(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091737
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】蒸着装置及びそれを含む表示パネルの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220614BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H01L21/68 R
C23C14/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199572
(22)【出願日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0171107
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】ベク ギュンミン
(72)【発明者】
【氏名】サン ヒョナ
(72)【発明者】
【氏名】シン ヒョノク
(72)【発明者】
【氏名】カン ナムウク
(72)【発明者】
【氏名】ユ ドソン
(72)【発明者】
【氏名】リ ユジョン
【テーマコード(参考)】
4K029
5F131
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029CA01
4K029DA08
4K029JA01
5F131AA03
5F131BA19
5F131BA33
5F131BA43
5F131CA03
5F131DA02
5F131DA09
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5F131EB11
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5F131EB61
5F131EB62
5F131EB63
5F131EB64
5F131EB78
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板がチャッキングされる面の温度不均一が解消される蒸着装置及びそれを含む表示パネルの製造装置を提供する。
【解決手段】蒸着装置は、複数のサセプタ孔SC-OPが定義されたサセプタSCと、サセプタの上に配置され、複数の静電チャック孔ESC-OPが定義された静電チャックESCと、サセプタSC及び静電チャックESCを貫通して連結する複数のピンPNと、を含む。複数のピンPNの夫々は、複数の静電チャック孔ESC-OPの内部に配置される第1部分PN1と、複数のサセプタ孔の内部に配置される第2部分PN2と、を含む。第1部分PN1は、第1ベース部BS-PN1と、第1ベース部BS-PN1の内部に配置される第1クーラーCL-PN1と、を含むことで、蒸着装置の上部の温度が均一に維持されて、蒸着装置によって製造される薄膜にシミなどの不良が発生することを防止する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサセプタ孔が定義されたサセプタと、
前記サセプタの上に配置され、複数の静電チャック孔が定義された静電チャックと、
前記サセプタ及び前記静電チャックを貫通して連結する複数のピンと、を含み、
前記複数のピンのそれぞれは、
前記複数の静電チャック孔の内部に配置される第1部分と、
前記複数のサセプタ孔の内部に配置される第2部分と、を含み、
前記第1部分は、
第1ベース部と、
前記第1ベース部の内部に配置される第1クーラーと、を含む蒸着装置。
【請求項2】
前記第2部分は、第2ベース部と、
前記第2ベース部の内部に配置される第2クーラーと、を含む請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記静電チャックは、
チャック体と、
前記チャック体の上に配置される第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置される複数の電極と、
前記複数の電極の上に配置される第2絶縁層と、を含む請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記第1部分は、
複数のピン絶縁層と、前記複数のピン絶縁層の間に配置される複数のピン電極と、を含む請求項3に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記複数のピン電極及び前記複数の電極は個別に駆動する請求項4に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記第2部分はセラミックまたは金属を含む請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記サセプタの下部に配置されて前記サセプタを間に挟んで前記静電チャックと離隔されるプレートを更に含み、
前記複数のピンは前記プレートの上面から突出される請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記プレートは内部に配置されるプレートクーラーを含む請求項7に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記プレートの下部に配置され、前記プレート、前記サセプタ、及び前記静電チャックの角度を変更する駆動部を更に含む請求項7に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記サセプタは、
サセプタ本体と、
