(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091736
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】毛髪処理剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20220614BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220614BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220614BHJP
A61Q 5/04 20060101ALI20220614BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220614BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220614BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/81
A61K8/25
A61Q5/04
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199565
(22)【出願日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2020204554
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和彰
(72)【発明者】
【氏名】木村 真梨子
(72)【発明者】
【氏名】生田目 大輔
(72)【発明者】
【氏名】緑川 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ティオー ウェイウェイ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB012
4C083AB032
4C083AB082
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB332
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC772
4C083AC842
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD132
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC34
4C083CC38
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE21
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】 パーマ施術後などの毛髪の消臭効果と質感に優れる、銅がドープされた多孔質シリカが、安定に分散維持されるように配合された、毛髪処理剤を提供すること。
【解決手段】 本発明の毛髪処理剤は、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合してなる。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体の具体例としては、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体やポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合してなる毛髪処理剤。
【請求項2】
多孔質シリカに、アルミニウムがさらにドープされている請求項1記載の毛髪処理剤。
【請求項3】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体が、ビニルピロリドンユニットとビニルピロリドン以外のユニットの共重合体である請求項1または2記載の毛髪処理剤。
【請求項4】
ビニルピロリドンユニットとビニルピロリドン以外のユニットの共重合体が、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体である請求項3記載の毛髪処理剤。
【請求項5】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体が、ポリビニルピロリドンである請求項1または2記載の毛髪処理剤。
【請求項6】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、毛髪処理剤への配合量が、0.01~5wt%である請求項1乃至5のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【請求項7】
植物エキスを配合してなる請求項1乃至6のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【請求項8】
パーマ処理剤、酸熱トリートメント処理剤、シャンプー剤、トリートメント剤、スタイリング剤のいずれかである請求項1乃至7のいずれかに記載の毛髪処理剤。
【請求項9】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーを、毛髪処理剤を製造する工程のいずれかの時点で加える工程を含む毛髪処理剤の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の毛髪処理剤を用いて行うことによるパーマ施術方法または酸熱トリートメント施術方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーマ施術後などの毛髪の消臭効果と質感に優れる毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレートパーマ処理やパーマネントウェーブ処理などのパーマ処理の需要は、若い女性のみならず、年配の女性や男性にも多いことは周知の通りである。パーマ処理は、通常、パーマ処理剤として、還元剤を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤を用い、2段階処理で、第1剤に含まれる還元剤によって毛髪内のシスチン結合(SS結合)を切断した後、第2剤に含まれる酸化剤によって切断されたシスチン結合を再結合する方法で行われるが、近年、1段階処理で、毛髪内のシスチン結合を切断せずに毛髪内に新たな化学結合を形成させることにより、毛髪の変形や固定を行う方法(酸熱トリートメント)も提案されている。前者の方法における第1剤に含まれる還元剤としては、チオール基を持つ物質であるシステアミン、L-システイン、チオグリコール酸、ブチロラクトンチオール、チオ乳酸、チオグリセリン、チオグリコール酸グリセリルなどが用いられ、後者の方法においてはグリオキシル酸の類縁物質であるグリオキシロイルカルボシステインやグリオキシロイルケラチンアミノ酸などが用いられるが、いずれも硫黄含有物質であるため、物質自体やその分解物が発する硫黄含有臭気が施術後の毛髪に残存することから、その消臭のための様々な方法がこれまでに提案されている。本発明者らも、銅がドープされた多孔質シリカが、硫黄含有臭気に対する優れた消臭効果を発揮することを特許文献1や特許文献2において報告しているが、銅がドープされた多孔質シリカに、パーマ施術後や酸熱トリートメント施術後の毛髪の消臭効果を遺憾なく発揮させるためには、銅がドープされた多孔質シリカをいかにパーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤に配合して安定に分散維持させるかが肝要であり、加えて、銅がドープされた多孔質シリカをこうした処理剤に配合した結果、施術後の毛髪の質感に低下を招いたといったことがないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-14656号公報
【特許文献2】特開2020-15640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、パーマ施術後などの毛髪の消臭効果と質感に優れる、銅がドープされた多孔質シリカが、安定に分散維持されるように配合された、毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、銅がドープされた多孔質シリカを、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾してパーマ処理剤に配合すると、銅がドープされた多孔質シリカをパーマ処理剤中に安定に分散維持させることができること、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合してなるパーマ処理剤を用いてパーマ施術すると、パーマ施術後の毛髪の消臭効果が優れることを見出すとともに、このパーマ処理剤を用いてパーマ施術すると、パーマ施術後の毛髪の質感が優れることを見出した。また、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、酸熱トリートメント処理剤に配合した場合や、パーマ処理や酸熱トリートメント処理を行ってから用いられる、シャンプー剤、トリートメント剤、スタイリング剤に配合した場合でも、同様の結果が得られることを見出した。
【0006】
上記の知見に基づいてなされた本発明の毛髪処理剤は、請求項1記載の通り、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合してなる。
また、請求項2記載の毛髪処理剤は、請求項1記載の毛髪処理剤において、多孔質シリカに、アルミニウムがさらにドープされている。
また、請求項3記載の毛髪処理剤は、請求項1または2記載の毛髪処理剤において、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体が、ビニルピロリドンユニットとビニルピロリドン以外のユニットの共重合体である。
また、請求項4記載の毛髪処理剤は、請求項3記載の毛髪処理剤において、ビニルピロリドンユニットとビニルピロリドン以外のユニットの共重合体が、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体である。
また、請求項5記載の毛髪処理剤は、請求項1または2記載の毛髪処理剤において、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体が、ポリビニルピロリドンである。
