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▶ ベイラー カレッジ オブ メディスンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092001
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】樹状細胞免疫療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/14 20150101AFI20220614BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220614BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220614BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220614BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220614BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20220614BHJP
   C07K 14/56 20060101ALN20220614BHJP
   C07K 14/565 20060101ALN20220614BHJP
   C12N 15/117 20100101ALN20220614BHJP
【FI】
A61K35/14 Z ZNA
A61P37/04
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K38/21
A61K31/7105
A61K31/7088
A61K31/4745
A61K31/522
A61K45/06
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P31/00
A61P35/02
A61K35/17 Z
A61K38/16
C12N5/0783
C12N5/0784
C07K14/56
C07K14/565
C12N15/117 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064605
(22)【出願日】2022-04-08
(62)【分割の表示】P 2017558013の分割
【原出願日】2016-05-06
(31)【優先権主張番号】62/158,237
(32)【優先日】2015-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ケー. デッカー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ハルパート
(57)【要約】
【課題】樹状細胞免疫療法の提供。
【解決手段】樹状細胞集団の投与を含む、被験体に標的化免疫応答を提供する方法が提供される。いくつかの態様において、樹状細胞は、I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共に投与され、及び/または疾患組織の近接する組織部位に投与される。治療上の樹状細胞組成物も同様に提供される。
【選択図】図1-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月7日に出願された米国仮特許出願第62/158,237号の利益を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、国立衛生研究所から与えられた助成金番号AI036211、CA125123及びRR024574の下での政府の支援によってなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
配列表の登録
「BACMP0004WO_ST25.txt」というファイルに含まれる配列リストは、(Microsoft Windows(登録商標)で測定されるように)4KBであり、2016年4月19日に作成され、電子提出により本明細書と共に提出され、参照により本明細書中に取り込まれている。
1.発明の分野
本発明は、一般に、分子生物学、免疫学及び医学の分野に関する。より詳細には、本発明は、被験体に免疫応答を提供するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
2.関連技術の説明
重要なT1関連エフェクターとして、CD8細胞傷害性T細胞(CTL)は、それらのエフェクター機能が抗ウイルス及び抗腫瘍免疫に重要であり、また、それ自体宿主の生存に非常に重要であることから、治療的介入のための魅力的な標的である(Duddaら、2013)。T細胞活性化には、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)との相互作用が必要であるが、このAPCの樹状細胞(DC)は、抗原処理及び提示、リンパ球同時刺激、及びサイトカインの生成、及び末梢T細胞分化を調節する他の炎症性メディエーターの生成において最も高度に特殊化されている(Lotzeら、2001)。DCは、T細胞分極を促進するだけでなく、T1自体が極性化する(例えば、DC1)ようになる(Hokeyら、2005)。DC1分極は、炎症性サイトカイン(Hilkensら、1997)、インターフェロン(Longhiら、2009)及びトール様受容体(TLR)リガンドを含むパターン認識受容体(PRR)アゴニストの様々な組み合わせによって促進され得るが(Sprangerら、2010)、TLR-/-、MyD88-/-、I型インターフェロン(IFN)-/-及びI型IFNR-/-系に由来する交絡データは、DC分極を制御する追加の未確認メカニズムを示唆している(Ahmedら、2009;Carvalhoら、2011;Lopezら、2003;Lopezら、2006A;Lopezら、2006B;Tam and Wick、2009)。さらに、免疫原性異種クラスIIペプチド(Jonesら、1999;Rosaら、2004)の使用によるT細胞ヘルプ及びDCライセンスを増強する試みは、CD40シグナル伝達を首尾よく強化したが、逆説的にいくつかのモデル抗原特異的CD8 CTLも強化した(Hungら、2007;Kimら、2008;Ressingら、2000)。他の研究では、インフルエンザ特異的T1免疫は、CD4T細胞を欠くマウスでは正常に産生することができるが(Allanら、1990)、MHCクラスIIを欠くマウスでは不完全である(Trippら、1995)ことが示されており、これはT分極におけるMHCの潜在的役割を示唆している。樹状細胞抗原の提示及び機能を調節する因子についての機構学者の意義深い調査にもかかわらず、樹状細胞の抗原提示が免疫刺激を増強するためにどのように調節されるかは依然として不明であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Duddaら、2013
【非特許文献2】Lotzeら、2001
【非特許文献3】Hokeyら、2005
【非特許文献4】Hilkensら、1997
【非特許文献5】Longhiら、2009
【非特許文献6】Sprangerら、2010
【非特許文献7】Ahmedら、2009
【非特許文献8】Carvalhoら、2011
【非特許文献9】Lopezら、2003
【非特許文献10】Lopezら、2006A
【非特許文献11】Lopezら、2006B
【非特許文献12】Tam and Wick、2009
【非特許文献13】Jonesら、1999
【非特許文献14】Rosaら、2004
【非特許文献15】Hungら、2007
【非特許文献16】Kimら、2008
【非特許文献17】Ressingら、2000
【非特許文献18】Allanら、1990
【非特許文献19】Trippら、1995
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の実施形態では、本発明は、疾患細胞集団を有する被験体に免疫応答を提供する方法であって、疾患細胞集団に特異的な少なくとも1つの抗原で初回刺激されている、初回刺激された樹状細胞集団を得ること、及び前記初回刺激された樹状細胞集団を被験体に有効量投与することを含む前記方法を提供する。いくつかの態様では、初回刺激された樹状細胞集団を、I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共に投与される。さらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ様組織部位に投与される。なおさらなる態様では、初回刺激された樹状細胞集団が、I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共にと共に、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に投与される。
【0007】
実施形態のいくつかの態様は、I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、またはこれらの混合物と併せての初回刺激樹状細胞集団の投与に関する。例えば、ある場合には、初回刺激樹状細胞集団は、I型INFと共に投与される。いくつかの態様において、I型INFは、INF-α、INF-β、INF-ε、INF-κまたはINF-ωであり得る。さらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、TLR-7アゴニストと共に投与される。いくつかの態様において、TLR-7アゴニストは、CL075、CL097、CL264、CL307、GS-9620、ポリ(dT)、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド(R848)、ロキソリビン及びssRNAオリゴヌクレオチドからなる群より選択され得る。さらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、TLR-9アゴニストと共に投与される。例えば、場合によっては、TLR-9アゴニストはCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)であり得る。なおさらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、AIMp1ポリペプチドと共に投与される(例えば、NCBI寄託番号NP_001135887.1及びNP_001135888.1参照、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる)。いくつかの態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、TLR-3アゴニストと共に投与される。特定の態様において、TLR-3アゴニストはポリイノシン-ポリシチジル酸(poly(I:C))またはRGC100である。特定の態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、RIG-1様受容体リガンドと共に投与される。いくつかの態様では、RIG-1様受容体リガンドは、さらに、RIG-1、MDA5、LGP2、またはIPS-1リガンドとして定義される。例えば、RIG-1様受容体リガンドは、MDA5リガンド、LGP2リガンド、ssRNA、dsRNA、5’ppp-dsRNA、Poly(dA:dT)、及びPoly(I:C)からなる群より選択される。特定の態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、CDS受容体リガンドと共に投与される。いくつかの態様において、CDS受容体リガンドは、さらに、cGAS-STINGリガンドとして定義される。例えば、cGAS-STINGリガンドは細菌性環状ジヌクレオチド(CDN)である。
【0008】
ある態様において、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドは、初回刺激樹状細胞集団(の投与)の前、後または実質的に同時に投与される。いくつかの態様では、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1を全身投与し、樹状細胞集団を局所投与する。さらなる態様において、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1及び樹状細胞集団が、両方とも、被験体の疾患細胞集団に近接する部位等に、局所的に投与される。特定の態様において、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1は、初回刺激樹状細胞集団(の投与)の約1週間、1日、8時間、4時間、2時間または1時間以内に投与される。特定の態様では、初回刺激された樹状細胞集団が投与される被験体は、以前に治療されており、現在I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1で治療中である。いくつかの態様では、本方法は、さらに、初回刺激された樹状細胞集団及びI型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1を有効量で含む組成物を被験体に投与することを含む。
【0009】
なおさらなる態様において、実施形態の方法は、さらに、免疫チェックポイント阻害剤を(初回刺激された樹状細胞組成物と共に)被験体に投与することを含む。例えば、いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4アンタゴニストである。いくつかの態様では、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4に特異的な小分子阻害剤または阻害剤核酸である。特定の態様において、阻害性核酸はRNAである。さらなる態様において、RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)である。さらなる態様において、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4結合抗体である。いくつかの態様において、抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。いくつかの態様では、CTLA-4結合抗体は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)、IgM、IgAの、遺伝的に改変されたIgGアイソタイプであってもよく、またはその抗原結合断片でもよい。抗体は、Fab’、F(ab’)2aF(ab’)3、一価scFv、二価scFv、二重特異性抗体または単一ドメイン抗体であってもよい。抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、または脱免疫化抗体であってもよい。なおさらなる態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである。
【0010】
実施形態の特定の態様では、初回刺激された樹状細胞集団を、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に投与する。さらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共に投与され、そして初回刺激された樹状細胞集団は、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に投与される。特定の態様において、前記リンパ組織部位は、疾患細胞集団を取り囲む組織を排出するリンパ組織である。例えば、初回刺激された樹状細胞集団は、いくつかの態様において、疾患細胞集団を取り囲む組織を排出するリンパ節に投与される。いくつかの特定の態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、亜区分、分節区分、葉状区分、耳葉間、臀部、縦隔、肩下咽頭、腸骨窩、側腹、胸部、肩甲骨、中間鎖、鎖骨下、表在性鼠径部、深部鼠径部、膝窩、顔面頬筋、顔面鼻唇、前立腺、下顎、顎下、後頭部、乳房/後腓骨、耳下腺、深部前胸部、深部胸部、深部内頸部、深部頸部、深部前頸部、前気管内、気管内、喉頭前部、甲状腺、深部外側子宮頸部、上顎深部子宮頸部、下顎深部頸部、後咽頭、胃十二指腸、前頚部、側頸部、腹腔内、後大動脈、側方大動脈、腹腔、胃、肝臓、脾臓、上腸間膜、腸間膜、回腸炎、腸間膜炎、下腸間膜または全腸リンパ節に投与される。いくつかの態様において、樹状細胞集団は、リンパ節への直接注射によって投与される。
