(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092000
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】スポーツ上の動作を強化するための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/89 20060101AFI20220614BHJP
A61K 36/22 20060101ALI20220614BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220614BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220614BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220614BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220614BHJP
A61K 31/522 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
A61K36/89
A61K36/22
A61P25/00
A61P25/28
A23L33/10
A23L33/105
A61K31/522
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064578
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2018558128の分割
【原出願日】2017-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】518387022
【氏名又は名称】ネクティウム ファルマ、エセ エレ
【氏名又は名称原語表記】NEKTIUM PHARMA S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ペレス‐マチン、ルベン
(72)【発明者】
【氏名】マテオス、カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ウィエベ、フリア、セ
(72)【発明者】
【氏名】ベガ‐モラレス、タナウス
(72)【発明者】
【氏名】ロペス‐リオス、ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス デル リオ、ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ゲリッケ、ナイジェル、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス‐ロドリゲス、アルバロ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトの警戒力、注意力、集中力および記憶力のうち少なくとも1つを強化するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】ヒトに組成物を投与することを含んでなり、前記組成物が:
a)ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量;
b)マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量;または
c)a)とb)との相乗的組み合わせ
を含んでなる方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒトの警戒力、注意力、集中力および記憶力のうち少なくとも1つを強化するための方法であって、前記ヒトに組成物を投与することを含んでなり、当該組成物が:
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量、
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量、または
c) 前記(a)と前記(b)との相乗的組み合わせ
を含んでなるものである、方法。
【請求項2】
前記組成物が、前記ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物を含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物が、水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物、または超臨界CO2抽出物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出物組成物が、ショクヨウガヤツリ根茎の皮の含水アルコール抽出物を含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの前記有効量が、1用量あたり20mg~20gである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物が、マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の前記有効量を含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マンギフェリンまたは前記ノラチリオールの前記有効量が、1用量あたり20mg~5gである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物の前記有効量が、1用量あたり20mg~5gのマンギフェリンまたはノラチリオールを提供するために十分な量である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物が、マンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、およびそれらの混合からなる群から選択される属の植物種のマンギフェリン含有抽出物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、前記(a)と(b)との相乗的組み合わせを含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記(a)が、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの、水抽出物、アルコール抽出物、含水アルコール抽出物、または超臨界CO2抽出物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記(a)が、ショクヨウガヤツリ根茎の皮の含水アルコール抽出物を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記(b)が、マンギフェリン、またはマンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、コフィア、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、およびそれらの混合からなる群から選択される属の植物種のマンギフェリン含有抽出物を含んでなる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記(a)と(b)の比が、約1:1~約50:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記(a)と(b)の比が、約1:1~約20:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記(a)と(b)の比が、約4:1~約15:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記(a)の有効量が、1用量あたり20mg~20g、および前記マンギフェリンまたは前記マンギフェリン含有抽出物の前記有効量が1用量あたり5mg~5gである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、1用量あたり10mg~20gを含有する単位用量として提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、ビタミンB群、カフェイン、シチコリン、シトルリン、コリン、ホスファチジルコリン、クルクミン、フペルジン、ルテオリン、イボガイン、マグネシウム、N-メチルチラミン、オメガ3脂肪酸、オクトパミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルセリン、ケルセチン、ルチン、レスベラトロール、シネフリン、タウリン、タキシフォリン、テアニン、テオブロミン、キサントフモール、ヤンゴニン、ヨヒンビン、エクジステロイド(20HE)抽出物であって、アロイジア、アルピニア、アストラガルス、バコパ、センテラ、シトラス、コカ、コーラ、クルクマ、コフィア、セラストラス、カメリア、エレウテロコックス、エフェドラ、エウテルペ、ガルシニア、ギンコ、ガノデルマ、グリシリザ、イカリン、イレックス、ケンペリア、オシマム、ポーリニア(Paullinia)、パナックス、ファフィア、パイパー・プエラリア、ロディオラ、ラポンチカム(Rhaponticum)、キンゴジカ、シデリティス、タベルナンテ、テオブロマ、ヴィティス、ウィザニア、ショウガ、ナツメ属の植物種のエクジステロイド(20HE)抽出物、およびそれらの混合物からなる群から選択される有効成分をさらに含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
カフェインまたはテオブロミンを含んでなる製品の、前記注意力、警戒力、集中力、および記憶力を強化する効果を維持する一方で、前記カフェインまたはテオブロミンの副作用を減少させる方法であって、前記方法が:
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量、
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量、または
