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特開2022-92022人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法
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  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図1
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図2
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図3
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図4
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図5A
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図5B
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図6
  • 特開-人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092022
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携した患者呼吸回路のサンプルガスを湿度調整するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/16 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A61M16/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022065543
(22)【出願日】2022-04-12
(62)【分割の表示】P 2018553203の分割
【原出願日】2017-03-15
(31)【優先権主張番号】62/331,694
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516160429
【氏名又は名称】マリンクロット ホスピタル プロダクツ アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー. スタントン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ブイ. バーント
(57)【要約】
【課題】人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムに連携するサンプルガスの湿度調整を提供すること。
【解決手段】治療用ガスを患者に投与する。サンプルガスを治療用ガス供給から引き出し、透水性管状膜を通過させる。同時に、通気した透水性管状膜の外面を周囲空気流に曝すことによって、透水性管状膜の一部分を、通気した透水性管状膜として維持する。周囲空気流は、いくつかの実施例において、管状膜を取り囲むハウジングに連携するファンを介して管状膜の上を移動することができる。開示された態様は、サンプルガス湿度調整装置を含み、当該装置はチャンバを少なくとも部分的に画定し、チャンバへの空気導入路及びチャンバからの空気放出路を少なくとも部分的に画定するハウジングを含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月4日に出願された、「APPARATUS AND METHOD FOR HUMIDITY CONDITIONING SAMPLE GAS
OF A PATIENT BREATHING CIRCUIT AFFILIATED WITH A VENTILATOR AND/OR NITRIC OXIDE
DELIVERY SYSTEM」と題する米国特許出願第62/331,694号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムに連携するサンプルガスの湿度調整に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの患者は、人工呼吸器に連携する呼吸回路からの吸気呼吸ガス流中に治療用ガス(例えば、一酸化窒素ガス)を受け取ることから恩恵を受ける。人工呼吸器は、例えば、定流量人工呼吸器、可変流量人工呼吸器、高頻度人工呼吸器、二重陽圧気道圧人工呼吸器(すなわちBiPAP人工呼吸器)などであり得る。患者に治療用ガスを供給するために、治療用ガスが呼吸回路を流れる吸気呼吸ガスに注入され得る。この吸入治療用ガスは、一定濃度の治療用ガス送達システムを介して送達されることが多く、これは治療用ガスの呼吸ガスへの比例した送達に基づいて提供される。さらに、吸入呼吸ガス流中の所望の治療ガス投与量が患者に送達されていることを少なくとも確認するために、(例えば、治療用ガス送達システムに連携する)サンプリングシステムが吸入呼吸ガス流を連続的に引き込むことができる。例えば、サンプルポンプは、所望の治療用ガス濃度が実際にそれを必要とする患者に送達されていることを確認するために(例えば、患者の近傍で)吸入流を引き込むことができる。
【0004】
このような治療ガスの1つは、吸入一酸化窒素(iNO)である。多くの場合、iNOが患者に血管拡張効果をもたらす治療用ガスとして使用されている。吸入すると、NOは肺の中の血管を拡張するように作用し、血液の酸素化を改善し、肺高血圧症を低減する。このことを理由に、一酸化窒素は、低酸素性呼吸不全(HRF)及び持続性肺高血圧症(PPH)を含む様々な肺病状を有する患者への吸気呼吸ガス中に供給される。iNOの実際の投与は、一般に、他の通常の吸入ガスと共に患者にガスとして導入することによって、例えば、人工呼吸器と連携する患者の呼吸回路の吸気流にiNO送達システムからiNOを導入することによって行われる。
【0005】
iNOとは別に、及び/またはiNOと併せて、患者は、液体粒子(例えば、加湿空気などからの水分)及び/または他の粒子を含有する吸気呼吸ガス流を受け入れることができる。吸気呼吸流におけるこの事案は、患者にさらなる恩恵をもたらすことができるが、それは、サンプルガス分析器の動作を妨げるか、または劣化させることがある。例えば、サンプルガス分析器自体は、所与の湿度範囲内のサンプルガスを受け取ったときに最もよく機能することができるが、上述のような液体粒子は、その範囲と一致しないことがある。
【0006】
サンプルガスを所望の湿度に保つことに関する1つの周知の技術は、サンプルガスが分析器に到達する前のサンプルガスの経路の一部として、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体で形成された、例えば、ナフィオン(Nafion(登録商標))チューブとして市販されているチューブを使用することである。そのようなチューブの特性には、水に対して非常に選択的であってチューブ壁を介した迅速な移動をもたらす透過性が含まれる。透過性が維持されることを条件とすると、このようなチューブは、チューブを通過するサンプルガスの湿度レベルが許容可能な最大値(及び恐らく周囲より高い)を超える場合、サンプルガスが分析器に到達する前に過剰な湿度の一部がチューブ壁を通過するように機能する機構を提供することができる。反対に、チューブを通過するサンプルガスの湿度レベルが許容可能な最小値(及び恐らく周囲より低い)を下回る場合、周囲湿度の一部がチューブ壁を通って浸透し、分析器に到達する前に、サンプルガスの湿度が許容可能な範囲内になるように湿度を上昇させる。
