに下流方向に移動するように構成されている。
【0030】
シリンダ内部の圧力が燃料ガス弁の閉圧力を超えて増加した場合に、燃料ガス弁は、反転したリフト方向を有するように設計されているので強制的に開くことになる。しかしながら、通常のリフト方向を有する安全弁を使用することによって、安全弁が強制的に開かないことも確実にすることができ、これは、安全弁の弁板が、この状況ではその弁座に対してより強く押圧されるからである。
【0031】
安全弁の弁板は、第1の側面及び第2の側面を有してもよく、第2の側面は第1の側面とは反対であり、弁シャフトは第1の側面から延びており、第2の側面の一部は、安全弁が閉位置にあるときに弁座に当接している。
【0032】
いくつかの実施形態では、燃料ガスノズルは、ノズル軸に沿って延在しており、燃料ガスを受け入れるための入口と、燃料ガスをシリンダ内部に送出するための出口とを有し、弁シャフト及び弁板は、閉位置から開位置に移動するときに弁軸に沿って距離d1を移動し、燃料ガスノズルは、ノズル軸に沿って入口から距離d1をあけて、弁板の断面積よりも小さい断面積を有する。
【0033】
その結果、燃料ガスノズルに捕捉される燃料ガスの残留量を減らすことができ、これによってガススリップを対応して減らすことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、弁板は、第1の側面及び第2の側面を有し、弁シャフトは第1の側面から延びており、第2の側面は燃料ガスノズルの出口に面しており、燃料ガス弁は、弁板の第2の側面から燃料ガスノズル内に延在するガス置換要素(gas displacement element)を更に備える。
【0035】
その結果、燃料ガスノズルに捕捉される燃料ガスの残留量を更により減らすことができ、これによってガススリップを対応して減らすことができる。
【0036】
ガス置換要素は、燃料ガスノズルの幅がその出口に向かって狭くなることが可能となるように、その末端部に向かって先細になっていてよい。
【0037】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様に関連して開示される2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁に関し、燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能であり、燃料ガス弁は、弁シャフト及び弁板が閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。
【0038】
本発明の異なる態様は、上記及び以下に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関及び燃料ガス弁を含む、異なる方法で実現することができ、各々は、上述の態様の少なくとも1つに関連して説明される利益及び利点のうちの1つ又は複数をもたらし、各々は、上述及び/又は従属請求項において開示される態様の少なくとも1つに関連して説明される好ましい実施形態に対応する1つ又は複数の好ましい実施形態を有する。更に、本明細書に記載の態様のうちの1つに関連して説明された実施形態を、他の態様にも等しく適用できることが理解されよう。
【0039】
本発明の上記及び/又は追加の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関の断面図を概略的に示す。
図2a-2b】2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための先行技術の燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。
図3a-3b】本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。
図4】本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。
図5】本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。
図6】本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関の燃料ガス供給システムのための弁アセンブリの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、本発明をどのようにして実施することができるかを例示として示す添付の図を参照する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態に係る、海洋船舶を推進するための2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関100の断面図を概略的に示す。2ストローク内燃機関100は、掃気システム111、排気ガスレシーバ108、及びターボチャージャ109を備える。2ストローク内燃機関は、複数のシリンダ101を有する(断面図には単一のシリンダのみ示されている)。各シリンダ101は、掃気を供給するための、シリンダの下部に配置された掃気入口102、ピストン103、シリンダの上部に配置されたシリンダカバー113、シリンダカバー113に配置された排気弁104、及び1つ又は複数の燃料ガス弁105を備える(概略的にのみ例示)。掃気入口102は、掃気システムに流体接続されている。ピストン103は、その最低位置(下死点)に示されている。