【0011】
特定の態様では、実施形態による治療被験体は、癌、自己免疫疾患または感染症を有する。自己免疫疾患の例として、限定されないが、セリアック病、1型糖尿病(IDDM)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、多発性硬化症(MS)、橋本甲状腺炎、グレーブス病、特発性血小板減少性紫斑病、関節リウマチ(RA)、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェンライン紫斑病、ポストストレプトコッカス腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、トロンボバンサイトウイルスタラン、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫症、慢性腎炎、筋萎縮性側索硬化症、背側索、巨細胞性動脈炎/多麻痺、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬及び線維化肺胞炎が挙げられる。感染症の例としては、限定されないが、炭疽菌、水痘、ジフテリア、A型、B型またはC型肝炎、HIB、HPV、HIV、ライム病、季節性インフルエンザ、脳炎、マラリア、麻疹、髄膜炎、流行性耳下腺炎、百日咳、ポリオ、狂犬病、風疹、帯状疱疹、天然痘、破傷風、結核及び黄熱病が挙げられる。
【0012】
実施形態のいくつかの態様では、実施形態の方法及び組成物によって治療される疾患細胞集団は癌細胞である。実施形態に従って治療することができる癌細胞としては、限定されないが、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、結腸、食道、胃腸管、歯肉、頭部、腎臓、肝臓、肺、鼻咽頭、頚部、卵巣、前立腺、皮膚、胃、精巣、舌または子宮の細胞が挙げられる。いくつかの態様において、癌は、悪性新生物;癌腫;癌腫;未分化癌;巨細胞及び紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭状癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;石灰化癌;移行細胞癌;乳頭状移行細胞癌;腺癌;悪性ガストリノーマ;胆管癌;肝細胞癌;肝細胞癌及び胆管癌を合わさったもの;小柱腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープにおける腺癌;家族性ポリポーシス大腸菌の腺癌;固形癌;悪性カルチノイド腫瘍;分岐腺-肺胞腺癌;乳頭腺癌;発色腺癌;アシドフィル癌;親水性腺癌;好塩基球癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞腺癌;乳頭状及び濾胞性腺癌;非内皮性硬化性癌腫;副腎皮質癌;子宮内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;梅毒性腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺腫;乳頭漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺腫;粘液腺癌;印環細胞癌;浸潤性管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;乳房パジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生随伴腺癌(adenocarcinoma w/squamous metaplasia);悪性胸腺腫;悪性卵巣間質腫瘍;悪性肉腫;悪性顆粒膜細胞腫瘍;悪性男性ホルモン産生細胞腫;セルトリ細胞癌;ライディヒ細胞腫瘍;悪性脂質細胞腫瘍;悪性傍神経節腫;悪性乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;糸球体肉腫;悪性黒色腫;無メラニン性黒色腫;表在性の拡散性メラノーマ;巨大色素性母斑の悪性黒色腫;上皮細胞メラノーマ;悪性青色母斑;肉腫;線維肉腫;悪性線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胚性横紋筋肉腫;歯槽横紋筋肉腫;間質肉腫;悪性混合腫瘍;ミューラー管混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫;悪性間葉腫;悪性ブレンナー腫瘍;悪性葉状腫瘍;滑膜肉腫;悪性中皮腫;胚芽腫;胚性癌腫;悪性奇形腫;悪性卵巣甲状腺腫;絨毛癌;悪性中腎症;血管肉腫;悪性血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性血管周囲細胞腫;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫;悪性軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性歯原性腫瘍;エナメル上皮歯牙肉腫、悪性エナメル上皮腫、エ
ナメル上皮線維肉腫、悪性松果体腫;脊索腫;悪性神経膠腫;上衣腫;星状細胞腫;プロトプラスト性星細胞腫;繊維性星状細胞腫;星状細胞腫;神経膠芽細胞腫;乏突起膠腫;乏突起芽細胞腫;原始神経外胚葉;小脳肉腫;神経芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅覚神経腫瘍;悪性髄膜腫;神経線維肉腫;悪性神経鞘腫;悪性顆粒細胞腫瘍;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン;神経芽細胞腫;小リンパ球悪性リンパ腫;大細胞、びまん性悪性リンパ腫;悪性リンパ腫;濾胞性悪性リンパ腫;菌状息肉腫;他の特定の非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;形質細胞白血病;赤白血病;;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄
性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;肥満細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;毛様細胞白血病であり得る。さらなる態様において、癌は脳腫瘍(例えば神経膠腫)、前立腺癌、乳癌(例えば三重陰性乳癌)、膵臓癌(例えば膵管腺癌)、急性骨髄性白血病(AML)、メラノーマ、腎細胞癌または慢性リンパ球性白血病である。
【0013】
特定の態様において、疾患細胞集団は、固形腫瘍等の腫瘍である。さらなる態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、腫瘍を排出するリンパ節に投与される。特定の態様において、腫瘍は転移性腫瘍であり、初回刺激された樹状細胞集団は、原発腫瘍の部位を排出するリンパ節に投与される。さらなる態様において、癌は、脳腫瘍(例えば、神経膠腫)、前立腺腫瘍、乳房腫瘍(例えば、三重陰性乳癌)、膵臓腫瘍(例えば、膵管腺癌)または腎細胞腫瘍である。
【0014】
さらなる態様において、実施形態の方法は、本発明の組成物を被験体に1回より多く、例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回またはそれ以上、投与することをさらに含むことができる。
【0015】
実施形態による治療被験体は、いくつかの態様において、哺乳動物被験体である。例えば、被験体は、ヒトのような霊長類であり得る。さらなる態様において、被験体は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタまたは動物園の動物のような非ヒト哺乳動物である。
【0016】
さらなる実施形態では、(i)抗原で初回刺激された樹状細胞及び(ii)I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、AIMp1、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドを含む免疫原性組成物が提供される。いくつかの態様において、抗原で初回刺激された樹状細胞は、癌、自己免疫疾患または感染性疾患に関連する抗原で初回刺激されている。特定の態様において、抗原で初回刺激された樹状細胞は、少なくとも1つの腫瘍抗原で初回刺激されている。
【0017】
従って、特定の態様において、実施形態の組成物は、初回刺激された樹状細胞集団及びI型INFを含む。いくつかの態様において、I型INFは、INF-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κまたはIFN-ωであり得る。他の態様において、組成物は、初回刺激された樹状細胞集団及びTLR-7アゴニストを含む。いくつかの態様において、TLR-7アゴニストは、CL075、CL097、CL264、CL307、GS-9620、Poly(dT)、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド(R848)、ロキソリビン及びssRNAオリゴヌクレオチドからなる群より選択され得る。さらなる態様において、組成物は、初回刺激された樹状細胞集団及びTLR-9アゴニストを含む。場合によっては、TLR-9アゴニストはCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)であり得る。なおさらなる態様において、実施形態の組成物は、初回刺激された樹状細胞集団及びAIMp1を含む。
【0018】
別の実施形態は、(i)抗原で初回刺激された樹状細胞及び(ii)TLR-3アゴニスト、RIG-1様受容体リガンド、またはCDS受容体リガンドを含む免疫原性組成物を提供する。いくつかの態様において、抗原で初回刺激された樹状細胞は、癌、自己免疫疾患または感染性疾患に関連する抗原で初回刺激されている。特定の態様において、抗原で初回刺激された樹状細胞は、少なくとも1つの腫瘍抗原で初回刺激されている。いくつかの態様において、腫瘍は、脳腫瘍、腎細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、または慢性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、組成物は、TLR-3アゴニストを含む。特定の態様において、TLR-3アゴニストはPoly(I:C)またはRGC100である。いくつかの態様では、組成物はRIG-1様受容体リガンドを含む。いくつかの態様では、RIG-1様受容体リガンドは、MDA5リガンド、LGP2リガンド、ssRNA、dsRNA、5’ppp-dsRNA、Poly(dA:dT)、及びPoly(I:C)からなる群より選択される。特定の態様では、組成物はCDS受容体リガンドを含む。例えば、CDS受容体リガンドは細菌性CDNである。
【0019】
本発明のなおさらなる実施形態では、抗原提示細胞集団の存在下にT細胞またはT細胞前駆体の集団を培養することを含む、抗原特異的T細胞を培養するための方法であって、培養をAIMp1の存在下で行う方法が提供される。いくつかの態様では、抗原提示細胞集団は、初回刺激された樹状細胞集団である。他の態様では、抗原提示細胞集団は、(例えば、照射によって)不活性化された細胞等の人工抗原提示細胞であり得る。いくつかの態様では、この方法は、抗原特異的T細胞のエクスビボでの増殖のための方法としてさらに定義される。特定の態様において、樹状細胞集団は、原発性樹状細胞を含む。さらなる態様において、前記培養は、CTLA-4アンタゴニスト等の免疫チェックポイント阻害剤の存在下で行われる。特定の態様において、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4に特異的な阻害剤核酸である。特定の態様において、阻害性核酸はRNAである。さらなる態様において、RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)である。他の態様において、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4結合抗体である。
【0020】
さらに別の実施形態では、T細胞またはT細胞前駆体の集団を、抗原提示細胞の集団の存在下で培養することを含む抗原特異的T細胞を培養する方法であって、この培養をPoly(I:C)の存在下で初回刺激する前記方法が提供される。いくつかの態様では、この方法は、抗原特異的T細胞のエクスビボでの増殖のための方法としてさらに定義される。いくつかの態様において、抗原提示細胞は、樹状細胞を含む。特定の態様において、樹状細胞は、抗原が相同的に負荷される。いくつかの態様において、樹状細胞集団は、原発性(primary)樹状細胞を含む。いくつかの態様において、培養は、被験体に対する免疫チェックポイント阻害剤の存在下で行われる。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4アンタゴニストである。特定の態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである。
【0021】
本明細書中で使用されるように、特定の成分に関して「実質的に含まない」とは、特定の成分のいずれも意図的に組成物中に配合されていない、及び/または汚染物質としてまたは痕跡量でのみ存在することを意味するために本明細書中では使用される。従って、組成物の意図しない汚染から生じる特定の成分の総量は、0.05%より十分に低い。最も好ましい組成物は、特定の成分の量が標準的な分析方法で検出することができないものである。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「a」または「an」は、1つ以上であることを意味し得る。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、用語「含む(comprising)」と併せて使用される場合、単語「a」または「an」は、1つ以上であること意味し得る。本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、「別の」または「さらなる」は、少なくとも2番目またはそれ以上を意味し得る。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、用語「約」は、値が、装置の誤差の固有の変動を含むことを示すために使用され、その方法は研究対象の間に存在する値または変動を決定するために使用される方法である。
【0024】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の特定の実施形態を示すけれども、例示のみを目的として与えられたものであり、本発明の主旨及び範囲内の様々な変更及び改変はこの詳細な説明から当業者には明らかである。