前記サセプタ本体の内部に配置されるピーターと、を含む請求項1に記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置及びそれを含む表示パネルの製造装置に関し、より詳しくは、シミなどの不良が防止された薄膜を製造することができる蒸着装置及びそれを含む表示パネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、及びスマートテレビなどのような電子装置が開発されている。このような装置は情報を提供するために表示装置を備える。表示装置は基板の表面に所定物質の薄膜を形成する薄膜蒸着(deposition)工程、薄膜の選択された一部を露出されるフォトリソグラフィ(photo-lithography)工程、薄膜の露出部分を除去して目的する形態にパターニング(patterning)する乾式または湿式エッチング(etching)工程が数回繰り返されるが、このうち薄膜蒸着工程をはじめとする乾式エッチング工程などは通常密閉された工程チェンバ(process chamber)内で行われ、それぞれの工程チェンバ内には基板を固定するための静電チャック(electrostatic chuck)と、工程温度を調節するためのクーラーなどが設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は基板がチャッキングされる面の温度不均一が解消される蒸着装置及びそれを含む表示パネルの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施例による蒸着装置は、複数のサセプタ孔が定義されたサセプタと、前記サセプタの上に配置され、複数の静電チャック孔が定義された静電チャックと、前記サセプタ及び前記静電チャックを貫通して連結する複数のピンと、を含み、前記複数のピンのそれぞれは、前記複数の静電チャック孔の内部に配置される第1部分と、前記複数のサセプタ孔の内部に配置される第2部分と、を含み、前記第1部分は、第1ベース部と、前記第1ベース部の内部に配置される第1クーラーと、を含む。
【0005】
前記第2部分は、第2ベース部と、前記第2ベース部の内部に配置される第2クーラーと、を含む。
【0006】
前記静電チャックは、チャック体と、前記チャック体の上に配置される第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置される複数の電極と、前記複数の電極の上に配置される第2絶縁層と、を含む。
【0007】
前記第1部分は、複数のピン絶縁層と、前記複数のピン絶縁層の間に配置される複数のピン電極と、を含む。
【0008】
前記複数のピン電極及び前記複数の電極は個別に駆動する。
【0009】
前記第2部分はセラミックまたは金属を含む。
【0010】
本発明の一実施例による蒸着装置は、前記サセプタの下部に配置されて前記サセプタを間に挟んで前記静電チャックと離隔されるプレートを更に含み、前記複数のピンは前記プレートの上面から突出される。
【0011】
前記プレートは内部に配置されるプレートクーラーを含む。
【0012】
本発明の一実施例による蒸着装置は、前記プレートの下部に配置され、前記プレート、前記サセプタ、及び前記静電チャックの角度を変更する駆動部を更に含む。
【0013】
前記サセプタは、サセプタ本体と、前記サセプタ本体の内部に配置されるピーターと、を含む。
【0014】
前記静電チャックは、静電チャックベース部と、前記静電チャックベース部の内部に配置される静電チャッククーラーと、を含む。
【0015】
前記第1クーラー及び前記静電チャッククーラーは個別に駆動する。
【0016】
前記第1クーラーは、クーリングラインと、前記クーリングラインの内部を循環する冷媒または冷却ガスと、を含む。
【0017】
本発明の一実施例による蒸着装置は、上部方向に突出される複数のピンを含むプレートと、前記プレートの上に配置され、前記複数のピンによって貫通されるサセプタと、前記サセプタの上に配置され、前記複数のピンによって貫通される静電チャックと、を含み、前記複数のピンのそれぞれは、第1ベース部と、前記第1ベース部の内部に配置される第1クーラーと、を含み、前記第1ベース部は、複数のピン絶縁層と、前記複数のピン絶縁層の間に配置される複数のピン電極と、を含む。
【0018】
前記第1ベース部及び前記第1クーラーは、前記上部方向と交差する一方向で前記静電チャックと重畳する。
【0019】
前記静電チャックに複数のピンが配置される静電チャック孔が定義され、前記静電チャック孔の内に前記第1ベース部及び前記第1クーラーが配置される。
【0020】
本発明の一実施例による表示パネル製造装置は、チェンバと、前記チャックの内部に配置され、蒸着物質を噴射する蒸着ヘッドと、前記蒸着ヘッドの下部に配置され、対象基板を支持する支持部材と、を含み、前記支持部材は、複数のサセプタ孔が定義されたサセプタと、前記サセプタの上に配置され、複数の静電チャック孔が定義された 静電チャックと、前記サセプタ及び前記静電チャックを貫通して連結する複数のピンと、を含み、前記複数のピンのそれぞれは、前記複数の静電チャック孔の内部に配置される第1部分と、前記複数のサセプタ孔の内部に配置される第2部分と、を含み、前記第1部分は、第1ベース部と、前記第1ベース部の内部に配置される第1クーラーと、を含む。
【0021】
本発明の一実施例による表示パネル製造装置は、前記支持部材と前記蒸着ヘッドとの間に配置されるマスクを更に含む。
【0022】
前記対象基板は前記静電チャックの上に配置されて支持され、前記支持部材は前記対象基板を所定角度に傾かせてチャッキングする駆動部を更に含む。
【0023】
前記支持部材は、前記サセプタの下部に配置されて前記サセプタを間に挟んで前記静電チャックと離隔されるプレートを更に含み、前記複数のピンは前記プレートの上面から突出される。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施例による蒸着装置では、基板がチャッキングされる静電チャックにクーラーを含むだけでなく、静電チャックに定義された孔に挿入されるリフトピンの上部にもクーラーを含むことで、基板がチャッキングされる面の温度不均一が解消され、それによって形成される薄膜に温度不均一によるシミなどが発生することが防止されて、表示パネルの信頼性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例による蒸着装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による蒸着装置を示す分解斜視図である。
【
図3a】本発明の一実施例による基板及び蒸着装置を示す斜視図である。
【
図3b】本発明の一実施例による基板及び蒸着装置を示す斜視図である。
【
図3c】本発明の一実施例による基板及び蒸着装置を示す斜視図である。
【
図3d】本発明の一実施例による基板及び蒸着装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例による静電チャックの断面図である。
【
図5】本発明の一実施例による蒸着装置の断面図である。
【
図6】本発明の一実施例による蒸着装置の一部分の断面図である。
【
図7】本発明の一実施例による蒸着装置の一部分の断面図である。
【
図8】本発明の他の実施例による蒸着装置の断面図である。
【