【0007】
しかし、ナフィオンチューブの従来の構成は、経時的に乾燥した外部層、すなわちその外壁面、またはその経路壁面の乾燥した内部層、もしくはその両方を形成することがある。任意の特定の科学理論を採用することにより、本発明者は、当該乾燥のメカニズムが、ナフィオン構造に固有の水性スルホン酸の脱水であり得ると考えている。このような乾燥層は、実質上、上述した湿度調整機能の妨げになることがある。当該乾燥層及び妨害層の形成は、ナフィオン(及び同等品の)チューブ型湿度調整装置の装置寿命を著しく短縮することがある。
【0008】
従って、ナフィオンで得られる性能を有し、同時に、従来技術のナフィオン湿度調整装置よりも著しく長い装置寿命を有する湿度調整装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示の態様は、一般に、サンプルガスの湿度調整における性能向上及び装置寿命の延長を目的とする装置及び方法に関する。より具体的には、いくつかの実施態様は、人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムに連携するサンプルガスの湿度を改善または制御することに関する。さらに、いくつかの実施態様は、ガス分析器によって分析される前のサンプルガスの湿度に関する。さらに、いくつかの実施態様は、ファンまたは他の強制空気装置を使用してチューブ上に周囲空気を通過させることにより、ナフィオンチューブを使用してサンプルガスを湿度調整することに関する。チューブ配管は、チューブ上に空気を強制的に流す(または吹き付ける)ファンを備えたハウジングに収容されるコイルの形態をなしていてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示された態様は、サンプルガス湿度調整装置を含み、当該装置はチャンバを少なくとも部分的に画定し、チャンバへの空気導入路及びチャンバからの空気放出路を少なくとも部分的に画定するハウジングを含むことができる。一態様では、サンプルガス湿度調整装置は、ハウジングに接続された、かつチャンバを通るように周囲空気流を付勢するように構成されたファンを含むことができ、周囲空気流は、空気導入路を通りチャンバ内に入り、空気放出路を通って出る。一態様において、サンプルガス湿度調整装置は、透過性材料を含むセクションを有するサンプルガスチューブを含むことができる。開示された態様は、セクションが、セクションの少なくとも一部がチャンバを通る周囲空気流によって通気される通気セクションである構成をなして、チャンバ内に配置及び支持されることを含む。
【0011】
開示された態様はまた、チャンバを通る周囲空気に対して周囲空気流のフローパラメータを設定する構成で通気セクションをチャンバ内に配置及び支持する構造を含み、当該構造は通気セクションの外面に隣接する領域において、通気セクションの外面周囲に乾燥ガスの皮膜が形成されるのを防止し、または著しく遅らせるレベルで周囲空気流の流れパラメータを設定する。
【0012】
開示される態様はまた、入力端及び出力端を有するサンプルガスチューブを含み、サンプルガスの通過距離を備える透過性材料を含むセクションを含むことができ、サンプルガスの流量と組み合わせたこの通過距離は、通過距離を移動すると、少なくとも、所定の許容範囲外にある入力端におけるサンプルガスの湿度レベルに対して、出力端で湿度レベルが所与の許容範囲内となるようなサンプルガスの調整をもたらす。開示される実施例は、約15%の相対湿度から約90%の相対湿度に及ぶ許容範囲を含むが、これに限定されるものではない。
【0013】
開示される実施例は、入力及び出力を有するサンプルガスチューブを含み、一態様では、装置は、導管への入力の接続をさらに含むことができ、当該導管は、混合ガス及び治療ガスの混合物を患者へ送達するように構成されている。一態様では、サンプルガスチューブは、混合ガスと治療ガスとの混合物サンプルの通気セクションへの経路を備え、放出部において湿度調整された混合ガスと治療ガスとの混合物サンプルを放出するように構成されることができる。一態様では、治療用ガスは、吸入一酸化窒素を含む。
【0014】
開示された態様は、ハウジングに接続されており、空気放出路と整列し、チャンバ内に負圧を付勢する構成のファンを含む。一態様では、負圧は周囲空気流の付勢に影響を及ぼすことができ、空気流をチャンバ内に流入させ、空気放出路を通り、ファンに流入させる。
【0015】
開示された態様は、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体を含む透水性材料を含み、またナフィオンを含む透水性材料を含む。
【0016】
開示された態様はまた、透過性材料で形成された管状膜を備える通気されたセクションのチューブ壁、および一次動力学反応に基づいて管状膜を通って水を移動させる透過性材料を含む。さらに、開示される態様は、始端部を有し、終端部を有する管状膜を含み、始端部から終端部までの通過長さを備え、通過長さの少なくとも一部に基づいて、管状膜が始端部における少なくとも所与の許容範囲外にあるサンプルガス湿度レベルに対して、終端部における所与の許容範囲内にあるサンプルガス湿度レベルをもたらす。
【0017】
開示された態様は、通気セクションが、巻線軸を中心とする巻線を有するコイル状チューブセクションであることを含む。開示された態様は、コイル状セクションが、1つの巻線ターンを有することを有する、また別の態様においては、少なくとも2つの巻線ターンを有するコイル状セクションを含む。
【0018】
開示された態様はまた、コイル状セクションに関する空気導入路、空気放出路、及びハウジングの内壁面の構成を含み、周囲空気流を巻線軸にほぼ平行となっている流れ方向に従ってチャンバを通るように付勢するようになっている。さらに、開示された態様は、コイル状巻線の外面を形成する巻線の巻きを含み、コイル状巻線の外面は巻線軸から半径方向に遠位にあり、チャンバは、巻線軸に沿った長さで、巻線軸を中心に円周方向に延在するハウジングの内面によって少なくとも部分的に画定され、巻線軸に対向している。
【0019】
開示された態様は、キャップ外周部を備えたハウジングキャップを有するハウジングを含み、当該ハウジングは、キャップ外周部からハウジングの開口端まで巻線軸に平行に延在するハウジング側壁を含んでいる。さらに、開示された態様は、コイル巻線の外面に面し、コイル巻線の外面からの隙間を有することができる側壁内面を形成するハウジング側壁を含む。開示された態様はまた、ハウジング開口端部領域の少なくとも一部として空気放出路を備えるように構成されたハウジングを含む。さらに、開示された態様は、通気されたハウジングキャップであり、通気をチャンバに与えるハウジングキャップと、通気口を備えるような空気導入路とを含む。
【0020】
開示された態様は、ファンハウジング内に支持され得る電動モータと、ロータシャフトと、ロータシャフトに取付けられた回転ファンブレードとを備えるようなファンを含む。さらに、開示された態様は、ハウジング開口端部にハウジング取付けフランジを備えるように構成されたハウジングであって、ロータシャフトが巻線軸に平行となることができる構成で、ファンハウジングがハウジング取付けフランジに固定され得るハウジングを含む。
