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特開2022-91934二次材料注入による、カスタマイズされたエラストマ製イヤモールド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091934
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】二次材料注入による、カスタマイズされたエラストマ製イヤモールド
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20220614BHJP
   H04R 25/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
H04R25/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】45
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022060117
(22)【出願日】2022-03-31
(62)【分割の表示】P 2018555890の分割
【原出願日】2017-04-26
(31)【優先権主張番号】62/327,723
(32)【優先日】2016-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/496,773
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル エル シュレイナー
(72)【発明者】
【氏名】グスタフォ エー. モラレス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】能動的音声処理ユニット(補聴器、イヤホン)および受動的装置(イヤプラグ、水泳用プラグ)の両方で使用される、カスタマイズされたエラストマ製イヤモールドを作製するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】第1材料及び第2材料を収容するための内部空洞を有し、第1材料を受け入れる第1ポートと、第2材料を受け入れる第2ポートと、第1材料内に第2材料を送り込むための第1流路とを有する成形型を作製する方法であって、耳の形状を表わすデータを有する電子ファイルを決定することと、スプルー特徴部を有する成形型の電子的モデルを生成するために電子ファイルを処理することと、成形型の電子的モデルに基づいて、成形型を作製することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚機器の部品を形成する装置であって、前記部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、前記ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有し、
前記装置は前記第1材料と前記第2材料とを収容する内部空洞を有する成形型を有し、
前記成形型は前記第1材料を受け入れる第1ポートを有し、
前記成形型はさらに前記第2材料を受け入れる第2ポートと、前記第2材料を前記第1材料内に導く第1流路とを有する、装置。
【請求項2】
前記成形型は使い捨て成形型を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、前記第1材料の第1供給源を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1材料は、シリコーンまたはウレタンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
さらに、前記第2材料の第2供給源を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記成形型はさらに、前記第2材料を前記第1材料内に導くための第2流路を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2材料は、シリコーンゲル、シリコーンフォーム材、ウレタンゲル、またはウレタンフォーム材を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記成形型内に前記第1材料が送り込まれた後に、前記第1材料の一部と置き換わる液体または空気の供給源をさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記成形型は、カスタマイズされた成形型を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングを有するイヤピースを含み、
前記ハウジングは第1材料から形成される壁を有し、
前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有する、聴覚機器の部品。
【請求項11】
前記ハウジングは、流路を有し、前記壁は前記流路を囲む、請求項10に記載の部品。
【請求項12】
前記イヤピースは、カスタマイズされたシェルを有する、請求項10または11に記載の部品。
【請求項13】
前記第2材料は前記聴覚機器に関連した低音効果を向上するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の部品。
【請求項14】
前記第2材料は外音を減衰することで、音響密閉性を実現するように構成される、請求項10から13のいずれか一項に記載の部品。
【請求項15】
前記第2材料は、前記聴覚機器に関連したオクルージョン効果を低減するように構成される、請求項10から14のいずれか一項に記載の部品。
【請求項16】
前記第1材料は、第1シリコーンを含む、請求項10から15のいずれか一項に記載の部品。
【請求項17】
前記第2材料は、前記第1シリコーンとは異なる、第2シリコーンを含む、請求項16に記載の部品。
【請求項18】
前記第1シリコーンは第1硬度を有し、前記第2シリコーンは前記第1硬度とは異なる第2硬度を有する、請求項17に記載の部品。
【請求項19】
前記第2シリコーンは、シリコーンゲルを含む、請求項17または18に記載の部品。
【請求項20】
前記第2シリコーンは、シリコーンフォーム材を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の部品。
【請求項21】
前記第1材料は、第1ウレタンを含む、請求項10から20のいずれか一項に記載の部品。
【請求項22】
前記第2材料は、前記第1ウレタンとは異なる第2ウレタンを含む、請求項21に記載の部品。
【請求項23】
前記第1ウレタンは第1硬度を有し、前記第2ウレタンは前記第1硬度とは異なる第2硬度を有する、請求項22に記載の部品。
【請求項24】
前記第2ウレタンは、ウレタンゲルを含む、請求項22または23に記載の部品。
【請求項25】
前記第2ウレタンは、ウレタンフォーム材を含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の部品。
【請求項26】
前記第2材料は、液体を含む、請求項10から25のいずれか一項に記載の部品。
【請求項27】
前記第2材料は、フォーム材を含む、請求項10から26のいずれか一項に記載の部品。
【請求項28】
前記第2材料は、空気を含む、請求項10から27のいずれか一項に記載の部品。
【請求項29】
成形型を作製する方法であって、前記成形型は第1材料および第2材料を収容するための内部空洞を有し、前記成形型は前記第1材料を受け入れる第1ポートと、前記第2材料を受け入れる第2ポートと、前記第1材料内に前記第2材料を送り込むための第1流路とを有し、前記方法は、
耳の形状を表わすデータを有する電子ファイルを決定することと、
スプルー特徴部を有する前記成形型の電子的モデルを生成するために、前記電子ファイルを処理することと、
前記成形型の前記電子的モデルに基づいて、前記成形型を作製することと、を含む方法。
【請求項30】