【0025】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、さらに本発明の特定の態様を示すために包含されている。本発明は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つ以上を参照することにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1-1】図1A-F: 抗原的に関連するMHCクラスI及びIIの決定基の同時負荷は、マウスDCのT1分極を促進する。(A)ELISAでアッセイしたように、脾臓細胞と共培養した場合に、同種のmRNA(電気穿孔)及び溶解物(インキュベーション)を合わせて負荷されたマウスDCは、選択的に負荷されたDCよりも有意に多くIL-12p70を分泌した。この効果は、AIMp1のsiRNAノックダウンによって無効にされた。抗原は、RAW264.7細胞株由来であった。異種クラスII抗原は、4T1乳癌細胞株に由来した。Y軸:無負荷(UL)DCからのIL-12p70分泌の倍数変化。(B)共培養の前に、相同的に負荷されたDCは、異種の決定基が負荷されたDC、そうでない場合は48時間の細胞培養上清のウエスタンブロットによってアッセイして単独負荷されたDCよりも有意に多くのAIMp1を分泌した。上のパネル:RAW264.7抗原決定基による相同性負荷後のAIMp1放出。4T1に由来する異種の溶解物。下のパネル:一次(primary)SV抗原決定基による相同負荷後のAIMp1放出。原発性前立腺由来異種溶解物。(C)相同的に負荷されたDCも、sCTLA-4分泌の有意な減少を示した。示されたこと:sCTLA-4放出は、RAW264.7抗原決定基による相同性負荷後である。4T1に由来する異種の溶解物。(D)相同性負荷DCにおけるAIMp1 siRNAノックダウンは、sCTLA-4分泌を、B16メラノーマ決定因子(左パネル)及び一次SV決定因子(右パネル)を相同的に負荷したDCからのベースラインに回復させた。示されたデータは、>70%の典型的なAIMp1ノックダウンを示す。(E)生成したSV決定基で相同的に負荷されたDCは、他の方法で負荷されたDCと比較して、自己脾細胞とのインビトロ共培養の間のCD3、CD3CD8及びCD3CD8CD25T細胞増殖を有意に増加させた。この効果は、AIMp1 siRNAによる相同性負荷DCの処理によって排除された。異種の溶解物は原発性前立腺癌であった。Y軸:無負荷(UL)DCと比較した総細胞数の倍数変化。(F)SIINFEKL(SEQ ID NO: 1)MHCクラスI H-2K結合エピトープ及び生成されたOVAタンパク質全体が相同的に負荷されたDCは、他の方法で負荷されたDCと比較して、インビボでCD3、CD3CD8及びCD3CD8CD25T細胞増殖を有意に増加させた。この効果は、AIMp1 siRNAを用いた相同性負荷DCの処理によって排除され、H2-DM-/-DCでは観察されなかった。異種クラスII抗原は一次SV溶解物であった。Y軸:無負荷(UL)DCと比較した倍率変化%。すべての実験について、siNTまたはNT=非標的siRNA。siAIMp1=AIMp1 siRNA。
図1-2】同上
図1-3】同上
図2-1】図2A-F: 同種クラスI及びII抗原決定基は、PRRアゴニズムとは独立した様式でT1分極DCを生成する。(A)GFP発現アデノウイルスによる形質導入後、rGFPタンパク質とのインキュベーション後、またはその両方の形質導入後の、またはいずれも行わなかった後の、ヒトDC培養上清のsCTLA-4 ELISA。無関係な抗原であるネズミIL-4を用いて、同様に異種負荷も表された。(C)2つの異なるタンパク質濃度での、GFP-mRNAを用いたエレクトロポレーション後、rGFPタンパク質とのインキュベーション後、またはその両方の後の、またはいずれも行わなかった後の、ヒトDC培養上清のAIMp1ウエスタン(Western)ブロット。5つの内1つの代表的な実験が示されている。(C)クラスIインフルエンザHAペプチドによるエレクトロポレーション後及び重複(同種)または非重複(異種)クラスIIインフルエンザHAペプチドによるインキュベーション後のヒトDC培養上清のsCTLA-4及びAIMp1ウエスタンブロット。(D)様々なTLRアゴニスト刺激の存在下で同種または異種クラスI及びIIペプチド対を負荷した後のヒトDC培養上清のsCTLA-4及びAIMp1ウエスタンブロット。3つの内の代表的な実験が示されている。(E)3つの独立した実験に対する(d)に示されたデータのAIMp1/sCTLA-4比のデンシトメトリー定量。(F)RT-PCR分析は、同種インフルエンザHAペプチド対(B8-166(SEQ ID NO:3)/DR3-162(SEQ ID NO:2)及びA2-443(SEQ ID NO:5)/DR3-440(SEQ ID NO:4))(Deckerら、2009)によるDCの負荷は、CTLA-4及びsCTLA-4 mRNA転写物を有意にダウンレギュレートしたことを示している。無負荷、一重負荷、及び異種負荷のDCは、CTLA-4を発現し続けた。負荷制御として示されるGAPDH増幅。()=異種ペプチド対の負荷+/-クラスIペプチドのエレクトロポレーションは、CLTA-4発現に影響を及ぼさなかった。
図2-2】同上
図2-3】同上
図3-1】図3A-G: AIMp1/sCTLA-4モジュレーションは、同種クラスI及びIIペプチドのMHCへの結合に依存する。SV mRNA及び溶解物を用いた単一、同種または異種の負荷の後の、野生型(上)及びH2-DM-/-(下)ネズミDC培養上清についての(A)sCTLA-4(右)及びAIMp1(左)ウエスタンブロット。示されたのは代表的な実験。(B)(a)に示されたデータのAIMp1/sCTLA-4比のデンシトメトリー定量を3回の独立した実験にわたって行った。上部パネル:野生型DC。下部パネル:H2-DM-/-DC。(C)CLIPに対するアミノ酸配列相同性を有するクラスI H-2DペプチドによるH2-DM-/-DCの負荷は、AIMp1及びsCTLA-4(Ii CLIP=SEQ ID NO:6;H2-Db CLIP=SEQ ID NO:7)の適切な調節を再現する。(D)活性化CD8 T細胞の増強された発達によって証明されるように、クラスI H-2D CLIPによるH2-DM-/-DCの相同負荷に応答する高いAIMp1/sCTLA-4分泌比は、自己脾細胞を用いたH-2D CLIP負荷H2-DM-/-DCの共培養後にインビトロでのT1応答の下流増強を仲介した。(E)クラスIまたはクラスII結合ペプチドのいずれかに導入されたアミノ酸置換(GlyからMet)は、3つのアミノ酸への連続相同性の領域を制限して、ペプチド負荷に対応する高いAIMp1/sCTLA-4分泌比を消失するのに十分であった。同族ペプチドへの代償的置換の導入、それにより延長された相同性の再現は、高いAIMp1/sCTLA-4分泌比を救済するのに十分であった。示されたこと:16の内の代表的実験。(グリシン対:クラスI=SEQ ID NO:3、クラスII=SEQ ID NO:2;メチオニン対:クラスI=SEQ ID NO:8、クラスII=SEQ ID NO:9)。(F)(e)に提示されたデータのデンシトメトリー定量。16の独立した実験の平均値。p<0.05。(G)AIMp1 coIPは、AIMp1とMHCとの相互作用は、DCに相同的ペプチドを負荷した場合に実質的に消失し、分泌AIMp1がMHC結合AIMp1に由来し得ることを示唆した。(異種ペプチド=SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:10;同種ペプチド=SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:11;クラスIIペプチド=SEQ ID NO:11及びSEQ ID NO:10;クラスIペプチド=SEQ ID NO:3及びSEQ ID NO:8)。
図3-2】同上
図3-3】同上
図4-1】図4A-E:同種の抗原決定基によって極性化されたDCは、末梢寛容を克服し、精嚢を切除する。(A)アジュバント単独またはSV負荷同種DCワクチン+アジュバントを注射した雄のC57BL/6マウスから採取した精嚢の肉眼像(右)及び肉眼では見えない像(左)。(B)6ヶ月の期間にわたってSVのアブレーションを示す3D縦方向MRI。(C)ワクチン接種後6ヶ月でH&E染色したSVは、アジュバントのみを投与したマウスと比較して、ワクチン接種したマウスにおいて線維症を主に含む残留SVを示した。(D)治療後1ヶ月で、抗CD8によるIHC染色は、アジュバントのみを投与したマウスと比較して、ワクチン接種したマウスにおいて有意なCD8T細胞浸潤を示す。(E)末梢血リンパ球(PBL)を反応性SVワクチン接種動物からナイーブ受容者に養子移植することにより、移植から6週間以内にSV破壊が再現された。偽ワクチン接種された動物またはアジュバントのみの動物からのPBLの養子移植は、正常なSV組織病理に影響を与えなかった(上のパネル)。二次養子移植は同じ効果をもたらした(下のパネル)。全SV反応性=25/42(60%)。
図4-2】同上
図5図5A-J: 同種の抗原決定基によって極性化されたDCは、前立腺及び精嚢を特異的かつ差別的に切除する。正常前立腺(上)及び相同的に負荷されたDC前立腺ワクチンを接種した動物由来の前立腺(下)についてのMRI(A&D)及び肉眼(B&E)画像。ワクチン接種及びアジュバントのみの動物のH&E染色は、(C)アジュバントのみの動物の正常前葉及び(F)ワクチン接種動物の前葉における明確な肥大及び炎症を示す。時間とともに、ワクチン接種動物における前立腺葉は、アジュバント単独動物(G)と比較してワクチン接種動物(H)の不在下垂体前葉の画像によって示されるように、収縮して消失する傾向があった。SVと前立腺は近接しているが、ワクチン接種は、(I)前立腺ワクチン接種動物における正常SVと併用した前立腺の炎症病理ならびに(J)SVワクチン接種動物における正常な前立腺と併用したSVの特徴的な炎症病理によって示されたように、きわめて特徴的であった。全前立腺反応性=8/17(47%)。
図6-1】図6A-J: 同種ワクチン接種は、腫瘍性自己から正常を識別し、生理学的モデル系において前立腺腺癌を制御する。Pro-Cat/JOCK1マウス(Carstensら、2014)に由来する前立腺腺癌決定基を、腺癌の段階でPro-Cat/JOCK1動物のさらなるコホートにワクチン接種するために使用した。データは、(A)腺癌負荷ワクチン及びアジュバントは、正常な前立腺との明らかな交差反応性をほとんど示さなかったが、(B)腺癌病期に誘導されたマウスは、ワクチン接種したときに最もmPINを連想させる病理所見を示し、またワクチン接種されていないかまたは非癌性のマウスには見られないリンパ球浸潤腺房(B.1差し込み図)を示した。アジュバントのみを投与された誘導マウス(C)は、Pro-Cat/JOCK1腺癌の典型的な病理学的特徴を示した。(D)病理学的スコアリング(実験手順で定義される)は、ワクチン接種マウスとアジュバントのみで処置した誘導マウスとの間の病理学的表現型において統計的に有意な差を示した。Y軸:組織病理学的スコア。DC(E&F)を受けなかった、1×10DC(G&H)及び4×10DC(I&J)を受けた、誘導動物(E、G、I)と非誘導対照動物(F、H、J)との間で観察されたように、ワクチン接種はまた用量応答効果を与えるようであった。基準バー=100μM。
図6-2】同上
図7図7A-H: 同種のワクチン接種は、自然発生的なCNS悪性腫瘍の大きな動物モデルにおいて可能であり、有効性がある。CNS悪性腫瘍の診断時に、非無作為化第I相獣医試験のために、2頭の大きな(>25kg)イヌ患者を募集した。脳の臨床MRイメージングは、診断時(A&E)、保存的腫瘍切除の直前(B&F)、切除直後(C&G)、及びワクチン接種プロトコールの開始後5週間(D&H)の、2匹の動物の腫瘍を示す。矢印は腫瘍の領域を示す。第1の動物(上の4つのパネル)は、1回のワクチン注射後に50%の腫瘍体積の減少を示した(C&D参照)、一方、第2の動物(下の4つのパネル)は、3回のワクチン注射後79%の腫瘍体積の減少を示した(G&H参照)。
図8図8A-B: AIMp1はDCの同種負荷後に早期にかつ成熟前に放出されるが、sCTLA-4分泌のアブレーションは下流で生じる。(A)AIMp1分泌の開始は、同種クラスI及びIIペプチドによるDC負荷の3時間後に早期に観察されたが、sCTLA-4分泌はこの初期の時点では影響を受けなかった。sCTLA-4分泌のアブレーションは、成熟後の遅い時点まで見られなかった(例えば、負荷の48時間後に示されるように)。(B)不適合異種ペプチド(薄灰色)または重複同種ペプチド(濃灰色)を負荷したDCからの、負荷の3時間後及び48時間後のAIMp1及びsCTLA-4分泌の定量。Y軸:AIMp1/sCTLA-4比。
図9図9: AIMp1 coIP及び相反するMHCクラスIのcoIPは、AIMp1とMHCとの間の、特に成熟DCにおける強い相互作用を示す。結果は、タンデム質量分析によって確認した(示さず)。IP=免疫沈降に使用される抗体の特異性。IB=検出に使用される抗体の特異性。3つの内の代表的な実験を示す。
図10図10: MHCへのAIMp1結合は、同種の抗原決定基(mRNA及び溶解物)によるDCの負荷に依存する。同種クラスI及びIIペプチド対を負荷したDCと同様のやり方で、AIMp1 coIPは、以下、即ちAIMp1とMHCクラスII及びクラスI(示さず)との相互作用が、DCに相同mRNA及び溶解物調製物を負荷した場合に実質的に破壊されたので、これは分泌されたAIMp1がMHC結合AIMp1に由来し得ること示していること、を示唆した。興味深いことに、異種調製物の使用によるクラスI(mRNA)及びクラスII(溶解物)の決定基間における増加した抗原性異種性の導入は、MHCへのAIMp1結合を増強するようであった。3つの内の代表的な実験を示す。
図11図11A-B: β2-ミクログロブリンまたはHLA-DMのsiRNAノックダウンによるMHC負荷の無効化は、ヒトDCが同種のペプチド負荷に応答してAIMp1/sCTLA-4分泌を調節する能力を排除する。(A)2つの異なる対の同種ペプチド(野生型インフルエンザHA及びgly-to-met置換HA)を負荷したDCは、非標的(NT)siRNAで処理した場合、AIMp1分泌を増強し、sCTLA-4分泌を減少させた;しかしながら、β2-ミクログロブリンまたはHLA-DM siRNAのいずれかを用いた治療は、AIMp1及びsCTLA-4を調節する能力を無効にし、分泌されたAIMp1/sCTLA-4比を無負荷、単回負荷または異種負荷DCと区別できなくした。4つの代表的実験を示す。(B)(a)で提示されたデータのデンシトメトリー定量。4回の独立した実験の平均値。p<0.05
図12図12: 免疫学的自己のインビボ標的化のためのDC同種負荷の模式的アウトライン方法論。
図13図13: 養子移転のスケジュールと分析のタイムラインの図式概略。
図14図14: 部分的HLA適合ヒトDCの相同性負荷により、WPMY-1正常前立腺を特異的に溶解する能力が増強されたCTLが生成する。WPMY-1正常ヒト前立腺細胞株由来の決定基を負荷したヒトDCを用いて、自己リンパ球を初回刺激し、そして増殖させた。3回の刺激の後、T細胞を採取し、以前に記載されたように50、溶解特異性をCr溶解アッセイ51によって試験した。データは、WPMY-1 mRNA及びWPMY-1溶解物の両方を負荷したDCが、WPMY-1溶解物またはWPMY-1 mRNAいずれかのみで負荷されたDCより実質的に優れた特異的CTL活性を生み出したことを示した。Y軸:特異的溶解%。X軸:E:T比。
図15図15A-D: 同種の抗原負荷によって生成したワクチンは、CD8細胞に依存するやり方で、確立された4T1乳癌腫瘍の増殖及び転移拡大を阻害する。(A)ルシフェラーゼ発現4T-1腫瘍の異所的樹立の8日後に、マウスに、相同的に負荷された樹状細胞をワクチン接種するか、または偽ワクチン接種及び全身アジュバントで処置した。IVISにより腫瘍の転移性拡大がモニターされた。示されるように、偽ワクチン接種されたマウスは、肝臓、肺、及び脳への遠隔転移を発症し、移植後1ヶ月で死亡し始めた。ワクチン接種したマウスは転移性疾患を発症せず、原発性腫瘍は良好に制御されたままであった。同種負荷のための抗原性物質は、ルシフェラーゼを発現しない4T1細胞株に由来した。代表的なマウスを示す。コホートのサイズ=グループあたり6。(B)(A)で示されたデータのカプラン-マイヤー生存率分析。56日目にp<0.001。(C)CD8細胞への依存性を実証するために、非担癌マウスのコホートに同種ワクチンを2回ワクチン接種した。単一のコホートのCD8枯渇後、脾細胞を採取し、腫瘍を有するマウスのコホートに養子移入した。データは、同種ワクチン接種したアイソタイプ枯渇脾細胞で養子移入されたマウスが腫瘍コントロールを維持し、転移拡大を示さなかったが、相同ワクチン接種したCD8枯渇脾細胞で養子移入したマウスは、最終的に病気で死んだことを示した。異種ワクチン接種されたアイソタイプ枯渇脾細胞を養子移入したマウスは、うまくいかず、おそらく同種ワクチン接種により生成した追加のCD8エフェクターの存在を示していた。代表的なマウスを示す。コホートのサイズ=1グループにつき5。(D)(C)で示したデータのカプラン-マイヤー生存分析。43日目に、わずか20%の同種ワクチン接種宿主由来のアイソタイプ枯渇脾細胞を養子移入したマウスに対して、80%の同種ワクチン接種宿主由来のアイソタイプ枯渇脾細胞を養子移入したマウスが生存していた。アイソタイプが枯渇し異種ワクチン接種された宿主に由来する脾細胞で養子移入した全てのマウスは、32日目までに腫瘍で死亡した。43日目でp<0.001.