また、請求項6記載の毛髪処理剤は、請求項1乃至5のいずれかに記載の毛髪処理剤において、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、毛髪処理剤への配合量が、0.01~5wt%である。
また、請求項7記載の毛髪処理剤は、請求項1乃至6のいずれかに記載の毛髪処理剤において、植物エキスを配合してなる。
また、請求項8記載の毛髪処理剤は、請求項1乃至7のいずれかに記載の毛髪処理剤において、パーマ処理剤、酸熱トリートメント処理剤、シャンプー剤、トリートメント剤、スタイリング剤のいずれかである。
また、本発明の毛髪処理剤の製造方法は、請求項9記載の通り、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーを、毛髪処理剤を製造する工程のいずれかの時点で加える工程を含む。
また、本発明のパーマ施術方法または酸熱トリートメント施術方法は、請求項10記載の通り、請求項1乃至8のいずれかに記載の毛髪処理剤を用いて行うことによる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パーマ施術後などの毛髪の消臭効果と質感に優れる、銅がドープされた多孔質シリカが、安定に分散維持されるように配合された、毛髪処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の毛髪処理剤は、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合してなる。
【0009】
本発明において、銅がドープされた多孔質シリカは、例えば本発明者らが特開2020-15640号公報に記載したものであってよい。ここで、「銅がドープされた多孔質シリカ」とは、多孔質シリカを構成するシロキサン結合からなる無機ネットワーク中に銅が化学結合して組み込まれている多孔質シリカを意味する。具体的には、次の通りである。
【0010】
銅がドープされた多孔質シリカ中の銅の含量は、例えば0.01~10wt%、好ましくは0.1~5wt%である。銅がドープされた多孔質シリカ中の銅の含量が0.01wt%を下回ると、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤に含まれる硫黄含有物質やその分解物が発する硫黄含有臭気の十分な消臭効果が得られない恐れがある一方、10wt%を超える量の銅がドープされた多孔質シリカは、製造が困難な恐れがある。
【0011】
多孔質シリカとしては、例えば直径2~50nmの細孔(メソ孔)が規則的に配列したメソポーラスシリカが挙げられる。
【0012】
多孔質シリカの比表面積は、例えば500~2000m2/gであることが、耐久性を維持することができる点において好ましい。
【0013】
銅がドープされたメソポーラスシリカの製造は、例えば特開2020-15640号公報に記載した自体公知の以下の方法に従って行うことができる。
【0014】
(工程1)
まず、界面活性剤と、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料を、溶媒に溶解し、例えば30~200℃で0.5~10時間攪拌することで、界面活性剤にミセルを形成させる。
【0015】
界面活性剤の溶媒への溶解量は、例えば10~400mmol/L、好ましくは50~150mmol/Lである。或いは、界面活性剤の溶媒への溶解量は、後述する工程2において添加するシリカ原料1molに対し、例えば0.01~5.0mol、好ましくは0.05~1.0molである。
【0016】
界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤の何れを用いてもよいが、好ましくはアルキルアンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤である。アルキルアンモニウム塩は、炭素数が8以上のアルキル基を有するものが好ましく、工業的な入手の容易さに鑑みると、炭素数が12~18のアルキル基を有するものがより好ましい。アルキルアンモニウム塩の具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
銅をメソポーラスシリカにドープするための原料の溶媒への溶解量は、後述する工程2において添加するシリカ原料1molに対し、例えば0.001~0.5mol、好ましくは0.01~0.1molである。
【0018】
銅をメソポーラスシリカにドープするための原料としては、例えば硝酸銅や塩化銅を用いることが好ましい。銅をドープするための原料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
溶媒としては、例えば水を用いることができる。溶媒は、水と、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールをはじめとする水溶性有機溶媒の混合溶媒であってよい。
【0020】
(工程2)
次に、工程1において得た、界面活性剤がミセルを形成する溶液に、シリカ原料を例えば室温で溶解し、均一になるまで攪拌して、界面活性剤のミセルの表面にシリカ原料を集積させる。シリカ原料の溶液への溶解量は、例えば0.2~1.8mol/Lである。或いは、溶媒として水や水と水溶性有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、水1molに対し、例えば0.001~0.05molである。
【0021】
シリカ原料は、脱水縮合することでメソポーラスシリカを構成するシロキサン結合からなる無機ネットワークを形成するものであれば特に限定されない。シリカ原料の具体例としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラ-n-ブトキシシランなどのテトラアルコキシシランや、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。好ましくはテトラアルコキシシランであり、より好ましくはテトラエトキシシランである。シリカ原料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
(工程3)
次に、界面活性剤のミセルの表面に集積させたシリカ原料を脱水縮合させて、メソポーラスシリカを構成するシロキサン結合からなる無機ネットワークを形成させるとともに、無機ネットワーク中に銅を化学結合させて組み込ませる。シリカ原料の脱水縮合は、例えば、系内に塩基性水溶液を添加してpHを上げた後、室温で1時間以上攪拌することで行わせることができる。塩基性水溶液は、pHが添加直後に8~14となるように添加することが好ましく、9~11となるように添加することがより好ましい。塩基性水溶液の具体例としては、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア水が挙げられるが、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である。塩基性水溶液は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、シリカ原料の脱水縮合は、系内に塩酸水溶液などの酸性水溶液を添加してpHを下げた後、攪拌することで行わせることもできる。
【0023】
(工程4)
最後に、工程3において得た、メソポーラスシリカを構成するシロキサン結合からなり、銅が化学結合して組み込まれた無機ネットワークを表面に形成させた界面活性剤のミセルを、沈殿物として濾過して回収し、例えば、30~70℃で10~48時間乾燥した後、400~600℃で1~10時間焼成することで、目的とする銅がドープされたメソポーラスシリカを得る。こうして得た銅がドープされたメソポーラスシリカは、必要に応じてミキサーやミルで粉砕し、所望する粒径(例えばメディアン径を0.01~100μmとすることがパーマ処理剤中や酸熱トリートメント処理剤中に安定に分散維持させることが容易である点において好ましい)を有するようにしてもよい。
【0024】
なお、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料の系内への添加は、上記の工程1において界面活性剤とともに溶媒に溶解する態様に限定されず、工程3におけるシリカ原料が脱水縮合することによるメソポーラスシリカを構成するシロキサン結合からなる無機ネットワークの形成が完結するまでであれば、工程2や工程3において溶液に溶解する態様であってもよい。
【0025】
銅がドープされた多孔質シリカは、銅以外の金属が多孔質シリカにドープされてもよい。銅以外の金属の具体例としては、多孔質シリカの耐久性を高める効果を有するアルミニウムが挙げられる。銅とともにアルミニウムがドープされた多孔質シリカ中のアルミニウムの含量は、例えば0.01~10wt%、好ましくは0.1~5wt%であるが、銅の含量との合計量が最大で10wt%であることがより好ましい。
【0026】
アルミニウムを銅とともに多孔質シリカにドープする方法としては、例えば、上述した銅がドープされたメソポーラスシリカの製造方法において、その原料(例えば塩化アルミニウム)を、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料とともに溶媒や溶液に溶解する方法が挙げられる。アルミニウムをメソポーラスシリカにドープするための原料の溶媒や溶液への溶解量は、工程2において添加するシリカ原料1molに対し、例えば0.001~0.5mol、好ましくは0.01~0.1molであるが、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料の溶媒や溶液への溶解量との合計量が、シリカ原料1molに対し最大で0.5molであることがより好ましい。
【0027】
