(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091977
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G01N27/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063736
(22)【出願日】2022-04-07
(62)【分割の表示】P 2021034364の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2017075344
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「超高感度有害低分子センシングシステムの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】中尾 厚夫
(72)【発明者】
【氏名】中谷 将也
(72)【発明者】
【氏名】都甲 潔
(72)【発明者】
【氏名】矢田部 塁
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシンスキー,バルトシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ガス濃度が低いときにも、確実にガスを検出することの出来るガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスセンサ100は、基板10と、基板の上に配置された第1の導電体20及び第2の導電体25と、絶縁層40と、吸着材層30と、を備える。絶縁層40は、第1の導電体20及び第2の導電体25を被覆するとともに、第1の導電体20の表面の一部を露出させる第1の開口部45と、第2の導電体25の表面の一部を露出させる第2の開口部46とを有する。吸着材層30は、導電材料とガスを吸着することができる有機吸着材とを含み、第1の開口部45及び第2の開口部46を通じて、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれに接触している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に配置された第1の導電体及び第2の導電体と、
導電材料と、ガスを吸着することができる有機吸着材とを含み、前記第1の導電体及び前記第2の導電体のそれぞれに接触している吸着材層と、
前記基板の表面を取り囲んでいる第1壁部と、
を備えた、ガスセンサ。
【請求項2】
前記第1壁部の材料が疎水性を有する、請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記第1壁部は、前記吸着材層よりも上方に延びている、請求項1又は2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記基板の表面の一部から上方に延びている第2壁部をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記第2壁部の材料が疎水性を有する、請求項4に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第2壁部は、前記吸着材層よりも上方に延びている、請求項4又は5に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記第2壁部の形状が円柱状又は円筒状である、請求項4~6のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記第1壁部は、平面視でリングの形状を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記第1壁部は、前記基板の外周縁から前記基板の表面の重心に向かって突出している突出部を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項10】
前記突出部は、前記第1の導電体及び前記第2の導電体のそれぞれを部分的に被覆している、請求項9に記載のガスセンサ。
【請求項11】
前記吸着材層が平面視で円又はリングの形状を有し、
前記第1の導電体が平面視で円弧又はリングの形状を有し、
前記第2の導電体が平面視で円弧又はリングの形状を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項12】
前記第2の導電体が前記第1の導電体を囲んでいる、請求項11に記載のガスセンサ。
【請求項13】
前記基板は、Si基板、金属板又はガラス板である、請求項1~12のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項14】
前記有機吸着材は、ポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、シリコーン類、グリセロール類、ニトリル類、ジカルボン酸モノエステル類及び脂肪族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項15】
前記導電材料は、カーボンブラックを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のガスセンサ。
【請求項16】
前記吸着材層の重量に対する前記カーボンブラックの重量の比率は、0.25~0.95の範囲にある、請求項15に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを検出するための装置として、ガスセンサが知られている。ガスセンサは、簡便にガスを検出することを可能にする。
【0003】
図11に示すように、特許文献1には、ガスを検出するための物質検知センサ300が記載されている。物質検知センサ300は、導電性層330、第1電極320及び第2電極325を備えている。導電性層330は、第1電極320及び第2電極325のそれぞれを被覆している。
【0004】
物質検知センサ300を使用することによって、次のようにガスを検出することができる。ガスが導電性層330に接触すると、導電性層330が膨潤する。これにより、導電性層330の電気抵抗値が変化する。導電性層330の電気抵抗値の変化を測定することによって、ガスを検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された物質検知センサ300によれば、ガスの濃度が低いときに、ガスを十分に検出できないことがある。
【0007】
本開示は、より確実に、ガスを検出するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本開示は、
基板と、
前記基板の上に配置された第1の導電体及び第2の導電体と、
前記第1の導電体及び前記第2の導電体を被覆するとともに、前記第1の導電体の表面の一部を露出させる第1の開口部と、前記第2の導電体の表面の一部を露出させる第2の開口部とを有する絶縁層と、
導電材料と、ガスを吸着することができる有機吸着材とを含み、前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通じて、前記第1の導電体及び前記第2の導電体のそれぞれに接触している吸着材層と、
