(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091932
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】細胞透過性コンジュゲート及びその使用の方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20220614BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220614BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20220614BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220614BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220614BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220614BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220614BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C12N5/10
A61K31/712
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61P29/00
A61P3/00
A61P5/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P1/00
A61P25/00
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K48/00
A61P37/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059465
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2020120404の分割
【原出願日】2014-08-29
(31)【優先権主張番号】61/871,729
(32)【優先日】2013-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/939,993
(32)【優先日】2014-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598004424
【氏名又は名称】シティ・オブ・ホープ
【氏名又は名称原語表記】City of Hope
【住所又は居所原語表記】1500 East,Duarte Road,Duarte,California 91010-0269,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アーネスト・シャイブリー
(72)【発明者】
【氏名】ピオトル・マレク・スウィデルスキー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ホワ・ユイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ペプチド及びタンパク質(例えば、抗体)が細胞を透過することができるように改良して、細胞内分子を有効に標的とすることを可能にするためのコンジュゲートを提供する。
【解決手段】細胞透過性コンジュゲートであって、本コンジュゲートは、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含み、このホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲートを提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートであって、前記ホスホロチオエート核酸は、前記細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲート。
【請求項2】
前記ホスホロチオエート核酸は、前記細胞非透過性タンパク質に共有結合で結合する、請求項1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項3】
前記ホスホロチオエート核酸は、前記細胞非透過性タンパク質に非共有結合で結合する、請求項1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項4】
複数のホスホロチオエート核酸が、前記細胞非透過性タンパク質に結合する、請求項1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項5】
前記複数のホスホロチオエート核酸のそれぞれは、前記タンパク質に共有結合で結合する、請求項4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項6】
前記複数のホスホロチオエート核酸のそれぞれは、前記タンパク質に非共有結合で結合する、請求項4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項7】
前記タンパク質は、共有結合及び非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸を含む、請求項4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項8】
各ホスホロチオエート核酸は、独立して、前記細胞非透過性タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンに結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項9】
各ホスホロチオエート核酸は、前記タンパク質のシステインに結合する、請求項8に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項10】
各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上の核酸残基の長さである、請求項1~9のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項11】
各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10~30残基の長さである、請求項10に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項12】
前記細胞非透過性タンパク質は、25kDを上回る分子量を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項13】
前記細胞非透過性タンパク質は、25~750kDの分子量を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項14】
前記細胞非透過性タンパク質は、抗体である、請求項1~13のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項15】
前記抗体は、IgG抗体である、請求項14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項16】
前記抗体は、IgA、IgM、IgD、またはIgE抗体である、請求項14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項17】
前記抗体は、Fvフラグメントである、請求項14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項18】
前記抗体は、ヒト化抗体である、請求項14~17のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項19】
前記細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、請求項1~18のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項20】
前記細胞内標的は、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される疾患の標的である、請求項19に記載の細胞透過性コンジュゲート
【請求項21】
前記細胞内標的は、シグナル伝達分子または転写因子である、請求項19または20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項22】
前記シグナル伝達分子は、ホスファターゼまたはキナーゼである、請求項21に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項23】
前記細胞内標的は、癌標的である、請求項20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項24】
前記細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、及びSrcからなる群から選択される、請求項19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項25】
前記細胞内標的は、リン酸化Srcである、請求項19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項26】
前記細胞非透過性タンパク質は、前記タンパク質に結合した標識、小分子、または機能性核酸をさらに含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項27】
細胞内標的に結合した、請求項1~26のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項28】
未結合の細胞非透過性タンパク質を未結合のホスホロチオエート核酸と接触させ、前記未結合のホスホロチオエート核酸が前記未結合の細胞非透過性タンパク質のアミノ酸に共有結合で結合するのを可能にし、それによって結合させて、前記細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製される、請求項1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項29】
前記ホスホロチオエート核酸は、共有結合反応性部分を含む、請求項28に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項30】
前記共有結合反応性部分は、前記タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンと反応する、請求項29に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項31】
前記共有結合反応性部分は、システインと反応する、請求項29に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項32】
前記共有結合反応性部分は、ビニルスルホンである、請求項28~31のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項33】
未結合の細胞非透過性タンパク質を未結合のホスホロチオエート核酸と接触させ、前記未結合のホスホロチオエート核酸が前記未結合の細胞非透過性タンパク質に結合するのを可能にし、それによって結合させて、前記細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製され、前記未結合のホスホロチオエート核酸が、式-S-S-(CH2)z-OHを有する置換基を含み、式中、zは、1~10の整数である、請求項1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項34】
前記接触は、還元条件下で行われる、請求項28~33のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項35】
前記未結合のホスホロチオエート核酸は、前記未結合の細胞非透過性タンパク質がモル過剰である状態で存在する、請求項28~33のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲートを含む、細胞。
【請求項37】
請求項1~35のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項38】
1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、請求項37に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、請求項38に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、請求項19~25のいずれか1項に記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、前記細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、請求項39に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、請求項38~41のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
請求項1~35のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲートまたは請求項37に記載の薬学的組成物と、使用のための説明書とを含む、キット。
【請求項44】
1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
請求項1~27のいずれか1項に記載のコンジュゲート及び前記第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
請求項37に記載の薬学的組成物及び前記第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、請求項44に記載のキット。
【請求項47】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、請求項19~25のいずれか1項に記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、前記細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、請求項44~46のいずれか1項に記載のキット。
【請求項48】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、請求項44~46のいずれか1項に記載のキット。
【請求項49】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、前記第2の細胞非透過性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化される、請求項44~48のいずれか1項に記載のキット。
【請求項50】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、請求項43~49のいずれか1項に記載のキット。
【請求項51】
細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法であって、前記細胞を、請求項1~35のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含む、方法。
【請求項52】
前記細胞非透過性タンパク質は、細胞質内の核タンパク質に結合し、それによって細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体を形成する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体は、前記細胞の核に進入することができない、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
対象における疾患を治療する方法であって、前記対象に、請求項1~35のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲートの有効量を投与することを含み、前記コンジュゲートの投与により、前記対象における前記疾患を治療する、方法。
【請求項55】
前記対象に、1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を投与することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、請求項19~26のいずれか1項に記載のコンジュゲートと比較して、前記細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
請求項1~26のいずれか1項に記載のコンジュゲート及び前記第2の細胞非透過性タンパク質は、同時に投与される、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
請求項1~26のいずれか1項に記載のコンジュゲート及び前記第2の細胞非透過性タンパク質は、順次投与される、請求項55~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、請求項55~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む、請求項54~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患は、自己免疫疾患、発達障害、炎症性疾患、代謝障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される、請求項54~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患は、癌である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記コンジュゲートの前記細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、前記細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、またはSrcである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記コンジュゲートの前記細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、前記細胞内標的は、リン酸化Srcである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記コンジュゲートの前記細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、前記第2の細胞非透過性タンパク質は、エクスポーチン7に特異的に結合する抗体である、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記コンジュゲートの前記細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、前記第2の細胞非透過性タンパク質は、STAT3の別のエピトープに特異的に結合する抗体である、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年8月29日に出願された米国仮特許出願第61/871,729号及び2014年2月14日に出願された米国仮出願第61/939,993号の優先権を主張し、これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦支援による研究開発下でなされた発明に対する権利の陳述
本発明は、米国国立衛生研究所により授与された助成金番号CA122976の下の支援により行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
抗体は、小分子薬等の他の種類の薬物と比べて、その容易な生成、特異性、及び生体耐性(bio-durability)のため、有効な薬物モダリティであることが実証されている。現在の抗体療法では、細胞外分子を標的とすることしかできない。しかしながら、疾患治療及び疾患診断のための多数の重要な標的は、細胞内にある。例えば、最も重要であるが依然として困難な癌療法のための標的には、STAT3等の多数の転写因子が含まれている。当該技術分野におけるこれら及び他の必要性のための解決策が、本明細書に提供される。
【発明の概要】
【0004】
細胞内分子を標的とするためにはペプチド及びタンパク質(例えば、抗体)を使用することが必要である。しかしながら、ペプチド及びタンパク質(例えば、抗体)が有効な様式で細胞内分子を標的とする能力は、困難であることが実証されている。本明細書全体を通じて記載され、以下の実施例で実証されるように、とりわけ、ペプチド及びタンパク質(例えば、抗体)が細胞を透過することができるようにそれらを改良して、それらが全身投与によってさえも細胞内分子を有効に標的とすることを可能にするための方法が、本明細書に提供される。さらに、この提供される改良された抗体により1つの複合体中の2つの異なるタンパク質が標的とされ得ることが、示される。提供される細胞透過性ペプチド(タンパク質)技術は、種々の細胞内タンパク質(例えば、発癌性タンパク質、細胞内に存在するウイルスタンパク質等)を標的とするために広く使用することができる。
【0005】
とりわけ、細胞透過性コンジュゲートが本明細書に提供される。一態様において、本コンジュゲートは、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含み、このホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。他の態様において、本コンジュゲートを含む組成物及びキットが提供される。
【0006】
別の態様において、対象における疾患を治療する方法が提供される。本方法は、対象に、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートの有効量を投与することを含み、このホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化し、本コンジュゲートの投与は、対象における疾患を治療する。
【0007】
別の態様において、細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法が提供される。本方法は、細胞を、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含み、このホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】STAT3融合タンパク質またはSTAT3/エクスポーチン7複合体の2つの異なる部分を抗体により標的とすることにより、細胞質内にSTAT3を保持することを示す。
図1Aは、STAT3-GFPが、マウス3T3/v-Src細胞においてSTAT3-GFPへのSTAT3及びGFP抗体の細胞内送達により、細胞質内に封じ込められていることを示す画像である。Hoechst33342を添加して核酸を染色した。スケールバー10μm。
【
図1B】
図1Bは、腫瘍溶解物のSTAT3またはエクスポーチン7のいずれかの免疫沈降後のウエスタンブロット分析の画像であり、STAT3がエクスポーチン7と相互作用することを示す。PIS:免疫血清前。
【
図1C】
図1Cは、Duolink(登録商標)(Uppsala,Sweden)技法を用いたU251細胞における相互作用するSTAT3及びエクスポーチン7のインサイツ局在化の画像である。相互作用事象は、点様の構造として示される。検出抗体によるSTAT3認識を妨げるSTAT3遮断ペプチドが、対照として使用されていた。選択された領域(破線)が、右下の隅に拡大して示される。スケールバー10μm(左パネル)。
【
図1D】
図1Dは、エクスポーチン7とのSTAT3相互作用、n=4(総シグナル、左)、核と細胞質のシグナル事象、n=26(右)の定量的分析のグラフである。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図1E】
図1Eは、STAT3及びエクスポーチン7抗体の細胞内送達によりSTAT3を細胞質内に封入することを示す画像である。生細胞の共焦点撮像により、STAT3細胞再分布に対する二重抗体アプローチの効果を示す。スケールバー10μm。
【
図2A】STAT3のリジンアセチル化が、STAT3の核細胞質輸送及びエクスポーチン7の細胞内局在化を決定することを示す。
図2Aは、iFLAP生細胞共焦点撮像の画像であり、リジン685がSTAT3核細胞質間輸送に重要であることを示す。CFP及びYFPに融合されたSTAT3またはSTAT3K685Rの細胞内可動性を、数回の細胞質YFP退色処理によって時間の関数として追跡した。スケールバー10μm。
【
図2B】
図2Bは、STAT3K685Rが核内保持を受け、STAT3及びGFP抗体によって細胞質内に保持されないことを示す画像である。スケールバー10μm。
【
図2C】
図2Cは、STAT3のチロシンリン酸化ではなくリジンアセチル化が、エクスポーチン7との相互作用に重要であることを示す、ウエスタンブロットの画像である。
【
図2D】
図2Dは、構成的に活性なSTAT3におけるK685の変異が、STAT3とエクスポーチン7との間の相互作用を停止させることを示す画像である。STAT3及びSTAT3K685Rを、U251ヒト腫瘍細胞に過剰発現させ、共沈降実験を全細胞溶解物から行った。
【
図2E】
図2Eは、K685を変異させることにより、エクスポーチン7とのSTAT3の相互作用、核移出チェックポイントヌクレオポリン50及びヌクレオポリン153をインビボで減少させることを示す画像である。STAT3野生型-YFPまたはSTAT3K685R-YFPで再構成したSTAT3欠損MEF細胞を無胸腺ヌードマウスに生着させることによって成長させた腫瘍から調製した溶解物の免疫沈降後のウエスタンブロット分析を示す。
【
図2F】
図2Fは、アセチル化欠損STAT3K685Rがインビボでのエクスポーチン7の核退出を制限することを示す画像である。共焦点顕微鏡画像を示す。核酸をHoechst33342で染色した。スケールバー50μm。
【
図2G】
図2Gは、STAT3野生型及びSTAT3K685R腫瘍におけるn=6での核内エクスポーチン7(左パネル)及びn=6での核直径(右パネル)の定量化を示すグラフである。***、P<0.001;**、P<0.01。
【
図3A】インビボでSTAT3及びエクスポーチン7の複合体を標的とすることが、癌療法に有効であることを示す。
図3Aは、示される抗体処置時のC57BL/6マウスにおけるマウスB16黒色腫の腫瘍成長動態を示すグラフである。各点は、処置を示す。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図3B】
図3Bは、腫瘍のSTAT3とヌクレオポリン50または153との免疫共沈降後のウエスタンブロット分析によって示される、腫瘍におけるSTAT3輸送を妨害する二重抗体処置の画像である。
【
図3C】
図3Cは、インビボでの腫瘍、腫瘍血管系、及び増殖活性に対する二重抗体処置の効果を示す、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色の画像ならびに腫瘍微小切片の共焦点画像である。スケールバー100μm。
【
図3D】
図3Dは、CD31+腫瘍血管系(n=4)及びKi67+増殖活性(n=3)の定量化を示す棒グラフである。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図3E】
図3Eは、示される抗体で処置した腫瘍におけるSTAT3標的遺伝子であるBcl-2及びサイクリンD1のタンパク質発現を示すウエスタンブロットの画像である。
【
図3F】
図3Fは、示される抗体によって局所処置した無胸腺nu/nuマウスに生着させたヒトU87脳腫瘍の腫瘍成長動態のグラフである。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図3G】
図3Gは、二重抗体アプローチにより処置した腫瘍におけるSTAT3 DNA結合活性の低下を示す、シス誘導要素(SIE)オリゴヌクレオチドを使用したオリゴヌクレオチドプルダウンアッセイ後のウエスタンブロットの画像である。沈降物を、まずSDS-PAGEによって分離させた。
【
図3H】
図3Hは、インビボで腫瘍細胞アポトーシス及び腫瘍血管系の崩壊を効果的に誘導する二重抗体封入アプローチの画像である。上パネル:アネキシンVシグナルを検出するための生体内多光子撮像。アネキシンVは、腫瘍撮像直前に全身注射した。CD31+腫瘍血管系の共焦点画像を、下パネルに示す。スケールバー100μm。
【
図3I】
図3Iは、示される抗体によって処置した腫瘍におけるアネキシンV+腫瘍細胞アポトーシス(n=4)及びCD31+腫瘍血管系(n=7)の定量化を示す棒グラフである。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*P<0.05。
【
図4A】ホスホロチオエート化核酸で修飾した細胞透過性STAT3及びエクスポーチン7抗体による強力な抗腫瘍効果を示す。
図4Aは、蛍光標識した修飾抗体を使用して、示される時間及び用量での細胞内部移行のフローサイトメトリー分析のグラフである。
【
図4B】
図4Bは、ホスホロチオエート化核酸修飾抗体の細胞内局在化の共焦点顕微鏡分析の画像である。抗体(抗Stat3-オリゴヌクレオチド-FAM及び抗エクスポーチン7-オリゴヌクレオチド-TAMRA)を、10μg/mlで2時間インキュベートした。スケールバー20μm。
【
図4C】
図4Cは、示されるように10μgの合計用量のホスホロチオエート化核酸修飾抗体で1日おきに局所処置したB16黒色腫腫瘍保持マウスの腫瘍体積を示すグラフである。標準偏差(SD)が示される。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図4D】
図4Dは、10μgの合計容量のオリゴヌクレオチド修飾抗体で1日おきに局所または全身処置したか、または未処置で残したB16黒色腫腫瘍保持マウスの腫瘍体積を示すグラフである。標準偏差が示される。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図4E】
図4Eは、示されるように漸減用量の抗体の組み合わせで1日おきに3回ずつ(矢印)全身処置したか、または未処置のまま残したB16黒色腫腫瘍保持マウスの腫瘍体積を示すグラフである。標準偏差が示される。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図4F】
図4Fは、Stat3活性に関するフローサイトメトリー分析のグラフである。
【
図4G】
図4Gは、細胞アポトーシスに関するフローサイトメトリー分析のグラフである。
図4F及び4Gは、修飾抗体によって局所処置した腫瘍から調製した単一細胞の懸濁液を使用した。
【
図4H】
図4Hは、ヌクレオポリン50(上パネル)またはヌクレオポリン153(下パネル)の免疫沈降、続いてSTAT3ウエスタンブロットに供して、タンパク質の相互作用を評価した、
図4Eに関して上述の実験から調製した腫瘍ホモジネートを示す画像である。
【
図4I】
図4Iは、ホスホロチオエート化核酸修飾二重抗体による効果的なSTAT3活性遮断を示す、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)の画像である。核抽出物は、
図4Eと同じ腫瘍から単離した。
【
図5A】STAT3がエクスポーチン7と相互作用することを示す。
図5Aは、U251ヒト脳腫瘍細胞由来の全細胞溶解物を使用した免疫共沈降後のウエスタンブロットによって示される、STAT3とエクスポーチン7との間の相互作用の画像である。STAT3タンパク質沈降物を、SDS-PAGEによって分離させ、ウエスタンブロットによって分析して、示される種々のエクスポーチンとの相互作用を特定した。全細胞溶解物は、対照(右レーン)として含んだ。
【
図5B】
図5Bは、MEF細胞中に発現され、示される濃度及び時間点でエクスポーチン1/Crm1特異的阻害剤、レプトマイシンBにより処置したSTAT3-GFP融合タンパク質(上パネル)またはNFkBサブユニットp65-GFP(下パネル)の共焦点顕微鏡画像である。LMB処置後のタンパク質の局在化を、共焦点顕微鏡法を用いて評価した。スケールバー10mm。
【
図6A】それぞれ、iFLAPまたはFLIPによるSTAT3核細胞質間輸送分析を示す。v-Srcで形質転換させた線維芽細胞を使用して、連鎖内退色処理実験(FLAP、光退色処理後の蛍光消失)を行ってSTAT3の区画代謝回転を判定した。代替として、iFLAP技法の概略実験設計では、FLIPアッセイ設定における細胞質退色処理手順を数回繰り返した際の活性化STAT3または核YFPデコイの時空的分布を判定するために使用した目的の領域(ROI)全てを示す。