本発明において、銅がドープされた多孔質シリカを表面修飾するために用いるのは、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体である。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体は、例えばビニルピロリドンユニットとビニルピロリドン以外のユニットの共重合体であってよく、その具体例としては、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体が挙げられる。ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体は、その4級アンモニウム塩が、ポリクオタニウム-11の化粧品表示名称で、既に化粧品原料として用いられている点において都合がよい。また、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体は、ポリビニルピロリドンでもよい。ポリビニルピロリドンもまた、既に化粧品原料として用いられている点において都合がよい。銅がドープされた多孔質シリカへの付着性や表面修飾の容易性などに鑑みれば、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体の好適な分子量は、その種類に応じて例えば5000~5000000の範囲である。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体が、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体の場合、その分子量は100000~1200000の範囲が好適であり、ポリビニルピロリドンの場合、その分子量は40000~1600000の範囲が好適である。
【0028】
銅がドープされた多孔質シリカを、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾する方法は、特段限定されるものではなく、銅がドープされた多孔質シリカと、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体を、必要に応じて温度を調節した上で混合して攪拌することで行えばよいが、好適な方法としては、銅がドープされた多孔質シリカを分散媒に懸濁させてなるスラリーを、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体およびボールミルに用いるボール(メディア)とともに処理容器に収容し(さらに分散媒を収容してもよい)、これらを収容した処理容器をボールミル架台に載せて回転させることにより(回転数は例えば15~500rpmの範囲で採用される)、銅がドープされた多孔質シリカを表面処理する方法が挙げられる。この方法によれば、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤に対して優れた分散性を有するスラリーに含まれる形態で、容易に得ることができる。ボールミルする時間は、例えば1~50時間、好ましくは6~30時間である。銅がドープされた多孔質シリカを分散媒に懸濁させてなるスラリーにおける分散媒や、処理容器にさらに収容してもよい分散媒としては、例えば水を用いることができる。分散媒として用いる水は、メタノール、エタノール、ジエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールをはじめとする水溶性有機溶媒を含んでいてもよいが、水の含量は50wt%以上であることが好ましい。分散媒のpHは、例えば5~11、好ましくは6~9である。分散媒のpHが5を下回ると、多孔質シリカにドープされた銅が溶解する恐れがある一方、分散媒のpHが11を上回ると、多孔質シリカが溶解する恐れがある。また、分散媒のpHは、パーマ処理剤の安定性への影響を考慮すると酸性過ぎることやアルカリ性過ぎることは好ましくなく、酸熱トリートメント処理剤の安定性への影響を考慮するとアルカリ性過ぎることは好ましくない。
【0029】
用いる、銅がドープされた多孔質シリカと、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体の量は、前者の重量に対して後者の重量を0.1倍以上とすることが好ましい。銅がドープされた多孔質シリカの重量に対してビニルピロリドンユニットを含有する重合体の重量が少なすぎると、前者を後者で表面修飾することの効果を十分に得ることができず、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤に対する分散性が低下する恐れがある。銅がドープされた多孔質シリカの重量に対するビニルピロリドンユニットを含有する重合体の重量を0.5倍までとすることで、後者のほぼ全量乃至全量を前者に付着させることができ、前者を後者で表面修飾することの効果を十分に得ることができる。銅がドープされた多孔質シリカの重量に対するビニルピロリドンユニットを含有する重合体の重量が0.5倍を超えると、スラリーに含まれる前者に付着しなかった遊離の後者の量が多くなるが、後者が既に化粧品原料として用いられているものであれば、特段の問題はない。しかしながら、銅がドープされた多孔質シリカの重量に対するビニルピロリドンユニットを含有する重合体の重量の上限は2倍とすることが好ましい。遊離のビニルピロリドンユニットを含有する重合体を多量に含むスラリーは、高粘度であって取り扱いにくいことに加え、こうしたスラリーをパーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤に添加すると、これらの組成に影響を及ぼす恐れがある。なお、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、スラリー中の含量は、例えば0.1~10wt%とすることが、スラリーの取り扱いやすさなどの点において好ましい。ボールミルに用いるボール(例えば1~5mmφのアルミナボールやジルコニアボール)は、銅がドープされた多孔質シリカ、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体、分散媒の合計重量の1~5倍の重量となる個数を用いることが好ましい。
【0030】
ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合するパーマ処理剤は、ストレートパーマ処理用のものであってもよいし、パーマネントウェーブ処理用のものであってもよい。また、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、2段階処理の方法で用いられるパーマ処理剤に配合する場合、システアミン、L-システイン、チオグリコール酸、ブチロラクトンチオール、チオ乳酸、チオグリセリン、チオグリコール酸グリセリルなどの還元剤を含む第1剤であってもよいし、過酸化水素水や臭素酸塩などの酸化剤を含む第2剤であってもよいし、還元剤も酸化剤も含まない中間処理剤や後処理剤であってもよい。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合するパーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤の剤型は、例えば液状であってもよいし、クリーム状であってもよい。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤への配合量は、0.01~5wt%が好ましく、0.02~0.5wt%がより好ましい。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、これらへの配合量が少なすぎると、銅がドープされた多孔質シリカによる施術後の毛髪の消臭効果が低下する恐れがある。一方、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、これらへの配合量が多すぎると、施術後の毛髪の質感に低下を招くといった恐れや、洗い流す際に手間がかかるといった恐れがある。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤への配合は、例えば、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーを、これらを製造する工程のいずれかの時点で加えることで行えばよい。
【0031】
また、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを、配合するパーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤には、従来より、臭気の消臭やマスキングを目的としてこれらに配合されている植物エキスなどが配合されてもよい。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカと、植物エキスなどを併用することで、パーマ施術後や酸熱トリートメント施術後の毛髪に残存する硫黄含有臭気を効果的に消臭することができるとともに、酢酸やアンモニアを含む汗臭、ノネナールを含む加齢臭、中長鎖脂肪酸を含む頭皮臭などを消臭したりマスキングしたりすることができる。植物エキスは、単一の植物に含まれる消臭作用やマスキング作用を有する成分を抽出したエキスであってもよいし、複数の植物に由来するエキスの混合物であってもよい。その具体例としては、バラエキス、サトウキビエキス、生薬エキスなどが挙げられ、これらは消臭素材やマスキング素材として粉末や液体の形態で市販されているものを用いることができる。バラエキスの市販品としては、例えば大洋香料社のローズクリーン(ガリカバラエキス10wt%、デキストリン45wt%、シクロデキストリン45wt%からなる粉末市販品)を挙げることができる。サトウキビエキスの市販品としては、例えば三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245(サトウキビ抽出物0.02wt%、エタノール45.00wt%、水54.98wt%からなる液体市販品)を挙げることができる。生薬エキスの市販品としては、例えば小川香料社の混合植物エキスOG-D1(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物1.11wt%、エタノール49.445wt%、水49.445wt%からなる液体市販品)を挙げることができる。植物エキスのパーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤への配合量は、バラエキスの場合、例えば、0.0001~0.1wt%が好ましく、0.0005~0.05wt%がより好ましい。サトウキビエキスの場合、例えば、0.000002~0.001wt%が好ましく、0.000004~0.0002wt%がより好ましい。生薬エキスの場合、例えば、0.000111~0.0555wt%が好ましく、0.000222~0.0111wt%がより好ましい。
【0032】
