(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009175
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】分配金決定システム、分配金決定方法、及び分配金決定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220106BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021169475
(22)【出願日】2021-10-15
(62)【分割の表示】P 2019111651の分割
【原出願日】2019-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】519218408
【氏名又は名称】株式会社リュックスグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】陣内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】房野 良太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金を、マンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者とに提案する分配金決定システム及び方法を提供する。
【解決手段】再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の入力部と、指定した案件の近隣の土地の指定を受付ける指定手段と、土地データを保持するデータベースから、指定を受付けた近隣の土地データを取得する土地データ取得手段と、土地データに基づいて不動産鑑定士が算出した再建するマンションの再建積算額を、不動産鑑定士の端末または入力部から取得する再建積算額取得手段と、取得した再建積算額を、指定した案件の組合員数で割った分配金を算出する分配金算出手段と、を備える。二以上の土地データの組み合わせで算出した再建積算額を取得し、再建積算額が二以上の場合、それぞれの再建積算額に基づき分配金を算出し比較する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付ける指定手段と、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得する土地データ取得手段と、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得する再建積算額取得手段と、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出する分配金算出手段と、
を備え、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較することを特徴とする分配金決定システム。
【請求項2】
前記分配金算出手段は、当該近隣の土地の所有者を前記組合員に加えて、分配金を算出することを特徴とする請求項1に記載の分配金決定システム。
【請求項3】
前記土地データは、当該近隣の土地の地上権であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分配金決定システム。
【請求項4】
コンピュータが実行する分配金決定方法であって、
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付けるステップと、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得するステップと、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得するステップと、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出するステップと、
を備え、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較することを特徴とする分配金決定方法。
【請求項5】
コンピュータに、
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付けるステップ、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得するステップ、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得するステップ、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出するステップ、
を実行させ、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較するためのコンピュータ読み取り可能な分配金決定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金を、マンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者とに提案するシステム手法に関する。
【背景技術】
【0002】
震災や老朽化、空き家問題を解決するためにマンションの建替えを行う際に、近隣の土地を買収して、土地を拡大し、付加価値の高いマンションを再建したいという要望がある。マンションの建替えやリノベーションを行う場合には、マンションの住民にとっても、事業者にとっても、事前の収支や利益の見積もりが重要である。
【0003】
不動産物件の売主とリノベーション事業者がリノベーションによって生じる付加価値をシェアする新たな取引スキームを実現するため、不動産リノベーションの収支シミュレーション装置を提供する技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、売却したい中古マンション等の物品の販売予定額、物件評価額等の情報を入力すると、売却前リノベーション方式と売却後リノベーション方式の双方について、リノベーション事業者の予想利益と売り主の予想金額を出力することができるが、近隣の土地を買収して土地を拡大して再建する場合には、対応していない。また、想定している売り主はマンション一戸のオーナーであり、マンションの全住民ではない。