図9】一実施例による蒸着装置のうち一部の構成を示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施例による表示パネル製造装置の断面図である。
【
図11】本発明の一実施例による表示パネル製造装置によって処理される対象基板の断面図である。
【
図12a】本発明の一実施例による蒸着装置によって製造される薄膜の撮像画像である。
【
図12b】比較例の蒸着装置によって製造される薄膜の撮像画像である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、「連結される」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0027】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0028】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0029】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0030】
「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0031】
以下、図面を参照して本発明の一実施例による蒸着装置及びそれによる表示パネルの製造方法について説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による蒸着装置を示す斜視図である。
図2は、本発明の一実施例による蒸着装置を示す分解斜視図である。
【0033】
図1及び
図2を参照すると、蒸着装置はEAは、プレートPTと、プレートPTの上に配置されるサセプタSCと、サセプタSCの上に配置される静電チャックESCとを含む。静電チャックESCはサセプタSCに定義された所定の空間SCに埋め立てられる形状を有する。静電チャックESCはサセプタSCの上部に定義された所定の空間のSCに埋め立てられて、サセプタSCを間に挟んでプレートPTと離隔される。
【0034】
静電チャックESCは静電気誘導現象を利用して静電力を形成し、蒸着工程の基板SUBをチャッキング(chucking)またはデチャッキング(dechucking)する。
【0035】
静電チャックESCは基板SUBを処理する工程を行うために基板SUBをチャッキングさせ、基板SUBが加工された後、次のステップの加工のためにデチャッキングされる過程を繰り返す。
【0036】
静電チャックESCは、静電チャックESCの上部に配置される基板SUBをチャッキングする。但し、これに限らず、基板SUBを重力の反対方向、または垂直方向など多様な方向にチャッキングしてもよい。基板SUBは、画素定義膜PDLが上を向くように配置されて加工される。例えば、静電チャックESCの上部に蒸着物質を含む蒸着源が配置されてもよい。
【0037】
蒸着物質は、例えば、発光層を構成する発光物質であってもよい。但し、蒸着物質はスパッタ(sputter)などの蒸着工程を介して蒸着可能な物質であれば制限されずに選択される。例えば、蒸着物質は電極を形成する金属物質であるか、絶縁層を形成する有機物質または無機物質であってもよい。
【0038】
サセプタSCは内部に配置される静電チャックESCの温度を制御し、静電チャックESC及びそれにチャッキングされた基板SUBを様々な角度で配置する構成である。静電チャックESCはサセプタSCの上に配置される。より詳しくは、サセプタSCの上部に定義される所定の空間SC-H内に静電チャックESCが設置される。
【0039】
サセプタSCの内部には、蒸着工程を実行中の基板SUBの温度を制御するためのヒーターが設置される。または、サセプタSCの内部には基板SUBの温度を制御するために冷媒用の流路が設置されるか、サセプタSCの熱を基板に効率的に伝達するためにバックサイドガス、例えば、ヘリウムガスを供給するための流路が設置されてもよい。サセプタSCに設置される流路を介してヘリウムガスが静電チャックESCと基板SUBの界面側に伝達される。
【0040】
サセプタSCは金属を含む。例えば、サセプタSCはアルミニウムを含んでもよい。
【0041】
プレートPTはサセプタSCの下部に配置され、プレートPT本体の上面から突出される複数のピンPNを含む。プレートPTの本体はサセプタSC及び静電チャックESCを支持する。プレートPTは、例えば、セラミックまたは金属を含んでもよい。
【0042】
サセプタSC及び静電チャックESCのそれぞれには貫通孔が定義され、プレートPTから突出される複数のピンPNがサセプタSC及び静電チャックESCのそれぞれに定義された貫通孔を通過するように配置される。貫通孔は複数のピンPNに対応して定義される。
図2では11個のピンPNがサセプタSC及び静電チャックESCを貫通するように配列されることを例示的に示しているが、これに限らず、複数のピンPNの個数及び配列は蒸着対象である基板SUBのサイズ及び形態などによって異なり得る。
【0043】
サセプタSCには複数のサセプタ孔SC-OPが定義され、静電チャックESCには複数の静電チャック孔ESC-OPが定義される。プレートPTから突出される複数のピンPNは、サセプタSCに定義された複数のサセプタ孔SC-OP、及び静電チャックESCに定義された複数の静電チャック孔ESC-OPを介して少なくとも一部が静電チャックESCの上面の上に突出される。それによって、複数のピンPNの上に蒸着工程処理前の基板SUBが支持され、複数のピンPNが下降することで基板SUBが静電チャックESCの上に配置される。次に、蒸着工程が終了された基板SUBに対しては複数のピンPNが上昇することで静電チャックESCから離れて、工程チェンバの外部に移送される。つまり、複数のピンPNは、基板SUBをローディング及びアンローディングするために利用される。
【0044】
図3a乃至
図3dは、本発明の一実施例による基板及び蒸着装置を示す斜視図である。
【0045】
図1及び
図3a乃至
図3dを参照すると、本発明の一実施例による蒸着装置EAは、静電チャックESCの上面に基板SUBを配置した後、駆動部DRPの駆動によって基板SUBを様々な方向にチャッキングする。駆動部DRPはプレートPTの下部に連結されて、プレートPT、サセプタSC、及び静電チャックESCの角度を変更する。駆動部DRPの動作によって、静電チャックESCの上面の方法と静電チャックESCにチャッキングされた基板SUBの方向が変更される。
【0046】
図1及び