を備えた、ガスセンサを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のガスセンサによれば、より確実に、ガスを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1にかかるガスセンサの平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すガスセンサのII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すガスセンサにおいて、複数の第1の開口部の位置及び複数の第2の開口部の位置を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態にかかるガスセンサ集合体の平面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態1の変形例にかかるガスセンサの平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すガスセンサのVI-VI線に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2にかかるガスセンサの平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態3にかかるガスセンサの平面図である。
【
図9】
図9は、サンプル1~5のそれぞれの吸着材層の電気抵抗の変化率を示すグラフである。
【
図10】
図10は、サンプル2、6及び7のそれぞれの吸着材層の電気抵抗の変化率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の第1態様にかかるガスセンサは、
基板と、
前記基板の上に配置された第1の導電体及び第2の導電体と、
前記第1の導電体及び前記第2の導電体を被覆するとともに、前記第1の導電体の表面の一部を露出させる第1の開口部と、前記第2の導電体の表面の一部を露出させる第2の開口部とを有する絶縁層と、
導電材料と、ガスを吸着することができる有機吸着材とを含み、前記第1の開口部及び前記第2の開口部を通じて、前記第1の導電体及び前記第2の導電体のそれぞれに接触している吸着材層と、
を備えたものである。
【0012】
第1態様によれば、有機吸着材がガスを吸着したとき、吸着材層の体積が変化する。詳細には、吸着材層が膨張又は収縮する。吸着材層の体積が変化することによって、吸着材層における導電材料同士の位置関係が変化する。これにより、吸着材層における電流の経路が変化する。ガスセンサにおいて、絶縁層に被覆されている第1の導電体の表面から吸着材層には電流が流れない。絶縁層に被覆されている第2の導電体の表面から吸着材層には電流が流れない。すなわち、吸着材層における電流の経路の数が少ない。そのため、導電材料同士の位置関係が変化することによる電流の経路の変化が大きい。電流の経路の変化が大きいと、吸着材層の電気抵抗が大きく変化する。吸着材層の電気抵抗が大きく変化するため、より確実に、ガスを検出することができる。
【0013】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかるガスセンサでは、前記絶縁層は、複数の前記第1の開口部及び複数の前記第2の開口部を有する。第2態様によれば、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。これにより、安定してガスを検出することができる。
【0014】
本開示の第3態様において、例えば、第2態様にかかるガスセンサでは、複数の前記第1の開口部が円弧状に並んでおり、複数の前記第2の開口部が円弧状に並んでいる。第3態様によれば、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。これにより、安定してガスを検出することができる。
【0015】
本開示の第4態様において、例えば、第3態様にかかるガスセンサでは、前記吸着材層は、平面視で円又はリングの形状を有し、前記吸着材層を平面視したとき、複数の前記第1の開口部は、前記吸着材層の外周縁によって規定された仮想円と同心の関係にある仮想円の上に位置し、複数の前記第2の開口部は、前記吸着材層の前記外周縁によって規定された前記仮想円と同心の関係にある仮想円の上に位置する。第4態様によれば、吸着材層がガスを吸着したとき、吸着材層は、吸着材層の外周縁によって規定された仮想円の半径方向に膨張又は収縮する。複数の第1の開口部は、吸着材層の外周縁によって規定された仮想円と同心の関係にある仮想円の上に位置する。さらに、複数の第2の開口部は、吸着材層の外周縁によって規定された仮想円と同心の関係にある仮想円の上に位置する。そのため、吸着材層が膨張又は収縮したときに、電流の経路の変化のばらつきが抑制される。これにより、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。したがって、安定してガスを検出することができる。
【0016】
本開示の第5態様において、例えば、第4態様にかかるガスセンサでは、複数の前記第1の開口部から選ばれる1つの前記第1の開口部と、複数の前記第2の開口部から選ばれる1つの前記第2の開口部とは、前記吸着材層の前記外周縁によって規定された前記仮想円の中心から放射状に延びている複数の仮想直線から選ばれる1つの前記仮想直線の上に位置する。第5態様によれば、より安定してガスを検出することができる。
【0017】
本開示の第6態様において、例えば、第2態様にかかるガスセンサでは、複数の前記第1の開口部が直線状に並んでおり、複数の前記第2の開口部が直線状に並んでいる。第6態様によれば、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。これにより、安定してガスを検出することができる。
【0018】
本開示の第7態様において、例えば、第6態様にかかるガスセンサでは、前記吸着材層は、平面視で矩形の形状を有し、前記吸着材層を平面視したとき、複数の前記第1の開口部は、前記吸着材層の外周縁を構成する複数の輪郭線から選ばれる少なくとも1つの前記輪郭線が延びる方向に沿って並んでおり、複数の前記第2の開口部は、複数の前記第1の開口部が並んでいる方向に沿って並んでいる。第7態様によれば、吸着材層がガスを吸着したとき、吸着材層は、吸着材層の外周縁を構成する複数の輪郭線のそれぞれが延びる方向に膨張又は収縮する。複数の第1の開口部は、吸着材層の外周縁を構成する複数の輪郭線から選ばれる少なくとも1つの輪郭線が延びる方向に沿って並んでいる。さらに、複数の第2の開口部は、複数の第1の開口部が並んでいる方向に沿って並んでいる。そのため、吸着材層が膨張又は収縮したときに、電流の経路の変化のばらつきが抑制される。これにより、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。したがって、安定してガスを検出することができる。
【0019】
本開示の第8態様において、例えば、第1~第7態様のいずれか1つにかかるガスセンサでは、前記第1の開口部の全部が平面視で前記第1の導電体に重なっており、前記第2の開口部の全部が平面視で前記第2の導電体に重なっている。第8態様によれば、電流の経路の変化に伴う吸着材層の電気抵抗の変化を安定して検出できる。これにより、安定してガスを検出することができる。
【0020】
本開示の第9態様において、例えば、第1~第8態様のいずれか1つにかかるガスセンサでは、前記有機吸着材は、ポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、シリコーン類、グリセロール類、ニトリル類、ジカルボン酸モノエステル類及び脂肪族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。第9態様によれば、有機吸着材は、ガスを容易に吸着できる。
【0021】
本開示の第10態様において、例えば、第1~第9態様のいずれか1つにかかるガスセンサでは、前記導電材料は、カーボンブラックを含む。第10態様によれば、有機吸着材の体積が変化したとき、吸着材層の電気抵抗がより大きく変化する。そのため、より確実に、ガスを検出することができる。
【0022】
本開示の第11態様において、例えば、第10態様にかかるガスセンサでは、前記吸着材層の重量に対する前記カーボンブラックの重量の比率は、0.25~0.95の範囲にある。第11態様によれば、第1の導電体又は第2の導電体から吸着材層に電流が容易に流れる。そのため、吸着材層の電気抵抗を容易に測定できる。
