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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091999
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】避妊具及び関連した器具
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/08 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A61F6/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064553
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2020029127の分割
【原出願日】2015-04-01
(31)【優先権主張番号】61/973,816
(32)【優先日】2014-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】516228958
【氏名又は名称】ポリ-メッド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】グレイ ケネス デイヴィッド ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン マイケル アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ハイラス ジョルジオ テオファニス
(57)【要約】
【課題】本開示内容は、生物活性剤の腟内放出のための器具、例えば、避妊器具を提供するものである。
【解決手段】少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングは、更に、非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマー、完全生体吸収性ポリマーマトリックス、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックス、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックス、無機ミクロ微粒子を含有する生体安定性エラストマーポリマーマトリックス、及び生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスの少なくとも1つを、各々生物活性剤の放出を援助するために及び/又はそれの放出を調節するために含有し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な本質的に非生体吸収性のミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リング。
【請求項2】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、完全生体吸収性ポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リング。
【請求項3】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リング。
【請求項4】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リング。
【請求項5】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な無機ミクロ微粒子を含む、前記腟内リング。
【請求項6】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、a)ポリマーマトリックス及びb)前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ポリマーミクロ微粒子を含み、前記マトリックスが、体液にさらされたときに前記ミクロ微粒子が分解するにつれて微孔性になる、前記腟内リング。
【請求項7】
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、前記リングが、生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスを含み、前記マトリックスが、前記リングからの前記生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年4月1日に出願の米国仮特許出願第61/973,816号の特許法§119(e)に基づく恩典を主張し、その出願は本願明細書に全体で援用されている。
【0002】
本発明は、一般的には、膣内リング及びそこからの生物活性剤の放出に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、女性の様々な健康問題が相当な関心をもたらしている。特に重要な領域には、妊娠、中絶、避妊、不妊、性行為感染、及び生殖器官のがんが含まれている。閉経後の女性において、内因性エストロゲンの減少が骨格系と下部泌尿生殖系に著しく影響することはわかっている。並行して、これらのそれぞれの領域における治療を改善するために多くの治療戦略が開発されている。経口、静脈内、及び経皮の薬剤投与経路は広く用いられているが、腟内薬剤放出の研究の程度ははるかに少ない。興味深いことに、腟内薬剤放出が理想的であり得る多くの例がある。例えば、腟内投与によって生殖器官に対する薬剤特異性がより効果的に達成され得ることが想定される。従って、経口投与量又は非経口投与量の一部で高いレベルに達することができる。第2の利点は、投薬回数及び/又は全身性副作用の点で患者服薬遵守を改善することである。全身性の薬剤レベルが望ましい場合に、大量の血液供給の膣もまた急速な流入部となる。解剖学的構造の理由で、ある種の薬剤の相対的生物学的利用能を改善するために用いられる初回通過肝代謝が回避される。
【0004】
腟内薬剤放出は、局所、局部、又は全身の作用のために用いることができる。細菌又は真菌の感染症、萎縮性膣炎、及び膣上皮内腫瘍の治療において局所投与が用いられている。局部治療に関して、ストレス尿失禁、陣痛誘発、医学的人工流産、及び不妊症を治療するために膣薬剤投与が用いられている。この経路の長所は、薬剤吸収に対して表面積が広いこと及び投与の容易さである。
【発明の概要】
【0005】
本開示内容は、生物活性剤の腟内放出のための器具、例えば、避妊器具を提供するものである。手短に言うと、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングは、更に、非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマー、完全生体吸収性ポリマーマトリックス、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックス、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックス、無機ミクロ微粒子を含有する生体安定性エラストマーポリマーマトリックス、及び生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスの少なくとも1つを、各々生物活性剤の放出を援助するために及び/又はそれの放出を調節するために含有することができる。
【0006】
例えば、本開示内容は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の複合体であって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記複合体を提供するものである。他の例として、本開示内容は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。他の態様において、本開示内容は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために本質的に非生体吸収性のミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。
【0007】
更に他の態様において、本開示内容は、完全生体吸収性ポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。更に、本開示内容は、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。他の例として、本開示内容は、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。なお更に、本開示内容は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために無機ミクロ微粒子を含有する、前記腟内リングを提供するものである。他の態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングがa)ポリマーマトリックス及びb)生物活性剤の放出を調節するために吸収性ポリマーミクロ微粒子を含み、ミクロ微粒子が生物学的環境において経時分解するにつれてマトリックスが微孔性になる、前記腟内リングを提供するものである。また、本開示内容は、生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスを含む少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、マトリックスが、更に、特定の生物学的部位で望ましい期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含有する、前記腟内リングを提供するものである。
【0008】