【0006】
マンション全体の再建を行う際には、マンションの組合員(マンションの住民)は、再建後の利益(組合員に対する分配金)が多くないと再建を希望しないという課題がある。そのため、近隣の土地を買収して土地を拡大し、再建するマンションの容積(床面積)を上げて戸数を増やし、マンションの住民(組合員)を増やすことで分配金を上げることが望ましい。しかし、近隣の土地を買い取る際に、価格交渉が困難な場合も多い。そこで、マンションの組合員の再建後の利益と、買い取る近隣の土地の所有者の利益を適切に確保できることを提示することが望ましい。
【0007】
この課題に対し、本発明の発明者らは、再建するマンションで買い取りたい近隣の土地データを取得し、近隣の土地データを含めた再建するマンションの土地全体と建物の費用に基づいて再建するマンションの費用に関する再建積算額を取得して、再建したマンションの売上額と再建積算額との差を算出し、これをマンションの組合員の数で割った分配金を算出することで、組合員の利益(分配金)を提案できることに着目した。また、近隣の土地の所有者に対しては、土地の提供の代わりに、再建後のマンションの一戸をその住民に提供し、マンションの住民(組合員)とする。その際に、マンションの組合を一般社団法人として設立することで、近隣の土地の所有者に対しても、適切に分配金を配当できることに着目した。
【0008】
このように、本発明は、マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金をマンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者に提案できる分配金決定システム、分配金決定方法、及び分配金決定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明は、
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付ける指定手段と、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得する土地データ取得手段と、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得する再建積算額取得手段と、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出する分配金算出手段と、
を備え、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較することを特徴とする分配金決定システムを提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明によれば、入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付ける指定手段と、土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得する土地データ取得手段と、前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得する再建積算額取得手段と、取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出する分配金算出手段と、を備え、前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較する。
【0012】
第1の特徴に係る発明は、分配金決定システムのカテゴリであるが、分配金決定方法、及び分配金決定プログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0013】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である分配金決定システムであって、
前記分配金算出手段は、当該近隣の土地の所有者を前記組合員に加えて、分配金を算出することを特徴とする分配金決定システムを提供する。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である分配金決定システムにおいて、前記分配金算出手段は、当該近隣の土地の所有者を前記組合員に加えて、分配金を算出する。
【0015】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明である分配金決定システムであって、
前記土地データは、当該近隣の土地の地上権であることを特徴とする分配金決定システムを提供する。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、第1又は第2の特徴に係る発明である分配金決定システムにおいて、前記土地データは、当該近隣の土地の地上権であることを特徴とする。
【0017】
第4の特徴に係る発明は、
コンピュータが実行する分配金決定方法であって、
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付けるステップと、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得するステップと、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得するステップと、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出するステップと、
を備え、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較することを特徴とする分配金決定方法を提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明は、