前記電子的モデルは、CADモデルを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記データは耳甲介、外耳道外側部、外耳道内側部の形状を表わす、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記成形型は3Dプリンタを使用して作製される、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記スプルー特徴部は、前記第1材料を送り込むための第1スプルーを表わす第1スプルー特徴部を含む、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記スプルー特徴部は、前記第2材料を送り込むための第2スプルーを表わす第2スプルー特徴部を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項29に記載の前記成形型を使用して聴覚機器の部品を作製する方法であって、
前記成形型に第1材料を注入し、
前記第1材料に前記第2材料が囲まれるように前記第2材料を前記成形型に注入することとを含み、
前記第1材料と前記第2材料とが前記部品の部位を形成する、方法。
【請求項36】
前記成形型を破壊して、前記部品を取り出すことを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
さらに、前記第1材料の内部を除去して前記第1材料内に空洞を作ることを含み、
前記第2材料が前記第1材料内の前記空洞内に注入される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記除去することは、前記第1材料内に液体または空気を送り込むことを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記部品はイヤピースを含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第1聴覚機器の第1部品を形成する装置であって、前記第1部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、前記ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有し、前記装置は、
前記第1材料と前記第2材料とを収容する第1内部空洞を有する成形型であって、前記第1材料を受け入れる第1ポートを有する成形型と、
前記第1材料内に前記第2材料が存在するよう、前記第2材料を第1内部空洞内に送り込むための、前記第2材料の第1供給源とを備える、装置。
【請求項41】
前記第2材料の前記第1供給源は、第1シリンジを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記装置は、さらに、第2聴覚機器の第2部品を形成するものであって、第2内部空洞と、前記第2材料を前記第2内部空洞内に送り込むための、前記第2材料の第2供給源とを備える、請求項40または41に記載の装置。
【請求項43】
前記第1供給源は第1シリンジを含み、前記第2供給源は第2シリンジを含む、請求項42に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願データ)
本出願は、2016年4月26日に出願された係属中の米国特許仮出願第62/327,723号と、2017年4月25日に出願された係属中の米国特許出願第15/496,773号の優先権を主張する。
【0002】
米国特許出願第15/496,773号は、米国特許仮出願第62/327,723号の優先権を主張する。
【0003】
本開示は、聴覚機器部品を作製するシステムおよび方法に関し、特にイヤモールドを作製するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
様々な技術により、カスタマイズされたイヤモールドや、補聴器シェルを設計、作製できる。例えば、デジタルデータ処理や、3D印刷(ラピッドプロトタイピング)により、カスタマイズされたイヤモールドを作製することが行われている。これら技術は、製造手法を妥当且つ機械的なものとしたままで、カスタマイズされた製品に高度な特徴を追加可能とするものである。
【0005】
多くの音声再生装置(補聴器やイヤホン)および聴覚保護装置(イヤプラグやミュージシャン用プラグ)は、(1)装置性能、音声品質にとって重要な、良好な音響密閉性を実現すること、(2)耳内に心地よく装着できることが求められる。エラストマやフォーム材等の多様の材料を、多様な形状、大きさ、プロセスにより使用した、非常に多くの製造概念により、これは実現可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、あらゆる複合装置の例において、エラストマ部分およびフォーム材部分は、別々の部材として追加される。即ち、二次的作業でフォーム片がエラストマに加えられたり、膨張可能な容器に詰め込まれたりされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、能動的音声処理ユニット(補聴器、イヤホン)および受動的装置(イヤプラグ、水泳用プラグ)の両方で使用される、カスタマイズされたエラストマ製イヤモールドを作製する新規のプロセスが説明される。このプロセスにより、シリコーンまたはウレタンのような、柔軟で生体適合性の高い材料に、装着性の高い、圧縮可能なフォーム材またはその他柔軟な材料が注入されたもので、製品が製造される。これにより、イヤモールドの特定の領域で、柔軟性と適合性が実現できる。結果として、部分的に柔軟性と装着性が高いイヤモールドが実現される。これは着け心地の良さ、音響密閉性の高さ、そして外耳道内により深くフィットすることでオクルージョン効果を抑制できるという点で、従来技術を凌駕するものである。
【0008】
材料と、2つの設計概念を組み合わせることで以下の少なくとも1つの効果が実現される。(1)外耳部分のカスタマイズにより、より耳内から抜けにくい製品が得られる。(2)外耳道の動きに合わせて動くような装着性の向上、着け心地の向上、柔軟性の向上、良好な音響密閉性、外耳道内の閉塞感を低減するようなより深い密閉性を実現した製品が得られる。このような向上は、より柔軟で、より圧縮性が高い一方で、固形エラストマ材よりも高い弾力性(例えば、より変形しやすい、可撓性に優れる等)を誇るため、完全にカスタマイズされたモールドよりも、外耳道の運動に対して対応度がより高いフォーム材注入範囲によるものである。フォーム材の軽いばね力により、不快感を与えずに、音響密閉性の向上を実現できるため、次の効果も考えられる。(3)シリコーン/シリコーンフォームの組み合わせにより、装着者の頭部や顎の動きによって損なわれない、適合的密閉が実現できるので、完全カスタマイズ製品よりも、より深い部分でさらに向上した音響密閉性を実現した、着け心地のよい製品が得られる。
【0009】
いくつかの実施形態では、製品は、補聴器製品の製造において一般的な、デジタルプロセスで作製してもよい。その場合、当該プロセスにより、シリコーンまたはウレタンエラストマを成型するための使い捨て成形型を作製し、一次エラストマを注入することに加えて、一次エラストマ内に完全に収容された二次内部材料を加えるように、追加的なプロセスが実行される。このプロセスは、成形型の外壁の内面に、一次材料が貼り付くような、表面張力を有利に利用したものである。したがって、外部からベースとなるエラストマを除去することなく、二次材料で内部を満たすことが可能となる。
【0010】
本明細書記載の実施形態により、(1)補聴器、(2)ヒアリングプロテクタ、(3)カスタマイズされたイヤホンを含むがこれらに限定されない、あらゆるイヤプロダクトの性能向上を実現できる。
【0011】
本明細書に記載の実施形態では、カスタマイズされた耳用モールドが使用される。いくつかの実施形態では、当該カスタマイズされたモールドは、外耳および外耳道入り口のみがカスタマイズ部位となる。別の実施形態では、カスタマイズされたモールドは(1つまたは複数の)非カスタマイズ部位を有し、さらに/あるいは外耳および外耳道入口に限定されない。例えば、別の実施形態では、カスタマイズされたモールドは、外耳道の外部および/または内部等の、ユーザの耳の他部にまで延在してもよい。モールドは、3D印刷プロセスによる使い捨て射出成形型内に、エラストマ材料を注入することで作製される。モールドの任意の部分を、二次材料の注入により補強してもよい。この際、一次エラストマ材料の表面張力特性により、一次材料は射出成型型表面に張り付いているので、成形型内部の元材料のみが二次材料に置き換えられる。
