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特開2022-92048物質を吸入するためのエアロゾル装置、物質を吸入する方法、及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092048
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】物質を吸入するためのエアロゾル装置、物質を吸入する方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/167 20200101AFI20220614BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20220614BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20220614BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20220614BHJP
【FI】
A24B15/167
A24B15/24
A24F40/10
A24F40/42
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067061
(22)【出願日】2022-04-14
(62)【分割の表示】P 2020019017の分割
【原出願日】2008-12-18
(31)【優先権主張番号】61/014,690
(32)【優先日】2007-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】12/336,439
(32)【優先日】2008-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】315012459
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Juul Labs, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アダム・ボーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・モンシーズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】喫煙を模倣するための装置、カートリッジ、および方法を提供する。
【解決手段】装置は、口または呼吸器管の中に触覚による応答を生じさせる高粘度材料を加熱することによって、通常の刻みタバコの紙巻きたばこに比べて使用者に送達されるホフマン検体および突然変異誘発化合物を低減した、人によって吸入されるエアロゾルを発生する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホフマンアナライトのレベルを低減したエアロゾルを使用者に送達する方法であって、
(a)ヒータを含む室炉を備えるエアロゾル発生装置を配置する工程であって、前記エアロゾル発生装置が、揮発性材料を含むケースを含むカートリッジを更に含み、前記カートリッジは前記ケース上に蓋を備え、前記揮発性材料が、タバコ製品と、プロピレングリコールおよびグリセリンを含んでいるエアロゾルを形成する媒体とを含んでいる工程と、
(b)前記ヒータで、前記揮発性材料を、前記エアロゾルを発生させるために伝導もしくは対流によって少なくとも目標温度に加熱する工程と、
(c)生成後にろ過することなく前記エアロゾルを吸入のために使用者に送達する工程であって、前記エアロゾル中のアンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンの少なくとも1つのレベルが、基準のたばこを燃焼させることによって発生する物質と比較して少なくとも70%低減されている、前記エアロゾルを使用者に送達する工程と、
を備えている方法。
【請求項2】
前記エアロゾルは、直径2ミクロン未満の粒子を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記揮発性材料を加熱する工程は、前記装置を100℃以上200℃以下に加熱することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記揮発性材料を加熱する工程は、前記装置を約150℃に加熱することを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ホフマンアナライトのレベルを低減したエアロゾルを使用者に送達する方法であって、
(a)ヒータを備えるエアロゾル発生装置を配置する工程であって、前記エアロゾル発生装置が、揮発性材料を含むケースを含むカートリッジを更に含み、前記カートリッジは前記ケース上に蓋を備え、前記揮発性材料が、タバコ製品と、プロピレングリコールおよびグリセリンを含んでいるエアロゾルを形成する媒体とを含んでいる工程と、
(b)前記装置の前記ヒータで、前記揮発性材料を、前記エアロゾルを発生させるために、伝導もしくは対流によって少なくとも目標温度に加熱する工程と、
(c)生成後にろ過することなく前記エアロゾルを吸入のために使用者に送達する工程であって、前記エアロゾル中のアンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンの少なくとも1つのレベルが、基準のたばこを燃焼させることによって発生する物質と比較して少なくとも70%低減されている、前記エアロゾルを使用者に送達する工程と、