【0021】
開示された態様はまた、アダプタプレートによって取付けフランジに固定されたファンハウジングを含み、当該アダプタプレートは、アダプタプレートの第1の面と、アダプタプレートの第1の面に対向して平行であるアダプタプレートの第2の面とを備えている。本開示された態様による記載された例示的な実施態様は、ハウジング取付けボルトによってアダプタプレートの第2の面に固定されたハウジング取付けフランジと組み合わせて、ファンハウジング取付けボルトによってアダプタプレートの第1の面に固定されたファンハウジングを含む。
【0022】
開示された態様は、患者へ送達する治療用ガスを確認する方法を提供することを含み、例示的な動作は、混合ガスへの補充物として治療用ガスを添加することと、導管を介して治療用ガスが補充された混合ガスを患者に送達することとを含むことができる。一態様では、動作は、導管からガスサンプルラインを介して、治療用ガスが補充された混合ガスのガスサンプルを受け取ることを含む。開示された態様は、サンプルガスを透水性管状膜に通すことによってサンプルガスを湿度調整することを含み、この透水性管状膜から出るサンプルガスは湿度調整されたサンプルガスであり、湿度調整されたサンプルガスを分析することで混合比を特定する。開示された態様は、サンプルガスを透水性管状膜に通すと同時に、通気した透水性管状膜の外面を周囲空気に曝すことを含む動作によって、通気した透水性管状膜として透水性管状膜のセクションを維持することを含む。
【0023】
一態様では、治療用ガスは、吸入一酸化窒素を含むことができる。一態様では、透水性管状膜にサンプルガスを通過させる動作は、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体から形成された管状膜にサンプルガスを通す動作を含むことができる。別の態様では、サンプルガスを透水性管状膜に通す動作は、ナフィオンで形成された管状膜にサンプルガスを通す動作を含むことができる。
【0024】
開示された態様は、サンプルガスを湿度調整する方法を提供することを含み、動作は、サンプルガスを透水性管状膜に通すことと、透水性管状膜にサンプルガスを通すと同時に、通気した透水性管状膜の外面を周囲空気流に曝すことによって、透水性管状膜のセクションを通気した透水性管状膜として形成することとを含むことができる。
【0025】
開示された態様は、さらに、通気した透水性管状膜の外面を周囲空気流に曝して、通気した透水性管状膜の外面の周囲に乾燥ガスの皮膜が形成されることを防止し、または著しく遅らせることが可能な特性を有する周囲空気流を提供する。
【0026】
開示された態様はまた、通気した透水性管状膜を、始端部及び終端部を有し、始端部と終端部との間に通過長さを有するように形成することを含む。開示された態様は、少なくとも、透水性管状膜が所与の許容範囲外にある始端部での湿度レベルの範囲について、終端部でのサンプルガスの湿度が所与の許容範囲内とするような通過長さを含む。
【0027】
本発明のその他の特徴及び態様は、本開示の以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
チャンバを少なくとも部分的に画定し、前記チャンバ内への空気導入路および前記チャンバからの空気放出路を少なくとも部分的に画定するハウジングと、
前記ハウジングに接続され、前記チャンバを通る周囲空気流を付勢するように構成されたファンであって、前記周囲空気流が、前記空気導入路を介して前記チャンバ内に入り、前記空気放出路を介して前記チャンバを出る前記ファンと、
透過性材料を含むセクションを有するサンプルガスチューブであって、前記セクションの少なくとも一部が通気したセクションとして前記チャンバ内に配置され、前記通気したセクションが前記チャンバを通る前記周囲空気流によって通気される前記サンプルガスチューブと、
を含むサンプルガス調整装置。
(項目2)
前記ファン、前記ハウジングおよび前記通気したセクションが連結構成を有し、前記通気したセクションの外面の周りに乾燥ガスの皮膜が形成されることを防止し、または著しく遅らせるチャンバを通って流れる前記周囲空気流を確立する項目1のサンプルガス調整装置。
(項目3)
前記サンプルチューブが入力端及び出力端を有し、前記通気したセクションがサンプルガスの通路を備え、前記通路が通路長さを有し、前記通路長さがサンプルガスの流量と組み合わされて、前記入力端において所望の範囲の外側にある湿度レベル範囲について、前記出力端において前記所望の範囲の内側にあるサンプルガス湿度を与える、項目2のサンプルガス調整装置。
(項目4)
前記所望の範囲が、約15%の相対湿度から約90%の相対湿度までに及ぶ、項目3に記載のサンプルガス調整装置。
(項目5)
前記サンプルガスチューブが導入部及び放出部を有し、前記サンプルガス調整装置が前記導入部の導管への結合部をさらに備え、前記導管が混合ガスと治療用ガスとの混合物を送達するように構成されており、前記サンプルガスチューブは、前記混合ガスと前記治療用ガスとの前記混合物のサンプルの前記通気したセクションへの通路を与え、また、前記混合ガスと前記治療用ガスとの前記混合物の湿度調整されたサンプルを放出するように構成されており、前記治療用ガスが一酸化窒素を含む、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目6)
前記透水性材料がスルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体を含む、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目7)
前記透水性材料がナフィオンを含む、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目8)
前記通気したセクションが、前記透過性材料により形成された通気した管状膜を備え、前記透過性材料が、一次動力学反応に基づいて、前記通気した管状膜を通して水分を移動させる、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目9)
前記通気した管状膜が始端及び終端を有し、前記始端から前記終端までの通路長さを備え、少なくとも部分的に前記通路長さに基づき、前記通気した管状膜が、少なくとも、前記始端における所与の許容範囲外にある前記サンプルガスの湿度レベル範囲について、前記終端における前記所与の許容範囲内にある前記サンプルガスの湿度レベルを与える、項目8に記載のサンプルガス調整装置。
(項目10)
前記通気したセクションがコイル状チューブセクションを含む、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目11)
前記コイル状チューブセクションが、少なくとも2つのコイル状巻数からなる、項目10に記載のサンプルガス調整装置。
(項目12)
前記コイル状チューブセクションが巻線軸の周りにコイル状巻線を含み、前記ファン、前記空気導入路、前記空気放出路、及び前記ハウジングが、チャンバを通る前記周囲空気流を付勢して流れ方向を有するようにする連結構成を有し、前記流れ方向が前記巻線軸に概して平行である、項目10に記載のサンプルガス調整装置。
(項目13)
前記コイルが、複数のコイル状巻線の中のコイル状巻線である、項目12に記載のサンプルガス調整装置。
(項目14)