ピストン103は、クランクシャフト(図示せず)に接続されたピストン棒を有する。ピストン103は、下死点と上死点との間で中心軸114に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されている。燃料ガス弁105は、概略的にしか示されていない。燃料ガス弁105は、少なくとも部分的に、シリンダカバー113と掃気入口102との間のシリンダ壁に配置され、燃料ガス供給システムの一部を形成し、圧縮ストローク中に燃料ガスをシリンダに流入させるように構成されており、燃料ガスが掃気入口102からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気が着火される前に圧縮されることを可能し、燃料ガス弁105は、燃料ガスノズルを有し、燃料ガスノズルは、燃料ガスをシリンダの内部に供給するための1つ又は複数のノズル出口を有する。燃料ガス供給システムは、燃料ガスタンクに流体接続可能である。燃料ガス供給システムは、各シリンダのための安全弁(図示せず)を更に備えてよく、ここで、燃料ガス弁105は、安全弁を介して燃料ガスタンクに流体接続可能である。安全弁は、燃料ガス弁105が開くように構成された短い時間期間前に開き、燃料ガス弁105が閉じるように構成されてから短い時間期間後に閉じるように構成され得、それによって、主燃料ガス供給管からの燃料ガスが、安全弁を通って燃料ガス弁105に流れることができる制限された時間期間をつくる。これは、安全弁が、シリンダにガスが流入するガス弁105の開いている期間の直前に開き、直後に閉じるので、通常動作時の安全弁が、燃料ガス弁と同じだけ作動されることを意味する。
【0043】
内燃機関100は、圧縮ストロークの最後に燃料ガスと掃気との混合気を着火させるための専用の着火システムを備える。一例として、専用の着火システムは、ちょうどの量が燃料ガスと掃気との混合気を着火させることができるように正確に量り分けられた、例えば重油又は船舶用ディーゼル油などの少量のパイロット燃料を噴射することが可能であるパイロット燃料システムであり得、それにより必要な量だけのパイロット燃料が使用される。このようなパイロット燃料システムのほうが、構成要素のサイズが大きいことに起因してこの目的には好適でない代替燃料のための専用の燃料供給システムと比較して、サイズが更に小さくなり、きっかりの量のパイロット燃料を噴射するのに好適である。パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体接続されている予燃焼室に噴射され得る。代替的に、パイロット燃料は、内燃機関の燃焼室に流体接続されている予燃焼室セットに噴射されてもよい。
【0044】
燃料ガス弁105は、圧縮ストロークの開始時に、下死点から0度~130度以内で、すなわち、クランクシャフトが下死点での向きから0度~130度回転したときに、シリンダ101内に燃料ガスを噴射するように構成され得る。好ましくは、燃料ガス弁105は、燃料ガスが排気弁104及び掃気入口102から流出することを阻止するために、クランクシャフト軸が下死点から数度回転してピストンが掃気入口102を通過した後に、燃料ガスの噴射を開始するように構成されている。掃気システム111は、掃気レシーバ110及び空気冷却器106を備える。排気弁は、シリンダカバーの中央に配置され、排気弁のタイミングは、例えば、シリンダ内の圧縮比及び/又は温度を制御するように排気弁を閉じる及び/又は開くことを最適化することができるように可変であり得る。燃料ガス弁105は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能である。燃料ガス弁105は、弁シャフト及び弁板が閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。
【0045】
図2a~図2bは、2ストローク内燃機関のための先行技術の燃料ガス弁200の断面図を概略的に示す。燃料ガス弁200は、弁シャフト201、弁板202、弁座203、及びノズル出口206を有する燃料ガスノズル204を備える。弁シャフト201及び弁板202は、燃料ガスが燃料ガス弁200を流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが燃料ガス弁200を流れることを許容される開位置との間で移動可能である。弁シャフト201及び弁板202は、図2aでは閉位置で示されており、図2bでは開位置で示されている。弁シャフト201及び弁板202は、制御ユニット(図示せず)によって制御されるアクチュエータ(図示せず)によって、閉位置と開位置との間で移動可能であり得る。弁シャフト201及び弁板202は、閉位置から開位置に移動するときに、ノズル出口206に向かって下流方向に移動し、それによって、燃料ガスノズル204は、弁板が開位置にあるときに弁板を収容するのに十分な大きさの体積210を弁板202の前に有するように設計されている必要がある。しかしながら、燃料ガス弁が閉じ、ピストン103が燃料ガスノズル206を通過した後、著しい残留量の燃料ガスが燃料ガスノズルの体積210に捕捉されている。この残留量の一部がピストン103より下の掃気空間に流入/拡散していき、ここで掃気と混合することになる。次の機関サイクルにおいて、ピストンが掃気入口より下に移動すると、混合気がシリンダ内に流入し、混合気の一部は、掃気プロセスの開始時に排気弁104から直接出ることになり、ガススリップを引き起こす。
【0046】