図3aを参照すると、蒸着装置EAは基板SUBの上面が第1方向DR1に向かうようにチャッキングする。基板SUBは上面が第1方向DR1に向かうように配置され、蒸着工程によって加工される。
【0047】
図1、
図3b及び
図3cを参照すると、蒸着装置EAは基板SUBが所定の角度AG1、AG2に傾くようにチャッキングする。例えば、
図3bに示したように、蒸着装置EAは基板SUBを第1角度AG1に傾けてチャッキングしてもよい。第1角度AG1は第1方向DR1及び第2方向DR2が定義する平面に対して、基板SUBが接触する静電チャックESCの一面の角度である。第1角度AG1は鈍角である。基板SUBは静電チャックESCによってチャッキングされて、第1角度AG1に傾けられた状態で加工される。
【0048】
または、
図3cに示したように、蒸着装置EAは基板SUBを第2角度AG2に傾けてチャッキングしてもよい。第2角度AG2は第1方向DR1及び第2方向DR2が定義する平面に対する基板SUBが接触する静電チャックESCの一面の角度である。第2角度AG2は鋭角である。基板SUBは静電チャックESCによってチャッキングされて、第2角度AG2に傾けられた状態で加工される。
【0049】
または、
図3dに示したように、蒸着装置EAは基板SUBを重力の反対方向にチャッキングしてもよい。蒸着装置EAは基板SUBの上面が下を向くようにチャッキングする。基板SUBは静電チャックESCによってチャッキングされて、上面が第1方向DR1の反対側を向くように配置された後、蒸着工程によって加工される。
【0050】
図4は、本発明の一実施例による静電チャックの断面図である。
【0051】
図4を参照すると、静電チャックESCは、チャック体BSと、第1絶縁層IL1と、第2絶縁層IL2と、複数の正極PEと、複数の負極NEと、を含む。
【0052】
チャック体BSは、所定の剛性を有する物質を含んで静電チャックESCのベース骨格を提供する構成である。チャック体BSはセラミックを含む。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例によるチャック体BSの材料はこれに限らない。例えば、本発明の一実施例によるチャック体BSは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ステンレススチール、アルミナ(Al
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、または窒化アルミニウムを含んでもよい。一方、
図4ではチャック体BSが第1絶縁層IL1の下部に配置されていることを例示的に説明したが、これに限らず、チャック体BSは第2絶縁層IL2の上部に配置されてもよい。チャック体BSは基板SUB(
図1)に配置されるベース面を提供する構成である。
【0053】
第1絶縁層IL1はチャック体BSの上に配置される。第1絶縁層IL1は第2絶縁層IL2より耐熱性及び化学的安定性が高い物質を含む。例えば、第1絶縁層IL1は酸化イットリウム(Y2O3)を含んでもよい。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による第1絶縁層IL1の材料はこれに限らず、耐熱性及び化学的安定性を有する多様な物質を含んでもよい。
【0054】
第1絶縁層IL1の厚さは、チャック体BSの厚さより小さい。第1絶縁層IL1の厚さは80μm(マイクロメートル)~100μmである。チャック体BSの厚さは10mm~20mmである。
【0055】
第2絶縁層IL2は第1絶縁層IL1の上に配置される。第2絶縁層IL2は第1絶縁層IL1より熱伝導性及び誘電特性が高い物質を含む。例えば、第2絶縁層IL2はアルミナ(Al2O3)を含んでもよい。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による第2絶縁層IL2の材料はこれに限らず、熱伝導性を有する多様な物質を含んでもよい。
【0056】
第2絶縁層IL2の厚さは第1絶縁層IL1の厚さより大きい。第2絶縁層IL2の厚さは、チャック体BSの厚さより小さい。第2絶縁層IL2の厚さは110μm~150μmである。
【0057】
第1絶縁層IL1と第2絶縁層IL2との間には複数の電極PE、NEが配置される。複数の電極PE、NEは複数の正極PE及び複数の負極NEを含む。複数の正極PE及び複数の負極NEは第1絶縁層IL1と第2絶縁層IL2との間に配置される。第2絶縁層IL2は複数の正極PE及び複数の負極NEをカバーする。複数の正極PE及び複数の負極NEは互いに異なる極性を有する。複数の正極PE及び複数の負極NEは交互に配置される。
【0058】
複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれはタングステン(W)を含む。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれの材料はこれに限らない。例えば、複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれは銀(Ag)または銅(Cu)を含んでもよい。
【0059】
複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれは同じ厚さを有する。複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれの厚さは第1絶縁層IL1及び第2絶縁層IL2より小さい。複数の正極PE及び複数の負極NEのそれぞれの厚さは25μm~35μmである。
【0060】
複数の正極PEには正の直流電圧が印加される。複数の正極PEと基板SUBとの間には第1静電力が発生する。複数の負極NEには負の直流電圧が印加される。複数の負極NEと基板SUBとの間には第2静電力が発生する。前記第1静電力及び前記第2静電力は静電力である。本発明の一実施例による静電チャックESCはバイポーラ静電チャック(Bipolar Electrostatic Chuck)である。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による静電チャックESCの種類はこれに限らない。例えば、静電チャックESCはモノポーラ静電チャック(Monopolar Electrostatic Chuck)であってもよい。この場合、静電チャックESCの複数の正極PE及び複数の負極NEには同じ極性を有する直流電圧が印加される。
【0061】