【0012】
人間に接触し、装着性や、着け心地の良さが求められる物品のあらゆる用途において、フォーム材は、剛性または中実材料よりも有利である。フォーム材は、家具から、靴、ヘルメットまで、幅広い製品で、着け心地の向上を目的に一般的に使用されている。フォーム材は数十年前からイヤプラグに使用されているが、主に事前に成型された状態で使用される。フォーム材は、着け心地の向上のため、そしてより音響密閉性を高めて性能向上を図るため、イヤモールドにも利用されている。
【0013】
しかしながら、フォーム材は、カスタマイズイヤモールドの用途ではいくつか制限が課せられる。これは、以下の各種要素に関する問題によるものである。すなわち、製造に関する問題(作業時間が短い、選択できる材料が限定されている)、ユーザが挿入して使用することに関する問題(フォーム材が柔らかすぎて挿入できない)、清潔性に関する問題(フォーム材を使用すると、異物がフォームセルに閉じ込められてしまう)、強度に関する問題(フォーム材の場合、引裂強度により、モールドがきつく嵌りすぎた際、または過度に乱暴に扱われた場合に、耳からの取り出しやすさが制限される)。このような制限により、多くのカスタマイズされた柔軟イヤモールドでは、フォーム材よりも剛性エラストマ(シリコーン、PVC、ウレタン)が使用されている。
【0014】
シリコーンとフォーム材、またはウレタンとフォーム材のような組み合わせにより、それぞれの特性を活かすようにする試みもなされている。例えば、いくつかの組立プロセスを経ることで、モールドに対して、フォーム材を別体として追加することができる。カスタマイズされない、イヤチップでの用途の場合、フォーム材をそのまま使用してもよいし、別の既に成型された物品と組み合わせて、より複雑な装置を実現してもよい。
【0015】
本明細書に記載の実施形態は、3D印刷による成型技術を利用して、カスタマイズ用途用に、フォーム材とシリコーンとを組み合わせる、改善した方法を提供する。3D成形型は、多様な材料用の使捨て成形型に使用できる。少なくとも1つの実施形態は、使い捨て成形型の基本概念を利用すると同時に、成形型に注入された一次材料と、同じ成形型に注入された二次材料による、複合モールドを作製するように、材料の二次注入という概念も利用する。この処理はさらに、表面張力という化学的特性を利用して、最終的な装置の「外」皮または層として一次材料を残しながら、二次材料を装置内部に限定する。これにより、外層が一次材料の利点を維持しながら、内部では二次材料の利点を享受できる。
【0016】
材料の組み合わせは、化学的適合性が担保され、3D印刷で射出成形可能であれば、特に限定されない。非限定的な例として、いくつか組み合わせを挙げる。
【0017】
一次材料:シリコーン;二次材料:シリコーンフォーム材
【0018】
一次材料:硬度Aのシリコーン;二次材料:異なる硬度(例えば、より低い硬度)のシリコーン
【0019】
一次材料:シリコーン;二次材料:シリコーンゲル
【0020】
一次材料:シリコーン;二次材料:別の色のシリコーン
【0021】
一次材料:ウレタン;二次材料:ウレタンフォーム材
【0022】
一次材料:硬度Aのウレタン;二次材料:異なる硬度(例えば、より低い硬度)のウレタン
【0023】
一次材料:ウレタン;二次材料:ウレタンゲル
【0024】
一次材料:ウレタン;二次材料:別の色のウレタン
【0025】
一次材料:ウレタン、またはウレタンおよびウレタンフォーム材
【0026】
一次材料:シリコーン;二次材料:空気
【0027】
一次材料:シリコーン;二次材料:適合する液体
【0028】
一次材料:シリコーン;二次材料:ウレタン
【0029】
複合成型品は、両材料の望ましい特性を組み合わせられるという利点がある。例えば、シリコーン(一次)とシリコーンフォーム材(二次)との複合によれば、フォーム材の柔軟性と装着性と共に、シリコーンの剛性、強度、化学的安定性が実現できる。したがって、フォーム材により非常に着け心地がよく、その着け心地の良さにより耳の奥まで挿入でき、フォーム材の装着性により音響密閉性が向上する一方、外層が剛性のシリコーンであることで、イヤモールドは挿入が容易で、生物学的適合性が高い表面を有し、洗浄が容易で、化学的耐性や、引裂強度の面で高い耐性を実現可能となり、性能向上が実現される。
【0030】
複合イヤモールドは以下の少なくとも1つを実現する。(1)フォーム材のより高い装着性(柔らかさ)、変形性により、きつくフィットするような完全カスタマイズされた外耳部よりも音響密閉性が高くなる。(2)同様により高い装着性および変形性により、耳型が不完全でも、装置の着け心地を向上する。(3)柔らかさ、柔軟性が向上することで、複合成型品はより深く外耳道に挿入でき、オクルージョン効果の低減という効果が実現できる。(4)顎の運動に関連したノイズのレベルや、きつくフィットする、剛性材料を使用した場合に生じる、音響密閉性の喪失と回復の連続による音漏れの低減が可能となる。
【0031】
上記成型プロセスのさらなる利点として、モールドの内部に二次材料が封入されるため、二次材料として液体やゲルが使用可能となる。これにより、材料の選択幅が広まって、音響減衰の向上が実現できる。
【0032】
カスタマイズされた射出成形および成型は、様々なプロセスにおいて利用/実行できる。当該プロセスとしては、デジタルデータプロセス、3D印刷(ラピッドプロトタイピング)等が挙げられる。
【0033】
この場合、人間の耳の形状が、耳および外耳道にシリコーンを注入すること、またはレーザまたは白光スキャナで外耳および外耳入口領域を走査することで取得できる。スキャン画像は、製品の最終形状の形成、または彫り刻みに使用され、さらにモールドのデジタル画像に統合された、モールドの予め設計された特徴を追加するために使用される。その後、最終製品のデザインのデジタルファイルが3Dラピッドプロトタイピング/製造機械に出力される。当該プロセスの場合、3Dプリンタでは射出成形型となる物体が形成され、その後当該成形型にシリコーンが充填される(Martin)。シリコーンが硬化した後、成形型の外「殻」を割り開いて除去することで、内部のシリコーン成型品が取り出される。
【0034】
いくつかの実施形態では、人の耳の画像を撮像して、成形型を設計するソフトウェアが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ソフトウェア内のオブジェクトを使用して、射出成形型およびイヤモールド設計をより複雑にしてもよい。イヤモールドの設計に追加できる特異なオブジェクトとしては、射出成形スプルーシステムが挙げられる。即ち、(1)二次材料の量および位置を最適化するように選択、配置された、予め設計された形状。当該位置は通常外耳領域であるが、耳の動く部分または、装着者が一方の側頭部を表面に置いた場合に当該表面に押し付けられる部分である外耳領域に存在してもよい。
【0035】
本明細書に記載の実施形態は、二次成型作業を利用する。即ち、エラストマ成型の内部に、第2材料(例えば、フォーム材)を注入する作業である。したがって、本明細書に記載のエラストマ複合システムおよび技術は、成型処理の一部として第2材料(例えば、フォーム材)が送り込まれるという特有な特徴を有する。
【0036】
場合によっては、カスタマイズされたエラストマ製モールドを、使い捨て3D印刷成形型により成型してもよい。本明細書に記載の実施形態はこのプロセスを利用するものであるが、さらに特別な外形状を形成するだけではなく、装着性が高いフォーム材により、特殊な内部を形成するという更なる特徴を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、プロセスは、エラストマ成型プロセスにより得られる表面張力を利用するものである。3D印刷による使い捨て射出成形型にエラストマが注入されると、元材料または一次材料の表面張力により、エラストマが成形型の表面に張り付く。流動的という特徴を有する任意の二次材料(別のエラストマ、空気、水、その他液体、ペースト、またはフォーム材)が成形型に注入されても、成形型の内面から元材料を取り除くことはできず、成形型の内部から元の一次材料を取り除くことのみが可能となる。即ち、元のエラストマは成形型の内面に沿って残存し、最終装置の外「皮」または「層」を形成し、二次材料が装置の内部を形成することになる。