を備えている方法。
【請求項6】
前記エアロゾルは、直径2ミクロン未満の粒子を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記揮発性材料を加熱する工程は、前記装置を100℃以上200℃以下に加熱することを含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記揮発性材料を加熱する工程は、前記装置を約150℃に加熱することを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記揮発性材料は、直径が2mm未満のタバコの細片を含む請求項5に記載の方法。
【請求項10】
室炉と、カートリッジとを備えるエアロゾル発生装置であって、前記カートリッジは揮発性材料を含むケースと前記ケース上の蓋とを備え、
前記装置は、前記揮発性材料を、伝導もしくは対流によって少なくとも目標温度に加熱するときに、ホフマンアナライトのレベルを低減したエアロゾルを発生させ、
前記揮発性材料は、タバコ製品と、プロピレングリコール及びグリセリンを含んでいるエアロゾルを形成する媒体とを含み、
前記エアロゾルは、生成後にろ過されることなく直接使用者に送達され、
前記エアロゾル中のアンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンの少なくとも1つのレベルが、基準のたばこを燃焼させることによって発生する物質と比較して少なくとも70%低減されている、エアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記目標温度が100℃以上200℃以下の範囲内である請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記目標温度が150℃である請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記エアロゾルが直径2ミクロン未満の粒子を含む請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
ヒータ及びカートリッジを含むエアロゾル発生装置であって、前記カートリッジは揮発性材料を含むケースと前記ケース上の蓋とを備え、
前記装置は、前記揮発性材料を、伝導もしくは対流によって少なくとも目標温度に加熱するときに、ホフマンアナライトのレベルを低減したエアロゾルを発生させ、
前記揮発性材料は、タバコ製品と、プロピレングリコール及びグリセリンを含んでいるエアロゾルを形成する媒体とを含み、
前記エアロゾルは、生成後にろ過されることなく直接使用者に送達され、
前記エアロゾル中のアンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンの少なくとも1つのレベルが、基準のたばこを燃焼させることによって発生する物質と比較して少なくとも70%低減されている、エアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記目標温度が100℃以上200℃以下の範囲内である請求項14に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項16】
前記目標温度が150℃である請求項15に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項17】
前記エアロゾルが直径2ミクロン未満の粒子を含む請求項14に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項18】
前記揮発性材料は、直径が2mm未満のタバコ片を含む請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は2008年12月16日出願の米国特許出願第12/336,439号の優先権を主張し、2007年12月18日出願の米国仮出願第61/014,690号の利益を主張するものであり、これらの出願は本願に参照により組み込まれている。
【0002】
タバコ製品の使用およびタバコ喫煙の有害な副作用に対する注目は世界的に増加している。仕事の場所または公共の場所における喫煙の規制が多くなるほど、代替製品を開発することへの関心が強くなっている。喫煙の有害な副作用を低減する1つの方法は、タバコ製品を燃やさないことである。これは喫煙から得られるホフマンアナライト(ホフマン検体)などの有害なアナライト(検体)の多くが材料の燃焼により摂取されるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアロゾル化されたタバコ製品を送達できる装置を開発することおよび販売することの難しさは、視覚的および物理的な使用の魅力という点で使用者の要望に応えることである。使用者に対して、目視可能な蒸気など、喫煙による視覚的な類似の感覚を提供しながら、様々な異なる物質をエアロゾル化するために複数回使用することのできる装置が望まれる。また、タバコ製品をエアロゾル化し、喫煙と比較して、使用者に送達されるホフマンアナライトや突然変異誘発性化合物を低減することのできる装置および製品が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様において、材料をエアロゾル化する装置に使用するためのカートリッジが開示されるが、これは高粘度の揮発性材料を収容しているケース(シェル)と、ケースの上を封止する蓋とを含み、それによって高粘度の揮発性材料を収容している封止されたカートリッジを形成する。蓋は浸透性とすることができ、浸透された蓋は高粘度の揮発性材料の加熱によって発生するエアロゾルの出口とすることができる。また、蓋はヒートシール可能なフィルムとすることができ、このヒートシール可能なフィルムは、ベース層とヒートシール可能な層とを含む。カートリッジのケースまたはカートリッジの蓋は、アルミニウムを含むことができる。本発明のカートリッジのケースがフランジを備えているとき、蓋はフランジの上を封止することができる。