c) 前記(a)と(b)との相乗的混合物
を含んでなる組成物によって、前記製品中の前記カフェインまたはテオブロミンの全部または一部を置換することを含んでなる、方法。
【請求項21】
前記方法が、前記製品中の前記カフェインまたはテオブロミンの全部または一部を前記組成物によって置換することを含んでなり、前記製品から除去されるカフェインまたはテオブロミンが、それぞれの1ミリグラムあたり:
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの前記抽出物の20mg~200mg、
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の1~20mg、または
c) 前記(a)と(b)との相乗的混合物
によって置換される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
警戒力、注意力、集中力および記憶力のうち少なくとも1つを強化するための組成物であって、前記組成物が:
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量、および
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量
を含んでなる、組成物。
【請求項23】
前記ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物が、水抽出物、アルコール抽出物、または含水アルコール抽出物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が、ショクヨウガヤツリ根茎の皮の含水アルコール抽出物を含んでなる、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記マンギフェリン、前記ノラチリオール、または前記マンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の前記有効量が、1用量あたり20mg~5gである、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物が、マンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、およびそれらの混合からなる群から選択される属の植物種のマンギフェリン含有抽出物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、前記(a)と(b)との相乗的組み合わせを含んでなる、請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、粘膜吸収のための口中で溶解または分散する頬ストリップ、チューインガム、舐剤、発泡錠、カプセル、食品、または食用エマルションである、請求項22に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、マヨネーズ、卵を含まないマヨネーズ代用物、オランデーズソース、バター、またはマーガリンからなる群から選択される食用エマルションである、請求項28に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、望ましくない身体的または心理的副作用を引き起こすことなく、脳活動を増強し、かつ眠気を防ぐ組成物に関する。本発明はさらに、脳におけるカフェインの活性を模倣する組成物、およびそのカフェイン代替物としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、注意力、警戒力、集中力および記憶力を高め、エネルギー製品および組成物におけるカフェインまたはテオブロミンの代用物または低減物として有用な組成物に関する。この新規組み合わせには、チュウファ(ショクヨウガヤツリ)としても知られるタイガーナッツの植物抽出物、および起源が異なる可能性のあるマンギフェリンを含む抽出物が含まれる。例えばマンギフェリン含有抽出物は、マンゴーリーフ抽出物、ハニーブッシュティー、またはコーヒーリーフの抽出物であってよい。
【0003】
ストレスに曝されあるいは疲労した状態で、人々はしばしば消耗し、抑うつ気分や疲れを感じ、エネルギーを持続的に増幅して集中力、注意力、警戒力および気分を上昇させることを求める。コーヒーならびにカカオに含まれるカフェインおよびテオブロミンによってもたらされる、警戒力および精神的エネルギーを強化する効果を主な理由として、世界中では1日に21億杯のコーヒー、1年に720万トンのチョコレートが消費されている。このような中枢神経系(CNS)の刺激物質は、警戒力と集中力、持久力、動作、反応時間、およびトレーニングセッションの強度を増大させるためと、交代勤務者の眠気を少なくするために、運動選手および軍関係者によって使用され、かつ、集中力、学習および記憶を改善するためと、気分を高揚させてストレスを制御するために、学校および大学の学生によって使用される。本組成物の望ましい効果は、消費後おおよそ30分から1時間後に始まり、中程度の用量から得られる効果は通常約3時間から4時間後に元へ戻る。通常1杯のコーヒーには80~175mgのカフェインが含まれるが、これはコーヒーの淹れ方、供給源、例えばフレッシュもしくはインスタントコーヒーのブランド、または使用する種々の「豆」(種子)に依存する。加えて、カフェインを含むCNS刺激物質は、トレーニングおよび持久力を含むスポーツ上の動作に有意な改善をもたらし得る。
【0004】
しかしながら、カフェインは習慣性にもなり、大量に消費され、エネルギー強化製品にも含まれているチョコレートおよびコーラのようなカフェインを含む他の製品と同様に、過剰なカフェインの消費は重大な健康上の懸念に関連する。カフェインまたはテオブロミンの過剰使用は、神経過敏、動揺、不整脈、徐脈、頻拍、血圧上昇および血管収縮の原因となり、軽度の不安症、いら立ち、不眠症、睡眠潜時の上昇および協調の低下を導く。これらの副作用のため、例えば英国食品基準庁は、妊婦のカフェイン摂取については慎重を期して、1日に2杯のインスタントコーヒー、または1.5杯から2杯のフレッシュコーヒーに相当する、200mg未満のカフェインに限定することを推奨している。
【0005】
神経伝達物質の受容体および輸送体は、中枢神経系における薬物の主な標的を代表する。薬物とこれら分子との相互作用はシグナル伝達カスケードを誘導し、これが最終的にイオンチャネル透過性を制御する。単一神経細胞の電気的活性は、一時的に活性をもつ一連のイオンチャネルに依存することから、神経細胞間の伝達はチャネル活性によって支配される。脳の電場の電位は、フィードバックループからの複雑な調節を含む神経伝達と調和した、薬物とその標的との相互作用を表すことによって、電気的に活性のある神経細胞の広範な局所的ネットワークからの正味の電気的情報を反映する。薬物の存在下における電場電位の頻度分析により、ラットおよびヒトの脳における薬物作用を特徴付けるために広く用いられている、いわゆる電気薬理図(electropharmacogram)が導かれる。新規組成物の電気薬理図は参照医薬品および植物の電気薬理図と比較されてよいが、これは、新規組成物と参照化合物の間の電気薬理図の類似性がCNS活性の類似性を示し、ヒトにおけるその組成物の健康的応用の理解が可能となるためである。Dimpfel,W.2015.Drug Discovery and Translational Medicine。Freienbrink Herstellung und Verlag.ISBN:978-3-7386-7039-4,pp.47-54。
【0006】
CNS刺激物質は脳波活動に影響を与えることが示されてきた。減弱または刺激のパターン、および脳波活動のタイプが、警戒力、注意力、集中力を含む、根底にある脳の活動を反映すること、および活動の解剖学的位置が、特定の脳機能、例えば海馬の活性化を通した記憶の活性化にも関連し得ることは、当該技術分野において周知である。例えば眠気および/または疲労は、アルファ波活動の有意な増加と、ガンマ波活動の減少に関連することが示されてきた。Papadelis et al.,Proceedings of the 28th IEEEEMBS Annual International Conference,New York City,USA,Aug 30-Sept 3,2006,pp.6201-6204。ガンマ帯域のEEG活動の増加は、高度な覚醒、警戒、または注意の状態に付随する。EEGにおけるアルファおよびベータ活動の減少は、一般に神経伝達の増加に関連しており、警戒力を上昇させる。
【0007】
脳におけるガンマ波活動の増加は、記憶形成の成功に関連することが示されてきた。対照的にアルファ波活動の増加は、記憶動作の低下に関連することが示されてきた。Sederberg et al.,Cerebral Cortex,Vol.17,pp.1190-1196(2007)。海馬は情報の短期記憶から長期記憶への伝達に関連していることから、海馬におけるガンマ活動を増加させる、および/または海馬におけるアルファ活動を減少させるCNS刺激物質は、長期記憶の増強に望ましいものである。
【0008】
本開示は、食品または飲料中のカフェイン/テオブロミン量を置換または減少させる一方で、警戒力、注意力、集中力および記憶力に対するカフェイン/テオブロミンの利点を保持するために有用な組成物を提供する。本明細書に開示される組成物は、神経過敏、不安症、動揺、不整脈、徐脈、頻拍、血圧上昇または血管収縮を引き起こさないが、カフェインまたはテオブロミンに付随するCNS活性化効果を提供する。
【0009】
本明細書に開示される組成物は、比較的長時間にわたり警戒、注意力、専念および幸福感を高めるが、実質的に副作用がなく、習慣性の可能性もないため、いずれのヒトまたは哺乳類においても長期の消費が可能である。
【0010】
本明細書に開示される組成物は、シェイク、スムージー、飲料、チョコレートおよびエナジードリンクを含む食品ならびに飲料製品に、カフェインまたはテオブロミンの既知の弱点なしに警戒力を強化する品質を提供するために使用されてよい。
【0011】