【0038】
残存する一次材料、注入された二次材料の位置や量のいずれも制御可能とするために、様々なプロセスが利用可能である。
【0039】
一つのプロセス制御は、一次材料の硬化および二次材料の注入のタイミングを対象とする。一次材料の硬化が時間に依存するのであれば、一次材料による外層の厚さは、時間により制御できる。これは、2成分触媒硬化方式の場合、一次材料の硬化は時間に基づくためである。熱依存性の一次材料の場合は、熱曝露によって同様の制御が実現される。
【0040】
別のプロセス制御として、射出成形プロセスにおいて特殊なスプルーとベントを利用することが挙げられる。射出プロセスがスプルーとベントの配置と形状により制御され、各材料の射出の際の位置および量が決定される。
【0041】
いくつかの実施形態では、二次材料を一次材料内に配置する前に、一次材料の内部を空洞化してもよい。その場合、別のプロセス制御は、二次材料の注入前に、一次材料を空洞化することであってもよい。一次材料の内部空洞内に二次材料を注入する前に、一次材料が一時的に置き換えられた部分を形成する圧縮空気または水等の液体を利用して、一次材料の除去を実行してもよい。
【0042】
聴覚機器の部品を形成する装置であって、部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、ハウジングは第1材料から作製された壁を有し、ハウジングの壁は、第1材料で囲まれた第2材料を有し、装置は第1材料と第2材料とを収容する内部空洞を有する成形型を有し、成形型は第1材料を受け入れる第1ポートを有し、成形型はさらに第2材料を受け入れる第2ポートと、第2材料を第1材料内に導く第1流路とを有する。
【0043】
任意で、成形型は使い捨て成形型を含む。
【0044】
任意で、装置はさらに第1材料の第1供給源を有する。
【0045】
任意で、第1材料は、シリコーンまたはウレタンを含む。
【0046】
任意で、装置はさらに、第2材料の第2供給源を有する。
【0047】
任意で、成形型はさらに、第2材料を第1材料に導くための第2流路を有する。
【0048】
任意で、第2材料は、シリコーンゲル、シリコーンフォーム材、ウレタンゲル、またはウレタンフォーム材を含む。
【0049】
任意で、装置は成形型内に第1材料が送り込まれた後に、第1材料の一部と置き換わる液体または空気の供給源をさらに有する。
【0050】
任意で、成形型は、カスタマイズされた型を含む。
【0051】
聴覚機器の部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、ハウジングは第1材料から形成される壁を有し、ハウジングの壁は第1材料で囲まれた第2材料を有する。
【0052】
任意で、ハウジングは、流路を有し、壁は流路を囲む。
【0053】
任意で、イヤピースは、カスタマイズされたシェルを有する。
【0054】
任意で、第2材料は聴覚機器に関連した低音効果を向上するように構成される。
【0055】
任意で、第2材料は外音を減衰することで、音響密閉性を実現するように構成される。
【0056】
任意で、第2材料は、聴覚機器に関連したオクルージョン効果を低減するように構成される。
【0057】
任意で、第1材料は、第1シリコーンを含む。
【0058】
任意で、第2材料は、第1シリコーンとは異なる、第2シリコーンを含む。
【0059】
任意で、第1シリコーンは第1硬度を有し、第2シリコーンは第1硬度とは異なる第2硬度を有する。
【0060】
任意で、第2シリコーンは、シリコーンゲルを含む。
【0061】
任意で、第2シリコーンは、シリコーンフォーム材を含む。
【0062】
任意で、第1材料は、第1ウレタンを含む。
【0063】
任意で、第2材料は、第1ウレタンとは異なる第2ウレタンを含む。
【0064】
任意で、第1ウレタンは第1硬度を有し、第2ウレタンは第1硬度とは異なる第2硬度を有する。
【0065】
任意で、第2ウレタンは、ウレタンゲルを含む。
【0066】
任意で、第2ウレタンは、ウレタンフォーム材を含む。
【0067】
任意で、第2材料は、液体を含む。
【0068】
任意で、第2材料は、フォーム材を含む。
【0069】
任意で、第2材料は、空気を含む。
【0070】
成形型を作製する方法であって、成形型は第1材料および第2材料を収容するための内部空洞を有し、成形型は第1材料を受け入れる第1ポートと、第2材料を受け入れる第2ポートと、第1材料内に第2材料を送り込むための第1流路とを有する。方法は、耳の形状を表わすデータを有する電子ファイルを決定することと、スプルー特徴部を有する型の電子的モデルを生成するために電子ファイルを処理することと、成形型の電子的モデルに基づいて、成形型を作製することとを含む。
【0071】
任意で、電子的モデルは、CADモデルを含む。
【0072】
任意で、データは耳甲介、外耳道外側部、外耳道内側部の形状を表わす。
【0073】
任意で、成形型は3Dプリンタを使用して作製される。
【0074】
任意で、スプルー特徴部は、第1材料を送り込むための第1スプルーを表わす第1スプルー特徴部を含む。
【0075】
任意で、スプルー特徴部は、第2材料を送り込むための第2スプルーを表わす第2スプルー特徴部を含む。
【0076】
成形型を使用して聴覚機器の部品を作製する方法であって、方法は成形型に第1材料を注入し、第1材料に第2材料が囲まれるように第2材料を成形型に注入すること、とを含み、第1材料と第2材料とが部品の部位を形成する。
【0077】
任意で、方法はさらに、成形型を破壊して、部品を取り出すことを含む。
【0078】
任意で、方法はさらに、第1材料の内部を除去して、第1材料内に空洞を作ることを含み、第2材料が第1材料の空洞内に注入される。
【0079】
任意で、除去することは、第1材料内に液体または空気を送り込むことを含む。
【0080】
任意で、部品はイヤピースを含む。
【0081】
第1聴覚機器の第1部品を形成する装置であって、第1部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、ハウジングは第1材料から作製された壁を有し、ハウジングの壁は、第1材料で囲まれた第2材料を有し、装置は第1材料と第2材料とを収容する第1内部空洞を有する型を有し、成形型は第1材料を受け入れる第1ポートと、第1材料内に第2材料が存在するよう、第2材料を第1内部空洞内に送り込むための、第2材料の第1供給源とを有する。
【0082】
任意で、第2材料の第1供給源は、第1シリンジを含む。
【0083】
任意で、装置はさらに第2聴覚機器の第2部品を形成するものであって、装置は第2内部空洞と、第2材料を第2内部空洞内に送り込むための、第2供給源とを有する。
【0084】
任意で、第1供給源は第1シリンジを含み、第2供給源は第2シリンジを含む。
【0085】
別のおよびさらなる態様および特徴が、以下の詳細の説明を読むことで明らかになろう。
【0086】
図は、実施形態の設計および効果を示すもので、同様の要素は、共通の参照番号が振られている。効果や目的がどのように生じるかを理解しやすくなるよう、添付の図を参照に、実施形態をより具体的に説明する。これら図は、あくまで例示的な実施形態を示すもので、本発明の請求の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1図1は、聴覚機器の部品を作製する方法を示す。
【0088】
図2図2は、聴覚機器の部品を作製する別の方法を示す。この方法は、二次材料を追加する前に、一次材料を除去する媒体を使用することを含む。
【0089】
図3図3は、デジタル3Dスキャンで撮像された耳型を示す。これが、聴覚機器の部品を形成するための最初の画像となる。この図では、外耳道/内耳の前方視(右)と、後方視(左)を示す。
【0090】
図4図4は、成形型内に、一次材料および二次材料を注入するためのスプルーを示す。
【0091】
図5図5は、使い捨て成形型を様々な方向から見たもので、柔らかいものと固いもの、または色が異なるような、異なる2つの材料から、複合イヤモールドを作製可能とする2つの注入ポートを示す。
【0092】