前記コイル状巻線がコイル状巻線の外面を形成し、前記コイル状巻線の外面が前記巻線軸から半径方向に遠位にあり、前記チャンバが前記巻線軸に沿った長さ方向に延在し、前記巻線軸を中心に円周方向に、前記巻線軸に対向している前記ハウジングの内面によって少なくとも部分的に画定されている、項目12に記載のサンプルガス調整装置。
(項目15)
前記ハウジングが環状エンドプレートを含み、前記環状エンドプレートが巻線軸から間隔を空け、巻線軸の周りに円周状をなし、内側周辺領域から間隔を空け、内側周辺領域の周りに円周状をなす外側周辺領域を含み、前記ハウジングが前記外部周辺領域からハウジング開口端まで前記巻線軸に平行な方向に延在するハウジング側壁を含み、前記ハウジングが巻線支持部をさらに含み、前記巻線支持部が前記内側周辺領域から支持長さにわたって前記ハウジング開口端に向けて延在し、前記コイル状巻線が前記巻線支持部の周りに巻かれている、項目12に記載のサンプルガス調整装置。
(項目16)
前記巻線支持部が、巻線半径を有する巻線構成で前記コイル状巻線を支持するように構成されており、巻線半径が前記巻線軸から半径方向に延在する、項目15に記載のサンプルガス調整装置。
(項目17)
前記ハウジング側壁の内面が、前記巻線軸に周りに円周状をなして前記巻線軸に対向し、ハウジングの前記内面及び前記巻線半径が前記環状エンドプレートから前記ハウジングの開口端へと延在する、前記巻線軸を中心とするチャンバ内の環状容積を画定する、項目16に記載のサンプルガス調整装置。
(項目18)
前記巻線支持部が、環状容積への周囲空気の入口を備えるように構成された、長手方向スロットを有する中空構造を備える、項目17に記載のサンプルガス調整装置。
(項目19)
前記通気したチューブセクションが巻線軸の周りにコイル状巻線を備えたコイル状チューブセクションを含み、前記ハウジングが、キャップ周辺部を有するハウジングキャップを含み、かつ前記キャップ周辺部からハウジング開口端へと延在して前記巻線軸に平行であるハウジング側壁を含み、前記ハウジング側壁の内面が、前記コイル状巻線の外面に対向し、前記コイル巻線の外面からの隙間を有し、前記ハウジングの開口端がハウジング開口端領域を有し、前記空気放出路がハウジング開口端領域の少なくとも一部分を含む、項目1に記載のサンプルガス調整装置。
(項目20)
前記ハウジングキャップが通気したハウジングキャップであって前記チャンバ内への通気口を備え、前記空気導入路が前記通気口を備える、項目19に記載のサンプルガス調整装置。
(項目21)
前記ファンが電動モータを備え、ファンハウジング内で支持され、ロータシャフト及びロータシャフトに取付けられた回転ファンブレードを有し、
前記ハウジングが前記ハウジング端部にハウジング取付けフランジを含み、
前記ロータシャフトが前記巻線軸に平行となる構成で、前記ファンハウジングが前記ハウジング取付けフランジに取付けられている、項目19に記載のサンプルガス調整装置。(項目22)
前記ファンハウジングがアダプタプレートによって前記取付けフランジに固定されており、前記アダプタプレートがアダプタプレートの第1の面と、アダプタプレートの第1の面に対向して平行であるアダプタプレートの第2の面とを有し、前記ファンハウジングがファンハウジング取付けボルトによって前記アダプタプレートの第1の面に固定されており、前記ハウジング取付けフランジがハウジング取付けボルトによって前記アダプタプレートの第2の面に固定されている、項目21に記載のサンプルガス調整装置。
(項目23)
治療用ガスが混合ガスの補充物として添加されており、治療用ガスが補充された混合ガスが導管を介して患者へ送達されており、
前記治療用ガスが補充された前記混合ガスのサンプルを含むサンプルガスを、ガスサンプルラインを介して前記導管から受取ることと、
透水性管状膜に前記サンプルガスを通すことによって前記サンプルガスを湿度調整することであって、前記透水性管状膜から出る前記サンプルガスが湿度調整されたサンプルガスである、前記湿度調整することと、
前記湿度調整されたサンプルガスを分析して混合比を特定することと、
前記サンプルガスを前記透水性管状膜に通すと同時に、前記透水性管状膜の外面を周囲空気流に曝すことを含む動作によって、前記透水性管状膜のセクションを通気した透水性管状膜として維持することと、
を含む、患者へ送達する治療用ガスを分析する方法。
(項目24)
前記治療用ガスが一酸化窒素からなる、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記透水性管状膜に前記サンプルガスを通すことが、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体から形成された管状膜を介して前記サンプルガスを通すことを含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記透水性管状膜に前記サンプルガスを通すことが、一次動力学反応に基づいて前記通気した管状膜を介して水分を移動する材料で形成された管状膜に前記サンプルガスを通すことを含む、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記管状膜に通すことが、ナフィオンで形成された管状膜を使用することを含む、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記サンプルガスを透水性管状膜に通すことと、
前記サンプルガスを前記透水性管状膜に通すと同時に、通気した透水性管状膜の外面を周囲空気流に曝すことによって、前記透水性管状膜のセクションを前記通気した透水性管状膜として形成することと、
を含むサンプルガスを湿度調整する方法。
(項目29)
前記通気した透水性管状膜の外面を前記周囲空気流に曝すことが、前記通気した透水性管状膜の前記外面の周囲に乾燥ガスの皮膜が形成されることを防止し、または著しく遅らせる周囲空気流の特性を形成する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記通気した透水性管状膜を形成することが、前記通気した透水性管状膜が間隔を空けた始端及び終端を有するように透水性管状膜を形成し、前記サンプルガスが前記始端から前記終端までの通過距離を移動し、前記通過距離がサンプルガスの流量と組み合わされて、少なくとも、所与の許容範囲外にある前記始端での湿度レベル範囲について、所与の範囲内にある前記終端での前記サンプルガスの湿度を与える、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記方法が、治療用ガスを混合ガスに補充物として添加することと、前記治療用ガスが補充された前記混合ガスを患者へ送達することとをさらに含み、前記サンプルガスが、前記治療用ガスが補充された前記混合ガスのサンプルであり、前記治療用ガスが吸入される一酸化窒素を含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記透水性管状膜に前記サンプルガスを通すことが、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体から形成された管状膜を介して前記サンプルガスを通すことを含む、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記透水性管状膜に前記サンプルガスを通すことが、一次動力学反応に基づいて前記通気した管状膜を介して水分を移動する材料で形成された管状膜に前記サンプルガスを通すことを含む、項目29に記載の方法。