【0023】
本開示の第12態様において、例えば、第1~第11態様のいずれか1つにかかるガスセンサでは、平面視での前記第1の開口部及び前記第2の開口部の面積は、それぞれ、0.2~2000μm2の範囲にある。第12態様によれば、吸着材層における電流の経路の数が十分に少ないため、電流の経路の変化によって、吸着材層の電気抵抗がより大きく変化する。そのため、より確実に、ガスを検出することができる。さらに、第1の導電体又は第2の導電体から吸着材層に電流が容易に流れる。そのため、吸着材層の電気抵抗を容易に測定できる。
【0024】
本開示の第13態様において、例えば、第1~第12態様のいずれか1つにかかるガスセンサでは、前記第1の開口部及び前記第2の開口部のそれぞれが平面視で円の形状を有し、前記第1の開口部及び前記第2の開口部の直径は、それぞれ、0.5~50μmの範囲にある。第13態様によれば、吸着材層における電流の経路の数が十分に少ないため、電流の経路の変化によって、吸着材層の電気抵抗がより大きく変化する。そのため、より確実に、ガスを検出することができる。さらに、第1の導電体又は第2の導電体から吸着材層に電流が容易に流れる。そのため、吸着材層の電気抵抗を容易に測定できる。
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
【0026】
(実施形態1)
図1及び
図2に示すように、本実施形態1にかかるガスセンサ100は、基板10、第1の導電体20、第2の導電体25、絶縁層40及び吸着材層30を備えている。基板10は、例えば、板状である。基板10は、例えば、平面視で矩形又は円の形状を有する。本実施形態では、基板10は、平面視で円の形状を有する。第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれは、電極として機能する。
【0027】
第1の導電体20は、基板10の上に配置されている。第1の導電体20の下面は、基板10の上面に接している。第1の導電体20の形状は、特に限定されない。第1の導電体20は、例えば、平面視で円弧又はリングの形状を有する。本実施形態において、第1の導電体20は、平面視で円弧の形状を有するとともに、帯状の形状を有している。第1の導電体20の外周面によって規定された仮想円の中心は、基板10の表面の重心(基板10の上面の中心)に一致してもよく、一致しなくてもよい。基板10の表面の半径に対する基板10の表面の重心から第1の導電体20までの距離の比率は、0.1~0.8の範囲にあってもよい。
【0028】
第1の導電体20は、ガスセンサ100の外側に露出している露出部20aを含む。
図1では、露出部20aは、基板10の外周面を越えて基板10の外側に延びている。ただし、第1の導電体20は、基板10の外周面を越えて基板10の外側に延びている部分を有していなくてもよい。例えば、基板10に開口部が設けられ、その開口部を通じて第1の導電体20の下面の一部がガスセンサ100の外側に露出していてもよい。このとき、第1の導電体20の下面の一部が露出部20aに相当する。
【0029】
第2の導電体25は、基板10の上に配置されている。第2の導電体25の下面は、基板10の上面に接している。第2の導電体25の形状は、特に限定されない。第2の導電体25は、例えば、第1の導電体20を囲んでいる。すなわち、第2の導電体25は、基板10の表面の半径方向において、第1の導電体20よりも外側に位置していてもよい。第2の導電体25は、第1の導電体20と接していない。第2の導電体25は、例えば、平面視で円弧又はリングの形状を有する。本実施形態において、第2の導電体25は、平面視で円弧の形状を有するとともに、帯状の形状を有している。第2の導電体25の外周面によって規定された仮想円の中心は、基板10の表面の重心に一致してもよく、一致しなくてもよい。第2の導電体25の外周面によって規定された仮想円の中心は、第1の導電体20の外周面によって規定された仮想円の中心に一致してもよく、一致しなくてもよい。本実施形態では、第1の導電体20及び第2の導電体25が同心円状に配置されている。基板10の表面の半径に対する基板10の表面の重心から第2の導電体25までの距離の比率は、0.2~0.9の範囲にあってもよい。
【0030】
第2の導電体25は、ガスセンサ100の外側に露出している露出部25aを含む。
図1では、露出部25aは、基板10の外周面を越えて基板10の外側に延びている。ただし、第2の導電体25は、基板10の外周面を越えて基板10の外側に延びている部分を有していなくてもよい。例えば、基板10に開口部が設けられることによって、第2の導電体25の下面の一部が、ガスセンサ100の外側に露出していてもよい。このとき、第2の導電体25の下面の一部が、露出部25aに相当する。
【0031】
絶縁層40は、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを被覆している。絶縁層40は、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれと接触している。絶縁層40は、基板10の上面全体を被覆していてもよい。絶縁層40は、基板10の上面を部分的に被覆していてもよい。
【0032】
絶縁層40は、第1の開口部45及び第2の開口部46を有する。第1の開口部45は、第1の導電体20の表面の一部を露出させている。第1の開口部45は、第1の導電体20の上面に重なっている。例えば、第1の開口部45の全部が平面視で第1の導電体20に重なっている。第1の開口部45は、絶縁層40を厚さ方向に貫通している。第1の開口部45を除き、絶縁層40は、第1の導電体20の上面全体及び側面全体を被覆している。
【0033】
絶縁層40は、複数の第1の開口部45を有していてもよい。複数の第1の開口部45の数は、特に限定されない。複数の第1の開口部45の数は、1~20の範囲にあってもよく、2~8の範囲にあってもよく、2~4の範囲にあってもよく、2~3の範囲にあってもよい。本実施形態では、絶縁層40は、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dを有する。複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、円弧状に並んでいる。言い換えると、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1の導電体20の長手方向に沿って並んでいる。詳細には、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1の導電体20の周方向に沿って並んでいる。本実施形態では、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1の導電体20の周方向に沿って等間隔で並んでいる。
【0034】
第2の開口部46は、第2の導電体25の表面の一部を露出させている。第2の開口部46は、第2の導電体25の上面に重なっている。例えば、第2の開口部46の全部が平面視で第2の導電体25に重なっている。第2の開口部46は、絶縁層40を厚さ方向に貫通している。第2の開口部46を除き、絶縁層40は、第2の導電体25の上面全体及び側面全体を被覆している。
【0035】