【0005】
カートリッジはケース内に収容される材料をエアロゾル化するために必要な温度まで加熱することができ、好ましくは400°F(204℃)未満まで加熱される。カートリッジ内の高粘度の揮発性材料はエアロゾルを形成する媒体、プロピレングリコール、若しくはグリセリンの少なくとも1つで構成することができる。高粘度の揮発性材料は、タバコを含むことができる。
【0006】
カートリッジは装置の中に挿入することができ、装置は高粘度の揮発性材料をエアロゾル化することが可能である。装置はカートリッジを加熱することの可能な室炉(オーブンチャンバ)を含むことができる。
【0007】
本発明のカートリッジに標識を付けるために、情報はケースおよび蓋の少なくとも1つに印刷することができる。
【0008】
他の態様において、高粘度の揮発性材料を収容しているカートリッジを装填する方法は、高粘度の揮発性材料をカートリッジのケースの中に充填することと、カートリッジのケース上を蓋で封止することで構成される。本方法は、自動化することができ、例えば、直線状のまたは回転する割り送り装置上で行うことができ、又はオーガフィラー(螺旋状のスクリューを備えた充填器)、蠕動ポンプ法若しくはピストンポンプ法を用いて充填することが可能である。充填のステップの中では、所定容量の高粘度の揮発性材料を充填することができ、その所定容量は約0.1以上約0.8立方センチメートル以下とすることができる。容量は、約0.25立方センチメートルであるのが好ましい。カートリッジを装填する方法の封止ステップは、カートリッジの蓋およびケースの少なくとも1つを加熱することと、蓋からあらゆる過剰な材料を切り取ることからなることができる。
【0009】
吸入可能なエアロゾルを発生する装置は、本願において、本体と、高粘度の揮発性材料を加熱して吸入可能なエアロゾルを発生させることの可能なこの本体内のヒータと、1つ以上のバイメタルのディスクを含む温度調節手段とを含み、ディスクは温度変化を機械的変異に変換する。吸入可能なエアロゾルは直径約2ミクロン未満の粒子を含むことができる。装置のヒータはブタンなどの気体燃料を供給し圧電発火器で発火することができる。
【0010】
温度調節手段のディスクは、プッシュロッド(押し棒)を移動させることができ、プッシュロッドは設定変更可能な流量制限バルブを押すことによって、装置本体内の気体燃料の流れを制限し、または止める。また、プッシュロッドは、触媒のメッシュ要素の支持を提供することもできる。
【0011】
他の態様において、本発明は喫煙を模倣する装置を提供し、装置は植物物質を含む高粘度の材料を約150℃に加熱することによって人による吸入用のエアロゾルを発生し、エアロゾルは口腔または呼吸器管の中に触覚の応答を作り出す。高粘度材料はエアロゾルを形成する媒体を含むことができ、エアロゾルを形成する媒体はプロピレングリコールおよびグリセリンの少なくとも1つを含んで加熱されるとき可視のエアロゾルを生成することができる。また、高粘度材料はタバコおよび香料を含むこともできる。
【0012】
また、装置はエアロゾルの一部である活性成分を使用者に送達することができる。活性成分は呼吸器管の中で吸収することができる。また、エアロゾルは直径約2ミクロン未満の粒子を含むことができる。
【0013】
本願に開示されるのは、本体とヒータとを含む本発明の装置であり、装置は高粘度のタバコ材料を目標温度まで加熱することによって、人による吸入のための無煙のエアロゾル(煙の出ないエアロゾル)を発生する。高粘度材料はエアロゾルを形成する媒体を含むことができ、エアロゾルを形成する媒体はプロピレングリコールおよびグリセリンの少なくとも1つを含んで、加熱されるとき可視のエアロゾルを生成することができる。また、装置はエアロゾルの一部である活性成分を使用者に送達することができる。活性成分は呼吸器管の中で吸収することができる。また、エアロゾルは直径約2ミクロン未満の粒子を含むことができる。
【0014】
装置の中で高粘度材料を加熱するための目標温度は約100℃以上約200℃以下とすることができる。目標温度は約150℃であるのが好ましい。
【0015】
また、装置は使用者が片手で操作することができる。
【0016】
本発明の他の態様において、エアロゾル発生装置が開示され、装置は喫煙可能な材料を目標温度に加熱すると実質的に少なくとも一種類のホフマンアナライトを含まないエアロゾルを発生する。ホフマンアナライトは、アンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンからなる群から選択することができる。
【0017】
装置の中で高粘度材料を加熱するための目標温度は、約100℃から約200℃とすることができる。目標温度は約150℃であるのが好ましく、目標温度で直径約2ミクロン未満の粒子を含むエアロゾルが発生する。
【0018】
また、本発明はエアロゾル発生装置を提供し、装置は喫煙可能な材料を目標温度に加熱するとき通常の刻みタバコの紙巻きたばこよりもホフマンアナライトが少なくとも70%少ないエアロゾルを発生し、ホフマンアナライトは、アンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、およびスチレンからなる群から選択することができる。通常の刻みタバコの紙巻きたばこはフィルタを含むことができる。