(項目34)
前記サンプルガスを通すことが、ナフィオンで形成された管状膜を使用することを含む、項目29に記載の方法。
【0028】
本開示の特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】1つ以上の態様による、湿度移送チューブへの例示的な周囲空気流を有するガス湿度調整装置を概略的に示す。
図2】1つ以上の態様による、湿度移送チューブへの周囲空気流の例示的な実施態様を有する例示的なガス湿度調整装置の部分的に分解された形態の構造を描いた斜視図を示す。
図3】組み立てられた形態を示す構成で、図2の装置の斜視図を例示的に示す。
図4図3の構成により、図2の装置の別の斜視図を例示的に示す。
図5A】中心線で切断した、図2及び図3の構成の部分断面図を示す。
図5B】1つ以上の態様による様々な構造の追加の図を提供するために、例示的な通気したコイル状チューブ構造が除去された図5Aの部分断面図を示す。
図6】様々な態様による、湿度調整と、湿度調整チューブの寿命の延長と、その他の機能に関する方法における例示的な動作を表す一フロー図を例示的に示す。
図7】本開示の様々な例示的な態様による、呼吸ガス供給装置と関連したナフィオンチューブの促進装置の実施態様の少なくともいくつかの態様を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
一般に、本開示の態様は、サンプルガスの湿度調整を促進するための装置及び方法に関する。より具体的には、いくつかの実施態様は、人工呼吸器及び/または一酸化窒素送達システムと連携するサンプルガスの湿度を改善すること、または制御することに関する。さらに、いくつかの実施態様は、ガス分析器によって分析される前のサンプルガスの湿度に関する。さらに、いくつかの実施態様は、サンプルガスをナフィオンまたは代替的な透水性チューブの全長を通過させ、同時に、ファンまたは他の空気強制装置を用いて周囲空気をチューブ上に通すことによるサンプルガスの湿度調整に関する。
【0031】
本開示における様々な実施例は、ナフィオンチューブに言及する。その理由としては、ナフィオンが当該技術分野において知られた材料であることが挙げられる。他の理由としては、ナフィオンがサンプルガスの湿度調整のために使用される際の、本出願が対処している問題が挙げられる。しかし、ナフィオンへの言及は、開示されたシステム及び方法をナフィオンチューブに限定することを意図したものではない。
【0032】
説明の便宜上、任意の用語「選択的高透過性材料」が本明細書に導入され、それはナフィオンを含むスルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体及びそれに相当する均等物を含むがこれに限定されない材料を意味するように導入されており、これらは選択性の高い透水性を示し、この選択性及び透水性は、治療用ガス送達システム内でのサンプルガスの加湿/除湿に対して許容可能であり、治療用ガス送達システム内での使用を可能にする好適な耐薬品性を有している。「ナフィオン」という用語はまた、明示的に、またはその文脈から別の意味を明確にする場合を除いて、「ナフィオンまたは他の選択性高透過性材料」を意味することも理解されよう。
【0033】
1つ以上の態様による1つのサンプルガス調整装置は、チャンバを少なくとも部分的に画定し、チャンバへの空気導入路及びチャンバからの空気放出路を形成するか、または少なくとも部分的に画定するように構成されたハウジングを含むことができる。1つ以上の態様による例示的なサンプルガス調整装置の例はまた、ファンの動作がチャンバを通る周囲空気流を付勢するような構成でハウジングに接続されたファンを含むことができ、周囲空気流は、空気導入路を通ってチャンバ内へ進入し、空気放出路を通ってチャンバから出る。1つ以上の態様による例示的なサンプルガス調整装置はまた、透過性材料を含むセクションを有するサンプルガスチューブを含むこともできる。透過性材料は、例えばナフィオンであることができる。一態様では、セクションの少なくとも一部が、通気したセクションとしてチャンバ内に配置することができ、通気したセクションは、チャンバを通る周囲空気流によって通気される。一態様では、通気したセクションはコイル状のチューブセクションを含むことができる。コイル状チューブセクションは、部分的巻きによる補充の有無にかかわらず、例えば、1回巻きの巻線、または少なくとも2回巻きの巻線、または任意整数の複数回巻きの巻線を含むことができる。一態様では、コイル状チューブセクションの巻線の巻きは巻線軸を中心としたものであってもよい。さらなる態様では、空気導入路、空気放出路、及びハウジングは、チャンバを通る周囲空気流が流れ方向を有するように付勢する接続構成を有することができ、その流れ方向は概して巻線軸に平行である。しかし、他の実施態様では、チューブセクションは、円形以外の巻きを有するコイル状すなわち巻線構成を有することができる。
【0034】
空気導入路、及びチャンバを通る空気放出路への流れを含む記載された実施態様では、「入力空気導入路」及び「空気放出路」として機能する構造は一例に過ぎないことが理解されよう。一代替的な実施態様では、記載されたファンの方向を逆転させることができ、その結果として、入力空気導入路として記載された構造が空気出口経路となり、空気放出路として記載された構造が空気導入路となる。
【0035】
一態様では、本明細書で使用される「サンプルガス」は、治療用ガスを患者(例えば、人工呼吸器回路から治療用ガスと共に呼吸ガスを受け取っている患者)に送達する状況において、送達された治療用ガスから引き出されたサンプルガスであり得る。サンプルガスは、例えば、サンプリング装置によって監視される治療用ガス送達システムの吸気肢から除去されてもよい。応用には、開示された概念に従って湿度調整される前のサンプルガスのフィルタリングを含むことができる。治療用送達システムに適用される、開示された概念によるサンプルガスの湿度調整は、例えば、送達物の監視の精度の向上を可能にする。そのような精度は、他のパラメータ(例えば、二酸化窒素濃度、酸素濃度など)に加えて、改善した投薬確認(例えば、一酸化窒素濃度など)を提供することができる。追加の恩恵として、開示された概念によるサンプルガスの湿度調整は、湿度調整チューブの耐用年数の著しい延長をもたらすことができる。このことにより、コストを低減し、継続的な監視をより実行可能なものとすることができる。
【0036】
図1は、様々な態様によるサンプルガス湿度調整装置100の断面図を示す。
【0037】
図1を参照すると、装置100は、少なくとも部分的にチャンバ114を画定するように構成され得るハウジング112を含むことができる。ハウジング112は、キャップ112Cと、側壁112Sとを含むことができる。キャップ112Cは、ハウジング112と一体化されることができる。或いは、キャップ112Cは、接着剤または他の手段によって、側壁112Sの領域に固定されることができる。一態様では、側壁112Sはキャップ112Cから(図1の画像平面内で右から左に)延在し、図1で116と示された点線によって識別されるハウジング開口端を形成することができる。
【0038】
図1を続けて参照すると、ハウジング112は、例えば、チャンバ114への空気導入路として、通気口118を含むことができる。「通気口」及び「空気導入路」は、単一の通路に限定されないことが理解されるであろう。一態様では、ハウジング開口端116は、例えば、後に詳述するように、空気通路、チャンバ114からの開口部及び/または出口として機能することができる。