前述した本発明の目的および利点は、種々の代表的実施形態によって達成され得ることの例示であり、実現の可能性がある利点を網羅するか、または限定することを意図したものではない。したがって、種々の代表的実施形態についての、これら、ならびにその他の目的および利点は、本明細書の記載から明らかであるか、または種々の代表的実施形態を、本明細書で具体化されたか、または当業者に明らかであり得るいずれかの変動に照らして改変されたかの両方の場合に従った実践から知ることができる。したがって本発明は、本明細書に示し、かつ種々の代表的実施形態に記載された、新規方法、配置、組み合わせ、および改善に存在している。
【発明の概要】
【0012】
カフェインおよび関連化合物の代用物に対する現在の必要性を踏まえ、開示される種々の実施形態の概要について簡単に述べる。以下の概要には幾らかの単純化および省略が為されている場合があり、それらは開示される課題の幾つかの態様を強調かつ紹介するために意図されたものであって、本発明の範囲を限定するものではない。当業者が本発明の概念を作り出し、かつ使用することを可能にするために適した好ましい実施形態の詳細な説明は、後記する。
【0013】
本明細書に開示される種々の実施形態は、ショクヨウガヤツリ(Cyperus esculentus)およびマンギフェリン(mangiferin)の抽出物を含む、カフェインの代替または減少のための、2つの天然産物の組み合わせに関する。この組み合わせは、カフェインまたはテオブロミンによって提供されるCNS刺激物質の効果に匹敵する効果を有するが、カフェインまたはテオブロミンの負の弱点をもたない。この組み合わせに習慣性はない。さらなる利点のため、この組み合わせを多数の天然化合物または植物抽出物、または香料と組み合わせてよいか、または幾つかの様式である現存の型式、処方および食品、例えば液体または粉末、顆粒、ガムまたはサシェに加えてもよい。
【0014】
開示の発明の成分は、ホールタイガーナッツもしくはタイガーナッツの皮の水またはエタノール抽出物、および、純粋なマンギフェリン、または例えばマンゴーリーフ、マンゴーの果実、もしくはハニーブッシュティーの抽出に由来する、マンギフェリンに標準化された植物抽出物である。これらの産物は、異なる産物の一部を形成してよく、異なる割合で組み合わせて、その他の成分に加えてもよい。
【0015】
本明細書に開示される種々の実施形態は、それを必要とするヒトにハーブ組成物を投与することによって、前記ヒトにおける警戒力、注意力、集中力、および記憶力のうち少なくとも1つを強化するための方法に関する。前記ハーブ組成物は、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量を含んでよい。幾つかの実施形態では、前記ハーブ組成物は、マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量を含んでなってもよい。その他の実施形態では、前記ハーブ組成物は、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量と、マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量との混合物を含んでよい。
【0016】
種々の実施形態では、ショクヨウガヤツリの皮および/もしくはショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物は、水抽出物、アルコール抽出物、または含水アルコール抽出物である。ショクヨウガヤツリの抽出物は、ショクヨウガヤツリの根茎の皮の含水アルコール抽出物であってもよい。ショクヨウガヤツリの皮および/またはショクヨウガヤツリの根茎の抽出物は、1用量あたり20mg~20gの量で使用されてよい。
【0017】
の実施形態では、前記ハーブ組成物は、1用量あたり20mg~5gの量で使用される、マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物を含む。幾つかの実施形態では、前記ハーブ組成物は、1用量あたり20mg~5gのマンギフェリンまたはノラチリオールを提供するために十分な量の、マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物を含む。前記マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物は、マンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、コフィア、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、コフィア、およびそれらの混合からなる群から選択される属の植物種のマンギフェリン含有抽出物であってよい。
【0018】
本明細書に開示される種々の実施形態は、それを必要とするヒトに、
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量;および
b) マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物の有効量
の混合物であって、(a)と(b)の比が約1:1~約50:1、約1:1~30:1、約2:1~25:1、約1:1~20:1、約4:1~15:1、約10:1~15:1、または約12:1である混合物を投与することによる、ハーブ組成物の投与によって、前記ヒトにおける警戒力、注意力、集中力、および記憶力のうち少なくとも1つを強化するための方法に関する。種々の実施形態では、(a)の有効量は1用量あたり20mg~20g;および前記マンギフェリンまたは前記マンギフェリン含有抽出物の有効量は1用量あたり5mg~5gである。幾つかの実施形態では、(a)と(b)との混合物は、1用量あたり約10mg~約20gを含有する単位用量として提供される。
【0019】
種々の実施形態では、本明細書に開示されるハーブ組成物は:
i. ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物;
ii. マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物の有効量;または
iii. (i)と(ii)の混合物であって:
b) ビタミンB群、カフェイン、シチコリン、シトルリン、コリン、クルクミン、フペルジン、ルテオリン、イボガイン、マグネシウム、N-メチルチラミン、オレアミド、オメガ3脂肪酸、オクトパミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルセリン、ケルセチン、ルチン、レスベラトロール、シネフリン、タウリン、タキシフォリン、テアニン、テオブロミン、キサントフモール、ヤンゴニン、ヨヒンビン、エクジステロイド(20HE)抽出物であって、アフラモムム、アロイジア、アルピニア、アストラガルス、バコパ、センテラ、シトラス、コカ、コーラ、クルクマ、コフィア、セラストラス、カメリア、エレウテロコックス、エフェドラ、エウテルペ、ガルシニア、ギンコ、ガノデルマ、グリシリザ、イカリン、イレックス、イルビンギア、ケンペリア、オシマム、ポーリニア(Paullinia)、パナックス、ファフィア、パイパー・プエラリア、ロディオラ、ラポンチカム(Rhaponticum)、キンゴジカ、シデリティス、タベルナンテ、テオブロマ、ヴィティス、ウィザニア、ショウガ、ナツメ属の植物種のエクジステロイド(20HE)抽出物、およびそれらの混合物からなる群から選択される有効成分と組み合わせた、(i)と(ii)の混合物
を含んでなるハーブ組成物を含む。
【0020】
本明細書に開示される種々の実施形態は、カフェインまたはテオブロミンを含んでなる製品の、注意力、警戒力、集中力および記憶力を強化する効果を維持する一方で、カフェインまたはテオブロミンによる副作用を減少させる方法に関する。前記方法は、製品中のカフェインまたはテオブロミンの全部または一部を、
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量であって、前記抽出物の約20mg~約20,000mg、約100mg~約5000mg、約500mg~約4000mg、または約1000mg~約3000mgであってよい有効量;
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量であって、前記抽出物の約1mg~約50mg、約1mg~約35mg、約1~約20mg、約5~約15mg、または約8~約12mgであってよい有効量;または
c) (a)と(b)との相乗的混合物
を含んでなる組成物によって置換することを含んでなる。種々の実施形態では、カフェインまたはテオブロミンを含んでなる製品から除去されるカフェインまたはテオブロミンは、それぞれの1ミリグラムあたり、ショクヨウガヤツリの皮および/または根茎の抽出物の20mg~200mg、および/またはマンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の1~20mgによって置換される。
【0021】
本明細書に開示される種々の実施形態は、
a) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物の有効量であって、前記抽出物の約20mg~約20,000mg、約100mg~約5000mg、約500mg~約4000mg、または約1000mg~約3000mgであってよい有効量;
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量であって、前記マンギフェリンまたはノラチリオールの約1mg~約50mg、約1mg~約35mg、約1~約20mg、約5~約15mg、または約8~約12mgであってよい有効量;または
c) (a)と(b)との相乗的混合物
を含んでなる組成物の投与を通して、スポーツ上の動作を強化するための方法に関する。種々の実施形態では、カフェインまたはテオブロミンを含んでなる製品から除去されるカフェインまたはテオブロミンは、それぞれの1ミリグラムあたり、ショクヨウガヤツリの皮および/または根茎の抽出物の20mg~200mg、および/またはマンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の1~20mgによって置換される。
