(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091864
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/20 20060101AFI20220614BHJP
A61B 6/14 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01T1/20 C
G01T1/20 G
A61B6/14 300
G01T1/20 E
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047171
(22)【出願日】2022-03-23
(62)【分割の表示】P 2018083133の分割
【原出願日】2018-04-24
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 建太
(57)【要約】
【課題】放射線画像を広範囲で精度良く取得できる放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】放射線検出器1は、配線基板2と、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4と、第1FOP5及び第2FOP6と、シンチレータ層7と、を備える。第1FOP5は、第1光入射領域54と第1光出射領域55との間において導光可能である。第2FOP6は、第2光入射領域64と第2光出射領域65との間において導光可能である。第1光出射面52における第2光出射面62側の一辺、及び、第2光出射面62における第1光出射面52側の一辺は、互いに接触している。第1光入射領域54の一辺54a及び第2光入射領域64の一辺64aは、互いに接触している。第1FOP5を構成する複数の光ファイバは、第2FOP6を構成する複数の光ファイバが延在している方向と交差する方向に延在している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上において互いに隣り合う第1イメージセンサ及び第2イメージセンサと、
前記第1イメージセンサ及び前記第2イメージセンサ上において互いに隣り合う第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートと、
前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレート上に設けられたシンチレータ層と、を備え、
前記第1ファイバオプティックプレートは、第1光入射面及び第1光出射面を有し、前記第1光入射面のうちの第1光入射領域と前記第1光出射面のうちの第1光出射領域との間において導光可能であり、
前記第2ファイバオプティックプレートは、第2光入射面及び第2光出射面を有し、前記第2光入射面のうちの第2光入射領域と前記第2光出射面のうちの第2光出射領域との間において導光可能であり、
前記第1光出射面における前記第2光出射面側の一辺、及び、前記第2光出射面における前記第1光出射面側の一辺は、互いに接触しており、
前記第1光入射領域における前記第2光入射領域側の一辺、及び、前記第2光入射領域における前記第1光入射領域側の一辺は、互いに接触しており、
前記第1光出射領域は、前記第1イメージセンサの第1受光領域上に位置しており、
前記第2光出射領域は、前記第2イメージセンサの第2受光領域上に位置しており、
前記第1ファイバオプティックプレートを構成する複数の光ファイバは、前記第2ファイバオプティックプレートを構成する複数の光ファイバが延在している方向と交差する方向に延在している、
放射線検出器。
【請求項2】
前記第1光出射領域における前記第2光出射領域側の一辺と前記第2光出射領域における前記第1光出射領域側の一辺との距離は、前記第1受光領域における前記第2受光領域側の一辺と前記第2受光領域における前記第1受光領域側の一辺との距離よりも大きく、
前記第1光出射領域における前記第2光出射領域側の前記一辺は、前記第1受光領域における前記第2受光領域側の前記一辺上又は当該一辺よりも内側に位置しており、
前記第2光出射領域における前記第1光出射領域側の前記一辺は、前記第2受光領域における前記第1受光領域側の前記一辺上又は当該一辺よりも内側に位置している、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記配線基板に設けられた記憶部を更に備え、
前記記憶部は、前記第1光出射領域における前記第2光出射領域側の前記一辺と前記第1受光領域における前記第2受光領域側の前記一辺との第1ずれ量、及び、前記第2光出射領域における前記第1光出射領域側の前記一辺と前記第2受光領域における前記第1受光領域側の前記一辺との第2ずれ量を記憶している、請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
互いに連続する前記第1光入射面及び前記第2光入射面の外縁は、前記配線基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1光出射領域及び前記第2光出射領域を含んでいる、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項5】
互いに連続する前記第1光入射面及び前記第2光入射面の外縁、並びに、互いに連続する前記第1光出射面及び前記第2光出射面の外縁は、前記配線基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1受光領域及び前記第2受光領域を含んでいる、請求項1~4のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第1イメージセンサは、前記第1受光領域と隣り合う第1回路領域を有し、
前記第2イメージセンサは、前記第2受光領域と隣り合う第2回路領域を有し、
互いに連続する前記第1光入射面及び前記第2光入射面の前記外縁、並びに、互いに連続する前記第1光出射面及び前記第2光出射面の前記外縁は、前記配線基板の厚さ方向から見た場合に、前記第1受光領域、前記第1回路領域、前記第2受光領域及び前記第2回路領域を含んでいる、請求項5に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記第1ファイバオプティックプレートを構成する前記複数の光ファイバは、前記第1光入射面に垂直な方向に延在している、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項8】
前記第1ファイバオプティックプレートを構成する前記複数の光ファイバは、前記第1光入射面に垂直な方向に対して傾斜しており、
前記第2ファイバオプティックプレートを構成する前記複数の光ファイバは、前記第2光入射面に垂直な方向に対して傾斜している、請求項1~6のいずれか一項に記載の放射線検出器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の放射線検出器の製造方法であって、
互いに接合された前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを取得する工程と、
前記取得する工程の後に、前記第1ファイバオプティックプレートの前記第1光入射面及び前記第2ファイバオプティックプレートの前記第2光入射面を研磨する工程と、
前記研磨する工程の後に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレート上に、前記シンチレータ層を形成すると共に、前記配線基板に実装された前記第1イメージセンサ及び前記第2イメージセンサ上に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを接合する工程と、を備える、放射線検出器の製造方法。
【請求項10】
前記接合する工程においては、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレート上に、前記シンチレータ層を形成し、その後に、前記配線基板に実装された前記第1イメージセンサ及び前記第2イメージセンサ上に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを接合する、請求項9に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項11】