なお、上記においては、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカを配合する毛髪処理剤として、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤を例にとって説明したが、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカは、パーマ処理や酸熱トリートメント処理を行ってから、毛髪の矯正、状態維持、質感向上などのために用いられる、シャンプー剤、トリートメント剤、スタイリング剤といった毛髪処理剤に配合してもよい。ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅がドープされた多孔質シリカの、これらの毛髪処理剤への配合は、パーマ処理剤や酸熱トリートメント処理剤への配合に準じて行うことができ、施術後の毛髪に残存する硫黄含有臭気を消臭することができるとともに、毛髪の質感を優れたものにすることができる。
【実施例0033】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0034】
製造参考例1:銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの製造
界面活性剤としてのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料としての塩化銅、アルミニウムをメソポーラスシリカにドープするための原料としての塩化アルミニウムを、溶媒としての水に溶解し、100℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却してから、シリカ原料としてのテトラエトキシシランをさらに溶解して均一になるまで攪拌した。次いで、反応液に、塩基性水溶液としての水酸化ナトリウム水溶液を、添加直後のpHが9となるように添加し、室温で20時間攪拌した。生成した沈殿物を濾過して回収し、50℃で24時間乾燥した後、570℃で5時間焼成することで、目的とする銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカをごくわずかに青みがかった白色粉末として得た。
【0035】
なお、界面活性剤としてのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、銅をメソポーラスシリカにドープするための原料としての塩化銅、アルミニウムをメソポーラスシリカにドープするための原料としての塩化アルミニウム、溶媒としての水のそれぞれの使用量は、シリカ原料としてのテトラエトキシシラン1molに対し、以下の通りとした。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド:0.225mol
塩化銅:0.0204mol
塩化アルミニウム:0.0482mol
水:125mol
また、塩基性水溶液としての水酸化ナトリウム水溶液を調製するために、水酸化ナトリウムを、シリカ原料としてのテトラエトキシシラン1molに対し、0.195mol用いた。
【0036】
以上の方法で得た銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカは、比表面積が1100m2/g、細孔の直径が約2.5nmであった(マイクロトラックベル社製BELSORP MAX II型を用いて多点法で液体窒素温度にて窒素ガスの吸着等温線を測定しBJH計算により算出)。また、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ約50mgを精確に量り取り、4mLの塩酸に溶解した後、塩酸溶液中の銅とアルミニウムの濃度を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Thermo Scientific社製ICP-OES)を用いて測定し、測定結果に基づいて、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ中の銅の含量とアルミニウムの含量を算出したところ、銅の含量は2.09wt%であり、アルミニウムの含量は2.00wt%であった。メソポーラスシリカに銅とアルミニウムがドープされていることは、X線光電子分光装置(Thermo Scientific社製K-Alpha Surface Analysis)と透過型電子顕微鏡(JEOL社製JEM2010)で確認した。
【0037】
製造参考例2:銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造
250mLのアイボーイPP広口びんに、製造参考例1で製造した銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ11g、水99g、2mmφのアルミナボール220gを入れ、室温で、ボールミル架台に載せて回転数180rpmで8時間処理した後、アルミナボールを除去して、メディアン径が約0.5μmの銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量が10wt%のスラリーを得た(メディアン径の測定はレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製SALD-3100)による(以下同じ))。
【0038】
製造例1:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その1)
250mLのアイボーイPP広口びんに、製造参考例2で製造したスラリー55g、大阪有機化学工業社のH.C.ポリマー1N(M)(分子量が500000のポリクオタニウム-11を20wt%含有)11g、水44g、2mmφのアルミナボール220gを入れ、室温で、ボールミル架台に載せて回転数90rpmで24時間処理した後、アルミナボールを除去して、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体の含量は2wt%)を得た。
【0039】
製造例2:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その2)
250mLのアイボーイPP広口びんに、製造参考例2で製造したスラリー55g、BASFジャパン社のルビスコールK90(分子量が1200000のポリビニルピロリドン)の10wt%水溶液22g、水33g、2mmφのアルミナボール220gを入れ、室温で、ボールミル架台に載せて回転数90rpmで24時間処理した後、アルミナボールを除去して、ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でポリビニルピロリドンの含量は2wt%)を得た。
【0040】
製造例3:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その3)
製造例2において用いた、BASFジャパン社のルビスコールK90のかわりに、富士フイルム和光純薬社のポリビニルピロリドンK90(分子量非開示のポリビニルピロリドン)を用いること以外は製造例2と同様にして、ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でポリビニルピロリドンの含量は2wt%)を得た。
【0041】
製造例4:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その4)
製造例2において用いた、BASFジャパン社のルビスコールK90のかわりに、富士フイルム和光純薬社のポリビニルピロリドンK30(分子量非開示のポリビニルピロリドン)を用いること以外は製造例2と同様にして、ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でポリビニルピロリドンの含量は2wt%)を得た。
【0042】
製造例5:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その5)
250mLのアイボーイPP広口びんに入れる、富士フイルム和光純薬社のポリビニルピロリドンK90の10wt%水溶液を11g、水を44gとすること以外は製造例3と同様にして、ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でポリビニルピロリドンの含量は1wt%)を得た。
【0043】
製造例6:ビニルピロリドンユニットを含有する重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造(その6)
250mLのアイボーイPP広口びんに入れる、富士フイルム和光純薬社のポリビニルピロリドンK90の10wt%水溶液を44g、水を11gとすること以外は製造例3と同様にして、ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でポリビニルピロリドンの含量は4wt%)を得た。
【0044】
製造例7:銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造
製造参考例1で製造した銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、ミキサーで粉砕してメディアン径を約30μmとした後、その5.5gに水104.5gを添加し、室温で、よく振って攪拌して、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約30μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%)を得た。
【0045】
製造例8:ドデシルアミンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造
250mLのアイボーイPP広口びんに、製造参考例2で製造したスラリー50g、東京化成工業社のドデシルアミン塩酸塩1g、水49gを入れ、室温で、よく振って攪拌して、ドデシルアミンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%でドデシルアミンの含量は1wt%)を得た。
【0046】
製造例9:高分子量ブロック共重合物とTWEEN(登録商標)-20の混合物で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、分散媒に懸濁させてなるスラリーの製造