複数の正極PEのそれぞれに前記正極の直流電圧が印加されたら、平面上から見た際、複数の正極PEのそれぞれと重畳する基板SUBの第1領域の上部部分は負の電位に帯電される。複数の正極PEと前記第1領域との間には電荷による静電力(Electrostatic Force)が発生する。
【0062】
複数の負極NEのそれぞれに前記負極の直流電圧が印加されたら、平面上から見た際、複数の負極NEのそれぞれと重畳する基板SUBの第2領域の上部部分は正の電位に帯電される。複数の負極NEと前記第2領域との間には電荷による静電力が発生する。
【0063】
図5は、本発明の一実施例による蒸着装置の断面図である。
図6及び
図7は、本発明の一実施例による蒸着装置の一部分の断面図である。
図8は、本発明の他の実施例による蒸着装置の断面図である。
図5では
図2のI-I’線に対応する断面を示している。
図6及び
図7では
図5のA領域を拡大して示している。
図8では
図2のI-I’線に対応する断面を示している。
【0064】
図2、
図5及び
図6を参照すると、一実施例の蒸着装置において、プレートPTから複数のピンPNが突出され、サセプタSC及び静電チャックESCは複数のピンPNによって結合される。複数のピンPNのうち少なくとも一部分の内部にはピンクーラーCL-PNが配置される。例えば、ピンクーラーCL-PNは第1部分PN1の内部に配置されてもよい。または、ピンクーラーCL-PNは第1部分PN1及び第2部分PN2のそれぞれの内部に配置されてもよい。
【0065】
複数のピンPNのそれぞれは第1部分PN1及び第2部分PNを含む。第1部分PN1は断面上で静電チャックESCと重畳する部分であり、第2部分PN2は断面上でサセプタSCと重畳する部分である。第1部分PN1は第1方向DR1(
図2)で静電チャックESCと重畳する部分であり、第2部分PN1は第1方向DR1でサセプタSCと重畳する部分である。つまり、第1部分PN1は静電チャックESCに定義された静電チャック孔ESC-OP内に配置される部分であり、第2部分PN2はサセプタSCに定義されたサセプタ孔SC-OP内に配置される部分である。
【0066】
静電チャックESCの内部には静電チャッククーラーCL-ESCが配置される。静電チャッククーラーCL-ESCは静電チャックベース部BS-ESCの内部に配置される。静電チャッククーラーCL-ESCは冷却物質が循環する経路を提供するクーリングラインである。静電チャッククーラーCL-ESC内には、例えば、クーリングラインと、クーリングラインの内部を循環する冷媒または冷却ガスを含んでもよい。静電チャッククーラーCL-ESCはガルデン(Galden)液などの溶媒や、アルゴンガスまたは水素ガスなどの冷却ガスが循環するクーリングラインである。静電チャッククーラーCL-ESCは、例えば、静電チャックESCのチャック体BS(
図4)の内部に配置されてもよい。
【0067】
複数のピンPNのうち第1部分PN1の内部には第1クーラーCL-PN1が配置される。第1部分PN1は第1ベース部BS-PN1を含み、第1ベース部BS-PN1の内部に第1クーラーCL-PN1が配置される。
【0068】
第1クーラーCL-PN1は冷却物質が循環する経路を提供するクーリングラインである。第1クーラーCL-PN1内には、例えば、クーリングラインと、クーリングラインの内部を循環する冷媒または冷却ガスを含んでもよい。第1クーラーCL-PN1はガルデン液などの溶媒や、アルゴンガスまたは水素ガスなどの冷却ガスが循環するクーリングラインである。
【0069】
第1クーラーCL-PN1及び静電チャッククーラーCL-ESCは個別に駆動する。つまり、第1クーラーCL-PN1を駆動する駆動部と、静電チャッククーラーCL-ESCを駆動する駆動部が別途に備えられる。第1クーラーCL-PN1及び静電チャッククーラーCL-ESCは独立に駆動され、複数のピンPN部分と静電チャックESC部分の温度が独立に制御される。但し、これに限らず、第1クーラーCL-PN1及び静電チャッククーラーCL-ESCが一つの駆動部を介して共に駆動されてもよい。
【0070】
複数のピンPNのうち第2部分PN2はプレートPTと同じ物質を含む。例えば、第2部分PN2はセラミックまたは金属を含んでもよい。第2部分PN2はプレートPTと一体の形状を有する。つまり、第2部分PN2はプレートPTの上面から上部方向に延長されるように形成される。
【0071】
一実施例の蒸着装置は、サセプタSCと静電チャックESCを固定し、基板SUBのローディング及びアンローディングのために利用される複数のピンPNを含み、複数のピンPNのそれぞれは内部に配置される第1クーラーCL-PN1を含む第1部分PN1と、プレートPTと同じ材料を含む第2部分PN2を含む。それによって、静電チャックESCが配置される領域と複数のピンPNが配置される領域の温度差が発生することを防止し、蒸着工程を介して形成される層にシミが発生することを防止することができる。
【0072】
従来の蒸着装置では蒸着工程の温度を調節するために、静電チャックの内部にクーラーを備えて対象基板に加えられる温度を下げていたが、複数のピンが配置される静電チャック孔部分にはクーラーが備えられず、静電チャック孔部分の温度が他の部分に比べ高くなるという問題が発生しており、温度差によって対象基板にシミが発生するという問題が発生していた。本発明の一実施例による蒸着装置は、複数のピンPNの第1部分PN1の内部に配置される第1クーラーCL-PN1を介して複数のピンPNが配置される静電チャック孔ESC-OP部分の温度も共に調節することができ、対象基板にシミが発生するという問題が防止される。それによって、蒸着装置によって製造される表示パネルの製品信頼性が向上される。
【0073】
図2、
図5及び
図7を共に参照すると、複数のピンPNのうち第2部分PN2の内部にもクーラーが配置される。第2部分PN2は第2ベース部BS-PN2を含み、第2ベース部BS-PN2の内部には第2クーラーCL-PN2が配置される。第2クーラーCL-PN2は冷却物質が循環する経路を提供するクーリングラインである。第2クーラーCL-PN2内には、例えば、クーリングラインと、クーリングラインの内部を循環する冷媒または冷却ガスを含んでもよい。第2クーラーCL-PN2はガルデン液などの溶媒や、アルゴンガスまたは水素ガスなどの冷却ガスが循環するクーリングラインである。
図7のように、第1クーラーCL-PN1と第2クーラーCL-PN2が一体の形状を有する。第1クーラーCL-PN1と第2クーラーCL-PN2は連結され、第2クーラーCL-PN2から第1クーラーCL-PN1が延長される形状を有する。但し、これに限らず、第1クーラーCL-PN1と第2クーラーCL-PN2は連結されずに、第1ベース部BS-PN1及びは第2ベース部BS-PN2のそれぞれに離隔されて配置されてもよい。