入力部で、再建するマンションの組合員の数を少なくとも含む案件の指定を受け付け、指定した前記案件の近隣の土地の指定を受け付けるステップ、
土地データを保持するデータベースから、指定を受け付けた前記近隣の土地に関する該土地データを取得するステップ、
前記土地データに基づいて不動産鑑定士により算出された前記再建するマンションの費用に関する再建積算額が該不動産鑑定士の端末または前記入力部から取得するステップ、
取得した前記再建積算額を、指定した前記案件における前記マンションの組合員の数で割った分配金を算出するステップ、
を実行させ、
前記土地データは、二以上の土地データであり、これらの組み合わせで算出された再建積算額を取得し、前記再建積算額が二以上の場合、それぞれの前記再建積算額に基づいて分配金を算出して比較するための分配金決定プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金をマンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者に提案できる分配金決定システム、分配金決定方法、及び分配金決定プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】分配金決定システムの概要と、コンピュータ100の機能ブロック図である 。
【
図4】再建するマンションの土地と近隣の土地の一例である。
【
図5】再建するマンションの土地と近隣の土地の別の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0022】
[分配金決定システムの概要]
図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。この
図1に基づいて、本発明の概要を説明する。分配金決定システムは、
図2に示すように、コンピュータ100、データベース200、不動産鑑定士300、通信網400から構成されてよい。コンピュータ100は、分配金決定システムを運用可能な装置であるとする。ここでは、デスクトップ型パソコンを図示しているが、サーバ、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ等であってよい。数は一つに限らず複数であってもよい。また、仮想マシンであってもよい。コンピュータ100は、制御部110、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150、から構成される。制御部110には、土地データ取得手段111、再建積算額取得手段112、分配金算出手段113を備える。制御部110は、各手段の実現のために、必要に応じて通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150と協働する。データベース200は、土地データを保持するデータベースである。データベース200は、必ずしも自前で用意する必要はなく、外部のデータベースやWEBサイト、検索サイト等であってもよい。もし、データベース200を省略した構成とする場合には、コンピュータ100のユーザ又は不動産鑑定士300に、直接土地データを入力させてもよい。不動産鑑定士300は、再建積算額の算出が可能な能力を持つ不動産鑑定士である。不動産鑑定士300は、所持する端末等から、再建積算額の入力を可能とする。又は、直接コンピュータ100で再建積算額の入力を行ってもよい。通信網400は、コンピュータ100とデータベース200と不動産鑑定士300間の通信を可能とするインターネット等のネットワークである。
【0023】
図1の分配金決定システムにおいて、まず、コンピュータ100の土地データ取得手段111は、再建するマンションで買い取りたい近隣の土地データを取得する(ステップS101)。ここで取得する土地データには、土地面積(坪、又は、平方メートル)とその土地の単価(円/坪、又は、円/平方メートル)とを含むものとする。土地価格は、土地面積とその土地の単価とを掛け合わせて求めることができるため、一緒に取得してもよいし、取得した土地データを基に土地データ取得手段111が求めてもよい。ここでは、土地データは土地データを保持するデータベース200から取得するものとする。データベース200は、外部のデータベースやWEBサイト、検索サイト等であってもよい。もし、データベース200を省略した構成とする場合には、コンピュータ100のユーザ又は不動産鑑定士300に、直接土地データを入力させてもよい。
【0024】
次に、コンピュータ100の再建積算額取得手段112は、ステップS101で取得した近隣の土地データを含めた再建するマンションの土地全体と建物の費用に基づいて、再建するマンションの費用に関する再建積算額を取得する(ステップS102)。ここでは、再建積算額は、不動産鑑定士300から取得する。不動産鑑定士300は、所持する端末等から、再建積算額の入力を可能とする。又は、直接コンピュータ100の入力部140を介して再建積算額の入力を行ってもよい。不動産鑑定士300が再建積算額を算出する際には、「近隣の土地データを含めた土地全体の容積率を鑑みて、新しいマンションの床面積はどのくらいの広さになるか」、「床面積に対して、新しいマンションは何戸設定できるか」、「新規分譲は何戸設定できるか」、「販売利益はいくらか」、「古いマンションの取り壊しと新しいマンションの建設にかかる費用はいくらか」、「補助金等はいくらか」等のデータを基に行うものとする。
【0025】
最後に、コンピュータ100の分配金算出手段113は、ステップS102で取得した再建積算額に基づいて、分配金を算出する(ステップS103)。ここで、分配金の原資は、取得する補助金、販売利益、取得する補助金と販売利益、の何れかとする。また、分配方法としては、マンションの組合員(マンションの住民)の数で割って等分に配分してもよいし、建替え後の部屋の割合に応じて配分してもよい。また、近隣の土地の所有者に対しては、土地の提供の代わりに、再建後のマンションの一戸をその住民に提供し、マンションの住民(マンションの組合員)とすることで、同じように分配金を配分することが可能である。その場合には、マンションの組合を一般社団法人として設立することで、適切に分配金を配当できる。分配金の算出の際には、近隣の土地の所有者を含めるかどうかを、指定可能としてよい。