図16図16: 組換えAIMp1(p43)は、TH1応答の生成を増強する。ヒトDCに、示されたペプチドの組み合わせを負荷し、ヒトDCを、100ng/mlの組換えAIMp1(p43)の存在下または非存在下で自己T細胞を初回刺激するために使用した。試験したすべての条件下で、活性化CD8+T細胞のパーセンテージはAIMp1の存在下で50%~150%増強された。試験した各対の状態についてp<0.05であった。rAIMp1間の最も強固な増加は、抗原を相同的に負荷したDCで観察された。
【発明を実施するための形態】
【0027】
I.本発明の実施形態
樹状細胞は高度に特化したクラスの抗原提示細胞を含む。以前の研究では、樹状細胞が、癌細胞等の被験体の細胞集団を特異的に標的とするT細胞応答を刺激するために効果的に初回刺激され得ることが実証されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,728,806号参照)。しかしながら、樹状細胞組成物の有効性を高め、これにより、より強固な免疫応答を提供する方法の必要性が依然として残っていた。
【0028】
本明細書に提示される研究は、共刺激分子と樹状細胞適用部位の両方が細胞組成物の有効性に顕著に影響し得ることを初めて実証する。特に、I型インターフェロン(例えば、INFα)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、またはAIMp1等の補助刺激剤と組み合わせた樹状細胞の投与により、T細胞応答を顕著に高めることが見出され、これは初回刺激された(Primed)樹状細胞組成物によって提供される。同様に、TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共に投与された初回刺激樹状細胞により、高められたT細胞応答を達成することができた。さらに、樹状細胞の適用部位は、T細胞刺激の有効性を顕著に変化させることが見出された。特に、作用機序の特定の理論に拘束されるものではないが、樹状細胞は、好ましくは、標的疾患組織(例えば、腫瘍)の部位の近傍にあるT細胞に曝露されるべきであると考えられている。従って、いくつかの好ましい態様において、樹状細胞組成物は、腫瘍等の疾患細胞集団の部位を排出するリンパ組織へ直接導入することによって、被験体に投与される。このように、共刺激分子の併用と初回刺激された樹状細胞の疾患組織に近い部位への投与により、極めて強固な免疫応答を誘導することができる。
【0029】
II.実施形態の樹状細胞集団
単離培養し、及び樹状細胞を初回刺激するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,728,806号には、実施形態の組成物及び方法において使用され得る抗原初回刺激された樹状細胞を提供するための詳細な方法が提供される。特定の態様では、実施形態に従って使用される樹状細胞は、実施形態の方法によって治療されるべき被験体から単離される。他の態様では、樹状細胞は、HLA適合ドナー等の異なる被験体からのものであってもよい。特定の態様において、樹状細胞は、規定されたHLAタイピングを有する樹状細胞のバンク(bank)に由来する。好ましい態様において、実施形態に従って使用される初回刺激された樹状細胞は、本明細書及び米国特許第8,728,806号に詳述されているように抗原が相同的に負荷される。
【0030】
血液及び骨髄等の様々な供給源由来の樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞のために富化される細胞集団を単離するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞は、ヘパリン化血液の採取により、アフェレーシスまたは白血球搬出により、バフィーコートの調製、ロゼット形成(rosetting)、遠心分離、密
度勾配遠心分離(例えばFicoll(例えば、FICOLL-PAQUE(登録商標)を使用)、PERCOLL(登録商標)(非透析性ポリビニルピロリドン(PVP)でコーティングされたコロイドシリカ粒子(直径15~30mm))、スクロース等)、細胞の微分溶解、濾過等により、単離され得る。特定の実施形態では、白血球集団は、例えば、被験体から血液を採取し、血小板を除去するために脱繊維素し、赤血球を溶解する等により調製することができる。樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞は、例えば、PERCOLL(登録商標)勾配による遠心分離によって、単球樹状細胞前駆体のために任意に富化することができる。他の態様において、樹状細胞前駆体は、G-CSF動員末梢血のCD14選択を使用して選択することができる。
【0031】
樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞は、場合により、閉鎖された無菌系で調製することができる。本明細書で使用される「閉鎖された無菌系」または「閉鎖系」という用語は、非滅菌、周囲空気、または循環空気または他の非滅菌条件への暴露が最小化または排除されるシステムを指す。樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞を単離するための閉鎖系では、一般に、開放トップチューブにおける密度勾配遠心分離、細胞の野外送達、組織培養プレートまたは未閉鎖フラスコ中の細胞培養等は排除される。典型的な実施形態では、閉鎖系は、非滅菌空気に暴露することなく、樹状細胞前駆体及び未成熟樹状細胞を初期収集容器から閉鎖可能な組織培養容器に無菌的に移動させる。
【0032】
特定の実施形態において、単球樹状細胞前駆体は、単球結合基質への付着によって単離される。例えば、白血球の集団(例えば、白血球搬出によって単離された)を、単球性樹状細胞前駆体付着基材と接触させることができる。白血球の集団が基質と接触すると、白血球集団における単球性樹状細胞前駆体が基質に優先的に付着する。他の白血球(他の可能性のある樹状細胞前駆体を含む)は、基質に対する低下した結合親和性を示し、これにより単球樹状細胞前駆体を基質の表面上に優先的に富化させる。
【0033】
好適な基材としては、例えば、体積に対する表面積の比が大きいものが挙げられる。このような基材は、例えば、粒子状または繊維状基材であり得る。適切な粒状基材としては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、ガラス被覆プラスチック粒子、ガラス被覆ポリスチレン粒子、及びタンパク質吸収に適した他のビーズが挙げられる。適切な繊維質基材には、微小毛細管及び微繊膜が含まれる。粒状または繊維状の基質は、通常、付着(接着)した細胞の生存率を実質的に低下させることなく、付着した単球性樹状細胞前駆体を溶出させる。粒状または繊維状基質は、基質からの単球性樹状細胞前駆体または樹状細胞の溶出を容易にするために、実質的に非多孔性であり得る。「実質的に非多孔性の」基材は、基材中に存在する細孔の少なくとも大部分が基材中の捕捉細胞を最小にするために細胞よりも小さい基材である。
【0034】
単球性樹状細胞前駆体の基材への付着は、結合媒体の添加によって任意に増強することができる。適切な結合媒体としては、例えばサイトカイン(例えば、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン4(IL-4)、またはインターロイキン13(IL-13))、血漿、血清(例えば、自己血清または同種血清のようなヒト血清)、血清アルブミン等の精製タンパク質、二価陽イオン(例えば、カルシウム及び/またはマグネシウムイオン)及び単球性樹状細胞前駆体の基質への特異的付着を助ける、または非単球性樹状細胞前駆体の基質への付着を防止する他の分子などの精製タンパク質を、個々にまたは任意の組み合わせで補充された、単球性樹状細胞前駆体培養培地(例えば、AIM-V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X-VIVO 15(登録商標)等)が挙げられる。特定の実施形態では、血漿または血清を加熱不活性化することができる。加熱不活性化血漿は、白血球に対して自己由来であっても異種であってもよい。
【0035】
単球性樹状細胞前駆体の基材への付着に続いて、非付着性白血球を単球性樹状細胞前駆体/基質複合体から分離する。任意の適切な手段を用いて、非付着細胞を複合体から分離することができる。例えば、非付着性白血球と複合体の混合物を沈降させ、非付着性白血球及び培地をデカントまたは排出させることができる。あるいは、混合物を遠心分離し、非付着性白血球を含有する上清を、ペレット複合体からデカントまたは排出させることができる。
【0036】
単離された樹状細胞前駆体は、分化、成熟及び/または増殖のためにエクスビボで培養することができる。(本明細書中で使用されるように、単離された未成熟樹状細胞、樹状細胞前駆体、T細胞、及び他の細胞は、ヒトの手によって自然環境とは別に存在し、従って自然の産物ではない細胞をいう。単離された細胞は、精製された形態で、半精製された形態で、または非天然環境で、存在し得る。)簡潔には、エキソビボ分化は、典型的には、1つ以上の分化剤の存在下で、樹状細胞前駆体または樹状細胞前駆体を有する細胞の集団を培養することを含む。適切な分化剤は、例えば細胞増殖因子(例えば、(GM-CSF)、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン13(IL-13)、及び/またはそれらの組み合わせ等のサイトカイン)であり得る。特定の実施形態において、単球性樹状細胞前駆体は、単球由来未成熟樹状細胞を形成するように分化される。
【0037】
樹状細胞前駆体は、適切な培養条件で培養し、分化させることができる。適切な組織培養培地としては、AIM-V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X-VIVO
15(登録商標)等が挙げられる。細胞の分化を容易にするために、組織培養培地に、血清、アミノ酸、ビタミン、GM-CSF及び/またはIL-4等のサイトカイン、二価カチオン等を補充することができる。特定の実施形態において、樹状細胞前駆体は、無血清培地中で培養することができる。このような培養条件は、動物由来の生成物を任意に排除することができる。典型的な樹状細胞培養培地中の典型的なサイトカインの組み合わせは、GM-CSF(50ng/ml)及びIL-4(10ng/ml)で、それぞれ約500単位/mlである。樹状細胞前駆体は、分化して未成熟樹状細胞を形成する場合、表現型的には皮膚ランゲルハンス細胞に類似している。未成熟樹状細胞は、典型的にはCD14-及びCD11c+であり、低レベルのCD86及びCD83を発現し、特殊エンドサイトーシスを介して可溶性抗原を捕捉することができる。未成熟DCは非常に高レベルのCD86を発現した。また、集団は、CD14及びCD11Cと混合された。大多数はCD11c+であったが、CD11c-及びCD14+である別個の亜集団もあった。
【0038】
未成熟樹状細胞は成熟して成熟樹状細胞を形成する。成熟DCは、抗原を取り込んで、共刺激細胞表面分子及び種々のサイトカインの上方制御発現を示す能力を失う。具体的には、成熟DCは未成熟樹状細胞よりも高いレベルのMHCクラスI及びII抗原を発現し、成熟樹状細胞は一般にCD80+、CD83+、CD86+及びCD14-と同定される。より大きなMHC発現は、DC表面上の抗原密度を増加させ、一方、共刺激分子CD80及びCD86の上方制御(up regulation)は、T細胞上のCD28等の共刺激分子の対応部分を介してT細胞活性化シグナルを強化する。
【0039】
本発明の成熟樹状細胞は、未成熟樹状細胞を、有効な量または濃度の核酸組成物及び腫瘍抗原組成物と接触させることによって調製(即ち、成熟)することができる。核酸組成物の有効量は、典型的には、培養皿あたりまたは細胞あたり、多くとも、少なくとも、または約0.01、0.1、1、5、10、10まで、15、20、50、100ngまたはmgの核酸であり、これらの間にあるすべての値と範囲を含む。腫瘍抗原組成物の有効量は、典型的には、培養皿あたりまたは細胞あたり、多くとも、少なくとも、または約0.01、0.1、1、5、10、10まで、15、20、50、100ngまたはmgのタンパク質である。特定の態様では、0.001ngの腫瘍抗原/細胞~1μgの腫瘍抗原/百万細胞)を使用することができる。腫瘍抗原組成物は、任意で、樹状細胞との接触前に熱失活させるか、または処理する(例えば、プロテアーゼに曝露する)ことができる。未成熟樹状細胞を核酸組成物及び腫瘍抗原組成物で成熟させることにより、成熟樹状細胞は1型(Th-1)応答のために初回刺激される。
【0040】
未成熟DCは、典型的には、有効量の核酸組成物及び腫瘍抗原組成物と、多くとも、少なくとも、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、10まで、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24分、時間、または日の間、接触する。未成熟樹状細胞は、適切な成熟培養条件で培養及び成熟させることができる。適切な組織培養培地としては、AIM-V(登録商標)、RPMI 1640、DMEM、X-VIVO 15(登録商標)等が挙げられる。細胞の成熟を促進するために、組織培養培地にアミノ酸、ビタミン、サイトカイン、例えばGM-CSF及び/またはIL-4、二価カチオン等を補充することができる。
【0041】
樹状細胞の成熟は、当該分野で公知の方法によってモニターすることができる。細胞表面マーカーは、フローサイトメトリー、免疫組織化学等の、当技術分野でよく知られているアッセイにおいて検出することができる。細胞はまた、サイトカイン産生についてモニターすることもできる(例えば、ELISA、FACS、または他の免疫アッセイにより)。樹状細胞前駆体、未成熟樹状細胞、及び成熟樹状細胞(抗原性を有するものまたは非抗原性のもの)は、後日使用するために凍結保存することができる。凍結保存のための方法は当該技術分野において周知である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,788,963号を参照。
【0042】
A.遺伝的に改変された樹状細胞
実施形態の特定の態様は、遺伝子改変された樹状細胞に関する。いくつかの態様では、遺伝子改変は、阻害性核酸等の細胞内に外因性導入遺伝子を導入することを含む。さらなる態様において、導入遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下で、チミジンキナーゼをコードする遺伝子等の自殺遺伝子であり得る。従って、いくつかの態様において、免疫応答を刺激した後、投与された樹状細胞は、自殺遺伝子の発現を制御するプロモーターの誘導によって死滅させることができる。
【0043】
さらなる態様において、遺伝子改変は、細胞集団におけるゲノム欠失または挿入を含む。例えば、1つ以上のHLA遺伝子を破壊して、樹状細胞を治療すべき被験体の有効なHLA適合物とすることができる。
【0044】
実施形態のさらなる態様は、例えば、CTLA-4の発現を低下させるように、遺伝子改変された樹状細胞に関する。いくつかの態様において、遺伝子改変は、CTLA-4に特異的な外因性阻害性核酸の導入を含む。特定の態様において、阻害性核酸は、樹状細胞中のDNAベクターから発現されるRNA等のRNAである。さらなる態様において、阻害性核酸は、樹状細胞に導入されるsiRNA、dsRNA、miRNAまたはshRNAであり得る。このようなRNAの詳細な開示は前記で提供されている。
【0045】
さらなる態様において、遺伝子改変は、CTLA-4を減少させる細胞集団におけるゲノム欠失または挿入を含む。他の態様において、樹状細胞は、CTLA-4遺伝子内の半接合性またはホモ接合性の欠失を含む。例えば、いくつかの態様では、CTLA-4ポリペプチドの発現が阻害されるように、樹状細胞のCTLA-4遺伝子の一方または両方のコピーを完全にまたは部分的に欠失させることができる。いくつかの態様では、1つ以上のCTLA-4遺伝子を発現しないように細胞を改変することは、CTLA-4遺伝子座を特異的に標的とする人工ヌクレアーゼを細胞に導入することを含み得る。様々な態様において、人工ヌクレアーゼは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEN、またはCRISPR/Cas9であり得る。様々な態様において、細胞に人工ヌクレアーゼを導入することは、人工ヌクレアーゼをコードするmRNAを細胞に導入することを含み得る。
【0046】
III.併用療法
実施形態の樹状細胞療法の有効性を高めるために、これらの組成物を目的の疾患の治療に有効な他の薬剤と組み合わせることが望ましい場合がある。
【0047】