【0022】
チュウファおよびマンギフェリンのいずれか、または両方は、スポーツ上の動作を目的とした製品中のカフェインを置換または減少するために使用できる。両抽出物により、注意力、警戒力、および反応時間の強化を通して、スポーツ上の動作を強化する活性が得られることが予想される。これらの抽出物は、カフェインとほとんど同じ様式で集中力および持久力を強化すると予測される。しかしながらこれらの抽出物には、カフェインに付随する望ましくない副作用は無いことが示されてきた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
種々の代表的実施形態をより良く理解するため、添付の図面への参照が行われる。
【
図1】ショクヨウガヤツリの皮、30%エタノール抽出物(150mg/kg)とマンゴーリーフ抽出物(60%マンギフェリン;25mg/kg)の組み合わせ;マンゴーリーフ抽出物(60%マンギフェリン;25mg/kg);ショクヨウガヤツリの皮、30%エタノール抽出物(100mg/kg);カフェイン(1mg/kg);ガラナ(15mg/kg);シチコリン(48mg/kg);およびマンギフェリン(25mg/kg)の脳造影(EEG)試験を示す。
【
図2】
図2Aから2Dは、前頭皮質、海馬、および線条体における、生理食塩水対照(
図2A)、ショクヨウガヤツリの塊茎根茎、30%エタノール抽出物(
図2B)、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物(
図2C)、およびショクヨウガヤツリの塊茎根茎、30%エタノール抽出物と、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物の混合物(
図2D)の、神経活性への影響を示す。
【
図3】
図3Aから3Cは、以下の記録条件:「開眼」(
図3A)、ストループ検査(
図3B)および十字形の注視(fixation on a cross)(
図3C)で記録されたEEGデータを用いて、ヒト被験体のアルファ波に対するチュウファの皮抽出物とマンゴー抽出物の混合物の影響を示す。
図3Aから3Cの各グラフは、左から右へ、ガンマ、シータ、アルファ1、アルファ2、ベータ1、ベータ2、およびガンマ波を示す。
【0024】
図では、統計的有意性をp値に関連して以下のように示す。
p<0.10:*
p<0.05:**
p<0.01:***
【発明を実施するための形態】
【0025】
本出願は、それを必要とするヒトに組成物を投与することを含んでなる、前記ヒトにおける警戒力、注意力、集中力、および記憶力のうち少なくとも1つを強化するためのハーブ組成物に関し、前記組成物は:
a) ショクヨウガヤツリの抽出物の有効量;
b) マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物の有効量;または
c) (a)と(b)との相乗的組み合わせ
を含んでなる。
【0026】
本出願において、用語「約」は、列挙される量の通常の変動幅を包含する。生物学的有効成分の有効量との関連で、用語「約」は、剤形の実際の量が、記載された値の80%~125%、90%~110%、または95%~105%であることを意味する。生物学的有効成分間の比との関連で、用語「約」は、記載された値の±20%、±10%、または±5%を意味する。
【0027】
本出願において、用語「それを必要とするヒト」は、警戒力、注意力、集中力の改善、および/または記憶力の強化を必要とするいずれかのヒトまたはヒト被験体を指す。このようなヒトまたはヒト被験体は、小児、青年、成人、または高齢者であってよい。このようなヒトまたはヒト被験体は、運動動作の改善を必要とする運動選手であってもよい。警戒力、注意力および集中力を改善する治療または補給を必要とするヒトは、交代勤務者、医療従事者、軍関係者、長距離運転手、注意力欠陥障害を有する人々、または注意力欠陥多動性障害を有する人々であってよい。記憶力を改善する治療を必要とするヒトは、正常な老化における認知低下、軽度の認知機能障害、認知症、アルツハイマー病、またはパーキンソン病を患うヒトであってよい。
【0028】
本明細書に開示される種々の実施形態は、ショクヨウガヤツリの抽出物の有効量を含んでなる、警戒力、注意力、集中力および/または記憶力を強化するためのハーブ組成物に関する。ショクヨウガヤツリの抽出物は、植物全体の、またはいずれかの植物部分の抽出物であってよい。ショクヨウガヤツリの抽出される植物部分は、葉、皮、根、根茎、茎、塊茎、またはそれらの組み合わせであってよい。ショクヨウガヤツリの抽出物は、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、ショクヨウガヤツリの根茎由来の皮、またはそれらの組み合わせの抽出物であってよい。ショクヨウガヤツリの植物部分は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物によって、または臨界未満もしくは超臨界二酸化炭素によって抽出されてよい。有機抽出溶媒は、DMSO、アセトン、またはそれらの混合物のような極性非プロトン性溶媒;または1~4個の炭素原子を有する低級アルコールのような極性プロトン性溶媒であってよい。種々の実施形態では、ショクヨウガヤツリの抽出物は、水、1~4個の炭素原子を有する低級アルコール、またはそれらの混合物を用いた抽出に由来する、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、ショクヨウガヤツリの根茎由来の皮、またはそれらの組み合わせの抽出物である。幾つかの実施形態では、ショクヨウガヤツリの抽出物は、水とエタノールの含水アルコール混合液を用いた抽出に由来する、ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、ショクヨウガヤツリの根茎由来の皮の抽出物である。
【0029】
本明細書に開示される種々の実施形態は、マンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる、警戒力、注意力、集中力、および/または記憶力を強化するためのハーブ組成物に関する。マンギフェリンは式Iaで表される構造を有し、式中Rは1,5-アンヒドロ-D-グルシトール環である。ノラチリオールはマンギフェリンのアグリコンであり、式Ibで表される構造を有し、式中Rはヒドロキシルである。他に説明の無い限り、本明細書におけるマンギフェリンとの用語は:
純粋な化合物としてのマンギフェリンであって、ここで「純粋な」は、化合物が少なくとも90%のマンギフェリン、少なくとも95%のマンギフェリン、少なくとも98%のマンギフェリン、または少なくとも99.5%のマンギフェリンであることを意味するように定義されるマンギフェリン;または
マンギフェリンとノラチリオールとの混合物の少なくとも90重量%を含んでなる組成物
を包含するものとして定義される。
【化1】
【0030】
マンギフェリンはキサントノイドポリフェノールである。マンギフェリンは、マンゴー果実、マンゴーの皮、マンゴー樹皮、マンゴーリーフの抽出物を含む幾つかの植物において、ならびにサイクロピア種(ハニーブッシュティー)およびサラシア属の種において見出される。マンギフェリンは、アルツハイマー病における認知機能の改善に有用な活性であるアセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有する。
【0031】
マンギフェリン、キサントノイドは、キサントン骨格から形成される天然フェノール化合物である。マンギフェリンについては、そのアグリコンであるノラチリオールは代替成分として常に含まれている。マンギフェリンは抗酸化性および抗炎症性で、抗糖尿病性、抗癌、および抗酸化効果、ならびに抗炎症性、抗ウイルス性、免疫調節性および抗菌活性を含む種々の薬理学的活性を呈することが示されている。マンギフェリンには、神経変性疾患に関連したストレス誘導性の影響の防止、神経性の脳欠陥の減少および神経細胞損傷への好ましい効果が報告されており、マンギフェリンが神経の炎症および酸化的傷害に関連した病態において重要な役割を果たし得ることを示している。マンギフェリンは、認識記憶力を強化し、記憶障害を改善し得る一方で、その抗うつ様効果にはMAOAの阻害が関与すると考えられている。注意力、警戒力、集中力、反応時間または幸福感の上昇を示す効果について、文献には記載されていない。
【0032】
本発明のマンギフェリンは、マンギフェリンを含有する植物から好ましく抽出される。所望の物質の優れた源は、マンゴー(果実もしくは葉)またはハニーブッシュティーであり、これらは原料に依存して20~70%のマンギフェリン濃度に好ましく標準化される。しかしこれは、マンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、コフィア、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、およびコフィア属の植物種を含む他の源からも得ることができる。
【0033】
タイガーナッツ(ショクヨウガヤツリ)は世界中に広く分布するスゲ科の作物であり、市場およびスーパーマーケットで入手できる一般的なスペインの食品である。スペインでは、タイガーナッツの乳白色の抽出物(すなわち「horchata de chufa」)は、年間6,000万ユーロの経済効果をもたらす非アルコール飲料である。タイガーナッツは、繊維、タンパク質、糖類、オレイン酸およびグルコース、ならびにリン、カリウム、およびビタミンCとEが豊富である。タイガーナッツは、血液循環を強化し、心臓病を予防し、大腸癌のリスクを低下させるために有用である。チュウファの注意力、警戒力、集中力または記憶力の増大効果については、科学文献に記載されている。
【0034】
ホールタイガーナッツならびにタイガーナッツの皮の水および30%エタノール抽出物は大量の脂肪および炭水化物を含有するが、アルカロイドまたはフラボノイドは検出されない。前記抽出物は非常に好ましい甘い味であるため、味について制限する必要はない。4gのタイガーナッツ抽出物の経口摂取により、精神的エネルギーの円滑な高揚と沈静効果が得られる。
【0035】