前記シンチレータ層は、CsIによって形成されている、請求項10に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項12】
前記接合する工程においては、前記配線基板に実装された前記第1イメージセンサ及び前記第2イメージセンサ上に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを接合し、その後に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレート上に、前記シンチレータ層を形成する、請求項9に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項13】
前記研磨する工程においては、前記第1ファイバオプティックプレートの前記第1光入射面及び前記第2ファイバオプティックプレートの前記第2光入射面を研磨すると共に、前記第1ファイバオプティックプレートの前記第1光出射面及び前記第2ファイバオプティックプレートの前記第2光出射面を研磨する、請求項9~12のいずれか一項に記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項14】
請求項3に記載の放射線検出器の製造方法であって、
前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレート上に、前記シンチレータ層を形成すると共に、前記配線基板に実装された前記第1イメージセンサ及び前記第2イメージセンサ上に、前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを接合する工程と、
前記形成すると共に接合する工程の後に、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量を測定する工程と、
前記測定する工程の後に、前記配線基板に設けられた前記記憶部に、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量を記憶させる工程と、を備える、放射線検出器の製造方法。
【請求項15】
請求項2に記載の放射線検出器を用いた画像処理方法であって、
前記第1光出射領域における前記第2光出射領域側の前記一辺と前記第1受光領域における前記第2受光領域側の前記一辺との第1ずれ量、及び、前記第2光出射領域における前記第1光出射領域側の前記一辺と前記第2受光領域における前記第1受光領域側の前記一辺との第2ずれ量を取得する工程と、
前記取得する工程の後に、前記配線基板を介して前記第1イメージセンサから出力された第1電気信号、及び、前記配線基板を介して前記第2イメージセンサから出力された第2電気信号、並びに、前記第1ずれ量及び前記第2ずれ量に基づいて、1枚の放射線画像を生成する工程と、を備える、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば口腔内のX線透過画像を広範囲で取得するために、次のような放射線検出器が用いられる場合がある。すなわち、配線基板と、配線基板上に実装された複数のイメージセンサと、複数のイメージセンサ上にそれぞれ固定された複数のファイバオプティックプレートと、複数のファイバオプティックプレート上に設けられたシンチレータ層と、を備える放射線検出器である。そのような放射線検出器として、特許文献1には、隣り合うファイバオプティックプレート同士が光入射面側の角部において接触させられたX線画像センサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のX線画像センサでは、一方のファイバオプティックプレートの光入射面と他方のファイバオプティックプレートの光入射面との間に位置ずれが生じ易く、その位置ずれに起因してX線透過画像を精度良く取得できないおそれがある。
【0005】
本発明は、放射線画像を広範囲で精度良く取得できる放射線検出器、放射線検出器の製造方法、及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の放射線検出器は、配線基板と、配線基板上において互いに隣り合う第1イメージセンサ及び第2イメージセンサと、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上において互いに隣り合う第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートと、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に設けられたシンチレータ層と、を備え、第1ファイバオプティックプレートは、第1光入射面、第1光出射面、及び、第1光入射面と第1光出射面とを結ぶ第1側面を有し、第1光入射面のうちの第1光入射領域と第1光出射面のうちの第1光出射領域との間において導光可能であり、第2ファイバオプティックプレートは、第2光入射面、第2光出射面、及び、第2光入射面と第2光出射面とを結ぶ第2側面を有し、第2光入射面のうちの第2光入射領域と第2光出射面のうちの第2光出射領域との間において導光可能であり、第1光入射領域における第2光入射領域側の一辺、及び、第2光入射領域における第1光入射領域側の一辺は、互いに接触しており、第1光出射領域は、第1イメージセンサの第1受光領域上に位置しており、第2光出射領域は、第2イメージセンサの第2受光領域上に位置しており、第1側面における第2ファイバオプティックプレート側の一側面、及び、第2側面における第1ファイバオプティックプレート側の一側面は、互いに沿った形状を呈しており、互いに接触している。
【0007】
この放射線検出器では、放射線がシンチレータ層に入射すると、シンチレータ層で光が発生する。そして、シンチレータ層から第1ファイバオプティックプレートに入射した光は、第1光入射領域から第1光出射領域に導光され、第1イメージセンサの第1受光領域に入射する。一方、シンチレータ層から第2ファイバオプティックプレートに入射した光は、第2光入射領域から第2光出射領域に導光され、第2イメージセンサの第2受光領域に入射する。ここで、第1光入射領域における第2光入射領域側の一辺、及び、第2光入射領域における第1光入射領域側の一辺は、互いに接触している。そのため、シンチレータ層で発生した光が連続した状態で第1イメージセンサ及び第2イメージセンサによって検出される。また、第1側面における第2ファイバオプティックプレート側の一側面、及び、第2側面における第1ファイバオプティックプレート側の一側面は、互いに沿った形状を呈しており、互いに接触している。そのため、第1ファイバオプティックプレートの第1光入射面と第2ファイバオプティックプレートの第2光入射面との間に位置ずれが生じ難い。よって、この放射線検出器によれば、放射線画像を広範囲で精度良く取得できる。
【0008】
本発明の放射線検出器では、第1光出射領域における第2光出射領域側の一辺と第2光出射領域における第1光出射領域側の一辺との距離は、第1受光領域における第2受光領域側の一辺と第2受光領域における第1受光領域側の一辺との距離よりも大きく、第1光出射領域における第2光出射領域側の一辺は、第1受光領域における第2受光領域側の一辺上又は当該一辺よりも内側に位置しており、第2光出射領域における第1光出射領域側の一辺は、第2受光領域における第1受光領域側の一辺上又は当該一辺よりも内側に位置していてもよい。この構成によれば、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサに対する第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートの位置決め精度を緩和しつつ、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートのそれぞれによって導光された光を第1イメージセンサ及び第2イメージセンサにおいて確実に検出できる。
【0009】
本発明の放射線検出器は、配線基板に設けられた記憶部を更に備え、記憶部は、第1光出射領域における第2光出射領域側の一辺と第1受光領域における第2受光領域側の一辺との第1ずれ量、及び、第2光出射領域における第1光出射領域側の一辺と第2受光領域における第1受光領域側の一辺との第2ずれ量を記憶していてもよい。この構成によれば、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、連続した1枚の放射線画像を生成できる。