【0074】
図8を参照すると、一実施例の蒸着装置は、プレートPTの内部に配置されるプレートクーラーCL-PTを更に含む。プレートクーラーCL-PTは冷却物質が循環する経路を提供するクーリングラインである。プレートクーラーCL-PTはプレートPTの温度を下げて、蒸着工程で蒸着装置の温度が過度に上昇することを制御する。プレートクーラーCL-PT内には、例えば、クーリングラインと、クーリングラインの内部を循環する冷媒または冷却ガスを含んでもよい。プレートクーラーCL-PTはガルデン液などの溶媒や、アルゴンガスまたは水素ガスなどの冷却ガスが循環するクーリングラインである。プレートクーラーCL-PTはピンクーラーCL-PN及び静電チャッククーラーCL-ESCなどとは個別に駆動される。または、プレートクーラーCL-PTがピンクーラーCL-PN及び静電チャッククーラーCL-ESCのうち少なくとも一つと同じ駆動部を介して共に駆動されてもよい。
【0075】
図9は、一実施例による蒸着装置のうち一部の構成を示す断面図である。
図9ではプレートPTの一部分と、プレートPTの本体上部から突出される複数のピンPNのうちいずれか一つの断面を示している。
【0076】
図9を参照すると、一実施例による蒸着装置において、プレートPTから突出されるピンPNは第1部分PN1と第2部分PN2を含み、第1部分PN1はピン体部BS-Pと、複数のピン絶縁層IL1-P、IL2-Pと、複数のピン電極PE-P、NE-Pとを含む。
【0077】
ピン体部BS-Pは所定の剛性を有する物質を含む。ピン体部BS-Pはセラミックを含む。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例によピン体部BS-Pの材料はこれに限らない。例えば、本発明の一実施例によピン体部BS-Pは、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ステンレススチール、アルミナ(Al
2O
3)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、または窒化アルミニウムを含んでもよい。一方、
図9ではピン体部BS-Pが第1絶縁層IL1-Pの下部に配置されていることを例示的に説明したが、これに限らず、ピン体部BS-Pは第2ピン絶縁層IL2-Pの上部に配置されてもよい。ピン体部BS-Pは静電チャックESC(
図4)のチャック体BS(
図4)に対応する部分である。一実施例において、第1部分PN1の内部に配置される第1クーラーCL-PN1(
図6)はピン体部BS-Pの内部に配置される。
【0078】
第1ピン絶縁層IL1-Pはピン体部BS-Pの上に配置される。第1ピン絶縁層IL1-Pは第2ピン絶縁層IL2-Pより耐熱性及び化学的安定性が高い物質を含む。例えば、第1ピン絶縁層IL1-Pは酸化イットリウム(Y
2O
3)を含んでもよい。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による第1ピン絶縁層IL1-Pの材料はこれに限らず、耐熱性及び化学的安定性を有する多様な物質を含んでもよい。第1ピン絶縁層IL1-Pは静電チャックESC(
図4)の第1絶縁層IL1(
図4)に対応する部分である。
【0079】
第2ピン絶縁層IL2-Pは第1ピン絶縁層IL1-Pの上に配置される。第2ピン絶縁層IL2-Pは第1ピン絶縁層IL1-Pより熱伝導性及び誘電特性が高い物質を含む。例えば、第2ピン絶縁層IL2-Pはアルミナ(Al
2O
3)を含んでもよい。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による第2ピン絶縁層IL2-Pの材料はこれに限らず、熱伝導性を有する多様な物質を含んでもよい。第2ピン絶縁層IL2-Pは静電チャックESC(
図4)の第2絶縁層IL2(
図4)に対応する部分である。
【0080】
第1ピン絶縁層IL1-Pと第2ピン絶縁層IL2-Pとの間には複数のピン電極PE-P、NE-Pが配置される。複数のピン電極PE-P、NE-Pは複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pを含む。複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pは第1ピン絶縁層IL1-Pと第2ピン絶縁層IL2-Pとの間に配置される。第2ピン絶縁層IL2-Pは複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-PEをカバーする。複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pは互いに異なる極性を有する。複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pは交互に配置される。
【0081】
複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pのそれぞれはタングステン(W)を含む。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pのそれぞれの材料はこれに限らない。例えば、複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pのそれぞれは銀(Ag)または銅(Cu)を含んでもよい。
【0082】
複数のピン正極PE-Pには正の直流電圧が印加される。複数のピン正極PE-Pと基板SUBとの間には第1静電力が発生する。複数のピン負極NE-Pには負の直流電圧が印加される。複数のピン負極NE-Pと基板SUBとの間には第2静電力が発生する。前記第1静電力及び前記第2静電力は静電力である。第1部分PN1はバイポーラ静電チャックである。但し、これは例示的なものであって、第1部分PN1はモノポーラ静電チャックであってもよい。この場合、第1部分PN1の複数のピン正極PE-P及び複数のピン負極NE-Pには同じ極性を有する直流電圧が印加される。
【0083】
複数のピン正極PE-Pのそれぞれに前記正の直流電圧が印加されたら、平面上から見た際、複数のピン正極PE-Pのそれぞれと重畳する基板SUBの第1ピン領域の上部部分は負の電位に帯電される。複数のピン正極PE-Pと前記第1ピン領域との間には電荷による静電力が発生する。
【0084】