いくつかの態様において、樹状細胞療法は、TLRアゴニスト、I型インターフェロン(INF)、AIMp1、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンド等の分子と共に投与される。TLRアゴニストは、TLR3、TLR7、TLR8またはTLR9アゴニストであり得る。タイプI INFは、INF-α、IFN-β、IFN-ε、IFN-κまたはIFN-ωであり得る。例えば、TLR-7アゴニストは、CL075、CL097、CL264、CL307、GS-9620、Poly(dT)、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド(R848)、ロキソリビン及びssRNAオリゴヌクレオチドからなる群より選択され得る。TLR-9アゴニストの例としては、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)が含まれる。他のTLRアゴニストは、例えば、米国特許公開第2014/0005255号に記載されており;これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
当技術分野で公知のRIG-I様受容体(RLR)リガンドは、RIG-1、Mda5、ならびにLGP2シグナル伝達の活性化因子を指す。これらのリガンドとしては、一本鎖RNA、二本鎖RNA、及び5’-三リン酸RNAが挙げられるが、これらに限定されない。RIG-I様受容体リガンドはまた、RLR様生物学的活性をもたらす、RIG-I、Mda5及びLGP2の結合及び活性化を導くことができる、RNA分子に導入された任意の改変(修飾)を言う。いくつかの態様では、RLRリガンドは、MAVS、VISAまたはCARDIFとしても知られるIPS-1等の共通アダプタータンパク質のモジュレーターであり得る。例えば、RIG-1様受容体リガンドは、MDA5リガンド、LGP2リガンド、ssRNA、dsRNA、5’ppp-dsRNA、Poly(dA:dT)、及びPoly(I:C)からなる群より選択される。
【0049】
特定の態様において、初回刺激された樹状細胞集団は、CDS受容体リガンドと共に投与される。いくつかの態様において、CDS受容体リガンドは、cGAS-STINGリガンドとしてさらに定義される。例えば、cGAS-STINGリガンドは細菌性環状ジヌクレオチド(CDN)である。核酸、タンパク質、ペプチド、または小分子等の他のcGAS-STINGアゴニストは、例えば国際特許公開WO2015/077354に記載されている。
【0050】
非限定的な例として、癌の治療は、他の抗癌剤と共に本実施形態の初回刺激された樹状細胞組成物により実施することができる。「抗癌」剤は、例えば、癌細胞を死滅させること、癌細胞においてアポトーシスを誘導すること、癌細胞の増殖速度を低下させること、転移の発生率または数を減少させること、腫瘍サイズを縮小すること、がんの成長を阻害すること、腫瘍または癌細胞への血液供給を減少させること、癌細胞または腫瘍に対する免疫応答の促進すること、癌の進行の予防または抑制すること、または癌を有する被験体の寿命の延長することにより、被験体における癌に負に影響を及ぼすことができる。より一般的には、これらの他の組成物は、細胞の増殖を中止または阻害するのに有効な組合せ量で提供される。このプロセスは、細胞を、抗癌ペプチドまたはナノ粒子複合体と、薬剤または複数因子とに同時に接触させることを含み得る。これは、両方の薬剤を含む単一の組成物または薬理学的製剤を細胞に接触させることによって、または同時に、2つの異なる組成物又は製剤(一方の組成物が樹状細胞組成物を含み、他方が第二の薬剤を含む)と細胞を接触させることによって、達成することができる。
【0051】
樹状細胞組成物での処置は、数分から数週間の範囲の間隔で、他の薬剤処置の前または後に行なうことができる。他の薬剤及び樹状細胞組成物が被験体に別々に適用される実施形態では、薬剤と樹状細胞組成物が依然として細胞に対して有利な組み合わせ効果を及ぼすことができるように、各送達の時間の間においてかなりの期間が期限切れとならないことが一般的には保証されるであろう。このような場合、相互に約12~24時間以内、より好ましくは相互に約6~12時間以内に両方の方法で細胞と接触し得ることが企図される。いくつかの状況では、それぞれの投与の間に数日間(例えば、2、3、4、5、6または7日)から数週間(例えば、1、2、3、4、5、6、7または8週間)経過した時点で、治療の期間を有意に延長することが望ましい場合がある。
【0052】
樹状細胞療法が「A」であり、放射線療法、化学療法または抗炎症剤のような第2の薬剤が「B」である様々な組合せを採用することができる。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
特定の実施形態において、本実施形態の樹状細胞治療の患者への投与は、もしあればベクターの、毒性を考慮に入れて、化学療法剤の投与のための一般的なプロトコールに従う。必要に応じて治療サイクルを繰り返すことが期待される。記載された過剰増殖性細胞療法と組み合わせて、種々の標準的な療法及び外科的介入を適用することも考えられる。
【0053】
A.化学療法
癌療法には、様々な併用療法も含まれる。いくつかの態様では、実施形態の樹状細胞組成物は、化学療法剤と共に投与(または処方)される。例えば、いくつかの態様において、化学療法剤は、EGFR、VEGFR、AKT、Erb1、Erb2、ErbB、Syk、Bcr-Abl、JAK、Src、GSK-3、PI3K、Ras、Raf、MAPK、MAPKK、mTOR、c-Kit、eph受容体またはBRAF阻害剤等のタンパク質キナーゼ阻害剤である。タンパク質キナーゼ阻害剤の非限定的な例としては、アファチニブ、アキシニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、セツキシマブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、フォスタマチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ルキソリチニブ、サラカチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、AP23451、ベムラフェニブ、MK-2206、GSK690693、A-443654、VQD-002、ミルテフォシン、ペリフオシン、CAL101、PX-866、LY294002、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、リダフォロリムス、アルボシジブ、ゲニステイン、セルメチニブ、AZD-6244、バタラニブ、P1446A-05、AG-024322、ZD1839、P276-00、GW572016またはこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
さらに別の併用化学療法としては、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(cyclosphosphamide)等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホネート;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパ等のアジリジン;エチレンイミン、及びアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド及びトリメチローロメラミンを含むメチルアメラアミン;アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリースタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラティスタチン;サルコジクチイン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード等のナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムヌスチン(ranimnustine)等のニトロソ尿素;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンガンマI及びカリケアマイシンオメガI1;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネート等のビスホスホネート;エスペラマイシン;並びに、ネオカルジノスタチン発色団及び関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラルナイシン(authrarnycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalarnycin)、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン等の抗生物質;メトトレキセート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の抗代謝物;デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキセート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン等のピリミジン類似体;カロテストロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン等のアンドロゲン;ミトタン、トリロスタン等の抗副腎;フォリン酸(frolinic acid)等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルチミシン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシノイド、例えばマイタンシン及びアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロゾキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C”」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金配位錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノヴァントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸塩;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビエン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、及び上述のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、ゲフィチニブと組み合わせて使用され得る。他の実施形態では、本実施形態は、グリーバクと組み合わせて実施することができる(例えば、約400~約800mg/日のグリーバクを患者に投与することができる)。特定の実施形態では、1つ以上の化学療法剤を、本明細書で提供される組成物と組み合わせて使用してもよい。
【0055】
B.放射線療法
DNA損傷を引き起こし、広範に使用されてきた他の因子としては、通常、γ線、X線として知られているもの、及び/または腫瘍細胞への放射性同位元素の指向性送達が挙げられる。マイクロ波及びUV照射等のDNA損傷因子の他の形態も考えられる。これらの因子のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、及び染色体のアセンブリ及び維持に対して広範囲の損傷を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)で、1日用量が50~200レントゲンの範囲から、2000~6000レントゲンの単回用量までの範囲がある。放射性同位元素の投与量範囲は広く変化し、同位体の半減期、放出される放射線の強さ及びタイプ、腫瘍細胞による取り込みに依存して変わる。
【0056】
用語「接触した」及び「曝露された」は、細胞に適用された場合、本明細書では、そのプロセスよって治療組成物及び化学療法剤または放射線治療剤が、標的細胞に送達されるか、または標的細胞と直接的に並んで配置される、当該プロセスを記載するために使用される。細胞死滅または停滞を達成するために、両方の薬剤は、細胞を殺すか、または細胞が分裂するのを防ぐのに、有効な合わせた総量で細胞に送達される。
【0057】
C.遺伝子治療
さらに別の実施形態において、二次治療は、治療用ポリヌクレオチドが治療用組成物の前、後、または同時に投与される遺伝子治療である。遺伝子産物発現のためのウイルスベクターは当技術分野では周知であり、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ワクシニアウイルス等のポックスウイルス、SV40等のパピローマウイルスなどの真核生物発現系を含む。あるいは、発現構築物の投与は、リポソームまたはDOTAP:コレステロール小胞等の脂質ベースのベクターを用いて達成することができる。これらの方法はすべて当技術分野で周知である(例えば、Sambrookら,1989;Ausubelら,1998;Ausubel,1996参照)。
【0058】
D.手術
癌を有する人の約60%は、予防、診断または病期診断、治癒的及び緩和的手術を含む何らかのタイプの手術を受ける。治癒手術は、本明細書で提供される治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法及び/または代替療法等の他の療法と併用し得る癌治療である。
【0059】
治癒手術には、癌組織の全部または一部を物理的に除去、摘出及び/または破壊する切除が含まれる。腫瘍切除術は、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除去することを指す。手術による治療には、腫瘍切除の他、レーザー手術、凍結手術、電気外科、及びマスク制御の手術(モース手術)が含まれる。さらに、本発明の実施形態は、表在性癌、前癌状態、または付随する量の正常組織の除去と併せて使用され得ると考えられる。いくつかの態様では、腫瘍切除後、実施形態の樹状細胞組成物を、以前の腫瘍部位を排出したリンパ組織に投与する。
【実施例0060】
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために記載される。以下の実施例に開示された技術は、本発明の実施において良好に機能する、発明者によって発見された技術を表し、従って、その実施の好ましい態様を構成すると考えることができることは、当業者には理解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、そしてまた同様のまたは類似の結果が得られることを認識するべきである。
【0061】
実施例1-材料及び方法
下記の実施例で使用されるように、8~12週齢のC57BL/6、Balb/c及びFVBマウスは、Harlan Laboratories(Indianapolis,IN)またはJackson Laboratory(Barr Harbor,ME)から入手した。C57BL/6バックグラウンドのH2-DMノックアウトマウスは、チャペルヒルのノースカロライナ大学のJenny Ting博士からの親切な贈り物であった。FVBバックグラウンドのPro-Cat/JOCK1トランスジェニックマウスは、記載されているように(Carstensら,2014)、テキサス州ヒューストンのベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)のDavid Spencer博士の実験室で作製された。すべてのマウスは、ベイラー医科大学の特定のIACUC要件に従って維持された。
【0062】
ワクチン材料の調製、DCの負荷及びインビトロでの共培養 - 10週齢の雄マウスから膣小胞(SV)及び前立腺を採取し、直ちに-80℃で凍結した。RAW264.7、B16-F10,4T1、及びWPMY-1細胞株を、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC,Manassas,VA)から入手し、T225フラスコ(Corning Lifesciences,Tewksbury,MA)中にて37℃、5%COで、コンフルエントになるまで増殖させ、採取し、直ぐに-80℃で凍結させた。ペプチドを80:20のdHO:DMSO溶液(10mg/ml)に再構成し、-80℃で保存した。MHCクラスI(mRNA)またはII(溶解物)決定基を形成するために、Polytron PT1200E組織ホモジナイザー(Kinematica,Inc,Bohemia,NY)を用いて、組織画分を最初に破壊した。細胞溶解物を形成するために、ホモジナイズした組織懸濁液をPBS(Life Technologies,Carlsbad,CA)で50mg/mlに希釈し、反復凍結融解サイクルに付し、-20℃で保存した。mRNAを形成するために、メーカーの指示に従ってTrizol試薬(Life Technologies,Carlsbad,CA)を使用して、ホモジナイズした組織から全RNAを単離し、そしてmRNAを、Oligotex mRNA
Maxi Kit(Qiagen,Valencia,CA)を用いて製造業者の指示に従って全RNAから単離した。mRNAをNanodrop分光光度計(Thermo