図6Aは、STAT3-YFPを発現する1組の3T3/v-Src細胞(1つがiFLAPをその隣接細胞において行った際に対照として機能する)を示す、共焦点顕微鏡法を用いた画像である。スケール10μm。
【
図6B】
図6Bは、連続的細胞質退色処理及び核YFP放出の記録により判定された、3T3/v-Src細胞において発現された核STAT3-YFPまたはSTAT3-K685R-YFPの放出シグナルデコイを示すグラフである。取得したYFP強度は、FLIPパラメータを用いて補正し、正規化した。
【
図7A】STAT3-K685Rが核内保持を受けることを示す。
図7Aは、Stat3-野生型-YFP及びStat3-K685R-YFPを一過的にトランスフェクトし、示される時間点で10ng/mlのオンコスタチンMにより刺激したStat3欠損MEFの共焦点顕微鏡画像である。STAT3-野生型-YFP及びSTAT3-K685RYFPの核内保持を、共焦点顕微鏡法を使用して評価した。スケールバー10μm。
【
図7B】
図7Bは、概略図に示されるように設計された、ジギトニンに基づく蛍光プロテアーゼ保護(FPP)アッセイにより分析したSTAT3-野生型-YFP及びSTAT3-K685R-YFPの核退出動態を示す概略図である。
【
図7C】
図7Cは、3T3/v-Srcを形質転換した線維芽細胞において発現されたSTAT3-野生型-YFP(上パネル)またはSTAT3-K685R-YFP(下パネル)を示す画像である。生細胞の画像は、示される時間点でのジギトニン投与時に取得した。核YFP放出デコイは、強度を色違いでコードした形式で示される(黒色は高強度、白色は低強度)。スケールバー10μm。
【
図8A】リジンK685に変異を有するSTAT3が、そのインビボで内核膜孔複合体(NPC)との相互作用を抑制したことを示す。STAT3欠損MEF細胞を、それぞれ、STAT3野生型またはSTAT3K685Rで安定に再構成させた。
図8Aは、無胸腺nu/nuマウスに生着させたSTAT3-野生型またはSTAT3-K685Rを安定に発現するMEF細胞系の腫瘍体積のグラフである。
【
図8B】
図8Bは、示されるように(左パネル)核バスケット内でのヌクレオポリン50(Nup50)及び153(Nup153)の位置を強調表示するNPCの概略表示である。エクスポーチン7は、STAT3が積み荷として認識されると、内部バスケットのヌクレオポリンとの物理的相互作用を媒介することによりSTAT3の核退出を促進する(右パネル)。
【
図8C】
図8Cは、間接的免疫蛍光STAT3及びヌクレオポリンを通じて評価したインビボにおけるSTAT3-野生型及びSTAT3-K685RとNup50(上パネル)及びNup153(下パネル)との相互作用の共焦点顕微鏡画像である。STAT3及びヌクレオポリンの二重陽性ピクセルは、二重陽性ピクセルの画像マスクをもたらす照準線機能を用いて生成した。スケールバー10μm。
【
図8D】
図8Dは、Nup50、n=3(左パネル)及びNup153、n=3(右パネル)との共局在化にあるSTAT3-野生型(黒色)とSTAT3-K685R(灰色)とを比較する二重陽性ピクセルの定量化のグラフである。
【
図9】エクスポーチン7局在化が正常組織において細胞質に限定されることを示す画像である。示される組織の微小切片の共焦点顕微鏡画像を、間接的免疫蛍光によりエクスポーチン7、CD31、及び核酸に関して染色した。エクスポーチン7+領域(破線)の高倍率拡大図を、それぞれ、右上または右下の隅に示す。スケールバー50μm。
【
図10A】二重抗体によってSTAT3とエクスポーチン7との複合体を標的とすることにより、インビボにおいてSTAT3の輸送及び機能を遮断することを示す。
図10Aは、非標的化IgG対照抗体と比較した、標的化抗体の効率的な細胞質内送達を示す共焦点画像である。共焦点画像は、STAT3-GFPを過剰発現するMEF腫瘍の微小切片のものであり、抗体の負荷及び局在化を示す。標的化抗体の細胞質内局在化を、選択された領域(破線)から拡大して示す(右下の隅)。スケールバー100μm。局所送達した抗体の腎臓クリアランス及び全身分布を示す、組織微小切片の共焦点顕微鏡画像。スケールバー100μm。
【
図10B】
図10Bは、インビボでの標的化抗体の細胞内送達後にSTAT3の核細胞質間輸送の中断を示す、腫瘍溶解物のSTAT3及びヌクレオポリン50の免疫共沈降後のウエスタンブロット分析の画像である。
【
図10C】
図10Cは、インビボで送達された標的化抗体が、投与後少なくとも24時間安定であることを示す画像である。非還元条件下におけるSDSPAGEでのタンパク質分離後のウエスタンブロットにより、ウサギ免疫グロブリンである注射した抗体が示される。
【
図11A】人工的な腫瘍モデルにおける二重抗体療法のインビボ効果を示す。STAT3野生型で安定に再構成しSTAT3欠損MEF細胞を無胸腺nu/nuマウスに生着させ、示されるように処置することにより、腫瘍を成長させた。
図11Aは、腫瘍成長動態を示すグラフである。
【
図11B】
図11Bは、対照ならびに抗STAT3及び抗エクスポーチン7抗体で処置した腫瘍における血管新生因子のタンパク質発現レベルを示すウエスタンブロットの画像である。
【
図11C】
図11Cは、示される抗体処置の結果としての腫瘍血管系の共焦点画像である。CD31+細胞が示されており(左パネル)、定量化される(右パネル)、n=6。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。スケールバー10μm。
【
図11D】
図11Dは、二重抗体処置によるアポトーシス促進遺伝子発現の増加を見せたウエスタンブロットを示す画像である。ウエスタンブロットのための溶解物は、示されるように処置した腫瘍から調製した。これらの実験は、少なくとも2回反復され、同様の結果を有した。
【
図12A】二重抗体が、インビボで腫瘍において細胞内の細胞質に有効に内部移行されることを示す。
図12Aは、ウサギ免疫グロブリンに関して染色したB16腫瘍微小切片から評価した、インビボで投与した抗体の局在化を示す共焦点顕微鏡画像である。スケールバー100μm(左パネル)。
【
図12B】
図12Bは、腫瘍微小切片における視野ごとの平均蛍光強度による腫瘍組織内に保持された抗体の定量化を示すグラフであり、非標的化免疫グロブリン(IgG、黒色)、標的化STAT3/エクスポーチン7抗体の組み合わせ(灰色)、n=3である。
【
図12C】
図12Cは、C57BL/6マウスにおいて成長させ、抗STAT3/抗エクスポーチン7免疫グロブリンの組み合わせ、非標的化IgG対照で1日おきに処置したか、または示されるように未処置のまま残した黒色腫B16腫瘍を示すグラフであり、腫瘍成長動態を監視した。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図13A】自己送達抗体による細胞内標的の認識を示す。示される時間の間、それぞれホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドで修飾した10μgのαStat3(
図13A)またはαエクスポーチン7(
図13B)抗体で、ヒト神経膠腫U251細胞を処置した。全細胞溶解物を調製し、細胞残屑を取り出した後に、アガロースビーズを添加して、4℃で一晩免疫沈降を誘導した。沈降物を注意深く洗浄し、ウエスタンブロット分析に供して抗体標的認識動態を判定した。
【
図13B】自己送達抗体による細胞内標的の認識を示す。示される時間の間、それぞれホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドで修飾した10μgのαStat3(
図13A)またはαエクスポーチン7(
図13B)抗体で、ヒト神経膠腫U251細胞を処置した。全細胞溶解物を調製し、細胞残屑を取り出した後に、アガロースビーズを添加して、4℃で一晩免疫沈降を誘導した。沈降物を注意深く洗浄し、ウエスタンブロット分析に供して抗体標的認識動態を判定した。
【
図14】細胞透過性抗体のインビボでの腫瘍内取り込みを示すグラフである。インビボでの腫瘍による、蛍光オリゴヌクレオチド(オリゴヌクレオチドFAM)に共役したホスホロチオエート化核酸修飾抗体の細胞内取り込みを、局所投与の2時間後に評価した。マウス黒色腫B16腫瘍を解剖し、単一細胞懸濁液をフローサイトメトリー分析用に調製してFAM(FITC)+細胞集団を判定した。腫瘍保持マウスを示される修飾抗体(複数可)で処置し、合計10μgの用量のオリゴヌクレオチド修飾抗体を単回処置で与えた。
【
図15A】インビボでの腫瘍組織への細胞透過性抗体のホーミング及び生体安定性を示す。
図15Aは、それぞれ、局所(皮下、上段中央及び右のパネル)または全身(静脈内、下パネル)注射後の蛍光標識したホスホロチオエート化核酸修飾抗体の腫瘍内分布を評価するために行った生体多光子顕微鏡の画像である。蓄積されたオリゴヌクレオチド修飾抗体の点様の位置は、インビトロ研究で見られたものに類似である(
図1B)。ホスホロチオエート化核酸修飾抗体の後眼窩経路(静脈内)を介した全身送達時の腫瘍組織へのホーミングを、投与の2時間後に評価した。腫瘍内での蓄積されたオリゴヌクレオチド修飾抗体(下パネル)の点様焦点の検出。白色の点線の円は、細胞核を示す。スケールバー50μm。
【
図15B】
図15Bは、最後の全身投与の8日後に判定された、ホスホロチオエート化核酸修飾抗体の腫瘍ホーミング能力及び生体安定性のウエスタンブロット分析を示す画像である。異なる用量のホスホロチオエート化核酸修飾抗体を、1日おきに3回、示されるように注射した。腫瘍を最後の処置の8日後に分析用に採取した。腫瘍ホモジネートを非還元SDS-PAGEに供した後、ウエスタンブロット検出に供して、腫瘍IgG負荷量を評価した。
【
図16A】免疫細胞集団中へのホスホロチオエート化核酸修飾細胞透過性抗体の細胞内への内部移行を示す。
図16Aは、示されるように種々の濃度の蛍光標識したオリゴヌクレオチド修飾αStat3抗体(αStat3オリゴヌクレオチドFITC)で2時間処置した脾臓細胞のフローサイトメトリー分析のグラフであり、免疫細胞集団CD3+、CD11b+、及びB220+による用量依存性の内部移行が判定された。
【
図16B】
図16Bは、示される脾臓免疫細胞集団内への10μg/mlのオリゴヌクレオチド修飾抗体(緑色)の細胞内への内部移行の共焦点レーザー走査顕微鏡画像である。核酸をHoechst33342で染色した。微分干渉(DIC)を示す。スケールバー、10μm。
【
図17A】オリゴヌクレオチド骨格ホスホロチオエート化が、細胞内への抗体送達及び抗原認識に重要であることを示す。ヒト神経膠腫U251細胞を、10μg/mlの蛍光標識したホスホロチオエート化核酸修飾αStat3抗体で示される時間の間処置した。単一細胞の懸濁液を、修飾抗体の取り込みに関してフローサイトメトリーによって分析した。
図17Aは、骨格のチオエート化を欠くオリゴヌクレオチドと共役させた抗体で処置した細胞(下パネル)と比較した、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド骨格と共役させた抗体で処置した神経膠腫細胞(上パネル)を示すグラフである。共役オリゴヌクレオチドの配列の改変は、抗体の細胞内への内部移行に対してごくわずかな効果を有する。2つの無作為化オリゴヌクレオチド配列を試験した。
【
図17B】
図17Bは、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド配列の改変が、修飾抗体による抗体認識を変化させないことを示す画像である。U251細胞を、示される修飾を有する10μgのαStat3抗体で処置した。全細胞溶解物を調製し、アガロースビーズを添加して、免疫沈降を誘導した。沈降物をウエスタンブロット分析に供して抗体の標的認識を判定した。
【
図18】異種移植片ヒト神経膠腫モデルにおいて、修飾STAT3/エクスポーチン7抗体による強力な抗腫瘍効果を示すグラフである。ヒト神経膠腫U251細胞(2×10
6)を、免疫不全NSG/NODマウスに皮下注射した。腫瘍の直径が平均5mmに達したときに、マウスに、1日おきに10μgの示される修飾抗体を局所で処置した。腫瘍体積を1日ごとに評価した。標準偏差が示される。スチューデントT検定、***、P<0.001;**、P<0.01;*、P<0.05。
【
図19】式-S-S-Rを有する部分を有する例示的なホスホロチオエート核酸の構造の概略図である。ホスホロチオエート核酸配列の結合点の例示の目的で、この部分に連結される1つのホスホロチオエート核酸塩基が示される。この事例において、Rは、-SSRをホスホロチオエート核酸の残りに連結させる、ヘキサノールまたはリンカー部分(ホスホジエステルプロピル反復モノマー単位)である。
【
図20】ビニルスルホン(VS)反応性部分とVSをホスホロチオエート核酸の残りに連結させるリンカー部分(ホスホジエステルプロピル反復モノマー単位を有する)とを有する例示的なホスホロチオエート核酸の構造を示す。ホスホロチオエート核酸配列の結合点の例示の目的で、この部分に連結される1つのホスホロチオエート核酸塩基が示される。
【
図21】式-S-S-Rの部分を有するホスホロチオエート核酸から、ビニルスルホンを有するホスホロチオエート核酸を合成する例示的な方法を示す概略図である。
【
図22】末端リン酸塩(PS)を有する核酸から、ビニルスルホン反応性部分を有する核酸を合成する例示的な方法を示す概略図である。
【
図23A】ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体が内部移行し、細胞内標的を認識することを示す。
図23Aは、代替的な免疫沈降によって検証された修飾抗体による細胞透過及び標的認識を示すウエスタンブロットの画像である。修飾STAT3抗体とともにインキュベートした生細胞から調製した全細胞溶解物を、STAT3に関してプローブするウエスタンブロットによって分析した。
【
図23B】
図23Bは、オリゴヌクレオチドのホスホロチオエート化(PS)が、核酸配列(2つ目のパネル)またはIgG種(3つ目のパネル)または細胞型(下パネル)に依存することなく修飾STAT3抗体(上パネル)の細胞内取り込みを促進するのを示すフローサイトメトリー分析のグラフである。
【
図23C】
図23Cは、
図23Bにおけるフローサイトメトリーデータを確認する、代替的なIP後のウエスタンブロットを示すウエスタンブロット画像である。ホスホロチオエート化親オリゴヌクレオチド(レーン2)、非ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド(レーン3)、及びホスホロチオエート化配列スクランブル型親オリゴヌクレオチド(レーン4~6)で修飾したSTAT3抗体。
【
図23D】
図23Dは、蛍光標識したホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体の細胞内分布の共焦点顕微鏡画像である。スケールバーは、それぞれ、20μm及び10μmである。
【
図23E】
図23Eは、マウス3T3/vSrc細胞による、修飾及び非修飾p-Src抗体の細胞内取り込みを示すフローサイトメトリーグラフである。
【
図23F】
図23Fは、修飾p-Src抗体が、その細胞内標的タンパク質p-Srcと共局在化することを示す共焦点顕微鏡画像である。下パネルは、示される領域(破線の四角)の拡大図を示す。細胞膜に沿った修飾p-Src抗体の細胞内分布は、強度を色違いでコードした形式で示される。スケールバー10μm。
【
図23G】
図23Gは、修飾p-Src抗体または修飾IgG抗体とともにインキュベートした3T3/vSrc細胞において代替的な免疫沈降の後にウエスタンブロットにより修飾抗体p-Src複合体を検出することを示す、ウエスタンブロットの画像である。オリゴヌクレオチド及びビニルスルホンを通じてオリゴヌクレオチドに結合した抗体を、これらの図の実験に使用した。
【
図24】修飾抗体の細胞内活性を示すフローサイトメトリー分析のグラフである。フローサイトメトリー分析は、修飾抗体の細胞内保持のための標的タンパク質の要件を示す。マウス3T3/vSrc細胞を、修飾p-Src抗体または修飾IgG抗体(上パネル)とともにインキュベートした。修飾Stat3抗体(1μg/ml)をStat3+またはStat3-いずれかのマウスMEF細胞とともに2時間インキュベートした後、フローサイトメトリー分析を行った(下パネル)。オリゴヌクレオチド及びビニルスルホンを通じてオリゴヌクレオチドに結合した抗体を、これらの図の実験に使用した。
【
図25A】細胞透過性p-Src抗体の抗腫瘍効果を示す。
図25Aは、示される修飾抗体で1日おきに局所処置した形質転換したマウス3T3/vSrc細胞によって形成された腫瘍の成長動態を示すグラフである。標準偏差が示され、有意差**)P≦0.01、P≦0.001。
【
図25B】
図25Bは、ウエスタンブロットに供し、示されるように、活性化pY416-Src、活性化pY705-Stat3、ならびに複数のSrc下流遺伝子の発現に関してプローブした、示されるように処置した3T3/vSrc腫瘍のホモジネートにおけるp-Src及びその下流タンパク質の消失を示すウエスタンブロットの画像である。チューブリンをタンパク質負荷対照としてプローブした。
【
図25C】
図25Cは、修飾p-Src抗体が、無胸腺ヌードマウスにおいてヒトA2058黒色腫の成長を効果的に阻害することを示すグラフである。腫瘍成長動態を評価し、腫瘍を、1日おきに局所処置した。標準偏差が示され、有意差***)P≦0.001。
【
図25D】
図25Dは、示されるように処置したA2058黒色腫腫瘍のホモジネートを非還元条件下でウエスタンブロットに供し、ウサギIgGに関してプローブした、ウエスタンブロットの画像である。チューブリンをタンパク質負荷対照として含んだ。
【
図25E】
図25Eは、共焦点顕微鏡法と組み合わせた免疫組織化学によって示されるように、修飾p-Src抗体処置が、インビボで腫瘍血管系の破壊及び腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こしたことを示す、共焦点顕微鏡画像である。示されるように処置したA2058黒色腫腫瘍の腫瘍組織切片を、フルオレセイン(FITC)、CD31+腫瘍血管系(上パネル)、及び切断型カスパーゼ3(下パネル)に関して染色した。スケールバー100μm。
【
図25F】
図25Fは、蛍光シグナルの定量化を示すグラフである。標準偏差が示され、有意差***)P≦0.001。S-S-ヘキサノール基を含有するオリゴヌクレオチドと複合体形成/結合した抗体の混合物を、これらの図の実験に使用した。
【
図26A】子宮頸癌におけるE6腫瘍性タンパク質を標的化する修飾抗体の抗腫瘍有効性を示す。
図26A及び26Bは、ヒト子宮頸癌成長動態を示すグラフである。ヒトCaSki癌細胞を、無胸腺ヌードマウスに生着させ、示されるように処置なしか、または1日おきに修飾IgG対照もしくはHPV16/18 E6抗体で局所(
図26A)または全身(
図26B)で処置した。標準偏差が示され、*)P≦0.05、**)P≦0.01、***)P≦0.001。
【
図26B】子宮頸癌におけるE6腫瘍性タンパク質を標的化する修飾抗体の抗腫瘍有効性を示す。
図26A及び26Bは、ヒト子宮頸癌成長動態を示すグラフである。ヒトCaSki癌細胞を、無胸腺ヌードマウスに生着させ、示されるように処置なしか、または1日おきに修飾IgG対照もしくはHPV16/18 E6抗体で局所(
図26A)または全身(
図26B)で処置した。標準偏差が示され、*)P≦0.05、**)P≦0.01、***)P≦0.001。
【
図26C】
図26Cは、修飾E6抗体によるCaSki腫瘍の破壊を示す顕微鏡画像である。H&Eによって染色し、明視野顕微鏡法によって分析した画像を示す。スケールバー100μm。
【
図26D】
図26Dは、修飾E6抗体で処置したCaSki頸部腫瘍のホモジネートにおけるFADDタンパク質レベルの増加を示す、ウエスタンブロットの画像である。アクチンをタンパク質負荷対照としてプローブした。
【
図26E】
図26Eは、修飾E6抗体によって処置したCaSki腫瘍におけるカスパーゼ8 mRNAの発現の上昇を示すRT-PCRを示すグラフである。標準偏差が示され、有意差**)P≦0.01。
【
図26F】
図26Fは、修飾E6抗体のインビボ保持を示すが、対照IgG抗体は示されず、腫瘍血管系の消失及び切断型カスパーゼ3の増加をもたらす、免疫染色後の共焦点顕微鏡画像である。示されるように処置したCaSki頸部腫瘍の腫瘍組織切片を、フルオレセイン(FITC)、CD31+腫瘍血管系、及び切断型カスパーゼ3に関して染色した。スケールバー100μm。
【
図26G】
図26Gは、蛍光シグナルの定量化を示すグラフである。標準偏差が示され、有意差**)P≦0.01、***)P≦0.001。S-S-ヘキサノール基を含有するオリゴヌクレオチドが結合した抗体の混合物を、これらの図の実験に使用した。
【
図27A】修飾抗体でSTAT3を標的とすることを示す。
図27Aは、インビトロで核蓄積したStat3の細胞質内再配置を誘導する修飾抗体を示す画像である。Stat3-mCherry融合タンパク質を発現するマウス3T3/vSrc細胞を示される抗体で処置した。Stat3区画内局在化を、共焦点顕微鏡法によって生細胞において分析した。スケールバー10μm。
【
図27B】
図27Bは、修飾STAT3及びエクスポーチン7抗体処置が、強力な抗腫瘍効果を誘導することを示すグラフである。示される抗体処置によるマウスにおけるB16黒色腫の腫瘍成長動態。左パネル:局所注射、中央パネル:局所と対比した全身処置、右パネル:漸減用量での3回の全身処置(矢印)。標準偏差が示され、有意差**)P≦0.01、***)P≦0.001。
【
図27C】
図27Cは、
図27Bの右パネルの腫瘍ホモジネートからの核抽出物を使用してEMSAによって評価される、修飾STAT3/エクスポーチン7抗体での全身処置が、腫瘍におけるStat3 DNA結合を抑制したことを示すウエスタンブロットの画像である。
【
図27D】
図27Dは、全身投与した標的化抗体のインビボでの長期安定性を示すウエスタンブロットの画像である。
図27Cの右パネルからの腫瘍ホモジネートを非還元条件下でウエスタンブロットに供し、ウサギ免疫グロブリンに関してプローブした。
【
図27E】
図27Eは、示される抗体で局所処置した無胸腺ヌードマウスにおけるヒトU87神経膠腫の腫瘍成長動態を示すグラフである。
【
図27F】
図27Fは、示される抗体で全身処置した無胸腺マウスにおけるヒトU87神経膠腫の腫瘍成長動態を示す。標準偏差が示され、有意差*)P≦0.05、**)P≦0.01、***)P≦0.001。
【
図27G】
図27Gは、修飾抗体が、標的が存在する腫瘍に蓄積し、抗腫瘍効果を発揮したことを示す画像である。ヒトU251神経膠腫細胞を生着させた無胸腺ヌードマウスを、示されるように、1日おきに3回局所もしくは全身処置したか、または未処置のまま残した。示される器官(腫瘍)からの組織切片を、フルオレセイン(FITC)で染色して、修飾抗体を、腫瘍血管系についてはCD31+を、及び腫瘍細胞アポトーシスについては切断型カスパーゼ3を検出した。はめこみ図は、示される領域(破線の四角)の拡大図を示す。スケールバー100μm。オリゴヌクレオチド及びビニルスルホンを通じてオリゴヌクレオチドに結合した抗体を、
図27A、27B、27C、27D、27E、及び27Gの実験に使用した。
図27Fについては、STAT3/Exp7は、オリゴヌクレオチド及びビニルスルホンを通じてオリゴヌクレオチドに結合した抗体であったが、STAT3Rb/STAT3Ms及びSTAT3Rb/Rbは、S-S-ヘキサノール基を含有するオリゴヌクレオチドに結合した抗体の混合物を使用した。
【
図28】インビボにおけるホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド(FAM陽性)及び送達した抗体の共局在化を示す画像である。ヒトU251神経膠腫に1日おきに3回局所処置を行った後、腫瘍を解剖した。腫瘍切片を、IgGウサギ種に対する標識化抗体で染色した。染色した切片を共焦点顕微鏡法によって分析した。差し込み図は、示される領域(白色の四角、破線)の拡大図を示す。スケールバー、50μm。
【
図29】示されるように、10μg/mlで24時間修飾抗体とともにあったマウス3T3/vSrc細胞を示す画像である。固定細胞をβ-チューブリン及びβ-アクチンに関して染色し、共焦点顕微鏡法によって分析した。各チャネルの放出を右側に別個に示す。スケールバー、50μm。
【
図30A】ヒトU87神経膠腫に、1日おきに全身処置を行った。腫瘍切片をフルオレセインに関して染色した。染色した切片を共焦点顕微鏡法によって分析した。スケールバー、50μm(
図30A)。フルオレセイン放出シグナルを定量化した。標準偏差を示す(
図30B)。
【
図30B】ヒトU87神経膠腫に、1日おきに全身処置を行った。腫瘍切片をフルオレセインに関して染色した。染色した切片を共焦点顕微鏡法によって分析した。スケールバー、50μm(
図30A)。フルオレセイン放出シグナルを定量化した。標準偏差を示す(
図30B)。
【
図31A】ヒトU87神経膠腫に、おきに全身処置を行った 腫瘍切片をCD31+腫瘍血管系(左パネル)、c-Myc発現(中央パネル)、及び切断型カスパーゼ3によって示される腫瘍細胞アポトーシス(右パネル)に関して染色した。染色した切片を共焦点顕微鏡法によって分析した。スケールバー、それぞれ100μm及び50μm(
図31A)。放出シグナルを定量化した。標準偏差が示され、有意差*)P<0.05、**)P<0.01、***)P<0.001(
図31B)。
【
図31B】ヒトU87神経膠腫に、おきに全身処置を行った 腫瘍切片をCD31+腫瘍血管系(左パネル)、c-Myc発現(中央パネル)、及び切断型カスパーゼ3によって示される腫瘍細胞アポトーシス(右パネル)に関して染色した。染色した切片を共焦点顕微鏡法によって分析した。スケールバー、それぞれ100μm及び50μm(
図31A)。放出シグナルを定量化した。標準偏差が示され、有意差*)P<0.05、**)P<0.01、***)P<0.001(
図31B)。
【
図32】ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化DNA20量体オリゴヌクレオチドまたは未精製SSR-オリゴヌクレオチド-抗体コンジュゲート/複合体の結合によって修飾された10mg/mlの精製(P)または未精製(UP)抗STAT3ウサギ抗体とともにインキュベートしたヒトKarpas299リンパ腫細胞のフロー細胞分析のグラフである。
【
図33A】ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体が細胞に進入し、STAT3等の細胞内標的を認識することを示す、ウエスタンブロットの画像である。
図33Aは、10mg/mlの、ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化DNA-20量体-オリゴヌクレオチドを介して修飾された精製(P)aSTAT3抗体(レーン1)か、または非修飾aSTAT3単独(レーン3)、またはaSTAT3とVSを介して結合したものと同じである500pmol/mlのホスホロチオエート化GpC1668(レーン4、レーン2は空である)とともにインキュベートしたヒトU251神経膠腫細胞を示すウエスタンブロットの画像である。
【
図33B】
図33Bは、SSRを介して修飾された10mg/mlの未精製(UP)aSTAT3抗体(レーン2)、ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドの結合により修飾された未精製(UP)aSTAT3抗体(レーン3)、またはビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化の結合により修飾された精製(P)aSTAT3抗体(レーン4)とともに、または抗体IgG添加なしで(レーン1)インキュベートしたヒトU251細胞を示すウエスタンブロットの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
「対象」、「患者」、「個体」等の用語は、限定することを意図するものではなく、一般に互換可能である。すなわち、「患者」として記載された個体は、必ずしも所与の疾患を有するわけではなく、医療的助言を求めているだけの場合がある。
【0010】
「対照」または「標準対照」は、試験試料、測定値、または値との比較のための基準、通常は既知の基準として機能する、試料、測定値、または値を指す。例えば、試験試料が所与の疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性自己免疫疾患、癌、感染性疾患、免疫疾患、または他の疾患)を有する疑いのある患者から得られ、既知の正常な(非疾患の)個体(例えば、標準対照対象)と比較され得る。標準対照はまた、所与の疾患を有さない類似の個体(例えば、標準対照対象)、例えば、類似の病歴、同じ年齢、体重等を有する健常な個体の集団(すなわち、標準対照集団)から集めた平均測定値または値を表してもよい。標準対照値はまた、同じ個体から、例えば、疾患発症前の患者から早い段階で取得された試料から得られてもよい。当業者であれば、標準対照が、任意の数のパラメータ(例えば、RNAレベル、タンパク質レベル、特定の細胞型、特定の体液、特定の組織、滑膜細胞、滑液、滑膜組織、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞等)の評価のために設計され得ることを認識するであろう。
【0011】
当業者であれば、どの標準対照が所与の状況に最も適切であるかを理解し、標準対照値との比較に基づいてデータを分析することができるであろう。標準対照はまた、データの有意性(例えば、統計学的有意性)を決定するのに有益である。例えば、所与のパラメータの値が、標準対照において広範に異なる場合、試験試料における変動性は有意とは見なされないであろう。
【0012】
「用量」及び「投薬量」という用語は、本明細書において互換的に使用される。用量は、各投与時に個体に与えられる活性成分の量を指す。用量は、所与の治療法の通常の用量範囲、投与の頻度、個体のサイズ及び耐容性、状態の重症度、副作用の危険性、ならびに投与経路を含む、多数の要因に応じて多様であり得る。当業者であれば、用量が、上述の要因に応じて、または治療の進み具合に基づいて、変更され得ることを認識するであろう。「剤形」という用語は、医薬品または薬学的組成物の特定の形態を指し、これは、投与の経路に依存する。例えば、剤形は、噴霧、例えば吸入剤のための液体形態、例えば経口送達のための錠剤もしくは液体、または例えば注入のための生理食塩水であり得る。
【0013】
本明細書に使用されるとき、「治療する」及び「予防する」という用語は、発症の何らかの遅延、症状の頻度もしくは重症度の低減、症状の緩和、患者の快適さもしくは機能(例えば、関節機能)の改善、疾患状態の重症度の減少等を指し得る。治療の効果は、所与の治療を受容していない個体もしくは個体集団、または治療の前もしくは休止後の同じ患者と比較され得る。「予防する」という用語は、一般に、患者における所与の疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、癌、感染性疾患、代謝疾患、発達疾患、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、内分泌疾患、神経疾患、もしくは他の疾患)または疾患症状の発症の減少を指す。上に示されるように、予防は、完全(検出可能な症状がない)または部分的であり得、結果として、治療を行わなかった場合に生じるであろうものよりも少ない症状が観察される。
【0014】
本明細書に使用される「治療有効用量または量」は、投与されるものに効果(例えば、疾患の治療または予防)をもたらす用量を意味する。実際の用量及び製剤は、治療の目的に依存することになり、既知の技法を使用して当業者によって確認することができるであろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Gennaro,Editor(2003)、及びPickar,Dosage Calculations(1999)を参照されたい)。例えば、所与のパラメータに関して、治療有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の増加または減少を示すであろう。治療有効性はまた、「~倍」の増加または減少として表すこともできる。例えば、治療有効量は、標準対照の少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれ以上の効果を有し得る。治療有効用量または量は、疾患の1つ以上の症状を緩和し得る。治療有効用量または量は、それが投与されることに関する効果が、疾患を発症する危険性にある人物を治療することである場合に、疾患または疾患の1つ以上の症状の発症を予防または遅延し得る。
【0015】
「診断」という用語は、疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性自己免疫疾患、癌、感染性疾患、免疫疾患、または他の疾患)が対象に存在する相対的可能性を指す。同様に、「予後」という用語は、ある特定の将来的な結果が、疾患状態に関して、対象に生じ得る相対的可能性を指す。例えば、本発明の文脈では、予後は、個体が疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性自己免疫疾患、癌、感染性疾患、免疫疾患、もしくは他の疾患)を発症するであろう可能性、または疾患の推定重症度(例えば、疾患の持続期間)を指し得る。これらの用語は、医療診断の分野の当業者によって理解されるように、絶対的であることを意図するものではない。