【0019】
装置の中で高粘度材料を加熱するための目標温度は、約100℃から約200℃とすることができる。目標温度は約150℃であるのが好ましく、目標温度で直径約2ミクロン未満の粒子を含むエアロゾルが発生する。
【0020】
一態様において、本発明は実質的にホフマンアナライトの無いエアロゾルを人に送達する方法を開示し、ヒータと喫煙可能な材料とを含むエアロゾル発生装置を配置することと、装置のヒータでエアロゾルを発生する目標温度まで喫煙可能な材料を加熱することと、吸入のためエアロゾルを人に送達することとを含む。
【0021】
他の態様において、口腔または呼吸器管の中に触覚の応答を生成する方法が開示される。本方法は、喫煙模倣装置を配置し、装置がその中に収容される植物物質を含む高粘度材料を加熱することによって口腔または呼吸器管の中に触覚の応答を有する無煙のエアロゾルを発生することと、高粘度材料を目標温度まで加熱することと、加熱された高粘度材料から口腔または呼吸器管の中に触覚の応答を有するエアロゾルを発生させることと、エアロゾルを吸入することとを含む。高粘度材料はエアロゾルを形成する媒体を含むことができ、エアロゾルを形成する媒体は加熱されるとき可視のエアロゾルを生成するプロピレングリコールおよびグリセリンの少なくとも1つを含むことができる。また、高粘度材料はタバコおよび香料の少なくとも1つを含むことができる。装置はエアロゾルの部分である活性成分を使用者に送達することができる。活性成分は呼吸器管の中に吸収することができる。エアロゾルは直径約2ミクロン未満の粒子を含むことができる。
【0022】
他の態様において、本発明は本発明により提供されるエアロゾル発生装置を開示し、装置は喫煙可能な材料からエアロゾルを発生し、エアロゾルは喫煙可能な材料の燃焼により発生される物質よりも少なくとも70%少ない量のホフマンアナライトを含む。
【0023】
また、エームス試験に合格する喫煙可能な材料からエアロゾルを発生するエアロゾル発生装置、および喫煙可能な材料からエアロゾルを発生し、エアロゾルがエームス試験において喫煙可能な材料の燃焼により発生される物質よりも顕著に良好な得点を得るエアロゾル発生装置が開示される。
【0024】
本発明はエアロゾル発生装置を提供し、装置は燃料補充または装置の手入れなしに少なくとも不連続で4時間の間、使用者に吸入用のエアロゾルを提供する。
【0025】
(参照による組み込み)
本明細書の中に記載される全ての出版物、特許および特許出願は、あたかも出版物、特許および特許出願の各々が特別にかつ個別に参照によって組み込まれていることを示すのと同じ程度に本願に組み込まれる。
【0026】
本発明の特徴および利点の更なる理解は、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および付属の図面を参照することにより得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】マウスピースと、ヒータ、室炉、燃料タンク、および運転温度を維持するための調節手段を備える発火器を有する本体とを含む本発明の装置を示す図である。
図2】再充填可能でありその目的のための出入口を有する燃料タンクを含む本発明の装置を示す図である。
図3】任意の可燃性燃料によって駆動することのできるヒータ組み立て体と、ヒータ組み立て体への可燃性燃料の流れを制御する一連のバイメタル物体とを含む本発明の装置を示す図である。
図4】燃料が充填バルブを経由してタンクに供給され、圧縮された液体燃料を使用するためにウィックによって引き抜くことのできる装置を示す図である。
図5】ガスの動きを制限する単一のエラストマ製ストッパを含み、気体燃料の流れが圧縮された発泡流れ制限器によって制限され、バルブのオリフィスを経由してのみ放出することのできる本発明の装置を示す図である。
図6】プラスチック本体の排気孔がヒータ排気孔の上に配置され、排出されるガスはヒータ本体に沿って通過しなければならず、その熱をさらに多く交換し、それによって装置の効率を向上させる装置を示す図である。
図7】蝶番付きマウスピースを備える本発明の装置を示す図である。
図8A】使用者が装置のマウスピース端部に向かって材料の紐を滑らせてそれを点火することができ、次いで充填ポートに向かって紐を滑らせて戻し、それを消火することができる装置を示す図である。
図8B】異なる視点から見た図8Aの装置を示す図である。
図9】ケースと蓋とケースに蓋を接着するためのフランジとを含み、湿潤した状態の揮発性製品を蒸発させることのできる装置と一緒に使用するための、該製品を収容することのできるカートリッジを示す図である。
図10】PETベース層とAPETヒートシール層とを備える基本的なヒートシール可能なフィルムを示す図である。
図11】PETベース層とAPETヒートシール層とを備えるが、追加の金属層と金属接着層とを備える複合フィルムを示す図である。
図12】湿った揮発性製品を収容し、カートリッジ内の内容物が環境にアクセスできるようにする孔または排気口を含む本発明のカートリッジを示す図である。
図13A】互いに嵌合でき、カートリッジの内容物から蒸気を放出するための孔または排気口を有することのできる2つの部分を備えるカートリッジを示す図である。
図13B】互いに嵌合でき、カートリッジの内容物から蒸気を放出するための孔または排気口を有することのできる2つの部分を備えるカートリッジを示す図である。