Scientific)で定量し、完全性をゲル電気泳動で確認した。ヒト(Deckerら,2006;Deckerら,2009)及び野生型マウス(Konduriら,2013)の樹状細胞を、記載のように調製し、負荷し、成熟させた。siRNAの使用は、製造元の説明書(Thermo Scientific-Dharmacon)に従って実施した。H2-DM-/-DCの成熟カクテルにさらに1μg/mlのCpG-ODN(InvivoGen)を補充した。インビトロ共培養は以前に記載されたように行った(Deckerら,2006;Deckerら,2009;Konduriら,2013)。
【0063】
ワクチン接種 - 治療的にワクチン接種した全てのマウスに、5×10~5×10のDCを腹腔内(i.p.)に投与し、及び20%DMSO/80%AIM-Vに懸濁されたが可溶化されていない0.5mgのイミキモド(LC Labs,Woburn,MA)も腹腔内(i.p.)に投与した。マウスに図12に示すように1~4回ワクチン接種した。異なるワクチン処理は、mRNAが負荷したDC、溶解物が負荷したDC、同種または異種のmRNAのいずれかと溶解物が同時に負荷したDC、同種mRNA及び溶解物及びAIMp1 siRNAが負荷したDC、及び無負荷DCを包含した。多数のワクチン接種を10日間隔で行った。SIINFEKL(SEQ ID NO:1)/Ova負荷DCがワクチン接種されたマウスは、フットパッドでワクチン接種され、イミキモドを受けなかった。
【0064】
組織学的及び総体的分析 - オリンパスDP70デジタルカメラ(Olympus Corporation)を有するオリンパスCX41顕微鏡(Olympus corporation,Center Valley,PA)を使用する光学顕微鏡による肉眼的組織学的分析のために、パラフィン切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した。前立腺癌の盲目組織病理学的スコアリングは、奥行きの異なる2つの区画で観察された、前部、腹部、背外側のすべてのフィールドの間に存在する病気の優勢段階に基づく4点スケールからなるものであった:0=正常、1=過形成、2=PIN、3=腺癌、4=過渡期。優勢な段階を見分けることができなかった場合、半分の点数が許容された。
【0065】
MRI分析 - 前立腺及び精嚢のMRIは、35mm容積の共鳴器(Bruker BioSpin,Billerica,MA)を有する9.4T、21cmボア水平スキャナを用いて行った。リラクゼーション強調(RARE)画像を用いて3次元(3D)ターボ迅速取得を得るために使用された画像化パラメータは、以下の通りであった:TR=3000ms;有効TE=30ms;FOV=30mm;マトリックス=128×128×128;RAREファクター=8;平均数=1。画像はParavisionソフトウェアバージョン5(Bruker BioSpin)を用いて得た。画像化の間、マウスを、酸素と混合した0.25%イソフルラン(Abbott,Abbott Park,IL)で麻酔し、コア温度を37℃に維持した。MRI画像をAmira 3.1ソフトウェア(Visage Imaging,San Diego,CA)を用いて分析した。
【0066】
CTLA-4/sCTLA-4 RT-PCRアッセイ - 負荷され成熟したDCを1mL当たりTrizol(Life Technologies)に1mL当たり<1×10の細胞で再懸濁し、全RNAを製造業者の指示に従って抽出した。RNAを1μg/μl DNase I(Invitrogen)で処理した。cDNAを、SuperScript(商標)III First-Strand Synthesisキット(Life Technologies)を使用してDNaseで処理されたRNAサンプルから合成し、CTLA-4 Fwdプライマー:ATGGCTTGCCTTGGATTTCAGCGGC(SEQ ID NO:12)及びCTLA-4 Revプライマー:TCAATTGATGGGAATAAAATAAGGCTG(SEQ ID NO:13)を用いて55℃のアニーリング温度にて35サイクルPCRで増幅した。可溶性及び膜結合CTLA-4アイソフォームの両方に対応する転写物を増幅するようにプライマーを設計した。
【0067】
Western Blot画像の定量 - Western Blot化学発光シグナルを、Image Labソフトウェアバージョン2.0.1(Bio-Rad Laboratories,Hercules,CA)を実行するChemiDoc XRSデジタルイメージングシステムを使用して検出した。すべてのWestern Blotを、Ponceau S(Sigma-Aldrich)染色膜の濃度測定によって定量した。細胞死からの残存細胞溶解物または破片による上清の汚染は、抗-β-アクチン(Santa Cruz)を用いた免疫染色及び追加の濃度測定によって制御された。濃度測定は、ImageJソフトウェア(NIH;Bethesda,MD)を用いて行った。単一膜上のsCTLA-4及びAIMp1の両方の検出のために、膜を、最初に抗CTLA-4で典型的にプローブし、その後、製造者の指示に従ってWestern Blot Restoreバッファー(Pierce,Rockford,IL)で剥がし、抗AIMp1で再プローブした。
【0068】
Pro-Cat/JOCK1前立腺癌治療モデル - Pro-Cat/JOCK1マウスを、承認されたIACUCプロトコールに従って病原体を含まない施設に収容した。二重トランスジェニックマウスを作製し、記述したように遺伝子型を決定した(Carstensら,2014)。マウスの治療を、6週齢から隔週で、薬物希釈剤(16.7%プロパンジオール、22.5% PEG400、1.25% TWEEN 80)中2mg/kgのAP20187(Ariad Pharmaceuticals)100μlをマウス腹腔中(i.p.)に注射することにより、開始した。マウスは、AP20187処置して24週間後に、100μlの20% DMSO中の5×10~4×10負荷DC+0.5mgの微粒子イミキモド(LC LABS)を用いて、または0.5mgのイミキモドのみを、泌尿生殖器下部領域に、腹腔中(i.p.)ワクチン注射した。マウスに10日間間隔で4回のワクチン + イミキモド注射を与えた。AP20187注射は、犠牲になるまで隔週で維持した。
【0069】
自発的イヌ乏突起膠腫治療モデル - 臨床MRイメージングによるCNS悪性腫瘍の診断時に、大きい(>25kg)のイヌ患者が、翻訳ゲノム研究所(Translational Genomics Research Institute)により確立されたIACUCプロトコールにより所有者のインフォームドコンセントを得て非ランダム化第I相試験に登録された。犬の患者は開頭術及び保存的腫瘍切除を受け、その後切除された腫瘍は液体窒素中で急速凍結された。ワクチン抗原を調製するために、解凍した腫瘍標本を可溶性溶解物及びmRNA成分に細分し、上記のように抗原画分を調製した。続いて、患者をG-CSF(Neupogen,Amgen,Thousand Oaks,CA)で動員し、末梢血単核細胞(PBMC)で採取した。10%イヌ血清(Equitech Bio)、1% anti-anti(Life Technologies)、30ng/mlのrcGM-CSF及び10ng/mlのrcIL-4(ともにR&D Systems製)を補充したAIM-V培地中での6日間の培養により、付着性単球画分からイヌDCを生成した。上記の腫瘍抗原を負荷した後、記載のものと同じであるが、10ng/mlのrcIL-1β、15ng/mlのrcIL-6、10ng/mlのrcTNF-α(全てR&D Systems製)及び1μg/ml PGE(Sigma-Aldrich)が補充された同じ培地を用いて負荷DCを成熟させた。その後、DCを採取し、超音波ソノグラフィーによる深部頸部リンパ節の近傍への両側注射のために2×500μlアリコートPBSに再懸濁させた。複数の用量を投与する場合、注射は2週間間隔で行った。処置の間に、動物に12週間のヒトIFN-αをアジュバント添加し、その後1週間に3回、用量当たり2~800万単位で皮下投与した。腫瘍体積は、デジタルMRI測定から次の式:体積=4/3π(最小半径)×(最大半径/最小半径)、によって決定した。
【0070】
統計的分析 - 統計的有意性は、p<0.05(=p<0.05、**=p<0.01)として定義され、統計学的に適切な1つまたは2つの裾を有するスチューデントの非対応または対応t-検定(Student‘s unpaired or paired
t-test)によって決定された。複数の群間の統計的差異は、一元または二元配置のANOVAによって検証された。統計試験は、Macintoshバージョン12.0のMicrosoft Excel 2008で実行された。特に断らない限り、全ての正規化定量グラフは、3つの独立した実験からエラーバー=+/-SDを用いて得た。
【0071】
試薬 - 抗体:αHuman CTLA-4(ELISA)(eBioscience,San Diego,CA);αヒト/マウスCTLA-4(WB)(Abcam;Cambridge,MA);αヒト/マウスAIMP1(Lifespan Biosciences Inc,Seattle,WA);αMouse IL-12p70(ELISA)(BD Biosciences,San Jose,CA);αHuman
CD8(ICH)(Biorbyt;San Francisco,CA)、αMouse CD8(フローサイトメトリー)、αMouse CD25,αMouse CD3,及びαMouse CD4(BD Biosciences);αMouse CD8(インビボ枯渇)及びアイソタイプ対照(BioXCell,West Lebanon,NH)。αヒト/マウスβ-アクチンはSanta Cruz Biotechno
logies(Santa Cruz,CA)から購入した。αHLA-A,B,Cは、BioLegend,San Diego,CAから購入した。HLAタイピング抗体:αHLA-A2-FITC(BD Biosciences)、αHLA-B8-ビオチン(Abcam)及び非コンジュゲート化αHLA-DR3/DR6(Lifespan
Biosciences)。TLRアゴニスト:TLR-3アゴニストpoly(I:C)-ローダミン、TLR-9アゴニストCpG ODN-FITC、及びTLR-5アゴニストフラジェリンはInvivoGen(San Diego,CA)から得た。TLR-4アゴニストLPSは、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から得た。poly(I:C)-ローダミン及びCpG-FITCのDC取り込みを確認し、LSR IIフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いた蛍光顕微鏡法及びフローサイトメトリーにより定量し、MacIntoshのFlowJoバージョン10.0.00003(Tree Star Inc,Ashland,OR)で分析した。すべてのTLRアゴニストを1μg/mlの濃度で使用した。ペプチド:Influenza A New CaledoniaヘマグルチニンペプチドWLTGKNGL(SEQ ID NO:3)、RNLLWLTGKNGLYPN(SEQ ID NO:2)、VLLENERTL(SEQ ID NO:5)及びELLVLLENERTLDFH(SEQ ID NO:4)(Deckerら,2009に前述した)、並びにメチオニンをグリシンに置換した置換体WLTMKNML(SEQ ID NO:8)及びRNLLWLTMKNMLYPN(SEQ ID NO:9)をUnited BioSystems(Herndon,VA)により合成した。オボアルブミンH-2K免疫優性ペプチドSIINFEKL(SEQ ID NO:1)は、Anaspec(Freemont,CA)によって合成された。H-2D CLIP-重複MRMATPLLM(SEQ ID NO:6)は、United Biosystemsによって合成された。組換えオボアルブミンタンパク質はInvivoGenから購入した。組換えeGFPタンパク質はBiovision(Moutainview,CA)から購入した。その他:AIMp1(SCYE1、マウス及びヒト)、β2-ミクログロブリン(マウス及びヒト)、及びHLA-DM(ヒト)siGenome SMARTプール及び非標的化siRNAプールはThermo Scientific(Wilmington
DE)から購入した。精製されたGFP mRNAは、Stemgent(Cambridge,MA)から購入した。
【0072】
共免疫沈降アッセイ - DCを指示通りに負荷し、1%NP-40緩衝液+プロテアーゼカクテル阻害剤(両者ともSigma-Aldrich製)で溶解する前に2日間熟成した。デブリを卓上微量遠心機で4℃、14,000rpmにて20分間でペレット化し、その後の細胞溶解物を4℃で1時間、プロテインG+アガロースビーズ懸濁液IP04(EMD Millipore;Darmstadt,Germany)で予め澄んだ状態にした。その後、溶解物を、抗AIMp1(Lifespan Biosciences)または抗HLA-A,B,C(BioLegend)で被覆されたプロテインGプラスビーズを用いて4℃で一晩回転させた。次いで、ビーズを、1%NP-40緩衝液で3回、PBSで2回洗浄し、2%SDS(Sigma-Aldrich)変性緩衝液中で煮沸して免疫沈降物を回収した後、PAGEによる分析を行った。
【0073】
51Cr溶解アッセイ - 51Cr溶解アッセイは、以前に記載されたように実施した(Deckerら,2006)。
【0074】
4T1-luc2腫瘍モデル - 4T1-luc2腫瘍細胞を、pGL4.10からpCDH-CMV-MCS-EF1-Hygro発現ベクターへのPCR-増幅luc2カセットのクローニングにより調製した。線状化ベクターを4T1親細胞にエレクトロポレーションし、100μg/mlハイグロマイシン選択を2週間にわたり適用した。腫瘍を生成するために、Balb/cマウスに、2.5×10個の4T1-luc2細胞を皮内接種した。腫瘍の成長は、1日おきにキャリパー測定及びIVISによってモニターされた。100μlの希釈剤中の0.5mgのd-ルフィシリン(Regis Technologies,Morton Grove,IL)の腹腔内(i.p.)注射に続いてIVIs画像を取得した。
【0075】
実施例2-マウスDCのAIMp1放出及びT1分極の特性評価
以前の研究では、抗原的に相同なMHCクラスI及びIIの決定基を負荷することによって開始されたDC T1分極のTLR及びIFN非依存性機構の存在が示唆された(Deckerら,2009)。AIMp1がこのプロセスにおいて役割を果たすかどうかを決定するために、本発明者らはDCに同種クラスI及びII抗原決定基を負荷し、T1分極及びAIMp1放出についてアッセイした。マウスDCは、細胞株または一次組織決定因子(mRNA及び溶解産物)を相同的に負荷した場合、単独または異種負荷されたDC(図1B)と比較して、10倍以上のIL-12p70(図1A)並びにより著しく多いAIMp1を分泌した。増強されたAIMp1放出に加えて、クラスI及びIIの決定基が相同である場合、T1 DCはsCTLA-4を有意に分泌しなかった(図1C)。T1分極におけるAIMp1の役割を示す研究と一致して、AIMp1 siRNAノックダウンは、同種負荷(図1A)に応じてIL-12分泌を劇的に低下させ、そしてsCTLA-4分泌を復活させた(図1D)。従って、相同的に負荷されたDCは、AIMp1 siRNAで電気穿孔された異種負荷のDCまたは同種負荷されたDCのいずれよりも、インビトロで有意により多くの活性化CD8T細胞を生成した(図1E)。本発明者らは次に、インビボでこの同じ現象を探索するために、相同クラスII抗原の供給源としてH-2KクラスIオボアルブミン(Ova)エピトープSIINFEKL及び全Ovaタンパク質を使用した。インビトロ実験と同様に、CD3、CD3CD8、及び特にCD3CD8CD25集団の拡大は、SIINFEKLペプチドで電気穿孔され、同時にOvaを負荷されたDCにおいてのみ観察された。対照的に、単独負荷DC、異種負荷DC、またはAIMp1 siRNAで処理した同種負荷DCは、関連するT細胞集団に差異を示さなかった(図1F)。まとめると、これらのデータは、DC MHCクラスI及びIIの抗原的に関連する決定基による負荷は、分泌されたAIMp1/sCTLA-4比の増加、IL-12の下流放出、及び活性化されたCD8T細胞の産生増強を含むT1スキューを促進することを示す。
【0076】
実施例3-ヒト系DC AIMp1/sCTLA-4放出
ヒトDCにモデルGFP抗原(GFP mRNA及び組換えGFPタンパク質)を相同的に負荷すると、AIMp1/sCTLA-4比の有意な増加が観察された(図2A~B)。次に、本発明者らは、マルチエピトープ系から以前特徴付けられたMHC結合ペプチドに移行した(Deckerら,2009)。クラスI及びIIペプチドがアミノ酸配列において重複する場合、sCTLA-4分泌の減少及びAIMp1分泌の増加は、負荷されたDCから日常的に観察された(図2C~E)。sCTLA-4分泌の差は、成熟前に観察されなかったが、重複ペプチドを負荷したDCからのAIMp1放出は、ほぼ直ちにそして成熟前に開始し(図8)、これは、AIMp1放出の初期の上流の役割を示唆する。すべてのペプチドは、同一に調製され、そして単独または異種の様式で添加されかつ既知のPRRリガンドを有さない場合、AIMp1及びsCTLA-4分泌に影響を与えなかったことから、AIMp1分泌/sCTLA-4アブレーションのメカニズムが、PRRアゴニズムではなく、同時の同種MHC負荷により実際に誘発されたと考えられた。それにもかかわらず、これらの実験を様々なTLRアゴニストの存在下で繰り返した。抗原負荷がない場合、poly(I:C)、LPS、フラジェリン、またはCpG-ODNは、マウス(図示せず)またはヒトDC(図2D~E)からのsCTLA-4またはAIMp1分泌を変化させなかった。さらに、種々の同種クラスI及びII結合ペプチドの使用は、DCに同時に添加した場合、CTLA-4及びその対応するmRNAの両方をアブレーションしたが、単一または異種のクラスI及びII結合ペプチドを添加してもそのような効果はなかった(図2F)。AIMp1は、抗原負荷にかかわらずmRNAレベルで差を示さなかった。