【0010】
本発明の放射線検出器では、互いに連続する第1光入射面及び第2光入射面の外縁、並びに、互いに連続する第1光出射面及び第2光出射面の外縁は、配線基板の厚さ方向から見た場合に、第1受光領域及び第2受光領域を含んでいてもよい。この構成によれば、第1受光領域及び第2受光領域の放射線入射側に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートが十分な厚さ(すなわち、第1光入射面と第1光出射面との距離に相当する厚さ、第2光入射面と第2光出射面との距離に相当する厚さ)で存在することになるため、第1受光領域及び第2受光領域の放射線による劣化を抑制できる。
【0011】
本発明の放射線検出器では、第1イメージセンサは、第1受光領域と隣り合う第1回路領域を有し、第2イメージセンサは、第2受光領域と隣り合う第2回路領域を有し、互いに連続する第1光入射面及び第2光入射面の外縁、並びに、互いに連続する第1光出射面及び第2光出射面の外縁は、配線基板の厚さ方向から見た場合に、第1受光領域、第1回路領域、第2受光領域及び第2回路領域を含んでいてもよい。この構成によれば、第1受光領域、第1回路領域、第2受光領域及び第2回路領域の放射線入射側に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートが十分な厚さ(すなわち、第1光入射面と第1光出射面との距離に相当する厚さ、第2光入射面と第2光出射面との距離に相当する厚さ)で存在することになるため、第1受光領域、第1回路領域、第2受光領域及び第2回路領域の放射線による劣化を抑制できる。
【0012】
本発明の放射線検出器の製造方法は、上述した放射線検出器の製造方法であって、第1側面における第2ファイバオプティックプレート側の一側面及び第2側面における第1ファイバオプティックプレート側の一側面において互いに接合された第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを取得する工程と、取得する工程の後に、第1ファイバオプティックプレートの第1光入射面及び第2ファイバオプティックプレートの第2光入射面を研磨する工程と、研磨する工程の後に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、シンチレータ層を形成すると共に、配線基板に実装された第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合する工程と、を備える。
【0013】
この放射線検出器の製造方法では、互いに接合された第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを取得する工程と、第1ファイバオプティックプレートの第1光入射面及び第2ファイバオプティックプレートの第2光入射面を研磨する工程と、を経ることで、第1ファイバオプティックプレートの第1光入射面及び第2ファイバオプティックプレートの第2光入射面を容易に且つ確実に面一にできる。しかも、第1光入射面及び第2光入射面が面一にされた状態で、シンチレータ層を形成する工程を経ることで、シンチレータ層に歪み等が生じるのを抑制できる。よって、この放射線検出器の製造方法によれば、放射線画像を広範囲で精度良く取得可能な放射線検出器を確実に製造できる。
【0014】
本発明の放射線検出器の製造方法では、接合する工程においては、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、シンチレータ層を形成し、その後に、配線基板に実装された第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合してもよい。この場合、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に形成されたシンチレータ層の検査を、比較的高価な第1イメージセンサ及び第2イメージセンサとの接合前に実施できるため、例えばシンチレータ層に不良があった場合に、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサが無駄にならず、その結果、製造コストの上昇を抑制できる。
【0015】
本発明の放射線検出器の製造方法では、シンチレータ層は、CsIによって形成されていてもよい。ここでは、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、予めシンチレータ層を形成するため、CsIが有する腐食性に起因して第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ並びに配線基板にダメージが生じるのを抑制できる。
【0016】
本発明の放射線検出器の製造方法では、接合する工程においては、配線基板に実装された第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合し、その後に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、シンチレータ層を形成してもよい。この場合、その他の部材に比べて強度の低いシンチレータ層が最後に形成されるため、シンチレータ層にダメージが生じるのを抑制できる。
【0017】
本発明の放射線検出器の製造方法では、研磨する工程においては、第1ファイバオプティックプレートの第1光入射面及び第2ファイバオプティックプレートの第2光入射面を研磨すると共に、第1ファイバオプティックプレートの第1光出射面及び第2ファイバオプティックプレートの第2光出射面を研磨してもよい。この場合、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合する工程において、第1ファイバオプティックプレートの第1光出射領域と第1イメージセンサの第1受光領域との距離、及び、第2ファイバオプティックプレートの第2光出射領域と第2イメージセンサの第2受光領域との距離を均一にできる。よって、この場合、放射線画像を広範囲で精度良く取得可能な放射線検出器をより確実に製造できる。
【0018】
本発明の放射線検出器の製造方法は、上述した放射線検出器の製造方法であって、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、シンチレータ層を形成すると共に、配線基板に実装された第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合する工程と、形成すると共に接合する工程の後に、第1ずれ量及び第2ずれ量を測定する工程と、測定する工程の後に、配線基板に設けられた記憶部に、第1ずれ量及び第2ずれ量を記憶させる工程と、を備える。
【0019】
この放射線検出器の製造方法によれば、個々の放射線検出器に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が記憶部に記憶されるため、記憶された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成可能な放射線検出器を製造できる。
【0020】
本発明の画像処理方法は、上述した放射線検出器を用いた画像処理方法であって、第1光出射領域における第2光出射領域側の一辺と第1受光領域における第2受光領域側の一辺との第1ずれ量、及び、第2光出射領域における第1光出射領域側の一辺と第2受光領域における第1受光領域側の一辺との第2ずれ量を取得する工程と、取得する工程の後に、配線基板を介して第1イメージセンサから出力された第1電気信号、及び、配線基板を介して第2イメージセンサから出力された第2電気信号、並びに、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、1枚の放射線画像を生成する工程と、を備える。
【0021】
この画像処理方法によれば、個々の放射線検出器に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が取得されるため、取得された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、放射線画像を広範囲で精度良く取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図1に示されるII-II線に沿っての放射線検出器の断面図である。