図14】ホフマンアナライトの吸入を低減しながらも、使用者の要求する望ましい喫煙効果の多くを提供することによって喫煙を模倣することのできる本発明の装置の例示的使用方法を示す図である。
図15】使用者のホフマンアナライトの摂取を少なくとも70%低減して本発明の装置から吸入されたタバコ物質を使用者が受け取り、喫煙行為で吐き出された煙に類似の視覚的な補助を提供する、蒸気を形成する媒体から視覚的蒸気を使用者が吐き出すことのできる、本発明の装置の例示的使用方法を示す図である。
図16】本発明の装置を喫煙することによって発生した粒子が突然変異誘発性ではないことを示す細菌突然変異誘発性試験(エームス試験)の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に説明される発明は、当業者であれば本開示を概観することによって理解できるように、活性物質の吸入用に広い範囲の用途を有する。例えば、装置、カートリッジ、システム、キットおよび方法は、例えば、タバコ製品を口または鼻を経由して吸入するのに用いることができる。また、装置、システム、キット、および方法は、タバコの喫煙または燃焼に比較して、タバコ製品の吸入によって使用者に提供されるホフマンアナライトを低減するために用いることもできる。さらに、装置、システム、キット、および方法は、例えば、植物性物質、医薬品、栄養素、または最終使用者に利益または感動を与えるあらゆる他の物質などの任意の物質を吸入するのに用いることができる。
【0029】
I エアロゾル発生装置
本発明の例示的装置は図1に示される。装置100は装置100内に収容された製品をエアロゾル化するために十分高い温度を生成することが可能である。本発明の装置はマウスピース110と、ヒータ122、室炉124、燃料タンク126、および運転温度を維持するための調節手段を備える発火器を有する本体120とを含むことができる。装置の運転温度の調節手段の例は、バイメタル式アクチュエータである。または、ブタンの流れを調節するためにパラフィンを充填した伸び縮みする部品を用いることができる。または、例えば熱電対センサによって現在の温度を測定し、例えばマイクロ調節手段によって所定温度と比較し、電気機械的バルブ、例えばサーボまたはソレノイドバルブを制御することによるシステムを用いることができる。使用者の選択した温度は、上述のように、このシステムへの入力として用いることができる。
【0030】
装置は能動的制御要素なしに製作することができる。これは結果として複雑さを低減し装置の全体的な製造コストを低くすることになる。例えば、ヒータ122への燃料の流れは低いレベルに設定することができる。使用において、室炉124内の温度は、導入された追加の熱が環境に失われた熱と等しくなる平衡点まで上昇する。熱は装置100の本体の伝導および使用者に送達される蒸気によって失われる。この平衡点は装置100の運転温度を決定する。燃料の流速、バーナのサイズと材料、および他の要因を変化させることによって、システムは十分安定した望ましい運転温度を提供するように較正することができる。
【0031】
圧電点火器を用いることができる。フリント着火器またはバッテリ駆動抵抗コイルなどの他の点火器を用いることができる。
【0032】
図2に示したように、本発明の装置200は再充填可能な燃料タンク226およびその目的のための出入口230を含むこともできる。タンク226はその燃料が消費されると廃却可能とすることができる。ピンまたはカムなどの放出機構を用いることができ、使用者は迅速に空のタンク226を取り外し、それを満タンのタンクに交換することが可能になる。交換可能なタンクは点火器またはヒータなどの装置の追加部品を含み得る。液体燃料が燃料源であるのが好ましいが、液体燃料はバッテリ駆動電気ヒータまたは他の小型熱源に補完または置換され得る。タンク126には図1に示した充填バルブ機構128によって、特定の燃料源または標準的な市販燃料源を充填することができる。
【0033】
燃料タンクは装置の繰り返し使用のために十分な燃料を保持することができる。装置は、10、20、30、40、50、または60回まで使用することができる。いくつかの実施形態において、装置は60回以上使用することができる。また、装置は1、2、3、4、5、6、7、または8時間の間、連続的または不連続的に使用することができる。装置と共に使用するカートリッジは使用ごとに廃却することができ、または複数回使用することができる。本発明の装置の長時間の使用は使用者に装置の手入れまたは燃料タンクの再充填を定期的に実施する必要のない利点を提供する。複数回使用の利点はより大きなサイズの燃料タンクを使用することおよび/または燃料としてブタンを使用することによって得られるのが好ましく、これは装置の使用に必要な温度を効率的に生成する。
【0034】
典型的に装置の運転温度は200℃以下である。しばしば製品をエアロゾル化するために必要な温度は約100~200℃である。いくつかの実施形態において、製品をエアロゾル化するために必要な温度は約150℃である。装置内の製品がエアロゾル化されると、エアロゾル化された製品はマウスピースを通って使用者に提供される。多くの場合、本発明の装置は紙巻きたばこ、パイプ、またはシガーホルダなどの喫煙装置を模倣するように設計される。
【0035】