【0077】
この独自のT偏光キューの機能に対するMHC結合の重要性を確認するために、本発明者らはH2-DM-/-DCを利用した。H2-DM分子シャペロンは、MHCクラスII結合ポケットから不変鎖のCLIPペプチドを除去する役割を担う。H2-DMの非存在下では、CLIPはI-AハプロタイプのクラスII結合ポケットにほぼ不可逆的に結合し、それによって外因性抗原を負荷する能力を排除する(Martinら,1996;Miyazakiら,1996)。外因性抗原を負荷することができないということは、H2-DM-/-DCの一次分子欠損である。H2-DM-/-DCは、TLR、NLR、または他のPRRにおいて既知の欠陥を有さず、TLRアゴニズムに適切に応答することが以前に示されている(Strongら,1997)。非常に興味深いことに、H2-DM-/-DCは、結合したCLIPペプチドの存在に物理的に依存するT2極性表現型を示すことも報告されている(Rohnら,2004)。同種のmRNA及び溶解物を負荷した場合、SIINFEKL(SEQ ID NO:1)及びOvaを負荷した際に、H2-DM-/-DCはインビボでAIMp1またはsCTLA-4の分泌を示さず、また活性化されたCD8 T細胞の増強された産生も刺激しなかった(図3A~B及び図1F)。むしろ、H2-DM-/-DCは、低レベルのAIMp1及び高レベルのsCTLA-4を構成的及び不変的に分泌した(図3A~B)。DC AIMp1/sCTLA-4放出及び下流T1応答は、MHC結合ペプチドの配列相同性を介して調節された。
【0078】
H2-DM-/-DCは、MHCクラスII結合溝内でCLIPを永続的に維持するので、本明細書に記載されるキューによってH2-DM-/-DCにおけるT1分極を刺激する唯一の理論的方法は、CLIPとの有意な相同性、すなわちMHCクラスII結合-CLIP配列LPKSAKPVSQMRMATPLLMRPMSM(SEQ ID NO:14)と重複するアミノ酸配列、を有するクラスI結合ペプチドの負荷によるであろう(Ghoshら,1995)。この仮説を試験するために、本発明者らは、H-2Dに結合すると予測され、且つCLIP(MRMATPLLM、SEQ ID NO:6)と完全な配列重複を有するクラスIペプチドを設計した。次いで、本発明者らは、このCLIP特異的H-2DクラスIペプチドまたは十分に確立されたH-2クラスI SIINFEKL(SEQ ID NO:1)ペプチドのいずれかを対照としてH2-DM-/-DCに負荷した。実質的なAIMp1放出は、H-2D CLIPを負荷した細胞からのみ、用量依存した態様で観察された(図3C)。同様に、sCTLA-4分泌の減少は、再び用量依存した態様でH-2D CLIPを負荷したH2-DM-/-DCからのみ観察された。野生型の同系脾臓細胞が負荷されたH2-DM-/-DCの続く共培養は、H2-DM-/-DCにH-2D CLIPを負荷した場合にのみCD8CD25T細胞の増加をもたらした(図3D)。これらのデータは、以前の結果を検証し、MHCクラスI及びIIに同時に結合したペプチドのアミノ酸配列に匹敵する内因性DC機構プロセスの高いレベルの特異性を示唆する。
【0079】
AIMp1及びsCTLA-4分泌の摂動に必要なクラスI及びII配列相同性の程度を決定するために、本発明者らは、2つの非アンカーグリシン残基のメチオニン置換を除いて同一である相同結合ペプチドの2つの異なる対を利用した(図3E)。ヒトDCへのこれらのペプチド対の負荷は、一方または他方のHLAクラスIまたはII結合ペプチドの置換がCTLA-4分泌の阻止及びAIMp1分泌の増大を防止するのに十分であり、相補的ペプチドに対する代償的置換は、以前に見られた同種の表現型を回復させるのに十分であったことを示した(図3E~F)。coIP及びウエスタンブロットにより検証されたタンデム質量分析(図示せず)は、AIMp1がMHCクラスI及びII分子の両方と、特に成熟DC内で、顕著に相互作用することを示した(図9)。その後、発明者等は、同種及び異種のペプチド対を使用して、AIMp1/MHC相互作用が同種クラスI及びIIペプチドが負荷された場合にのみ有意に減少し(図3G)、細胞からのAIMp1分泌の増加との良好な相関関係が観察されることを、AIMp1 coIPにより実証した。複数のクラスI、クラスII、または異種クラスI及びIIペプチドが負荷された場合、同様の所見は観察されなかった。mRNA及び溶解物を用いた実験は、同一の結果を生じた:AIMp1は、単独の、または異種mRNA及び溶解物を負荷した、DC中のMHCに結合したままであったが、同種のmRNA及び溶解物を負荷したDCでは、ほとんどAIMp1がMHCに結合していなかった(図10)。
【0080】
ヒトの系において、クラスI及びIIエピトープ間の配列重複からもたらされるT1分極が伝統的なMHC結合と無関係に生じ得るかどうかをさらに決定するために、本発明者らは、β2-ミクログロブリンまたはHLA-DMに対するsiRNAを利用するが、これらはMHCクラスIまたはMHCクラスIIにそれぞれにペプチド抗原を負荷する能力に有意に影響する。クラスIまたはクラスIIのいずれかを負荷する能力が妨げられた場合、DCは、同種クラスI及びIIペプチド負荷に依存してAIMp1及びCTLA-4分泌を調節する能力を失った(図11A~B)が、これはマウス由来の以前のデータと一致する所見である(図1F及び3)。全体として、このデータは、DCが、重要なシグナル伝達分子の放出を調節するTLR非依存性の抗原性配列依存機構を有し、その摂動は下流T分極及びCD8T細胞の増殖に著しく影響を及ぼすとの仮説を堅く支持している(Deckerら,2006;Deckerら,2009)。
【0081】
実施例4-配列依存性機構の生理学的関連性
この新たに特徴付けられた機構の生理的関連性を確認するために、本発明者らは、正常な免疫学的自己への耐性を破壊する相同抗原負荷の能力を特性化した。本発明者らは、MRIによって容易に視覚化される、精巣小胞(SV)及び前立腺、絡み合っているが抗原的に異なる泌尿生殖器官を含む野生型組織に対する複数の相同性負荷DCワクチンを作製した。野生型マウスには、形質細胞様DC(pDC)の刺激によりウイルス感染の環境を模倣するアジュバントであるイン・サイチュのイミキモド(imq)と共にSV mRNA及び溶解物を負荷した0.5~2.0×10DCを1~4回、腹腔内(i.p)注射(図12)により与えた。処置の1ヶ月以内に、SV負荷DCを注射したマウスは、線維症及び壊死、平滑筋及び上皮過形成、内腔の拡張及び凝集、及び混合系統の炎症性浸潤を含む特徴的な病理学的変化を示した(図4A)。SV撲滅は、MRIによって縦方向にモニターすることができ、1ヶ月の治療後にMR画像化可能な組織の区画化された喪失が観察された(図4B)。ワクチン接種後6ヶ月までに、SV負荷DCを受けたマウスは、主に線維化組織からなる残留構造のみを保持した(図4C)。免疫組織化学によってCD8浸潤を確認した(図4D)。ワクチンの特異性及び記憶を実証するために、脾臓細胞を、ワクチン接種後2ヶ月で、コントロールしたマウス、またはSVワクチンを接種したマウスのいずれかから採取し、追加のアジュバント接種なしにナイーブマウスに養子移入した(図13)。6週間以内に、養子移入したマウスのSVは、一次ワクチン接種を受けたマウスと同じ特徴的な免疫病理を示した(図4E)。
【0082】
前立腺は、SVに隣接して位置し、その前方及び側方の葉に沿って境界を共有する。野生型前立腺mRNA及び溶解物を相同的に負荷したDCを投与し(図12)、マウスをMRIでモニターした。正常な病状を維持した対照マウス(図5A~C)と比較して、ワクチン処置マウスは組織損失(図5E)に対応するより弱い前立腺MRIシグナル(図5D)を示し、ワクチン接種したSV(図5F)と類似した疫病理を示した。前立腺ワクチン接種の結果として線維化は観察されず、むしろ前立腺組織は完全に消失する傾向があった(図5G~H)。本発明者らは、さらに、部分的HLA適合ヒトDCにWPMY-1抗原決定基を相同負荷すること(図14)による、ヒト正常前立腺細胞株WPMY-1に対する増強されたCD8応答を生成する能力を示し、これはヒト治療への潜在的適用性を示唆することを示した。
【0083】
2つの抗原的及び空間的に関連する自己組織系に対するワクチン特異性の形成は、免疫学的特異性の識別を可能にした。示されるように、マウスが前立腺負荷DCで処置された場合、病理は専ら前立腺特異的であった(図5I)。反対に、マウスにSV負荷DCを投与した場合は、病変は専らSV特異的であった(図5J)。実際、異なる用量の範囲にわたった免疫学的自己に対する69匹のマウスのワクチン接種は、観察可能な的外れ効果を生じなかった(示さず)。集団的には、適切なワクチン反応性が、相同負荷DC(37/63)をワクチン接種したマウスの59%において観察されたが、組織溶解物負荷DC(n=35、p<0.001)をワクチン接種されたマウスでは0%、及び組織mRNA(n=12、p<0.001)をワクチン接種されたマウスでは0%であった。
【0084】
実施例5-生理的新形成の研究
生理学的新生物に対処するこの戦略の能力を決定するために、本発明者らは様々な異なるモデル系を利用した。4T1乳癌モデルでは、8日目に確立された4T1 luc2発現腫瘍を有するマウスのコホートに、同種ワクチン(親、luc24T1細胞由来)またはアジュバントのみの単回投与を与えた。6匹のアジュバント処置マウスのうち5匹が転移を起こして死亡したが、ワクチン接種したマウスは比較的小さな腫瘍を維持し、実験の終了時に明らかな罹患状態を示さなかった(図15A~B)。このモデルにおけるCD8細胞(従ってT1免疫)に対する腫瘍制御の依存性を実証するために、ナイーブ動物に2回用量の同種ワクチンを投与し、次いでCD8細胞を枯渇させた。その後、脾細胞を回収し、2.5×10個の4T1-luc2腫瘍細胞を予め接種した同系動物に養子移入した。示されたように(図15C~D)、アイソタイプ枯渇脾細胞が養子移入されたマウスは、CD8枯渇脾細胞が養子移入されたマウスよりも有意に高い生存率有意性を示し、CD8+細胞が原発腫瘍の制御及び転移の広がりの両方の制御において決定的な役割を果たすことが示された。興味深いことに、異種ワクチン接種(4T1 mRNA/B16.F10溶解物)動物に由来するアイソタイプ枯渇脾細胞を用いて養子移入されたマウスは、最悪の状況に陥った。
【0085】
高い生理学的関連性のモデルにおける同種ワクチン接種の効果を決定するために、本発明者らは、前立腺上皮における誘導FGFR1及びβ-カテニンシグナル伝達の際に生理学的自己複製前立腺癌が発生する遺伝子組換えPro-Cat/JOCK1モデルを利用した(Carstensら,2014)。このモデルでは、マウスは前立腺肥大(8週)から前立腺上皮内新形成(mPIN、12週)、腺癌(24週)、及び遷延性肉腫(60週)の段階に進行する。前立腺腺癌を24週間誘導した後、マウスを屠殺し、癌性前立腺を切除して腺癌段階の抗原製剤を作製した。続いてマウスのコホートを24週間誘導し、相同性を有するワクチンでワクチン接種治療した。追加の4ヶ月後にワクチン接種したマウスを屠殺し、H&E染色された前立腺の盲検病理学的スコアリングによって癌の進行を判定した。腺癌期の抗原を負荷したDCを受けたマウスは、過形成により進行したが、mPINではほとんど停止し、比較的小さい病理組織学的腺癌を示した(図6B及び6D)。さらに、ワクチン接種されたマウスは、ワクチン接種を受けていない、対照ワクチン接種された、またはアジュバントのみのグループでは観察されなかったリンパ球浸潤腺房(例えば、図6B.1挿入図)を示した。アジュバントのみを投与された誘導マウスは、典型的な腺癌を示した(図6C)。完全なワクチン療法を受けた誘導されていない対照マウスは、正常な前立腺との交差反応性を示さなかった(図6A)。さらに、ワクチン接種は用量反応効果を示すようであった(図6E~J)。
【0086】
最後に、本発明者らは、大型動物系における自発性脳腫瘍に対するこのアプローチを、臨床的獣医学の背景におけるこのアプローチの実現可能性及び安全性を実証するために試験した。簡単に言えば、MRIによるCNS悪性腫瘍の診断時に、2匹の大きな(>25kg)イヌの獣医学的患者が、オーナーのインフォームドコンセントの同意を得て募集された。緩和ケアのステロイドの標準を受ける代わりに、イヌは開頭術と保存的腫瘍切除を受けた。腫瘍試料を可溶性溶解物及びmRNA成分に細分化した。続いて、イヌ患者をG-CSF(Neupogen)で動員させ、末梢血単核細胞(PBMC)を採取した。付着性単球画分をDCに分化させ、同時に腫瘍溶解物及びmRNA亜分画を負荷し、成熟させた。その後DCを採取し、超音波ソノグラフィーを用いて深頸部リンパ節の近傍に注射するためにPBSに再懸濁した。ワクチン接種と併せて、動物に、ヒトIFN-αを1週間に3回、用量当たり2~800万単位で12週間皮下投与して、アジュバントした。このアプローチの安全性及び実行可能性を実証することに加えて、各動物はワクチン接種の開始時に迅速かつ有意な腫瘍収縮も示した。第1の動物は、5×10個のワクチン細胞の単回投与を受け、1ヶ月の追跡調査で50%の腫瘍退縮を示した(図7A~D)。第2の動物は、3回の投与の間に5×10個のワクチン細胞を受け、1ヶ月の追跡調査で約80%の腫瘍退縮を示した(図7E~H)。200日の中央生存期間は、比較可能な歴史的対照(Rossmeislら,2013)のそれ(69日)の3倍近くであった。
【0087】
これらの実施例では、本発明者らは、以前は認識されていない予期せぬDC制御チェックポイントの機構的基礎を特定したが、その完全な解明はワクチン免疫療法の領域内で臨床的目標を達成するために決定的に重要であろう。以前及び現在の研究は、同種クラスI及びII抗原によるDCの同時負荷が、インビトロ及びインビボでのDC T1分極及び下流のCD8T細胞応答の増加を誘導することを示している(Deckerら,2006;Deckerら,2009)。本発明者らは、この現象が、公知のT1分極機能を有する重要なサイトカインであるAIMp1の上方制御された分泌に機械的に関連し、その放出がCTLA-4及びその対応するmRNA転写物の付随する下方制御分泌を伴ってIL-12分泌をアップレギュレートすることを実証している。AIMp1は、AIMp1 siRNAノックダウン及び速度論的研究によって示されるように、sCTLA-4及びIL-12の両方の上流で作用すると思われる。重要なことに、本発明者らは、相同な抗原負荷に応答するAIMp1の放出がTLR非依存的に進行することを実証した。TLRアゴニズムは、AIMp1放出を増大させることができず、またはCTLA-4分泌を減少させることができず、異種様式で添加した場合に、このような応答を刺激することができる同一のペプチド決定基も同様に作製されなかった。β2-ミクログルブリンまたはHLA-DMのsiRNAノックダウンは、同種のクラスI及びII結合ペプチドに応答するDCの能力を排除した。さらに、H2-DMを欠き、従って外因性抗原を負荷することができないネズミDCは、MHCが無傷であり、パターン認識受容体は機能したままであった(Strongら,2011)が、極性化することも、または下流CD8応答を増強することもできなかった。しかしながら、Ii CLIPのアミノ酸配列と重複する合成クラスI結合ペプチドによる、理論的にはこれらの細胞のクラスI及びIIを相同的様式で負荷する唯一の可能な方法での、H2-DM-/-DCの負荷は、野生型比のAIMp1/sCTLA-4及び生成されたCD8CD25T細胞を用量反応的様式で放出した。これらの結果は、以前には記載されていない独特の方法である、T1分極のこの方法におけるMHCのペプチド結合の役割を強く示唆している。先天性PRRではなく抗原相同性に依存するT1分極をさらに実証するために、本発明者らは、以前に特徴付けられた(Deckerら,2009)クラスII結合ペプチドにおいて2つの非アンカーアミノ酸置換を加え、これにより3つ以上のアミノ酸の連続クラスI及びII配列相同性が中断された。相同性のこのわずかな破壊が、分極化AIMp1/sCTLA-4比を排除するのに十分であった。相補的アミノ酸置換をクラスIペプチドに適用し、これによって完全な配列相同性を回復させることは、高いAIMp1/CTLA-4比を回復させるのに十分であった。まとめると、これらのデータは、MHCクラスIとII結合ペプチドとの間の高度の配列相同性に依存するDCにおける独特のT1極性化チェックポイントを示唆する。本発明者らは、このメカニズムが依存する重要なエフェクター分子を同定することに加えて、野生型マウスにおいて免疫寛容を破壊し、正常な免疫学的自己を根絶する組織特異的ワクチンの生成(以前に報告されていない現象)により生理学的関連性を実証した。更なる実験はまた、自発的な異系交配イヌモデルにおける乏突起膠腫に対する活性を示唆する実験を含む、3つの異なるモデル系における新生物に対する有意な活性も示した。