【0026】
以上のように、本発明によれば、マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金をマンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者に提案できる分配金決定システム、分配金決定方法、及び分配金決定プログラムを提供することが可能となる。
【0027】
[各機能の説明]
図2は、分配金決定システムの概要と、コンピュータ100の機能ブロック図である。分配金決定システムは、コンピュータ100、データベース200、不動産鑑定士300、通信網400から構成される。
【0028】
コンピュータ100は、分配金決定システムを運用可能な装置であるとする。ここでは、デスクトップ型パソコンを図示しているが、サーバ、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ等であってよい。数は一つに限らず複数であってもよい。また、仮想マシンであってもよい。コンピュータ100は、制御部110、通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150、から構成される。
【0029】
コンピュータ100は、制御部110として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。制御部110には、土地データ取得手段111、再建積算額取得手段112、分配金算出手段113を備える。制御部110は、各手段の実現のために、必要に応じて通信部120、記憶部130、入力部140、出力部150と協働する。
【0030】
コンピュータ100は、通信部120としてデータベース200、不動産鑑定士300と通信可能にするためのデバイス等を備える。通信方式は、有線であっても無線であってもよいものする。
【0031】
コンピュータ100は、記憶部130として、データのストレージ部を備え、取得した土地データ、取得した再建積算額、分配金、等の必要なデータを記憶する。
【0032】
コンピュータ100は、入力部140として、入力を実現するためのデバイスを備える。例として、キーボード、マウス、タッチパネル、ペンタブレット、マイク等である。
【0033】
コンピュータ100は、出力部150として、出力を実現するためのデバイスを備える。例としては、ディスプレイ、スピーカー等である。
【0034】
データベース200は、土地データを保持するデータベースである。データベース200は、必ずしも自前で用意する必要はなく、外部のデータベースやWEBサイト、検索サイト等であってもよい。もし、データベース200を省略した構成とする場合には、コンピュータ100のユーザ又は不動産鑑定士300に、直接土地データを入力させてもよい。
【0035】
不動産鑑定士300は、再建積算額の算出が可能な能力を持つ不動産鑑定士である。不動産鑑定士300は、所持する端末等から、再建積算額の入力を可能とする。又は、直接コンピュータ100で再建積算額の入力を行ってもよい。
【0036】
通信網400は、コンピュータ100とデータベース200と不動産鑑定士300間の通信を可能とするインターネット等のネットワークである。
【0037】
[分配金決定処理]
図3は、分配金決定処理のフローチャート図である。上述した各手段が実行する処理について、本フローチャートで説明する。
【0038】
まず、分配金決定システムのユーザ(非図示)は、コンピュータ100の入力部140を用いて、分配金決定システムを開始して、案件を指定する(ステップS301)。ここでの分配金決定システムのユーザとは、マンションの再建を行う事業者を想定している。再建を行う事業者と不動産鑑定士300が同一であってもよい。ユーザが分配金決定システムを開始するために、ログイン処理を行ってもよい。ユーザが案件を指定するために、システムの開始時に既存の案件をリストとして表示してもよい。案件には、再建したいマンションの情報として、住所、土地の広さ、マンションの組合員(マンションの住民)の数、等を含むものとする。
【0039】
次に、分配金決定システムのユーザは、コンピュータ100の入力部140を用いて、近隣の土地を指定する(ステップS302)。近隣の土地を選択させるために、ステップS301で案件を指定した後に、指定した案件の周辺の地図、又は、指定した案件の周辺の土地のリストをコンピュータ100の出力部150に表示させてもよい。
【0040】
図4は、再建するマンションの土地と近隣の土地の一例である。ここでは、再建するマンションの土地Aが100坪、近隣の土地Bが50坪で隣り合っているものとする。また、土地Aと土地Bを合わせた場合の土地は、長方形になるものとする。
【0041】
図3に戻って、次に、コンピュータ100の土地データ取得手段111は、再建するマンションで買い取りたい近隣の土地データを取得する(ステップS303)。
図4の例では、土地Bの土地データを取得する。ここで取得する土地データには、土地面積(坪、又は、平方メートル)とその土地の単価(円/坪、又は、円/平方メートル)とを含むものとする。土地価格は、土地面積とその土地の単価とを掛け合わせて求めることができるため、一緒に取得してもよいし、取得した土地データを基に土地データ取得手段111が求めてもよい。ここでは、土地データは土地データを保持するデータベース200から取得するものとする。データベース200は、外部のデータベースやWEBサイト、検索サイト等であってもよい。もし、データベース200を省略した構成とする場合には、コンピュータ100のユーザ又は不動産鑑定士300に、直接土地データを入力させてもよい。
【0042】
次に、分配金決定システムのユーザは、コンピュータ100の入力部140を用いて、近隣の土地の指定を終了したかどうか入力する(ステップS304)。近隣の土地の指定が終了している場合には次のステップS305へと進み、近隣の土地の指定が終了していない場合にはステップS302へと戻り指定を続ける。