【0039】
図1を参照すると、装置100は、1つの態様によれば、ハウジング112に接続または取付け可能なファン120を含むことができる。ファン120は、例えば、ハウジング開口端116と整列して、またはハウジング開放端116との別の協働する構成で接続または取り付けられてもよい。ファン120は、例えば、様々な業者から容易に入手可能な既製の装置であることができる。ファン120は、図1の断面図において部分的に見ることができるフレームすなわちハウジング122を含むことができる。フレームすなわちハウジング122は、(部分的には見えるが、別個に番号付与されていない)モータ駆動の回転ファンブレードを支持することができる。一実施例では、ファン120は、周囲空気流を図1の画像平面において右から左に見える方向に付勢することができる。従って、ファン120のハウジング開口端116に面する側を「ファン入力」と称し、反対側を「ファン出力」と称することができる。
【0040】
ファン120の容量(例えば、単位時間当たりの体積)及び電力要件、例えば電圧、ACまたはDCのいずれであるかは、用途に特有のものである。本開示を有する当業者は、過度の実験をすることなくファン120を容易に選択して実施することができる。
【0041】
電力を受け取ると、ファン120は、周囲空気を付勢し、周囲空気は例えば通気口106などの空気入口を通ってチャンバ114へ入り、続いてチャンバ114を通りハウジングの開口端116から出ることができる。図1は、領域に応じたこの周囲空気流の一例を示しており、「AIR-IN」は空気入口、例えば通気口106を通りチャンバ114に入る周囲空気流を示し、「AIR-CH」はチャンバ114を通る周囲空気流を示し、「AIR-EX」はチャンバ開口端116を通ってチャンバ114を出る周囲空気を示している。
【0042】
引き続き図1を参照すると、システム100は、サンプルガスチューブ126を含むことができ、サンプルガスチューブ126は、チューブ入力結合器130に結合された入力端(図1には示されているが、別個に番号付与されていない)及びチューブ出力結合器128に結合された出力端(図1には示されているが、別個に番号付与されていない)を有している。一態様では、入力端から出力端までのサンプルガスチューブ126の全長は、ナフィオンまたは別の選択性高透過性材料で形成され得る。一代替案では、「周囲空気通気セクション126V」として説明される少なくとも「126V」と記された部分は、ナフィオンまたは別の選択性高透過性材料で形成することができる。図1の実施例は、並列フロー構成と考えることができる。いくつかの実施態様であり得るように、入力結合器と出力結合器とが逆転される場合、その構成は、逆流配置と見なすことができる。
【0043】
一態様では、通気セクション126Vは、周囲空気流AIR-CH内にあるように配置することができる。図1に示すような配置では、周囲空気通気セクション126Vは、周囲空気流中で効果的に曝される。「周囲空気流AIR-CH内」という文脈において「空気流内」とは、周囲空気通気セクション126Vの外面の周りの乾燥ガスの皮膜の形成を防止し、または著しく遅らせるのに十分な周囲空気流AIR-CHへの曝露を意味する。
【0044】
図1を参照すると、周囲空気通気セクション126Vは、「コイル状チューブセクション」(図1に示されているが、別個に番号付与されていない)を含むように構成することができる。コイル状のチューブセクションは、例えば、1つの巻線の巻き(図1で見えるが、別個には標示されていない)、または図1に見られる2つの巻線ターンの例のような任意数の巻線の巻きを含むことができる。一態様では、コイル状チューブセクションの巻線の巻きは、巻線軸AXのような巻線軸の周りに巻かれることができる。コイル状チューブセクションをハウジング112内に支持するさらなる態様は、図2図5Bを参照して説明されている。
【0045】
一態様では、少なくとも、周囲空気チューブセクション126Vを形成するサンプルガスチューブ126のセクションは、材料を機械的に安定させ、硬化させるために網目状プラスチック、例えばポリエステル(図では明示されていない)によって被覆することができる。
【0046】
周囲空気通気セクション126Vをコイル状チューブセクションとして形成する利点は、例えば、より小さな容積内でより長い経路長さを提供することを含む。このことは、様々な利点の中でも、必要とするチャンバ114をより小さくすることとなり、すなわち、より小さなハウジング112を提供することができる。別の利点の例としては、周囲気流AIR-CHの総流量をより小さくできることがある。
【0047】
周囲空気通気セクション126Vの物理的長さに関しては、本開示を所有する当業者によって過度の実験をすることなく決定され得る。例えば、様々な用途において、i)チューブ側壁の透水性、ii)サンプルガス(または調整されるべき他のガス)の割合、iii)受け取ったサンプルガス(または調整されるべき他のガス)の期待される湿度範囲、iv)調整されたガス湿度の許容範囲、の全てが確立され、確認され、または予め与えられ得る。所与の用途について(i)~(iv)の全てを特定することは、当業者によって容易に実施することができる。従って、これ以上の詳細な説明は省略する。(i)~(iv)が識別されると、周囲空気通気セクション126Vの物理的長さは、例えば、本開示全体を考慮した以下のガイドラインによって容易に決定することができる。すなわち、その長さを移動した後のガスが、許容範囲内になるように(入力湿度範囲の最大及び最小の両極端から)上昇または低下された湿度を有するように物理的長さを計算する(またはシミュレーションによって見つける)ことによって決定することができる。
【0048】
図2は、1つ以上の態様による、例示的な周囲空気流を有する、1つの例示的なガス湿度調整装置200における部分的に分解された形態の構造で表した斜視図を示す。ガス湿度調整装置200は、湿度伝達チューブへ向けた周囲空気流の例示的な実施態様を備え、「湿度調整装置」200と称される。
【0049】
図2を参照すると、湿度調整装置200は、側壁214を有するハウジング212を含むことができ、これは、「巻線軸」LXとも呼ばれる長手方向軸線LXを中心に配置され、且つこれに平行に延在することができる。一態様では、ハウジング212は、環状エンドプレート216を含むことができる。環状エンドプレート216は、巻線軸LXを中心に円周方向にあることができる内周縁(図2で見えるが、別個には標示されていない)を有することができる。環状エンドプレート216はまた、外周縁(図2で見えるが、別個には示されていない)を有することができ、ハウジング側壁214の(図2では見えるが、別個には標示されていない)周縁と合体することができる。ハウジング側壁214は、周縁から巻線軸LXと平行な方向でハウジング端部フランジ218と合体する反対側の周縁(図2では見えるが、別個には標示されていない)まで延在することができる。ハウジング端部フランジ218と合体するハウジング212の周縁は、ハウジング212の開口端(図2においては遮られて見えない)を画定することができる。
【0050】
本開示において使用される「合体する」とは、合体に影響を与える構造に関して何ら制限を課さないことが理解されるであろう。例えば、「合体される」とは、限定するものではないが、単一の構造のそれぞれの領域または部分として「接続」、「付着」、「融合」及び「成形」されることを含むことができる。