図6図6は、イヤモールドを作製するために使用される、図5の5A-5Cの射出成形型の断面図であって、特に使い捨て射出成形型内に材料を送り込むためにどのようにスプルーが使用されるかを示す。
【0093】
図7図7は、使い捨て射出成形型からイヤモールドを取り出す、「離型」工程における、使い捨て射出成形型内の内部に存在するイヤモールドを示す。
【0094】
図8図8は、シリコーンまたはシリコーンエラストマのいずれかである一次材料から作製された装置(例えば、聴覚機器の部品)を示し、一次材料の内部には、一次材料とは硬度または特徴が異なるフォーム材、ゲル、またはエラストマ等の二次材料が注入されている。
【0095】
図9図9は、図8の8A-8Bに示す装置の内部を示す図(左)と、一次および二次材料の場所を示す、前方視の断面図である。一次材料は、射出成形型内壁と接していた部分では残っているが、特定部において二次材料に置き換えられている。
【0096】
図10図10の10A-10Bは、図8の8A-8Bに示す装置を外耳道の端から見た図(左)と、一次および二次材料の場所を示す、外耳道視図の断面図である。一次材料は、射出成形型内壁と接していた部分では残っているが、特定部において二次材料に置き換えられている。
【0097】
図11図11は、図8の8A-8Bの装置を外耳道の端から見た図(左)、一次および二次材料の場所を示す、外耳道視図の断面図である。
【0098】
図12図12は、別の使い捨て射出成形型と、当該使い捨て射出成形型の一部断面図を示す。
【0099】
図13図13は、一次材料で満たされた状態の、図12の12A-12Bの射出成形型を示す。
【0100】
図14図14は、一次材料で満たされた状態の、図12の12A-12Bの射出成形型を示し、一次材料の内部領域が空気または水で置き換えられて、一次材料内に空洞領域が形成されている。
【0101】
図15図15は、空洞化して、射出成形型の側に薄壁を形成している一次材料で満たされた、図12の12A-12Bに示す射出成形型を示す。空洞化した内部は、二次材料で満たされることで、装着性の高い内部が形成される。
【0102】
図16図16は、1つまたは複数の聴覚機器の1つまたは複数の部品を形成するための別の装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図面を参照しながら、各種実施形態を以下で説明する。図面の全体を通して、同様の構造または機能の要素は同じ参照符号によって示されている。また、図面は実施形態の説明を容易にすることを意図するものに過ぎないことに留意すべきである。図面は、特許請求の範囲に記載された発明の包括的な説明としても、または特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に対する制限としても意図されていない。加えて、図示した実施形態は、示されるすべての態様または利点を有する必要はない。特定の実施形態とともに記載される態様または利点は必ずしも、その実施形態に限定されず、示されていなかったり、または明示的に説明されていなくても、任意の他の実施形態で実施可能である。
【0104】
図1は、聴覚機器の部品を作製する方法100を示す。図示の例では、部品は聴覚機器のイヤピースである。ただし、別の実施形態では、部品は聴覚機器のその他任意の部品であってもよい。非限定的な例として、聴覚機器は補聴器(耳あな型補聴器、完全外耳道挿入補聴器、耳かけ型補聴器等)、イヤホン、イヤプラグ、イヤドーム、試験プローブ用イヤピース、イヤプロテクション等であってもよい。
【0105】
図示のように、最初に、耳のデジタルスキャンがとられる(工程102)。デジタルスキャンをとるのに、様々な技術が利用できる。例えば、光学的スキャンプローブにより、耳をスキャンできる。別の例として、超音波型スキャンプローブにより、耳をスキャンできる。別の実施形態では、当技術分野で公知の手持ちスキャナを使用できる。さらに、耳型(例えば、耳のあなや形状を直接材料で成型したもの)を得て、耳型をスキャンして、耳のデジタルスキャンをとってもよい。デジタルスキャンは、耳の特徴を表わすデータを有するデジタルファイルとして実現できる。耳の特徴としては、人の外耳道の内部空洞や、外耳領域が挙げられる。さらに、いくつかの実施形態では、デジタルファイル内のデータは、耳甲介、外耳道外側部、外耳道内側部の形状を表わすものであってもよい。別の実施形態では、耳をスキャンすることなく、デジタルファイルを作製するその他技術が利用されてもよい。
【0106】
次に、コンピュータを使った設計システム(CAD)ソフトウェアまたはツールを使用して、デジタルファイルをもとに耳のモデルを作製する(工程104)。例えば、デジタルファイルをCAD形式に変換して、CADモデルを取得してもよい。CADツールを使用して、耳のモデルを修正してもよい。例えば、モデルにおける所定の好ましくない特徴の削除や、モデルの特定の部位の形状および/または寸法の調整等を行ってもよい。CADソフトウェアまたはツールは、製品設計に使用されるあらゆる設計ツールであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、設計ツールはeSculptingであってもよい。一形態では、耳の特徴を表わすデジタルファイルを、デジタルスキャン画像から耳型を作製するように特別に構成されたソフトウェア(例えばeSculpting)に読み込んでもよい。
【0107】
次に、耳のCADモデルにスプルー特徴部を追加することで、修正された耳のモデルを得る(工程106)。いくつかの実施形態では、スプルー特徴部は、作製される射出成形型に第1材料を送り込むための第1スプルーを表わす第1スプルー特徴部と、作製される射出成形型に第2材料を送り込むための第2スプルーを表わす第2スプルー特徴部とを含む。別の実施形態では、スプルー特徴部は3つ以上のスプルー特徴部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1スプルーは第1材料を収容する空洞と、第1材料を作製される射出成形型の空洞内に送り込む流路または管を含んでもよい。同様に、第2スプルーは第2材料を収容する空洞と、第2材料を作製される射出成形型の空洞内に送り込む流路または管を含んでもよい。いくつかの実施形態では、工程106は不要である。
【0108】
次に、設計ツールを使用して、作製される射出成形型のモデルを得てもよい(工程108)。この射出成形型モデルは、射出成形型のデジタル表現であってもよい。いくつかの実施形態では、設計ツールは耳モデルまたは修正された耳モデルを使用して、射出成形型モデルを作製するように構成されてもよい。これは、耳モデルまたは作製が望まれる装置(即ち、聴覚機器の部品)のモデルからオフセットを生成することで実現されてもよい。これにより、作製が望まれる部品の形状を内側に有した、中空射出成形型のモデルが得られる。図示の実施形態では、作製された射出成形型のモデルは、第1(一次)材料および第2(二次)材料の両方に対するスプルーの、予め設計された特徴を含む。いくつかの実施形態では、スプルー特徴部が工程106で組み込まれる。別の実施形態では、スプルー特徴部は、工程108において、射出成形型モデル作製の際に、射出成形型モデルに組み込まれてもよい。そのような場合には、工程106が不要となる。さらなる実施形態において、スプルー特徴部の(1つまたは複数の)部位が工程106で組み込まれ、工程108においてその他の(1つまたは複数の)部位が組み込まれてもよい。
【0109】
一形態において、eSculptingを使用して、耳モデルの形状を修正して、射出成形型モデルの形状を作製してもよい。射出成形型モデルは、第1材料用のスプルーと、第2材料用のスプルーとを作製するためのオブジェクトを含む。
【0110】
次に、射出成形型モデルに基づいて射出成形型が作製される(工程110)。図示の例では、射出成形型は使い捨て射出成形型である。そのような場合、射出成形型を使用して聴覚機器の部品を作製した後、射出成形型を破壊して、作製した部品を取り出す。別の実施形態では、射出成形型は使い捨て射出成形型でなくてもよい。例えば、射出成形型は上記特徴に代えて、互いに着脱可能な複数の部品から構成されるものであってもよい。そのような場合、聴覚機器の部品を作製した後、モールド部品は互いから着脱されて、その後また組み立てることで、射出成形型を繰り返し作製できる。いくつかの実施形態では、工程108は射出成形型を表わす電子ファイルを受信して、受信した電子ファイルに基づいて射出成形型を作製する3Dプリンタを使用して実行されてもよい。3D印刷処理は、様々な材料を利用して、今日販売されている多様な3Dプリンタを使用して実行されてもよい。いくつかの実施形態では、射出成形型材料は、聴覚機器の部品を作製するのに使用する材料(例えば第1材料)に対して、化学的に適合するものであってもよい。