複数のピン負極NE-Pのそれぞれに前記負の直流電圧が印加されたら、平面上から見た際、複数のピン負極NE-Pのそれぞれと重畳する基板SUBの第2ピン領域の上部部分は正の電位に帯電される。複数のピン負極NE-Pと前記第2ピン領域との間には電荷による静電力が発生する。
【0085】
複数のピンPNの内部に配置される複数のピン電極PE-P、NE-Pは、静電チャックECS(
図4)の内部に配置される複数の電極PE、NE(
図4)と個別に駆動する。つまり、複数のピン電極PE-P、NE-Pを駆動する駆動部と、複数の電極PE、NEを駆動する駆動部が別途に備えられる。複数のピン電極PE-P、NE-P及び複数の電極PE、NEは独立に駆動され、複数のピンPN部分と静電チャックESC部分の静電力が独立に制御される。但し、これに限らず、複数のピン電極PE-P、NE-P及び複数の電極PE、NEが一つの駆動部によって共に駆動されてもよい。
【0086】
図10は、本発明の一実施例による表示パネル製造装置の断面図である。
図11は、本発明の一実施例による表示パネル製造装置によって処理される対象基板の断面図である。
【0087】
図10を参照すると、表示パネル製造装置DPDは、チェンバCHBと、蒸着ヘッドSHと、ステージSTGと、マスクアセンブリMAと、支持部材とを含む。支持部材は、プレートPTと、サセプタSCと、静電チャックESCとを含む。支持部材はプレートPTに連結される駆動部DRPを更に含む。
【0088】
チェンバCHBは密閉された空間を提供する。蒸着ヘッドSH、ステージSTG、マスクアセンブリMA、静電チャックESC、及び駆動部DRPはチェンバCHB内に配置される。チェンバCHBは少なくとも一つのゲートGTを備える。ゲートGTによってチェンバCHBが開閉される。基板SUBはチェンバCHBに備えられたゲートGTを介して出入りする。図示していないが、静電チャックESC及びステージSTGの温度を調節する温度調節モジュールがチェンバCHB内に更に配置される。
【0089】
蒸着ヘッドSHは蒸着物質DMを外部に噴射する。一実施例において、蒸着ヘッドSHはシャワーヘッドである。蒸着物質CMは昇華または気化可能な物質であって、無機物、金属、また有機物のうち一つ以上を含む。本実施例による蒸着物質DMは、有機発光層を製作するための有機物を含む場合を例示的に説明している。
【0090】
ステージSTGはマスクアセンブリMAを上下に移動させる。
【0091】
ステージSTGの上にマスクアセンブリMAが安着される。マスクアセンブリMAは蒸着ヘッドSHと対向する。ステージSTGはマスクアセンブリMAのフレームFRと重畳し、マスクアセンブリMAを支持する。
【0092】
ステージSTGはフレームFRの開口部HOと重畳しない。つまり、ステージSTGは蒸着ヘッドSHから基板SUBに供給される蒸着物質の移動経路の外に配置される。
【0093】
マスクアセンブリMAの下には基板SUBが配置される。蒸着物質DMは複数の貫通部OPPを貫通して基板SUBに蒸着される。
【0094】
基板SUBは支持部材の最上部に位置する静電チャックESCによってチャッキングされて処理される。一実施例において、基板SUBの上面が地面から90度方向にチャッキングされた後、基板SUBに蒸着工程が処理される。但し、これに限らず、駆動部DRPの動作によって、静電チャックESCの上面の方向と静電チャックESCにチャッキングされた基板SUBの方向が変更されてもよい。基板SUBは駆動部DRPによってマスクアセンブリMAの下部に整列される。
【0095】
基板SUBは伝導性物質を含む。例えば、基板SUBは回路素子層を含んでもよい。回路素子層は伝導性を有する導電層を含む。
【0096】
図11を参照すると、本発明の一実施例による基板SUBは、有機発光素子を含む有機発光パネルの一部である。
【0097】
基板SUBは第1方向DR1及び第2方向DR2が定義する面に平行する面を有する。基板SUBの厚さは第3方向DR3が指示する。基板SUBの前面(または上面)と背面(または下面)は第3方向DR3によって区分される。第3方向DR3は第1方向DR1及び第2方向DRと交差する方向である。例えば、第1方向DR1は、第2方向DR2と、及び第3方向DR3は互いに直交してもよい。また、本明細書において、第1方向DR1と第2方向DR2が定義する面を平面と定義し、「平面上から見た」とは第3方向DR3から眺めたことと定義される。
【0098】
基板SUBは、ベース層BLと、回路層DP-CLと、画素定義膜PDLとを含む。
【0099】
ベース層BLは合成樹脂フィルムを含む。ベース層BLは多層構造を有する。例えば、ベース層BLは合成樹脂層、接着層、及び合成樹脂層の3層構造を有してもよい。前記合成樹脂層はポリイミド系樹脂層である。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による前記成樹脂層の種類はこれに限らない。例えば、前記合成樹脂層は、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリイソプレン、ビニール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、シロキサン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びフェリレン系樹脂のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0100】
ベース層BLの上面に少なくとも一つの無機層を形成する。前記無機層は、アルミニウムオキシド、チタンオキシド、シリコンオキシド、シリコンオキシナイトライド、ジルコニウムオキシド、及びハフニウムオキシドのうち少なくとも一つを含む。前記無機層は多層からなる。前記多層の無機層はバリア層及び/またはバッファ層を構成する。本実施例において、基板SUBはバッファ層BFLを含むと示されている。
【0101】
回路層DP-CLは、バッファ層BFLと、第1トランジスタT1と、第2トランジスタT2と、第1絶縁層10と、第2絶縁層20と、第3絶縁層30と、第4絶縁層40と、第5絶縁層50と、第6絶縁層60とを含む。
【0102】
バッファ層BFLは、ベース層BLと半導体パターンとの間の結合力を向上させる。バッファ層BFLは、シリコンオキシド層及びシリコンナイトライド層を含む。シリコンオキシド層とシリコンナイトライド層は交互に積層される。
【0103】