1つ以上の実施態様の詳細を下記の説明に記載する。一例示的実施態様に関連して例示又は記載されている特徴は、他の実施態様の特徴と組み合わせてもよい。他の特徴、目的及び長所は、説明、図面、及び請求項から明らかである。更に、本明細書に参照されるすべての特許及び特許出願の開示内容は全体で援用されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示内容は、ヒト体内に留置ための器具、例えば、避妊器具、及び腟内リングのような器具を形成するために用いることができる構築物を提供するものである。本発明は、本発明の好適実施態様を含める下記の詳細な説明及び本明細書に含まれる実施例によって更に容易に理解することができる。本明細書に用いられる用語が個々の実施態様を記載するためだけのものであり、限定することを意図しないことは理解すべきである。特に本明細書に定義されない限り、本明細書に用いられる用語が関連した技術において知られるその従来の意味を示していることは更に理解されるべきである。本文書の中で用いられる見出しは、読者がその再検討を早めるためだけに用いられ、いかなる方法によっても本発明又は特許請求の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
【0010】
特許請求の範囲を含めた本文書全体にわたって用いられる単数形「a」、「an」、及び「the」には、特に指示しない限り複数のものが含まれる。例えば、「a」生物活性剤には、1種以上の生物活性剤が含まれる。他の例として、「a」ミクロ微粒子は、1個以上のミクロ微粒子を意味する。下記の用語は、指示された意味を有する。本明細書に用いられる他の用語は、米国特許第8,057,817号明細書及び同第8,404,272号明細書を参照することで理解することができ、これらの記載は本願明細書に援用されている。
【0011】
吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは、生体吸収性ポリマー、例えば加水分解によって分解するポリエステルを意味する。このようなポリエステルは、ラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、及びパラジオキサノン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導され得る。イオン交換特性を与える酸末端基によってポリマーを合成することができる。例えば、低分子量ポリマーの合成の間の開始剤としてグリコール酸を用いて、酸末端基を得ることができる。生体吸収性ポリエステルは、材料を微細粉末に粉砕ことによって処理されて、ミクロ微粒子を生成させる。米国特許第6,413,539号明細書には、そのようなポリマーの合成及びミクロ微粒子を生成させるその処理が記載されている。例としては、ポリグリコリド、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリラクチド、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)が挙げられる。イオン交換しない吸収性微小粒子は、開環重合をアルコール、例えば1,3-プロパンジオール又はデシルアルコールで開始することによって調製され得る。これらの開始剤は、イオン交換機能性を与えることになるカルボン酸基がない。
【0012】
生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスは、生物活性剤(1種以上)の放出のためのリザーバとして役立つ非吸収性ポリマー構築物を意味する。ポリマーマトリックスは、親水性と疎水性の鎖セグメント又はブロックを含有する両親媒性コポリマーから作られるので、コポリマーは水を吸収するか又は水をはじく別々のドメインを形成することができる。同様に、これらのドメインは、極性か又は非極性の生物活性剤を含有する。極性生物活性剤は、典型的には、親水性ドメインに分離し、非極性生物活性剤は、典型的には、疎水性ドメインに分離する。親水性セグメントの付加は、水分吸収を増加することによってマトリックスから生物活性剤の放出速度を潜在的に変化させるという利点を有する。更にまた、本出願の使用に適しているコポリマーはエラストマーであるように設計され、それによって、可撓性且つ弾性のある最終器具を作成する。このエラストマー特性は、器具の挿入が容易になり、全体的な快適さを改善することを意図している。このようなポリマーの例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)含有ブロックコポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ジメチルブロックシロキサン)-ブロック-ポリ(アクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン)、ポリ(2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルアクリルアミド)-ブロック-ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ジメチルアクリルアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)が挙げられる。上記のポリマーは、例えばPDMSと第2の親水性成分、例えばここで挙げたもののブロックコポリマーとして、異なって記載することができる。
【0013】
生体安定性エラストマーポリマーマトリックスは、生物活性剤(1種以上)の放出のためのリザーバとして役立つ非吸収性多孔質ポリマー構築物を意味する。マトリックスは、生物学的環境において安定であり且つ留置の期間の間の水性環境において又は酵素の存在下にほとんど分解しない材料から作られる。更にまた、マトリックスは、多孔質ミクロ構造、好ましくは周囲環境から水性流体の流入を可能にするとともに構築物から生物活性剤の放出を容易にする開放気孔構造を含有する。このタイプのマトリックスに適しているポリマーは、可撓性及び弾性を与えるエラストマーであり、望ましい水分吸収を与えるようにポリマーを調整することができる。例としては、シリコーンベースのポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリジエン、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、及びこれらのポリマーの架橋変形例が挙げられる。
【0014】
生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスは、生物活性剤(1種以上)の送達のためのリザーバとして役立つ非吸収性ポリマー構築物を意味する。ポリマーマトリックスは、親水性ポリマー又はコポリマーから、或いは水分吸収を改善する親水性添加剤とブレンドされるポリマー又はコポリマーから作られる。マトリックスの親水性は、マトリックスを通して生物活性剤の拡散を容易にすることによってマトリックスから周囲の生物学的環境への生物活性剤の送達を改善することを意図する。いくつかの実施態様において、水の吸収はマトリックスを膨潤させることができ、それがボイド容量を増加させ、このことにより拡散を容易にすることができる。更にまた、疎水性マトリックスが生物活性剤を保持し且つ遅い拡散速度を示すことになるので、親水性ポリマーマトリックスは生物活性剤を送達するときに比較的疎水性のポリマーマトリックスより効果的であることを意味する。生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを有する器具を形成する材料の例としては、エチレン-酢酸ビニル、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(アクリル酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン)、ポリ(2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート-g-ジメチルシロキサン)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)-ブロック-ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(ジメチルアクリルアミド、ポリ(ジメチルシロキサン)-ブロック-ポリ(2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート)が挙げられる。他の例としては、ポリ(エチレングリコール)とブレンドした上述したポリマー及びコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレングリコール)とポリ(プロピレングリコール)のコポリマー、ポリ(アクリル酸)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0015】
本質的に非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは、ラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、及びパラ-ジオキサノン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導されるポリエステルを意味する。ポリマーは、本質的に安定であり、留置の時間枠の間、分解しないので、本質的に非生体吸収性として記載される。更に、イオン交換特性を与える酸末端基を有するポリエステルを合成することができる。例えば、低分子量ポリマーの合成の間の開始剤としてグリコール酸を用いて、酸末端基を与えることができる。生体吸収性ポリエステルは、材料を微粉末に摩砕して、ミクロ微粒子を生成することによって処理される。米国特許第6,413,539号明細書には、このようなポリマーの合成及びミクロ微粒子を生成するその処理が記載されている。例としては、ポリラクチド、ポリ(ラクチド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(ラクチド-co-カプロラクトン)が挙げられている。