【0111】
射出成形型作製後、射出成形型を使用して聴覚機器の部品を作製してもよい。図示のように、第1材料(一次材料)が最初に射出成形型内に入れられる(例えば、注入される)(工程112)。一次材料は、エラストマまたは作製される部品に適したその他任意の種類の材料であってもよい。非限定的な例として、第1材料はシリコーン、ウレタン等であってもよい。図示の実施形態では、射出成形型が第1材料を送り込むように構成される第1スプルーを有するので、第1スプルーは射出成形型の内部空洞に第1材料を送り込むように使用されてもよい。第1材料は、射出成形型の内面全体または略全体が、第1材料で覆われるまで、注入されてもよい。
【0112】
次に、第2材料(二次材料)が射出成形型内に入れられる(例えば、注入される)(工程114)。第2材料は、液体、ゲル、またはその他種類の材料であってもよい。非限定的な例として、第2材料はシリコーンゲル、シリコーンフォーム材、ウレタンゲル、ウレタンフォーム等であってもよい。いくつかの実施形態では、第2材料は第1材料の特徴とは異なる特徴(例えば、硬度、色等)を有する。図示の実施形態では、射出成形型は、第2材料を送り込むように構成された第2スプルーを有するため、第2スプルーにより、射出成形型内に第2材料を送り込んでもよい。
【0113】
図示の実施形態では、第2材料が射出成形型内に送り込まれる際に、表面張力効果により、第1材料が射出成形型の外壁の内面に張り付いている。これにより、射出成形型空洞の壁に沿って、射出成形型空洞の外側または外方部から第1材料を除去することなく、射出成形型の内部を二次材料で満たすことができる。したがって、一次材料が部品の「外」皮または層を形成し、二次材料を部品内部に限定することができる。これにより、作製された部品は、外層が第1材料の利点や特徴を有し、内部が第2材料の利点や特徴を有したものとなる。
【0114】
図示の実施形態では、第2材料が、第2材料用の(1つまたは複数の)スプルーを使用して、射出成形型内に注入される。これは、第2材料を射出成形型の性能最適化のために選択された特定の位置に配置し、射出成形型の特定領域へ材料がバランスよく流れることに寄与する。場合によっては、射出成形型内に第2材料を送り込むため、複数のスプルーが、射出成形型の異なる部位に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、第2材料を1つまたは複数のスプルーを介して注入するタイミング、および/または注入圧力を選択して、注入結果を調整してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第1材料の硬化反応が時間または温度に依存する場合、第1および第2注入の間の時間間隔、および/またはプロセスの温度が、第1材料により形成される部品の部位の厚さに影響する。
【0115】
その後、第1および第2材料を硬化して、部品が形成される。聴覚機器の部品が第1および第2材料を使用して形成された後、聴覚機器の部品が射出成形型から取り出される(工程116)。図示の例では、射出成形型は使い捨て射出成形型であって、工程116は射出成形型を破壊して、射出成形型から聴覚機器の部品を取り出すことを含む。別の実施形態では、射出成形型は、互いに着脱可能なモールド部品から構成されてもよい。そのような場合、モールド部品同士が互いに分離されて、聴覚機器の部品が取り出される。
【0116】
次に、聴覚機器の部品に対して1つまたは複数の追加プロセスを実行してもよい(工程118)。例えば、部品に付着した、好ましくない余分な材料を、切削、研削等により、部品から除去してもよい。さらに、部品を処理して、当該部品として望ましい表面を有するようにしてもよい。別の実施形態では、工程118は不要で、聴覚機器の部品は工程116の実行をもって完成としてもよい。
【0117】
上述の技術で作製した聴覚機器の部品(例えばこの例ではイヤモールド)は、部品の外方部に第1材料が配置され、第2材料が第1材料内に包まれている。いくつかの実施形態では、第1材料はイヤモールドの壁を形成し、第2材料は壁内に配置され、第1材料に囲まれてもよい(例えば、第1材料は壁の互いに対向する2つの表面/層を形成し、第2材料が第1材料の2つの層間に挟まれるようにしてもよい)。このような場合、壁は流路を囲み、即ち流路が壁で画定されてもよい。別の実施形態では、第1材料はイヤモールドの壁を形成して、第2材料は、第1材料で囲まれたイヤモールドの空洞内に配置されてもよい。
【0118】
なお、本明細書において、「囲まれる」およびそれに類する用語は、ある物品が別の物品に完全に収容されることや、別の物品に実質的に収容されることを表わす。例えば、第2材料が第1材料で「囲まれる」と表現されている場合、第2材料は、第1材料に完全に収容されてもよいし、第1材料に実質的に収容されてもよい(例えば、第2材料の表面積の80%、85%、90%、95%、または99%以上が第1材料で覆われてもよい)。
【0119】
図2は、聴覚機器の部品を作製する、別の方法100を示す。図2の方法100は、図1と同じだが、図2の方法100はさらに、工程112後に実行される工程113を含む。工程113では、第1材料の内部を除去して、第1材料内に空洞を作る。ここで、第2材料はその後に第1材料内の空洞に注入可能である(工程114による)。いくつかの実施形態では、第1材料の内部を除去することは、第1材料内に液体または空気を送り込むことを含んでもよい。一形態において、第1材料の内部の除去は、第1材料を置き換える媒体を利用して実現されてもよい。媒体は、第1材料の内部を空洞化する、圧縮空気または加圧液体であってもよい。その後、第2材料は(1つまたは複数の)スプルーを介して射出成形型内に注入され、空洞化した内部を満たす。図2の方法100では、第1材料をより多く除去することで、より多くの第2材料を最終装置の内部に入れることができる。時間、および/または注入圧により、注入結果を調整してもよい。
【0120】
上述の実施形態では、スプルーは、成形型と共に形成され、成形型に取り付けられるように記載されている。別の実施形態では、スプルーは、成形型とは別に形成され、成形型と一体形成されなくてもよい。
【0121】
図3は、デジタル3Dスキャンで撮像された耳型(1)を示す。これが、聴覚機器の部品(例えば、イヤホン装置)を形成するための最初の画像となる。この図では、外耳道/内耳の前方視(右)と、後方視(左)を示す。
【0122】
図4は、射出成形型(4)内に、一次材料および二次材料を注入するためのスプルー(2および3)を示す。
【0123】
図5は、射出成形型(4)を様々な方向から見たもので、柔らかいものと固いもの、または色が異なるような、異なる2つの材料から、複合イヤモールドを作製可能とする2つの注入ポート(2、3)を示す。
【0124】
図6は、イヤモールド(5)を作製するために使用される、図5の5A-5Cの射出成形型(4)の断面図であって、特に射出成形型(4)内に材料を送り込むためにどのようにスプルー(2、3)が使用されるかを示す。
【0125】
図7は、射出成形型(4)からイヤモールドを取り出す、「離型」工程における、射出成形型(4)内の内部に存在するイヤモールド(5)を示す。
【0126】
図8は、シリコーンまたはシリコーンエラストマのいずれかである一次材料から作製されたイヤモールド(5)を示し、一次材料の内部には、一次材料とは硬度または特徴が異なるフォーム材(6)、ゲル、またはエラストマ等の二次材料が注入されている。
【0127】
図9は、イヤモールド(5)の内部を示す図(左)と、一次および二次材料(7)の場所を示す、前方視の断面図である。一次材料(6)は、射出成形型内壁と接していた部分では残っているが、特定部において二次材料(7)で置き換えられている。
【0128】