【0016】
本明細書に使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」または文法上の同等物は、共有結合で一緒に連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。「核酸」という用語には、一本鎖、二本鎖、多重鎖、または分枝鎖のDNA、RNA、またはそれらの類似体(誘導体)が含まれる。「ホスホロチオエート核酸」という用語は、1つ以上のヌクレオチド間結合がホスホロチオエート部分(チオホスフェート)部分を介する核酸を指す。ホスホロチオエート部分は、モノチオホスフェート(-P(O)3(S)3--)またはジチオホスフェート(-P(O)2(S)2
3--)であり得る。本明細書に提供される全態様の実施形態において、ホスホロチオエート部分は、モノチオホスフェート(-P(O)3(S)3--)である。すなわち、本明細書に提供される全態様の実施形態において、ホスホロチオエート核酸は、モノチオホスフェート核酸である。実施形態において、ホスホロチオエート核酸のヌクレオシドのうちの1つ以上は、ホスホロチオエート部分(例えば、モノチオホスフェート)部分を通じて連結され、残りのヌクレオシドは、ホスホジエステル部分(-P(O)4
3--)を通じて連結される。実施形態において、ホスホロチオエート核酸のヌクレオシドのうちの1つ以上は、ホスホロチオエート部分(例えば、モノチオホスフェート)部分を通じて連結され、残りのヌクレオシドは、メチルホスホネート結合を通じて連結される。実施形態において、ホスホロチオエート核酸の全てのヌクレオシドは、ホスホロチオエート部分(例えば、モノチオホスフェート)部分を通じて連結される。
【0017】
ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(ホスホロチオエート核酸)は、典型的に、約5、6、7、8、9、10、12、15、25、30、40、50、またはそれ以上のヌクレオチドの長さであり、最大約100ヌクレオチドの長さである。ホスホロチオエート核酸はまた、例えば、200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000等、より長い長さであってもよい。上述のように、ある特定の実施形態において、本明細書におけるホスホロチオエート核酸は、1つ以上のホスホジエステル結合を含有する。他の実施形態において、ホスホロチオエート核酸は、代替的な骨格(例えば、当該技術分野で既知のホスホジエステルの模倣体または類似体、例えば、ボラノホスフェート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、またはO-メチルホスホロアミダイト結合を含む(例えば、Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Pressを参照されたい)。ホスホロチオエート核酸はまた、当該技術分野で既知の1つ以上の核酸類似体モノマー、例えば、ペプチド核酸モノマーもしくはポリマー、ロックド核酸モノマーもしくはポリマー、モルホリノモノマーもしくはポリマー、グリコール核酸モノマーもしくはポリマー、またはトレオース核酸モノマーもしくはポリマーを含み得る。他の類似核酸には、米国特許第5,235,033号及び同第5,034,506号、ならびにChapters 6及び7,ASC Symposium Series 580,Carbohydrate Modifications in Antisense Research,Sanghui&Cook,edsに記載されるものを含む、陽性骨格、非イオン性骨格、及び非リボース骨格を有するものが含まれる。1つ以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の1つの定義に含まれる。リボース-リン酸骨格の修飾が、種々の理由で、例えば、生理学的環境内またはバイオチップ上のプローブとしてのそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために、なされてもよい。天然に存在する核酸及び類似体の混合物を作製することができる、あるいは、異なる核酸類似体と天然に存在する核酸及び類似体の混合物との混合物が作製されてもよい。ホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格は、直鎖または分枝鎖であり得る。例えば、分枝鎖核酸は、デンドリマー等のより上位な構造を形成するために繰り返し分枝される。
【0018】
本明細書に使用されるとき、「ホスホロチオエートポリマー骨格」は、少なくとも2つのホスホロチオエート結合(例えば、モノチオホスフェート)を有する化学的ポリマーである(例えば、糖サブユニット、環状サブユニット、またはアルキルサブユニットを一緒に連結する)。ホスホロチオエートポリマー骨格は、ホスホロチオエート糖ポリマーであり得、これは、ペントース糖の鎖の1つ以上(または全て)が核酸中に通常存在する塩基(核酸塩基)を欠いている、ホスホロチオエート核酸である。ホスホロチオエートポリマー骨格は、2つ以上のホスホロチオエート結合を含み得る。ホスホロチオエートポリマー骨格は、5、6、7、8、9、10、12、15、25、30、40、50、またはそれ以上の結合を含み得、最大約100個のホスホロチオエート結合を含有し得る。ホスホロチオエートポリマー骨格はまた、例えば、200、300、500、1000、2000、3000、5000、7000、10,000等、より多数の結合を含有してもよい。
【0019】
ホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格は、部分的または完全にホスホロチオエート化され得る。例えば、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の50%以上が、ホスホロチオエート結合であってもよい。場合によっては、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合である。場合によっては、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合である。場合によっては、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合である。場合によっては、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合である。実施形態において、残りのヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル結合である。実施形態において、残りのヌクレオチド間結合は、メチルホスホネート結合である。場合によっては、ホスホロチオエート核酸のヌクレオチド間結合の100%が、ホスホロチオエート結合である。同様に、ホスホロチオエートポリマー骨格内の糖間結合の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合であり得る。場合によっては、ホスホロチオエートポリマー骨格内の糖間結合の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合であり得る。場合によっては、ホスホロチオエートポリマー骨格内の糖間結合の75%、80%、85%、90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合であり得る。場合によっては、ホスホロチオエートポリマー骨格の糖間結合の90%、95%、または99%が、ホスホロチオエート結合であり得る。実施形態において、残りのヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル結合である。実施形態において、残りのヌクレオチド間結合は、メチルホスホネート結合である。場合によっては、ホスホロチオエートポリマー骨格の糖間結合の100%が、ホスホロチオエート結合であり得る。
【0020】
核酸は、非特異的配列を含み得る。本明細書に使用されるとき、「非特異的配列」という用語は、任意の他の核酸配列に相補的となるように設計されていないか、または部分的にのみ相補的である、一連の残基を含有する核酸配列を指す。例として、非特異的核酸配列は、細胞または生物と接触した際に阻害性核酸として機能しない核酸残基の配列である。「阻害性核酸」は、標的核酸(例えば、タンパク質に翻訳可能なmRNA)に結合し、標的核酸の転写(例えば、DNAからmRNA)を低減させるか、または標的核酸(例えば、mRNA)の翻訳を低減させるか、または転写産物のスプライシングを改変する(例えば、一本鎖モルホリノオリゴヌクレオチド)ことができる、核酸(例えば、DNA、RNA、ヌクレオチド類似体のポリマー)である。
【0021】
本明細書に提供されるホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格は、1つ以上の反応性部分、例えば、共有結合反応性部分を含み得る。当該技術分野で既知のポリマーリンカー(
図19及び20に示されるようなもの、または代替としてポリエチレングリコールリンカーもしくはその同等物)等の任意の適切なリンカーを使用して、反応性部分をホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格の残りに結合させることができる。リンカーは、実施形態において、本明細書に記載される検出可能な標識を含み得る(すなわち、それに結合され得る)。本明細書に使用されるとき、「共有結合反応性部分」は、本明細書に記載されるように、細胞非透過性タンパク質のアミノ酸と化学的に反応して、共有結合を形成し、したがって、本明細書に提供されるコンジュゲートを形成することができる、化学的部分を指す。
【0022】
「標識化核酸またはオリゴヌクレオチド」は、核酸の存在を、核酸に結合した検出可能な標識の存在の検出により検出することができるように、リンカーもしくは化学結合を通じた共有結合、またはイオン結合、ファンデルワールス結合、静電結合、もしくは水素結合を通じた非共有結合のいずれかで、標識に結合したものである。あるいは、1対の結合パートナーの一方が他方(例えば、ビオチン、ストレプトアビジン)に結合する、高親和性相互作用を用いる方法によって、同じ結果を達成することができる。実施形態において、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、本明細書に開示され、当該技術分野において一般に既知であるように、検出可能な標識を含む。
【0023】
「生体試料」または「試料」は、対象または患者から得られたか、またはそれらに由来する材料を指す。生体試料は、生検及び剖検試料、ならびに組織学的目的で取得された凍結切片等の組織切片を含む。そのような試料には、血液及び血液分画もしくは生成物(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球等)等の体液、唾液、組織、培養細胞(例えば、初代培養物、外植片、及び形質転換細胞)、糞便、尿、滑液、関節組織、滑膜組織、滑膜細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞、免疫細胞、造血細胞、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞等が含まれる。生体試料は、典型的に、例えばチンパンジーもしくはヒト等の霊長類、ウシ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えばモルモット、ラット、マウス、ウサギ等の哺乳動物等、または鳥類、爬虫類、または魚類といった真核生物から得られる。
【0024】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指して本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマーに適用される。
【0025】
「アミノ酸」という用語は、天然及び合成のアミノ酸、ならびに天然のアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然のアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後から修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造すなわち、水素に結合したα炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基を有する化合物、例えば、ホスホセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と類似の様式で機能する化学的化合物を指す。
【0026】
アミノ酸は、それらの広く知られた3文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字記号のいずれかによって、本明細書において言及され得る。ヌクレオチドも同様に、それらの広く許容されている単一文字コードによって言及され得る。
【0027】
「標識」または「検出可能な部分」は、分光光度的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段、または他の物理的手段によって検出することができる組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、電子高密度試薬、酵素(例えば、ELISAで広く使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、ならびに例えば放射標識を標的ペプチドに特異的に反応するペプチドもしくは抗体に組み込むことによって検出可能にすることができるタンパク質または他の実体が挙げられる。例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques 1996,Academic Press,Inc.,San Diegoに記載の方法を使用する等、抗体を標識に共役する当該技術分野で既知の任意の適切な方法が、用いられ得る。
【0028】
例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに関して使用される場合、「組み換え」という用語は、その細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、実験室手法により修飾されているか、またはその結果であることを示す。したがって、例えば、組み換えタンパク質は、実験室手法によって生成されたタンパク質を含む。組み換えタンパク質は、そのタンパク質の天然(非組み換え)の形態においては見出されないアミノ酸残基を含み得るか、または修飾されている、例えば、標識されているアミノ酸残基を含み得る。
【0029】
核酸の部分に関して使用される場合、「異種」という用語は、その核酸が本来は互いに同じ関係性では見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的に、組み換えで生成され、新しい機能性核酸を作製するように配置された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列、例えば、1つの源からのプロモータ及び別の源からのコード領域を有する。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が本来は互いに同じ関係性では見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。
【0030】
「抗体」は、抗原に特異的に結合し、それを認識する、免疫グロブリン遺伝子またはそのフラグメントに由来するフレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、及びμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、これらが、それぞれ、免疫グロブリンの分類IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを定義する。典型的には、抗体の抗原結合領域が、結合の特異性及び親和性において最も重要となる。いくつかの実施形態において、抗体または抗体のフラグメントは、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ラクダ等を含む異なる生物に由来し得る。本発明の抗体は、抗体の所望される機能(例えば、グリコシル化、発現、抗原認識、エフェクター機能、抗原結合、特異性等)を改善または調整するように、1つ以上のアミノ酸位において修飾または変異されている抗体を含み得る。
【0031】
例示的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、四量体を含む。各四量体は、それぞれが1つの「軽鎖」(約25kD)と1つの「重鎖」(約50~70kD)を有する2つの同一なポリペプチド鎖対から構成される。各鎖のN末端は、主に抗原認識を担う約100~110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖及び重鎖を指す。
【0032】
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼによる消化によって生成される多数の十分に特徴付けされたフラグメントとして存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域内のジスルフィド結合の下で抗体を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってVH-CH1に接合された軽鎖であるFabの二量体であるF(ab)’2を生成する。F(ab)’2は、緩やかな条件下で還元されて、ヒンジ領域内のジスルフィド結合を切断し、それによってF(ab)’2二量体がFab’モノマーに変換され得る。Fab’モノマーは、本質的に、ヒンジ領域の部分を有するFabである(Fundamental Immunology(Paul ed.,3d ed.1993)を参照されたい。種々の抗体フラグメントは、インタクトな抗体の消化に関して定義されるが、当業者であれば、そのようなフラグメントが、化学的にか、または組み換えDNA手法を用いてのいずれかによって、デノボ合成され得ることを理解するであろう。したがって、抗体という用語はまた、本明細書に使用されるとき、完全な抗体の修飾によって生成されたか、または組み換えDNA手法を用いてデノボ合成された(例えば、一本鎖Fv)か、またはファージ提示ライブラリを用いて特定された(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)を参照されたい)かのいずれかである、抗体フラグメントも含む。
【0033】
本発明及び本発明による使用に好適な抗体、例えば、組み換え、モノクローナル、またはポリクローナル抗体の調製については、当該技術分野で既知の多数の技法が使用され得る(例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495-497(1975)、Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983)、Cole et al.,pp.77-96 in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.(1985)、Coligan,Current Protocols in Immunology(1991)、Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988)、及びGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(2d ed.1986)を参照されたい)。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニングすることができ、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子を、ハイブリドーマからクローニングし、これを用いて組み換えモノクローナル抗体を生成することができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリもまた、ハイブリドーマまたは形質細胞から作製することができる。重鎖及び軽鎖遺伝子産物の無作為な組み合わせにより、異なる抗原特異性を有する大きな抗体集団がもたらされる(例えば、Kuby,Immunology(3rd ed.1997)を参照されたい)。一本鎖抗体または組み換え抗体の生成のための技法(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)を、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成するように適合させることができる。さらに、トランスジェニックマウスまたは他の動物等の他の生物を使用して、ヒト化抗体またはヒト抗体を発現させてもよい(例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-13(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14:845-51(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996)、及びLonberg&Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照されたい)。あるいは、ファージ提示技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体及び異種Fabフラグメントを特定してもよい(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)、Marks et al.,Biotechnology 10:779-783(1992)を参照されたい)。抗体はまた、二特異性、すなわち、2つの異なる抗原を認識することができるように作製されてもよい(例えば、国際公開第WO93/08829号、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655-3659(1991)、及びSuresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照されたい)。抗体はまた、異種コンジュゲート、例えば、共有結合で接合した2つの抗体、または免疫毒素であってもよい(例えば、米国特許第4,676,980号、国際公開第WO 91/00360号、同第WO 92/200373号、及び欧州特許第EP03089号を参照されたい)。
【0034】
非ヒト抗体をヒト化または霊長類化(primatizing)するための方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第4,816,567号、同第5,530,101号、同第5,859,205号、同第5,585,089号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,777,085号、同第6,180,370号、同第6,210,671号、及び同第6,329,511号、国際公開第WO 87/02671号、欧州特許出願第0173494号、Jones et al.(1986)Nature 321:522、ならびにVerhoyen et al.(1988)Science 239:1534を参照されたい)。ヒト化抗体はさらに、例えば、Winter and Milstein(1991)Nature 349:293に記載されている。一般に、ヒト化抗体は、1つ以上のアミノ酸残基が非ヒト源からそこに導入されている。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、移入残基と称され、これらは、典型的に、移入可変ドメインから得られる。ヒト化は、本質的に、齧歯類のCDRまたはCDR配列を対応するヒト抗体の配列と置換することによって、Winter及び同僚らの方法に従って行われ得る(例えば、Morrison et al.,PNAS USA,81:6851-6855(1984)、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988)、Morrison and Oi,Adv.Immunol.,44:65-92(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)、Padlan,Molec.Immun.,28:489-498(1991)、Padlan,Molec.Immun.,31(3):169-217(1994)を参照されたい)。したがって、そのようなヒト化抗体は、キメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、インタクトなヒト可変ドメインよりも実質的に少ないものが、対応する非ヒト種由来の配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的に、いくつかのCDR残基及び可能性としていくつかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位に由来する残基によって置換されている、ヒト抗体である。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする第1の配列と、所望される免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列セットとを含むポリヌクレオチドは、合成で、または適切なcDNAとゲノムDNAセグメントとを組み合わせることによって、生成することができる。ヒト定常領域DNA配列は、種々のヒト細胞から周知の手順に従って単離することができる。
【0035】
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるかもしくは改変されたクラス、エフェクター機能、及び/もしくは種の定常領域、またはキメラ抗体に新しい特性を与える完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物等に連結されるように、定常領域またはその一部分が改変、置き換え、または交換されている抗体分子、あるいは(b)可変領域またはその一部分が、異なるかまたは改変された抗原特性を有する可変領域と改変、置き換え、または交換されている、抗体分子である。本発明の好適な抗体及び本発明による使用に好適な抗体には、ヒト化及び/またはキメラモノクローナル抗体が含まれる。
【0036】
治療剤を抗体に共役させるための技法は、周知である(例えば、Arnon et al.,“Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”,in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243-56(Alan R.Liss,Inc.1985)、Hellstrom et al.,“Antibodies For Drug Delivery”in Controlled Drug Delivery(2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623-53(Marcel Dekker,Inc.1987)、Thorpe,“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review”in Monoclonal Antibodies‘84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475-506(1985)、及びThorpe et al.,“The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照されたい)。
【0037】
抗体に「特異的に(もしくは選択的に)結合する」または「特異的に(もしくは選択的に)免疫反応する」という語句は、タンパク質またはペプチドに言及する際、しばしば、タンパク質または他の生物製剤の異種集団において、タンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定免疫アッセイ条件下において、示される抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、及びより典型的にはバックグラウンドの10~100倍で特定のタンパク質に結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性に関して選択された抗体を必要とする。例えば、いくつかのポリクローナル抗体が、選択された抗原と特異的に免疫反応し、他のタンパク質とは免疫反応しないポリクローナル抗体のみを得るために選択され得る。この選択は、他の分子との交差反応する抗体を差し引くことによって達成され得る。種々の免疫アッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫アッセイが、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用され得る免疫アッセイの形式及び条件の説明については、Harlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。
【0038】
本明細書に使用されるとき、「薬学的に許容される」という用語は、「生理学的に許容される」及び「薬理学的に許容される」と同義に使用される。薬学的組成物は、一般に、緩衝作用及び保管時の防腐のための薬剤を含み、また、投与経路に応じて、適切な送達のための緩衝液及び担体を含み得る。
【0039】
本明細書に使用されるとき、「癌」という用語は、白血病、癌腫、及び肉腫を含む、哺乳動物において見出される全ての種類の癌、新生物、または悪性腫瘍を指す。例示的な癌には、脳、胸部、頸部、結腸、頭頸部、肝臓、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮、髄芽細胞腫の癌が挙げられる。さらなる例としては、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、卵巣癌、横紋筋肉腫、原発性血小板血症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、癌、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽細胞腫、食道癌、泌尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮内膜癌、副腎皮質癌、膵内分泌腺及び膵外分泌腺の新生物、ならびに前立腺癌が挙げられる。
【0040】
「白血病」という用語は、造血器官の進行性悪性疾患を広義に指し、一般には、血液及び骨髄中の白血球及びそれらの前駆体の偏った増殖及び成長を特徴とする。白血病は、一般に、(1)疾患の持続期間及び特徴-急性または慢性、(2)関与する細胞の種類、骨髄系(骨髄性)、リンパ系(リンパ性)、または単球系、ならびに(3)血液中の異常細胞の数の増加または非増加-白血病性または非白血病性(亜白血病性)に基づいて、臨床学的に分類される。P388白血病モデルは、インビボでの抗白血病活性を予測するものとして広く認められている。P388アッセイにおいて陽性反応を示す化合物は、一般に、治療されている白血病の種類に関わらずある程度の抗白血病活性レベルを示すと考えられる。したがって、本出願は、白血病を治療する方法、及び好ましくは、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血症性白血病、好塩基球性白血病、芽細胞性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎児性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血芽球性白血病、血芽球細胞白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ行性白血病、リンパ様白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、肥満細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ白血病、形質細胞性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病、及び未分化細胞性白血病を治療する方法を含む。
【0041】