【
図3】
図1に示されるIII-III線に沿っての放射線検出器の断面図である。
【
図4】一実施形態の放射線検出器の製造方法を説明するための図である。
【
図5】一実施形態の放射線検出器の製造方法を説明するための図である。
【
図6】一実施形態の放射線検出器の製造方法を説明するための図である。
【
図7】一実施形態の放射線検出器の製造方法を説明するための図である。
【
図8】一実施形態の画像処理方法を説明するための図である。
【
図9】一実施形態の画像処理方法を説明するための図である。
【
図10】一実施形態の画像処理方法を説明するための図である。
【
図11】放射線検出器の変形例を説明するための図である。
【
図12】放射線検出器の変形例を説明するための図である。
【
図13】放射線検出器の変形例を説明するための図である。
【
図14】放射線検出器の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[放射線検出器の構成]
【0025】
図1及び
図2に示されるように、放射線検出器1は、配線基板2と、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4と、第1FOP(第1ファイバオプティックプレート)5及び第2FOP(ファイバオプティックプレート)6と、シンチレータ層7と、保護層8と、筐体9と、を備えている。配線基板2は、互いに対向する表面2a及び裏面2bを有している。以下、表面2a及び裏面2bに平行な一方向をX軸方向、表面2a及び裏面2bに平行且つX軸方向に平行な方向をY軸方向、表面2a及び裏面2bが互いに対向する方向(配線基板2の厚さ方向)をZ軸方向として、各構成について詳細に説明する。
【0026】
第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4は、配線基板2上において互いに隣り合っている。より詳細には、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4は、配線基板2の表面2aに実装されており、X軸方向において互いに隣り合っている。
【0027】
第1イメージセンサ3は、第1半導体基板30に第1受光領域31及び第1回路領域32,33が設けられることで構成されている。第1イメージセンサ3は、例えば、CCD/CMOS等の固体撮像素子である。第1受光領域31は、光電変換を行う複数の画素によって構成されている。第1回路領域32,33は、シフトレジスタ等の信号読出し回路である。
【0028】
第1受光領域31は、第1半導体基板30における配線基板2とは反対側の表面30aに設けられている。第1受光領域31は、Z軸方向から見た場合に、例えば、X軸方向に垂直な一対の辺及びY軸方向に垂直な一対の辺を有する矩形状を呈している。各第1回路領域32,33は、第1受光領域31と隣り合っている。より詳細には、第1回路領域32は、第1受光領域31に対して第2イメージセンサ4側に設けられている。第1回路領域33は、第1受光領域31に対してY軸方向における一方の側に設けられている。各第1回路領域32,33は、ワイヤ11によって配線基板2と電気的に接続されている。
【0029】
第2イメージセンサ4は、第2半導体基板40に第2受光領域41及び第2回路領域42,43(
図3参照)が設けられることで構成されている。第2イメージセンサ4は、例えば、CCD/CMOS等の固体撮像素子である。第2受光領域41は、光電変換を行う複数の画素によって構成されている。第2回路領域42,43は、シフトレジスタ等の信号読出し回路である。
【0030】
第2受光領域41は、第2半導体基板40における配線基板2とは反対側の表面40aに設けられている。第2受光領域41は、Z軸方向から見た場合に、例えば、X軸方向に垂直な一対の辺及びY軸方向に垂直な一対の辺を有する矩形状を呈している。各第2回路領域42,43は、第2受光領域41と隣り合っている。より詳細には、第2回路領域42は、第2受光領域41に対して第1イメージセンサ3とは反対側に設けられている。第2回路領域43は、第2受光領域41に対してY軸方向における一方の側に設けられている。各第2回路領域42,43は、ワイヤ11によって配線基板2と電気的に接続されている。
【0031】
第1FOP5及び第2FOP6は、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上において互いに隣り合っている。より詳細には、第1FOP5及び第2FOP6は、第1半導体基板30の表面30a及び第2半導体基板40の表面40aに接着剤等によって固体されており、X軸方向において互いに隣り合っている。
【0032】
第1FOP5は、第1光入射面51、第1光出射面52及び第1側面53を有している。第1光入射面51は、第1イメージセンサ3とは反対側の面である。第1光出射面52は、第1イメージセンサ3側の面である。第1側面53は、第1光入射面51と第1光出射面52とを結ぶ面である。第1FOP5は、例えば、X軸方向に垂直な一対の側面及びY軸方向に垂直な一対の側面を第1側面53として有する矩形板状を呈している。
【0033】
第1FOP5を構成する複数の光ファイバのそれぞれは、光入射端に対して光出射端がX軸方向において第2FOP6とは反対側に位置するように、第1光入射面51及び第1光出射面52のそれぞれと例えば67°の角度を成した状態で傾斜している。第1FOP5では、光入射端が第1光入射面51に位置し且つ光出射端が第1光出射面52に位置する光ファイバが、第1光入射面51から第1光出射面52に導光可能な光ファイバである。第1FOP5では、導光可能な複数の光ファイバの光入射端によって第1光入射面51に第1光入射領域54が形成されており、導光可能な複数の光ファイバの光出射端によって第1光出射面52に第1光出射領域55が形成されている。つまり、第1FOP5では、第1光入射面51のうちの第1光入射領域54と第1光出射面52のうちの第1光出射領域55との間において導光可能である。第1光入射領域54及び第1光出射領域55のそれぞれは、例えば、X軸方向に垂直な一対の辺及びY軸方向に垂直な一対の辺を有する矩形状を呈している。
【0034】
第2FOP6は、第2光入射面61、第2光出射面62及び第2側面63を有している。第2光入射面61は、第2イメージセンサ4とは反対側の面である。第2光出射面62は、第2イメージセンサ4側の面である。第2側面63は、第2光入射面61と第2光出射面62とを結ぶ面である。第2FOP6は、例えば、X軸方向に垂直な一対の側面及びY軸方向に垂直な一対の側面を第2側面63として有する矩形板状を呈している。
【0035】
第2FOP6を構成する複数の光ファイバのそれぞれは、光入射端に対して光出射端がX軸方向において第1FOP5とは反対側に位置するように、第2光入射面61及び第2光出射面62のそれぞれと例えば67°の角度を成した状態で傾斜している。第2FOP6では、光入射端が第2光入射面61に位置し且つ光出射端が第2光出射面62に位置する光ファイバが、第2光入射面61から第2光出射面62に導光可能な光ファイバである。第2FOP6では、導光可能な複数の光ファイバの光入射端によって第2光入射面61に第2光入射領域64が形成されており、導光可能な複数の光ファイバの光出射端によって第2光出射面62に第2光出射領域65が形成されている。つまり、第2FOP6では、第2光入射面61のうちの第2光入射領域64と第2光出射面62のうちの第2光出射領域65との間において導光可能である。第2光入射領域64及び第2光出射領域65のそれぞれは、例えば、X軸方向に垂直な一対の辺及びY軸方向に垂直な一対の辺を有する矩形状を呈している。
【0036】
第1光入射領域54における第2光入射領域64側の一辺54a、及び、第2光入射領域64における第1光入射領域54側の一辺64aは、互いに接触(線接触)している。第1光出射領域55は、第1イメージセンサ3の第1受光領域31上に位置している。第1光出射領域55における第2光出射領域65側の一辺55aは、第1受光領域31における第2受光領域41側の一辺31a上又は当該一辺31aよりも内側に位置している。第2光出射領域65は、第2イメージセンサ4の第2受光領域41上に位置している。第2光出射領域65における第1光出射領域55側の一辺65aは、第2受光領域41における第1受光領域31側の一辺41a上又は当該一辺41aよりも内側に位置している。第1光出射領域55の一辺55aと第2光出射領域65の一辺65aとの距離は、第1受光領域31の一辺31aと第2受光領域41の一辺41aとの距離よりも大きい。ここでは、Z軸方向から見た場合に、第1受光領域31の外縁は、第1光出射領域55の外縁を含んでおり、第2受光領域41の外縁は、第2光出射領域65の外縁を含んでいる。