250mLのアイボーイPP広口びんに、製造参考例2で製造したスラリー50g、ビックケミー・ジャパン社のDISPERBYK-190(高分子量ブロック共重合物を40wt%含有)0.25g、富士フイルム和光純薬社のTWEEN(登録商標)-20を0.25g、水49.5gを入れ、室温で、よく振って攪拌して、高分子量ブロック共重合物とTWEEN(登録商標)-20の混合物で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカ(メディアン径:約0.5μm)が均一に分散したスラリー(銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの含量は5wt%で高分子量ブロック共重合物の含量は0.10wt%でTWEEN(登録商標)-20の含量は0.25wt%)を得た。
【0047】
製造例1~9で製造したスラリーを表1にまとめる。
【0048】
【0049】
試験例1:パーマ処理剤に対する分散性の評価
(評価方法)
製造例1~9で製造したスラリーのそれぞれ0.5mLと、水1.5mLを、ガラス製容器に入れたアリミノ社の第2剤であるコスメカールプリズムプラスアフターローションの各成分の濃度が1.25倍の濃度の試験液8mLに加え、室温で、10秒間よく振ることで攪拌してから90分間静置した後の混合液の外観を目視し、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが安定に分散維持されている場合は○、分散維持されずに沈殿が生成している場合は×で評価した。
【0050】
また、スタビリティテスター(英弘精機社製ST-1)で、スラリーと水を試験液に加えて攪拌した直後から90分後まで、3分経過ごとに、混合液の、ガラス製容器の底部から高さ約3mmの領域の後方散乱光強度を測定し、攪拌直後の測定値と3分経過ごとの測定値の差の積分値をピーク面積値として算出して、沈殿の発生の程度を数値化して評価した。
【0051】
(評価結果)
結果を表2に示す。表2から明らかなように、混合液の外観の目視による評価において、製造例1~6で製造したスラリーを用いた場合は全て○、製造例7~9で製造したスラリーを用いた場合は全て×であった。また、沈殿の発生の程度を数値化した評価においては、製造例1~6で製造したスラリーを用いた場合のピーク面積値は3.0以下であったのに対し、製造例7~9で製造したスラリーを用いた場合のピーク面積値は10を上回っていた。よって、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体やポリビニルピロリドンで表面修飾してパーマ処理剤に配合すると、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが安定に分散維持されたパーマ処理剤を得ることができることがわかった。
【0052】
試験例2:システアミンに対する吸着作用の評価
(評価方法)
製造例1~9で製造したスラリーのそれぞれ0.1mLを入れた遠沈管チューブに、水1.8mLを加え、室温で、よく振って均一な分散液とした後、濃度が5.86wt%のシステアミン水溶液0.1mLをさらに加え、30秒間よく振ってから、遠心分離処理を90秒間行った。その後、遠沈管チューブから上澄みを取り出してその235nmにおける吸光度を測定し、システアミン水溶液の濃度と吸光度の検量線から、上澄みのシステアミン濃度を求め、((0.293wt%-上澄みのシステアミン濃度)/0.293wt%)×100の計算式から、製造例1~9で製造したスラリーのそれぞれのシステアミンに対する吸着率(%)を算出した。なお、吸光度の測定は、コロナ電気社のコロナ吸光グレーティングマイクロプレートリーダSH-1000を用いて行った。
【0053】
(評価結果)
結果を表2に示す。表2から明らかなように、製造例1~9で製造したスラリーのいずれもが、システアミンに対する高い吸着率を有しており、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、表面修飾剤で表面修飾したことによるシステアミンに対する吸着率の低下は認められなかった。
【0054】
参考例1:製造例1~9で製造したスラリーのゼータ電位
大塚電子社のゼータ電位・粒径・分子量測定システム(ELSZ-2000ZS)で測定した。結果を表2に示す。一般に、ゼータ電位の絶対値が大きいほど静電反発力が大きく分散安定性が高い。事実、製造例7で製造したスラリーは、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが均一に分散したスラリーであるが、そのゼータ電位の絶対値は30mV以上である。しかしながら、こうして銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが均一に分散したスラリーであっても、各種の成分、とりわけポリクオタニウム-11のようなカチオン性高分子を含むパーマ処理剤に配合されると、負の電荷を帯びている銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカと、パーマ処理剤に含まれるカチオン性成分の間で、電荷の打ち消し合いが起こり、その結果、両者が吸着することなどによって架橋され、凝集して集塊化することで沈殿が生じる(試験例1において用いた第2剤試験液にはポリクオタニウム-11が配合されている)。これに対し、製造例1~6で製造したスラリーは、いずれのゼータ電位の絶対値も、製造例7で製造したスラリーのゼータ電位の絶対値に比較して小さく、静電反発力が小さいにもかかわらず、スラリー中で分散安定性が高いのは、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面に存在するビニルピロリドンユニットを含有する重合体が有する高い立体障害性による反発力に起因すると考えられ、この反発力が、パーマ処理剤に配合された後においても、パーマ処理剤に含まれる成分と凝集して集塊化することを阻害することで、分散安定性の維持に寄与していると考えられる。製造例8,9で製造したスラリーが、パーマ処理剤に配合された後に分散安定性を維持することができないのは、用いた表面修飾剤が、ビニルピロリドンユニットを含有する重合体のように高い立体障害性による反発力をもたらさない化学構造であるからと考えられる。
【0055】
【0056】
試験例3:パーマ処理剤(第1剤)の実用性の評価(その1)
(評価方法)
システアミン塩酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表3に示す各種の組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表3に示す組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を評価した。毛髪の不快残臭に対する消臭効果の評価は、以下の基準に基づいて、タオルドライ後(濡れた状態の毛髪)、ドライ後(乾いた状態の毛髪)、施術翌日のそれぞれにおいて行った。
◎◎ : 不快残臭を全く感じずよい香りがする
◎ : 不快残臭を全く感じない
○ : 不快残臭がごく僅かにするが許容範囲である
△ : 不快残臭がする
× : 不快残臭が強い
また、毛髪の質感の評価は、施術後の仕上がりの指通りの良し悪しで行った。さらに、第1剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。
【0057】
(評価結果)
結果を表3に示す。表3から明らかなように、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例1~7の第1剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと(ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が、実施例1、3~7においては0.035wt%、実施例2においては0.14wt%となるように配合)、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られ、その効果は施術翌日まで持続した。また、毛髪の質感も優れていた。この要因としては、ポリビニルピロリドンが表面に存在することによる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面の粗さの軽減や毛髪との間で発生し得る静電気の軽減などが考えられた。ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、臭気の消臭素材やマスキング素材として知られている、バラエキス含有粉末、サトウキビエキス含有液体、生薬エキス含有液体と組み合わせることで、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果の向上が認められ、全ての素材と組み合わせた実施例3の第1剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、優れた効果が得られた。また、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例1~7の第1剤モデル液は、製造例2で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが、ポリビニルピロリドンで表面修飾されているため、ポリクオタニウム-11が配合されているにもかかわらず、調製した際の沈殿の発生は認められなかった。製造例2で製造したスラリーも、製造例7で製造したスラリーも、植物エキスも、配合していない比較例1の第1剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は得られなかった。製造例7で製造したスラリーを配合した比較例2の第1剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られたが、製造例7で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカは、ポリビニルピロリドンで表面修飾されていないため、毛髪の質感が優れたものではなった。また、第1剤モデル液を調製した際、沈殿の発生が認められた。製造例2で製造したスラリーのかわりに、バラエキス含有粉末を配合した比較例3の第1剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が認められたが、消臭効果の持続性は、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例1~7の第1剤モデル液を用いたパーマ施術の効果に及ぶものではなかった。製造例2で製造したスラリーのかわりに、サトウキビエキス含有液体を配合した比較例4の第1剤モデル液を用いたパーマ施術を行った場合の施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は、全ての評価時点で、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例1~7の第1剤モデル液を用いたパーマ施術の効果よりも劣った。