【0051】
引き続き図2を参照すると、一態様では、ハウジング212は、環状エンドプレート216の内周縁部から巻線軸線LXに平行な方向に延びることができる(図2で一部が見える)巻線支持部220を含むことができる。換言すれば、環状エンドプレート216は、巻線支持部220がハウジング212の開口端に向かってハウジング側壁214内に延在するように支持することができる。巻線支持部220の様々な構造及び機能性は、図5A及び5Bを参照してより詳細に説明される。
【0052】
引き続き図2を参照すると、一態様では、ガス湿度調整装置200は、ファン222を含むことができる。ファン222は、例えばアダプタプレート224を用いてハウジング212に接続されることができる。ファン222は、アダプタプレート224にボルト止めすることができるファンハウジング(図2で見えるが、別個に番号付与されていない)を含むことができる。次いで、ファン222は、アダプタプレート224をハウジング端部フランジ218にボルト止めすることによってハウジング212に取り付けることができる。
【0053】
一態様では、ガス湿度調整装置200は、コイル状チューブセクション226Vを有するサンプルガスチューブ226を含むことができる。コイル状チューブセクション226Vは、図1の周囲空気通気セクション126Vの実施態様であることができる。一態様では、コイル状チューブセクション226Vは、水に対して高い透過性を有する透過性材料で形成することができる。一実施態様では、透過性材料は、スルホン化テトラフルオロエチレン系フッ素化重合体-共重合体を含むことができる。透過性材料は、例えばナフィオンであることができる。サンプルガスチューブ226は、チューブ入力結合器230に結合されたチューブ入力端と、チューブ出力結合器232に結合されたチューブ出力端とを含むことができる。
【0054】
一態様では、少なくとも、コイル状チューブセクション226Vを形成するサンプルガスチューブ226のセクションは、材料を機械的に安定させて補強するために網目状プラスチック、例えば(図では明確には示されていない)ポリエステルによって被覆することができる。
【0055】
図3は、ハウジング側壁214を透明にした、組み立てられた形態を示す構成で、ガス湿度調整装置200の斜視図を例示的に示す。図3を参照すると、サンプルガスチューブ226のコイル状チューブセクション226Vの配置が、部分的に見える。
【0056】
図4は、ハウジング側壁214が透明になっていない、図3に示された構成での、ガス湿度調整装置200の別の斜視図を例示的に示す。図4を参照すると、一態様では、図2を参照して導入した巻線支持部220が、開口部OPを有し中空であることができる。巻線支持部220はまた、長手方向のスロット228を有することができ、環状エンドプレート216は、各々に対して、対応する切欠き、すなわち通気口(図4で見ることができるが、別個には標示されていない)を提供することができる。図4を参照すると、(環状エンドプレート116から始まる)コイル状チューブセクション226Vの最初の3つの巻線は、環状エンドプレート216に形成された3つの長手方向スロット228及び対応する切欠き、すなわち通気口を通して見ることができる。
【0057】
図5Aは、巻線軸LXを含む切断面から見た、図3及び4の構成の部分断面図を示す。図5Bは、1つ以上の態様による様々な構造の追加的な図を提供するために、例示的な通気コイルチューブ構造が除去された、図5Aの部分断面図を示す。
【0058】
図5A及び5Bを参照すると、巻線支持部220は、巻線軸LXから巻線半径R1を有する巻線構成でコイル状チューブセクション226Vを支持するように構成され得る。コイル状チューブセクション226Vは、巻線支持部220の(図3では見えない)支持面の周りに巻かれることができる。巻線支持部220の支持面は、巻線軸LXを中心とする円周状となり、巻線半径R1の寸法だけ巻線軸LXから、またはコイル状チューブセクション226Vから間隔をおいて配置することができる。ハウジング側壁214の(図5Bに標示されている)内面514は、コイル状巻線の外面から離間され得る。ハウジング側壁514の内面及び巻線支持部220の支持面は、コイル状チューブセクション226Vを収容することができる環状容積を画定することができる。
【0059】
図4を参照して識別され、図5A及び図5Bでさらに見えるように、巻線支持部220は長手方向のスロット228を有することができ、このようなスロット228の各々に対して、環状エンドプレート216は対応する(図4で見えるが、別個には標示されていない)切欠き、すなわち通気口を提供することができる。
【0060】
図4図5A、および図5Bを参照して、様々な態様によるガス湿度調整装置200の例示的な動作を説明する。ファン222に電力供給すると、コイル状チューブセクション226Vの収容後に残っている環状容積部512の一部に負圧が誘発され得る。当該圧力は、周囲空気流AIR-INを付勢することができ、周囲空気流AIR-INがその環状容積部512に入り、巻線支持部220の長手方向スロット228を通って、環状エンドプレート216に形成された対応する切欠き、すなわち通気口を通るようにすることができる。AIR-INは、コイル状チューブセクション226Vの上及び周囲を流れる周囲空気流AIR-CHを付勢して、ファン222を通してAIR-EXとして放出することができる。
【0061】
コイル状チューブセクション226Vを、環状容積部512において、長手方向スロット228を備えて中空となり得る巻線支持部220に巻き付けた組み合わせは、コイル状チューブセクション226Vを周囲空気流中に効果的に曝すように維持できることが理解されよう。一態様では、サンプルガスチューブ226の外側テクスチャはコイル状チューブセクションを形成している。当該配置は、さらにコイル状チューブセクション226Vを通気チューブセクション226Vとして確立することができる。通気チューブセクション226Vを周囲空気流AIR-CHに曝すことの利点及び機能としては、例えば、その外面周囲における乾燥ガスの皮膜形成を防止または著しく遅らせることを含むことができる。さらに、多重巻きのコイル状(従って、より長い)通気チューブを提供する態様の一部に基づいて、開示された態様は、チューブの有効な機能性の耐用年数の延長とともに、少なくとも湿度範囲の両極端で許容できる湿度のサンプルガスを送達することができる。
【0062】
上述の、空気導入路と、チャンバを通って空気放出路へと向かう流れとを有する実施態様では、「入力空気導入路」及び「空気放出路」として機能する構造は、一例に過ぎない。例えば、図4を参照すると、湿度調整装置200では、ファン222は逆転されることができる。この逆転は、ハウジング端部フランジ218に近接するハウジングの端部を「空気導入路」に変更することができ、また、長手方向スロット228、及び環状エンドプレート216に形成された対応する切欠き、すなわち通気口を空気放出路に変更することができる。さらに、巻線軸LXと同一線上で平行である回転軸を有するファン222は、説明した周囲空気流を付勢するためのファンの一例示的な実施態様に過ぎない。代替的な一実施態様では、ファン222は、90度のエルボーと組み合わせて、ファン222から90度回転した(図では見えない)ファンで置き換えることができる。別の代替実施態様では、ファン222は、ラジアルファンで置き換えることができる。