【0016】
繊維補強及び繊維構築物は、本開示内容の器具、構築物又はリングへの繊維の組み込みを意味する。繊維、吸収性若しくは非吸収性の繊維のいずれかの組み込みは、全体的な剛性増加を与えること、構造的支持体を与えること、及び/又はポリマー構築物の元の大きさを維持することが含まれる1つ以上の利点を与えることができる。繊維は吸収性材料、例えばラクチド、グリコリド、カプロラクトン、p-ジオキサノン、トリメチレンカーボネートのコポリマー又はホモポリマーから製造することができ、或いは、繊維は非吸収性材料、例えばナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートから、又は金属繊維又はフィラメント、例えば銅、鉄、タングステン、これら及び他の金属の種々の合金から製造することができる。金属繊維及びフィラメントは、典型的には、このような材料が構築物の元の形を維持するのを援助することができるより大きな強度及び剛性を与える。ここで記載されている補強繊維は異なる形で用いることができ、例示的な形は(1)リング形状のポリマー構築物の内部の中に埋め込まれた補強繊維リング、(2)リング形状のポリマー構築物全体にわたってランダムに分散及び埋め込まれた繊維、又は(3)リング形状のポリマー構築物の外部を囲むようにらせん状に包まれた繊維である。
【0017】
追加の例として、繊維は、(1)固有モデュラス又は工学モデュラスを中程度の又は広い範囲で有する生分解性吸収性ポリマーの連続マルチフィラメント糸又はモノフィラメント糸でできていてもよく; (2)吸収性合成コーティングで処理して、その工学モデュラスを増大させることができるねじれたキトサンステープルであってもよく; (3)次のモノマー: グリコリド、l-ラクチド、dl-ラクチド、トリメチレンカーボネート、p-ジオキサノン、イプシロン-カプロラクトン、モルホリンジオンの1種以上から誘導されるポリエステル又はコポリエステルをベースとしてもよく; (4)ポリアルキレンジカルボキシレート、例えばポリエチレンスクシネートを項目3の環状モノマーの1種以上で末端グラフトすることによって製造されたセグメント又はブロックコポリマーをベースとしてもよく; 及び(5)リング構造の形のねじれた糸、ブレード、ねじれた/被覆されたステープル、又は不織布でできていてもよい。繊維は、吸収性/生分解性マトリックスの場合のように、マトリックスを通して又はマトリックスが分解するにつれて物理的遊離によって単純拡散以外の薬剤の放出を制御する追加の方法を与えるために、生物活性剤、例えばイオン、酸性又は塩基性の薬剤を結合する塩基性又は酸性の基を生成するために主にその表面で化学的に処理されてもよい。繊維の使用によって、繊維補強及び繊維補強複合体が得られる。
【0018】
非吸収性マトリックスは、本開示内容の器具を形成するために用いることができ、且つ器具を受け入れる宿主の中へ完全に分解せず吸収されない、材料、典型的にはポリマー材料を意味する。言い換えれば、非吸収性マトリックスから形成される器具は、長期間、例えば、少なくとも1年間、体内で主として又は完全に無傷のままである。非吸収性マトリックスを形成するのに有効なポリマー材料は、(1)変性剤として役立つ芳香族配列を含む又は含まないポリジメチルシロキサン及びシロキサンベースの架橋系; 及び(2)より親水性のモノマー、例えば酢酸ビニル及び/又はN-ビニルピロリドンを含む又は含まない、1種以上のアルキルメタクリレート、例えばn-ヘキシルメタクリレート、n-ブチルメタクリレートから誘導されたメタクリレートポリマーをベースとしてもよい。
【0019】
ポリマーの微小粒子は、有機ポリマーから製造される小粒子を意味する。一実施態様において、微小粒子は、ミクロン範囲で、すなわち、1~100ミクロンの範囲で平均径を有する。他の実施態様において、微小粒子は、0.5μmから100μmまで、好ましくは10μm~80μm、より好ましくは20μm~70μmの範囲にあるミクロン及びサブミクロン寸法を有する。一実施態様において、吸収性ポリマーのミクロ微粒子は、加水分解によって分解し且つラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、及びパラ-ジオキサノン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導される生体吸収性ポリエステルを意味する。ポリマーは、直鎖ポリマー又は多軸ポリマーを生成するために一官能性又は多官能性開始剤を用いて合成され得る。ミクロ微粒子は、これらの塊状ポリマーから、合成した物質を微粉末に摩砕し、次に適切なメッシュサイズの篩を用いて、望ましいサイズの粒子を分離することによって生成されてもよい。有機ポリマーの例としては、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリ(パラ-ジオキサノン)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)、及びポリ(グリコリド-co-L-ラクチド)が挙げられる。例えば、米国特許第6,413,539号明細書に記載されているように、グリコール酸及びオクタン酸第一スズの存在下でグリコリドが重合されて、低分子量の加水分解的に分解可能なポリエステルを製造してもよい。ポリエステルの精製及びサイズ縮小もまた、米国特許第6,413,539号明細書における説明に従って行われて、酸末端ポリグリコリドミクロ微粒子を得ることができる。
【0020】
追加の例として、微小粒子は、酸をもったヒドロキシル開始剤、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸の開環重合によって形成され得るポリグリコリドのようなラクチドベースのポリマー又は固体の半晶性ポリラクトンでできていてもよい。微小粒子は、下記の手順に従って合成され得る。反応容器において、ラクチドベースのモノマー及び/又はラクトン、例えばグリコリドと酸開始剤、例えば酒石酸、リンゴ酸又はクエン酸を混合する。反応容器を約35~45C、好ましくは40Cに加温し、約20~60分間、好ましくは30分間減圧下に置く。反応容器の温度を約105~115C、好ましくは110Cに上げる。この温度に達すると、容器を無酸素窒素雰囲気下に配置し、この混合物を撹拌する。混合物が融解すると、触媒量の開環重合に適している有機金属触媒、例えば非プロトン性溶媒、例えばトルエン中の2-エチル-ヘキサン酸第一スズ溶液を添加する。減圧を約30~90秒間再び適用して、モノマーをほとんど除去せずにトルエンを除去する。混合物の温度を約115~125C、好ましくは120Cに約5~10分間上げた後にそれを約145~150Cに更に上げる。可能ならば、この温度に一定の機械的撹拌下で約3~5時間、好ましくは4時間保持した。得られたポリマーを最初にナイフ-グラインダーを用いて摩砕することによって微粉末化する。次に、加圧乾燥窒素流を用いたAljetマイクロナイザーでポリマーを微粉末化する。平均粒径サイズを容積分布モデル及び分散剤として200/5cSシリコーン油を用いてマルバーンマスターサイザー/Eにおいて分析する。
【0021】
所定期間は、生物活性剤がその意図した目的を達成するために生物学的に効果的である時間経過にわたって、本開示内容の器具又はリング又は構築物から生物活性剤の放出を意味する。
【0022】
一態様において、本開示内容は、避妊器具及び関連した器具、例えば膣リング、及び避妊器具の調製に有効なそのようなリング及び関連した構築物を調製する組成物を提供する。例示的な避妊器具は膣リングであり、その膣リングは円形断面を有するチューブ状材料の形であってもよい。リングの形状は完全な円から楕円まで実際にはリボン状まで異なってもよく、マトリックス及び補強繊維の組成及び物理的性質に左右される。リングがチューブ状材料から形成される場合、リング材料の平均径は約1から25mmまで異なってもよい。
【0023】
避妊器具は、1種以上の生物活性剤を含有してもよい。生物活性剤は、避妊、分娩誘発、細菌、真菌、ウイルス又は寄生虫の感染の腟内及び経膣予防又は治療、子宮頸がん、及び卵巣がんに有効である化学薬品(例えば、低分子、ペプチド、タンパク質)を意味する。本開示内容の器具へ生物活性剤を組み込むことによって、ホルモン置換療法、避妊の達成、不妊症の治療、感染症の管理、及び婦人科のがんにおける使用ができる。器具又は構築物は、避妊薬剤、例えばテストステロンやテストステロン前駆体、殺精子剤、又は精子イモビライザー、及びビスホスホネートを選択的に含んでもよい。更に、器具又は構築物は、抗黄体ホルモン麻酔、鎮痛、抗炎症、抗菌、抗ウイルス、又は抗精神病の特性を有する薬剤の徐放のためにも使用し得る。膣内リングは、また、抗体、特にモノクローナルタイプ、免疫調節因子ワクチン、特に組換えタイプ、及び造血成長因子の徐放のために使用し得る。生物活性剤は遊離の塩基性薬剤よりポリマーマトリックスにおける溶解性が低い塩基性抗菌剤のイオン結合体であってもよく、塩基性薬剤はメトロニダゾール及びミコナゾールによって表される群より選ばれ、結合体の酸性成分はパモ酸又はその一ナトリウム塩である。
【0024】
一実施態様において、器具は、その質量の0.0001%~40%の間の生物活性剤を含有し; (2)ホルモン置換療法、避妊を達成すること、不妊症を治療すること、感染症を管理すること、及び婦人科の腫瘍における使用の少なくとも1つを与えるための少なくとも1種の生物活性剤を放出するように設計されている。例えば、器具は、避妊のための天然又は合成エストロゲン及び黄体ホルモン剤、不妊症のための微粉末化プロゲステロン又はLH放出ホルモン及びその合成類縁体、分娩誘発/促進のためのプロスタグランジン類縁体、ソマトスタチン又はその合成類縁体、抗新生物剤/血管形成剤、例えばパクリタキセル、シスプラチン、5-FU、クルクミン、非ステロイド系抗炎症剤、例えばナプロキセン、免疫調節剤、抗生剤及び抗真菌剤、殺精子剤、及び殺ウイルス剤を含有してもよい。器具は、(1)頭痛を軽減する; (2)アレルギーを治療する; (3)風邪を治療する; (4)頚部又は子宮のがんを治療する; (5)インフルエンザ感染を治療する; (6)ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)を治療する; (7)異なる形態の細菌、真菌、及びウイルス感染、特に女性生殖系に関連するものを治療する; (8)麻酔、鎮痛、解熱、抗黄体ホルモン及び抗精神病の特性を有する殺精子剤又は精子イモビライザー薬剤を投与するために一般に用いられる大ていの経口、経皮、吸入、注射用の薬剤よりも効果的な徐放システムを備えてもよい。器具は、抗体、特にモノクローナルタイプの免疫調節剤、ワクチン特に組換え型、インスリン及び造血成長因子の放出ために用いられてもよい。器具は、(1)分娩誘発又は流産制御を容易にする; (2)腟内又は経膣の細菌、真菌、ウイルス、又は寄生虫の感染の治療; 及び/又は(3)骨粗鬆症、特にビスホスホネートに基づく治療のための生物活性剤を送達するために用いてもよい。