絶縁層40は、複数の第2の開口部46を有していてもよい。複数の第2の開口部46の数は、特に限定されない。複数の第2の開口部46の数は、1~20の範囲にあってもよく、2~8の範囲にあってもよく、2~4の範囲にあってもよく、2~3の範囲にあってもよい。複数の第2の開口部46の数は、複数の第1の開口部45の数と同じであってもよく、異なっていてもよい。本実施形態では、絶縁層40は、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dを有する。複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、円弧状に並んでいる。言い換えると、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2の導電体25の長手方向に沿って並んでいる。詳細には、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2の導電体25の周方向に沿って並んでいる。本実施形態では、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2の導電体25の周方向に沿って等間隔で並んでいる。
【0036】
第1の開口部45及び第2の開口部46のそれぞれの形状は、特に限定されない。第1の開口部45及び第2の開口部46のそれぞれは、例えば、平面視で円又は矩形の形状を有している。平面視での第1の開口部45及び第2の開口部46の面積は、それぞれ、0.2~200000μm2の範囲にあってもよく、0.2~2000μm2の範囲にあってもよく、15~25μm2の範囲にあってもよい。このとき、吸着材層30における電流の経路の数が十分に少ないため、電流の経路の変化によって、吸着材層30の電気抵抗がより大きく変化する。そのため、より確実に、ガスを検出することができる。さらに、第1の導電体20又は第2の導電体25から吸着材層30に電流が容易に流れる。そのため、吸着材層30の電気抵抗を容易に測定できる。第1の開口部45及び第2の開口部46のそれぞれが平面視で円の形状を有するとき、第1の開口部45及び第2の開口部46の直径は、それぞれ、0.5~500μmの範囲にあってもよく、0.5~50μmの範囲にあってもよく、4.37~5.64μmの範囲にあってもよい。平面視での第1の開口部45及び第2の開口部46の面積及び直径は、絶縁層40の表面を電子顕微鏡で観察することによって測定できる。
【0037】
吸着材層30は、第1の開口部45及び第2の開口部46を通じて、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれに接触している。例えば、
図1及び
図2に示すように、第1の開口部45cを通じて、吸着材層30が第1の導電体20に接触している。第2の開口部46cを通じて、吸着材層30が第2の導電体25に接触している。そのため、第1の導電体20及び第2の導電体25に電圧を印加したとき、吸着材層30に電流が流れる。これにより、吸着材層30の電気抵抗を測定できる。吸着材層30は、絶縁層40の上に配置されている。吸着材層30は、絶縁層40の上面全体及び側面全体を被覆している。吸着材層30は、絶縁層40の上面及び側面を部分的に被覆しているだけでもよい。吸着材層30は、基板10の上面全体を被覆していてもよく、基板10の上面を部分的に被覆していてもよい。吸着材層30は、基板10と接していてもよく、接していなくてもよい。
【0038】
吸着材層30の厚さは、検出されるべきガスの種類、吸着材層30の組成などに応じて定められる。吸着材層30が薄ければ薄いほど、吸着材層30の電気抵抗を安定して測定できる。吸着材層30の厚さは、0.1~10μmの範囲にあってもよい。吸着材層30の形状は、特に限定されない。吸着材層30は、例えば、平面視で円又はリングの形状を有する。本実施形態において、吸着材層30は、平面視でリングの形状を有する。平面視での吸着材層30の面積は、例えば、0.002~50mm2の範囲にある。
【0039】
図3に示すように、本実施形態では、吸着材層30を平面視したとき、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、吸着材層30の外周縁30aによって規定された仮想円C1と同心の関係にある仮想円C2の上に位置している。なお、
図3では、便宜上、第1の導電体20及び第2の導電体25が省略されている。複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、仮想円C2に沿って等角度間隔で並んでいる。
【0040】
本実施形態では、吸着材層30を平面視したとき、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、仮想円C1と同心の関係にある仮想円C3の上に位置している。仮想円C3は、仮想円C2とは異なる。複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、仮想円C3に沿って等角度間隔で並んでいる。
【0041】
本実施形態において、複数の第1の開口部45a及び45cと、複数の第2の開口部46a及び46cとは、仮想直線L1の上に位置している。複数の第1の開口部45b及び45dと、複数の第2の開口部46b及び46dとは、仮想直線L2の上に位置している。仮想直線L1及び仮想直線L2のそれぞれは、仮想円C1の中心Oから放射状に延びている。仮想直線L1は、仮想直線L2に直交している。
【0042】
図1に示すとおり、ガスセンサ100は、第1壁部11をさらに備えていてもよい。第1壁部11は、基板10の表面を取り囲んでいる。第1壁部11は、平面視でリングの形状を有している。第1壁部11は、基板10から上方(基板10の厚さ方向)に延びている。第1壁部11に囲まれた基板10の表面は、例えば、円の形状を有する。第1壁部11は、基板10の外周縁に接続されている。第1壁部11は、基板10と一体化されていてもよい。言い換えれば、第1壁部11が基板10の一部であってもよい。第1壁部11は、吸着材層30よりも上方に延びている。第1壁部11の内周面は、吸着材層30に接している。
【0043】
ガスセンサ100は、第2壁部12をさらに備えていてもよい。第2壁部12は、基板10の表面の一部から上方に延びている。第2壁部12の形状は、例えば、円柱状又は円筒状である。第2壁部12は、基板10の表面の一部に接続されている。第2壁部12は、基板10と一体化されていてもよい。言い換えれば、第2壁部12が基板10の一部であってもよい。第2壁部12は、第1の導電体20に囲まれている。第2壁部12の外周面は、基板10の表面の重心を囲んでいる。第2壁部12は、吸着材層30よりも上方に延びている。第2壁部12の外周面は、吸着材層30に接している。吸着材層30は、第1壁部11と第2壁部12との間に配置されている。
【0044】
基板10の材料は、ガスセンサ100の形状を維持できるものであれば、特に限定されない。基板10は、例えば、Si基板、金属板、ガラス板又は高分子フィルムである。
【0045】
第1の導電体20の材料及び第2の導電体25の材料は、電圧を印加できるものであれば、特に限定されない。第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれは、例えば、銀、金、銅、白金及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属を含む。第1の導電体20の材料は、第2の導電体25の材料と同じであってもよい。
【0046】
絶縁層40の材料は、絶縁性を有していれば、特に限定されない。絶縁層40の材料は、例えば、絶縁性の高分子材料、セラミックス及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。絶縁性の高分子材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド及びポリエーテルイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。セラミックスは、例えば、SiO2、Si3N4、Al2O3、Zr2O3及びMgOからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0047】