図10は、イヤモールド(5)を外耳道の端から見た図(図10の10A)と、一次(6)および二次材料(7)の場所を示す、外耳道視図の断面図である。一次材料(6)は、射出成形型内壁と接していた部分では残っているが、特定部において二次材料(7)で置き換えられている。
【0129】
図11は、イヤモールド(5)を外耳道の端から見た図(左)であって、一次(6)および二次材料(7)の場所を示す、外耳道視図の断面図である。
【0130】
図12は、別の射出成形型(4)と、射出成形型(4)の一部断面図を示す。
【0131】
図13は、一次材料(6)で満たされた状態の、図12の12A-12Bの射出成形型(4)を示す。
【0132】
図14は、一次材料(6)で満たされており、一次材料(6)の内部領域が空気または水で置き換えられて、一次材料(6)内に空洞領域(8)が形成された状態の、図12の12A-12Bの射出成形型(4)を示している。
【0133】
図15は、空洞化して、射出成形型(4)の側に薄壁を形成している一次材料(6)で満たされた射出成形型(4)を示す。空洞化した内部は、二次材料(7)で満たされることで、装着性の高い内部が形成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、第2材料は、聴覚機器に関連した低音効果を向上するように構成されてもよい(例えば、選択される、さらに/あるいは配置が設計される)。また、いくつかの実施形態では、第2材料は外音を減衰することで、音響密閉性を実現してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、第2材料は聴覚機器に関連するオクルージョン効果を低減するように構成されてもよい。
【0135】
上述の、イヤモールド(5)を作製する技術は有利である。特定用途向けソフトウェアと3D印刷の機能を利用することで、得られたイヤモールド(5)は、特性、性能、外観の向上を図るように、多様な材料を組み合わせた高度な複合構造となる。また、イヤモールド(5)の内部特性も、内部空間の決まった構造に縛られることもなく、イヤモールド(5)は、外形がカスタマイズされており、さらに内部の特徴もカスタマイズされた構成となる。
【0136】
図16は、1つまたは複数の聴覚機器の1つまたは複数の部品を形成する、別の装置300を示す。
【0137】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の聴覚機器は、第1聴覚機器を含む。1つまたは複数の部品は、ハウジングを有するイヤピースを含む第1部品を含む。ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、ハウジングの壁は、第1材料で囲まれた第2材料を有する。図示の実施形態では、装置300は前記第1材料と前記第2材料とを収容する第1内部空洞304aを有する成形型302を有する。装置300はさらに、第2材料が第1材料内に存在するように、第1内部空洞304a内に第2材料を送り込むための、第2材料用第1供給源310aを有する。
【0138】
図示の実施形態では、装置300はさらに、第2聴覚機器の第2部品を形成するものである。装置300は、第2内部空洞304bと、第2内部空洞内に第2材料を送り込むための、第2材料用第2供給源310bとを有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、第2材料の第1供給源310aは、第1シリンジを含む。本明細書において、「シリンジ」という用語は、流体を収容する容器を有するあらゆる流体搬送装置を示す。
【0140】
また、いくつかの実施形態では、第1供給源310aは第1シリンジを含み、第2供給源310bは第2シリンジを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、空洞304は各聴覚機器用の各部品を形成するために設けられる。各空洞304は、第1材料により第2材料が囲まれるように、第1材料と、第2材料とを受け入れるものである。場合によっては、成形型302は、第1材料を各空洞304に送り込むことを可能とする、複数の第1ポートを有する。さらに、第1ポートは第2材料を各空洞304に送り込むことを可能としてもよい。あるいは、成形型302は、第2材料を各空洞304に送り込むことを可能とする、複数の第2ポートを有してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、装置300は各空洞304内に同時に第2材料を注入するための、複数のシリンジを有してもよい。場合によっては、シリンジは、各空洞304の位置に対応する相対位置に配置されてもよい。シリンジは、共通位置決め装置に搭載されてもよい。当該装置は、同時に全てのシリンジを動かすことで、シリンジの注入端が、各内部空洞304と流体連通する、成形型302の各ポートに移動する。
【0142】
なお、上述の技術は、聴覚機器のカスタマイズされた部品の作製に限定されない。別の実施形態では、上述の技術は、聴覚機器の標準的な部品または、カスタマイズされた特徴と、カスタマイズされていない特徴の両方を有する部品を作製するものであってもよい。例えば、別の実施形態では、イヤモールド(5)の外形は標準的なもので、内部特徴がカスタマイズされたものであってもよい。
【0143】
また、上述の技術は、図示の例以外にも多様な聴覚機器の部品を作製するために使用されてもよい。非限定的な例として、本明細書に記載の技術は、聴覚機器は補聴器(耳あな型補聴器、完全外耳道挿入補聴器、耳かけ型補聴器等)、イヤホン、イヤプラグ、イヤドーム、試験プローブ用イヤピース、イヤプロテクション等を作製するものであってもよい。
【0144】
特定の特徴を示し、記載してきたが、これらの特徴は、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図していないことが理解され、特許請求の範囲に記載された発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更及び改変が行われてもよいことが当業者に明らかになるだろう。したがって、明細書及び図面は、限定するという観点ではなく、実例であると考えるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替例、改変及び均等物を包含することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚機器の部品を形成する装置であって、前記部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、前記ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有し、
前記装置は前記第1材料と前記第2材料とを収容する内部空洞を有する成形型を有し、
前記成形型は前記第1材料を受け入れる第1ポートを有し、
前記成形型はさらに前記第2材料を受け入れる第2ポートと、前記第2材料を前記第1材料内に導く第1流路とを有する、装置。
【請求項2】
前記成形型は使い捨て成形型を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
さらに、前記第1材料の第1供給源を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1材料は、シリコーンまたはウレタンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
さらに、前記第2材料の第2供給源を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記成形型はさらに、前記第2材料を前記第1材料内に導くための第2流路を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2材料は、シリコーンゲル、シリコーンフォーム材、ウレタンゲル、またはウレタンフォーム材を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記成形型内に前記第1材料が送り込まれた後に、前記第1材料の一部と置き換わる液体または空気の供給源をさらに有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記成形型は、カスタマイズされた成形型を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングを有するイヤピースを含み、