タイガーナッツとマンギフェリンを組み合わせると、マンギフェリンの苦味と独特な風味が抑えられることが、本発明に基づいて見出された。さらに、前記組み合わせの電気薬理図(electropharmacogram)は、カフェインの電気薬理図と明らかに類似している(
図1)。前記組み合わせを経口摂取してから20~30分後に、警戒力、注意力、および記憶力に関連するガンマ波(
図2D)が相乗的に増加した。ガンマ波は運動にも関連し得るが、運動センサーによって運動には変化が無いことが示されたため、ガンマ波の増加は、警戒力、注意力および記憶力に関連し得るものである。ガンマ波における本効果は、5時間という驚くほどの長時間持続し、この組み合わせにおいてのみ見られ、ショクヨウガヤツリの塊茎根茎抽出物のみ(
図2B)またはマンギフェリンのみ(
図2C)の投与では観察されなかった。ヒトの試験(n=9)では、通常カフェインに関連して見られる副次的影響に匹敵する影響は観察されなかった。加えて本発明は、ラットで示されるように(
図2D)、神経伝達の活性化を表す、海馬脳波の相乗的な減弱をもたらした。
【0036】
マンギフェリンおよびそのアグリコン代謝産物であるノラチリオールは、開示される組成物中に、純粋な化合物として、またはマンゴー、サラシア、サイクロピア、オトギリソウ、カンスコーラ(Canscora)、ファグラエア、ゲンチアナ、ホッピー(Hoppea)、コフィア、センブリ、オトギリソウ、ヒメハギ、ナツメ、コフィアおよびそれらの混合からなる群から選択される属の植物種の抽出物の成分として、含まれていてよい。前記植物種はマンギフェリンおよび/またはノラチリオールを含有し、水、水性塩基、極性プロトン性有機溶媒、極性非プロトン性有機溶媒、またはそれらの混合液によって抽出されてよい。種々の実施形態では、前記植物種はマンギフェリンを含んでなり、水、1~4個の炭素原子を有する低級アルコール、またはそれらの混合液によって抽出される。
【0037】
種々の実施形態では、前記ハーブ組成物は、1用量あたり20mg~5gの量で使用される、マンギフェリン、ノラチリオール、またはマンギフェリンもしくはノラチリオールを含んでなる抽出物を含有する。前記ハーブ組成物は、1用量あたり20mg~5gのマンギフェリンまたはノラチリオールを含んでなる抽出物を含有してよい。抽出物中のマンギフェリンおよび/またはノラチリオールの濃度が既知の場合、前記抽出物は、1用量あたり20mg~5gのマンギフェリンまたはノラチリオールの提供に十分な量において提供されてよい。したがって、例えばマンゴー属の植物の抽出物が30%のマンギフェリンを含有する場合、前記抽出物は、前記抽出物の重量に基づいて1用量あたり20mg~5gの量において提供されてよい。あるいはマンゴー抽出物は、1用量あたり66.7mg~16.7グラムの量を投与して、1用量あたり20mg~5gのマンギフェリンを提供するようにしてもよい。
【0038】
開示される種々の実施形態は、チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物とを含有するハーブ組成物に関し、前記組成物は、前頭皮質、海馬、線条体、および/または網様体におけるCNS活性の強化に有効である。種々の実施形態では、前記組成物は、脳におけるアルファ波活動の低下を伴うガンマ波活動の上昇によって示されるように、記憶力の強化に有効である。前記組成物はまた、EEGにおけるアルファおよびベータ活動の低下とガンマ波活動の上昇によって示されるように、警戒力および注意力の増大に有効である。
【0039】
動物の脳造影(EEG)試験を通し、本出願は、チュウファまたはタイガーナッツ抽出物(ショクヨウガヤツリの塊茎根茎の抽出によって調製)およびマンギフェリン(純粋な化合物としての)およびマンギフェリン含有植物抽出物は、CNSでの特性に関して互いに明らかに類似していることを実証する。さらに、これらの活性は、既知のCNS刺激物質であるカフェイン、ガラナ(Paullinia cupanaのカフェイン含有植物抽出物)、シチコリン(向知性薬)としても知られるシチジン5’-ジホスホコリンに驚くほど類似している。チュウファ抽出物の効果はマンギフェリンよりも低い。ヒト成人被験体において、約4グラムのチュウファ抽出物の活性は、約400mgのマンギフェリンの活性とほぼ同じである。
【0040】
本明細書に示される重要な発見は、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンギフェリンが、互いに、かつカフェインに対して、非常に類似したCNS活性効果を有することである(EEGによって証明された)。しかしながらカフェインとは異なり、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンギフェリンは、摂取時に沈静、ストレス解消の活性も示す。さらに、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンギフェリンはプラトー効果を示す。これらの抽出物は、特定の閾値を超えて多量に摂取してもCNSを強く刺激しないため、乱用の可能性は最小限である。高い摂取量または用量であっても、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンギフェリンは、カフェインの過剰用量によって引き起こされる周知の副作用、例えば悪心、頻脈または不整脈、易怒性、および集中力の欠如を示さない。
【0041】
チュウファの皮は、先行技術では一般にチュウファ処理の廃棄物とみなされている。しかしながら、チュウファの皮、例えばチュウファの塊茎根茎の皮の30%エタノール-水抽出物は、ホールチュウファの30%エタノール-水抽出物よりもさらに強力な活性化活性を示し、ホールチュウファの30%エタノール-水抽出物はホールチュウファの水抽出物よりもさらに強力な活性を有することが発見された。しかしながら、チュウファの塊茎根茎のエタノール、水、および含水アルコール抽出物はすべて望ましいCNS活性化活性を示す。
【0042】
種々の実施形態では、チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物は、個々の有効成分として摂取され得る。チュウファまたはタイガーナッツ抽出物は、成人のヒトにおいて、約0.1g/日~約10g/日、約0.5g/日~約8g/日、約1g/日~約5g/日、または約1g/日~約4g/日の量が望ましく摂取される。成人のヒトにおいて、マンギフェリン含有植物抽出物は、約25mg/日~約5g/日、約50mg/日~約2g/日、約100mg/日~約1g/日、または約200mg/日~約400mg/日の量が望ましく摂取される。
【0043】
チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物は、線条体におけるガンマ波活動、および海馬におけるCNS活性に対して相乗的活性を有する。線条体におけるガンマ波活動の上昇は、前記組成物が警戒力および注意力を高める証拠である。海馬は辺縁系に属し、情報の短期記憶から長期記憶への固定、および空間ナビゲーションに重要な役割を果たす。したがって海馬におけるCNS活性の変化のパターンは、開示されるチュウファ/マンギフェリン組成物が、記憶力に対して有益な効果を有することを示唆する。チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物は、約0.5:1~約30:1、約1:1~約20:1、約5:1~約10:1、および約7.5:1の比で好ましく組み合わされる。
【0044】
チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物は、個別に摂取するか、または組み合わせて摂取するかを問わず、迅速に作用を開始する。経口摂取後1時間以内、または頬粘膜からの吸収後15~20分以内に、EEGの結果は神経活性に対する抽出物の効果を示す。前記抽出物の作用の持続時間は、3~6時間と長い。チュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物とを組み合わせて同時に摂取すると、作用の持続時間は少なくとも5時間であり、5時間後の脳波活動における前記組み合わせの効果は、前記抽出物を別々に摂取してから5時間後の脳波活動における効果よりも有意に大きい。
【0045】
本明細書に開示されるチュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物を、個別に、または組み合わせて摂取したヒトは、前記抽出物が専念および集中力を強化したと報告している。本明細書に開示されるチュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物を、個別に、または組み合わせて摂取したヒトは、前記抽出物が専念および集中力を強化し、意欲を改善し、気分を高揚させるが、同時に沈静の感覚、不安症の低減、ストレス、緊張および神経過敏の低減、および衝動性の低減も誘導すると報告している。カフェインとは異なり、前記抽出物は、非常な高用量でも、神経過敏、易怒性、いら立ち、集中力の欠如、または頻脈および不整脈を起こさない。
【0046】
本明細書に開示されるチュウファまたはタイガーナッツ抽出物とマンギフェリン含有植物の抽出物は、苦味の無い好ましい味で、機能性食品および飲料への応用に完璧に適している。前記抽出物は、食品、飲料、およびサプリメント中のカフェインを低減させるかまたは置き換えるために使用でき、カフェインへの渇望またはカフェインによる離脱を起こさない。上で考察したように、本明細書に開示されるハーブ組成物は:
ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリの根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物;
マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物の有効量;または
ショクヨウガヤツリの皮または根茎の抽出物と、マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物との混合物
を含んでなるハーブ組成物を含有する。
【0047】
特許請求される組成物は:
i) ショクヨウガヤツリの皮、ショクヨウガヤツリ根茎、またはそれらの組み合わせの抽出物を約10重量%~約95重量%、約25重量%~約90重量%、約40重量%~約85重量%、または約50重量%~約80重量%;および気分を高揚させるかまたはストレスもしくは不安症を減少させるためのさらなる成分を約5重量%~約90重量%、約10重量%~約75重量%、約15重量%~約60重量%、または約20重量%~約50重量%;
ii) マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物を約10重量%~約95重量%、約25重量%~約90重量%、約40重量%~約85重量%、または約50重量%~約80重量%;および気分を高揚させるかまたはストレスもしくは不安症を減少させるためのさらなる成分を約5重量%~約90重量%、約10重量%~約75重量%、約15重量%~約60重量%、または約20重量%~約50重量%;または
iii) a. ショクヨウガヤツリの皮および/または根茎の抽出物;および
b. マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物;
の混合物を約10重量%~約95重量%、約25重量%~約90重量%、約40重量%~約85重量%、または約50重量%~約80重量%;および気分を高揚させるかまたはストレスもしくは不安症を減少させるためのさらなる成分を約5重量%~約90重量%、約10重量%~約75重量%、約15重量%~約60重量%、または約20重量%~約50重量%含んでよい。
【0048】
この気分を高揚させるかまたはストレスもしくは不安症を減少させるためのさらなる成分は、ビタミンB群、カフェイン、シチコリン、シトルリン、コリン、クルクミン、フペルジン、ルテオリン、イボガイン、マグネシウム、N-メチルチラミン、オメガ3脂肪酸、オクトパミン、オレアミド、ホスファチジルセリン、ホスファチジルセリン、ケルセチン、ルチン、レスベラトロール、シネフリン、タウリン、タキシフォリン、テアニン、テオブロミン、キサントフモール、ヤンゴニン、ヨヒンビン、エクジステロイド(20HE)抽出物であって、アロイジア、アルピニア、アストラガルス、バコパ、センテラ、シトラス、コカ、コーラ、クルクマ、コフィア、セラストラス、カメリア、エレウテロコックス、エフェドラ、エウテルペ、ガルシニア、ギンコ、ガノデルマ、グリシリザ、イカリン、イレックス、ケンペリア、メリッサ、オシマム、ポーリニア(Paullinia)、パナックス、ファフィア、パイパー、プエラリア、ロディオラ、ラポンチカム(Rhaponticum)、キンゴジカ、シデリティス、タベルナンテ、テオブロマ、ヴィティス、ウィザニア、バレリアナ、ショウガ、ナツメ属の植物種のエクジステロイド(20HE)抽出物、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
マンギフェリンおよびマンゴー抽出物は、口中で溶解または分散する頬ストリップ、チューインガム、錠剤、カプセル、エマルション、懸濁液、口中スプレー、発泡剤、溶解する顆粒または粉末、サシェ、または透明な飲料を含む経口剤形中に取り込まれてよい。チュウファ抽出物は、単独で、またはマンギフェリンおよびマンゴー抽出物との組み合わせで、典型的には不透明で乳白色の飲料の形態であり、口中で溶解または分散する頬ストリップ、チューインガム、錠剤、カプセル、溶解する顆粒または粉末、サシェ、エマルション、懸濁液、牛乳、牛乳以外のミルク、ヨーグルト、およびミルクとフルーツジュースの組み合わせを含む経口剤形中に取り込まれてよい。
【0050】
本明細書に開示される組成物は:
粘膜吸収のための口中で溶解または分散する頬ストリップ、チューインガム、舐剤、発泡錠、カプセル、またはエマルション;
機能性チョコレート、マジパン、または砂糖菓子、
パンまたはクラッカーに塗り広げるための、ホイルサシェ内の用量が正確に測られた機能性スプレッド;
いずれかの飲料または食品に添加するためのメジャースプーン付きの粉末;
口中または経鼻用スプレー;
飲料に添加するためのサシェまたはスティックの形態である非乳製品のクリーマー;および
スナックバー、キャンディ、またはクッキーとして提供されてよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、食用エマルション、例えばマヨネーズ、卵を含まないマヨネーズ代用物、オランデーズソース、バター、またはマーガリンの成分として提供される。このようなエマルションは、食品用の香辛料またはパンもしくはクラッカーと共に供されるスプレッドとして使用され得る。前記エマルションは:
水相中に油相を乳化させ、次にマンギフェリン、マンギフェリンを含有する抽出物、チュウファ抽出物、またはそれらの混合物を、得られた水中油型乳剤に添加すること;
油相中に水相を乳化させ、次にマンギフェリン、マンギフェリンを含有する抽出物、チュウファ抽出物、またはそれらの混合物を、得られた油中水型乳剤に添加すること;または
油相中に水相を、または水相中に油相を乳化させてエマルションを産生し、次にマンギフェリン、マンギフェリンを含有する抽出物、チュウファ抽出物、またはそれらの混合物を前記エマルションに添加すること
によって調製されてよい。
【0052】
本明細書に開示される組成物は、口中で溶解または分散する頬ストリップ、チューインガム、錠剤、カプセル、エマルション、懸濁液、口中スプレー、発泡剤、溶解する顆粒または粉末、サシェ、または透明な飲料を含む経口剤形中に取り込まれてよい。
【0053】
本明細書に開示される組成物は、食品、飲料、およびその他の製品中のカフェインを置換するために使用されてよい。コーヒー、コーラ、エナジードリンク、スポーツドリンク、または食品のカフェインを減少させるかもしくは除去する場合、得られた製品はカフェインの望ましいCNS刺激活性を失う。しかしながら、その際には悪心、頻脈または不整脈、易怒性、および集中力の欠如を含む、カフェインの有害な副作用もまた失われる。ショクヨウガヤツリの皮および/または根茎の抽出物、マンギフェリンまたはマンギフェリンを含んでなる抽出物、またはそれらの混合物を用いて、製品中のカフェインのすべてまたは一部を除去することにより、カフェインの副作用は除かれるが、望ましいCNS刺激活性は回復する。約200mg~約20グラム、約500mg~約15グラム、または約1グラム~約8グラムの量のチュウファ抽出物は、食品、飲料またはサプリメント中のカフェインの全部もしくは一部を置換するために用いられてよい。約5グラムのチュウファ抽出物は50mgのカフェインに相当すると推定される。同様に、マンギフェリンおよびマンギフェリン含有抽出物は、食品、飲料またはサプリメント中のカフェインの全部もしくは一部を置換するために用いられてよい。約100~約200mgのマンギフェリンは50mgのカフェインに相当すると推定される。
【0054】
ショクヨウガヤツリ抽出物とマンギフェリンとを約20:1~1:1の比で組み合わせた組成物は、カフェイン代替物として用いられてよい。約20mg~約200mgのショクヨウガヤツリ抽出物/マンギフェリンの組み合わせは、1mgのカフェインを置換するために用いられてよい。カフェインの置換または代替のために、10mg~20gの量の、ショクヨウガヤツリ-マンギフェリンの組み合わせまたはマンギフェリン含有植物抽出物が使用される。
【0055】
本発明に基づいたショクヨウガヤツリ抽出物/マンギフェリン組成物は、抽出過程後の2つの成分の単純な混合物であってよい。本発明は、エネルギー増幅効果をさらに増大する目的で、さらなる成分を有利に含んでよい。したがって、例えばガラナ、カフェイン、テアニン、テオブロミン、シネフリン、イボガイン、ヤンゴニン、オクトパミン、およびプエラリンのようなエネルギー増幅成分が、現存の組み合わせ製品に、本発明によって提供されるエネルギー増幅効果を強化するため、有利に添加されてよい。同じ製品が、ショクヨウガヤツリ抽出物またはマンギフェリンへ、別々に添加されてもよい。
【0056】
本発明の他の態様を改善するため、例えば気分および幸福感に対する効果を高めるため、ガノデルマ、ガルシニア、ギンコ、チョウセンニンジン、ロディオラおよびアストラガルスのような天然産物を本組成物と組み合わせてもよい。ピペリン、カプサイシン、アフラモムムまたはショウガのような、吸収および生物学的利用能を強化する成分を添加してもよい。天然および人工甘味料、ならびにコーヒー、バニラ、ヘーゼルナッツ、チョコレート、クリーム、または果実香味料のような香味料を統合させてもよい。オメガ3脂肪酸、ビタミンおよびミネラルのような栄養素を添加してもよい。運動選手に対しては、ウィザニアおよびロディオラを含む適応促進薬、アミノ酸のシトルリンおよびホスファチジルセリン、ホウレンソウおよび食用ビーツを含む天然硝酸塩源、エクジステロンおよびウルソール酸のような同化または抗異化成分、および抗酸化剤のような筋肉の健康と回復を改善する製品を添加してもよい。添加してもよい適切な抗酸化剤には、抗酸化効果またはキサンチン酸化酵素の阻害効果を有するポリフェノールが挙げられる。代表的なポリフェノールには緑茶由来のカテキン、ココア由来のポリフェノール、ブドウ由来のレスベラトロール、タデ属植物またはグネモンの種子、ホップ由来のキサントフモール、およびルテオリン、ルチンまたはケルセチンが挙げられる。
【0057】
ショクヨウガヤツリ抽出物/マンギフェリン組成物は、クルクマおよびショウガのような抗炎症性物質、および/またはギンコ、シチコリンまたはフペルジンのような認知改善製品と組み合わせてもよい。性的能力に問題のある人々に対しては、ショクヨウガヤツリ抽出物/マンギフェリン組成物を、イカリン、ヨヒンビン、ルテオリンまたはケンペリア種のような催淫薬と組み合わせてもよい。
【0058】
本発明の組成物に含まれるさらなる成分の量は、さらなる成分それぞれの特性に依存して変化する。本発明は、例えば、1:50~50:1の比で抗酸化剤と組み合わせてよい。
【0059】