バッファ層BFLの上に半導体パターンが配置される。前記半導体パターンはポリシリコンを含む。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による前記半導体パターンの種類はこれに限らない。例えば、前記半導体パターンは非晶質シリコンまたは金属酸化物を含んでもよい。
【0104】
前記半導体パターンはドーピング可否によって電気的性質が異なり得る。前記半導体パターンはドーピング領域と非ドーピング領域を含む。前記ドーピング領域はN型ドーパントまたはP型ドーパントでドーピングされる。N型のトランジスタは前記N型のドーパントでドーピングされたドーピング領域を含む。P型のトランジスタは前記P型のドーパントでドーピングされたドーピング領域を含む。
【0105】
前記ドーピング領域は伝導性が非ドーピング領域より大きく、実質的に電極または信号ラインの役割を有する。非ドーピング領域は実質的にトランジスタのアクティブ領域(またはチャネル)に当たる。つまり、前記半導体パターンの一部分は前記トランジスタの前記アクティブ領域であり、他の一部分は前記トランジスタのソースまたはドレインであり、また他の一部分は連結電極または連結信号ラインである。
【0106】
前記トランジスタは第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2を含む。第1トランジスタT1のソースS1、アクティブ領域A1、及びドレインD1が半導体パターンから形成され、第2トランジスタT2のソースS2、アクティブ領域A2、及びドレインD2が半導体パターンから形成される。ソースS1、S2及びドレインD1、D2はアクティブ領域A1、A2から互いに反対方向に延長される。
【0107】
図11では半導体パターンから形成された連結信号ラインSCLの一部分を示している。別途に示していないが、連結信号ラインSCLは平面上から見た際、第2トランジスタT2のドレインD2に連結される。
【0108】
バッファ層BFLの上に第1絶縁層10が配置される。第1絶縁層10は第1トランジスタT1及び第2トランジスタT2をカバーする。第1絶縁層10は無機層及び/または有機層であり、単層構造または多層構造を有する。第1絶縁層10だけでなく、後述する回路層DP-CLの絶縁層は無機層及び/または有機層であり、単層または多層構造を有する。
【0109】
ゲートG1、G2は第1絶縁層10の上に配置される。ゲートG1、G2は金属パターンの一部である。平面上から見た際、ゲートG1、G2はアクティブ領域A1、A2と重畳する。
【0110】
第2絶縁層20は第1絶縁層10の上に配置される。第2絶縁層20はゲートG1、G2をカバーする。
【0111】
上部電極UEは第2絶縁層20の上に配置される。平面上から見た際、上部電極UEは第2トランジスタT2のゲートG2と重畳する。上部電極UEは金属パターンの一部分である。ゲートG2の一部分とそれに重畳する上部電極UEはキャパシタを定義する。但し、これは例示的なものであって、本発明の一実施例による上部電極UEは省略されてもよい。
【0112】
第3絶縁層30は第2絶縁層20の上に配置される。第3絶縁層30は上部電極UEをカバーする。第3絶縁層30の上には第1連結電極CNE1が配置される。第1連結電極CNE1は、第1絶縁層10、第2絶縁層20、及び第3絶縁層30を貫通するコンタクト孔CNT-1を介して連結信号ラインSCLに接続される。
【0113】
第4絶縁層40は第3絶縁層30の上に配置される。第5絶縁層50は第4絶縁層40の上に配置される。第5絶縁層50は有機層である。第5絶縁層50の上には第2連結電極CNE2が配置される。第2連結電極CNE2は、第4絶縁層40及び第5絶縁層50を貫通するコンタクト孔CNT-2を介して第1連結電極CNE1に接続される。
【0114】
第6絶縁層60は第5絶縁層50の上に配置される。第6絶縁層60は第2連結電極CNE2をカバーする。第6絶縁層60は有機層である。
【0115】
電極AEは第6絶縁層60の上に配置される。電極AEは、第6絶縁層60が貫通するコンタクト孔CNT-3を介して第2連結電極CNE2に連結される。
【0116】
画素定義膜PDLは電極AE及び第6絶縁層60の上に配置される。画素定義膜PDLには開口部OPが定義される。画素定義膜PDLの開口部OPは電極AEの少なくとも一部分を露出させる。
【0117】
蒸着物質は基板SUBの電極AEの上に蒸着されて発光層を構成する。但し、これに限らず、蒸着物質を介して形成される層はスパッタなどの蒸着工程を介して蒸着可能な層であれば制限されない。例えば、蒸着物質は電極AEの上に蒸着されて正孔輸送層また電子輸送層などの電荷輸送層を構成してもよく、または、蒸着物質が金属を含んで、発光層などの有機層の上に上部電極を形成してもよい。または、蒸着物質が有機物質または無機物質を含み、上部電極の上にキャッピング層や薄膜封止層などを形成してもよい。
【0118】
図12aは、本発明の一実施例による蒸着装置によって製造される薄膜の撮像画像である。
図12bは、比較例の蒸着装置によって製造される薄膜の撮像画像である。
図12aは、本発明の一実施例のように、複数のピンのうち上部に配置されて断面上で静電チャックと重畳する第1部分の内部に第1クーラーが配置される蒸着装置によって製造された薄膜の撮像画像である。
図12bは本発明とは異なって、複数のピンの内部にクーラーが配置されていない蒸着装置によって製造された薄膜の撮像画像である。
図12a及び
図12bでは実施例と比較例の蒸着装置によって製造されたTi薄膜の上部面の撮像画像を示している。
【0119】
図12a及び
図12bを参照すると、本発明の一実施例による蒸着装置によって製造された金属薄膜の場合、上面にシミがなく均一な薄膜が形成されることを確認した。これとは異なって、比較例の蒸着装置によって製造された金属薄膜の場合、温度不均一のため金属薄膜の上面にシミが発生していることを確認した。一実施例による蒸着装置は静電チャックにクーラーを含む一方、静電チャック孔に配置される複数のピンの上部にもクーラーを含むことで、蒸着装置の上部の温度が均一に維持されて、蒸着装置によって製造された薄膜にシミなどの不良が発生することを防止することができる。それによって、蒸着装置によって製造された表示パネルの信頼性が改善される。
【0120】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載の内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0121】
EA:蒸着装置
SC:サセプタ
ESC:静電チャック
PN:複数のピン
PT:プレート
CL-PN:ピンクーラー