前記ハウジングは第1材料から形成される壁を有し、
前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有する、聴覚機器の部品。
【請求項11】
前記ハウジングは、流路を有し、前記壁は前記流路を囲む、請求項10に記載の部品。
【請求項12】
前記イヤピースは、カスタマイズされたシェルを有する、請求項10または11に記載の部品。
【請求項13】
前記第2材料は前記聴覚機器に関連した低音効果を向上するように構成される、請求項10から12のいずれか一項に記載の部品。
【請求項14】
前記第2材料は外音を減衰することで、音響密閉性を実現するように構成される、請求項10から13のいずれか一項に記載の部品。
【請求項15】
前記第2材料は、前記聴覚機器に関連したオクルージョン効果を低減するように構成される、請求項10から14のいずれか一項に記載の部品。
【請求項16】
前記第1材料は、第1シリコーンを含む、請求項10から15のいずれか一項に記載の部品。
【請求項17】
前記第2材料は、前記第1シリコーンとは異なる、第2シリコーンを含む、請求項16に記載の部品。
【請求項18】
前記第1シリコーンは第1硬度を有し、前記第2シリコーンは前記第1硬度とは異なる第2硬度を有する、請求項17に記載の部品。
【請求項19】
前記第2シリコーンは、シリコーンゲルを含む、請求項17または18に記載の部品。
【請求項20】
前記第2シリコーンは、シリコーンフォーム材を含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の部品。
【請求項21】
前記第1材料は、第1ウレタンを含む、請求項10から20のいずれか一項に記載の部品。
【請求項22】
前記第2材料は、前記第1ウレタンとは異なる第2ウレタンを含む、請求項21に記載の部品。
【請求項23】
前記第1ウレタンは第1硬度を有し、前記第2ウレタンは前記第1硬度とは異なる第2硬度を有する、請求項22に記載の部品。
【請求項24】
前記第2ウレタンは、ウレタンゲルを含む、請求項22または23に記載の部品。
【請求項25】
前記第2ウレタンは、ウレタンフォーム材を含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の部品。
【請求項26】
前記第2材料は、液体を含む、請求項10から25のいずれか一項に記載の部品。
【請求項27】
前記第2材料は、フォーム材を含む、請求項10から26のいずれか一項に記載の部品。
【請求項28】
前記第2材料は、空気を含む、請求項10から27のいずれか一項に記載の部品。
【請求項29】
聴覚機器の部品を作製するための成形型を作製する方法であって、
前記部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、前記ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有し、
前記成形型は前記第1材料および前記第2材料を収容するための内部空洞を有し、前記成形型は前記第1材料を受け入れる第1ポートと、前記第2材料を受け入れる第2ポートと、前記第1材料内に前記第2材料を送り込むための第1流路とを有し、
前記方法は、
耳の形状を表わすデータを有する電子ファイルを決定することと、
スプルー特徴部を有する前記成形型の電子的モデルを生成するために、前記電子ファイルを処理することと、
前記成形型の前記電子的モデルに基づいて、前記成形型を作製することと、を含む
方法。
【請求項30】
前記電子的モデルは、CADモデルを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記データは耳甲介、外耳道外側部、外耳道内側部の形状を表わす、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記成形型は3Dプリンタを使用して作製される、請求項29から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記スプルー特徴部は、前記第1材料を送り込むための第1スプルーを表わす第1スプルー特徴部を含む、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記スプルー特徴部は、前記第2材料を送り込むための第2スプルーを表わす第2スプルー特徴部を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項29から請求項34のいずれか一項に記載の方法を含み、または、
請求項29から34のいずれか一項に記載の前記方法に従って作製された前記成形型を使用して、聴覚機器の部品を作製する方法であって、
前記成形型に前記第1材料を注入し、
前記第1材料に前記第2材料が囲まれるように前記第2材料を前記成形型に注入することとを含み、
前記第1材料と前記第2材料とが前記部品の部位を形成する、方法。
【請求項36】
前記成形型を破壊して、前記部品を取り出すことを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
さらに、前記第1材料の内部を除去して前記第1材料内に空洞を作ることを含み、
前記第2材料が前記第1材料内の前記空洞内に注入される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記除去することは、前記第1材料内に液体または空気を送り込むことを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記部品はイヤピースを含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
第1聴覚機器の第1部品を形成する装置であって、前記第1部品は、ハウジングを有するイヤピースを含み、前記ハウジングは第1材料から形成された壁を有し、前記ハウジングの前記壁は、前記第1材料で囲まれた第2材料を有し、前記装置は、
前記第1材料と前記第2材料とを収容する第1内部空洞を有する成形型であって、前記第1材料を受け入れる第1ポートを有する成形型と、
前記第1材料内に前記第2材料が存在するよう、前記第2材料を第1内部空洞内に送り込むための、前記第2材料の第1供給源とを備える、装置。
【請求項41】
前記第2材料の前記第1供給源は、第1シリンジを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記装置は、さらに、第2聴覚機器の第2部品を形成するものであって、第2内部空洞と、前記第2材料を前記第2内部空洞内に送り込むための、前記第2材料の第2供給源とを備える、請求項40または41に記載の装置。
【請求項43】
前記第1供給源は第1シリンジを含み、前記第2供給源は第2シリンジを含む、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
請求項10から28のいずれか一項に記載された部品を作製する方法であって、
前記方法は、前記第1材料の内部を置き換えることを含み、
前記第1材料の前記内部を置き換えることは、
前記第2材料の注入によって、または、
前記第2材料の注入の前に前記第1材料の前記内部を置き換える媒体を使用することによって実現される、
方法。
【請求項45】
前記媒体は、圧縮空気または加圧液体である、請求項44に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正の内容】
図7
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正の内容】
図12
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正の内容】
図13
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正の内容】
図14
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【外国語明細書】