【0037】
ここで、第1FOP5を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、光入射端に対して光出射端がX軸方向において第2FOP6とは反対側に位置するように傾斜している場合に、第1FOP5を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、第1光入射面51及び第1光出射面52のそれぞれと成す角度(傾斜角度)をθ1とする。また、第2FOP6を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、光入射端に対して光出射端がX軸方向において第1FOP5とは反対側に位置するように傾斜している場合に、第2FOP6を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、第2光入射面61及び第2光出射面62のそれぞれと成す角度(傾斜角度)をθ2とする。更に、第1FOP5及び第2FOP6のそれぞれの厚さをTとする。この場合、第1光出射領域55の一辺55aと第2光出射領域65の一辺65aとの距離をD1とすると、D1=T(1/tanθ1+1/tanθ2)と表わされる。したがって、第1受光領域31の一辺31aと第2受光領域41の一辺41aとの距離をD2とすると、D1>D2、すなわち、T(1/tanθ1+1/tanθ2)>D2を満たすように、第1FOP5を構成する複数の光ファイバの傾斜角度θ1、及び第2FOP6を構成する複数の光ファイバの傾斜角度θ2を決定すればよい。
【0038】
図3に示されるように、互いに連続する第1光入射面51及び第2光入射面61の外縁E1は、Z軸方向から見た場合に、第1受光領域31、第1回路領域32,33、第2受光領域41及び第2回路領域42,43を含んでいる。同様に、互いに連続する第1光出射面52及び第2光出射面62の外縁E2は、Z軸方向から見た場合に、第1受光領域31、第1回路領域32,33、第2受光領域41及び第2回路領域42,43を含んでいる。なお、
図3では、筐体9の図示が省略されている。
【0039】
図1及び
図2に示されるように、第1FOP5の第1側面53における第2FOP6側の一側面53a、及び、第2FOP6の第2側面63における第1FOP5側の一側面63aは、互いに沿った形状を呈しており、互いに接触(面接触)している。第1FOP5と第2FOP6とは、互いに接触する一側面53a及び一側面63aにおいて、接着剤等によって互いに接合されている。第1FOP5と第2FOP6とが互いに接合された状態において、第1光入射面51及び第2光入射面61は、同一平面(例えば、Z軸に垂直な平面)上に位置しており、第1光出射面52及び第2光出射面62は、同一平面(例えば、Z軸に垂直な平面)上に位置している。
【0040】
シンチレータ層7は、第1FOP5及び第2FOP6上に設けられている。より詳細には、シンチレータ層7は、第1光入射領域54及び第2光入射領域64を覆うように、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61に形成されている。シンチレータ層7は、例えば、CsI、GOS等によって形成されており、放射線の入射に応じて光を発生する。
【0041】
保護層8は、シンチレータ層7の表面のうち、第1FOP5及び第2FOP6と接触する表面を除く表面を覆っている。保護層8は、例えば、パリレン等によって形成されており、シンチレータ層7を湿気等から保護する。
【0042】
筐体9は、配線基板2、第1イメージセンサ3、第2イメージセンサ4、第1FOP5、第2FOP6、シンチレータ層7及び保護層8を収容している。筐体9は、例えば、プラスチックによって形成されており、配線基板2、第1イメージセンサ3、第2イメージセンサ4、第1FOP5、第2FOP6、シンチレータ層7及び保護層8を外力等から保護しつつ、放射線を透過させる。
【0043】
配線基板2には、記憶部21及び電極パッド22が設けられている。記憶部21は、例えばメモリによって構成されている。電極パッド22には、筐体9の壁部を介して外部に延在するケーブル23が接続されている。ケーブル23は、配線基板2に対する電気信号号の入出力、電力の供給等に用いられる。
【0044】
記憶部21は、第1FOP5の第1光出射領域55の一辺55aと第1イメージセンサ3の第1受光領域31の一辺31aとの第1ずれ量、及び、第2FOP6の第2光出射領域65の一辺65aと第2イメージセンサ4の第2受光領域41の一辺41aとの第2ずれ量を記憶している。第1光出射領域55の一辺55aが第1受光領域31の一辺31a上に位置している場合には、記憶部21は、第1ずれ量を0と記憶している。第2光出射領域65の一辺65aが第2受光領域41の一辺41a上に位置している場合には、記憶部21は、第2ずれ量を0と記憶している。
[放射線検出器の製造方法]
【0045】
上述した放射線検出器1の製造方法について説明する。まず、
図4の(a)に示されるように、FOPブロック10を用意する。
図4の(a)に二点鎖線で模式的に示されるように、FOPブロック10を構成する複数の光ファイバは、FOPブロック10の主面10aに垂直な方向に延在している。続いて、主面10aと例えば23°の角度を成した状態で傾斜する面でFOPブロック10を切断し、
図4の(b)に示されるように、直方体状の第1FOPブロック50及び第2FOPブロック60を得る。
図4の(b)に二点鎖線で模式的に示されるように、第1FOPブロック50を構成する複数の光ファイバのそれぞれは、第1FOPブロック50の第1主面50aと例えば67°の角度を成した状態で傾斜している。同様に、第2FOPブロック60を構成する複数の光ファイバのそれぞれは、第2FOPブロック60の第2主面60aと例えば67°の角度を成した状態で傾斜している。
【0046】
続いて、
図5の(a)に示されるように、第1FOPブロック50を構成する複数の光ファイバと第2FOPブロック60を構成する複数の光ファイバとが第1主面50a及び第2主面60aから離れるほど互いに離れるように、第1FOPブロック50と第2FOPブロック60とを接着剤等によって互いに接合する。続いて、
図5の(b)に示されるように、互いに接合された第1FOPブロック50及び第2FOPブロック60を、第1主面50a及び第2主面60aに垂直な面及び平行な面で切断し、
図5の(c)に示されるように、互いに接合された第1FOP5及び第2FOP6を複数得る。以上が、第1側面53の一側面53a及び第2側面63の一側面63aにおいて互いに接合された第1FOP5及び第2FOP6を取得する工程である。
【0047】
続いて、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61を研磨すると共に、第1FOP5の第1光出射面52及び第2FOP6の第2光出射面62を研磨する(研磨する工程)。これにより、第1光入射面51及び第2光入射面61を面一にすると共に、第1光出射面52及び第2光出射面62を面一にする。なお、第1光入射面51及び第2光入射面61を研磨し、その後に、第1光出射面52及び第2光出射面62を研磨してもよいし、或いは、第1光出射面52及び第2光出射面62を研磨し、その後に、第1光入射面51及び第2光入射面61を研磨してもよい。
【0048】
その一方で、
図6の(a)に示されるように、記憶部21及び電極パッド22が設けられた配線基板2に第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4を実装する。また、
図6の(b)に示されるように、第1FOP5の第1光入射領域54及び第2FOP6の第2光入射領域64を覆うように、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成する(形成すると共に接合する工程)。ここでは、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ材料を蒸着することで、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成する。続いて、