【0025】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の複合体を提供する。複合体は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間複合体から生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。複合体は繊維補強されていてもよいが、一実施態様において組成物は繊維補強されていない。
【0026】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で望ましい期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0027】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である本質的に非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0028】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、完全生体吸収性ポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で望ましい期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0029】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0030】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0031】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間腟内リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な無機ミクロ微粒子を含む。腟内リングは繊維補強されていてもよいが、一実施態様においてリングは繊維補強されていない。
【0032】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、a)ポリマーマトリックス及びb)リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ポリマーミクロ微粒子を含む。マトリックスはミクロ微粒子が分解する、すなわち、経時生物学的環境に吸収されるにつれて微孔性になる。
【0033】
一態様において、本発明は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
【0034】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤、選択的には非ホルモン生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。腟内リングは、ポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤は、少なくとも1種の他の生物活性剤の酸化状態を還元する還元剤であってもよく、その少なくとも1種の他の生物活性剤は精子静的効果を与えるものである。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: 還元剤は、金属イオン、有機化合物、無機塩、有機金属塩、有機金属錯体、ペプチド、及びポリマーの群より選ばれる; 還元剤は、鉄、銅、亜鉛、又はコバルトの形の金属イオンである; 還元剤は、システイン、N-アセチル-システイン、チオール官能基化アミノ酸、システイン含有ペプチド、グルタチオン、シュウ酸、D-アスコルビン酸、トコフェロール、トコトリエノール、α-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、及びフェノールより選ばれる有機化合物の形である; 還元剤は、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸銅、塩化銅、及び塩化鉄、炭酸鉄、及び硫酸鉄より選ばれる無機塩である; 還元剤は、グルコン酸亜鉛、メチル亜鉛、エチル亜鉛、及びグルコン酸銅より選ばれる有機金属塩である; 還元剤は、少なくとも1つのシステインアミノ酸を含有するペプチドの形である; 還元剤は、合成ポリマー、天然に存在するポリマー、化学的に変性した天然に存在するポリマーより選ばれるポリマーの形である; 還元剤は、ポリフェノール、チオール基で官能基化された合成ポリマー、チオール化ポリエチレングリコール、システインアミノ酸を含有するポリペプチド及びチオール基で官能基化されたバイオポリマーより選ばれるポリマーの形である; 還元剤は、チオール基で官能基化された合成ポリマー、例えば、チオール化キトサンやチオール化ヒアルロン酸の形である; 還元剤は、チオール化ポリエチレングリコールの形であり、そのポリエチレングリコールは直鎖、分枝鎖、架橋の少なくとも1つであってもよく、星型配置を有してもよく、そのチオール基はポリマー鎖末端に存在してもよい; そのチオール基は、ポリマー鎖に沿って側鎖として存在してもよく; そのチオール基は、ポリマー鎖末端でポリマー鎖に沿った側鎖として存在してもよい; 少なくとも1種の生物活性剤は、少なくとも2種類の異なる還元金属を含む; ポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックス内に存在する還元金属の酸化状態を安定化することができる添加剤を含み、その添加剤はクロリド、カーボネート、スルフェート、又はグルコネートの対イオンを有する非還元金属の塩であってもよい; その少なくとも1種の他の生物活性剤は、精子細胞膜の脂質過酸化によって精子静的効果を与える; その少なくとも1種の他の生物活性剤は、避妊薬としての使用のために意図され、精子細胞膜の脂質過酸化によって精子静的効果を与える。
【0035】
例えば、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤、選択的には非ホルモン生物活性剤の徐放のための腟内リングの下記の番号をつけた例示的実施態様を提供する:
1)第1の非ホルモン生物活性剤の制御送達のための腟内リング、その腟内リングはポリマーマトリックスを含み、その第1の生物活性剤は還元剤であり、前記還元剤は第2の生物活性剤の酸化状態を還元し、その第2の生物活性剤は精子静的効果を与える。
2)実施態様1のリング、その還元剤は、金属イオン、有機化合物、無機塩、有機金属塩、有機金属錯体、ペプチド、及びポリマーより選ばれる成分を含む。
3)実施態様2のリング、その金属イオンは、鉄、銅、亜鉛、又はコバルトを含む。
4)実施態様2のリング、その有機化合物は、システイン、N-アセチル-システイン、チオール官能基化アミノ酸、システイン含有ペプチド、グルタチオン、シュウ酸、D-アスコルビン酸、トコフェロール、トコトリエノール、α-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール、及びフェノールより選ばれる。
5)実施態様2のリング、その無機塩は、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸銅、塩化銅、及び塩化鉄、炭酸鉄、及び硫酸鉄より選ばれる。
6)実施態様2のリング、その有機金属塩は、グルコン酸亜鉛、メチル亜鉛、エチル亜鉛、及びグルコン酸銅より選ばれる。
7)実施態様2のリング、そのペプチドは、少なくとも1つのシステインアミノ酸残基を含む。
8)実施態様2のリング、そのポリマーは、合成ポリマー、天然に存在するポリマー、化学的に変性した天然に存在するポリマーより選ばれる、
9)実施態様8のリング、そのポリマーは、ポリフェノール、チオール基で官能基化された合成ポリマー、チオール化ポリエチレングリコール、及びシステインアミノ酸を含有するポリペプチドより選ばれる。
10)実施態様9のリング、そのチオール化ポリエチレングリコールはポリエチレングリコールを含み、そのポリマーは直鎖、分枝鎖、架橋であるか、又は星型配置を有する。
11)実施態様9のリング、そのチオール基はポリマー鎖末端に存在する。
12)実施態様9のリング、そのチオール基はポリマー鎖に沿って側鎖として存在する。
13)実施態様9のリング、そのチオール基は、ポリマー鎖末端でポリマー鎖に沿った側鎖として存在する。
14)実施態様1のリング、少なくとも2種類の異なる還元金属を含む。
15)実施態様1のリング、そのポリマーマトリックスは、ポリマーマトリックス内に存在する還元金属の酸化状態を安定化することができる添加剤を含有する。
16)実施態様15のリング、その添加剤は、クロリド、カーボネート、スルフェート、又はグルコネートの対イオンを有する非還元金属の塩である。
17)実施態様1のリング、その第2の生物活性剤は、精子細胞膜の脂質過酸化の機序によって精子静的効果を与える。
【0036】