図3a-図3bは、本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁300の断面図を概略的に示す。燃料ガス弁300は、弁軸307に沿って延在する弁シャフト301、弁板302、弁座303、及びシリンダへと開口しているノズル出口306を有する燃料ガスノズル304を備える。弁シャフト301及び弁板302は、弁軸307に沿って、燃料ガスが燃料ガス弁300を流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが燃料ガス弁300を流れることを許容される開位置との間で移動可能である。弁シャフト301及び弁板302は、図3aでは閉位置で示されており、図3bでは開位置で示されている。弁板302は、第1の側面及び第2の側面を有し、弁シャフト301は第1の側面から延びており、第2の側面は燃料ガスノズル304に面している。弁シャフト301及び弁板302は、制御ユニット(図示せず)によって制御されるアクチュエータ(図示せず)によって、閉位置と開位置との間で移動可能であり得る。燃料ガス弁300は、弁シャフト301及び弁板302が、閉位置から開位置に移動するときに、ノズル出口306から離れる上流方向に移動するように構成される。その結果、弁シャフト301及び弁板302が開位置にあるときに弁板302を収容する必要がなくなるので、燃料ガスノズルの内部容積を低減することができ、すなわち、燃料ガスノズル304は、図2a~図2bに示す体積210を有さない設計にされ得る。よって、弁300が閉じたときに燃料ガスノズルに残る燃料ガスの残留量も低減することができ、その結果、ガススリップの量が低減することになる。ガススリップが低減すると、更に、対応して効率が増大することになる。本実施形態では、燃料ガス弁300は、単一部分からなる弁ハウジング308を有し、ここで、燃料ガスノズル304は弁ハウジング308内に形成されている。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。燃料ガス弁は図3a~図3bに示す燃料ガス弁に対応しているが、弁ハウジングが第1の部分309及び第2の部分310を備え、燃料ガスノズル304及び弁座303が弁ハウジングの第2の部分310に形成されており、弁ハウジングの第1の部分309及び弁ハウジングの第2の部分310が弁座303の上流で接続されていることが異なる。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁の断面図を概略的に示す。燃料ガス弁は図4に示す燃料ガス弁に対応しているが、燃料ガス弁が更に、弁板302の第2の側面から燃料ガスノズル304内に延在するガス置換要素311を備えていることが異なる。その結果、燃料ガスノズル304に捕捉される燃料ガスの残留量を更により減らすことができ、これによってガススリップを対応して減らすことができる。
【0049】
図6は、本発明の一実施形態に係る、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス供給システムの弁アセンブリ690の断面図を示す。弁アセンブリ690は、燃料ガス弁600及び安全弁650を備え、安全弁650は、入口656と出口657とを有する弁ハウジング655を有し、燃料ガス弁600は、弁ノズル670に形成された入口607と出口(図示せず)とを有する弁ハウジング605を有する。安全弁650は、弁シャフト651、弁板652、及び弁座653を備える。弁シャフト651及び弁板652は、燃料ガスが安全弁650を流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが安全弁650を流れることを許容される開位置との間で移動可能である。弁シャフト651及び弁板652は、図6では閉位置で示されている。燃料ガス弁600は、弁シャフト601、弁板602、及び弁座603を備える。弁シャフト601及び弁板602は、燃料ガスが燃料ガス弁600を流れることを阻止される閉位置と、燃料ガスが燃料ガス弁600を流れることを許容される開位置との間で移動可能である。弁シャフト601及び弁板602は、図6では閉位置で示されている。安全弁の弁ハウジング655は、安全弁の出口657が燃料ガス弁の入口607に直接接続されるように、燃料ガス弁の弁ハウジング605に直接接続されている。弁アセンブリ690は、安全弁650と燃料ガス弁600との間の体積に配置された圧力センサ608を更に備える。
【0050】
更に、弁アセンブリ690は、弁シャフト601の位置を監視する、例えば誘導センサなどの位置センサを備え得る。誘導位置センサと比較して圧力センサを利用することの利点としては、圧力センサが、スピンドル位置だけでなく、全弁アセンブリの気密性を検証することができるということである。更に、単一の圧力センサが、燃料弁と安全弁の両方の機能を同時に監視することができる。位置センサの解決策には、2つの弁を監視するために2つの別個のセンサが必要になる。燃料ガス弁の弁ハウジング605は、第1の部分609及び第2の部分610を備え、燃料ガスノズル及び弁座603は弁ハウジングの第2の部分610に形成されており、弁ハウジングの第1の部分609及び弁ハウジングの第2の部分610が、弁座603の上流で接続されている。燃料ガス弁600は、弁シャフト601及び弁板602が閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。安全弁650は、弁シャフト651及び弁板652が閉位置から開位置に移動するときに下流方向に(燃料ガス弁600の入口607に向かうほうに)移動するように構成されている。その結果、シリンダ内部の圧力が燃料ガス弁600の閉圧力を超えて増加した場合に、燃料ガス弁600は、反転したリフト方向を有するように設計されているので強制的に開くことになる。しかしながら、通常のリフト方向を有する安全弁650を使用することによって、安全弁650が強制的に開かないことも確実にすることができ、これは、安全弁の弁板652が、その状況ではその弁座653に対してより強く押圧されるからである。