本組成物は広範囲にわたる産業への有益な応用が可能であり、カフェインの代替物または低減物として、液体、シロップ、または固体(錠剤)もしくは微粉もしくは顆粒もしくはガムの形態で提供してよいか、または液体、固体(錠剤)、シロップの食品中に、顆粒もしくは微粉を均一に取り込ませてもよい。液体は、茶、カフェインを含まないコーヒー、水またはミルク、ジュース、ヨーグルトまたはスムージーと混合することで希釈される濃縮形態で提供されてよく、これによりカフェインに典型的に付随する警戒力、注意力および集中力を強化する利点を提供する、最終的に消費可能な液体である、低カフェインまたはカフェインを含まない飲料が提供される。本発明の濃度は、製品の形式、目的および/またはさらなる成分に依存して変化する。
【実施例0060】
実施例1
被験体:フィッシャー344ラット(11か月齢および昼夜切り換え、体重約350~400g、Charles River Laboratories、D-97633、Sulzfeldより提供)を、中枢神経系の活動に対する種々のハーブおよび医薬製品の効果についての一連の実験に用いた。製品は被験体に経口投与した(胃管栄養法)。
【0061】
試験物質:本試験において試験した物質を以下に挙げる:
対照ビヒクル(0.9% NaCl);
マンギフェリン、25mg/kgの量を6ラットへ投与;
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎、エタノール抽出物、100mg/kgの量を7ラットへ投与;
カフェイン、1mg/kgの量を7ラットへ投与;
ガラナ抽出物、カフェイン含有植物、15mg/kgの量を6ラットへ投与;
シチコリン、精神的エネルギー、注意力および記憶力を強化する活性を有する向知性薬、48mg/kgの量を8ラットへ投与
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮、エタノール抽出物を150mg/kgと、マンギフェリンを60%含有するマンゴーリーフ抽出物50mg/kgを5ラットへ投与
マンゴーリーフ抽出物、25mg/kgの量を8ラットへ投与。
【0062】
銅によって完全にシールドした部屋の内部から、自由に動き回るラットの前頭皮質、海馬および線条体に植え込んだ4つの電極からのEEGシグナルを遠隔測定によって記録した。シグナルは持続時間4秒のスイープによって収集され、ハニング窓を用いて高速フーリエ変換された。EEGシグナルは、試験物質を投与してから5分後に開始し、試験物質を投与してから65分後に終了する1周期にわたって記録した。サンプリング周波数は512Hzであった。スペクトルは各3分間の工程を平均して、オンラインで表示した。オフラインの手順では、スペクトルを、さらなる解析とデータ提示のために、より長い期間となるように平均した。前頭皮質、海馬、線条体および網様体内のスペクトル活性を記録した。対照ビヒクル(0.9% NaCl)のみの経口投与は、4つの脳領域内で、スペクトルパワーの非常にわずかな変化をもたらした。
【0063】
これらの動物のin vivo脳造影(EEG)試験を通して、驚くべきことに、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物、マンギフェリン、マンギフェリン含有植物抽出物、およびショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮の抽出物とマンギフェリンとの組み合わせは、CNSでの特性に関して互いに明らかに類似しているのみではなく、参照のカフェイン、シチコリンおよびガラナのCNSでの特性にも驚くほど類似していることが発見された。
図1に示すように、これらの抽出物または化合物はそれぞれ、前頭皮質、海馬および線条体において、in vivo EEGでのスペクトルパワーの低下を示した。このような低下は、神経伝達の活性化に関連している。
図1に示すように、網様体での神経活性に対するカフェインの効果は主にデルタ、アルファ2、およびベータ1波に対して見られ(p<0.01、薬物投与前のベースラインとの比較)、シータおよびアルファ1波についての効果は少なかった(p>0.1)。ショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物およびマンギフェリンは、網様体のデルタ、アルファ2、およびベータ1波への効果を示し、この効果はカフェインに類似していた。
【0064】
図1に示すように、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物と、60%マンギフェリを含有するマンゴーリーフ抽出物との混合物の投与は、前頭皮質、海馬、ならびに線条体のデルタ、シータ、アルファ1、アルファ2、ベータ1、およびベータ2波の脳波活動を、大まかには1mg/kgの量のカフェイン、15mg/kgのガラナおよび48mg/kgのシチコリンと同程度に低下させた。
【0065】
実施例2
被験体:フィッシャー344ラット(11か月齢および昼夜切り換え、体重約350~400g、Charles River Laboratories、D-97633、Sulzfeldより提供)を、中枢神経系の活動に対するショクヨウガヤツリ塊茎根茎、エタノール抽出物、およびマンギフェリンの効果についてのさらなる実験に用いた。製品は被験体に経口投与した(胃管栄養法)。
【0066】
試験物質:
本試験において試験した物質を以下に挙げる:
対照ビヒクル(0.9% NaCl);
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮、30%エタノール抽出物、200mg/kgの量を7ラットへ投与
60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物、50mg/kgの量を6ラットへ投与;および
150mg/kgの量のショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮、30%エタノール抽出物と、50mg/kgの量の60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物との混合物、この組み合わせを6ラットへ投与。
【0067】
銅によって完全にシールドした部屋の内部から、自由に動き回るラットの前頭皮質、海馬および線条体に植え込んだ4つの電極からのEEGシグナルを遠隔測定によって記録した。EEGシグナルは次のように記録した:
第1周期、試験物質を投与してから5分後に開始し、試験物質を投与してから65分後に終了;および
第2周期、試験物質を投与してから245分(4.1時間)後に開始し、試験物質を投与してから305分(5.1時間)後に終了。
【0068】
線条体のガンマ波:
図2Aに示すように、生理食塩水対照の投与は、線条体のガンマ波活動に大きく影響しなかった。
図2Bに示すように、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物も同様に、線条体のガンマ波活動に大きく影響しなかった。
図2Cに示すように、EEG測定の第1周期において試験物質を投与してから65分後に終了した際、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物は、線条体のガンマ波活動を統計的に有意な程度には増大させなかった。試験物質投与後4.1から5.1時間の間に、線条体のガンマ波活動は、薬物投与前のベースラインに比較して、はっきりとは増大しなかった。
【0069】
しかしながら、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物(100mg/kg)と、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物(25mg/kg)とを組み合わせると、線条体のガンマ波活動は非常に有意に(p<0.05!)、大きく相乗的に増大した。試験物質を投与してから65分後に終了するようにEEGを測定した第1周期の間に、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎エタノール抽出物/マンゴーリーフ抽出物の組み合わせは、線条体のガンマ波活動を、少なくとも5.1時間相乗的に増大させた。
図2Dに示すように、試験物質を投与してから65分後に終了するようにEEGを測定した第1周期の間に、前記組み合わせは、線条体のガンマ波活動を有意に(p<0.05)、薬物投与前のベースラインに比較して約80%増大させた。試験物質を投与してから305分後に終了するようにEEGを測定した第2周期の間に、前記組み合わせは、線条体のガンマ波活動を有意に(p<0.05)、薬物投与前のベースラインに比較して約30%増大させた。したがって前記組み合わせは、線条体のガンマ波活動のレベルおよびガンマ波活動に対する効果の持続時間の両方を、統計的に有意に、かつ相乗的に増大させる。
【0070】
運動:
線条体のガンマ波活動を記録する間に被験体の運動を記録した。ガンマ波の増大は、警戒力および注意力、またはその両方を高める身体的活動の上昇を示唆し得る。生理食塩水対照を投与した被験体、およびショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物(150mg/kg)と60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物(50mg/kg)との組み合わせを投与した被験体において、cm/hrで測定される運動の変化を記録した。
【0071】
表1に示すように、ショクヨウガヤツリの皮の30%エタノール抽出物とマンゴーリーフ抽出物(60%マンギフェリン)との混合物の存在下での運動は、ビヒクルに比較して変化しなかった。45分の時間周期の間の試験組成物の投与前に、生理食塩水対照およびチュウファ抽出物/マンゴーリーフ抽出物組成物を投与されたラットは、活性における有意差を示さなかった。同様に、生理食塩水対照およびチュウファ抽出物/マンゴーリーフ抽出物組成物を投与してから5分後に開始し、投与してから65分後に終了する第1周期、および試験組成物を投与後約4から5時間の第2周期の間に、生理食塩水対照を投与されたラットとチュウファ抽出物/マンゴーリーフ抽出物組成物を投与されたラットの間で活性に有意差はみられなかった。表1を参照されたい。身体的運動は増大しないことが示されたため、この線条体のガンマ波活動は、警戒力および注意力の増大によるものと解釈できる。
【表1】