他の態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の繊維補強複合体を提供する。その複合体は、生体安定性エラストマーコポリマーマトリックスの中に位置する吸収性繊維構築物を含む。そのマトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間組成物から生物活性剤の放出を調節するのに効果的な複数の層を備えている。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: 複合体は、腟内リングである; 複数の層は、同じ組成である; 複数の層は、異なる組成である; 複数の層は、各々同じ生物活性剤を含有する; 生物活性剤は、複数の層の少なくとも2層以内が異なる濃度で存在する; 複数の層は、同じ生物活性薬剤を含有する; 複数の層は、各々異なる生物活性剤を含有する。
【0037】
他の態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の繊維補強複合体を提供する。その複合体は、生体安定性エラストマーコポリマーマトリックスの中に位置する吸収性繊維構築物を含む。そのマトリックスは、複数の層を備えている。そのマトリックスは、複数の層の少なくとも1層内に吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含み、そのイオン交換ポリマーは、特定の生物学的部位で所定の期間複合体から生物活性剤の放出を調節するのに効果的である。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: 複数の層は、生物活性剤の放出を調節するために機能する; 吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは、複数の層の1層だけに位置する; 吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは、複数の層の1層を超える層に位置する; 複数の層は最も内側の層及び最も外側の層を備え、吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは最も内側の層内に位置する; 複数の層は最も内側の層及び最も外側の層を備え、吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーは最も外側の層内に位置する; マトリックスは複数の層を備え、複数の層の各々は同じ生物活性剤を含む; 生物活性剤は、複数の層の各々の中に異なる濃度で存在する; マトリックスは複数の層を備え、各層が同じ生物活性剤を含む; マトリックスは複数の層を備え、各層が異なる生物活性剤を含む。
【0038】
他の態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の繊維補強複合体を提供する。その複合体は、生体安定性エラストマー両親媒性コポリマーマトリックスの中に位置する吸収性繊維構築物を含む。そのマトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコール、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリエチル酢酸ビニル、ポリブチレンテレフタレート、及びラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、パラ-ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導される生体吸収性ポリエステルより選ばれるポリマーセグメントを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコールを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコールとポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリエチル酢酸ビニル、ポリブチレンテレフタレート、及びラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、パラ-ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導される生体吸収性ポリエステルより選ばれる少なくとも1種の他のポリマーセグメントを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコールセグメントとポリジメチルシロキサンセグメントを含むブロックコポリマーを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコールセグメントとポリウレタンセグメントを含むブロックコポリマーを含み、ここで、更なる選択的実施態様において: ポリウレタンセグメントは本質的に非吸収性であるか、又は含有するポリウレタンセグメントは生体吸収性であるか、又はポリウレタンセグメントはチロシンの化学的に変性した形であるモノマーから合成される(Bezwadaポリウレタン); 両親媒性コポリマーマトリックスは、ポリエチレングリコールセグメントとポリブチレンテレフタレートセグメントを含むブロックコポリマーを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、ジブロックコポリマーであるブロックコポリマーを含む; 両親媒性コポリマーマトリックスは、3ブロックコポリマーであるブロックコポリマーを含む; 及び生物活性剤は非ホルモン避妊薬である。
【0039】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具は、生体安定性エラストマー親水性コポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールセグメントを含有するコポリマー、ポリエチレングリコールとポリエチレングリコールセグメントを含有しても含有しなくてもよい第2の異なるポリマー、及びこれらの組み合わせより選ばれる材料を含む。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む; マトリックスは、水性環境において、例えば、膣管内で膨潤する; 器具は初期直径を有し、マトリックスは膨潤して、初期直径より直径が少なくとも5%大きい膨潤した直径を与える; 器具はリングの形である; 及び複合体は直鎖である。
【0040】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具は、生体適合性エラストマーポリマーマトリックスを含む。マトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい:ポリマーマトリックスはポリウレタン、ポリエチル酢酸ビニル、ポリエチレングリコール・ブロック・ポリブチレンテレフタレート、及びラクチド、グリコリド、イプシロン-カプロラクトン、パラ-ジオキサノン、及びトリメチレンカーボネートからなる群より選ばれる環状モノマーから誘導される生体吸収性ポリエステル、及びこれらの組み合わせ又はブレンドの少なくとも1種を含む; 器具は、本質的に非吸収性であるポリウレタンを含む; 器具は、非吸収性であるポリウレタンを含む; 器具は、本質的に生体吸収性であるポリウレタンを含む; 器具は、生体吸収性であるポリウレタンを含む; 器具は、チロシンの化学的に変性した形であるモノマーから合成されるポリウレタンを含む(Bezwadaポリウレタン); 器具は、ポリエチレングリコールセグメント及びポリブチレンテレフタレートセグメントの少なくとも1種を含むブロックコポリマーを含む; 器具は、2ブロックコポリマーを含む; 器具は、3ブロックコポリマーを含む; 器具は、リングの形状である; 及び生物活性剤は、非ホルモン避妊薬である。
【0041】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形メッシュの形を有する。少なくとも1種の生物活性剤は、1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染症を治療することができる。
【0042】
他の態様において、本発明は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有するフィルム誘導円形メッシュの形を有する。少なくとも1種の生物活性剤は、1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができる。
【0043】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形メッシュの形を有する。メッシュは、選択的に1)避妊を達成すること、2)HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい少なくとも1種の生物活性剤を含んでいる。
【0044】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。メッシュは、不織電界紡糸構築物である。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は、1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0045】
一態様において、本発明は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュは、不織電界紡糸構築物であり、そのリングは選択的に1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい少なくとも1種の生物活性剤を含む。
【0046】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュは、不織電界紡糸構築物である。そのリングとメッシュは共に選択的に1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい少なくとも1種の生物活性剤を含有する。