図4の例では、指定が終了してるため、次のステップS305へと進むものとする。
【0043】
次に、コンピュータ100の土地データ取得手段111は、新しくマンションを建てる土地のデータを確定する(ステップS305)。
図4の例では、100坪の土地Aと50坪の土地Bを合わせた150坪の長方形の土地を、新土地データとする。
【0044】
次に、コンピュータ100のデータ再建積算額取得手段112は、ステップS305で確定した近隣の土地データを含めた再建するマンションの土地全体と建物の費用に基づいて、再建するマンションの費用に関する再建積算額を取得する(ステップS306)。ここでは、再建積算額は、不動産鑑定士300から取得する。不動産鑑定士300は、所持する端末等から、再建積算額の入力を可能とする。又は、直接コンピュータ100の入力部140を介して再建積算額の入力を行ってもよい。不動産鑑定士300が再建積算額を算出する際には、「近隣の土地データを含めた土地全体の容積率を鑑みて、新しいマンションの床面積はどのくらいの広さになるか」、「床面積に対して、新しいマンションは何戸設定できるか」、「新規分譲は何戸設定できるか」、「販売利益はいくらか」、「古いマンションの取り壊しと新しいマンションの建設にかかる費用はいくらか」、「補助金等はいくらか」等のデータを基に行うものとする。例えば、
図4の例では、建物の容積率が200%であるとすると、元々の土地A(100坪)では床面積200坪の建物が再建可能であるのに対して、土地Bを含む新土地データ(150坪)であれば床面積300坪の建物が再建可能であるので、100坪分床面積の広い建物を建てることが可能となる。この、新たに生まれた100坪分の床面積の分を新しく分譲することで、販売利益を得ることが可能である。
【0045】
次に、コンピュータ100の分配金算出手段113は、ステップS306で取得した再建積算額に基づいて、分配金を算出する(ステップS307)。ここで、分配金の原資は、取得する補助金、販売利益、取得する補助金と販売利益、の何れかとする。また、分配方法としては、マンションの組合員(マンションの住民)の数で割って等分に配分してもよいし、建替え後の部屋の割合に応じて配分してもよい。また、近隣の土地の所有者に対しては、土地の提供の代わりに、再建後のマンションの一戸をその住民に提供し、マンションの住民(マンションの組合員)とすることで、同じように分配金を配分することが可能である。その場合には、マンションの組合を一般社団法人として設立することで、適切に分配金を配当できる。分配金の算出の際には、近隣の土地の所有者を含めるかどうかを、指定可能としてよい。
【0046】
次に、コンピュータ100の分配金算出手段113は、ステップS307算出した分配金の出力を行う(ステップS308)。ここでの出力は、コンピュータ100の出力部150への表示や音声出力で行ってもよいし、関係者へのメール送信や書類の作成等であってもよい。ここでの出力を基にして、マンションの再建を行う事業者は、分配金がどのようになるかを、マンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者に提案することが可能である。
【0047】
最後に、コンピュータ100の分配金算出手段113は、分配金決定処理を終了するかどうかの確認を行う(ステップS309)。ここで終了する場合には、分配金決定システムを終了してもよいし、案件指定のステップS301に戻ってもよい。ここで終了しない場合には、ステップS302の近隣の土地指定に戻る。例えば、再建するマンションで買い取りたい近隣の土地が複数ある場合には、ここで処理を続けることで、それぞれの土地を買い取った場合の分配金を算出することができる。
【0048】
図5は、再建するマンションの土地と近隣の土地の別の一例である。ここでは、再建するマンションの土地Aが100坪、近隣の土地Bが30坪、近隣の土地Cが20坪であるものとする。また、土地Aと土地Bと土地Cを合わせた場合の土地は、長方形になるものとする。
図5の例では、100坪の土地Aと30坪の土地Bを合わせた130坪の角が欠けた土地を新土地データとするケースX、100坪の土地Aと20坪の土地Cを合わせた120坪の角が欠けた土地を新土地データとするケースY、100坪の土地Aと30坪の土地Bと20坪の土地Cとを合わせた150坪の長方形の土地を新土地データとするケースZ、の3つのケースが考えられる。このような比較を行いたい場合には、ステップS309で終了せずにステップS302に戻って処理を繰り返し、これら3つのケースの分配金を算出して比較することで、どのように近隣の土地を買い取るのがよいか検討することが可能である。
【0049】
以上のように、本発明によれば、マンションの再建を行う際に近隣の土地を買収して土地を拡大する場合に、適切な再建後の分配金をマンションの組合員と買い取る近隣の土地の所有者に提案できる分配金決定システム、分配金決定方法、及び分配金決定プログラムを提供することが可能となる。
【0050】
[地上権の買い取り]
図3のステップS303で、コンピュータ100の土地データ取得手段111が取得する近隣の土地データ、及び実際に買い取るものは、近隣の土地の地上権であってもよい。地上権を取得する場合について、
図4を例に以下に示す。例えば、
図4の例で、50坪の土地Bに床面積が30坪の建物が建っているものとする。土地Bの容積率が200%である場合、100坪の床面積の建設が可能であるのに実際の建物の床面積は30坪である場合、その差である70坪分が活用できていないことになる。そこで、土地Bの建物はそのままで、70坪分の地上権を再建のために買い取ることで、土地Aに床面積が70坪大きいマンションを再建することが可能である。この場合、ステップS303で取得する土地データとあわせて、既存の建物の床面積等の地上権の検討に必要なデータを含めるものとする。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
100 コンピュータ、200 データベース、300 不動産鑑定士、400 通信網