【0058】
【0059】
試験例4:パーマ処理剤(第2剤)の実用性の評価(その1)
(評価方法)
システアミン塩酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、精製水を用いて室温で調製した、表4に示す組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表4に示す各種の組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を評価した。毛髪の不快残臭に対する消臭効果の評価は、以下の基準に基づいて、タオルドライ後(濡れた状態の毛髪)、ドライ後(乾いた状態の毛髪)、施術翌日のそれぞれにおいて行った。
◎◎ : 不快残臭を全く感じずよい香りがする
◎ : 不快残臭を全く感じない
○ : 不快残臭がごく僅かにするが許容範囲である
△ : 不快残臭がする
× : 不快残臭が強い
また、毛髪の質感の評価は、施術後の仕上がりの指通りの良し悪しで行った。さらに、第2剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の有無を評価した。
【0060】
(評価結果)
結果を表4に示す。表4から明らかなように、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例8~14の第2剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと(ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が、実施例8、10~14においては0.035wt%、実施例9においては0.14wt%となるように配合)、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られ、その効果は施術翌日まで持続した。また、毛髪の質感も優れていた。この要因としても、ポリビニルピロリドンが表面に存在することによる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面の粗さの軽減や毛髪との間で発生し得る静電気の軽減などが考えられた。特筆すべきは、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果の持続性が、試験例3における、製造例2で製造したスラリーを配合した第1剤モデル液を用いたパーマ施術の効果よりも優れている点であった。ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、臭気の消臭素材やマスキング素材として知られている、バラエキス含有粉末、サトウキビエキス含有液体、生薬エキス含有液体と組み合わせることで、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果の向上が認められ、全ての素材と組み合わせた実施例10の第2剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、優れた効果が得られた。また、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例8~14の第2剤モデル液は、製造例2で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが、ポリビニルピロリドンで表面修飾されているため、ポリクオタニウム-11が配合されているにもかかわらず、調製した際の沈殿の発生は認められなかった。製造例2で製造したスラリーも、製造例7で製造したスラリーも、植物エキスも、配合していない比較例5の第2剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は得られなかった。製造例7で製造したスラリーを配合した比較例6の第2剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られたが、製造例7で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカは、ポリビニルピロリドンで表面修飾されていないため、毛髪の質感が優れたものではなった。また、第2剤モデル液を調製した際、沈殿の発生が認められた。製造例2で製造したスラリーのかわりに、バラエキス含有粉末を配合した比較例7の第2剤モデル液を用いてパーマ施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が認められたが、消臭効果の持続性は、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例8~14の第2剤モデル液を用いたパーマ施術の効果に及ぶものではなかった。製造例2で製造したスラリーのかわりに、サトウキビエキス含有液体を配合した比較例8の第2剤モデル液を用いたパーマ施術を行った場合の施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は、全ての評価時点で、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例8~14の第2剤モデル液を用いたパーマ施術の効果よりも劣った。
【0061】
【0062】
試験例5:パーマ処理剤(第1剤)の実用性の評価(その2)
チオグリコール酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表5に示す各種の組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表5に示す組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例3において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第1剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。結果を表5に示す。表5から明らかなように、還元剤としてチオグリコール酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第1剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第1剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0063】
【0064】
試験例6:パーマ処理剤(第1剤)の実用性の評価(その3)
L-システイン、チオグリコール酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表6に示す各種の組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表6に示す組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例3において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第1剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。結果を表6に示す。表6から明らかなように、還元剤としてL-システインとチオグリコール酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第1剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第1剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0065】
【0066】
試験例7:パーマ処理剤(第1剤)の実用性の評価(その4)
チオ乳酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表7に示す各種の組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表7に示す組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例3において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第1剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。結果を表7に示す。表7から明らかなように、還元剤としてチオ乳酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第1剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第1剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0067】
【0068】
試験例8:パーマ処理剤(第1剤)の実用性の評価(その5)
ブチロラクトンチオール、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表8に示す各種の組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表8に示す組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例3において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第1剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。結果を表8に示す。表8から明らかなように、還元剤としてブチロラクトンチオールを用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第1剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第1剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0069】
【0070】
試験例9:パーマ処理剤(第2剤)の実用性の評価(その2)