【0047】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュは、不織電界紡糸構築物である。そのリングは選択的に1)避妊を達成すること及び/又は2) HIV感染を予防することができてもよい少なくとも1種の生物活性剤を含有する。
【0048】
一態様において、本発明は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュは、100ミクロン未満の孔径を有する。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0049】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュの周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュは、100ミクロンより大きい孔径を有する。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0050】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュ構築物の周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。そのメッシュ構築物は、織られた繊維メッシュの外側に不織電界紡糸メッシュで覆われた織り繊維メッシュを含む。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0051】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュ構築物の周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。メッシュ構築物は、織り銅メッシュを含む。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0052】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュ構築物の周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。メッシュ構築物は、織り銅メッシュの外側に不織電界紡糸メッシュで覆われた織り銅メッシュを含む。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0053】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供し、その器具はメッシュ構築物の周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。メッシュ構築物は、織り銅メッシュの外側に不織電界紡糸生体吸収性メッシュで覆われた織り銅メッシュを含む。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0054】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具はメッシュ構築物の周辺にポリマーリングを有する円形繊維メッシュの形を有する。メッシュ構築物は、金属イオン含浸繊維を含む。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0055】
一態様において、本開示内容は少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具はポリマーマトリックスをリングの形状で含み、そのマトリックス全体に繊維が分散されている。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: 繊維は吸収性である; 繊維は、吸収性繊維であり、薬剤放出性である; 繊維は、吸収性であり、少なくとも1種の生物活性剤の徐放を与える。
【0056】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための繊維補強腟内器具を提供する。器具はポリマーマトリックスをリングの形状で含み、そのポリマーマトリックスはニチノール、銅、チタン、テフロン、ポリエチレン、及びポリエチレンテレフタレートを含む群より選ばれる材料から製造された繊維によって補強されている。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0057】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための繊維補強腟内器具を提供する。その器具はポリマーマトリックスをリングの形状で含み、そのポリマーマトリックスはマトリックスの中に完全に埋め込まれる円形繊維によって補強されている。その円形繊維は構造的完全性を与える。選択的に、少なくとも1種の生物活性剤は1)避妊を達成すること、2) HIV感染を予防すること、3)細菌感染症を治療すること、及び/又は4)真菌感染を治療することができてもよい。
【0058】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための繊維補強腟内器具を提供する。その器具は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスは即時バースト放出、遅延中間放出及び持続長期放出より選ばれる薬剤放出の多相を与える。選択的実施態様において、本開示内容のこの態様について以下の1つ以上を更に記載してもよい: マトリックスはリングの形状である; マトリックスは特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む; 持続性長期放出は遅延放出である; 遅延中間放出は、マトリックスの浸食の結果である; 即時バースト放出は、器具の表面から放出されている生物活性剤の結果である。
【0059】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具は、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングの形状である。選択的に、マトリックスは特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含んでもよい。少なくとも1種の生物活性剤の徐放は下記の3つの機序の1つ以上によって生じ、3つの機序は、(a)薬剤の表面放出; (b)ポリマーマトリックスの浸食; (c)マトリックスによる薬剤の拡散を含んでいる。薬剤の表面放出によって即時バースト効果が生じる。ポリマーマトリックスの浸食によって薬剤の遅延中間放出及び/又は生物活性剤が生じる。マトリックスからの薬剤の拡散によって薬剤及び/又は生物活性剤の持続放出が生じる。
【0060】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内器具を提供する。その器具は、リングの形状である生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。そのマトリックスは特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。そのマトリックスは、(a)即時バースト放出効果を生じる器具からの表面放出; (b)遅延中間放出効果を生じるポリマーマトリックスの浸食; 及び(c)持続長期放出効果を生じるポリマーマトリックスによる薬剤の拡散より選ばれる生物活性薬剤放出の少なくとも1つの機序を与える。少なくとも1つの生物活性剤の用量は、やがて任意の所定の点で優先する生物活性剤放出機序に左右される。
【0061】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。そのリングは、生物活性剤溶離ポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤は生菌の菌株である。例えば、生菌の菌株は、ラクトバシラス(Lactobacillus)の菌株であってもよい。
【0062】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。そのリングは、生物活性剤溶離ポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤はナノ粒子の中に含有し、そのナノ粒子はポリマーマトリックス全体にわたって分散されている。
【0063】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。その腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤は、アスコルビン酸第一鉄の形の非ホルモン避妊薬である。
【0064】
一態様において、本開示内容は、少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。その腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤は、有機金属錯体の形の非ホルモン避妊薬であり、その有機金属錯体は、還元剤として作用することができる少なくとも1つの金属イオンを与える。
【0065】
一態様において、本開示内容は、非ホルモン避妊生物活性剤及びHIV感染予防のための第2の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。その腟内リングは、生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含む。HIV感染治療用の第2の生物活性剤は、テノホビルであってもよい。そのマトリックスは、特定の生物学的部位で所定の期間生物活性剤の放出を調節するために吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
【0066】