「肉腫」という用語は、一般に、胚結合組織のような物質で構成された腫瘍を指し、これは、一般には原線維または同質の物質に埋め込まれた緊密にぎっしり詰まった細胞から構成される。抗新生物性チオール結合ミトコンドリア酸化剤と抗癌剤との組み合わせで治療され得る肉腫には、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アベメシー肉腫(Abemethy’s sarcoma)、脂肪性肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫(chloroma sarcoma)、絨毛癌種、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質性肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉細胞肉腫、傍骨性骨肉腫、網状赤血球性肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、及び毛細血管拡張性肉腫が挙げられる。
【0042】
「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の器官のメラニン細胞系から生じる腫瘍を意味する。抗新生物性チオール結合ミトコンドリア酸化剤と抗癌剤との組み合わせで治療され得る黒色腫としては、例えば、末端性黒子型黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫、または表在拡大型黒色腫が挙げられる。
【0043】
「癌腫」という用語は、周囲組織に浸潤し、転移を生じる傾向にある上皮細胞に構成される悪性の新成長物を指す。抗新生物性チオール結合ミトコンドリア酸化剤と抗癌剤との組み合わせで治療され得る例示的な癌腫としては、例えば、細葉細胞癌腫、腺房癌腫、線嚢癌腫、腺様嚢胞癌腫、腺腫性癌腫、副腎皮質の癌腫、肺胞癌腫、肺胞細胞癌腫、基底細胞癌腫(basal cell caricnoma)、基底細胞癌腫(carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌腫、基底扁平細胞癌腫、気管支肺胞上皮癌腫、細気管支癌腫、気管支癌腫、大脳様癌腫、胆管細胞癌腫、絨毛癌腫、膠質癌腫、面皰癌腫、子宮体癌腫、篩状癌腫、鎧状癌腫(carcinoma en cuirasse)、皮膚癌腫、円柱癌腫、円柱細胞癌腫、腺管癌腫(duct carcinoma)、緻密癌腫(carcinoma durum)、胎児性癌腫、脳様癌腫、類上皮癌腫(epiermoid carcinoma)、上皮アデノイド癌腫、外向性癌腫、潰瘍癌腫、繊維癌腫(carcinoma fibrosum)、ゼラチン状癌腫(gelatiniforni carcinoma)、膠様癌腫、巨細胞癌腫、巨大細胞癌腫、腺性癌腫、顆粒膜細胞癌腫、毛母癌腫、血液様癌腫、肝細胞癌腫、ヒュルトレ細胞癌腫、硝子様癌腫、副腎様癌種(hypemephroid carcinoma)、幼児胎児性癌腫、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌腫、上皮内癌腫(intraepithelial carcinoma)、クロムペッヘル癌腫(Krompecher’s carcinoma)、クルチツキー細胞癌腫(Kulchitzky-cell carcinoma)、大細胞癌腫、レンズ状癌腫(lenticular carcinoma)、レンズ状癌腫(carcinoma lenticulare)、脂肪性癌腫(lipomatous carcinoma)、リンパ上皮癌腫、髄様癌腫(carcinoma medullare)、髄様癌腫(medullary carcinoma)、黒色癌腫、軟癌腫(carcinoma molle)、粘液性癌腫(mucinous carcinoma)、粘液性癌腫(carcinoma muciparum)、粘液細胞癌腫(carcinoma mucocellulare)、粘液性類表皮癌腫(mucoepidermoid carcinoma)、粘液癌腫(carcinoma mucosum)、粘液癌腫(mucous carcinoma)、粘液腫状癌腫(carcinoma myxomatodes)、鼻咽頭癌腫、燕麦細胞癌腫、骨化性癌腫(carcinoma ossificans)、骨様癌腫、乳頭状癌腫、門脈周囲癌腫、前浸潤癌腫、有棘細胞癌腫、髄質様癌腫、腎臓の腎細胞癌腫、予備細胞癌腫、肉腫様癌腫(carcinoma sarcomatodes)、シュナイダー癌腫、硬性癌腫、陰嚢癌腫、印環細胞癌腫、単純癌腫、小細胞癌腫、ソラノイド癌腫(solanoid carcinoma)、スフェロイド細胞癌腫(spheroidal cell carcinoma)、紡錘体細胞癌腫、海綿様癌腫、扁平上皮癌腫、扁平上皮細胞癌腫、ストリング癌腫(string carcinoma)、血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectaticum)、血管拡張性癌腫(carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌腫、結節癌腫(carcinoma tuberosum)、結節癌腫(tuberous carcinoma)、疣状癌腫、及び絨毛癌腫(carcinoma villosum)が挙げられる。
【0044】
本明細書に使用されるとき、「転移」、「転移性」、及び「転移癌」という用語は、互換的に使用され得、増殖性疾患または障害、例えば癌の1つの器官または別の非隣接器官または身体部位からの拡大を指す。癌は、起源となる部位、例えば、乳房で発生し、この部位は、原発性腫瘍、例えば、原発性乳癌と称される。原発性腫瘍または起源となる部位におけるいくつかの癌細胞が、局所領域内の周囲の正常な組織に透過及び浸潤する能力、ならびに/またはリンパ系または血管系の壁を透過し、その系を通って体内の他の部位及び組織を循環する能力を取得する。原発性腫瘍の癌細胞から形成される第2の臨床的に検出可能な腫瘍は、転移腫瘍または二次腫瘍と称される。癌細胞が転移する場合、転移腫瘍及びその細胞は、元の腫瘍のものと類似であると推定される。したがって、肺癌が乳房に転移すると、乳房の部位における二次腫瘍は、異常な乳房細胞ではなく、異常な肺細胞からなる。乳房内の二次腫瘍は、転移肺癌と称される。したがって、転移癌という語句は、対象が原発性腫瘍を有するかまたは過去に有しており、かつ1つ以上の二次腫瘍を有する、疾患を指す。非転移癌または転移性でない癌を有する対象という語句は、対象が原発性腫瘍を有するが1つ以上の二次腫瘍は有さない、疾患を指す。例えば、転移肺癌は、原発性肺腫瘍を有するか、またはその病歴を有し、かつ第2の位置または複数の位置、例えば乳房に、1つ以上の二次腫瘍を有する対象における疾患を指す。
【0045】
本明細書に使用されるとき、「自己免疫疾患」は、例えば、対象の体内に通常存在する物質、組織、及び/または細胞に対する、対象の免疫系による改変された免疫反応から生じる疾患または障害を指す。自己免疫疾患には、関節炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、強皮症、全身性強皮症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、若年発症性糖尿病、真性1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、橋本脳炎、橋本甲状腺炎、強直性脊椎炎、乾癬、シェーグレン症候群、脈管炎、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、ベーチェット病、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性類天疱瘡、サルコイドーシス、乾癬、魚鱗癬、グレーブス眼症、炎症性腸疾患、アジソン病、白斑、喘息、及びアレルギー性喘息が挙げられるがこれらに限定されない。
【0046】
本明細書に使用されるとき、「炎症性疾患」は、異常なまたは改変された炎症と関連する疾患または障害を指す。炎症は、病原体、損傷細胞もしくは組織、または刺激物質に応答して、治癒プロセスの一部として免疫系によって開始される生物学的応答である。慢性炎症は、種々の疾患を引き起こし得る。炎症性疾患には、アテローム性動脈硬化症、アレルギー、喘息、リウマチ性関節炎、移植片拒絶、セリアック病、慢性前立腺炎、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、及び炎症性筋疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】
本明細書に使用されるとき、「代謝障害」は、例えば、炭水化物、アミノ酸、有機酸を含む、種々の分子及び物質の異常な代謝を伴う疾患または障害を指す。代謝障害には、炭水化物代謝の障害、例えばグリコーゲン貯蔵疾患、アミノ酸代謝の障害、例えばフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、1型グルタル酸血症、尿素回路代謝異常または尿素回路代謝不全、例えばカルバモイルリン酸シンテターゼI欠損症、有機酸代謝の障害(有機酸尿)、例えばアルカプトン尿症、脂肪酸酸化及びミトコンドリア代謝の障害、例えば中鎖アシル-コエンザイムAデヒドロゲナーゼ欠損症、ポルフィリン代謝の障害、例えば急性間欠性ポルフィリン症、プリンまたはピリミジン代謝の障害、例えばレッシュ・ナイハン症候群、ステロイド代謝の障害、例えば先天性リポイド副腎過形成、先天性副腎過形成、ミトコンドリア機能の障害、例えばカーンズ・セイヤー症候群、ペルオキシソーム機能の障害、例えばツェルウェガー症候群、ならびにリソソーム貯蔵障害、例えばゴーシェ病及びニーマン・ピック病が挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
本明細書に使用されるとき、「発達障害」は、言語障害、学習障害、運動障害、及び神経発達障害と関連して、幼児期に発症する疾患または障害を指す。例としては、自閉症スペクトラム障害及び注意欠陥障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
本明細書に使用されるとき、「心血管疾患」は、心臓、血管、またはこれらの両方と関連する疾患を指す。心血管疾患には、冠動脈心疾患、心筋症、高血圧性心疾患、心不全、不整脈、炎症性心疾患、末梢動脈心疾患、脳血管疾患、及び炎症性心疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
【0050】
本明細書に使用されるとき、「肝疾患」は、肝臓及び/または肝機能における異常と関連する疾患を指す。肝疾患には、肝炎、アルコール性肝疾患、脂肪肝疾患、肝硬変、バッド・キアリ症候群、ジルベール症候群、及び癌が挙げられるがこれらに限定されない。
【0051】
本明細書に使用されるとき、「腸疾患」という用語は、腸(小腸または大腸)における異常と関連する疾患または障害を指す。腸疾患には、胃腸炎、大腸炎、回腸炎、虫垂炎、小児脂肪便症、クローン病、エンテロウイルス、過敏性腸症候群、及び憩室性疾患が挙げられるがこれらに限定されない。
【0052】
本明細書に使用されるとき、「内分泌疾患」という用語は、内分泌腺の分泌過少、内分泌腺の分泌過多、及び腫瘍を含む、内分泌系の疾患または障害を指す。内分泌疾患には、アジソン病、糖尿病、コーン症候群、クッシング症候群、グルココルチコイド治療可能アルドステロン症、低血糖症、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、下垂体機能低下症、性腺機能低下症、及び副甲状腺障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
本明細書に使用されるとき、「神経障害」という用語は、構造的、生化学的、または電気的な異常を含む、身体の神経系の疾患または障害を指す。神経障害には、脳損傷、脳機能不全、脊髄障害、末梢神経障害、脳神経障害、自律神経系障害、発作性障害、運動障害、例えば、パーキンソン病及び多発性硬化症、ならびに中枢神経障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
本明細書に使用されるとき、「感染性疾患」という用語は、宿主対象における病原性物質の感染、存在、及び/または成長と関連する疾患または障害を指す。感染性病原性物質には、ウイルス、細菌、真菌、原虫、多細胞性寄生生物、及び異常なタンパク質、例えば、プリオンが挙げられるがこれらに限定されない。感染性疾患と関連するウイルスには、単純ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、ヘルペスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、肝炎ウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、デング熱ウイルス、ムンプスウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、ラウス肉腫ウイルス、黄熱ウイルス、エボラウイルス、サル免疫不全ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスが挙げられるがこれらに限定されない。感染性疾患と関連する細菌には、結核菌、サルモネラ菌種、大腸菌、クラミジア菌種、ブドウ球菌種、枯草菌種、及びシュードモナス菌種が挙げられるがこれらに限定されない。
【0055】
本明細書に使用されるとき、状態、疾患、もしくは障害、または状態、疾患、もしくは障害と関連する症状を「治療する(treating)」またはその「治療」は、臨床結果を含む、有益なまたは所望される結果を得るためのアプローチを指す。有益なまたは所望される臨床結果には、部分的であるか全体的であるかに関わらず、1つ以上の症状または状態の軽減または緩和、状態、障害、または疾患の範囲の縮小、状態、障害、または疾患の安定化、状態、障害、または疾患の発症の予防、状態、障害、または疾患の拡大の予防、状態、障害、または疾患の進行の遅延もしくは緩徐化、状態、障害、または疾患の発症の遅延または緩徐化、状態、障害、または疾患の状態の緩和または改善、ならびに寛解が挙げられ得るがこれらに限定されない。「治療する(treating)」はまた、対象の生存を、治療を行わなかった場合に予測されるものを上回って延長させることを意味し得る。「治療する(treating)」はまた、状態、障害、または疾患の進行を阻害すること、状態、障害、または疾患の進行を一時的に遅延させることを意味し得るが、いくつかの場合には、これは、状態、障害、または疾患の進行を恒久的に停止させることを伴う。本明細書に使用されるとき、治療、治療する(treat)、または治療する(treating)という用語は、プロテアーゼの発現を特徴とする疾患もしくは状態の1つ以上の症状の作用、またはプロテアーゼの発現を特徴とする疾患または状態の症状を低減させる方法を指す。したがって、開示される方法において、治療は、確立された疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状の重症度における10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の低減を指し得る。例えば、疾患を治療するための方法は、対象における疾患の1つ以上の症状に、対照と比較して10%低減が存在する場合、治療と見なされる。したがって、低減は、本来のレベルまたは対照のレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または10%~100%の任意のパーセントの低減であり得る。治療は、必ずしも、疾患、状態、または疾患もしくは状態の症状の治癒または完全な除去を指すわけではないことを理解されたい。さらに、本明細書に使用されるとき、減少、低減、または阻害への言及には、対照レベルと比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上の変化を含み、そのような用語は、必ずしも完全な排除を含むわけではない。
【0056】
本明細書に使用されるとき、「細胞透過性」または「細胞透過」という用語は、ある分子(例えば、タンパク質)が、有意または有効な量で細胞外環境から細胞内に入る能力を指す。したがって、細胞透過性コンジュゲートは、細胞外環境から膜を通って細胞内に入る分子である。
【0057】
本明細書に使用されるとき、「細胞非透過性」または「細胞非透過」という用語は、ある分子が、有意または有効な量で細胞外環境から細胞内に入ることができないことを指す。したがって、細胞非透過性ペプチドまたはタンパク質は、一般に、細胞外環境から膜を通って細胞内に入り、細胞集団、器官、または生物に対して有意な生物学的作用を達成することができない。この用語は、少数のペプチドまたはタンパク質のうちの1つ以上が細胞に入り得る可能性を排除するものではない。しかしながら、この用語は、一般には細胞外環境から有意な程度で細胞内に入ることができない分子を指す。細胞非透過性分子及び物質の例としては、例えば、高分子量タンパク質等の大型分子が挙げられるがこれに限定されない。ペプチドまたはタンパク質は、当業者に既知の方法を使用して、細胞非透過性であることを判定することができる。例として、ペプチドまたはタンパク質に蛍光標識を行うことができ、このペプチドまたはタンパク質が細胞外環境から細胞内に入る能力を、サイトメトリー分析または共焦点顕微鏡法によってインビトロで判定することができる。いくつかの実施形態において、「細胞非透過性タンパク質」は、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した同じタンパク質よりも、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、10,000、または100,000倍少なく細胞を透過するタンパク質を指す。いくつかの実施形態において、「細胞非透過性タンパク質」は、測定可能な程には細胞を透過しないタンパク質を指す。
【0058】
本明細書に使用されるとき、「分子量」(M.W.)または「分子質量」は、分子中の全ての原子の原子量の合計を指す。分子に関して、高分子量を有する分子は、典型的に、25kDa以上の分子量を有する。例として、高分子量のタンパク質は、約25kDa~1000kDa以上の分子量を有し得る。
【0059】
本明細書に使用されるとき、「細胞内」という用語は、細胞の内部を意味する。本明細書に使用されるとき、「細胞内標的」は、細胞の内部に位置する標的、例えば、核酸、ポリペプチド、または他の分子(例えば、炭水化物)であり、本明細書に提供される細胞非透過性タンパク質が結合する標的である。結合は、直接的または間接的であり得る。場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に選択的に結合する。選択的に結合する、選択的に結合している、または特異的に結合するとは、その物質(例えば、細胞非透過性タンパク質)が、他の物質を部分的または完全に除き、1つの物質(例えば、細胞内標的)に結合していることを指す。結合とは、アッセイ方法のバックグラウンドの少なくとも約1.5倍の検出可能な結合を意味する。選択的または特異的結合に関しては、そのような検出可能な結合が、所与の物質では検出され得るが、対照の物質では検出することができない。代替または追加として、結合の検出は、下流の分子または事象の存在をアッセイすることによって判定することができる。
【0060】
本明細書に使用されるとき、「コンジュゲート」という用語は、原子または分子間の会合を指す。会合は、直接的または間接的であり得る。例えば、核酸とタンパク質との間のコンジュゲートは、直接的、例えば共有結合によるものであってもよく、または間接的、例えば非共有結合(静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子-双極子、双極子誘起双極子、ロンドン分散)、環集積(π作用)、疎水性相互作用等)によるものであってもよい。場合によっては、コンジュゲートは、求核置換(例えば、アミン及びアルコールとハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、ならびに炭素-炭素及び炭素-ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールズ・アルダー付加)が挙げられるがこれらに限定されない共役化学反応を使用して形成される。これら及び他の有用な反応は、例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,3rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1985、Hermanson,BIOCONJUGATE TECHNIQUES,Academic Press,San Diego,1996、及びFeeney et al.,MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982に考察されている。実施形態において、ホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエート骨格ポリマーは、ホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエート骨格ポリマーの構成成分(例えば、モノチオホスフェート)とタンパク質の構成成分(例えば、アミノ酸)との間の非共有結合的化学反応を通じて、タンパク質に非共有結合で結合する。他の実施形態において、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエート骨格ポリマーは、本明細書に記載されるように、1つ以上の反応性部分、例えば、共有結合反応性部分(例えば、ビニルスルホン部分(-S(O)2CH=CH2)等のアミノ酸反応性部分)を含む。
【0061】
共有結合反応性部分または官能基を含む、本明細書に記載の共役化学反応に使用される有用な反応性部分には、例えば、次のものが挙げられる;
(a)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及び芳香族エステルを含むがこれらに限定されない、カルボキシル基及びその種々の誘導体、
(b)エステル、エーテル、アルデヒド等に変換され得るヒドロキシル基、
(c)ハロゲン化物が、後に、例えば、アミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコキシドイオン等の求核基で置き換えられ、それによってハロゲン分子の部位に新しい基の共有結合をもたらすことができる、ハロアルキル基、
(d)例えば、マレイミド基等、ディールズ・アルダー反応に関与し得る求ジエン基、
(e)例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン、もしくはオキシム等のカルボニル誘導体の形成を介して、またはグリニャール付加もしくはアルキルリチウム付加等の機序を介して後続の誘導体化が可能となるような、アルデヒドまたはケトン基、
(f)後でアミンと反応して、例えば、スルホンアミドを形成するためのハロゲン化スルホニル基、
(g)ジスルフィドへの変換、ハロゲン化アシルとの反応、または金等の金属への結合が可能なチオール基、
(h)例えば、アシル化、アルキル化、または酸化が可能なアミンまたはスルフヒドリル基、
(i)例えば、環付加、アシル化、マイケル付加反応等を受け得るアルケン、
(j)例えば、アミン及びヒドロキシル化合物と反応し得るエポキシド、
(k)核酸合成に有用なホスホラミダイト及び他の標準的な官能基、
(l)金属酸化ケイ素結合、
(m)例えば、リン酸ジエステル結合を形成するための反応性亜リン酸基(例えば、ホスフィン)への金属結合、及び
(n)スルホン、例えば、ビニルスルホン。
【0062】
反応性官能基は、それらが、本明細書に記載されるタンパク質の化学的安定性に関与せず、それを妨げることもないように選択され得る。例として、核酸は、ビニルスルホンまたは他の反応性部分を含み得る。
図21は、S-S-R部分を有する核酸からの、ビニルスルホン反応性部分を有する核酸の形成を示す図であり、式中、Rは、-(CH
2)
6-OHである。
図22は、末端リン酸塩(PS)を有する核酸からの、ビニルスルホンを有する核酸の形成を示す図である。
【0063】
細胞透過性コンジュゲートが本明細書に提供される。本コンジュゲートは、ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含み、このホスホロチオエート核酸が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸は、非特異的配列を含む。いくつかの実施形態において、細胞非透過性タンパク質は、ホスホロチオエートポリマー骨格に結合する。したがって、ホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートが本明細書に提供され、このホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。上述のように、ポリマー骨格は、このポリマー骨格が核酸配列中に通常存在する塩基を欠くことを除き、核酸配列と同じ構造を含む(すなわち、一緒に連結した2つ以上の糖残基の鎖を含む)。細胞透過性コンジュゲートを含む細胞もまた、提供される。
【0064】
ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、任意の適切な長さのものであり得る。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、独立して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上の核酸残基または糖残基の長さである。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、独立して、10~30残基の長さである。したがって、各核酸またはポリマー骨格の長さは、少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、またはそれ以上の核酸残基または糖残基の長さであり得る。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、独立して、5~50、10~50、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、5~75、10~75、15~75、20~75、25~75、30~75、35~75、40~75、45~75、50~75、55~75、60~75、65~75、70~75、5~100、10~100、15~100、20~100、25~100、30~100、35~100、40~100、45~100、50~100、55~100、60~100、65~100、70~100、75~100、80~100、85~100、90~100、95~100、またはそれ以上の残基の長さである。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、独立して、10~15、10~20、10~30、10~40、または10~50残基の長さである。
【0065】
場合によっては、あるホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格の長さは、別のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格とは異なる。例として、2つのホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が細胞非透過性タンパク質に結合する場合、第1のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、ある長さ(例えば、22残基)のものであり得、第2のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、異なる長さ(例えば、25残基)のものであり得る。したがって、複数のホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格が細胞非透過性タンパク質に結合する場合、ホスホロチオエート核酸及びホスホロチオエートポリマー骨格は、いくつかの異なる長さ、例えば、10~30残基の範囲の長さを有してもよい。
【0066】
場合によっては、複数のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質に結合する。場合によっては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、タンパク質に結合する。実施形態において、結合は、共有結合である。結合は、非共有結合であってもよい。ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、独立して、細胞非透過性タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンに結合し得る。場合によっては、各ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、タンパク質のシステインに結合する。場合によっては、タンパク質は、このタンパク質のリジン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、またはこれらの組み合わせのうちの10%、25%、50%、75%、90%、95%、または100%に結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエート骨格を含む。
【0067】
上述のように、核酸、例えば、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチエート(phosphorothiate)ポリマー骨格は、種々の機序を通じて細胞非透過性タンパク質に結合し得る。ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、細胞非透過性タンパク質に共有結合または非共有結合で結合し得る。場合によっては、複数のホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格がタンパク質に結合する場合、これらの複数のもののそれぞれは、共有結合または非共有結合でタンパク質に結合し得る。場合によっては、タンパク質は、共有結合及び非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含む。場合によっては、タンパク質は、共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含み、非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は含まない。場合によっては、タンパク質は、非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含み、共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含まない。ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格のそれぞれは、細胞非透過性タンパク質へのホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格の結合を促進する、反応性部分、例えば、アミノ酸反応性部分または共有結合反応性部分を含み得る。したがって、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、反応性部分を通じてタンパク質に結合し得る。
【0068】
本明細書に提供される細胞透過性コンジュゲートは、未結合の細胞非透過性タンパク質と未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格とを接触させ、未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格が未結合の細胞非透過性タンパク質のアミノ酸に共有結合で結合することを可能にし、それによって結合させて、該細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製され得る。細胞透過性コンジュゲートを作製する文脈において使用される「未結合の」という用語の使用は、結合及びコンジュゲートの形成前の細胞非透過性タンパク質、ホスホロチオエート核酸、またはホスホロチオエートポリマー骨格の状態を示すことを意図する。すなわち、「未結合の」という用語は、細胞非透過性タンパク質、ホスホロチオエート核酸、またはホスホロチオエートポリマー骨格が、遊離しており、細胞透過性コンジュゲート内でのそれらの会合した形態と比較して、それらの未結合の状態にあることを示す。
【0069】
実施形態において、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、共有結合反応性部分を含む。上述のように、共有結合反応性部分は、タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンと(例えば、アミノ酸側鎖と)反応し得る。実施形態において、共有結合反応性部分は、システインと反応する。共有結合反応性部分は、ビニルスルホンであり得る。