図7の(a)に示されるように、シンチレータ層7の表面のうち、第1FOP5及び第2FOP6と接触する表面を除く表面を覆うように、保護層8を形成する。
【0049】
続いて、
図7の(b)に示されるように、配線基板2に実装された第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に、シンチレータ層7及び保護層8が設けられた第1FOP5及び第2FOP6を接着剤等によって接合する(形成すると共に接合する工程)。このとき、第1FOP5の第1光出射領域55が第1イメージセンサ3の第1受光領域31上に位置し且つ第2FOP6の第2光出射領域65が第2イメージセンサ4の第2受光領域41上に位置するように、位置決めを実施する。なお、配線基板2に実装された第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に第1FOP5及び第2FOP6を接合し、その後に、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成してもよい。例えば、シンチレータ層7がフィルムタイプである場合には、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に第1FOP5及び第2FOP6を接合し、その後に、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を貼り付けることで、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成できる。
【0050】
続いて、
図1に示されるように、配線基板2、第1イメージセンサ3、第2イメージセンサ4、第1FOP5、第2FOP6、シンチレータ層7及び保護層8を筐体9に収容し、配線基板2の電極パッド22に接続されたケーブル23を、筐体9の壁部を介して外部に引き出す。
【0051】
続いて、ケーブル23を画像処理装置に接続し、予め用意されたリファレンスについて放射線画像を取得する。ここで、第1FOP5の第1光出射領域55の一辺55aが第1イメージセンサ3の第1受光領域31の一辺31aの内側に位置している場合には、第1光出射領域55の一辺55aと第1受光領域31の一辺31aとの第1ずれ量の分だけ、リファレンスについての放射線画像に画素値が欠落した領域が発生する。同様に、第2FOP6の第2光出射領域65の一辺65aが第2イメージセンサ4の第2受光領域41の一辺41aの内側に位置している場合には、第2光出射領域65の一辺65aと第2受光領域41の一辺41aとの第2ずれ量の分だけ、リファレンスについての放射線画像に画素値が欠落した領域が発生する。そこで、リファレンスについての放射線画像に基づいて、第1ずれ量及び第2ずれ量を測定する(測定する工程)。
【0052】
続いて、配線基板2に設けられた記憶部21に、第1ずれ量及び第2ずれ量を記憶させる(記憶させる工程)。なお、第1光出射領域55の一辺55aが第1受光領域31の一辺31a上に位置している場合には、第1ずれ量は0である。同様に、第2光出射領域65の一辺65aが第2受光領域41の一辺41a上に位置している場合には、第2ずれ量は0である。以上により、放射線検出器1が得られる。
[画像処理方法]
【0053】
上述した放射線検出器1を用いた画像処理方法について説明する。ここでは、放射線画像として口腔内のX線透過画像を取得する場合について説明する。
【0054】
まず、ケーブル23を画像処理装置に接続する。なお、配線基板2に信号送信部を設け、配線基板2と画像処理装置とを無線で接続してもよい。続いて、画像処理装置が、第1ずれ量及び第2ずれ量を、ケーブル23を介して記憶部21から取得する(取得する工程)。続いて、筐体9を口腔内に配置し、口腔内のX線透過像の撮像を実施する。続いて、画像処理装置が、第1イメージセンサ3から出力された第1電気信号、及び、第2イメージセンサ4から出力された第2電気信号を、配線基板2及びケーブル23を介して取得する。続いて、画像処理装置が、第1電気信号及び第2電気信号、並びに、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、1枚のX線透過画像を生成する(生成する工程)。
【0055】
より詳細には、画像処理装置が第1ずれ量及び第2ずれ量を考慮せずに1枚のX線透過画像を生成すると、
図8に示されるように、第1電気信号基づく画像A1と第2電気信号に基づく画像A2との間に隙間(画素値が欠落した領域)が形成される。
図9に示されるように、当該隙間は、第1ずれ量S1及び第2ずれ量S2に相当する。そこで、画像処理装置は、第1ずれ量S1及び第2ずれ量S2を考慮して当該隙間を消去することで、
図10に示されるように、隙間を介さずに第1電気信号基づく画像A1と第2電気信号に基づく画像A2とが結合された1枚のX線透過画像A10を生成する。
[作用及び効果]
【0056】
以上説明したように、放射線検出器1では、放射線(例えば、X線)がシンチレータ層7に入射すると、シンチレータ層7で光が発生する。そして、シンチレータ層7から第1FOP5に入射した光は、第1光入射領域54から第1光出射領域55に導光され、第1イメージセンサ3の第1受光領域31に入射する。一方、シンチレータ層7から第2FOP6に入射した光は、第2光入射領域64から第2光出射領域65に導光され、第2イメージセンサ4の第2受光領域41に入射する。ここで、第1光入射領域54における第2光入射領域64側の一辺54a、及び、第2光入射領域64における第1光入射領域54側の一辺64aは、互いに接触している。そのため、シンチレータ層7で発生した光が連続した状態で第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4によって検出される。また、第1側面53における第2FOP6側の一側面53a、及び、第2側面63における第1FOP5側の一側面63aは、互いに沿った形状を呈しており、互いに接触している。そのため、第1FOP5の第1光入射面51と第2FOP6の第2光入射面61との間に位置ずれが生じ難い。よって、放射線検出器1によれば、放射線画像を広範囲で精度良く取得できる。
【0057】
また、放射線検出器1では、第1光出射領域55における第2光出射領域65側の一辺55aと第2光出射領域65における第1光出射領域55側の一辺65aとの距離が、第1受光領域31における第2受光領域41側の一辺31aと第2受光領域41における第1受光領域31側の一辺41aとの距離よりも大きい。そして、第1光出射領域55における第2光出射領域65側の一辺55aが、第1受光領域31における第2受光領域41側の一辺31a上又は当該一辺31aよりも内側に位置しており、第2光出射領域65における第1光出射領域55側の一辺65aが、第2受光領域41における第1受光領域31側の一辺41a上又は当該一辺41aよりも内側に位置していている。この構成により、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4に対する第1FOP5及び第2FOP6の位置決め精度を緩和しつつ、第1FOP5及び第2FOP6のそれぞれによって導光された光を第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4において確実に検出できる。
【0058】
また、放射線検出器1は、配線基板2に設けられた記憶部21が、第1光出射領域55における第2光出射領域65側の一辺55aと第1受光領域31における第2受光領域41側の一辺31aとの第1ずれ量、及び、第2光出射領域65における第1光出射領域55側の一辺65aと第2受光領域41における第1受光領域31側の一辺41aとの第2ずれ量を記憶している。この構成により、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、連続した1枚の放射線画像を生成できる。
【0059】
また、放射線検出器1では、互いに連続する第1光入射面51及び第2光入射面61の外縁E1が、Z軸方向から見た場合に、第1受光領域31、第1回路領域32,33、第2受光領域41及び第2回路領域42,43(以下、「第1受光領域31等」という)を含んでいる。同様に、互いに連続する第1光出射面52及び第2光出射面62の外縁E2が、Z軸方向から見た場合に、第1受光領域31等を含んでいる。この構成により、第1受光領域31等の放射線入射側に、第1FOP5及び第2FOP6が十分な厚さ(すなわち、第1光入射面51と第1光出射面52との距離に相当する厚さ、第2光入射面61と第2光出射面62との距離に相当する厚さ)で存在することになるため、第1受光領域31等の放射線による劣化を抑制できる。