図3において、装置300は、任意の可燃性燃料によって駆動することのできるヒータ組み立て体322と、ヒータ組み立て体322への可燃性燃料の流れを制御する一連のバイメタル物体332とを含む。可燃性燃料の例には、プロパン、ブタン、メタン、およびエタノールが含まれるが、これに限定されない。装置300が加熱されると、または装置300の一部が加熱されると、バイメタル物体332はヒータ組み立て体322に入る燃料の量を制御するためにその形状を変化させる(例えば、平坦から凹状、または凸状に)。これは様々な機構によって生じることができ、図3に示した可変の流量バルブ336に対してロッド334(本明細書ではプッシュロッド334を指す)を押し付けることを含む。
【0036】
バイメタル物体は温度変化を機械的な変位に変換するために用いることができる。物体はそれらが加熱されると異なる割合で膨張する2つの異なる金属、例えば、鋼と銅とを含む。物体は互いに固定された合金または2つの金属とすることができる。バイメタル物体は四角、矩形、または帯状の任意の平坦な形状とすることができる。バイメタル物体はバイメタルのディスクであるのが好ましい。異なる膨張は平坦な物体を加熱された場合に一方に湾曲させ、冷却されると反対方向に湾曲させる。バイメタル物体はバイメタルのディスクであって、例えば、市場で入手可能なTruflex P675/700ディスクを用いることができる。
【0037】
バイメタル物体の機械的な変位は、いずれかの2つの金属の長さ方向の小さな伸張よりもはるかに大きい。この効果は広範囲の機械的および電気的装置に用いられる。本発明の多くの例示的装置において、バイメタル物体は平坦な形状で使用される。他には小型化のためにコイル状に巻きつけることができる。
【0038】
ニッケルチタン(NiTi)は形状記憶合金であり、通常ニチロールと呼ばれる。その転移温度以上で、ニチロールは超弾性的であり、負荷が加えられても大きな変形に耐えることができ、負荷が除かれると元の形状に戻る。その転移温度以下では形状記憶効果を示す。変形したときは、元の形状に戻る転移温度以上に加熱されるまでその形状を維持する。ニチロールは典型的に約55重量%のニッケルからなる。わずかな組成変化は合金の転移温度を大きく変化させる。ニチロールのこれらの独特の特性および広範囲な温度使用への微調整可能性は、本発明のバイメタル物体の代替として好適である。当業者であれば、他の形状記憶合金が本発明の範囲から逸脱することなく使用できることを理解するであろう。
【0039】
本発明の装置において、交互に積み重ねたバイメタルのディスクの使用は、非常に小さな空間に熱調節スキームを割り当てるための簡単で安価な解決であるのみならず、熱調節の他の方法よりも大きな利点を有する。ディスクはモジュール式解決であり、異なる数のディスクを用いて装置の温度感度を調整することができる。1つのディスクの代わりに複数のディスクを用いることはディスクの所与の(小さな)直径に対して全体的により長い移動を可能にする。また、同じ目的のために、または力を発揮する追加の能力を加えるために、より薄いまたはより厚いディスクを用いることができる。ドーム形状のディスクは特に強いので、燃料の圧力変化は温度調節に最小の影響を及ぼす。また、バイメタルの積み重ねは不連続的ではなく連続的作動システムであるので、装置は上述の粗面着座設計を用いることによって緩やかな調節効果を有することができ、装置は自己消火しにくくなる。また、ディスクは装置のオーブンに最も近い点の温度に応答するので、オーブンは最も安定した温度に維持される。
【0040】
図4は、本発明の装置400のいくつかの部品の詳細な実施例を示す。図4において、燃料は充填バルブ428を経由してタンク426に供給され、圧縮された液体燃料はウィック438によって使用のために引き抜くことができる。図5の実施例において、ガス状燃料の流れは圧縮された発泡体流れ制限器540によって制限され、バルブ・オリフィス542を経由してのみ放出することができる。ガスの動きを抑制する単一の弾性ストッパ544が存在する。全てのガス流れ調節のために単一のストッパ544を使用することは、システムの単純さと信頼性を顕著に高める。また、本明細書において、ストッパ544は流量が可変のバルブ544とも呼ばれる。さらに含まれ得るものとしては、ブタンの流れを温度で調節し、極めて少量のガス流を分配して触媒の一部をその消火温度以上に保ち、使用者に対して装置500のオンオフを可能にする、単純ではあるが独立した手段がある。流量が可変のバルブはこれらの3つの必要性の全てを単一バルブによる操作で可能にする。
【0041】
ストッパ544は電気的に絶縁された部品546で終端する固体ジェット組み立て体に接続することができる。ジェット組み立て体は通常比較的低いバネ定数のバイアス・スプリングによってガスがバルブ・オリフィス542を出てジェット組み立て体に入る位置に保持される。ガスは滑りシール550によってジェット組み立て体に入ることだけに限定される。代りに、可撓性ダイアフラムを用いることができる。使用者は起動スライダを滑らせることによってこの通常のガスの流れを阻止することができるので、ストッパ544がバルブ・オリフィス542を封止するようにジェット組み立て体は下方に保持され、これは装置500のオフ状態である。使用者が起動スライダをオンの位置に移動させることによって通常のガス流れ状態を可能にするとき、圧電点火器は押し込まれて、ジェット・ローゼット552とオーブン・ヒータ522との間にスパークが発生し、それによって流れるガスに着火する。オーブン・ヒータ522がその運転温度に到達し始めると、一連の交互に積み重ねられたバイメタルのディスク532は形状を変えて(平坦からドーム状に転移する)プッシュロッド部品534に作用し、これによりジェット組み立て体が押圧されてストッパ544がガスの流れを制限または停止する。
【0042】
