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特開2022-91891航路設定装置、自動操縦装置及び航路設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091891
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】航路設定装置、自動操縦装置及び航路設定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220614BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20220614BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20220614BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01C21/26 Z
G01C21/36
B63B79/40
B63B49/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053092
(22)【出願日】2022-03-29
(62)【分割の表示】P 2017224131の分割
【原出願日】2017-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 智雄
(57)【要約】
【課題】航路を簡単、かつ自由に設定できる航路設定装置、自動操縦装置及び航路設定方法を提供する。
【解決手段】船舶に搭載され、船舶の航路を設定する自動操縦装置1において、表示制御部13と、入力部12と、航路設定部14とを備える。表示制御部13は、海図データを表示部11の表示画面に表示する。入力部12は、表示画面へのなぞり操作を受け付ける。表示制御部13は、なぞり操作の軌跡を表示部11の表示画面に表示する。航路設定部14は、なぞり操作の軌跡の海図データでの位置から、船舶の航路を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを表示画面に表示する表示制御部と、
前記地図データが表示された前記表示画面を用いた航路入力操作を受け付ける入力部と、
前記航路入力操作の前記地図データに対する軌跡から、前記地図データにおける移動体の通過点を検出する通過点検出部と、
前記通過点に基づいて、前記移動体の航路を設定する航路設定部と、
を備え、
前記入力部は、
前記地図データにおける領域単位で前記航路入力操作を受け付け、
前記航路設定部は、
前記航路入力操作を受けた複数の領域を含み、該複数の領域に基づく航行許可範囲を設定し、該航行許可範囲に応じた前記航路を設定する、
航路設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の航路設定装置であって、
前記入力部は、
前記航路入力操作として、前記複数の領域のうち、隣接する領域が連続してタッチされるなぞり操作を受け付ける、
航路設定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の航路設定装置であって、
前記表示制御部は、前記航路入力操作の軌跡を、前記表示画面に表示する、
航路設定装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の航路設定装置であって、
前記航路入力操作は、前記表示画面に対するなぞり操作である、
航路設定装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の航路設定装置であって、
前記表示制御部は、前記移動体の位置を取得し、前記地図データ上の前記移動体の位置に対応する前記表示画面上の位置に、前記移動体を表すマークを表示する、
航路設定装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の航路設定装置であって、
前記表示制御部は、
表示する地図データ内で航行不可能な領域の表示態様を変更する、
航路設定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の航路設定装置であって、
前記入力部が航路入力操作を時間差で受け付けた場合、
前記表示制御部は、
前記入力部が受け付けた直近の航路入力操作の軌跡のみを前記表示画面上に表示し、
前記航路設定部は、
前記入力部が受け付けた直近の航路入力操作の軌跡を、新たな航路として設定する、
航路設定装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の航路設定装置であって、
前記移動体は船舶であり、
前記地図データは海図データである、
航路設定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の航路設定装置であって、