【0060】
また、放射線検出器1では、第1FOP5を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、第1イメージセンサ3の第1受光領域31と90°以外の角度を成した状態で傾斜しており、第2FOP6を構成する複数の光ファイバのそれぞれが、第2イメージセンサ4の第2受光領域41と90°以外の角度を成した状態で傾斜している。この構成により、例えば、第1FOP5を構成する複数の光ファイバのそれぞれが第1受光領域31と90°の角度を成している場合に比べ、第1受光領域31の放射線による劣化を抑制できる。同様に、例えば、第2FOP6を構成する複数の光ファイバのそれぞれが第2受光領域41と90°の角度を成している場合に比べ、第2受光領域41の放射線による劣化を抑制できる。しかも、第1FOP5及び第2FOP6の両方において、それらを構成する複数の光ファイバのそれぞれが傾斜しているため、第1受光領域31の放射線による劣化の度合いと第2受光領域41の放射線による劣化の度合いとに差が生じ難くなり、第1受光領域31からの出力値と第2受光領域41からの出力値とに、放射線による劣化の度合いの差に起因する差が生じ難くなる。
【0061】
また、放射線検出器1の製造方法では、互いに接合された第1FOP5及び第2FOP6を取得する工程と、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61を研磨する工程と、を経ることで、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61を容易に且つ確実に面一にできる。しかも、第1光入射面51及び第2光入射面61が面一にされた状態で、シンチレータ層7を形成する工程を経ることで、蒸着によってシンチレータ層7を形成する場合にも、或いは、貼り付けによってシンチレータ層7を形成する場合にも、シンチレータ層7に歪み等が生じるのを抑制できる。よって、放射線検出器1の製造方法によれば、放射線画像を広範囲で精度良く取得可能な放射線検出器1を確実に製造できる。
【0062】
また、放射線検出器1の製造方法では、第1FOP5及び第2FOP6上に、シンチレータ層7を形成し、その後に、配線基板2に実装された第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に、第1FOP5及び第2FOP6を接合する。この場合、第1FOP5及び第2FOP6上に形成されたシンチレータ層7の検査を、比較的高価な第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4との接合前に実施できるため、例えばシンチレータ層7に不良があった場合に、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4が無駄にならず、その結果、製造コストの上昇を抑制できる。
【0063】
また、放射線検出器1の製造方法では、シンチレータ層7がCsIによって形成されている。ここでは、第1FOP5及び第2FOP6上に、予めシンチレータ層7を形成するため、CsIが有する腐食性に起因して第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4並びに配線基板2にダメージが生じるのを抑制できる。
【0064】
また、放射線検出器1の製造方法では、研磨する工程において、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61を研磨すると共に、第1FOP5の第1光出射面52及び第2FOP6の第2光出射面62を研磨する。この場合、第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に第1FOP5及び第2FOP6を接合する工程において、第1FOP5の第1光出射領域55と第1イメージセンサ3の第1受光領域31との距離、及び、第2FOP6の第2光出射領域65と第2イメージセンサ4の第2受光領域41との距離を均一にできる。よって、この場合、放射線画像を広範囲で精度良く取得可能な放射線検出器1をより確実に製造できる。
【0065】
また、放射線検出器1の製造方法では、個々の放射線検出器1に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が記憶部21に記憶されるため、記憶された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成可能な放射線検出器1を製造できる。
【0066】
また、放射線検出器1を用いた画像処理方法では、個々の放射線検出器1に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が取得されるため、取得された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成できる。
[変形例]
【0067】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1FOP5の第1光入射領域54及び第2FOP6の第2光入射領域64のそれぞれは、第1光入射領域54の一辺54a及び第2光入射領域64の一辺64aが互いに接触(線接触)していれば、矩形状以外の形状(例えば、矩形状以外の多角形状)を呈していてもよい。なお、第1光入射領域54の一辺54aに沿って、導光可能でない光ファイバ(例えば、光入射端の一部が欠損した光ファイバ)が部分的に存在する場合もある。同様に、第2光入射領域64の一辺64aに沿って、導光可能でない光ファイバ(例えば、光入射端の一部が欠損した光ファイバ)が部分的に存在する場合もある。
【0068】
また、第1FOP5及び第2FOP6のそれぞれは、第1側面53の一側面53a及び第2側面63の一側面63aが互いに沿った形状を呈しており且つ互いに接触(面接触)していれば、矩形板状以外の形状(例えば、矩形板状以外の多角形板状)を呈していてもよい。一例として、一側面53a及び一側面63aが第1光入射面51及び第2光入射面61に対して90°以外の角度で傾斜していてもよい。
【0069】
また、第1光入射領域54の一辺54a及び第2光入射領域64の一辺64aが互いに接触(線接触)し、第1側面53の一側面53a及び第2側面63の一側面63aが互いに沿った形状を呈し且つ互いに接触(面接触)するとの条件を満たせば、
図11の(a)に示されるように、第1FOP5を構成する複数の光ファイバ(又は第2FOP6を構成する複数の光ファイバ)は、第1光入射面51及び第2光入射面61に垂直な方向に延在していてもよい。
【0070】
また、第1光入射領域54の一辺54a及び第2光入射領域64の一辺64aが互いに接触(線接触)し、第1側面53の一側面53a及び第2側面63の一側面63aが互いに沿った形状を呈し且つ互いに接触(面接触)するとの条件を満たせば、
図11の(b)に示されるように、X軸方向における第1FOP5の長さ及び第2FOP6の長さは、互いに異なっていてもよい。また、同条件を満たせば、
図12の(a)に示されるように、Y軸方向における第1FOP5の長さ及び第2FOP6の長さは、互いに異なっていてもよい。また、同条件を満たせば、
図12の(b)に示されるように、第1FOP5及び第2FOP6は、Y軸方向において互いにずれた状態で配置されていてもよい。
【0071】
また、放射線検出器1は、
図13に示されるように、第3光入射面131、第3光出射面132及び第3側面133を有する第3FOP13を更に備え、第1FOP5、第2FOP6及び第3FOP13が直列に配置されていてもよい。
図13に示される構成においても、互いに隣り合うFOPにおいて、一方の光入射領域における他方の光入射領域側の一辺及び他方の光入射領域における一方の光入射領域側の一辺が互いに接触(線接触)し、一方のFOPの側面における他方のFOP側の一側面及び他方のFOPの側面における一方のFOP側の一側面が互いに沿った形状を呈し且つ互いに接触(面接触)するとの条件を満たしている。なお、第3FOP13は、第3受光領域121を有する第3イメージセンサ12上に設けられている。また、第1FOP5と第3FOP13との間に配置された第2FOP6を構成する複数の光ファイバは、第2光入射面61に垂直な方向に延在している。