バイメタルのディスクの設計を用いることにより、本発明の装置は、単純にディスクのバックストップとバルブ・シートとの間の距離を変化させるだけで特定の温度調節範囲に微調整することができる。図4及び図5において、オーブン・ヒータ部品422、522を装置400、500のプラスチック本体420、520の中にねじ込むことによって、オーブンに嵌合する工具を用いてオーブン部品422、522を外部にねじるだけで運転温度を変更することができる。また、オーブン424は使用者によって手動で動くように設計することもできる。また、部品をねじるためにオーブン422上に造作を組み込むこともできる。
【0043】
図5において、プッシュロッド部品534は複数の機能を持つことができる。プッシュロッド534はバイメタルのディスク532の長手方向の動きをジェット組み立て体に伝える働きをすることができ、これによりその動きがバルブ・ストッパ544に伝えられる。また、プッシュロッド534は、触媒をプッシュロッド534の周りに巻きつけるなど、簡単な組み立て方で触媒を保持することができる。プッシュロッド534はジェット・ローゼット552と触媒との間に固定された空間を定めるので、初期の燃焼が容易に起きる。一実施例において、プッシュロッド534は2つの平坦で円形表面を備える略ダンベル状の形状を対向端部に備え、これは頂部でバイメタルのディスク532に接触し、底部で絶縁部品546に接触するのに用いられる。プッシュロッド534の下方端部は大きな切り欠きを有し、ガス流が通過し、初期燃焼が起きるのを可能にする。
【0044】
本発明の多くの装置は、温度が最も重要である(オーブンにおける)領域近くに温度調節器(バイメタルのディスク)が配置される温度調節機構を用いる。関連技術は典型的に温度感知部品を流量バルブに配置したが、これは膨張する燃料ガスの冷たい温度の影響を容易に受け、揮発チャンバとの緊密な接触が少なくなる。関連装置および方法の実施例は米国特許出願11/485,168号、米国特許第4,819,665号、米国特許第4,793,365号、米国特許第5,027,836号、PCT出願WO2006/082571号に記載される。本発明の装置の調節機構はオーブンの簡単にねじることによって特定温度に微調整することができる。
【0045】
図4図5の例示的装置において、空気は入口孔454、554を経由してジェット組み立て体に入り、ベンチュリ556でブタン流路と交わる。排出ガスは出口孔458を通って出る。
【0046】
使用者は周囲の絶縁造作によって熱い内部要素に触れることが防止される。本発明の装置は使用者が装置の熱い部分に必然的に触れることを避けるための絶縁体を含むことができる。装置が可能な限り最善の効率で作動するように、より大きな断熱能力が好ましいが、使用者にとって重要な点は比較的冷たい表面温度を知覚することである。装置の温度に関する使用者の知覚に対処するために様々な戦略を用いることができる。装置は外部の使用に十分耐久性のある断熱材料を巻きつけることができる。この目的のための材料は低い熱伝導度と低い熱容量(比熱)を有する。これらの特性を組み合わせることで使用者の指にはほとんど熱が伝わらなくなる。低い熱伝導度および容量を有する材料の例に、いくつかのポリマーとセラミックがある。別の戦略は使用者がより高い温度領域に直接触れないように隔離造作を用いることである。これは使用者の指と装置の接触面積を最小にして知覚される熱をさらに低くする。隔離造作の熱伝導度と比熱は可能な限り低くすべきである。
【0047】
本発明の装置のヒータは伝導性ケースと触媒とを含むことができ、ケースは互いに熔接または圧接によって形成された1つ以上の材料とすることができる。ヒータ内の触媒は燃料の効率的な無炎燃焼を提供するように選択することができる。いくつかの場合に、使用者に可視の手がかりを提供するために、ヒータが加熱しているとき、触媒またはヒータは赤などの色を放射して装置が起動中であることを示すことができる。
【0048】
いくつかの場合に、ヒータは側部孔を経由して周囲の環境に直接排気することができる。しかし、図1に示すように、本発明の装置100はヒータ組み立て体122の周りに一連の小さな孔158を組み込むことが好ましく、これは触媒化されたガスからオーブン124へより良好に熱を伝導する。また、図6に示すように、プラスチック本体620の排気孔662はヒータ排気孔の上に配置されるので、排出されるガスはヒータ本体に沿って通過しなければならず、その熱をさらに多く交換し、装置600の効率を改善する。排気孔を互い違いにすると共に、2つのバリア(ヒータ壁および本体壁)を使用することは、風抵抗を改善する追加の利点(例えば、周囲の風はガスの内部の流れを妨害しにくく、または触媒をその消火点まで冷却しにくい)を有する。排気路の特定の幾何形状は、触媒活性を開始させるために必要なガスの初期燃焼を阻害することなく、これらの利点を可能にする。ガスは、初期のガスの発火を自己消火させ得るゆがんだ迂回なしに、連続的に拡大する排気領域を通って滑らかに流れる。
【0049】
燃焼触媒の分野において、消火温度はしばしば触媒が燃料と酸化剤の発熱反応を触媒作用するために維持しなければならない最低温度を説明するために用いられる。反応が一緒に停止するのを防止するには、触媒の一部分だけはこの温度に留まる必要がある。本発明の装置のヒータの目標運転温度はほとんどの触媒の消火温度に近く、触媒を維持するのは困難である。ヒータの温度の目標運転は180℃とすることができる。本発明の装置に使用される触媒の種類の例には、白金、パラジウム、およびロジウムが含まれるが、これに限定されない。本発明に用いるための触媒の消火温度は約100以上200℃以下とすることができる。
【0050】