漁労データを取得する漁労データ取得部、
を備え、
前記表示制御部は、前記漁労データ取得部から取得した漁労データを表示する、
航路設定装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の航路設定装置と、
前記航路設定装置により設定された航路に沿って、移動体を航行させる移動体操縦部と、
を備えた自動操縦装置。
【請求項11】
地図データを表示画面に表示し、
前記表示画面を用いて、前記地図データにおける領域単位で航路入力操作を受け付け、
前記航路入力操作の前記地図データに対する軌跡から、前記地図データにおける移動体の通過点を検出し、
前記通過点に基づいて航路を設定し、
前記航路入力操作を受けた複数の領域を含み、該複数の領域に基づく航行許可範囲を設定し、該航行許可範囲に応じた前記航路を設定する、
航路設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の航路を設定する航路設定装置、それを備えた自動操縦装置及び航路設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体、特に船舶には、操舵者の負担軽減のために自動操縦装置(オートパイロット装置)が搭載されていることがある。オートパイロット装置で航路を設定する一般的な方法として、例えば特許文献に記載の方法がある。特許文献1には、ディスプレイに表示した海図上に、変針点を順次設定することで航路を設定する電子海図装置が開示されている。この電子海図装置は、設定した変針点を結ぶ直線を、船舶が航行する航路として設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-335557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、ユーザが選択した点と点とを結ぶ線が船舶の航路として設定される。また、航路を途中で変更する場合には、それまでの変針点の情報はリセットされ、新たに全ての変針点を設定し直す必要がある。したがって、ユーザは簡単で自由に航路を設定することができない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、航路を簡単、かつ自由に設定できる航路設定装置、自動操縦装置及び航路設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の航路設定装置は、表示制御部、入力部、通過点検出部、および、航路設定部を備える。表示制御部は、地図データを表示画面に表示する。入力部は、地図データが表示された表示画面を用いた航路入力操作を受け付ける。通過点検出部は、航路入力操作の地図データに対する軌跡から、地図データにおける移動体の通過点を検出する。航路設定部は、通過点に基づいて、移動体の航路を設定する。入力部は、地図データにおける領域単位で航路入力操作を受け付ける。航路設定部は、航路入力操作を受けた複数の領域を含み、該複数の領域に基づく航行許可範囲を設定し、該航行許可範囲に応じた航路を設定する。
【0007】
この構成では、表示画面をなぞる等の操作によって航路を設定できる。ユーザが選択する変針点と変針点とを結ぶ線を航路として設定する従来と比べ、ユーザは、より簡単かつ自由に、または、直感的に、詳細な航路を設定できる。また、航路としての許可範囲を広くできる。したがって、航路から逸脱し難い自動操縦を実現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザは、より簡単かつ自由に、航路から逸脱し難い自動操縦を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るオートパイロット装置の構成を示すブロック図
図2】(A)及び(B)は、表示部に表示される画像の一例を示す図
図3】(A)及び(B)は、自動操縦時の航路の設定時における、表示部の表示態様を示す図
図4】自船を始点として航路を変更する場合における、表示部の表示態様を示す図
図5】自船を始点とせずに航路を変更する場合における、表示部の表示態様を示す図
図6】オートパイロット装置で実行される処理を示すフローチャート
図7】(A)及び(B)は、航行許可範囲が設定される場合の表示部11の表示態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る自動操縦装置1の構成を示すブロック図である。自動操縦装置1は船舶に搭載される。自動操縦装置1は、設定された航路に従って船舶を自動操縦する、所謂オートパイロット装置である。船舶は、本発明に係る「移動体」に相当する。
【0011】