【0072】
また、放射線検出器1は、
図14に示されるように、第3光入射面131、第3光出射面132及び第3側面133を有する第3FOP13と、第4光入射面141、第3光出射面(図示省略)及び第4側面143を有する第4FOP14と、を更に備え、第1FOP5、第2FOP6、第3FOP13及び第4FOP14がマトリックス状に配置されていてもよい。
図14に示される構成においても、互いに隣り合うFOPにおいて、一方の光入射領域における他方の光入射領域側の一辺及び他方の光入射領域における一方の光入射領域側の一辺が互いに接触(線接触)し、一方のFOPの側面における他方のFOP側の一側面及び他方のFOPの側面における一方のFOP側の一側面が互いに沿った形状を呈し且つ互いに接触(面接触)するとの条件を満たしている。なお、第3FOP13は、第3受光領域121を有する第3イメージセンサ12上に設けられており、第4FOP14は、第4受光領域を有する第4イメージセンサ(図示省略)上に設けられている。
【0073】
また、互いに連続する第1光入射面51及び第2光入射面61の外縁E1、並びに、互いに連続する第1光出射面52及び第2光出射面62の外縁E2は、Z軸方向から見た場合に、少なくとも第1受光領域31及び第2受光領域41を含んでいればよい。その場合にも、少なくとも第1受光領域31及び第2受光領域41の放射線による劣化を抑制できる。
【0074】
また、放射線検出器1の製造方法では、互いに接合された第1FOP5及び第2FOP6について、少なくとも第1光入射面51及び第2光入射面61を研磨すればよい。その場合にも、第1光入射面51及び第2光入射面61が面一にされた状態で第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成できるので、シンチレータ層7に歪み等が生じるのを抑制できる。
【0075】
また、放射線検出器1の製造方法では、接合する工程において、配線基板2に実装された第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に、第1FOP5及び第2FOP6を接合し、その後に、第1FOP5及び第2FOP6上に、シンチレータ層7を形成してもよい。この場合、その他の部材に比べて強度の低いシンチレータ層7が最後に形成されるため、シンチレータ層7にダメージが生じるのを抑制できる。
【0076】
また、放射線検出器1の製造方法では、配線基板2に設けられた記憶部21に、第1ずれ量及び第2ずれ量を記憶させなくてもよい。その場合、放射線検出器1を用いた画像処理方法では、例えば、画像処理装置が、その記憶部に別途記憶した第1ずれ量及び第2ずれ量を読み出すことで、第1ずれ量及び第2ずれ量を取得し(取得する工程)、画像処理装置が、第1電気信号及び第2電気信号、並びに、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、1枚のX線透過画像を生成してもよい(生成する工程)。また、画像処理装置が、第1ずれ量及び第2ずれ量を考慮せずに生成したX線透過画像において、第1電気信号基づく画像と第2電気信号に基づく画像との間に発生する隙間(画素値が欠落した領域)を画素値に基づいて抽出することで、第1ずれ量及び第2ずれ量を取得し(取得する工程)、画像処理装置が、第1電気信号及び第2電気信号、並びに、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、1枚のX線透過画像を生成してもよい(生成する工程)。
【0077】
また、放射線検出器1の製造方法では、第1FOP5及び第2FOP6上にシンチレータ層7を形成すると共に、配線基板2に実装された第1イメージセンサ3及び第2イメージセンサ4上に第1FOP5及び第2FOP6を接合し(形成すると共に接合する工程)、その後に、第1ずれ量及び第2ずれ量を測定し(測定する工程)、その後に、配線基板2に設けられた記憶部21に第1ずれ量及び第2ずれ量を記憶させてもよい(記憶させる工程)。その場合、互いに接合された第1FOP5及び第2FOP6を予め用意すること、及び、第1FOP5の第1光入射面51及び第2FOP6の第2光入射面61を研磨することは、必須ではない。
【0078】
なお、「配線基板と、配線基板上において互いに隣り合う第1イメージセンサ及び第2イメージセンサと、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上において互いに隣り合う第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートと、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に設けられたシンチレータ層と、を備え、第1ファイバオプティックプレートは、第1光入射面、第1光出射面、及び、第1光入射面と第2光出射面とを結ぶ第1側面を有し、第1光入射面のうちの第1光入射領域と第1光出射面のうちの第1光出射領域との間において導光可能であり、第2ファイバオプティックプレートは、第2光入射面、第2光出射面、及び、第2光入射面と第2光出射面とを結ぶ第2側面を有し、第2光入射面のうちの第2光入射領域と第2光出射面のうちの第2光出射領域との間において導光可能であり、第1光入射領域における第2光入射領域側の一辺、及び、第2光入射領域における第1光入射領域側の一辺は、互いに接触しており、第1光出射領域は、第1イメージセンサの第1受光領域上に位置しており、第2光出射領域は、第2イメージセンサの第2受光領域上に位置している、放射線検出器」(「他の形態の放射線検出器」という)を対象として、次のような方法が実現され得る。
【0079】
すなわち、他の形態の放射線検出器の製造方法であって、「第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレート上に、シンチレータ層を形成すると共に、配線基板に実装された第1イメージセンサ及び第2イメージセンサ上に、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを接合する工程と、形成すると共に接合する工程の後に、第1ずれ量及び第2ずれ量を測定する工程と、測定する工程の後に、配線基板に設けられた記憶部に、第1ずれ量及び第2ずれ量を記憶させる工程と、を備える、放射線検出器の製造方法」である。
【0080】
この他の形態の放射線検出器の製造方法によれば、個々の放射線検出器に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が記憶部に記憶されるため、記憶された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成可能な放射線検出器を製造できる。
【0081】
また、他の形態の放射線検出器を用いた他の形態の画像処理方法であって、「第1光出射領域における第2光出射領域側の一辺と第1受光領域における第2受光領域側の一辺との第1ずれ量、及び、第2光出射領域における第1光出射領域側の一辺と第2受光領域における第1受光領域側の一辺との第2ずれ量を取得する工程と、取得する工程の後に、配線基板を介して第1イメージセンサから出力された第1電気信号、及び、配線基板を介して第2イメージセンサから出力された第2電気信号、並びに、第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて、1枚の放射線画像を生成する工程と、を備える、画像処理方法」である。
【0082】
この他の形態の画像処理方法によれば、個々の放射線検出器に固有の第1ずれ量及び第2ずれ量が取得されるため、取得された第1ずれ量及び第2ずれ量に基づいて1枚の放射線画像を精度良く生成できる。
【符号の説明】
【0083】
1…放射線検出器、2…配線基板、3…第1イメージセンサ、4…第2イメージセンサ、5…第1FOP(第1ファイバオプティックプレート)、6…第2FOP(第2ファイバオプティックプレート)、7…シンチレータ層、21…記憶部、31…第1受光領域、31a…一辺、32,33…第1回路領域、41…第2受光領域、41a…一辺、42,43…第2回路領域、51…第1光入射面、52…第1光出射面、53…第1側面、53a…一側面、54…第1光入射領域、54a…一辺、55…第1光出射領域、55a…一辺、61…第2光入射面、62…第2光出射面、63…第2側面、63a…一側面、64…第2光入射領域、64a…一辺、65…第2光出射領域、65a…一辺。