【0070】
実施形態において、本明細書に提供される細胞透過性コンジュゲートは、未結合の細胞非透過性タンパク質を未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格と接触させ、未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格が未結合の細胞非透過性タンパク質に結合するのを可能にし、それによって結合させて、細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製することができる。
【0071】
本明細書に提供されるこの実施形態または他の実施形態において、ホスホロチオエート核酸、ホスホロチオエートポリマー骨格、未結合のホスホロチオエート核酸、または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格は、式-S-S-(CH2)z-OHを有する置換基を含み得、式中、zは、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10、または1~5の整数である。変数zは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。変数zは、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり得る。変数zは、1、2、3、4、5、6、7、または8であり得る。変数zは、1、2、3、4、5、6、または7であり得る。変数zは、1、2、3、4、5、または6であり得る。
【0072】
実施形態において、未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格を、細胞非透過性タンパク質と接触させる場合、この接触は、還元条件下で行われる。接触はまた、約9.0、8.5、8.0、7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、または7.0未満のpHで行われ得る。実施形態において、pHは、8.0未満である。実施形態において、pHは、7.9未満である。実施形態において、pHは、7.8未満である。実施形態において、pHは、7.7未満である。実施形態において、pHは、7.6未満である。実施形態において、pHは、7.5未満である。実施形態において、pHは、7.4未満である。実施形態において、pHは、7.3未満である。実施形態において、pHは、7.2未満である。実施形態において、pHは、7.1未満である。実施形態において、pHは、7.0未満である。実施形態において、接触は、還元条件下及び約8.0未満(例えば、約7.9、7.8、7.7、7.6、7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、または7.0)のpHで行われる。
【0073】
実施形態において、未結合のホスホロチオエート核酸または未結合のホスホロチオエートポリマー骨格は、未結合の細胞非透過性タンパク質がモル過剰である(例えば、接触の時点で)状態で存在する。モル過剰は、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100倍等、約2~100倍の過剰であり得る。実施形態において、約2~90、3~80、4~70、5~60、6~50、7~40、8~30、9~30、10~30、15~25、または約20のモル過剰。実施形態において、モル過剰は、約10、20、または30である。実施形態において、モル過剰は、約20である。実施形態において、モル過剰は、少なくとも約5である。実施形態において、モル過剰は、少なくとも約10である。実施形態において、モル過剰は、少なくとも約15である。実施形態において、モル過剰は、少なくとも約20である。
【0074】
本明細書に提供される任意の態様の実施形態において、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、式S-S-Rを有する反応性部分を含み、式中、Rは保護基である。場合によっては、Rは、ヘキサノール(一価置換基)である。本明細書に使用されるとき、ヘキサノールという用語は、式C6H13OHを有する化合物を含み、これには、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、及び2-エチル-1-ブタノールが含まれる。場合によっては、Rは、1-ヘキサノールである。
【0075】
提供される細胞透過性コンジュゲートは、細胞非透過性タンパク質をホスホロチオエート核酸と接触させ、ホスホロチオエート核酸がタンパク質に結合することを可能にすることによって作製され得る。例として、提供される細胞透過性コンジュゲートは、細胞非透過性タンパク質をホスホロチオエート核酸と接触させ、ホスホロチオエート核酸がタンパク質のアミノ酸に共有結合で結合することを可能にすることによって作製され得る。場合によっては、ホスホロチオエート核酸は、反応性部分を含む。例として、反応性部分は、上述のように、ビニルスルホンまたは式S-S-Rを有する反応性部分であり得る。場合によっては、Rは、ヘキサノール、例えば、1-ヘキサノールである。式S-S-Rの反応性部分を有する例示的なホスホロチオエート核酸は、
図19に示され、ビニルスルホン反応性部分を有する例示的なホスホロチオエート核酸は、
図20に示される。接触は、場合によっては、還元条件下で行われるが、当業者に既知の他の条件下で行われてもよい。場合によっては、ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質がモル過剰である状態で存在する。
【0076】
場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、高分子量タンパク質である。細胞非透過性タンパク質は、場合によっては、少なくとも約25kD以上の分子量を有する。いくつかの実施形態において、細胞非透過性タンパク質は、少なくとも約25~少なくとも約750kDの分子量を有する。したがって、細胞非透過性タンパク質は、少なくとも約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、600、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、またはそれ以上のキロダルトン(kD)の分子量を有し得る。場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、少なくとも約25~100kD、少なくとも約25~150kD、少なくとも約25~200kD、少なくとも約25~250kD、少なくとも約25~300kD、少なくとも約25~350kD、少なくとも約25~400kD、少なくとも約25~450kD、少なくとも約25~500kD、少なくとも約25~550kD、少なくとも約25~600kD、少なくとも約25~650kD、少なくとも約25~700kD、または少なくとも約25~750kDの分子量を有する。
【0077】
場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、抗体である。上により詳細に記載されるように、抗体は、IgG、IgA、IgM、IgD、もしくはIgE抗体等の全長抗体であってもよく、またはそれらのフラグメントであってもよい。場合によっては、抗体は、IgG抗体またはそのフラグメントである。場合によっては、抗体は、Fvフラグメントまたはヒト化抗体である。したがって、ホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した抗体が提供され、このホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格が、細胞内への抗体の送達を強化する。場合によっては、抗体は、治療抗体、すなわち、疾患の治療に使用される抗体である。したがって、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した治療抗体であって、細胞内標的に結合する抗体もまた提供される。
【0078】
場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する。細胞内標的は、細胞内に位置する治療標的または診断標的または他の目的の標的、例えば、例として共焦点顕微鏡法によって撮像される標的または構造、例えばヒストンであり得る。したがって、細胞内標的に結合する細胞透過性コンジュゲートが提供される。場合によっては、細胞内標的は、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、または癌からなる群から選択される疾患の標的である。疾患の標的は、診断標的または治療標的または疾患と関連する他の目的の標的であり得る。癌の例示的な細胞内標的には、STAT(例えば、STAT3)、NFκB、PKB/Akt、Mycファミリーメンバー、ステロイドホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体)、ステロイドホルモン受容体のリガンド(例えば、サイクリンD1)、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、HER2、EGFR、VEGFR、PDGFR、Srcファミリーメンバー、Ras、Abl、BCR-Abl、NPM-Alk、ヤヌスキナーゼ(JAK)、ブルトンチロシンキナーゼ(Brutun’s tyrosine kinase)(BTK)、及びウイルス腫瘍性タンパク質(例えば、EBVタンパク質またはHPVタンパク質、例えばE6及びE7)が挙げられるがこれらに限定されない。場合によっては、感染性疾患の細胞内標的は、ウイルスタンパク質またはウイルス転写産物である。したがって、細胞内標的は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトパピローマウイルス、または肝炎ウイルスのウイルスタンパク質またはウイルス転写産物であり得る。場合によっては、細胞内標的は、転写因子、転写エンハンサー、転写リプレッサー、ヒストン、または翻訳後修飾ヒストンを含むがこれらに限定されない、DNA結合タンパク質である。場合によっては、細胞内標的は、後成的に修飾されたDNA、例えば、メチル化またはヒドロキシメチル化シトシン(5mCまたは5hmC)、5-ホルミルシトシン(5fC)、及び5-カルボキシルシトシン(5caC)である。場合によっては、細胞内標的は、核酸、例えば、RNA転写産物または核酸である。例えば、細胞内標的は、感染性病原体、例えば、寄生生物、ウイルス、または細菌の核酸であり得る。場合によっては、細胞内標的は、シグナル伝達分子または転写因子である。場合によっては、シグナル伝達分子は、ホスファターゼまたはキナーゼである。場合によっては、細胞内標的は、癌標的であるか、または癌細胞内に位置する。場合によっては、細胞内標的は、STAT、例えば、STAT3、またはエクスポーチン7である。場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、タンパク質に結合した標識、小分子、または機能性核酸をさらに含む。
【0079】
ホスホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含む、複数の細胞透過性コンジュゲートが提供され、このホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、細胞非透過性タンパク質に共有結合または非共有結合で結合する。場合によっては、この複数のものは、共通結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含み、非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を有するタンパク質を含まない。場合によっては、ホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格は、細胞非透過性タンパク質に非共有結合で結合し、この複数のものは、共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を有するタンパク質を含まない。いくつかの実施形態において、この複数のものは、非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含むタンパク質のうちの1つ以上、ならびに共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含むタンパク質のうちの1つ以上1つ以上を含む。したがって、この複数のものは、非共有結合及び共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含むタンパク質を含み得る。さらに、各コンジュゲートは、非共有結合及び/または共有結合で結合したホスホロチオエート核酸またはホスホロチオエートポリマー骨格を含むタンパク質を含み得る。
【0080】
提供される細胞透過性コンジュゲートのうちの1つ以上を含む細胞が提供され、例えば、細胞は、複数の細胞透過性コンジュゲートを含み得る。場合によっては、コンジュゲートは、細胞内で細胞内標的に結合する。例として、細胞は、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した、第1の細胞非透過性タンパク質及び第2の細胞非透過性タンパク質を含み得る。第1及び第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内で細胞内標的に結合し得る。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第1の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する。場合によっては、第1及び/または第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である。したがって、第1及び第2の細胞非透過性タンパク質は、同じタンパク質または異なるタンパク質であり得る。
【0081】
細胞透過性コンジュゲートと薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物が、本明細書に提供される。提供される組成物は、場合によっては、製剤化及びインビトロまたはインビボでの投与に好適である。好適な担体及び賦形剤、ならびにそれらの製剤化は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,David B.Troy,ed.,Lippicott Williams&Wilkins(2005)に記載されている。薬学的に許容される担体とは、生物学的またはその他の点で有害でない材料を意味する、すなわち、この材料は、望ましくない生物学的作用を引き起こすことも、それが含有される薬学的組成物の他の構成成分と有害な様式で相互作用することもなく、対象に投与される。対象に投与される場合、担体は、場合によっては、活性成分の分解を最小化させ、対象における有害な副作用を最小化させるように選択される。
【0082】
提供される組成物は、単一の薬剤または1つを上回る薬剤を含み得る。いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む。したがって、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第1の細胞非透過性タンパク質を含む第1の細胞透過性コンジュゲートと、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を含む第2の細胞透過性コンジュゲートとを含む組成物が本明細書に提供される。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第1の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する。場合によっては、第1及び/または第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である。第1及び第2の細胞非透過性タンパク質は、同じタンパク質または異なるタンパク質であり得る。
【0083】
投与のための組成物には、一般に、薬学的に許容される担体中、好ましくは水性担体中に溶解された、本明細書に記載される薬剤が含まれるであろう。種々の水性担体、例えば、緩衝食塩水等が使用され得る。これらの溶液は滅菌であり、通常、望ましくない物質を含まない。これらの組成物は、従来的な周知の滅菌技法によって滅菌され得る。組成物は、生理学的条件を適正にするために、必要に応じて、pH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤等といった薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等を含有し得る。これらの製剤中の活性剤の濃度は、広範に変動し得、主として、選択される特定の投与形式及び対象の必要性に応じて、流体の量、粘度、体重等に基づいて選択されるであろう。
【0084】
遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液が、ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤と好適に混合した水中で調製され得る。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物中、ならびに油中で調製され得る。保管及び使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の成長を防止するために保存剤を含有し得る。
【0085】
薬学的組成物は、鼻腔内または吸入用の溶液またはスプレー、エアロゾル、もしくは吸入剤によって送達されてもよい。鼻腔用溶液は、液滴またはスプレーの形態で鼻道に投与されるように設計された水溶液であり得る。鼻腔用溶液は、多くの点で鼻腔内分泌物に類似するように調製され得る。したがって、鼻腔用溶液は、通常、等張性であり、pH5.5~6.5を維持するようにわずかに緩衝化される。加えて、眼科用調製物及び適切な薬物安定剤に使用されるものに類似の抗微生物保存剤が、必要に応じて、製剤中に含まれてもよい。様々な市販の鼻腔用調製物が既知であり、例えば、抗生物質及び抗ヒスタミン剤が含まれる。
【0086】
経口製剤は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の賦形剤を含み得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、持続放出製剤、または粉末の形態をとり得る。いくつかの実施形態において、経口薬学的組成物は、不活性希釈剤もしくは吸収可能な食用担体を含むことになるか、またはそれらは硬もしくは軟ゼラチンカプセルに封入されてもよく、またはそれらは錠剤に圧縮されてもよく、またはそれらは食事に直接組み込まれてもよい。経口治療的投与については、活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハ等の形態で使用され得る。このような組成物及び調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。組成物及び調製物の割合は、当然ながら、多様であり得、従来的には、単位重量の約2~約75%、または好ましくは25~60%であり得る。そのような組成物中の活性化合物の量は、好適な投薬量を得ることができるようなものである。
【0087】
水溶液中での非経口投与については、例えば、溶液は、好適に緩衝化される必要があり、液体希釈剤がまず十分な食塩水またはグルコースで等張化される。水溶液、具体的には滅菌水性媒体が、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に特に好適である。例えば、1回の投薬量が、1mlの等張NaCl溶液中に溶解され、1000mlの皮下注入液中に添加されるか、または提案された注入部位に注射され得る。
【0088】
滅菌注射可能溶液は、必要とされる量の活性化合物または構築物を適切な溶媒中に組み込んだ後、濾過滅菌することによって調製され得る。一般に、分散液は、基本的な分散媒を含有する滅菌ビヒクル中に種々の滅菌活性成分を組み込むことによって調製される。活性成分に加えて追加の所望される成分の粉末をもたらす真空乾燥及び凍結乾燥技法を使用して、滅菌注射可能溶液の再構成のための滅菌粉末を調製してもよい。直接的な注射のための、さらにまたは高度に濃縮された溶液の調製もまた企図される。DMSOが、極めて急速な透過のための溶媒として使用され、高濃度の活性成分を小さな領域に送達することができる。
【0089】
化合物の製剤は、単位用量または複数回用量の密封容器、例えば、アンプル及びバイアル中に提示され得る。したがって、組成物は、単位剤形であり得る。このような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に部分的に分割される。したがって、組成物は、投与の方法に応じて種々の単位投薬形態で投与され得る。例えば、経口投与に好適な単位剤形には、粉末、錠剤、丸剤、カプセル、及びロゼンジが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
組成物は、当該技術分野で既知の手順を用いることによって、投与後に迅速な、持続した、または遅延した放出を提供するように製剤化され得る。ある特定の担体が、例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度に応じて、より好ましい場合がある。提供される組成物での使用に好適な製剤は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,David B.Troy,ed.,Lippicott Williams&Wilkins(2005)に見出すことができる。
【0091】
提供されるコンジュゲート及び/または組成物のうちの1つ以上と、使用のための説明書とを含むキットが、本明細書に提供される。したがって、1つ以上の細胞透過性コンジュゲートまたはこのコンジュゲートを含む薬学的組成物と、使用のための説明書とを含むキットが、提供される。場合によっては、キットは、1つ以上のホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある。場合によっては、キットは、第1の細胞透過性コンジュゲートと第2の細胞透過性コンジュゲートとを含む。場合によっては、第1及び第2の細胞透過性コンジュゲートは、別個の容器内にある。場合によっては、第2の細胞透過性コンジュゲートの第2の細胞非透過性タンパク質は、第1の細胞透過性コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞非透過性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化される。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である。場合によっては、キットは、疾患の1つ以上の症状を治療または予防するための1つ以上の追加の薬剤を含む。場合によっては、キットは、例えば、シリンジ、針、チューブ、カテーテル、パッチ等といった、組成物を投与するための手段を含む。キットはまた、使用前に滅菌及び/または希釈を必要とする製剤及び/または材料を含んでもよい。
【0092】
細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法であって、細胞を細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含む、方法が本明細書に提供される。ホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲート。ホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格は、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する。場合によっては、細胞非透過性タンパク質は、細胞質内の核タンパク質に結合し、それによって、細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体を形成する。場合によっては、細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体は、細胞の核に進入することができない。
【0093】
場合によっては、細胞透過性コンジュゲートは、対象における疾患を診断するために使用される。したがって、対象における疾患を診断する方法であって、対象に、本明細書に記載される細胞透過性コンジュゲートまたは細胞透過性コンジュゲートを含む組成物の有効量を投与することを含む、方法が提供される。コンジュゲートの投与により、対象における疾患または疾患の1つ以上の症状を診断する。開示される方法は、バイオマーカー、例えば、疾患の細胞内標的のレベルまたは活性を、試験試料と対照試料とで比較することを伴う。上述のように、対照試料または値は、試験試料との比較のための参照、通常は既知の参照として機能する試料を指す。対照はまた、類似の個体、例えば、類似の病歴、同じ年齢、体重等を有する癌患者または健常な個体の集団から集めた平均値を表してもよい。対照値はまた、同じ個体から、例えば、疾患前または治療前の早い段階で得られた試料から取得されてもよい。また上述のように、診断とは、疾患(例えば、自己免疫疾患、炎症性自己免疫疾患、癌、感染性疾患、免疫疾患、または他の疾患)が対象に存在する相対的可能性を指す。
【0094】
疾患の危険因子の決定に関して、比較する、相関する、及び関連するという用語は、ある個体における危険因子の存在または量(例えば、疾患の細胞内標的の量)を罹患していることが既知の人物、または疾患の危険性にあることが既知の人物、または疾患がないことが既知の人物におけるその存在または量と比較し、アッセイ結果(複数可)に基づいて疾患を有する/発症する可能性の増加または減少を個体に割り当てることを指す。
【0095】
細胞において細胞内標的を検出する方法であって、細胞を細胞透過性コンジュゲートと接触させ、細胞透過性コンジュゲートと細胞内標的との結合を検出することを含み、細胞透過性コンジュゲートが、ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含み、ホスホロチオエート核酸が、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、方法もまた、本明細書に提供される。細胞は、固定細胞または生細胞であり得る。場合によっては、細胞は、インビトロまたはインビボに位置する。結合は、直接的または間接的に検出することであり得る。多数の方法が、細胞透過性コンジュゲートがその細胞内標的に結合することを検出するために使用され得ることが理解され、企図される。例えば、結合は、細胞透過性コンジュゲートとその細胞内標的との間のカップリングをアッセイすることによって直接的に検出され得る。結合は、例えば、以下に記載されるような免疫共沈降アッセイ、共局在化アッセイ、または蛍光偏光アッセイからなる群からアッセイを選択することによって、判定され得る。これらのアッセイは、当該技術分野で既知であり、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(2001)、Dickson,Methods Mol.Biol.461:735-44(2008)、Nickels,Methods 47(1):53-62(2009)、及びZinchuk et al.,Acta Histochem.Cytochem.40(4):101-11(2007)を参照されたい。
【0096】
場合によっては、結合は、撮像方法またはシステムによって判定される。したがって、提供される細胞透過性コンジュゲートはまた、細胞内標的レベル及び/または活性を分析するための撮像用途または他の用途で使用されてもよい。例えば、提供される細胞透過性コンジュゲートは、目的の細胞内標的のインビトロまたはインビボでの撮像に使用され得る。場合によっては、細胞透過性コンジュゲートは、生細胞撮像に使用される。例えば、生細胞撮像は、生細胞内での細胞内標的の分布及び/または動態を監視するために使用することができ、また、標的相互作用の監視にも適用できる。例えば、細胞透過性コンジュゲートは、細胞、場合によっては生細胞におけるタンパク質間の相互作用を研究するために、免疫沈降及び免疫共沈降アッセイで使用され得る。場合によっては、細胞透過性コンジュゲートは、フローサイトメトリーによる細胞内標的の分析に使用される。撮像用途において、細胞透過性コンジュゲートは、場合によっては、使用される用途に応じて標識化される。上述のように、標識または検出可能な部分は、分光光度的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段、または他の物理的手段によって検出することができる組成物である。有用な標識には、32P、蛍光色素、電子高密度試薬、酵素(例えば、ELISAで広く使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、ならびに例えば放射標識を標的ペプチドに特異的に反応するペプチドもしくは抗体に組み込むことによって検出可能にすることができるタンパク質または他の実体が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques 1996,Academic Press,Inc.,San Diegoに記載の方法を使用する等、抗体を標識に共役する当該技術分野で既知の任意の方法が、用いられ得る。
【0097】
場合によっては、本明細書に記載される細胞透過性コンジュゲート及び細胞透過性コンジュゲートを含む組成物は、予防的及び治療的の両方の治療に有用である。予防的投与については、本明細書に記載される薬剤の治療有効量が、初期発症の前またはその間に(例えば、自己免疫疾患の最初の兆候及び症状時に)投与される。治療的治療は、疾患の診断または発症後に対象に本明細書に記載される薬剤の治療有効量を投与することを伴う。
【0098】
したがって、対象における疾患を治療する方法であって、対象に、本明細書に記載される細胞透過性コンジュゲートまたは細胞透過性コンジュゲートを含む組成物の有効量を投与することを含む、方法が提供される。コンジュゲートの投与により、対象における疾患または疾患の1つ以上の症状を治療する。
【0099】
場合によっては、治療の方法は、対象に、1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を投与することをさらに含む。場合によっては、本方法は、ホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第1の細胞非透過性タンパク質を含む第1のコンジュゲート及びホスホロチオエート核酸またはポリマー骨格に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を含む第2のコンジュゲートの投与を含む。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第1の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する。第1及び第2のコンジュゲートは、同時または順次で投与され得る。場合によっては、第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である。場合によっては、疾患は、自己免疫疾患、発達障害、炎症性疾患、代謝障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される。場合によっては、疾患は、癌である。場合によっては、コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は細胞内標的に結合し、この細胞内標的はSTAT3またはエクスポーチン7である。場合によっては、第1の細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、エクスポーチン7に特異的に結合する抗体である。場合によっては、コンジュゲートの第1の細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、STAT3の別のエピトープに特異的に結合する抗体である。
【0100】
提供される治療方法において、治療されている疾患に好適な追加の治療剤が使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、提供される治療方法は、対象に第2の治療剤を投与することをさらに含む。好適な追加の治療剤には、鎮痛剤、麻酔剤、興奮剤、コルチコステロイド、抗コリン作動剤、抗コリンエステラーゼ、抗痙攣薬、抗新生物剤、アロステリック阻害剤、タンパク質同化ステロイド、抗リウマチ剤、精神治療剤、神経遮断剤、抗炎症剤、駆虫薬、抗生物質、抗凝血剤、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗ムスカリン剤、抗マイコバクテリア剤、抗原虫剤、抗ウイルス剤、ドーパミン作動薬、血液作用剤、免疫剤、ムスカリン薬、プロテアーゼ阻害剤、ビタミン類、成長因子、及びホルモンが挙げられるがこれらに限定されず、治療剤は、これらからなる群から選択される。薬剤及び投薬量の選択は、治療されている所与の疾患に基づいて当業者によって容易に決定することができる。