自動操縦装置1は、航路設定装置10と、現在位置取得部20と、移動体操縦部21とを備えている。航路設定装置10は、船舶の航路を設定する。現在位置取得部20は、船舶が備える測位システムによって特定された自船の現在の位置データを取得する。移動体操縦部21は、現在位置取得部20が取得した自船の位置に基づいて、航路設定装置10で設定された航路を航行するよう船舶を操舵する。
【0012】
航路設定装置10は、表示部11、入力部12、表示制御部13、通過点検出部141、航路設定部142、漁労データ取得部15及び記憶部16を備えている。
【0013】
表示部11は、必要なデータを表示するディスプレイである。表示部11は、後述の表示制御部13により表示制御される。
【0014】
入力部12は、ユーザが入力データを入力するための操作手段である。本実施形態に係る入力部12は、表示部11の画面上に設けられるタッチパネルであり、ユーザによるタッチ操作、なぞり操作を受け付ける。ここで、タッチ操作とは、表示部11の画面を、例えばユーザの指を短時間タッチ(接触)させる操作をいい、なぞり操作とは、指を入力部12に対して接触させた状態でスライドさせて、一続きの線を入力する操作をいう。このなぞり操作が本発明の「航路入力操作」に対応する。
【0015】
漁労データ取得部15は、外部から漁労データを取得する。漁労データとしては、例えば、水温、水深、底質等に関するデータ等がある。漁労データ取得部15は、取得した漁労データを表示制御部13へ出力する。なお、漁労データに、過去の釣果を用いてもよい。
【0016】
記憶部16は、海図データ等、各種必要なデータを記憶する。
【0017】
表示制御部13は表示部11を表示制御する。表示制御部13は、現在位置取得部20が取得した自船の位置を含む周囲の海図データを表示部11の表示画面に表示する。また、表示制御部13は、ユーザが入力部12から入力したなぞり操作の軌跡を表示部11の表示画面に表示する。また、表示制御部13は、入力部12が一度なぞり操作を受け付けた後、再度なぞり操作を受け付けた場合、既に表示したなぞり操作の軌跡を消去し、直近に受け付けたなぞり操作の軌跡を表示する。表示制御部13により表示される画像については、後に詳述する。
【0018】
通過点検出部141および航路設定部142は、表示制御部13が表示した、ユーザによるなぞり操作の軌跡から、船舶の自動操縦時の航路を設定する。詳しくは、通過点検出部141は、ユーザによるなぞり操作の軌跡の地図データ上の位置データを検出する。すなわち、通過点検出部141は、軌跡上の通過点の位置データを検出する。通過点とは、地図データ上での軌跡を形成する各点(なぞり操作中に通過する点)のことであり、少なくとも軌跡が屈曲する点(位置)、軌跡の始点および終点を含む。ここで、位置データとは、緯度データ及び経度データである。通過点検出部141は、通過点の位置データを航路設定部142に出力する。
【0019】
航路設定部142は、検出した位置データを繋ぐように設定することで航路を設定する。航路設定部142は、設定した航路を、移動体操縦部21へ出力する。
【0020】
以下に、表示制御部13が表示部11に表示する画像について説明する。表示制御部13は、本発明に係る「地図データ表示部」、「軌跡表示部」、「移動体表示部」、「移動体位置取得部」に相当する。
【0021】
図2(A)及び図2(B)は、表示部11に表示される画像の一例を示す図である。
【0022】
表示制御部13は、図2(A)に示すように、記憶部16に記憶された海図データ101と、複数のグリッド線とを表示部11に表示する。このとき、表示制御部13は、現在位置取得部20が取得した自船の位置を含む周囲の海図データ101を表示する。また、表示制御部13は、表示した海図データ101上に、自船を表すマーク102も表示する。
【0023】
表示した海図データ101内に航行不可な領域101A,101B,101Cがある場合、表示制御部13は、その領域101A,101B,101Cにあるグリッド枠(グリッド線で区切られた領域)内の表示態様を変更する。航行不可な領域とは、例えば、陸地、座礁のおそれのある浅瀬の海域等である。この場合、例えば、表示制御部13は、グリッド枠内の表示色を他と異ならせて表示する。これにより、ユーザは、自動操縦時の航路を設定する際、航行不可能な領域を把握し易くなる。
【0024】
なお、記憶部16等に、航行不可な領域の位置データを予め記憶していてもよいし、船舶に搭載された機器で検出された航行不可な領域の位置データを取得してもよい。また、外部から航行不可な領域の位置データを受信してもよい。
【0025】
また、図示しないが、表示制御部13は、漁労データ取得部15から取得した漁労データを表示するようにしてもよい。例えば、表示制御部13は、グリッド枠の表示態様を変更し、又は文字を表示することで、水温の変化、底質等をユーザに報知するようにしてもよい。
【0026】
なお、表示制御部13は、図2(B)に示すように、海図データ101をグリッド化しないで表示するようにしてもよい。
【0027】