【0063】
様々な態様によると、(装置100と同様に)ガス湿度調整装置200は、患者の呼吸装置からのサンプルガスとともに使用されてもよい。いくつかのケースでは、周囲空気は、例えば、ANSI/ASHRAE/ASHE標準170-2008に基づくヘルスケア施設である、クラスB及びクラスC手術室、回復室、救命救急や集中治療室、新生児集中治療室、患者室及び/または新生児育児室などの保健施設内において約20℃で相対湿度30%であってよい。このような状況や他の状況においては、性能向上と耐用年数の延長とが重要な価値を有し得る。
【0064】
図6は、本明細書に記載の装置を使用して、サンプルガス調整の例示的な方法の例示的なフロー図を例示的に示す。プロセス610において、図1の入口130のようにサンプルガスを受け取る。このサンプルガスは、患者の呼吸ガス装置から採取されてもよく、例えば、吸息肢から外れた器具から採取されてもよい。プロセス612aにおいて、サンプルガスは、図1の通気されたコイル状セクション126V、または図2の通気されたコイル状セクション226Vのように、通気したコイル状セクションを用いて構成され得るナフィオンチューブを通過する。プロセス612aと同時に、プロセス612bにおいて、周囲空気流が通気したコイル状セクション126V(または226V)に接触し、その上及び周囲を通過する。周囲空気流は、例えば、図1または図5Aに示すAIR-CHであってよく、図1のファン120または図2のファン222などのファンによって付勢されることができる。プロセス614においては、サンプル呼吸ガスがナフィオンチューブを通過し、本明細書及び下記に記載されるようなガス分析器によって分析される。
【0065】
図7は、呼吸ガス供給装置と連携している本明細書に記載される例示的なガス調整装置の例示的な実施態様のいくつかの態様を例示的に示す。装置700は、人工呼吸器710と共に使用される。NOなどの補充ガスまたは添加ガスの供給源712は、導管714への供給を提供し、人工呼吸器710に接続することができるフローセンサ716へと導く。呼吸ガス供給の任意の段階で、噴霧化された薬剤のような他の追加の呼吸物質が導管720を通る流れの中に供給され得る。コントローラ718は、バルブを作動させて、例えば、導管720内の混合ガスにおけるNOの比率を制御することができる。患者は、吸気肢と見なすことができる導管720の内容物を吸入する。患者の呼気または過剰ガスは、呼気肢導管722と見なすことができる。この実施態様では、サンプルガスは吸気肢720から引き出されるものとして図示されているが、本特許の呼吸装置の他の部分から引き出されてもよい。
【0066】
本実施例では、導管724は吸気肢と流体連通しており、サンプルガスラインとも称され得る。フィルタトラップ726は、サンプルガスの一部または全部を受け入れる。このフィルタトラップ726は、サンプルガスから水分及び/または微粒子を除去するフィルタアセンブリに対応することができる。フィルタトラップ726によって濾過された後、ガスは740と表示されたガス調整装置に送られる。一態様では、ガス調整装置740は、例えば、図1を参照して説明した湿度調整装置100であってもよく、または図2図5Bを参照して説明したガスサンプル湿度調整装置200であってもよい。ガス調整装置740を出た後、湿度調整された直後のサンプルガスは、ガスサンプリングシステム728に送られ、排気出口730を介して排気され得る。いくつかの実施態様では、コントローラ718は、調整装置(100,200,740)のいくつかの動作を、その一例として、そのファン速度などを制御することができる。
【0067】
前述の詳細な説明は、当業者が本開示された主題を制作し、使用することを可能にするために提示される。説明のために、完全な理解を提供するために特定の命名法が述べられている。しかし、開示された主題を実施するためには、これらの特定の詳細内容を要さないことは、当業者には明らかであろう。特定の用途の説明は、代表的な例としてのみ提供されている。開示された実施態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義された一般原則は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施態様及び用途に適用され得る。本明細書で説明される動作の順序は単なる例示であり、動作の順序は本明細書に記載されたものに限定されることなく、当業者には明らかであるように、一定の順序で必然的に生じる動作を除いて、変更することができる。また、当業者には周知の機能及び構成物の説明は、明瞭さ及び簡潔性を高めるために省略されてもよい。本開示は、示された実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び機構と一致する可能な限り最も広い範囲を与えられるべきである。
【0068】
当業者であれば、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に記載の方法及びシステムに対して様々な修正及び変更を行うことができることは明らかであろう。従って、本発明の説明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図される。
【0069】
記載されたステップのいずれかは、本発明の範囲から逸脱することなく、再編成、分離、及び/または組み合わせが可能であることが理解されよう。便宜上、ステップは時には逐次的に提示されている。これは便宜上のものであり、決して限定することを意味するものではない。さらに、記載された本発明の要素及び/または実施形態のいずれも、本発明の範囲から逸脱することなく、再編成、分離、及び/または組み合わせが可能であることが理解されよう。便宜上、様々な要素が時には別個に記載されている。これは便宜上のものであり、決して限定することを意味するものではない。
【0070】
上述の実施例における様々なシステム構成要素の分離は、そのような分離がすべての実施例において必要とされるものとして理解されるべきではなく、記述された構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品が多系統のシステム、及び/または複数の構成要素の中に一体化されることができる。様々な変更がその中で実施され、本明細書に開示された主題が様々な形態及び実施例で実施され、その教示が、一部だけが本明細書に記載されている多くの用途に適用され得ることが理解されよう。特に指示しない限り、以下の特許請求の範囲を含む本明細書に記載されているすべての測定値、定格、位置、大きさ、寸法及び他の仕様は、概算であり厳密なものではない。それらは、それらが関連する機能及びそれらが属する技術分野で慣習的なものと一致する合理的な範囲を有することが意図されている。
【0071】
本発明は、特定の実施態様を参照して説明されてきたが、これらは当業者がこれらの実施形態を作成して使用するために本概念の理解することを助けるためのもので、単なる例示的なものであることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示された方法及び装置に対して様々な修正及び変更が行われ得ることは、この開示を全体として読むと、そのような当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【外国語明細書】