【0101】
薬剤または組成物の組み合わせは、同時(concomitantly)(例えば、混合物として)、別個であるが同時(simultaneously)(例えば、別個の静脈線を介して)、または順次(例えば、1つの薬剤をまず投与した後、第2の薬剤を投与する)のいずれかで投与され得る。したがって、組み合わせという用語は、2つ以上の薬剤または組成物の同時(concomitant)、同時(simultaneous)、または別個の投与を指して使用される。治療過程は、対象の具体的な特徴及び選択された治療の種類に応じて、個体ごとに決定されることが最良である。本明細書に開示されるもの等の治療は、1日1回、1日2回、2週間に1回、1カ月に1回、または治療的に有効な任意の適用可能な基準に基づいて対象に施され得る。治療は、単独で施されてもよく、または本明細書に開示されるかもしくは当該技術分野で既知の任意の他の治療と組み合わせて施されてもよい。追加の治療は、第1の治療と同時に、異なる時間に、または完全に異なる治療スケジュール(例えば、第1の治療は1日1回であり得るが、追加の治療は週1回である)で施されてもよい。
【0102】
本明細書に提供される方法によると、対象に、本明細書に提供される薬剤のうちの1つ以上の有効量が投与される。有効量及び有効投薬量という用語は、互換的に使用される。有効量という用語は、所望される生理学的応答(例えば、炎症の低減)をもたらすのに必要な任意の量として定義される。薬剤を投与するための有効量及びスケジュールは、当業者によって経験的に決定され得る。投与のための投薬量範囲は、疾患または障害の1つ以上の症状が影響を受ける(例えば、低減または遅延される)、所望の効果をもたらすのに十分に大きなものである。投薬量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応等といった実質的な有害な副作用を引き起こすほど大きくあるべきではない。一般に、投薬量は、年齢、状態、性別、疾患の種類、疾患もしくは障害の程度、投与の経路、または他の薬物がレジメンに含まれるかどうかによって変動することになり、また、当業者によって決定され得る。投薬量は、何らかの禁忌が生じた場合には、個々の医師によって調節され得る。投薬量は変動し得、1日1回以上の用量の投与が1日または数日間施されてもよい。所与のクラスの医薬品の適切な投薬量についての指針は、文献において見出すことができる。例えば、所与のパラメータについて、有効量は、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、または少なくとも100%の増加または減少を示すであろう。有効性は、「~倍」の増加または減少として表すこともできる。例えば、治療有効量は、対照よりも少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、5倍、またはそれ以上の効果を有し得る。実際の用量及び製剤は、治療の目的に依存することになり、既知の技法を使用して当業者によって確認することができるであろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(vols.1-3,1992)、Lloyd,The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Gennaro,Editor(2003)、及びPickar,Dosage Calculations(1999)を参照されたい)。
【0103】
開示される方法及び組成物に使用され得る、それらと併せて使用され得る、それらの調製に使用され得る、またはそれらの生成物である、材料、組成物、及び構成成分が、開示される。これら及び他の材料は本明細書に開示され、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群等が開示されるとき、これらの化合物のそれぞれの様々な個別及び集合的な組み合わせ及び置換の具体的な参照は明示的に開示されない場合があるが、それぞれが、具体的に本明細書に企図され、記載されることを理解されたい。例えば、ある方法が開示及び考察され、その方法を含めていくつかの分子になされ得るいくつかの修飾が考察される場合、その方法のありとあらゆる組み合わせ及び置換、ならびに可能性のある修飾は、そうでないことが具体的に示されない限り、具体的に企図される。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせもまた、具体的に企図され、開示される。この概念は、開示される組成物を使用する方法におけるステップを含むがこれらに限定されない、本開示の全態様に適用される。したがって、行われ得る様々な追加のステップが存在する場合、これらのステップのそれぞれは、開示される方法の任意の具体的な方法ステップまたは方法ステップの組み合わせで行われてもよいこと、ならびにそれぞれのそのような組み合わせまたは組み合わせのサブセットが具体的に企図され、また開示されると見なされるべきであることが理解される。
【0104】
本明細書に引用される刊行物及びそれらが引用される材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0105】
いくつかの実施形態について記載してきた。それでもなお、種々の修正がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態が特許請求の範囲に含まれる。
【実施例0106】
実施例1.細胞透過性抗体による核転写因子STAT3の不活性化。
【0107】
以下により詳細に記載されるように、抗体により1つのタンパク質の2つの異なる部分または1つの複合体内の2つのタンパク質を同時に標的化することによって、核タンパク質を細胞質内に保持することが、本明細書に示される。エクスポーチン7は、STAT3の核細胞質間輸送を媒介する必須タンパク質として特定された。STAT3及びエクスポーチン7抗体の細胞内送達が、STAT3の核細胞質間輸送を防止し、STAT3を細胞質内に閉じ込める。インビトロ及びインビボでの抗体の効率的な細胞透過を可能にするための技術が開発された。具体的には、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを抗体に結合させることにより、効率的な抗体の細胞への内部移行及び標的認識を可能にする。修飾されたSTAT3/エクスポーチン7抗体の局所及び全身のいずれの送達も、種々のモデルにおいて、腫瘍内でのSTAT3活性を効果的に阻害し、腫瘍細胞のアポトーシス及び腫瘍退縮をもたらした。この技術により、抗体が、核転写因子を含む細胞内分子を標的とすることが可能となる。
【0108】
材料及び方法
【0109】
生細胞でのSTAT3-GFPの局所化を、LSM 510 Meta倒立顕微鏡(Zeiss,Jena,Germany)を用いて撮像及び分析し、iFLAP画像化をもたらす退色処理実験を、記載のように行った(Herrmann et al.,J.Cell Science 120:3249-3261(2007))。簡単に言うと、STAT3-CFP-YFP融合タンパク質のYFP及びCFPの放出シグナルを、同等に増幅させた。λ=514nmのレーザー線を用いて、融合タンパク質のYFP部分を数回にわたって退色処理し、中断して画像を取得した。取得後の手順では、アルゴリズム/=1-/YFP//CFPを収集した画像に適用し、時間の関数としてSTAT3-CFP-YFPの空間分布を得た。前述のように、間接的免疫蛍光のプロトコルを使用して、腫瘍切片を染色した(Herrmann et al.,Cancer Res.70:7455-7464(2010))。
【0110】
STAT3(Santa Cruz,sc-482,Dallas,TX)、エクスポーチン7(Santa Cruz,sc-98639,Dallas,TX)、またはGFP(Rockland,Gilbertsville,PA)に対する抗体の細胞培養物における送達は、製造業者の指示に従って脂質担体系(GenLantis,BP509604,San Diego,CA)を用いて達成した。合計用量10μgの脂質担体との複合体中の免疫グロブリン(GenLantis,BP509604,San Diego,CA)またはSTAT3及びエクスポーチン7に対するオリゴヌクレオチド修飾抗体を、それぞれ、各治療のために投与した。
【0111】
オリゴヌクレオチドの抗体への共役。オリゴヌクレオチド(200~300nmol)を、30モル過剰のTCEP(400μL、5mM TEAA、pH6.8)によってアルゴン下において室温で2時間還元させ、逆相クロマトグラフィー(PRP1、30分間にわたる5mM TEAAから95%MeOHへの線形勾配)によって精製した。チオール保護基の除去を質量分析法(LTQ FT,Thermo)によって確認した後、凍結乾燥させた。還元されたオリゴヌクレオチドを0.5mLの水/DMSO(4:1)中に再溶解させ、25倍過剰のビニルスルホンを添加し、pHを8.5に調節し、アルゴン下において室温で3時間反応させ、逆相HPLC(上述の通り)によって精製し、質量分析法によって正しい生成物を確認し、試料を凍結乾燥させた。ポリクローナルIgG(1.6mg、48時間PBS中で透析)を、アルゴン下において37℃で2時間PBS中の30モル過剰のTCEPで還元させた。過剰なTCEPを除去した後(Zebaスピンカラム、Thermo、2,000rpmで2分間)、還元された抗体を、アルゴン下においてpH7.5で一晩、20モル過剰のVS-オリゴヌクレオチドと反応させた。オリゴヌクレオチドと抗体との共役が成功したことを、IEFゲル電気泳動(pH3~9、GE Health Sciences,Pittsburgh,PA)により未共役抗体と共役抗体とを比較して確認した。
【0112】
生細胞の撮像及び免疫蛍光。STAT3-GFPまたはSTAT3-CFP-YFPを過剰発現する細胞を、ガラス底の細胞培養皿(MatTek,Ashland,MA)において成長させた。LSM 510 Meta倒立顕微鏡(Zeiss,Jena,Germany)を使用して、サーモスタット制御及びCO2制御条件下における生細胞中のSTAT3の局在化を分析した。Hoechst33342(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を100ng/mlで用いて核酸を染色した。細胞内に送達された抗体を、Zenon標識化技術(Invitrogen,Carlsbad,CA)を製造業者の指示に従って使用して可視化させた。STAT3及びSTAT3K685Rの核内保持を可視化するように、FPPアッセイ(Lorenz et al.,Nature Protoc.1:276-9(2006))を適合させた。簡単に言うと、STAT3-GFPまたはSTAT3K685R-GFP発現細胞を、KHM緩衝液(110mM酢酸カリウム、20mM HEPES、2mM MgCl2)中の20μmのジギトニンで処置して、細胞膜の外側を透過処理した。生細胞におけるSTAT3-GFPまたはSTAT3K685R-GFPの核退出を、共焦点顕微鏡法によって経時的に監視した。レプトマイシンB(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)処置時のSTAT3-GFPまたはNFκBサブユニットp65-GFPの局在化を、間接的免疫蛍光によって評価した。STAT3-GFPまたはp65-GFPを発現するカバーガラス(Fisher Scientific,Waltham,MA)上で成長させた細胞を、2%パラホルムアルデヒド(PBS中に溶解、pH7.4)で固定し、DAPI含有Vectashield(Vector Laboratories,Burlingame,CA)封入剤で封入した。腫瘍及び正常組織からの微小切片を、前述のように間接的免疫蛍光を用いて染色した(Kujawski et al.,J.Clin.Invest.118:3367-3377(2008))。簡単に言うと、切片を、10%ヤギ血清及び2.5%マウス血清でブロッキングし、PBSですすぎ、100ng/mlのHoechst33342(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を含有するブロッキング溶液中で1:50に希釈したエクスポーチン7、ヌクレオポリン50、ヌクレオポリン153(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Dallas,TX)、Ki67(eBioscience,San Diego,CA)、及びCD31/PECAM-1(BD Pharmingen,San Diego,CA)に対する抗体とともにインキュベートした。スライドをPBS中ですすぎ(それぞれ5分間で3回)、適切な二次蛍光抗体とともにインキュベートし、PBSですすぎ、Mowiol(Calbiochem,San Diego,CA)で封入した。切片をLSM 510 Meta倒立顕微鏡(Zeiss,Jena,Germany)を用いて分析した。インビボで送達された抗体を、alexa fluor 488(Invitrogen,Carlsbad,CA)に共役した抗ウサギIgGを用いて可視化した。
【0113】
蛍光放出シグナルの定量化。核内に存在するタンパク質を、細胞核における平均蛍光強度によって定量化した(Hoechst+)。完全な核集積を1に対して正規化した(100%)。平均蛍光強度、CD31+血管系の長さ等の組織構造、視野内の二重陽性ピクセルの画像マスク、または蛍光シグナル密度を、それぞれ、Zeiss撮像ソフトウェア(Zeiss,Jena,Germany)またはImage-Pro 6.3(Media Cybernetics,Rockville,MD)を用いて定量化した。STAT3-GFPまたはSTAT3
K685R-GFPの核デコイを、前述のようにFLIP(光退色処理での蛍光消失)パラメータの適合によって判定した(Rabut and Ellenberg,“Photobleaching Techniques to Study Mobility and Molecular Dynamics of Proteins in Live Cells.In:Live Cell Imaging,A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press.pp.101-126(2004))。FLIPとは対称的に、目的の領域(ROI)を、
図6A及び6Bに概略的に示されるように組織化させた。簡単に言うと、取得したシグナルを、バックグラウンド(BG)を差し引いた後にROI1/ROI2によって補正し(
図6A及び6B)e-t/xを用いて正規化した(式中、tは、時間であり、xは隣接する対照細胞(ROI2)の蛍光シグナルである)。退色処理前の時間点における放出強度を、1に対して正規化した。
【0114】
生体内多光子顕微鏡法(IVMPM)。メラノーマB16腫瘍を保持するC57BL/6マウスに、イソフルラン/酸素で麻酔を行った後、10μgのアネキシン-V-FITC(BioVision,Milpitas,CA)を静脈内(後眼窩経路を介した)注射した。注射直後に、マウスを手術により切開し、腫瘍組織をIVMPMに曝露したが、これは、Ultima Multiphoton Microscopy System(Prairie Technologies,Middleton,WI)を用いて行った。フルオレセインコンジュゲートの撮像のために、励起波長をλ=890nmに設定した。フルオレセインに最適化された帯域通過フィルタ(BP λ=525/50nm)を検出に使用した。細胞外マトリックスのシグナルが励起波長λ=890nmでの二次調波発生により得られ、これをBP λ=460/50nmで検出した。
【0115】
タンパク質相互作用のインサイツ局在化。ヒトU251脳腫瘍細胞を、ガラスチャンバスライドシステム(Fisher Scientific,Waltham,MA)で成長させ、Duolink(登録商標)手順を、製造業者の指示に従って行った(OLINK Bioscience,Uppsala,Sweden)。使用した検出抗体は、Santa Cruz(STAT3、カタログ番号sc-482)及びAcris(エクスポーチン7、カタログ番号AP16201PU-N)から購入した。Santa Cruz(Dallas,TX)から購入したSTAT3遮断ペプチドを、0.01mg/mlで使用した。
【0116】
オリゴヌクレオチドプルダウンアッセイ。STAT3 DNA結合活性を判定するために、無胸腺nu/nuマウスにおいて成長させたU87腫瘍から単離した核抽出物を用いて、オリゴヌクレオチドプルダウンアッセイを行った。腫瘍組織を均質化した後、(i)10mM HEPES-KOH(pH7.9)、1.5mM MgCl2、10mM KClを含有する低張緩衝液Aと、(ii)20mM HEPES-KOH(pH7.9)、420mM NaCl、1.5mM MgCl2、0.2mM EDTA、25%グリセロールを含有する高塩濃度緩衝液Cとの組み合わせを使用して、核抽出物を単離した。プロテアーゼ阻害剤0.2mM PMSF、0.5mM DTT、1mM Na3VO4を、新たに添加した。ビオチニル化したオリゴヌクレオチド5’-AGCTTCATTTCCCGTAAATCCCTAAGCT-3’(配列番号1)(顕著なSTAT3結合部位を有するシス誘導要素SIE)を、室温で2時間、結合緩衝液(12mM HEPES pH7.9、12%グリセロール、4mM Tris pH7.9、150mM KCl、1mM EDTA;新たに:1mM DTT、0.1μg/μlポリ(dI:dC)、0.5μg/ μl BSA)中において400μgの核抽出物とともにインキュベートした。試料当たり50μlで使用したストレプトアビジン磁気ビーズ(Thermo Scientific,Waltham,MA)は、1mlの結合緩衝液で3回予備洗浄し、磁気スタンドに収集し、上清を除去した。ストレプトアビジン磁気ビーズを、100μg BSA、10μgポリ(dI:dC)、10μg ssDNA(サケ精子DNAを[10μg/μl]で使用)を含有する50μlのブロッキング緩衝液中、室温で30分間ブロッキングした後、室温で2時間試料とともにインキュベートした。沈降物を磁気スタンドに収集し、結合緩衝液を用いて3回洗浄し、40μlの4倍還元タンパク質試料緩衝液(Laemmli)中に再懸濁させた。タンパク質-沈降物をSDS-PAGEによって電気泳動で分離させた。初回クリアランス後の上清を回収し、核タンパク質を電気泳動で分離させて、負荷対照のタンパク質移入を評価した。
【0117】
オリゴヌクレオチドの抗体への共役。次のDNAオリゴヌクレオチド配列を合成して、抗体に結合させた:
抗体との共役に使用したオリゴヌクレオチド配列:
ホスホチオエート化/5ThioMC6-D//iSpC3//iSpC3//iFAM//iSpC3//iSpC3/T*C*C*A*T*G*A*G*C*T*T*C*C*T*G*A*T*G*C*T(配列番号2)
非ホスホチオエート化/5ThioMC6-D//iSpC3//iSpC3//iFAM//iSpC3//iSpC3/TCCATGAGCTTCCTGATGCT(配列番号3)
ホスホチオエート化ランダム1/5ThioMC6-D//iSpC3//iSpC3//iFAM//iSpC3//iSpC3/C*T*G*T*A*G*T*C*C*T*C*T*G*A*G*T*A*C*C*T(配列番号4)
ホスホチオエート化ランダム2/5ThioMC6-D//iSpC3//iSpC3//iFAM//iSpC3//iSpC3/C*C*C*A*G*G*A*G*T*C*T*C*C*T*G*A*T*T*T*T(配列番号5)
T チミジン、A アデニン、G グアニン、C シトシン、(*)はホスホロチオエート化を示す。5ThioMC6-D、1-O-ジメトキシトリチル-ヘキシル-ジスルフィド、1’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Thiol-Modifier C6 S-S);iSpC3、C3 3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)-プロピル-1-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Spacer Phosphoramidite);iFAM、2-ジメトキシトリチルオキシメチル-6-(3’,6’-ジピバロイルフルオレセイン-6-イル-カルボキサミド)-ヘキシル-1-O-[(2-シアノ-エチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(6-Fluorescein Phosphor-アミダイト)(Glen Research,Sterling,VA)。
【0118】
免疫ブロッティング及び免疫沈降。50mM Tris(pH7.4)、150mM NaCl、1mM EDTA、0.5%NP-40、1mM NaF、15%グリセロール、及び20mM β-グリセロールホスフェートを含有するRIPA溶解緩衝液を使用して、全細胞溶解物または腫瘍細胞ホモジネートを調製した。プロテアーゼ阻害剤カクテルを、新たに溶解緩衝液に添加した(Mini Protease Inhibitor Cocktail、カタログ番号04693124001、Roche,Basel,Switzerland)。レスベラトロール(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI)を、示される時間、10μMの準最適濃度でインビトロにおいて使用した。正規化したタンパク質量を、SDS-PAGEによる電気泳動分離に供し、ウエスタンブロットのためにニトロセルロース上に移し、続いて、エクスポーチン1、2、5、7、STAT3、VEGF、ヌクレオポリン50(Santa Cruz,Dallas,TX)、リン酸化STAT3(Tyr705)、アセチル化STAT3(Lys685)、切断型PARP1、切断型カスパーゼ3、Bcl-2、サイクリンD1(Cell Signaling Technology,Boston,MA)、アンジオポエチン1、エクスポーチンT(Millipore,Billerica,MA)、エクスポーチン4(Epitomics/Abcam,Burlingame,CA)、エクスポーチン6(Proteintech Group,Chicago,IL)、及びβ-アクチン(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)に対する抗体を使用して免疫検出を行った。免疫沈降については、ヒトU251脳腫瘍細胞の全細胞溶解物または全腫瘍ホモジネートを、試料1つ当たり1mgの合計濃度で、プロテインGアガロースビーズ(Invitrogen,Carlsbad,CA)に連結した示される抗体を使用して除去した。標的化しないウサギ免疫グロブリン(Abcam,Burlingame,CA)を対照として含んだ。正規化したタンパク質量を、ビーズに結合した抗体とともに4℃で振動させながら16時間インキュベートし、氷冷PBSを使用して4℃で3回洗浄し、SDS-PAGEに供した。
【0119】
マウス及び細胞培養物。全ての動物を、City of Hope Research Animal Facilitiesにおいて病原体不含室で維持した。動物の使用手順は、City of Hope Medical CenterのBeckman Research Instituteの組織委員会によって承認された。皮下腫瘍チャレンジについては、無胸腺nu/nuマウス(NCI,Frederick,MD)に、STAT3またはSTAT3K685Rを安定に発現する5×106個のMEF細胞または106個のU87ヒト脳腫瘍細胞を側腹部に注射した。同系モデルにおいて、C57BL/6マウス(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME)に、105個のB16黒色腫細胞を皮下注射した。腫瘍が直径5~7mmに達した後、抗体処置を1日おきに施した。線維芽細胞である3T3/v-Src細胞、MEF細胞、及びヒトU87脳腫瘍細胞を、10%の熱不活性化FBS(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO)を含有するDMEM中に維持した。マウス黒色腫B16細胞を、10%FBSを補充したRPMI 1640培地で成長させた。STAT3構築物を安定に発現する細胞系を確立するために、STAT3欠損MEF細胞に、STAT3-YFPまたはSTAT3K685-YFPをトランスフェクトした後、Flp-Inプロトコル(Invitrogen,Carlsbad,CA)を行った。再構成されたMEF細胞を、続いて、YFP+に関してフローサイトメトリーにより分類して、純度を95%を上回って改善した。
【0120】
結果及び考察
【0121】
図面及び本明細書に記載される方法の結果を、以下により詳細に考察する。簡単に言うと、
図1~3は、細胞透過性抗体が、STAT3等の核転写因子に結合し得ることを図示する。
図5~12は、さらに、核タンパク質(例えば、STAT3)及び核タンパク質と相互作用するタンパク質(例えば、エクスポーチン7)に対する2つの細胞透過性抗体を使用することで、どのようにして核タンパク質(例えば、STAT3)の活性を遮断することができるかを図示する。
図13~18は、核酸配列ではなくホスホロチオエート化が、ホスホロチオエート核酸修飾抗体の細胞透過を可能にし、インビボ及びインビトロでの標的認識及び標的タンパク質機能の不活性化を可能にするために重要であることを示す。
【0122】
活性化STAT3は多くが核内に封じ込められるが、STAT3は細胞質に輸送されて再活性化される。球形粒子の拡散特性により、分子量の増加は、タンパク質の区画的蓄積のバランスを崩し得る。したがって、2つの抗体を使用して核タンパク質または追加の相互作用するタンパク質の2つの別個の部分を認識することで、大型で安定した複合体を形成し、それによって核タンパク質(複数可)が細胞質内で区画的に蓄積するのに好都合なようにバランスを傾けることができると仮定した。この仮説を試験するために、脂質担体を使用して、STAT3及びGFPタンパク質に対する第1の抗体を、STAT3を永続的に活性化させるv-Srcにより形質転換されたSTAT3-GFP発現3T3細胞に送達した。2つの抗体が脂質担体に促進されて細胞内に送達したとき、STAT3-GFP融合タンパク質は、主に細胞質内に封入されることがわかった(
図1A)。
【0123】
生理学的にSTAT3を標的とするためのこのアプローチを拡張するために、細胞質内でSTAT3と相互作用する内在性タンパク質を特定し、それによって、STAT3/GFPの2抗体処置によって示されるものと同じ原理に基づいて、細胞質内にSTAT3を封入することを可能にした。STAT3を細胞質内に輸送するエクスポーチン(複数可)は、STAT3と比較的安定した複合体を形成し得ると考えられた。したがって、STAT3の細胞質内への輸送に関与する重要なエクスポーチン(複数可)を特定しようと試みた。エクスポーチン1がSTAT1及びある程度はSTAT3の核細胞質間輸送にも関与することが、示されている(Bhattacharya and Schindler,J.Clin.Invest.111:553-9(2003)、Reich and Liu,Nature Rev.Immunol.6:602-12(2006)、McBride et al.,Embo J.21:1754-63(2002))。STAT3抗体での免疫沈降に続いて種々のエクスポーチンに対する抗体を用いたウエスタンブロット分析により、エクスポーチン7がSTAT3に関連していることが示された(
図1B及び
図5A)。エクスポーチン7のSTAT3との特異的な関与を、さらに確認した(
図5B)。エクスポーチン1はまた、高濃度でのCrm1特異的阻害剤での長期処置によって示されるように、細胞質内へのSTAT3の輸送に何らかの検出可能な活性を有した(
図5B)。細胞質内でのSTAT3とエクスポート7との間の相互作用が、Duolink(登録商標)(Olink Technologies,Uppsala,Sweden)技法(
図1C及び1D)によってさらに示された。GFP抗体をエクスポーチン7抗体と置換することにより、STAT3-GFPの細胞質内蓄積が達成された(
図1E)。
【0124】
エクスポーチン7は、基質を区別するためにカーゴタンパク質のリジン含有モチーフを認識することが示されているため、リジン685でのSTAT3のアセチル化がSTAT3の細胞質内輸送に重要であるかどうかを試験した。STAT3野生型及びSTAT3
K685Rの核細胞質間輸送を、iFLAP生細胞共焦点顕微鏡法によって評価した。これらの分析からの結果は、STAT3
K685R輸送が、核内保持に起因して大幅に低減されたことを示した(
図2A、2B、6A、6B、7A、7B、及び7C)。STAT3をリジンK685において変異させるか、細胞をレスベラトロールで処置するかのいずれか(STAT3アセチル化を阻害することができる)によって、STAT3/エクスポーチン7相互作用に関するアセチル化の要件が提示された(
図2C及び2D)。
【0125】
インビボにおいてエクスポーチン7に媒介される、細胞質内へのSTAT3の核退出を遮断する影響を、STAT3野生型またはSTAT3
K685Rのいずれかを過剰発現するマウスStat3-null胎児線維芽細胞(MEF)を用いてさらに試験した。腫瘍成長動態は、STAT3
K685R発現MEFの腫瘍原性能の実質的な減少を示す(
図8A)。エクスポーチン7とSTAT3
K685Rとの間の相互作用における同時の低減が検出された(
図2E)。さらに、エクスポーチン7に媒介される、STAT3
K685Rとヌクレオポリンとの間、具体的にはNPCの核細胞質FGリッチ反復Nup50とNup153との間の相互作用(核から細胞質へのタンパク質の移動を促進すると見られる)が、大幅に減少した(
図2E、8C、及び8D)。核退出におけるアセチル化STAT3の重要な役割をさらに裏付けると、STAT3
K685R発現MEFは、核内におけるエクスポーチン7の蓄積を示し、これは、核直径の実質的な増加と関連し(
図2F及び2G)、タンパク質の核移出の効果的な阻害を示す。これは、エクスポーチン7が主に細胞質内に見られる正常な器官/組織における細胞とは明確に対照的である(
図9)。
【0126】
STAT3及びエクスポーチン7抗体がSTAT3活性をインビボで阻害する能力を、核細胞質間輸送を遮断することによってMEFにおいて試験した。これらの実験からの結果を、
図10A、10B、10C、11A、11B、11C、及び11Dに示す。エクスポーチン7/STAT3に対する抗体での腫瘍保持マウスの処置は、腫瘍において強力な抗体の細胞内取り込み(
図10A及び12A)ならびに有意な腫瘍成長の阻害(
図3A、11A、及び12B)をもたらした。IgG対照抗体と組み合わせたSTAT3またはエクスポーチン7のいずれかでの単独抗体処置は、わずかに腫瘍成長を阻害したにすぎなかった(
図3A)。さらに、2つの抗体での処置は、エクスポーチン7に媒介されるSTAT3のNup153及びNup50との相互作用の妨害を伴った(
図3B)。STAT3/エクスポーチン7抗体での腫瘍保持マウスの処置は、腫瘍血管系及び腫瘍増殖を有意に妨害し(
図3C及び3D)、腫瘍細胞の生存に関与するSTAT3下流遺伝子の発現及び増殖を阻害することができた(
図3E)が、いずれか1つの抗体単独ではそうすることができなかった。2つの抗体での処置の有効性を、ヒト異種移植片腫瘍モデルにおいても試験した。STAT3/エクスポーチン7抗体でのヒトU87神経膠腫腫瘍保持マウスの処置は、腫瘍成長を有意に低減させ(
図3F)、STAT3のそのDNA部位への結合を防止することができた(
図3G)。腫瘍成長の阻害は、アポトーシスを起こす腫瘍細胞の実質的な増加及び生体多光子顕微鏡法によって可視化される腫瘍血管系の低減と関連していた(
図3H及び3I)。
【0127】
結果は、これまでのところ、STAT3等の転写因子が抗体により標的化され得ること実証している。しかしながら、細胞内への抗体の送達は脂質担体に依存していた。効率的な細胞内タンパク質の標的化のために抗体及びタンパク質が細胞内に透過できるようにする方法は、わからないままである。この目的のために、ある技術を開発した。具体的には、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを抗体に結合させて、それらが細胞を透過し、目的とする分子を標的とすることができるようにすることを試みた。ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドをSTAT3またはエクスポーチン7ポリクローナルIgG抗体に結合させることにより、時間依存的かつ用量依存的な様式でインビトロにおいて細胞の細胞質内への抗体の効率的な細胞内部移行をもたらした(
図4A及び4B)。注目すべきことに、2つの修飾抗体実体の同時送達が実証された(
図4B、右パネル)。さらなる特徴付けにより、細胞質内での修飾抗体の目的とされる標的認識が明らかとなった(
図13A及び13B)。さらに、蛍光標識したホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体が、局所投与及び全身投与のいずれの際にも、腫瘍内に検出された(