チオグリコール酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、精製水を用いて室温で調製した、表9に示す組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表9に示す各種の組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例4において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第2剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の有無を評価した。結果を表9に示す。表9から明らかなように、還元剤としてチオグリコール酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第2剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第2剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0071】
【0072】
試験例10:パーマ処理剤(第2剤)の実用性の評価(その3)
L-システイン、チオグリコール酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、精製水を用いて室温で調製した、表10に示す組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表10に示す各種の組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例4において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第2剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の有無を評価した。結果を表10に示す。表10から明らかなように、還元剤としてL-システインとチオグリコール酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第2剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第2剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0073】
【0074】
試験例11:パーマ処理剤(第2剤)の実用性の評価(その4)
チオ乳酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、28%アンモニア水、精製水を用いて室温で調製した、表11に示す組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表11に示す各種の組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例4において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第2剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の有無を評価した。結果を表11に示す。表11から明らかなように、還元剤としてチオ乳酸を用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第2剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第2剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0075】
【0076】
試験例12:パーマ処理剤(第2剤)の実用性の評価(その5)
ブチロラクトンチオール、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、水酸化ナトリウム、精製水を用いて室温で調製した、表12に示す組成の第1剤モデル液と、臭素酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、89%リン酸、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表12に示す各種の組成の第2剤モデル液を用い、アリミノ社が公開しているパーマ施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束をパーマ施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を、試験例4において採用した評価方法と同じ方法で評価した。さらに、第2剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の有無を評価した。結果を表12に示す。表12から明らかなように、還元剤としてブチロラクトンチオールを用いた場合においても、製造例2で製造したスラリーを配合した第2剤モデル液を用いてパーマ施術すると、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感に優れること、第2剤モデル液を調製した際に沈殿の発生が認められないことを確認することができた。
【0077】
【0078】
試験例13:酸熱トリートメント処理剤の実用性の評価
(評価方法)
グリオキシロイルカルボシステイン、グリオキシロイルケラチンアミノ酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム液、水酸化ナトリウム、ポリクオタニウム-11、バラエキス含有粉末(ガリカバラエキスの含量が10wt%である大洋香料社のローズクリーン)、サトウキビエキス含有液体(サトウキビ抽出物の含量が0.02wt%である三井製糖社のさとうきび抽出物MSX-245)、生薬エキス含有液体(混合植物(5種類の生薬:当帰、芍薬、センキュウ、地黄、生姜)抽出物の含量が1.11wt%である小川香料社の混合植物エキスOG-D1)、製造例2で製造したスラリー、製造例7で製造したスラリー、精製水を用いて室温で調製した、表13に示す各種の組成の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用い、アリミノ社が公開している酸熱トリートメント施術プロセスに従って、日本人の毛髪の毛束を酸熱トリートメント施術し、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果と質感を評価した。毛髪の不快残臭に対する消臭効果の評価は、以下の基準に基づいて、タオルドライ後(濡れた状態の毛髪)、ドライ・アイロン後(乾いた状態の毛髪)、施術翌日のそれぞれにおいて行った。
◎◎ : 不快残臭を全く感じずよい香りがする
◎ : 不快残臭を全く感じない
○ : 不快残臭がごく僅かにするが許容範囲である
△ : 不快残臭がする
× : 不快残臭が強い
また、毛髪の質感の評価は、施術後の仕上がりの指通りの良し悪しで行った。さらに、酸熱トリートメント処理剤モデル液を調製した際に、その外観を目視し、沈殿の発生の有無を評価した。
【0079】
(評価結果)
結果を表13に示す。表13から明らかなように、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例71~76の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いて酸熱トリートメント施術を行うと(ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が、実施例71、73~76においては0.035wt%、実施例72においては0.14wt%となるように配合)、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られ、その効果は施術翌日まで持続した。また、毛髪の質感も優れていた。この要因としては、ポリビニルピロリドンが表面に存在することによる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面の粗さの軽減や毛髪との間で発生し得る静電気の軽減などが考えられた。ポリビニルピロリドンで表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、臭気の消臭素材やマスキング素材として知られている、バラエキス含有粉末、サトウキビエキス含有液体、生薬エキス含有液体と組み合わせることで、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果の向上が認められ、全ての素材と組み合わせた実施例73の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いて酸熱トリートメント施術を行うと、優れた効果が得られた。また、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例71~76の酸熱トリートメント処理剤モデル液は、製造例2で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカが、ポリビニルピロリドンで表面修飾されているため、ポリクオタニウム-11が配合されているにもかかわらず、調製した際の沈殿の発生は認められなかった。製造例2で製造したスラリーも、製造例7で製造したスラリーも、植物エキスも、配合していない比較例41の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いて酸熱トリートメント施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は得られなかった。製造例7で製造したスラリーを配合した比較例42の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いて酸熱トリートメント施術を行うと、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果が得られたが、製造例7で製造したスラリーに含まれる銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカは、ポリビニルピロリドンで表面修飾されていないため、毛髪の質感が優れたものではなった。また、酸熱トリートメント処理剤モデル液を調製した際、沈殿の発生が認められた。製造例2で製造したスラリーのかわりに、サトウキビエキス含有液体を配合した比較例43の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いた酸熱トリートメント施術を行った場合、生薬エキス含有液体を配合した比較例44の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いた酸熱トリートメント施術を行った場合、バラエキス含有粉末と生薬エキス含有液体を配合した比較例45の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いた酸熱トリートメント施術を行った場合、いずれの場合においても、施術後の毛髪の不快残臭に対する消臭効果は、全ての評価時点で、製造例2で製造したスラリーを配合した実施例71~76の酸熱トリートメント処理剤モデル液を用いた酸熱トリートメント施術の効果よりも劣った。