一態様において、本開示内容は、避妊に効果的な少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングを提供する。その腟内リングは、ポリマーマトリックスを含む。少なくとも1種の生物活性剤は、少なくとも1種の他の生物活性剤の酸化状態を還元することができる還元剤であり、その少なくとも1種の他の生物活性剤は精子静的効果を与える。
【0067】
本明細書において確認されるように器具は、非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマー、完全生体吸収性ポリマーマトリックス、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックス、生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックス、無機ミクロ微粒子を含有する生体安定性エラストマーポリマーマトリックス、及び生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスの1つ以上を器具に組み込むことによって少なくとも1種の生物活性剤の徐放を達成する。存在する場合には、これらの成分の各々は、少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%、又は少なくとも30%、又は少なくとも35%、又は少なくとも40%、又は少なくとも45%、又は少なくとも50%、又は少なくとも55%、又は少なくとも60%、又は少なくとも65%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%の質量パーセントで器具に存在してもよい(器具の質量で割った成分の質量、×100)。
【0068】
上記のように及び下記で例示されるように、本開示内容は避妊具及び関連した器具を提供し、下記の番号をつけた例示的実施態様が挙げられる:
1)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための部分的に吸収性の構築物、その構築物は生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスは特定の生物学的部位で複合体から生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
2)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
3)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な本質的に非生体吸収性のミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
4)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは完全生体吸収性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
5)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
6)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
7)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な無機ミクロ微粒子を含む。
8)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングはa)ポリマーマトリックス及びb)リングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ポリマーミクロ微粒子を含み、そのマトリックスは体液にさらされたときにミクロ微粒子が分解するにつれて微孔性になる。
9)少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リング、そのリングは生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックスを含み、そのマトリックスはリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的な吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む。
【0069】
本開示内容の器具は、種々の利点を与える。例えば、本質的に非吸収性のミクロ微粒子を器具に組み込む利点は、器具が留置される所定の時間枠にわたってポリマーマトリックス全体にミクロ微粒子が無傷で分散したままであるということである。このようなミクロ微粒子がマトリックスの極性を調節するために用いられ、それによって、マトリックスからの生物活性剤の溶解性、拡散及び放出に影響を及ぼすことができる。表面に極性官能基(例えば、カルボン酸、アミン、ヒドロキシル)又は非極性官能基(アルキル、ベンジル)をもつ微小粒子は、マトリックス全体に分散させることができる。マトリックスポリマーと比較して対照的な極性を有する微小粒子は、生物活性剤(1種以上)が局在し得るドメインを生じるように用いることができる。このことによって、マトリックスから生物活性剤の放出を制御する追加の機序が与えられる。すなわち、生物活性剤は、最初にミクロ微粒子から解離させなければならず、次に前記薬剤が局所媒体に放出されるマトリックス表面に拡散させなければならない。他の生物活性剤は、ミクロ微粒子のドメイン外で、マトリックスの中に分散させることができ、マトリックスを通しての拡散及び表面からの放出によって厳密に放出させることができる。ミクロ微粒子がポリマーマトリックスと比較的似ている極性を有する場合には、微小粒子はマトリックスに少なくとも部分的に可溶であり、1つの均質相を生じることができる。
【0070】
完全吸収性ポリマーマトリックスによって、ポリマーマトリックスから薬剤放出のために別の機序が与えられる。生体吸収性マトリックスは、典型的には加水分解を経て、分解速度に左右される時間依存方法において放出する生物活性剤を分解するように設計されている。更にまた、吸収性マトリックスの組成物は、所定の時間枠にわたって分解するように調整することができる。
【0071】
親水性ポリマーマトリックスによって、マトリックスの中の生物活性薬剤の溶解性だけでなく、局所水性環境からの水の吸収に直接に関係する機能的利点が与えられる。疎水性エラストマーポリジメチルシロキサンベースのマトリックスから構成される腟内リングは、非極性薬剤及び生物活性剤を可溶化するのに効果的であり得る; しかしながら、これらのマトリックスは極性添加剤及び生物活性剤の可溶化に効果的なものではなく、このために、親水性マトリックスが望ましい代替物である。
【0072】
両親媒性コポリマーマトリックスによって、同じ薬剤放出マトリックスの中で極性相と非極性相の両方が与えられる。この相分離は、有利には、マトリックスの異なる部分に生物活性剤を分離することができる。更にまた、異なる極性の生物活性剤も薬剤-マトリックス適合性に関係する合併症が少なく構築物に組み込むことができる。
【0073】
リングマトリックスへの無機ミクロ微粒子又は塩の組み込みは、生物活性剤の放出を調節するために使用し得る。ミクロ微粒子又は塩は、マトリックスへの水の吸収を増減するために選ばれ、このことによりマトリックスの膨潤に影響を及ぼすことができる。このことは、言い換えれば、マトリックスへの水の拡散及びマトリックスからの生物活性剤の拡散の速度に直接影響を及ぼすことである。適切な無機ミクロ微粒子又は塩の例は、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、及びハロゲン化物より選ばれ得る。
【0074】
ミクロ微粒子が所定の時間枠にわたって分解するにつれて微孔性になるコポリマーマトリックスは、経時多孔性の増大が可能である。マトリックス全体にわたる多孔性の発達は、マトリックスの中に存在する生物活性剤の消耗と一致するように設計されていることができ、それによって、残存する生物活性剤の放出を容易にする。従って、最後の留置相の間、この多孔性の移行は、生物活性剤の効果的な濃度が放出され続けることを確実にする。ミクロ微粒子の分解、及び対応する多孔性の増大は、月経周期における最も妊娠可能期間と一致するように調整され得るので、避妊が最も必要なときに生物活性剤の放出が生じる。
【0075】
多孔性マトリックスは、非多孔性マトリックスに対する有益な代替物である。多孔性は水がポリマーマトリックスの内部へ流れるのを可能にし、水の吸収及び生物活性剤の放出を容易にする。開放気孔構造もまた、マトリックスの中に深く閉じ込められていたものである生物活性剤の放出を可能にする。
【0076】
多層腟内リングは、従来の腟内リングを超える別の構成を与える。1つの利点は、複数の層が各層の中に特定の濃度の生物活性剤を含有するように設計されていることができることである。このタイプの構成は、所定の時間枠にわたって生物活性剤(1種以上)の投薬を制御するために使用し得る。例えば、リングの最も外側の層は、急速に放出されることを意図する生物活性剤を含有することができる - バースト放出のように即時若しくは数時間又は数日のどちらか。中間層は、同じ又は異なる生物活性剤、又はその組み合わせを含有することができ、前記生物活性剤(1種以上)の中間放出相を与えることができる。存在する場合、より深いより内部の層は生物活性剤(1種以上)の持続放出を可能にする遅延放出を与えることができる。更にまた、生物活性剤の濃度は、適切な投薬効果を生じるように各層で異なることができる。濃度は、例えば、腟内リングが最初に留置されたときにしばしば見られるバースト効果を低減させるために、最外側層において低下させることができる。更にまた、より内部の層の中の濃度は、所定の時間枠にわたって持続放出を維持するか若しくは特定の生物活性剤又は生物活性剤の組み合わせの遅延放出を高いレベルで与えるいずれかのために増加させることができる。多層構成の他の利点は、器具の個々の層に生物活性剤を分離する能力である。生物活性剤のこの分離は、マトリックス全体にわたって均一に分散させた薬剤を含有する腟内リングから得るのが困難である薬剤投薬及び放出速度論の制御を可能にすることができる。
【0077】