図14及び15A)。インタクトなオリゴヌクレオチド修飾抗体が、最後の全身処置の8日後に腫瘍組織において確認され(
図15B)、修飾抗体の強力な生体安定性が示された。癌細胞を透過することに加えて、オリゴヌクレオチド修飾抗体は、免疫細胞にも進入することができる(
図16A及び16B)。抗体に結合されたオリゴヌクレオチドの配列特異性ではなく、DNA骨格のホスホロチオエート化が、細胞取り込み及びそれに続く標的/抗原認識に重要である(
図17A及び17B)。
【0128】
ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体の抗腫瘍効力を評価するために、STAT3/エクスポーチン7抗体を、メラノーマB16腫瘍保持マウス、ならびにヒトU251神経膠腫保持免疫不全マウスに局所投与した。未処置マウス及び単一の抗体で処置したマウスと比較して、両方のモデルにおける腫瘍成長動態は、修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の組み合わせを受容したマウスにおいて有意に低減され(
図4C及び18)、これは、STAT3活性の劇的な減少(
図4F)及びアポトーシス細胞死の増加(
図4G)を伴った。
【0129】
修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の抗腫瘍効力を、全身投与により試験した。修飾STAT3/エクスポーチン抗体の全身送達もまた、腫瘍成長に対して非常に劇的な抗腫瘍効果を示した(
図4D)。ホスホロチオエート化ヌクレオチド修飾抗体は、効率的に腫瘍組織に到達し、それに浸透し、抗腫瘍機能を発揮した(
図15A)。次いで、組み合わせ抗体処置の抗腫瘍効力を、1回の処置当たり合計で2.5μgの抗体までの漸減用量で全身に与えて評価した。STAT3のヌクレオポリン50及び153との相互作用の低減(
図4G)によって示されるように、たった3回の処置の後に全身処置を中止したときに、強力な抗腫瘍効果が継続され(
図4E)、これはSTAT3の区画的代謝回転の阻害を伴った。さらに、修飾STAT3/エクスポーチン抗体での腫瘍保持マウスの全身処置は、腫瘍におけるSTAT3のDNA結合能力を効果的に低下させた(
図4H)。
【0130】
細胞内分子を標的とするために抗体を使用する必要性には、説得力がある。抗体が癌細胞内に拡散してインビボで目的のタンパク質を遮断することができることが報告されているが、分子機序は提供されておらず、癌細胞による抗体の取り込みはB細胞によって媒介されるものであると推測された。抗体がそれら自体で透過性となるようにそれを修飾し、それらが全身投与によってさえも細胞内分子を効果的に標的とすることを可能にするための手法が、本明細書に記載されている。抗体により1つのタンパク質の2つの異なる部分または1つの複合体内の2つのタンパク質を標的とすることによって、転写因子の再活性化に必要とされる核細胞質間輸送を低減することができるという直接的な実験による証拠を提供する。STAT3に加えて、核タンパク質は抗体により標的とすることが不可能であると見られており、細胞透過性抗体技術を広く使用して、種々の細胞内タンパク質(例えば、発癌性タンパク質及び細胞内に存在するウイルスタンパク質)を標的とすることが可能である。
【0131】
実施例2.有効な細胞透過性タンパク質送達技術
本実施例において、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドでの抗体の修飾により、それらが細胞に透過し、そこで目的とされる細胞内標的抗原/分子に結合することを可能にすることが実証された。さらに、修飾抗体が細胞内標的を特異的に検出する能力が生細胞においてフローサイトメトリー及び共焦点顕微鏡法により示され、同様にタンパク質をその天然の形態で検出する能力がウエスタンブロットにより示された。さらに、そのような修飾抗体を使用して、細胞内チロシンキナーゼ(ホスホ-Src)、細胞内/核内ウイルスタンパク質(HPV16/18 E6タンパク質)、ならびに転写因子(STAT3)の活性を効果的に遮断することができることが実証された。
【0132】
材料及び方法
生細胞内におけるSTAT3-GFPの局在化を、LSM 510 Meta倒立顕微鏡(Zeiss)を用いて撮像及び分析し、iFLAP画像化をもたらす退色処理実験を行った(Herrmann,et al.,J.Cell Sci.120:3249-3261(2007))。簡単に言うと、STAT3-CFP-YFP融合タンパク質のYFP及びCFPの放出シグナルを、同等に増幅させた。λ=514nmのレーザー線を用いて、融合タンパク質のYFP部分を数回にわたって退色処理し、中断して画像を取得した。取得後の手順では、アルゴリズム/=1-/YFP//CFPを収集した画像に適用し、時間の関数としてSTAT3-CFP-YFPの空間分布を得た。前述のように、間接的免疫蛍光のプロトコルを使用して、腫瘍切片を染色した(Herrmann,et al.,Cancer Research 70:7455-7464(2010))。
【0133】
細胞培養物におけるSTAT3(Santa Cruz,sc-482)、エクスポーチン7(Santa Cruz,sc-98639)、またはGFP(Rockland)に対する抗体の送達は、製造業者の指示に従って脂質担体系(GenLantis,BP509604)を用いて達成した。インビボにおいて、合計用量10μgの、脂質担体との複合体中の免疫グロブリン(GenLantis,BP509604)またはSTAT3及びエクスポーチン7に対するオリゴヌクレオチド修飾抗体を、それぞれ、各処置のために送達した。
【0134】
オリゴヌクレオチドの抗体への共役。抗体との共役に使用したオリゴヌクレオチド配列:
ホスホチオエート化T*C*C*A*T*G*A*G*C*T*T*C*C*T*G*A*T*G*C*T(配列番号2)
非ホスホチオエート化TCCATGAGCTTCCTGATGCT(配列番号3)
ホスホチオエート化スクランブル1(scr1)T*C*G*T*A*G*T*C*C*T*T*C*G*A*G*T*A*C*C*T(配列番号6)
ホスホチオエート化スクランブル2(scr2)C*C*C*A*G*G*A*G*T*C*T*C*C*T*G*A*T*T*T*T(配列番号5)
ホスホチオエート化スクランブル3(scr3)T*A*G*A*T*G*A*C*C*T*T*C*C*T*G*C*T*G*C*T(配列番号7)
T チミジン、A アデニン、G グアニン、C シトシン、(*)はホスホロチオエート化を示す。
オリゴヌクレオチド(200~300nmol)を、30モル過剰のTCEP(400μL、5mM TEAA、pH6.8)によってアルゴン下において室温(RT)で2時間還元させ、逆相クロマトグラフィー(PRP1、30分間にわたる5mM TEAAから95%MeOHへの線形勾配)によって精製した。チオール保護基の除去を質量分析法(LTQ FT,Thermo)によって確認した後、凍結乾燥させた。還元されたオリゴヌクレオチドを0.5mLの水/DMSO(4:1)中に再溶解させ、25倍過剰のビニルスルホンを添加し、pHを8.5に調節し、アルゴン下において室温で3時間反応させ、逆相HPLC(上述の通り)によって精製し、質量分析法によって正しい生成物を確認し、試料を凍結乾燥させた(VS-オリゴヌクレオチド)。代替的には、オルゴヌクレオチドをチオール保護基の除去には供さず、次のようにさらに処理した(SSR-オリゴヌクレオチド)。ポリクローナルIgG(1.6mg、48時間PBS中で透析)を、アルゴン下において37℃で2時間PBS中の30モル過剰のTCEPで還元させた。過剰なTCEPを除去した後(Zebaスピンカラム、Thermo、2,000rpmで2分間)、還元された抗体を、アルゴン下においてpH7.5で一晩、20モル過剰のVS-オリゴヌクレオチドまたはSSR-オリゴヌクレオチドと反応させた。オリゴヌクレオチドと抗体との共役が成功したことを、IEFゲル電気泳動(pH3~9、GE Health Sciences)により未共役抗体と共役抗体とを比較して確認した。
【0135】
結果及び考察
修飾抗体の細胞透過及び標的認識。STAT3 IgG抗体をホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドで修飾することにより、インビトロで生細胞における抗体の細胞内部移行及び意図される標的/抗原認識をもたらした(
図23A)。これは、代替的な免疫沈降を用いて、すなわち、修飾抗体を生細胞に添加してそれらをその天然の形態で標的に結合させた後、細胞を溶解させ、アガロースビーズで沈降させた後に電気泳動することにより、抗体-標的複合体の検出によって裏付けられる。抗体及びホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドがインビボで共局在化されることが確認された(
図28)。フローサイトメトリー分析及びウエスタンブロットの両方によって裏付けられるように、異なるオリゴヌクレオチドのDNA骨格ホスホロチオエート化により、抗体の細胞内取り込み及びそれに続く標的/抗原認識を達成できることが、さらに示された(
図23B、23C)。さらに、エクスポーチン7抗体のホスホロチオエート化修飾により、抗体の内部移行が促進されたこと(
図23B)、及び修飾抗体の内部移行が特定の細胞型に限定されなかったこと(
図23B)が示された。修飾STAT3抗体が細胞膜を透過できること、及びEEA-1+エンドソーム区画の外側に存在し得ることもまた、共焦点撮像によって実証された。加えて、修飾STAT3抗体はまた、核区画にも進入することができた(
図23D)。
【0136】
ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドで修飾したホスホ-Src(p-Src)抗体を、さらに詳細に特徴付けした。修飾及び非修飾p-Src抗体の細胞透過能力を、フローサイトメトリー分析を使用して比較した(
図23E)。加えて、蛍光シグナルの低い細胞の共焦点画像化により、修飾p-Src抗体がp-Srcと共局在化していたことが示された(
図23F)。さらに、抗体を生細胞に添加した後に細胞溶解物を調製するという固有の免疫沈降、続くウエスタンブロットにより、修飾p-Src抗体が細胞内に内部移行し、それらの意図される標的に結合することができたことを確認した(
図23G)。
【0137】
細胞透過性抗体の細胞内保持には標的が必要である。これまでのところ、データは、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体が細胞を透過できることを示している。蛍光標識した修飾p-Src抗体が、v-Srcをトランスフェクトした3T3線維芽細胞におけるフローサイトメトリーによって容易に検出可能であったが、標識修飾IgG対照抗体はそうでなかったことが示された(
図24、上パネル)。Stat3ありまたはなしでマウス胎児線維芽細胞(MEF)を使用することにより、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾Stat3抗体の保持にはStat3タンパク質が必要であったことが、フローサイトメトリー分析によって示された(
図24、下パネル)。
【0138】
修飾抗ホスホSrc抗体による強力な抗腫瘍効果。次いで、インビボにおける抗腫瘍効果を、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドによって修飾した種々の抗体に関して評価した。v-Srcによって形質転換した3T3細胞を、免疫応答性の同系マウスに埋め込んだ。同量の修飾IgGまたは修飾抗p-Src抗体(マウス1匹当たり10μg)を腫瘍に注射した。腫瘍の成長曲線は、未処置のものと修飾IgG抗体で処置したものとの間では類似であったが、修飾p-Src抗体を受容した腫瘍では有意に緩徐であった(
図25A)。次いで、未処置または修飾対照抗体もしくは修飾p-Src抗体を受容した腫瘍由来のホモジネートを調製した後、ウエスタンブロット分析を行って、修飾抗体のその標的及び標的下流遺伝子に対するインビボでの効果を評価した。そのような分析からの結果は、インビボにおいて修飾p-Src抗体はリン酸化Src及びその下流標的であるリン酸化Stat3(
図25B、左パネル)、ならびに他の既知のp-Src下流標的であるFAK、β-アクチン、及びE-カドヘリン(
図25B、右パネル)を効果的に阻害することができたことを示す。細胞アクチンフィラメント構造における活性化Srcの役割は、既知である。修飾p-Src抗体はまた、腫瘍細胞アクチンフィラメント構造も阻害することができ(
図29)、これは細胞移動及び腫瘍浸潤において役割を果たす。
【0139】
ヒト黒色腫A2058腫瘍細胞の生存及び成長は、p-Src依存性であるため、修飾p-Src抗体のインビボでの効果を、A2058異種移植片腫瘍モデルにおいてさらに評価した。3T3 v-Srcマウス腫瘍モデルにおいて見られるように、ヒト黒色腫腫瘍を修飾p-Src抗体で処置することにより、マウスにおける腫瘍成長が有意に阻害された(
図25C)。対照群及び試験群の両方に由来する腫瘍から調製したホモジネートを用いたウエスタンブロットは、修飾p-Src抗体がインビボにおいて腫瘍内に保持されたが、結合する標的タンパク質を持たない修飾IgG抗体は保持されなかったことを示した(
図25D)。さらに、腫瘍切片の顕微鏡分析により、修飾p-Src抗体のみが腫瘍内に保持されたが、修飾IgG抗体は保持されなかったことを示した(
図25E上パネル)。標的抗体の保持は、腫瘍血管系の消失(
図25E上パネル)、ならびに腫瘍アポトーシスの増加(
図25E下パネル)と関連していた。対照腫瘍と標的抗体で処置した腫瘍との間の抗体の腫瘍保持、腫瘍細胞のアポトーシス、及び腫瘍血管系の消失における差は、有意であった(
図25F)。
【0140】
修飾抗HPV E6抗体は腫瘍成長を阻害する。いくつかの細胞内ウイルスタンパク質は、癌等の疾患の治療の良好な標的である。例えば、HPV16/18 E6及びE7タンパク質は、大部分の子宮頸癌及び頭頸部癌において細胞の形質転換及び悪性度にとって重要な周知の腫瘍性タンパク質である。しかしながら、それらの発癌活性を遮断するのに有効な薬物は存在しない。したがって、HPV16/18 E6に対するモノクローナル抗体を修飾することにより、E6の機能及び腫瘍成長を遮断する有効な阻害剤がもたらされるかどうかを試験した。E6(E7も同様)タンパク質は非常に小さいため、抗体がタンパク質全体を「飲み込み」、それによってその機能を遮断することができると推論した。ヒトCaSki子宮頸癌細胞を皮下に注射して、ヌードマウスに腫瘍を形成させた。腫瘍が平均して直径およそ5mmに達したときに、同量の修飾IgG抗体または抗E6抗体(マウス1匹当たり10μg)を腫瘍に注射した。修飾IgG抗体で処置した腫瘍は未処置腫瘍と同じように成長したが、修飾E6抗体を注射したものは、2つの対照群と比較して有意な成長遅延を有した(
図26A)。全身投与した修飾E6モノクローナル抗体の抗腫瘍作用もまた試験した。全身送達した修飾E6抗体のCaSki腫瘍成長に対する阻害効果が観察された(
図26B)。H&E染色は、修飾E6抗体での全身及び局所の両処置が、腫瘍組織に対して破壊性効果を有したことを示した(
図26C)。インビボ実験からの腫瘍を用いたウエスタンブロット分析及びリアルタイムRT-PCR(
図26A及び26B)により、Fas受容体のメンバーをプロカスパーゼと架橋させて細胞死を誘導するための複合体を形成するFADD遺伝子、ならびにカスパーゼ8遺伝子の上方調節性発現が示された(
図26D及び26E)。CaSki腫瘍切片(
図26Aと同じ腫瘍)の共焦点顕微鏡分析により、修飾IgG抗体ではなく修飾E6抗体のみが、処置腫瘍において容易に検出可能であったことが示された(
図26F、上パネル)。修飾抗E6抗体による腫瘍の処置はまた、CD31陽性の低減によって示されるように、腫瘍血管系の破壊ももたらした(
図26F、上パネル)。同じ腫瘍組織を使用して、切断型カスパーゼ3タンパク質のレベルが上昇したことがさらに示された(
図26F、下パネル)。
【0141】
細胞透過性抗体によるインビボでのSTAT3の標的化。抗体によるSTAT3活性の遮断を評価した。しかしながら、Srcチロシンキナーゼ分子表面上に曝露されるSrcのリン酸化部位とは異なり、STAT3の主要なチロシンリン酸化及びアセチル化部位は、折り畳まれたSTAT3分子内でのそれらの位置に起因して、アクセスすることが困難である。活性化されたSTAT3は多くが核内に封じ込められるが、STAT3は細胞質に輸送されて再活性化される。球形粒子の拡散特性により、分子量の増加は、タンパク質の区画的蓄積のバランスを崩し得る。したがって、2つの抗体を使用してSTAT3または別の相互作用するタンパク質の2つの別個の部分を認識することで、大型で安定した複合体を形成し、それによって活性化STAT3が細胞質内で区画的に蓄積するのに好都合なようにバランスを傾けることができると仮定した。共焦点顕微鏡分析により、STAT3の異なる部位を認識する2つの修飾STAT3抗体が、STAT3-mCherryで一過的にトランスフェクトして一部の細胞が核内にSTAT3-mCherryを有することを可能にした3T3v-Src細胞におけるSTAT3タンパク質の細胞内蓄積の増加を促進したことが示された(
図27A)。ウサギ抗STAT3抗体及び抗ウサギ抗体での同じ細胞の処置もまた、STAT3タンパク質の細胞質内蓄積の増加をもたらした(
図27A)。しかしながら、細胞質内にSTAT3タンパク質を封入するための二重抗体の最も有効な組み合わせは、STAT3及びエクスポーチン7であった(
図27A)。エクスポーチン7は、STAT3の核細胞質間輸送にとって重要であることが示されている(Herrmann et al.,Cancer Res.70:7455-7464(2010))。
【0142】
STAT3/エクスポーチン7の二重抗体が細胞質内にSTAT3を保持するのに最も有効であったため(
図27A)、またSTAT3及びエクスポーチン7の相互作用にはSTAT3685アセチル化が必要であり、STAT3のアセチル化が腫瘍において広く見られることがわかったため、腫瘍原性の修飾STAT3 及びエクスポーチン7をインビボでの腫瘍処置に使用した。実際に、確立されたB16マウス黒色腫を修飾STAT3及びエクスポーチン7の両方で処置することにより、有意な腫瘍成長の遅延がもたらされたが、いずれの修飾抗体も単独ではそれをもたらさなかった(
図27B、左パネル)。修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の局所及び全身の両方の注射により、B16黒色腫の腫瘍成長が効果的に阻害された(
図27B、中央パネル)。修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の全身注射が、1回の処置当たり2.5μgという低用量ですら腫瘍成長を効果的に阻害し、全身処置をたった3回の処置後に中止した場合にも強力な抗腫瘍作用が継続されたことが、さらに示された(
図27B右パネル)。全身抗体処置はまた、STAT3-DNA結合を測定することによって評価されるように、腫瘍STAT3活性を阻害した(
図27C)。加えて、全身に送達された修飾STAT3/エクスポーチン7抗体は、最後の治療の8日後ですら腫瘍内に保持された(
図27D)。
【0143】
ヒト神経膠腫異種移植片モデルにおいて修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の抗腫瘍効力を試験した。確立されたヒトU87神経膠腫保持マウスへの修飾STAT3/エクスポーチン7抗体の局所処置及び全身投与のいずれも、有効な抗腫瘍効果をもたらした(
図27E、上パネル)。さらに、STAT3の別個の部位を認識する2つの修飾STAT3抗体を全身投与することの抗腫瘍効果、ならびに修飾抗STAT3抗体(ウサギ)及び抗ウサギ抗体のものを、STAT3/エクスポーチン7及び他の対照抗体とともに評価した(
図27E下パネル)。この一連の実験の抗腫瘍効果は、腫瘍における抗体の検出(
図30A、30B)ならびに腫瘍血管系の破壊、STAT3下流発癌性遺伝子c-Mycの阻害、及びアポトーシスを起こす切断型カスパーゼ3の増加(
図31A、31B)と関連していた。ヒトU251神経膠腫腫瘍保持マウスにおける修飾抗体の組織分布を評価するために、局所腫瘍周囲注射及び全身注射の両方によりSTAT3/エクスポーチン7抗体を投与した。抗体注射の24時間後に、腫瘍に加えて複数の器官からの組織を共焦点顕微鏡分析用に調製して、蛍光標識した抗体ならびにCD31及び切断型カスパーゼ3の存在を検出し、血管系及び腫瘍細胞のアポトーシスに対するこれらの抗体の作用を評価した。この一連の実験から生成したデータは、最後の注射(局所及び全身の両方)の24時間後に、修飾抗体が腫瘍中で最も顕著であり、腫瘍血管系を破壊し、アポトーシスを誘導することを示した(
図27F)。
【0144】
これらの研究は、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドでの抗体の修飾により、抗体が細胞膜を透過できるようになることを実証する。さらに、標的タンパク質への結合は、標的化抗体の細胞内保持を促進し、それらが細胞から退出することを効率的に阻止すると見られる。本明細書に提示された結果は、抗体の細胞内送達に関する有効性を示すにすぎないが、この技術プラットフォームは、種々のタンパク質/酵素の細胞透過を可能にすることにも適用できるはずである。
【0145】
インビトロ及びインビボでの結果には、ポリクローナル及びモノクローナルの両方の抗体の使用が含まれる。モノクローナル抗体は現在診療所で使用される唯一のものであり、純粋であるという利点を有するが、ポリクローナル抗体は、それらが抗原/標的の複数のエピトープを認識する能力に起因して、より良好な有効性を有する。ポリクローナル抗体が臨床使用にも好適であるかどうかについては、さらなる検討が待たれ、またさらなる調査を要する。現在のところ、ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを抗体と結合させるためには2つの異なるアプローチが使用されている。いずれにせよ、現行の研究により、困難であると見なされるものを含む細胞内分子を標的とするために抗体等の巨大分子を現在は使用できるという原理を実証した。
【0146】
実施例3.ホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド修飾抗体は細胞に進入し、細胞内標的を認識する。
核酸は、種々の手段で抗体等のタンパク質に結合され得る。活性に対する結合の作用を調査するために、細胞を、ビニルスルホン反応性部分を介してまたはS-S-ヘキサノール反応性部分を通じてホスホロチオエート化核酸に結合した抗体とともにインキュベートした。抗体を、実施例2の方法に概説されるように調製した。αSTAT3-VS-オリゴヌクレオチドPについては、この抗体は、VS-オリゴヌクレオチド(αSTAT3-VS-オリゴヌクレオチドUP)と反応させた抗体をHPLCにより精製することによって調製した。Pは、精製されたことを表し、UPは未精製であることを表す。
【0147】
ヒトKarpas299リンパ腫細胞を、ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化DNA-20量体-オリゴヌクレオチドまたは未精製SSR-オリゴヌクレオチド-抗体コンジュゲート/複合体の結合によって修飾された10μg/mlの精製(P)または未精製(UP)aSTAT3ウサギ抗体とともに2時間インキュベートした。細胞を固定し、透過処理を行った後、ウサギIgG種を細胞内染色し、細胞を、ゲーティングによって示されるようにフローサイトメトリーを介してウサギIgG含量に関して分析した。結果を
図32に示す。具体的には、結果は、異なる化学的手段によりホスホロチオエート化核酸に結合した抗体により、細胞内送達を達成することができることを示す。
【0148】
送達及び認識を確認するために、ヒトU251神経膠腫細胞を、ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化DNA-20量体-オリゴヌクレオチドを介して修飾されたもの(レーン1)もしくは非修飾aSTAT3単独(レーン3)のいずれかである10μg/mlの精製(P)aSTAT3抗体、またはaSTAT3及びVSを介して結合したものと同じである500pmol/mlのホスホロチオエート化GpC1668(レーン4、レーン2は空)とともに、2時間インキュベートした。全細胞溶解物を調製し、細胞残屑を取り出した後に、アガロースビーズに結合したプロテインGを添加し、4℃で一晩インキュベートした後、ウエスタンブロット手順を行った。結果を
図33Aに示す。
【0149】
ヒトU251細胞を、SSRを介して修飾された10μg/mlの未精製(UP)aSTAT3抗体(レーン2)、ビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドの結合により修飾された未精製(UP)aSTAT3抗体(レーン3)、またはビニルスルホン(VS)に媒介されるホスホロチオエート化の結合により修飾された精製(P)aSTAT3抗体(レーン4)とともに、または抗体IgG添加なしで(レーン1)2時間インキュベートした。全細胞溶解物を調製し、細胞残屑を取り出した後に、アガロースビーズに結合したプロテインGを添加し、4℃で一晩インキュベートした後、ウエスタンブロット手順を行った。結果を
図33Bに示す。
【0150】
図33A及び33Bは、ビニルスルホン反応性部分を介して結合されたホスホロチオエート化核酸を有する抗体集団が、細胞に進入し、細胞内標的を認識することができることを示す。さらに、図面は、異なる化学的結合、例えば、S-S-ヘキサノールを介して結合されたホスホロチオエート化核酸を有する抗体集団もまた、細胞内送達及び標的認識をもたらすことを示す。
【0151】
実施形態
実施形態P1.ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートであって、ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2.複数のホスホロチオエート核酸が細胞非透過性タンパク質に結合する、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P3.1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上のホスホロチオエート核酸がタンパク質に結合する、実施形態2に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P4.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、細胞非透過性タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンに結合する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P5.各ホスホロチオエート核酸は、タンパク質のリジンに結合する、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P6.該タンパク質は、タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、またはこれらの組み合わせのうちの10%、25%、50%、75%、90%、95%、または100%に結合したホスホロチオエート核酸を含む、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P7.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のアミノ酸残基の長さである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P8.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10~30残基の長さである、実施形態7に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P9.各ホスホロチオエート核酸は、タンパク質に共有結合で結合する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P10.各ホスホロチオエート核酸は、非特異性配列を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P11.細胞非透過性タンパク質は、高分子量タンパク質である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P12.細胞非透過性タンパク質は、25kDを上回る分子量を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P13.細胞非透過性タンパク質は、25~750kDの分子量を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P14.細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P15.抗体は、IgG抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P16.抗体は、IgA、IgM、IgD、またはIgE抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P17.抗体は、Fvフラグメントである、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P18.抗体は、ヒト化抗体である、実施形態14~17のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P19.細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P20.細胞内標的は、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される疾患の標的である、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P21.細胞内標的は、シグナル伝達分子または転写因子である、実施形態19または20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P22.シグナル伝達分子は、ホスファターゼまたはキナーゼである、実施形態21に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P23.細胞内標的は、癌標的である、実施形態20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P24.細胞内標的は、STAT3である、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P25.細胞内標的は、エクスポーチン7である、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P26.細胞非透過性タンパク質は、タンパク質に結合した標識、小分子、または機能性核酸をさらに含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P27.細胞内標的に結合した、実施形態1~26にいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P28.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートを含む、細胞。
実施形態P29.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
実施形態P30.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態29に記載の組成物。
実施形態P31.第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態30に記載の組成物。
実施形態P32.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態31に記載の組成物。
実施形態P33.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態31に記載の組成物。
実施形態P34.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態P35.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートまたは実施形態29に記載の薬学的組成物と、使用のための説明書と、を含む、キット。
実施形態P36.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態35に記載のキット。
実施形態P37.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態36に記載のキット。
実施形態P38.実施形態29に記載の薬学的組成物及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態36に記載のキット。