【0051】
いくつかの実施形態について詳細に説明及び図示したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に規定される主題の範囲内で他の方法でも具現化することできる。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用してもよいし、構造的及び機能的改変を行ってもよいことを理解されたい。
【0052】
いくつかの手段を列挙するデバイス請求項では、これらの手段のいくつかを、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化することができる。特定の措置が相互に異なる従属請求項に記載されているか、又は異なる実施形態において説明されているということだけでは、これらの措置の組合せを有利に使用できないことを示すことにならない。
【0053】
「備える/備えている」という用語は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を指定すると捉えられるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は付加を排除するものではないことを強調しておかなければならない。
図1
図2a-2b】
図3a-3b】
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-01-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(101)と、シリンダカバー(113)と、ピストン(103)と、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システム(111)とを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)において、前記シリンダ(101)はシリンダ壁を有し、前記シリンダカバー(113)は、前記シリンダ(101)の上部に配置されており、かつ排気弁(104)を有し、前記ピストン(103)は、下死点と上死点との間で中心軸(114)に沿って前記シリンダ(101)内に移動可能に配置されており、前記掃気システム(111)は、前記シリンダ(101)の底部に配置された掃気入口(102)を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダ(101)のために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、かつ圧縮ストローク中に燃料ガスノズル(304)を介して前記シリンダ(101)内に燃料ガスを流入させるように構成された燃料ガス弁(105;300)を備え、前記燃料ガスが前記掃気入口(102)からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記燃料ガス弁(105;300)は、弁軸(307)に沿って延在する弁シャフト(301)、弁板(302)、及び弁座(303)を備え、前記弁シャフト(301)及び前記弁板(302)は、開位置と閉位置との間で前記弁軸(307)に沿って移動可能であり、
前記ピストン(103)が上死点にあるときに、前記燃料ガス弁(105;300)が、前記ピストン(103)より下の高さで前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されており、前記燃料ガス弁(105;300)が、前記弁シャフト(301)及び前記弁板(302)が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項2】
前記燃料ガスノズル(304)は、前記燃料ガス弁(105;300)の一体部分である、請求項1に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項3】
前記燃料ガス弁(105;300)は弁ハウジング(308)を備え、前記弁ハウジング(308)は第1の部分(309)及び第2の部分(310)を備え、前記燃料ガスノズル(304)及び前記弁座(303)は、前記弁ハウジング(308)の前記第2の部分(310)に形成されており、前記弁ハウジング(308)の前記第1の部分(309)及び前記弁ハウジング(308)の前記第2の部分(310)は、前記弁座(303)の上流で接続されている、請求項2に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項4】
前記燃料ガス供給システムは、前記燃料ガス弁(105;300;600)の上流に配置された安全弁(650)を更に備え、前記燃料ガス弁(105;300;600)は、前記安全弁(650)を介して前記燃料ガスタンクに流体接続可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項5】