図2(A)に示す画像において、ユーザは、自船を表すマーク102を始点として、隣接するグリッド枠を連続してなぞることで、自動操縦時の航路を入力する。表示制御部13は、なぞられたグリッド枠の表示態様を変更することで、ユーザが入力した航路を表示する。
【0028】
図3(A)及び図3(B)は、自動操縦時の航路の設定時における、表示部11の表示態様を示す図である。
【0029】
ユーザがグリッド枠を順次なぞっていくと、航路設定部14は、ユーザによるなぞり操作の軌跡を、自動操縦時の航路として設定する。表示制御部13は、図3(A)に示すように、グリッド枠内の色をなぞられた順に変更する。これにより、ユーザは、自身が入力した自動操縦時の航路102Aを把握できる。
【0030】
設定した航路102Aの終点から、さらに先の航路を設定する場合、ユーザは、航路102Aの終点を始点として、隣接するグリッド枠を連続してなぞることで自動操縦時の航路を入力する。表示制御部13は、図3(B)に示すように、さらになぞられたグリッド枠内の色を変更する。これにより、ユーザは、延長した航路102Aを把握できる。
【0031】
このように、ユーザは、海図データを表示する表示部11の表示画面をなぞるだけで、自動操縦時の航路を簡単に設定できる。また、ユーザが選択した変針点と変針点とを結ぶ線を自動操縦時の航路として設定する従来と比べ、ユーザは、より簡単、かつ自由な航路を設定できる。また、航路を延長したい場合であっても、設定した航路の終点から、さらにグリッド枠をなぞることで、簡単に設定する航路を延長できる。
【0032】
以下に、設定した自動操縦時の航路を変更する場合について説明する。既に設定した航路102Aを変更する場合、ユーザは、再度隣接するグリッド枠を連続してなぞることで自動操縦時の航路を再入力する。この場合、航路設定部142は、既に設定された航路の設定を取消し、直近に入力された航路を自動操縦時の航路として設定する。
【0033】
図4は、自船を始点として航路を変更する場合における、表示部11の表示態様を示す図である。この場合、表示制御部13は、図3(A)に示す航路102Aの表示を消し、図4に示すように、自船のマーク102から、新たに入力された航路102Bを表示する。
【0034】
図5は、自船を始点とせずに航路を変更する場合における、表示部11の表示態様を示す図である。この場合におけるなぞり操作の始点は、既に設定された航路102Aの途中、又は、航路102Aから離れた点である。表示制御部13は、図5に示すように、最初にタッチされたグリッド枠を始点として、新たに入力された航路102Cを表示する。
【0035】
なお、図5では、自船のマーク102と航路102Cの始点とは離れている。この場合、移動体操縦部21が自動で設定した航路で、航路102Cの始点まで自船を操舵してもよいし、ユーザ自身が航路102Cの始点まで自船を操舵してもよい。
【0036】
このように、自動操縦時の航路を一度設定した場合であっても、再度画面をなぞることで、自動操縦時の航路を簡単に変更できる。
【0037】
なお、表示制御部13は、表示するグリッド線の間隔を変更するようにしてもよい。例えば、表示制御部13は、船舶の旋回可能角度に応じてグリッド線の間隔を変更してもよい。この場合、航路を設定しても、船舶が旋回できずに、設定した航路上を航行できなくなるおそれを回避できる。また、表示レンジに合わせてグリッド線の間隔を変更してもよい。
【0038】
さらに、周囲の障害物の有無によってグリッド線の間隔を変更してもよいし、グリッド線の間隔は、全て等間隔でなくてもよい。例えば、障害物が多い領域ではグリッド線の間隔を狭くし、障害物が少ない領域ではグリッド線の間隔を広くしてもよい。また、輻輳地域でのグリッド線の間隔は、他の地域よりも狭くしてもよい。
【0039】
また、グリッド線の間隔を狭くした場合、航路を細かく設定できるが、潮流又は風況によっては、船舶は設定された航路通りに航行できない場合がある。この場合、グリッド線の間隔を広くすることで、船舶が潮流等によって流されても、設定した航路に沿って船舶を航行させることができる。
【0040】
また、表示制御部13は、入力部12からユーザの操作によりグリッド線の間隔を変更するようにしてもよい。
【0041】
図6は、自動操縦装置1で実行される処理を示すフローチャートである。
【0042】
現在位置取得部20は、測位システムによって特定された自船の位置データを取得する(S1)。表示制御部13は、現在位置取得部20が取得した自船の位置を含む海図データ101(図2(A)参照)を表示する(S2:地図データ表示ステップ)。このとき、表示制御部13は、海図データ101と共にグリッド線を表示する。また、海図データ上の航行不可な領域がある場合、表示制御部13は、その領域101A,101B,101Cにあるグリッド枠内の表示態様を変更する。
【0043】