吸着材層30は、導電材料と有機吸着材とを含む。吸着材層30が導電材料を含んでいるので、吸着材層30に電流を流すことができる。吸着材層30に電流を流すことによって、吸着材層30の電気抵抗を測定できる。導電材料は、導電性を有するものであれば、特に限定されない。導電材料は、例えば、炭素材料、導電性ポリマー、金属材料、金属酸化物、半導体材料、超伝導体及び錯化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0048】
炭素材料は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、コークス、カーボンナノチューブ、グラフェン及びフラーレンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。導電性ポリマーは、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール及びポリアセチレンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。金属材料は、例えば、銀、金、銅、白金及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。金属酸化物は、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化タングステン、酸化亜鉛及び酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。半導体材料は、例えば、ケイ素、ガリウムヒ素、リン化インジウム及び硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。超伝導体は、例えば、YBa2Cu3O7及びTl2Ba2Ca2Cu3O10からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。錯化合物は、例えば、テトラメチルパラフェニレンジアミンとクロラニルとの錯化合物、テトラシアノキノジメタンとアルカリ金属との錯化合物、テトラチアフルバレンとハロゲンとの錯化合物、イリジウムとハロカルボニル化合物との錯化合物、及び、テトラシアノ白金からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0049】
導電材料は、典型的には、カーボンブラックを含む。導電材料がカーボンブラックを含むとき、吸着材層の電気抵抗がより大きく変化する。そのため、より確実に、ガスを検出することができる。
【0050】
吸着材層30は、典型的には、導電材料の粒子を含む。導電材料の粒子の平均粒径は、10~300nmの範囲にあってもよい。「平均粒径」は、次の方法で測定することができる。吸着材層30の表面又は断面を電子顕微鏡で観察し、吸着材層30に含まれる任意の数の粒子(例えば50個)の直径を測定する。得られた測定値を用いて算出された平均値により、平均粒径が定められる。電子顕微鏡で観察された粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を粒径とみなすことができる。
【0051】
吸着材層30の重量に対する導電材料の重量の比率は、0.05~0.95の範囲にあってもよく、0.25~0.95の範囲にあってもよい。吸着材層30の重量に対する導電材料の重量の比率は、0.5であってもよい。導電材料がカーボンブラックであるとき、吸着材層30の重量に対するカーボンブラックの重量の比率は、0.25~0.95の範囲にあってもよい。このとき、第1の導電体20又は第2の導電体25から吸着材層30に電流が容易に流れる。そのため、吸着材層30の電気抵抗を容易に測定できる。
【0052】
有機吸着材は、ガスを吸着することができる。有機吸着材がガスを吸着することによって、吸着材層30の体積が変化する。有機吸着材の材料は、検出されるべきガスの種類、導電材料の種類などに応じて定められる。有機吸着材の材料は、例えば、ガスクロマトグラフィーのカラムの固定相として市販されている材料を含む。有機吸着材の材料は、例えば、高分子材料及び低分子材料からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。有機吸着材は、例えば、ポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、シリコーン類、グリセロール類、ニトリル類、ジカルボン酸モノエステル類及び脂肪族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。このとき、有機吸着材は、ガスを容易に吸着できる。
【0053】
ポリアルキレングリコール類は、例えば、ポリエチレングリコールを含む。ポリエステル類は、例えば、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)及びポリ(エチレンサクシネート)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。シリコーン類は、例えば、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、トリフルオロプロピルメチルシリコーン及びシアノシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。グリセロール類は、例えば、ジグリセロールを含む。ニトリル類は、例えば、N,N-ビス(2-シアノエチル)ホルムアミド及び1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)プロパンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。ジカルボン酸モノエステル類は、例えば、ニトロテレフタル酸修飾ポリエチレングリコール及びジエチレングリコールサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。脂肪族アミン類は、例えば、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミンを含む。
【0054】
吸着材層30の重量に対する有機吸着材の重量の比率は、検出されるべきガスの種類、導電材料の種類などに応じて定められる。吸着材層30の重量に対する有機吸着材の重量の比率は、0.05~0.95の範囲にあってもよい。
【0055】
吸着材層30は、添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤は、例えば、分散剤を含む。
【0056】
第1壁部11の材料及び第2壁部12の材料のそれぞれは、特に限定されない。第1壁部11の材料及び第2壁部12の材料のそれぞれは、疎水性を有していてもよい。第1壁部11の材料及び第2壁部12の材料のそれぞれは、例えば、疎水性の高分子材料を含む。疎水性の高分子材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。第1壁部11の材料は、第2壁部12の材料と同じであってもよい。第1壁部11の材料及び第2壁部12の材料のそれぞれは、基板10の材料と同じであってもよい。
【0057】
次に、ガスセンサ100の製造方法を説明する。
【0058】
まず、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを基板10の上に配置する。基板10の上に第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを配置する方法は、特に限定されない。例えば、金属を基板10の上に堆積させることによって、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを基板10の上に配置させることができる。金属を堆積させる方法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、化学蒸着法、化学気相法などが挙げられる。