前記安全弁(650)と前記燃料ガス弁(105;300;600)との間の体積に第1のセンサが配置され、前記第1のセンサは、動作不良を起こしている燃料ガス弁を示す、前記安全弁(650)と前記燃料ガス弁(105;300;600)との間の前記体積における圧力変化を直接的又は間接的に検出するように構成されている、請求項4に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項6】
前記安全弁(650)は、入口(656)と出口(657)とを有する弁ハウジング(655)を有し、前記燃料ガス弁(105;300;600)は、入口と出口とを有する弁ハウジング(308)を有し、前記安全弁(650)の前記弁ハウジング(655)は、前記安全弁(650)の前記出口(657)が前記燃料ガス弁(105;300;600)の前記入口(607)に直接接続されるように、前記燃料ガス弁(105;300;600)の前記弁ハウジング(308)に直接接続されている、請求項4又は5に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項7】
前記安全弁(650)は、弁軸に沿って延在する弁シャフト(651)、弁板(652)、及び弁座(653)を備え、前記弁シャフト(651)及び前記弁板(652)は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、前記安全弁(650)は、前記弁シャフト(651)及び前記弁板(652)が前記閉位置から前記開位置に移動するときに下流方向に移動するように構成されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項8】
前記燃料ガスノズル(304)は、ノズル軸に沿って延在しており、燃料ガスを受け入れるための入口と、燃料ガスを前記シリンダ(101)の内部に送出するための出口(306)とを有し、前記弁シャフト(301)及び前記弁板(302)は、前記閉位置から前記開位置に移動するときに前記弁軸(307)に沿って距離d1を移動し、前記燃料ガスノズル(304)は、前記ノズル軸に沿って前記入口から距離d1をあけて、前記弁板(302)の断面積よりも小さい断面積を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項9】
前記弁板(302)は、第1の側面及び第2の側面を有し、前記弁シャフト(301)は前記第1の側面から延びており、前記第2の側面は前記燃料ガスノズル(304)の出口(306)に面しており、前記燃料ガス弁(105;300;600)は、前記弁板(302)の前記第2の側面から前記燃料ガスノズル(304)内に延在するガス置換要素(311)を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関(100)のための燃料ガス弁(105;300;600)において、前記燃料ガス弁(105;300;600)は、弁軸(307)に沿って延在する弁シャフト(301)、弁板(302)、及び弁座(303)を備え、前記弁シャフト(301)及び前記弁板(302)は、開位置と閉位置との間で前記弁軸(307)に沿って移動可能であり、
前記燃料ガス弁(105;300;600)が、前記弁シャフト(301)及び前記弁板(302)が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、燃料ガス弁。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
第1の態様によれば、本発明は、少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システムとを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関に関し、シリンダはシリンダ壁を有し、シリンダカバーは、シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿ってシリンダ内に移動可能に配置されており、掃気システムは、シリンダの底部に配置された掃気入口を有し、燃料ガス供給システムは、シリンダのために、シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、かつ圧縮ストローク中に燃料ガスノズルを介してシリンダ内に燃料ガスを流入させるように構成された燃料ガス弁を備え、燃料ガスが掃気入口からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、弁シャフト及び弁板は、開位置と閉位置との間で弁軸に沿って移動可能であり、ピストンが上死点にあるときに、燃料ガス弁が、ピストンより下の高さでシリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されており、燃料ガス弁は、弁シャフト及び弁板が閉位置から開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