更にまた、多層器具の各層は、吸収性又は非吸収性ポリマー成分から設計又は製造することができる。吸収性層を有する1つの利点は、腟内リングの外面が経時加水分解されることができ且つ短時間枠で少なくとも1種の生物活性剤を放出することができることである。吸収性/非吸収性多層腟内リングの例は、外層が吸収性である(すなわち、加水分解性ポリエステルから製造される)器具である。この外層は水性環境における加水分解によって分解され、それによりこの層の中に分散される生物活性剤(1種以上)が放出される。外層が加水分解されると、潜在的に同じ又は異なる生物活性剤の持続放出又は遅延放出を与える拡散によって、下位層から生物活性剤の第2の放出が生じ得る。
【0078】
従って、本質的に非吸収性のミクロ微粒子、完全生体吸収性ポリマーマトリックス、生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックス、生体安定両親媒性エラストマーポリマーマトリックス、無機ミクロ微粒子を組み込んでいるマトリックス、微孔質ポリマーマトリックス、生体安定性エラストマー多孔質ポリマーマトリックス、及び生体安定性エラストマーコポリマーマトリックスの1つ以上を組み込み、これらのいずれもが複数の層を備えている本器具は、本明細書に記載されているように種々の利点を与える。
【0079】
下記に示される実施例は、更に本発明の器具及びその器具の調製方法を具体的に説明及び例示するものである。本発明の範囲が下記の実施例の範囲に決して制限されていないことは理解すべきである。実施例に用いられるか又は参照される出発材料及び種々の反応物は、商業的供給源から入手することができるか、又は当業者に周知の方法を用いて、市販の有機化合物から容易に調製される。例えば、本発明の器具は、米国特許第8057817号明細書及び同第8404272号明細書と同様にして調製し用いることができる。また、米国特許第7910126号明細書; 同第83236679号明細書; 同第8580293号明細書; 同第8580294号明細書; 米国特許出願公開第2012/0053534号明細書; 同第2012/0097171号明細書; 同第2012/0177716号明細書; 同第2013/0042873号明細書を参照のこと。
【実施例0080】
実施例1
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが生体安定性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である本質的に非生体吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製する。
【0081】
二成分バイオメディカルグレードシリコーン(例えば、SILASTIC商品名として米国ミシガン州ミッドランドのDow-Corningから; 又は米国ニュージャージー州ハッケンサックのMaster Bond Inc.又は米国ニュージャージー州イーストブランズウィックから入手できる)をグルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸、グリシン、及びポリアクリル酸微小粒子(例えば、Sigma-Aldrich、米国ミシガン州セントルイスから入手できる)と物理的に混合することによってリングを合成する。この混合物をキャビティモールドに注入し、引き続き、二部分シリコーンが硬化するまで80℃に加熱する。キャビティモールドを55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリングの形に成形して、約15mmの直径を有するチューブ状リング材料を得る。
【0082】
実施例2
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが完全生体吸収性のポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製する。
【0083】
3軸脂肪族コポリエステルの粒子(例えば、STRATAPRENE商品名としてPoly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソンから入手できる)とグルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸(AA)、グリシン、及びポリグリコリド微小粒子(例えば、Poly-Med、米国サウスカロライナ州アンダーソンから入手できる)とをブレンドすることによってリングを合成する。ポリエステル粒子は、4mm未満の直径、又は0.5から4.0mmまでの範囲にある直径を有する。ブレンドした混合物をキャビティモールドに注入し、ポリエステル粒子が融解しキャビティの形状を得るまで120℃に加熱する。モールドキャビティは55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリング形状である。
【0084】
実施例3
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが生体安定性親水性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製する。
【0085】
ポリエーテルウレタン尿素(PEUU)とグルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸(AA)、グリシン、及びポリグリコリド微小粒子とを物理的に混合することによってリングを形成する。この混合物をキャビティモールドに注入し、ポリマー-添加剤ブレンドがキャビティを充填するまで120℃に加熱し、これを55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリングに成形する。親水性ポリエーテルウレタンプレポリマーを合成し、次にジアミンと反応させて、PEUUを生成することによって、PEUUを最初に調製する(その他のリング成分とブレンドする前に)。次にポリマーを射出成形に適しているより小さい粒子に摩砕する(直径 < 4mmを有する粒子)。
【0086】
実施例4
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製してもよい。
【0087】
二部分の反応性シリコーン(一部分は親水性シリコーン(例えば、米国ペンシルバニア州モリスビルに本部を置くGelest, Inc.から入手できる; 例えば、ジメチルシロキサン-エチレンオキシドブロック/グラフトコポリマーを参照のこと)であり、第二の部分はSi-OH末端基を有する疎水性反応性シリコーンである)と、グルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸(AA)、グリシン、及びポリグリコリド微小粒子とを物理的に混合することによってリングを合成する。この混合物をキャビティモールドに注入し、引き続き、二部分のシリコーンが硬化するまで200℃に加熱する。モールドキャビティを55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリングの形に成形する。
【0088】
実施例5
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製する。
【0089】
二部分のバイオメディカルグレードポリエステルシリコーン(例えば、SILKOFTAL商品名としてドイツ、ノルトライン-ヴェストファーレン州エッセン、Evonikから入手できる)とグルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸(AA)、グリシン、及びポリグリコリド微小粒子とを物理的に混合することによってリングを合成する。この混合物をキャビティモールドに注入し、引き続き、二部分のシリコーンが硬化するまで200℃に加熱する。モールドキャビティを55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリングの形に成形する。
【0090】
実施例6
少なくとも1種の生物活性剤の徐放のための腟内リングであって、リングが生体安定性両親媒性エラストマーポリマーマトリックスを含み、マトリックスがリングから生物活性剤の放出を調節するのに効果的である吸収性ミクロ微粒子イオン交換ポリマーを含む、前記腟内リングを以下の通り調製する。
【0091】
両親媒性シリコーン(例えば、米国ペンシルバニア州モリスビルのGelest, Inc.から入手できる; 例えば、ドデシルメチルシロキサン・ヒドロキシポリアルキレンオキシプロピルメチルシロキサン、コポリマー、CAS番号145686-74-4を参照のこと)とグルコン酸第一鉄(FG)、アスコルビン酸(AA)、グリシン、及びポリグリコリド微小粒子とを物理的に混合することによってリングを合成する。この混合物をキャビティモールドに注入し、引き続き、この混合物が望ましい形を形成するまで250℃に加熱する。モールドキャビティを55mmの外径及び40.0mmの内径を有するリングの形に成形する。
【0092】
上記の種々の実施態様のいずれもが更なる実施態様を示すために組み合わせることができる。[挿入リスト]に含まれるがこれに限定されるものではない、本明細書に引用され且つ/又は出願データシートに挙げられた米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願及び非特許文献のすべてが全体で本願明細書に援用されている。種々の特許、出願及び文献の概念を使って更に他の実施態様を示すために必要ならば、実施態様の態様を変更することができる。
【0093】
一般に、下記の特許請求の範囲において用いられる用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施態様に対する請求項を制限するものとして解釈されてはならず、その特許請求の範囲の権利が与えられる等価物の完全な範囲とともにすべての可能な実施態様が含まれると解釈されなければならない。従って、特許請求の範囲は、開示内容によって制限されない。
【外国語明細書】