【0059】
次に、絶縁層40を作製する。絶縁層40を作製する方法は、特に限定されない。絶縁層40は、例えば、次の方法で作製できる。絶縁性の高分子材料を含む分散液を調製する。分散液は、塗布用溶媒に絶縁性の高分子材料を分散させることによって得られる。塗布用溶媒は、例えば、水及び有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0060】
第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれに分散液を所望のパターンにて塗布し、塗布膜を形成する。塗布膜の形成方法としては、印刷法が挙げられる。塗布膜を乾燥させることによって、絶縁層40の前駆体層が形成される。
【0061】
次に、絶縁層40の前駆体層に第1の開口部45及び第2の開口部46を形成する。これにより、絶縁層40を作製することができる。第1の開口部45及び第2の開口部46を形成する方法は、特に限定されない。第1の開口部45及び第2の開口部46は、例えば、絶縁層40の前駆体層に対して、イオンビームを照射することによって形成することができる。第1の開口部45及び第2の開口部46は、例えば、絶縁層40の前駆体層をエッチングすることによって形成することもできる。
【0062】
次に、吸着材層30を作製する。まず、導電材料及び有機吸着材を含む分散液を調製する。分散液は、塗布用溶媒に導電材料及び有機吸着材を分散させることによって得られる。塗布用溶媒は、例えば、水及び有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。次に、絶縁層40に分散液を塗布し、塗布膜を形成する。塗布膜を乾燥させることによって、吸着材層30が形成される。
【0063】
上記の方法で形成された吸着材層30は、通常、基板10の表面の周方向に均一な厚さを有する。本実施形態のガスセンサ100では、第1の導電体20及び第2の導電体25が平面視で円弧又はリングの形状を有する。そのため、吸着材層30は、第1の導電体20に沿って均一な厚さを有する。同様に、吸着材層30は、第2の導電体25に沿って均一な厚さを有する。このとき、吸着材層30の電気抵抗を安定して測定できる。
【0064】
ガスセンサ100が第1壁部11及び第2壁部12を備えているとき、分散液を均一に塗布できる。すなわち、吸着材層30の厚さを均一にすることができる。第1壁部11及び第2壁部12のそれぞれが疎水性を有するとき、分散液と、第1壁部11及び第2壁部12のそれぞれとの間に生じている表面張力が低い。そのため、吸着材層30の厚さをより均一にすることができる。
【0065】
次に、ガスセンサ100を用いたガスの検出方法を説明する。
【0066】
まず、第1の導電体20の露出部20aと、第2の導電体25の露出部25aとのそれぞれを検出器に接続する。検出器は、第1の導電体20及び第2の導電体25に電圧を印加することができる。第1の導電体20及び第2の導電体25に電圧を印加したとき、吸着材層30に電流が流れる。検出器は、吸着材層30に流れる電流に基づいて、吸着材層30の電気抵抗を測定できる。
【0067】
次に、ガスが含まれた雰囲気下にガスセンサ100を置く。ガスは、例えば、揮発性有機化合物を含む。揮発性有機化合物は、例えば、ケトン類、アミン類、アルコール類、芳香族炭化水素類、アルデヒド類、エステル類、有機酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ジスルフィド及びピロールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
【0068】
ガスセンサ100にガスが接触したとき、吸着材層30の有機吸着材がガスを吸着する。有機吸着材がガスを吸着したとき、吸着材層30の体積が変化する。詳細には、吸着材層30が膨張又は収縮する。吸着材層30の体積が変化することによって、吸着材層30における導電材料同士の位置関係が変化する。ガスセンサ100において、絶縁層40に被覆されている第1の導電体20の表面から吸着材層30には電流が流れない。絶縁層40に被覆されている第2の導電体25の表面から吸着材層30には電流が流れない。すなわち、吸着材層30における電流の経路の数が少ない。そのため、導電材料同士の位置関係が変化することによる電流の経路の変化が大きい。電流の経路の変化が大きいと、吸着材層30の電気抵抗が大きく変化する。吸着材層30の電気抵抗が大きく変化するため、より確実に、ガスを検出することができる。本実施形態のガスセンサ100によれば、ガスの濃度が0.1~1000ppmの範囲にあっても、ガスを検出することができる。
【0069】
本実施形態では、吸着材層30は、平面視でリングの形状を有する。そのため、吸着材層30がガスを吸着したとき、吸着材層30は、仮想円C1の半径方向に膨張又は収縮する。複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、仮想円C2の上に位置する。さらに、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、仮想円C3の上に位置する。仮想円C1,C2及びC3は、互いに同心の関係にあるため、吸着材層30が膨張又は収縮したときに、電流の経路の変化のばらつきが抑制される。特に、本実施形態では、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dと、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dとが、仮想直線L1又はL2の上に位置しているため、電流の経路の変化のばらつきがより抑制されている。これにより、電流の経路の変化に伴う吸着材層30の電気抵抗の変化を安定して検出できる。そのため、ガスセンサ100によれば、安定してガスを検出することができる。
【0070】
次に、本実施形態にかかるガスセンサ集合体を説明する。
【0071】
図4に示すように、ガスセンサ集合体200は、複数のガスセンサ100と基板210とを備える。基板210は、例えば、板状である。基板210は、例えば、平面視で矩形の形状を有する。基板210は、互いに向かい合う1対の端面を2組有する。
【0072】
基板210の上に、複数のガスセンサ100のそれぞれが配置されている。複数のガスセンサ100のそれぞれは、検出器(図示省略)に接続されている。複数のガスセンサ100から選ばれる少なくとも2つのそれぞれの吸着材層30は、互いに同じ材料によって構成されていてもよい。このとき、ガスセンサ集合体200の特定のガスに対する検出精度が向上する。複数のガスセンサ100から選ばれる少なくとも2つのそれぞれの吸着材層30は、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。複数のガスセンサ100のそれぞれの吸着材層30に含まれた有機吸着材の種類が互いに異なっていてもよい。このとき、複数のガスセンサ100は、特定のガスに対して、互いに異なる挙動を示す。例えば、特定のガスセンサ100に吸着しにくいガスは、他のガスセンサ100に吸着される。これにより、ガスセンサ集合体200は、複数のガスを含む混合ガスを検出することができる。
【0073】
ガスセンサ集合体200が備えている複数のガスセンサ100の数は、特に限定されない。複数のガスセンサ100の数は、例えば、16である。
図4では、基板210の1対の端面の一方から他方に向かう方向に、4つのガスセンサ100が並んでいる。基板210の他の1対の端面の一方から他方に向かう方向に、4つのガスセンサ100が並んでいる。
【0074】
(実施形態1の変形例)
第1壁部11に囲まれた基板10の表面は、円の形状を有していなくてもよい。