「備える/備えている」という用語は、本明細書で使用されるとき、記載された特徴、整数、ステップ、又は構成要素の存在を指定すると捉えられるが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、又はそれらのグループの存在又は付加を排除するものではないことを強調しておかなければならない。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 少なくとも1つのシリンダと、シリンダカバーと、ピストンと、燃料ガスタンクに接続可能な燃料ガス供給システムと、掃気システムとを備える2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関において、前記シリンダはシリンダ壁を有し、前記シリンダカバーは、前記シリンダの上部に配置されており、かつ排気弁を有し、前記ピストンは、下死点と上死点との間で中心軸に沿って前記シリンダ内に移動可能に配置されており、前記掃気システムは、前記シリンダの底部に配置された掃気入口を有し、前記燃料ガス供給システムは、前記シリンダのために、前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置され、かつ圧縮ストローク中に燃料ガスノズルを介して前記シリンダ内に燃料ガスを流入させるように構成された燃料ガス弁を備え、前記燃料ガスが前記掃気入口からの掃気と混合することを可能にするとともに、掃気と燃料ガスとの混合気を着火させる前に圧縮することを可能にし、前記燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、
前記ピストンが上死点にあるときに、前記燃料ガス弁が、前記ピストンより下の高さで前記シリンダ壁内に少なくとも部分的に配置されており、前記燃料ガス弁が、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[2] 前記燃料ガスノズルは、前記燃料ガス弁の一体部分である、[1]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[3] 前記燃料ガス弁は弁ハウジングを備え、前記弁ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備え、前記燃料ガスノズル及び前記弁座は、前記弁ハウジングの前記第2の部分に形成されており、前記弁ハウジングの前記第1の部分及び前記弁ハウジングの前記第2の部分は、前記弁座の上流で接続されている、[2]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[4] 前記燃料ガス供給システムは、前記燃料ガス弁の上流に配置された安全弁を更に備え、前記燃料ガス弁は、前記安全弁を介して前記燃料ガスタンクに流体接続可能である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[5] 前記安全弁と前記燃料ガス弁との間の体積に第1のセンサが配置され、前記第1のセンサは、動作不良を起こしている燃料ガス弁を示す、前記安全弁と前記燃料ガス弁との間の前記体積における圧力変化を直接的又は間接的に検出するように構成されている、[4]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[6] 前記安全弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記燃料ガス弁は、入口と出口とを有する弁ハウジングを有し、前記安全弁の前記弁ハウジングは、前記安全弁の前記出口が前記燃料ガス弁の前記入口に直接接続されるように、前記燃料ガス弁の前記弁ハウジングに直接接続されている、[4]又は[5]に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[7] 前記安全弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、前記安全弁は、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに下流方向に移動するように構成されている、[4]~[6]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[8] 前記燃料ガスノズルは、ノズル軸に沿って延在しており、燃料ガスを受け入れるための入口と、燃料ガスを前記シリンダの内部に送出するための出口とを有し、前記弁シャフト及び前記弁板は、前記閉位置から前記開位置に移動するときに前記弁軸に沿って距離d1を移動し、前記燃料ガスノズルは、前記ノズル軸に沿って前記入口から距離d1をあけて、前記弁板の断面積よりも小さい断面積を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[9] 前記弁板は、第1の側面及び第2の側面を有し、前記弁シャフトは前記第1の側面から延びており、前記第2の側面は前記燃料ガスノズルの出口に面しており、前記燃料ガス弁は、前記弁板の前記第2の側面から前記燃料ガスノズル内に延在するガス置換要素を更に備える、[1]~[8]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関。
[10] [1]~[9]のいずれか一項に記載の2ストロークユニフロー掃気式クロスヘッド型内燃機関のための燃料ガス弁において、前記燃料ガス弁は、弁軸に沿って延在する弁シャフト、弁板、及び弁座を備え、前記弁シャフト及び前記弁板は、開位置と閉位置との間で前記弁軸に沿って移動可能であり、
前記燃料ガス弁が、前記弁シャフト及び前記弁板が前記閉位置から前記開位置に移動するときに上流方向に移動するように構成されていることを特徴とする、燃料ガス弁。
【外国語明細書】