【0080】
【0081】
試験例14:シャンプー剤の実用性の評価(その1)
アリミノ社のシャンプー剤であるシェルパ デザインサプリ シャンプー D-1に、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。各種の市販されているパーマ処理剤または酸熱トリートメント処理剤を用いて処理した毛髪に対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したシェルパ デザインサプリ シャンプー D-1を、アリミノ社が推奨する、シェルパ デザインサプリ シャンプー D-1の使用方法に従って用いたところ、いずれの場合も、施術後の毛髪の不快残臭を全く感じず、毛髪の質感も優れていた。
【0082】
試験例15:シャンプー剤の実用性の評価(その2)
アリミノ社のシャンプー剤であるクオライン スリムバランサー シャンプーに、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。各種の市販されているパーマ処理剤または酸熱トリートメント処理剤を用いて処理した毛髪に対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したクオライン スリムバランサー シャンプーを、アリミノ社が推奨する、クオライン スリムバランサー シャンプーの使用方法に従って用いたところ、いずれの場合も、施術後の毛髪の不快残臭を全く感じず、毛髪の質感も優れていた。
【0083】
試験例16:トリートメント剤の実用性の評価
アリミノ社のトリートメント剤であるクオライン スリムバランサー トリートメントに、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。各種の市販されているパーマ処理剤または酸熱トリートメント処理剤を用いて処理した毛髪に対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したクオライン スリムバランサー トリートメントを、アリミノ社が推奨する、クオライン スリムバランサー トリートメントの使用方法に従って用いたところ、いずれの場合も、施術後の毛髪の不快残臭を全く感じず、毛髪の質感も優れていた。
【0084】
試験例17:スタイリング剤の実用性の評価(その1)
アリミノ社のスタイリング剤であるBSスタイリング バウンシー ベースウォーターに、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。各種の市販されているパーマ処理剤または酸熱トリートメント処理剤を用いて処理した毛髪に対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したBSスタイリング バウンシー ベースウォーターを、アリミノ社が推奨する、BSスタイリング バウンシー ベースウォーターの使用方法に従って用いたところ、いずれの場合も、施術後の毛髪の不快残臭を全く感じず、毛髪の質感も優れていた。
【0085】
試験例18:スタイリング剤の実用性の評価(その2)
アリミノ社のスタイリング剤であるピース プロデザインシリーズ カールミルクに、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。各種の市販されているパーマ処理剤または酸熱トリートメント処理剤を用いて処理した毛髪に対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したピース プロデザインシリーズ カールミルクを、アリミノ社が推奨する、ピース プロデザインシリーズ カールミルクの使用方法に従って用いたところ、いずれの場合も、施術後の毛髪の不快残臭を全く感じず、毛髪の質感も優れていた。
【0086】
試験例19:サロンにおける実用性の評価(その1)
(評価方法)
アリミノ社の第2剤であるコスメカールアフターローション(バラエキス、サトウキビエキス、生薬エキスを全て配合)に、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。サロンモデルの頭髪を左右半分に分け、一方は、第1剤処理を行った後、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したコスメカールアフターローションを用いて第2剤処理を行い、他方は、第1剤処理を行った後、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合していないコスメカールアフターローションを用いて第2剤処理を行った。第1剤は、アリミノ社のコスメカールH(還元剤:システアミン)を用いた。パーマ施術の具体的な方法は、アリミノ社が公開しているコスメカールを用いる基本プロセスに従った。
【0087】
(評価結果)
ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合していないコスメカールアフターローションを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪からは、システアミンやその分解物が発する硫黄含有臭気が認められた。これに対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したコスメカールアフターローションを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪からは、システアミンやその分解物が発する硫黄含有臭気は認められなかった。以上の結果から、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、第2剤に配合することによる、システアミンやその分解物が発する硫黄含有臭気の消臭効果を確認することができた。また、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したコスメカールアフターローションを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪は、指通りのよい質感に優れるものであった。この要因としては、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体が表面に存在することによる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面の粗さの軽減や毛髪との間で発生し得る静電気の軽減などが考えられた。
【0088】
試験例20:サロンにおける実用性の評価(その2)
(評価方法)
アリミノ社の第2剤であるクオラインOX(バラエキス、サトウキビエキス、生薬エキスが全て不配合)に、製造例1で製造したスラリーを室温で添加し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、その含量が0.025wt%となるように配合した(配合による沈殿の生成は認められなかった)。サロンモデルの頭髪を左右半分に分け、一方は、第1剤処理を行った後、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したクオラインOXを用いて第2剤処理を行い、他方は、第1剤処理を行った後、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合していないクオラインOXを用いて第2剤処理を行った。第1剤は、アリミノ社のクオラインCA-T200(還元剤:システアミンとチオグリコール酸)を用いた。パーマ施術の具体的な方法は、アリミノ社が公開しているクオラインを用いる基本プロセスに従った。
【0089】
(評価結果)
ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合していないクオラインOXを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪からは、システアミンとチオグリコール酸やこれらの分解物が発する硫黄含有臭気が認められた。これに対し、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したクオラインOXを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪からは、システアミンとチオグリコール酸やこれらの分解物が発する硫黄含有臭気は認められなかった。以上の結果から、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを、第2剤に配合することによる、システアミンとチオグリコール酸やこれらの分解物が発する硫黄含有臭気の消臭効果を確認することができた。また、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体で表面修飾されてなる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカを配合したクオラインOXを用いてパーマ施術を行った方の施術後の毛髪は、指通りのよい質感に優れるものであった。この要因としても、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体が表面に存在することによる、銅とアルミニウムがドープされたメソポーラスシリカの表面の粗さの軽減や毛髪との間で発生し得る静電気の軽減などが考えられた。
本発明は、パーマ施術後などの毛髪の消臭効果と質感に優れる、銅がドープされた多孔質シリカが、安定に分散維持されるように配合された、毛髪処理剤を提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。