図5のガスセンサ110では、第1壁部11は、複数の突出部11aを含む。複数の突出部11aのそれぞれは、基板10の外周縁から基板10の表面の重心に向かって突出している。複数の突出部11aのそれぞれが平面視で扇の形状を有する。第1壁部11に囲まれた基板10の表面は、例えば、歯車の形状を有する。複数の突出部11aの数は、特に限定されない。複数の突出部11aの数は、例えば、6である。
図5において、複数の突出部11aのそれぞれは、第2壁部12に接していない。ただし、複数の突出部11aのそれぞれは、第2壁部12に接していてもよい。
【0075】
図6に示すように、複数の突出部11aは、それぞれ、第1の導電体20の上面及び側面を部分的に被覆している。複数の突出部11aは、それぞれ、第2の導電体25の上面及び側面を部分的に被覆している。複数の突出部11aのそれぞれは、第1の導電体20及び第2の導電体25に接している。複数の突出部11aのそれぞれによって被覆されている第1の導電体20の部分は、絶縁層40及び吸着材層30に接触していない。複数の突出部11aのそれぞれによって被覆されている第2の導電体25の部分は、絶縁層40及び吸着材層30に接触していない。ただし、複数の突出部11aのそれぞれによって被覆されている第1の導電体20の部分及び第2の導電体25の部分は、絶縁層40によって被覆されていてもよい。
【0076】
図5に示すように、基板10の表面の周方向に隣接する2つの突出部11aの間に検出部35が形成されている。ガスセンサ110は、典型的には、複数の突出部11aの数と同じ数の複数の検出部35を有する。複数の検出部35のそれぞれにおいて、絶縁層40は、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを被覆している。絶縁層40は、1つの検出部35において、1つの第1の開口部45と1つの第2の開口部46とを有する。1つの検出部35において、吸着材層30は、第1の開口部45及び第2の開口部46を通じて第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれに接触している。複数の検出部35のそれぞれにおいて、吸着材層30の電気抵抗を測定できる。
【0077】
ガスセンサ110の吸着材層30を作製するとき、複数の検出部35のそれぞれにおいて、分散液をより均一に塗布できる。すなわち、ガスセンサ110において、吸着材層30の厚さをより均一にすることができる。
【0078】
(実施形態2)
第1の導電体20は、平面視で円弧又はリングの形状を有していなくてもよい。同様に、第2の導電体25は、第1の導電体20を囲んでいなくてもよい。さらに、吸着材層30は、平面視で円又はリングの形状を有していなくてもよい。
図7のガスセンサ120では、第1の導電体20は、平面視で矩形の形状を有するとともに、帯状の形状を有している。第2の導電体25は、平面視で矩形の形状を有するとともに、帯状の形状を有している。吸着材層30は、平面視で矩形の形状を有する。本実施形態では、吸着材層30は、帯状の形状を有している。基板10は、平面視で矩形の形状を有する。ガスセンサ120は、第2壁部12を備えていない。第1の導電体20の形状、第2の導電体25の形状、吸着材層30の形状、基板10の形状及び第2壁部12の有無を除き、ガスセンサ120の構造は、実施形態1のガスセンサ100の構造と同じである。したがって、実施形態1のガスセンサ100と本実施形態のガスセンサ120とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。すなわち、以下の各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。さらに、技術的に矛盾しない限り、各実施形態は、相互に組み合わされてもよい。
【0079】
吸着材層30の外周縁30aは、複数の輪郭線30b,30c,30d及び30eによって構成されている。輪郭線30b及び30dは、互いに向かい合っている。輪郭線30c及び30eは、互いに向かい合っている。輪郭線30c及び30eのそれぞれは、第1方向Xに延びている。輪郭線30b及び30dのそれぞれは、第2方向Yに延びている。第1方向Xは、第2方向Yに直交する。
【0080】
第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれは、第2方向Yに延びている。第1の導電体20及び第2の導電体25は、第1方向Xに並んでいる。
【0081】
複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第2方向Yに沿って、直線状に並んでいる。言い換えると、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1の導電体20の長手方向に沿って並んでいる。本実施形態では、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第2方向Yに沿って等間隔で並んでいる。
【0082】
複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2方向Yに沿って、直線状に並んでいる。言い換えると、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2の導電体25の長手方向に沿って並んでいる。本実施形態では、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第2方向Yに沿って等間隔で並んでいる。複数の第1の開口部45から選ばれる少なくとも1つの第1の開口部45と、複数の第2の開口部46から選ばれる少なくとも1つの第2の開口部46とは、第1方向Xに沿って並んでいてもよい。本実施形態において、第1の開口部45a及び第2の開口部46aは、第1方向Xに沿って並んでいる。第1の開口部45b及び第2の開口部46bは、第1方向Xに沿って並んでいる。第1の開口部45c及び第2の開口部46cは、第1方向Xに沿って並んでいる。第1の開口部45d及び第2の開口部46dは、第1方向Xに沿って並んでいる。
【0083】
本実施形態のガスセンサ120は、第2壁部12を備えていない。ただし、ガスセンサ120は、第2壁部12を備えていてもよい。このとき、第2壁部12の形状は、角柱状であってもよい。ガスセンサ120が第2壁部12を備えているとき、吸着材層30は、平面視で額縁の形状を有する。
【0084】
本実施形態では、吸着材層30は、平面視で矩形の形状を有する。そのため、吸着材層30がガスを吸着したとき、吸着材層30は、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに膨張又は収縮する。吸着材層30は、第1方向Xの反対方向及び第2方向Yの反対方向のそれぞれにも膨張又は収縮する。複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第2方向Yに沿って並んでいる。さらに、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dも、第2方向Yに沿って並んでいる。そのため、吸着材層30が膨張又は収縮したときに、電流の経路の変化のばらつきが抑制される。これにより、電流の経路の変化に伴う吸着材層30の電気抵抗の変化を安定して検出できる。そのため、ガスセンサ100によれば、安定してガスを検出することができる。
【0085】
(実施形態3)
実施形態2のガスセンサ120は、複数の第1の導電体20と、複数の第2の導電体25とを備えていてもよい。複数の第1の導電体20のそれぞれに対して、1つの第1の開口部45が開口していてもよい。複数の第2の導電体25のそれぞれに対して、1つの第2の開口部46が開口していてもよい。
図8のガスセンサ130では、複数の第1の導電体20のそれぞれは、第2方向Yに延びている。複数の第1の導電体20のそれぞれは、配線50によって電気的に接続されている。複数の第1の導電体20の数は、2~10の範囲にあってもよい。