実施形態P39.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態36~38のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P40.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態36~38のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P41.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞非透過性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化される、実施形態36~40のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P42.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態35~41のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P43.細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法であって、細胞を、実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含む、方法。
実施形態P44.細胞非透過性タンパク質は、細胞質内の核タンパク質に結合し、それによって細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体を形成する、実施形態43に記載の方法。
実施形態P45.細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体は、細胞の核に進入することができない、実施形態44に記載の方法。
実施形態P46.対象における疾患を治療する方法であって、対象に、実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートの有効量を投与することを含み、コンジュゲートの投与により、対象における疾患を治療する、方法。
実施形態P47.対象に、1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を投与することをさらに含む、実施形態46に記載の方法。
実施形態P48.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~26のいずれか1つに記載のコンジュゲートと比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態47に記載の方法。
実施形態P49.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態47に記載の方法。
実施形態P50.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、同時に投与される、実施形態47~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P51.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は順次投与される、実施形態47~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P52.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態47~51のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P53.第2の治療剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態46~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P54.疾患は、自己免疫疾患、発達障害、炎症性疾患、代謝障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される、実施形態46~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P55.疾患は、癌である、実施形態実施形態54に記載の方法。
実施形態P56.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的はSTAT3である、実施形態55に記載の方法。
実施形態P57.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的はエクスポーチン7である、実施形態55に記載の方法。
実施形態P58.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、エクスポーチン7に特異的に結合する抗体である、実施形態52に記載の方法。
実施形態P59.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、STAT3の別のエピトープに特異的に結合する抗体である、実施形態52に記載の方法。
実施形態P2 1.ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含む、細胞透過性コンジュゲートであって、ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 2.複数のホスホロチオエート核酸が、細胞非透過性タンパク質に結合する、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート
実施形態P2 3.1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、またはそれ以上のホスホロチオエート核酸がタンパク質に結合する、実施形態2に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 4.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、細胞非透過性タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンに結合する、実施形態1~3のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 5.各ホスホロチオエート核酸は、タンパク質のリジンに結合する、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 6.該タンパク質は、タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、ヒスチジン、またはこれらの組み合わせのうちの10%、25%、50%、75%、90%、95%、または100%に結合したホスホロチオエート核酸を含む、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 7.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のアミノ酸残基の長さである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 8.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10~30残基の長さである、実施形態7に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 9.各ホスホロチオエート核酸は、タンパク質に共有結合で結合する、実施形態1~8のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 10.各ホスホロチオエート核酸は、非特異性配列を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 11.細胞非透過性タンパク質は、高分子量タンパク質である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 12.細胞非透過性タンパク質は、25kDを上回る分子量を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 13.細胞非透過性タンパク質は、25~750kDの分子量を有する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 14.細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 15.抗体は、IgG抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 16.抗体は、IgA、IgM、IgD、またはIgE抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 17.抗体は、Fvフラグメントである、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 18.抗体は、ヒト化抗体である、実施形態14~17のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 19.細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 20.細胞内標的は、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される疾患の標的である、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 21.細胞内標的は、シグナル伝達分子または転写因子である、実施形態19または20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 22.シグナル伝達分子は、ホスファターゼまたはキナーゼである、実施形態21に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 23.細胞内標的は、癌標的である、実施形態20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 24.細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、及びSrcからなる群から選択される、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 25.細胞内標的は、リン酸化Srcである、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 26.細胞非透過性タンパク質は、タンパク質に結合した標識、小分子、または機能性核酸をさらに含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 27.細胞内標的に結合した、実施形態1~26にいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態P2 28.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートを含む、細胞。
実施形態P2 29.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
実施形態P2 30.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態29に記載の組成物。
実施形態P2 31.第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態30に記載の組成物。
実施形態P2 32.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態31に記載の組成物。
実施形態P2 33.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態31に記載の組成物。
実施形態P2 34.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態P2 35.実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートまたは実施形態29に記載の薬学的組成物と、使用のための説明書と、を含む、キット。
実施形態P2 36.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態35に記載のキット。
実施形態P2 37.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態36に記載のキット。
実施形態P2 38.実施形態29に記載の薬学的組成物及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態36に記載のキット。
実施形態P2 39.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態36~38のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P2 40.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態36~38のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P2 41.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞非透過性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化される、実施形態36~40のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P2 42.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態35~41のいずれか1つに記載のキット。
実施形態P2 43.細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法であって、細胞を、実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含む、方法。
実施形態P2 44.細胞非透過性タンパク質は、細胞質内の核タンパク質に結合し、それによって細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体を形成する、実施形態43に記載の方法。
実施形態P2 45.細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体は、細胞の核に進入することができない、実施形態44に記載の方法。
実施形態P2 46.対象における疾患を治療する方法であって、対象に、実施形態1~26のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートの有効量を投与することを含み、コンジュゲートの投与により、対象における疾患を治療する、方法。
実施形態P2 47.対象に、1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を投与することをさらに含む、実施形態46に記載の方法。
実施形態P2 48.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~26のいずれか1つに記載のコンジュゲートと比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態47に記載の方法。
実施形態P2 49.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態47に記載の方法。
実施形態P2 50.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、同時に投与される、実施形態47~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P2 51.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は順次投与される、実施形態47~49のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P2 52.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態47~51のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P2 53.第2の治療剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態46~52のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P2 54.疾患は、自己免疫疾患、発達障害、炎症性疾患、代謝障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される、実施形態46~53のいずれか1つに記載の方法。
実施形態P2 55.疾患は、癌である、実施形態実施形態54に記載の方法。
実施形態P2 56.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、またはSrcである、実施形態55に記載の方法。
実施形態P2 57.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的は、リン酸化Srcである、実施形態55に記載の方法。
実施形態P2 58.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、エクスポーチン7に特異的に結合する抗体である、実施形態52に記載の方法。
実施形態P2 59.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、STAT3の別のエピトープに特異的に結合する抗体である、実施形態52に記載の方法。
実施形態1.ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートであって、ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲート。
実施形態2.ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質に共有結合で結合する、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態3.ホスホロチオエート核酸は、細胞非透過性タンパク質に非共有結合で結合する、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態4.複数のホスホロチオエート核酸が細胞非透過性タンパク質に結合する、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態5.複数のホスホロチオエート核酸のそれぞれが、タンパク質に共有結合で結合する、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態6.複数のホスホロチオエート核酸のそれぞれが、タンパク質に非共有結合で結合する、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態7.タンパク質は、共有結合及び非共有結合で結合したホスホロチオエート核酸を含む、実施形態4に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態8.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、細胞非透過性タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンに結合する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態9.各ホスホロチオエート核酸は、タンパク質のシステインに結合する、実施形態8に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態10.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のアミノ酸残基の長さである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態11.各ホスホロチオエート核酸は、独立して、10~30残基の長さである、実施形態10に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態12.細胞非透過性タンパク質は、25kDを上回る分子量を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態13.細胞非透過性タンパク質は、25~750kDの分子量を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態14.細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態15.抗体は、IgG抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態16.抗体は、IgA、IgM、IgD、またはIgE抗体である、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態17.抗体は、Fvフラグメントである、実施形態14に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態18.抗体は、ヒト化抗体である、実施形態14~17のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態19.細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態20.細胞内標的は、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される疾患の標的である、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態21.細胞内標的は、シグナル伝達分子または転写因子である、実施形態19または20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態22.シグナル伝達分子は、ホスファターゼまたはキナーゼである、実施形態21に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態23.細胞内標的は、癌標的である、実施形態20に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態24.細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、及びSrcからなる群から選択される、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態25.細胞内標的は、リン酸化Srcである、実施形態19に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態26.細胞非透過性タンパク質は、タンパク質に結合した標識、小分子、または機能性核酸をさらに含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態27.細胞内標的に結合した、実施形態1~26にいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態28.未結合の細胞非透過性タンパク質を未結合のホスホロチオエート核酸と接触させ、未結合のホスホロチオエート核酸が未結合の細胞非透過性タンパク質のアミノ酸に共有結合で結合するのを可能にし、それによって結合させて、細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製される、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態29.ホスホロチオエート核酸は、共有結合反応性部分を含む、実施形態28に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態30.共有結合反応性部分は、タンパク質のリジン、アルギニン、システイン、またはヒスチジンと反応する、実施形態29に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態31.共有結合反応性部分は、システインと反応する、実施形態29に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態32.共有結合反応性部分は、ビニルスルホンである、実施形態28~31のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態33.未結合の細胞非透過性タンパク質を未結合のホスホロチオエート核酸と接触させ、未結合のホスホロチオエート核酸が未結合の細胞非透過性タンパク質に結合するのを可能にし、それによって結合させて、細胞透過性コンジュゲートを形成することによって作製され、未結合のホスホロチオエート核酸が、式-S-S-(CH2)z-OHを有する置換基を含み、式中、zは、1~10の整数である、実施形態1に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態34.接触は、還元条件下で行われる、実施形態28~33のいずれか1項に記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態35.未結合のホスホロチオエート核酸は、未結合の細胞非透過性タンパク質がモル過剰である状態で存在する、実施形態28~33のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲート。
実施形態36.実施形態1~35のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートを含む、細胞。
実施形態37.実施形態1~35のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと、薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
実施形態38.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態37に記載の薬学的組成物。
実施形態39.第2の細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合する、実施形態38に記載の薬学的組成物。
実施形態40.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態39に記載の薬学的組成物。
実施形態41.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態39に記載の薬学的組成物。
実施形態42.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態38~41のいずれか1つに記載の薬学的組成物。
実施形態43.実施形態1~35のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートまたは実施形態37に記載の薬学的組成物と、使用のための説明書と、を含む、キット。
実施形態44.1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質をさらに含む、実施形態43に記載のキット。
実施形態45.実施形態1~27のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態44に記載のキット。
実施形態46.実施形態37に記載の薬学的組成物及び第2の細胞非透過性タンパク質は、別個の容器内にある、実施形態44に記載のキット。
実施形態47.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~25のいずれか1つに記載の細胞非透過性タンパク質と比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態44~46のいずれか1つに記載のキット。
実施形態48.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態44~46のいずれか1つに記載のキット。
実施形態49.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞非透過性タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として製剤化される、実施形態44~48のいずれか1つに記載のキット。
実施形態50.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態43~49のいずれか1つに記載のキット。
実施形態51.細胞非透過性タンパク質を細胞内に送達する方法であって、細胞を、実施形態1~35のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートと接触させることを含む、方法。
実施形態52.細胞非透過性タンパク質は、細胞質内の核タンパク質に結合し、それによって細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体を形成する、実施形態51に記載の方法。
実施形態53.細胞非透過性タンパク質-核タンパク質複合体は、細胞の核に進入することができない、実施形態52に記載の方法。
実施形態54.対象における疾患を治療する方法であって、対象に、実施形態1~35のいずれか1つに記載の細胞透過性コンジュゲートの有効量を投与することを含み、コンジュゲートの投与により、対象における疾患を治療する、方法。
実施形態55.対象に、1つ以上のホスホロチオエート核酸に結合した第2の細胞非透過性タンパク質を投与することをさらに含む、実施形態54に記載の方法。
実施形態56.第2の細胞非透過性タンパク質は、実施形態19~26のいずれか1つに記載のコンジュゲートと比較して、細胞内標的上の異なるエピトープに結合する、実施形態55に記載の方法。
実施形態57.第2の細胞非透過性タンパク質は、第2の細胞内標的に結合する、実施形態55に記載の方法。
実施形態58.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は、同時に投与される、実施形態55~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態59.実施形態1~26のいずれか1つに記載のコンジュゲート及び第2の細胞非透過性タンパク質は順次投与される、実施形態55~57のいずれか1つに記載の方法。
実施形態60.第2の細胞非透過性タンパク質は、抗体である、実施形態55~59のいずれか1つに記載の方法。
実施形態61.第2の治療剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態54~60のいずれか1つに記載の方法。
実施形態62.疾患は、自己免疫疾患、発達障害、炎症性疾患、代謝障害、心血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患、神経障害、及び癌からなる群から選択される、実施形態54~61のいずれか1つに記載の方法。
実施形態63.疾患は、癌である、実施形態実施形態62に記載の方法。
実施形態64.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的は、STAT3、エクスポーチン7、Her2、またはSrcである、実施形態63に記載の方法。
実施形態65.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、細胞内標的に結合し、この細胞内標的は、リン酸化Srcである、実施形態63に記載の方法。
実施形態66.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、エクスポーチン7に特異的に結合する抗体である、実施形態60に記載の方法。
実施形態67.コンジュゲートの細胞非透過性タンパク質は、STAT3に特異的に結合する抗体であり、第2の細胞非透過性タンパク質は、STAT3の別のエピトープに特異的に結合する抗体である、実施形態60に記載の方法。
ホスホロチオエート核酸に結合した細胞非透過性タンパク質を含む細胞透過性コンジュゲートであって、前記ホスホロチオエート核酸は、前記細胞非透過性タンパク質の細胞内送達を強化する、細胞透過性コンジュゲート。