表1:運動に対するタイガーナッツの皮抽出物とマンゴーリーフ抽出物の混合物の効果。薬物投与後0分に比較した、様々な時間周期における運動(cm/h)の変化。平均値を±S.E.Mによって示す。対照(ビヒクル)の結果との統計的比較を、ウィルコクソン、マン・ホイットニーのU検定を用いて決定した(p値を右側に示す、ns=有意ではない)。
【0072】
前頭皮質および海馬における神経活性:
図2Aに示すように、生理食塩水対照の投与は、前頭皮質および海馬における神経活性に大きく影響しなかった。しかしながら、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物の投与は、前頭皮質の脳波活動を有意に低下させた。
図2Bに示すように、ショクヨウガヤツリ抽出物の投与から約1時間後に、前頭皮質におけるデルタ、シータ、アルファ、およびベータ波の脳波活動は、平均して薬物投与前のベースラインの約60%に低下した。同時に、海馬ではデルタおよびアルファ2波が有意に低下した(p<0.1)。約5時間後、海馬におけるデルタおよびアルファ2波への効果は明らかではなくなったが、前頭皮質の抑制活性はなお認められた。
【0073】
60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物の投与は、前頭皮質の脳波活動も低下させた。
図2Cに示すように、マンゴーリーフ抽出物の投与から約1時間後に、前頭皮質および海馬の両方におけるデルタ、シータ、アルファ2、およびベータ1波の脳波活動は著しく低下した。デルタおよびシータ波活動の低下は統計的に有意であった(p<0.05)。約5時間後、海馬の脳波活動、または前頭皮質におけるデルタおよびシータ波には、薬物投与前のベースラインに比較して有意な変化はみられなかったが、前頭皮質のアルファおよびベータ波の活動はなお認められた。
【0074】
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮、30%エタノール抽出物と、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物との混合物の投与は、前頭皮質の脳波活動を、大まかにはショクヨウガヤツリ塊茎根茎、30%エタノール抽出物単独と同程度に低下させた。
図2Dに示すように、抽出物の組み合わせの投与から約1時間後に、前頭皮質および海馬におけるデルタ、シータ、アルファ1、アルファ2、およびベータ1波の脳波活動は有意に低下した(p<0.01)。同時に、海馬におけるシータ、アルファ1、およびアルファ2波の脳波活動は有意に低下した(アルファ1およびアルファ2波はp<0.05;シータ波はp<0.1)。約5時間後、前頭皮質におけるシータ、アルファ1、アルファ2、ベータ1、およびベータ2波の脳波活動は、薬物投与前のベースラインに比較して有意な変化はみられなかったが、海馬における脳波活動の抑制はなお認められた。海馬において、シータ、アルファ1、アルファ2、ベータ1、およびベータ2波の活動の抑制が観察された(アルファ1波はp<0.05;シータ、アルファ2、ベータ1、およびベータ2波はp<0.1)。さらに、生理食塩水対照に比較して、ショクヨウガヤツリのみ、およびマンゴーリーフ抽出物のみ、ショクヨウガヤツリとマンゴーリーフ抽出物との組み合わせは、前頭皮質のガンマ波活動を統計的に有意に(p<0.05)上昇させた。
【0075】
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎の皮、30%エタノール抽出物と、60%マンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物との混合物の投与では、海馬の脳波活動に相乗作用が観察される。まず、
図2Bおよび2Cに示すように、ショクヨウガヤツリ抽出物またはマンゴーリーフ抽出物のいずれも、投与後1時間または投与後5時間に、海馬のアルファ1脳波活動に対して統計的に有意な効果をもたない。しかしながら、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンゴーリーフ抽出物の組み合わせは、投与後1時間および投与後5時間に、海馬のアルファ1脳波活動に対して統計的に有意な効果を示している(投与後1時間および投与後5時間の両方でp<0.05)。さらに、
図2Bおよび2Cに示すように、ショクヨウガヤツリ抽出物またはマンゴーリーフ抽出物のいずれも、投与後5時間に、海馬の脳波活動に対して統計的に有意な効果をもたない。ショクヨウガヤツリ抽出物とマンゴーリーフ抽出物との組み合わせは、投与後5時間に、海馬のアルファ脳波活動に対し、相乗的で、統計的に有意な効果を示しており、これはセロトニン活性の増大に関連している。最後に、ショクヨウガヤツリ抽出物とマンゴーリーフ抽出物との組み合わせのみが、前頭皮質のガンマ活動の統計的に有意な増大を示している。
【0076】
実施例3:ヒトにおける試験
4週間の試験
4人の成人が4週間の観察試験に参加して、以下を摂取した:
ショクヨウガヤツリ塊茎根茎の30%エタノール抽出物を3グラム、1日に1~2回、1週間、
284mgのマンギフェリンを含有するマンゴーリーフ抽出物を400mg、1日1回、1週間、および
3グラムのショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物と400mgのマンゴーリーフ抽出物との組み合わせを、1日に1~2回、2週間。
【0077】
被験体は、副作用、幸福感、気分、集中力、警戒力、ストレスについて、日誌に自己記録を行った。副作用は経験されなかった。すべての被験体において、ショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物、マンゴーリーフ抽出物、およびマンゴーリーフ抽出物とタイガーナッツ抽出物との組み合わせの摂取後に、はっきりとした気分の改善と幸福感、ならびに警戒力、集中の増強、および3~5時間持続する集中力がみられた。
【0078】
2週間の試験
2週間の観察試験では、9成人が、3グラムのショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物と400mgのマンゴーリーフ抽出物との組み合わせを毎日2週間にわたって摂取したが、悪心、頻脈または不整脈、易怒性、集中力の欠如、およびいら立ちのような、高用量のカフェイン摂取によって典型的に経験される副作用のいずれもみられなかった。
【0079】
常用性の可能性
6成人が、3グラムのショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物と400mgのマンゴーリーフ抽出物との組み合わせを毎日2週間にわたって摂取した試験では、依存症または離脱の徴候は観察されなかった。2成人が、3グラムのショクヨウガヤツリ塊茎根茎抽出物と400mgのマンゴーリーフ抽出物との組み合わせを毎日2か月にわたって摂取した同様の試験でも、依存症または離脱の徴候は観察されなかった。さらに、2か月にわたる毎日の摂取で、いずれの負の副作用もみられなかった。
【0080】
高用量を摂取した2人のヒト被験体は、高用量(20g/日まで)のショクヨウガヤツリ塊茎根茎/マンゴーリーフ抽出物を摂取したが、投与量を増やしても、気分、警戒力、専念および集中力に対して観察された効果は増強されなかった。
【0081】
種々の代表的実施形態が、ある代表的態様を特に参照して詳述されているが、本発明はその他の実施形態でも実施可能であり、その詳細は、種々の明らかな観点において改変可能であることが理解されなければならない。当業者には容易に明らかであるように、変動および改変は、本発明の精神および範囲を保持しながら影響を及ぼすことができる。したがって、前述の開示、説明、および図は、例示目的のみのものであって、請求項のみによって定義される本発明を、どのようにも限定することはない。
【0082】
実施例4:ヒトにおけるEEG試験
二重盲検の無作為化試験を行い、試験群の参加者は、チュウファの皮の抽出物1gとマンゴー抽出物中のマンギフェリン300mgを含有する組み合わせ製品の単回用量を投与された。様々な認知および感情の課題に取り組む間、視標追跡と組み合わせた定量的トポグラフィーEEGを記録した。第2群(プラセボ群)にはチュウファおよびマンギフェリンを含まないプラセボが投与された。この試験の結果は、前記組み合わせ製品が、プラセボと比較した場合に、ヒトの電気的な脳活動、主にアルファ2波の変化を誘導し、これが認知過程の強化に関連し得ることを示した。
【0083】
一つの例として、注意力および集中力に対する記録条件「開眼」、「十字形の注視(fixation of a cross)」、およびストループ検査のEEGの結果を報告する(
図3)。チュウファの皮の抽出物とマンギフェリンとの組み合わせを投与されたヒトのEEGの結果は、プラセボを投与されたヒトのEEGの結果との比較において有意に異なっていた。チュウファの皮の抽出物とマンギフェリンとの組み合わせは、記録条件「開眼」下での電極位置FzおよびF4における試験群のアルファ2スペクトルパワーを、電極位置FzおよびF4におけるプラセボ群のアルファ2スペクトルパワーと比較した場合、統計的に有意な増大を示した。
【0084】
ストループ検査では、試験群のヒトの、前頭部、側頭部および後頭部の電極位置であるF4、T3およびO1に、プラセボ群のヒトに比較して、アルファ2波の増加が観察された。電極位置F4、T3およびO1におけるアルファ2波の増加は、プラセボ群において観察された対応する値に比較して、統計的に有意であった。
【0085】
ある程度の集中力について調べる記録条件「スクリーン上の十字形の注視(Fixation on a cross on the screen)」下では、試験群のヒトの電極位置T3およびT8に、プラセボ群のヒトに比較して、アルファ1およびアルファ2波の増加が観察された。位置T3およびT8におけるアルファ1およびアルファ2波の増加は、プラセボ群において観察された対応する値に比較して、統計的に有意であった。
【0086】
アルファ波の増加は、注意力および処理速度の強化と解釈される。チュウファの皮の抽出物-マンギフェリンの組み合わせを摂取した、以下に示す計量心理学の試験群は、プラセボを摂取した群の結果に比較して改善が明らかであった:画像比較検査、ストループ検査、処理速度、記憶検査、クイズ検査、およびd2検査。