【0086】
複数の第2の導電体25のそれぞれは、第2方向Yの反対方向に延びている。複数の第2の導電体25のそれぞれは、配線55によって電気的に接続されている。複数の第1の導電体20と、複数の第2の導電体25とは、第1方向Xに交互に並んでいる。複数の第2の導電体25の数は、2~10の範囲にあってもよい。
【0087】
複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1方向Xに沿って、直線状に並んでいる。本実施形態では、複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1方向Xに沿って等間隔で並んでいる。複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第1方向Xに沿って、直線状に並んでいる。本実施形態では、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dは、第1方向Xに沿って等間隔で並んでいる。
【0088】
本実施形態では、吸着材層30は、平面視で矩形の形状を有する。そのため、吸着材層30がガスを吸着したとき、吸着材層30は、第1方向X及び第2方向Yのそれぞれに膨張又は収縮する。吸着材層30は、第1方向Xの反対方向及び第2方向Yの反対方向のそれぞれにも膨張又は収縮する。複数の第1の開口部45a,45b,45c及び45dは、第1方向Xに沿って並んでいる。さらに、複数の第2の開口部46a,46b,46c及び46dも、第1方向Xに沿って並んでいる。そのため、吸着材層30が膨張又は収縮したときに、電流の経路の変化のばらつきが抑制される。これにより、電流の経路の変化に伴う吸着材層30の電気抵抗の変化を安定して検出できる。そのため、ガスセンサ100によれば、安定してガスを検出することができる。
【0089】
なお、吸着材層30は、実施形態1~3で例示した形状を有していなくてもよい。吸着材層30の形状は、ワイヤ状、柵状又はメッシュ状であってもよい。このとき、吸着材層30は、第1の導電体20及び第2の導電体25のそれぞれを部分的に被覆している。そのため、ガスセンサが絶縁層40を備えていなくても、吸着材層30における電流の経路の数が少ない。このような吸着材層30によれば、ガスセンサが絶縁層40を備えていなくても、吸着材層30の電気抵抗が大きく変化するため、より確実に、ガスを検出することができる。
【実施例0090】
本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0091】
(サンプル1)
まず、第1の導電体及び第2の導電体のそれぞれを基板の上に配置した。第1の導電体及び第2の導電体のそれぞれは、白金でできていた。基板としては、Si基板を用いた。第1の導電体及び第2の導電体のそれぞれは、平面視で円弧の形状を有していた。第2の導電体は、第1の導電体を囲んでいた。
【0092】
次に、第1の導電体及び第2の導電体のそれぞれを絶縁層の前駆体層によって被覆した。前駆体層は、SiO2でできていた。前駆体層に1つの第1の開口部及び1つの第2の開口部を設けることによって、絶縁層を作製した。第1の開口部及び第2の開口部のそれぞれは、平面視で円の形状を有していた。平面視での第1の開口部及び第2の開口部の直径は、それぞれ、5μmであった。すなわち、平面視での第1の開口部及び第2の開口部の面積は、それぞれ、20μm2であった。
【0093】
次に、導電材料及び有機吸着材を含む分散液を絶縁層に塗布し、塗布膜を形成した。導電材料としては、カーボンブラックを用いた。有機吸着材としては、ポリエチレングリコールを用いた。塗布膜を乾燥させることによって吸着材層を形成した。吸着材層の重量に対する導電材料の重量の比率は、0.5であった。吸着材層は、平面視でリングの形状を有していた。このようにしてサンプル1のガスセンサを得た。
【0094】
(サンプル2)
絶縁層の前駆体層に、4つの第1の開口部及び4つの第2の開口部を設けることによって、絶縁層を作製したことを除き、実施例1と同じ方法によって、サンプル2のガスセンサを得た。
【0095】
(サンプル3)
絶縁層の前駆体層に、8つの第1の開口部及び8つの第2の開口部を設けることによって、絶縁層を作製したことを除き、実施例1と同じ方法によって、サンプル3のガスセンサを得た。
【0096】
(サンプル4)
絶縁層の前駆体層に、16個の第1の開口部及び16個の第2の開口部を設けることによって、絶縁層を作製したことを除き、実施例1と同じ方法によって、サンプル4のガスセンサを得た。
【0097】
(サンプル5)
絶縁層を作製しなかったことを除き、実施例1と同じ方法によって、サンプル5のガスセンサを得た。
【0098】
(電気抵抗の変化率の測定)
気体のノナナールが含まれた雰囲気下にサンプル1~5を置き、サンプル1~5のそれぞれの吸着材層の電気抵抗の変化率を測定した。吸着材層がノナナールを吸着する前の吸着材層の電気抵抗をR1と定義する。吸着材層がノナナールを吸着した後の吸着材層の電気抵抗R2と定義する。R1とR2との差をΔRと定義する。電気抵抗の変化率C(%)は、ΔR/R1×100によって算出される値である。ノナナールの濃度は、0.8ppmであった。
【0099】
図9に示すように、サンプル1~4のガスセンサは、サンプル5のガスセンサに比べて、高い変化率Cを有していた。
図9のグラフの横軸は、第1の開口部の数を示している。サンプル5の変化率Cでは、十分にガスを検出できないことがある。
図9からわかるとおり、本実施形態のガスセンサによれば、より確実に、ガスを検出することができる。
【0100】
第1の開口部の数及び第2の開口部の数が少なければ少ないほど、吸着材層における電流の経路の数が減少する。
図9のグラフは、吸着材層における電流の経路の数が少なければ少ないほど、吸着材層の電気抵抗の変化率Cが増加することを示している。ただし、サンプル1の測定結果からわかるとおり、第1の開口部の数及び第2の開口部の数が特定の値を下回ったとき、変化率Cの値は、かえって減少した。
【0101】
(サンプル6)
第1の導電体及び第2の導電体として、平面視で矩形の形状を有する導電体をそれぞれ4つずつ用いたこと、複数の第1の導電体と複数の第2の導電体とを基板の厚み方向に直交する方向に交互に並べたこと、複数の第1の導電体のそれぞれに対して、1つの第1の開口部を設けたこと、複数の第2の導電体のそれぞれに対して、1つの第2の開口部を設けたこと、及び、吸着材層が平面視で矩形の形状を有していたことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル6のガスセンサを得た。
【0102】
(サンプル7)
第1の導電体及び第2の導電体として、平面視で矩形の形状を有する導電体をそれぞれ1つずつ用いたこと、第1の導電体に4つの第1の開口部を設けたこと、及び、第2の導電体に4つの第2の開口部を設けたことを除き、サンプル6と同じ方法によって、サンプル7のガスセンサを得た。
【0103】
(電気抵抗の変化率の測定)
気体のノナナールが含まれた雰囲気下にサンプル2、6及び7を置き、サンプル2、6及び7のそれぞれの吸着材層の電気抵抗の変化率C(%)を測定した。ノナナールの濃度は、0.8ppmであった。
【0104】
図10に示すように、サンプル2のガスセンサは、他のガスセンサに比べて、高い変化率Cを有していた。この結果から、吸着材層が平面視でリングの形状を有していること、複数の第1の開口部が円弧状に並んでいること、及び、複数の第2の開口部が円弧状に並んでいることが満たされた場合に、ガスセンサは、より確実に、ガスを検出することができることがわかる。
前記有機吸着材は、ポリアルキレングリコール類、ポリエステル類、シリコーン類、グリセロール類、ニトリル類、ジカルボン酸モノエステル類及び脂肪族アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のガスセンサ。