入力部12は、ユーザによるなぞり操作を受け付けたか否かを判定する(S3:受付ステップ)。入力部12がなぞり操作を受け付けていない場合(S3:NO)、後述のS11の処理が実行される。入力部12がなぞり操作を受け付けた場合(S3:YES)、航路設定部142は、自動操縦時の航路が既に設定されているか否かを判定する(S4)。
【0044】
航路が既に設定されている場合(S4:YES)、航路設定部142は、入力部12から入力されたなぞり操作が、設定されている航路の終点を始点としているか否かを判定する(S5)。なぞり操作が航路の終点を始点としている場合(S5:YES)、航路設定部142は、設定されている航路を延長し(S9)、表示制御部13は、図3(B)に示すように、その延長した航路を表示する(S10)。その後、S11の処理が実行される。
【0045】
S5において、なぞり操作が航路の終点を始点としていない場合(S5:NO)、航路設定部142は、既に設定されている航路を削除する(S6)。そして、航路設定部142は、新たに入力された航路を、自動操縦時の航路に設定し(S7:航路設定ステップ)、表示制御部13は、図4又は図5に示すように、その航路を表示部11に表示する(S8:軌跡表示ステップ)。
【0046】
S4において、航路が未だ設定されていない場合(S4:NO)、航路設定部142は、S3で受け付けたなぞり操作の軌跡を、自動操縦時の航路に設定し(S7)、表示制御部13は、その航路を表示部11に表示する(S8)。
【0047】
自動操縦装置1は、電源がオフされるなど終了するか否かを判定し(S11)、終了する場合(S11:YES)、自動操縦装置1は本処理を終了する。終了しない場合(S11:NO)、自動操縦装置1はS1の処理から再度実行する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、海図データを表示した表示部11をなぞることで、自動操縦時の航路を簡単かつ自由に設定できる。また、一度航路を設定した場合であっても、再度、表示部11をなぞることで、航路の再設定を簡単に行える。
【0049】
なお、入力部12はタッチパネルとしたが、マウスであってもよい。この場合、表示部11に表示されるポインタをマウスで操作することで、自動操縦時の航路が入力されるようにしてもよい。そして、この場合、マウスによってポインタを操作することが、本発明の「航路入力操作」に対応する。
【0050】
なお、上述の説明では、なぞられたグリッドを順次つないで、航路を設定する態様を示した。しかしながら、なぞられたグリッドに基づいて、航行許可範囲を設定し、当該航行許可範囲内において自動操縦を設定してもよい。図7(A)及び図7(B)は、航行許可範囲が設定される場合の表示部11の表示態様を示す図である。
【0051】
図7(A)の場合、航路設定部142は、矩形の航行許可範囲120を設定する。具体的には、航路設定部142は、なぞられた複数のグリッドを検出する。
【0052】
航路設定部142は、これらのグリッドの内、横軸方向の両端、および縦軸方向の両端のグリッドを検出する。具体的には、航路設定部142は、通過点である始点、終点、屈曲点に基づいて、各端となるグリッドを検出する。航路設定部142は、横軸方向の両端および縦軸方向の両端のグリッドを含む最小の矩形領域を、航行許可範囲120に設定する。
【0053】
図7(B)の場合、航路設定部142は、なぞられた複数のグリッドのそれぞれに対して、幅方向に所定のマージンを持たせた航行許可範囲120Aを設定する。具体的には、航路設定部142は、なぞられた複数のグリッドを検出する。
【0054】
航路設定部142は、これらの複数のグリッドの並び等から、主たる航行方向を設定する。例えば、図7(B)の場合、なぞられた複数のグリッドは、横軸方向に多く並んでいるので、主たる航行方向は横軸方向となる。
【0055】
航路設定部142は、主たる航行方向に対して直交する方向に1グリッド分のマージンを設定する。このマージンは、なぞられたグリッドの両側に設定される。航路設定部142は、なぞられた複数のグリッドと、各グリッドに対するマージンのグリッドとから、航行許可範囲120を設定する。
【0056】
このような処理によって、航路としての許可範囲を広くできる。したがって、航路から逸脱し難い自動操縦を実現できる。
【0057】
本実施形態では、本発明に係る移動体は船舶としているが、車両又は航空機等であってもよく、自動操縦装置1は、その車両又は航空機等に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…自動操縦装置
10…航路設定装置
11…表示部
12…入力部
13…表示制御部
141…通過点検出部
142…航路設定部
15…漁労データ取得部
16…記憶部
20…現在位置取得部
21…移動体操縦部
101…海図データ
101A,101B,101C…領域
102…マーク
102A,102B,102C…航路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7