【0088】
全体として、本発明者らは、全細胞系、単一抗原系、及び重複クラスI及びII MHC結合エピトープの複数の対を含む29の異なるモデル系(表1)を使用して、相同性負荷DCが異なるサイトカイン分泌、表面マーカー発現、全体的な転写改変、及びCD8CTLの生成を増強する能力を含む様々なT1関連特性を示すこと(表2)を実証した。これらの29種類の系のそれぞれにおいて、T1分極を示す群の間の唯一の共通性は、DCが負荷されたクラスI抗原とクラスII抗原との間の高度な抗原性またはアミノ酸配列の相同性であった。
【0089】
表1.使用した抗原系、試験した種、及びDCへの抗原送達の方法の概要。=以前に公開されたシステム。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0090】
表2:同種DC負荷のマーカー及び発現を選択する。
【表2】
【0091】
本明細書に開示され、特許請求された方法の全ては、本開示に照らして過度の実験をすることなく作り出され、実施され得る。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態に関して記載されているが、当業者には、本発明の概念、主旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法及び工程、または記載された方法の工程の順序を変更させることができることは明らかであろう。より具体的には、化学的に及び生理学的に関連する特定の薬剤を、本明細書に記載の薬剤と置き換えて、同じまたは類似の結果を達成することができることは明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の置換及び改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の主旨、範囲及び概念の範囲内であるとみなされる。
【0092】
参考文献
以下の参考文献は、本明細書に記載されたものを補足する例示的手順または他の詳細を提供する限り、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
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本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
疾患細胞集団を有する被験体に免疫応答を提供する方法であって、
(a)疾患細胞集団に特異的な少なくとも1つの抗原で細胞が初回刺激されている、初回刺激された樹状細胞集団を得ること;及び
(b)初回刺激された樹状細胞集団を被験体に有効量投与することであって、初回刺激された樹状細胞集団が:
(i)I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1と共に;及び
(ii)被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に、投与されること、
を含む前記方法。
(項目2)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1と共に投与される項目1に記載の方法。(項目3)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、I型INFと共に投与される項目2に記載の方法。(項目4)
前記I型INFがINF-αである項目3に記載の方法。
(項目5)
前記初回刺激された樹状細胞集団がTLR-7アゴニストと共に投与される項目2に記載の方法。
(項目6)
前記TLR-7アゴニストが、CL075、CL097、CL264、CL307、GS-9620、Poly(dT)、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド(R848)、ロキソリビン、及びssRNAオリゴヌクレオチドからなる群から選択される項目5に記載の方法。
(項目7)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、TLR-9アゴニストと共に投与される項目2に記載の方法。
(項目8)
前記TLR-9アゴニストがCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)である項目7に記載の方法。
(項目9)
前記初回刺激された樹状細胞集団がAIMp1と共に投与される項目2に記載の方法。
(項目10)
前記I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、またはAIMp1が、初回刺激された樹状細胞集団の前または実質的に同時に投与される項目2に記載の方法。
(項目11)
前記I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、またはAIMp1が、初回刺激された樹状細胞集団の後に投与される項目2に記載の方法。
(項目12)
前記I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、またはAIMp1が、初回刺激された樹状細胞集団の約1週間、1日、8時間、4時間、2時間または1時間以内に投与される項目10~11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
さらに、前記初回刺激された樹状細胞集団及び前記I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニスト、またはAIMp1を有効量で含む組成物を、前記被験体に投与することを含む項目2に記載の方法。
(項目14)
さらに、免疫チェックポイント阻害剤を被験体に投与することを含む項目1に記載の方法。
(項目15)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目14に記載の方法。
(項目16)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目14に記載の方法。
(項目17)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に投与される項目1に記載の方法。
(項目18)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、I型INF、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1と共に投与され、且つ前記初回刺激された樹状細胞集団が、被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に投与される項目17記載の方法。
(項目19)
前記リンパ組織部位が、前記疾患細胞集団を取り囲む組織を排出するリンパ組織である項目17載の方法。
(項目20)
前記被験体が、癌、及び自己免疫疾患または感染性疾患を有する項目1記載の方法。
(項目21)
前記疾患細胞集団が腫瘍である項目20載の方法。
(項目22)
前記腫瘍が、脳腫瘍、腎細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、または慢性リンパ球性白血病である項目21に記載の方法。
(項目23)
(i)抗原で初回刺激された樹状細胞、及び(ii)I型インターフェロン(INF)、TLR-7アゴニスト、TLR-9アゴニストまたはAIMp1を含む免疫原性組成物。(項目24)
前記抗原で初回刺激された樹状細胞が、癌、自己免疫疾患または感染性疾患に関連する抗原で初回刺激されている項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記抗原で初回刺激された樹状細胞が、少なくとも1つの腫瘍抗原で初回刺激されている項目24に記載の組成物。
(項目26)
前記腫瘍が、脳腫瘍、腎細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、または慢性リンパ球性白血病である項目25に記載の組成物。
(項目27)
I型INFを含む項目23に記載の組成物。
(項目28)
I型INFがINF-αである項目27に記載の組成物。
(項目29)
TLR-7アゴニストを含む項目23に記載の組成物。
(項目30)
前記TLR-7アゴニストが、CL075、CL097、CL264、CL307、GS-9620、Poly(dT)、イミキモド、ガーディキモド、レシキモド(R848)、ロキソリビン、及びssRNAオリゴヌクレオチドからなる群から選択される項目29に記載の組成物。
(項目31)
TLR-9アゴニストを含む項目23に記載の組成物。
(項目32)
前記TLR-9アゴニストがCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)である項目31に記載の組成物。
(項目33)
AIMp1を含む項目23に記載の組成物。
(項目34)
さらに、免疫チェックポイント阻害剤を含む項目23に記載の組成物。
(項目35)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目34に記載の方法。
(項目36)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目34に記載の方法。
(項目37)
抗原特異的T細胞を培養する方法であって、T細胞またはT細胞前駆体の集団を、少なくとも第1抗原で初回刺激された抗原提示細胞の集団の存在下で培養する工程を含み、且つ前記培養がAIMp1の存在下になされる前記方法。
(項目38)
さらに、抗原特異的T細胞のエクスビボでの増殖のための方法として定義される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記抗原提示細胞が樹状細胞を含む、項目37に記載の方法。
(項目40)
前記樹状細胞が相同的に抗原を負荷される項目19に記載の方法。
(項目41)
前記樹状細胞集団が1次樹状細胞を含む、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記培養が、被験体に対する免疫チェックポイント阻害剤の存在下で行われる項目37に記載の方法。
(項目43)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目42に記載の方法。
(項目44)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目42に記載の方法。
(項目45)
疾患細胞集団を有する被験体に免疫応答を提供する方法であって、
(a)細胞が疾患細胞集団に特異的な少なくとも1つの抗原で初回刺激されている、初回刺激された樹状細胞集団を得ること;及び
(b)初回刺激された樹状細胞集団を被験体に有効量投与することであって、初回刺激された樹状細胞集団が、
(i)TLR-3アゴニスト、レチノイン酸誘導性遺伝子-1(RIG-1)様受容体リガンドまたは細胞質ゾルDNA(CDS)受容体リガンドと共に;及び
(ii)被験体の疾患細胞集団に近接するリンパ組織部位に、投与される前記方法。
(項目46)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、TLR-3アゴニストと共に投与される項目45に記載の方法。
(項目47)
前記TLRアゴニストが、ポリイノシン-ポリシチジル酸(poly(I:C))またはRGC100である項目46に記載の方法。
(項目48)
前記初回刺激された樹状細胞集団が、RIG-1様受容体リガンドと共に投与される項目45に記載の方法。
(項目49)
前記RIG-1様受容体リガンドが、さらに、RIG-1、MDA5、LGP2、またはIPS-1リガンドとして定義される項目48に記載の方法。
(項目50)
前記RIG-1様受容体リガンドが、MDA5リガンド、LGP2リガンド、ssRNA、dsRNA、5’ppp-dsRNA、Poly(dA:dT)、及びPoly(I:C)からなる群から選択される項目48に記載の方法。
(項目51)
前記初回刺激された樹状細胞集団がCDSレセプターリガンドと共に投与される項目45に記載の方法。
(項目52)
前記CDS受容体リガンドが、さらに、cGAS-STINGリガンドとして定義される項目51に記載の方法。
(項目53)
前記cGAS-STINGリガンドが細菌性環状ジヌクレオチド(CDN)である項目52に記載の方法。
(項目54)
前記TLR-3アゴニスト、RIG-1様受容体リガンド、またはCDS受容体リガンドが、初回刺激された樹状細胞集団の前または実質的に同時に投与される項目45に記載の方法。
(項目55)
前記TLR-3アゴニスト、RIG-1様受容体リガンド、またはCDS受容体リガンドが、初回刺激された樹状細胞集団の後に投与される項目45に記載の方法。
(項目56)
前記TLR-3アゴニスト、RIG-1様受容体リガンド、またはCDS受容体リガンドが、初回刺激された樹状細胞集団の約1週間、1日、8時間、4時間、2時間または1時間以内に投与される項目45~55のいずれか1項に記載の方法。
(項目57)
さらに、免疫チェックポイント阻害剤を被験体に投与することを含む項目45に記載の方法。
(項目58)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目57に記載の方法。
(項目59)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目57に記載の方法。
(項目60)
前記リンパ組織部位が、前記疾患細胞集団を取り囲む組織を排出するリンパ組織である項目45に記載の方法。
(項目61)
前記被験体が、癌、及び自己免疫疾患または感染性疾患を有する項目45に記載の方法。(項目62)
前記疾患細胞集団が腫瘍である、項目60に記載の方法。
(項目63)
前記腫瘍が、脳腫瘍、腎細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、または慢性リンパ球性白血病である項目62に記載の方法。
(項目64)
(i)抗原で初回刺激された樹状細胞及び(ii)TLR-3アゴニスト、RIG-1様受容体リガンド、またはCDS受容体リガンドを含む免疫原性組成物。
(項目65)
前記抗原で初回刺激された樹状細胞が、癌、自己免疫疾患または感染性疾患に関連する抗原で初回刺激されている項目64に記載の組成物。
(項目66)
前記抗原で初回刺激された樹状細胞が、少なくとも1つの腫瘍抗原で初回刺激されている項目65に記載の組成物。
(項目67)
前記腫瘍が脳腫瘍、腎細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、乳癌、または慢性リンパ球性白血病である項目66に記載の組成物。
(項目68)
TLR-3アゴニストを含む、項目64に記載の組成物。
(項目69)
前記TLR-3がPoly(I:C)またはRGC100である項目68に記載の組成物。
(項目70)
RIG-1様受容体リガンドを含む項目64に記載の組成物。
(項目71)
前記RIG-1様受容体リガンドが、MDA5リガンド、LGP2リガンド、ssRNA、dsRNA、5’ppp-dsRNA、Poly(dA:dT)、及びPoly(I:C)からなる群から選択される項目70に記載の組成物。
(項目72)
CDS受容体リガンドを含む、項目64に記載の組成物。
(項目73)
前記CDS受容体リガンドが細菌CDNである項目72に記載の組成物。
(項目74)
さらに、免疫チェックポイント阻害剤を含む項目64に記載の組成物。
(項目75)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目74に記載の組成物。
(項目76)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目74に記載の組成物。
(項目77)
抗原特異的T細胞を培養する方法であって、T細胞またはT細胞前駆体の集団を、少なくとも第1抗原で初回刺激された抗原提示細胞の集団の存在下で培養することを含み、且つ前記培養がPoly(I:C)の存在下になされる前記方法。
(項目78)
さらに、前記抗原特異的T細胞のエクスビボでの増殖のための方法として定義される項目77に記載の方法。
(項目79)
前記抗原提示細胞が樹状細胞を含む項目77に記載の方法。
(項目80)
前記樹状細胞が相同的に抗原を負荷される項目61に記載の方法。
(項目81)
前記樹状細胞集団が1次樹状細胞を含む項目79に記載の方法。
(項目82)
前記培養が、被験体に対する免疫チェックポイント阻害剤の存在下に行われる項目77に記載の方法。
(項目83)
前記免疫チェックポイント阻害剤がCTLA-4アンタゴニストである項目82に記載の方法。
(項目84)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、イピリムマブ、ペンブロリズマブまたはニボルマブである項目82に記載の方法。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
図5
図6-1】
図6-2】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
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【外国語明細書】