消火温度に比べてヒータのわずかな温度差に対処するために、少量のガス流を触媒上に流すことができ、および/または触媒を風などの外部要因から遮蔽することができる。本発明の装置は保護された排気路を含むことができ、排気が直接外部空気に排出されず、代わりに回旋状の通路に沿って移動して、その結果触媒が風によって消えにくくなる。
【0051】
本発明の装置の信頼性の問題は、触媒の運転を装置の低い目標温度に維持することである。ブタンの燃焼間隔のサイクル・タイムはしばしば触媒を冷却させて温度をあまりにも低くし、膨張ブタンの急速な噴出はブタンの温度が低温になるため実際に触媒を消火する働きをするので、不連続的なオン/オフ・バルブだけではこの問題の解決は難しい。本発明の装置に組み込むことのできる簡単な解決策は、調節中の流れを完全に閉じる直前で装置がブタンの少量の流れを得ることができるように、バルブ・シート表面を僅かに粗化すること、または粗いストッパ表面を用いることである。これは運転においてニードル・バルブと類似しているが、実施ははるかに安価で容易である。また、燃料の流れを調節するためにニードル・バルブを本発明の装置に用いることができる。いくつかの先行技術は調節間隔の間に消火温度を維持できるように熱質量を用いる。ガスの流れが調節間隔の間に回復すると、熱質量に接触する領域だけが最初にガスの触媒作用を行い、妥当な量の未使用の燃料を排出する。バルブ・シートがアナログ・バルブの働きをし、装置の調節間隔と強度を小さくすることができるので、本発明の装置はそのような熱質量を必要としない。本発明の装置は触媒を消火温度以上に保つ、言い換えれば、触媒を消さないために必要なブタンを少量流すことができる。
【0052】
図3に示すように、本発明の装置300は装置300の室炉324内に挿入することのできるカートリッジ370内に収容された材料のエアロゾル化に用いることができる。点火器のスパークによって(ガスの流れの開始直後)ガスが点火し、熱はヒータ組み立て体322全体への伝導を開始する。熱は伝導、対流、および/または放射によってカートリッジ370に伝わる。カートリッジ370は、熱伝導のための表面接触を最大にするように室炉324を充填するための形状とすることができる。カートリッジ370が加熱されると蒸気がカートリッジ370内およびそのすぐ上の空間に発生する。使用者が装置300を吸い込むと、新鮮な空気が空気入口から入り、蒸気と混合し、混合物は吸入通路を経由して使用者に送達される。空気入口または複数の入口はカートリッジ370から蒸気の引き抜きを改善するために下方に向けることができる。また、空気入口はカートリッジ370の上でマウスピース310と斜めに、またはケース自体の横に向けることができる。空気入口または複数の入口は、周囲空気を室炉(チャンバ)324の中に入れて、運転温度に影響を与えないで蒸気と攪拌する直径と方向を有することができる。また、空気入口孔は、流入して室炉424で発生した蒸気と混合する周囲空気の速度を、設定速度または使用者の選択する速度のいずれかに調節することができる。例えば、装置300に入る空気の速度は使用者にあたかも煙が紙巻きたばこを通って吸い込まれるような知覚を与えることができる。カートリッジ370が用いられると、装置300は停止することができ、カートリッジ370は装置300の室炉324を開くことによって取り外すことができる。カートリッジ370は手またはカートリッジ370を迅速かつ容易に取り外すことのできる機構によって取り外すことができる。この機構は、装置300の他の部品が移動または取り外されるように、カートリッジ370を射出するピンまたは滑り部品の使用を含むことができる。また、取り外し機構は外部物体の導入を含むこともできる。
【0053】
図7に示される装置は装置700の本体720に接続されたマウスピース710を組み込むことができる。マウスピース710は蝶番式部品とすることができる。また、マウスピース710はそれを装置本体720上に閉じたときしっかりその場所に固定されるように作ることもできる。装置700は本明細書に述べるように本発明のカートリッジ770と一緒に用いることが意図される。カートリッジ770は本発明の装置700の室炉724の中に挿入することができる。図7に示すように、マウスピース710を取り外し、または蝶番を開いて室炉724にアクセスすることができ、エアロゾル化される材料を収容しているカートリッジ770を挿入することができる。また、装置700のマウスピース710は取り外し可能、または取り外して1回使用の構成にすることができる。このようにして、複数の使用者が同じ装置700を使用することができるが、交換可能なマウスピース710を有する。またはマウスピース710が汚れた場合、他のマウスピース710と容易に交換でき、装置700全体を廃棄することが回避できる。装置700が蝶番式マウスピース710などのように装置の本体に接続されたマウスピース710を組み込むと、装置700は使用者の片手で操作することができる。
【0054】
マウスピースは、セラミック、ガラス、またはポリイミド熱可塑性樹脂やポリエーテルイミド(PEI)樹脂(商品名Ultem(登録商標))などの様々な高温プラスチックなど、高温および食品安全性材料から作ることができる。設計は高温材料の使用によって単純化されるが、過剰の熱が使用者、例えば使用者の唇に到達するのを防止する絶縁部品を加えて、標準的なプラスチックまたは木材も使用することができる。さらに、使用者の口での温度が熱源に近いマウスピースの端部よりも実質的に低くなるように、マウスピースの長さを伸ばすことができる。
【0055】
図7の実施例など、本発明の装置700のマウスピース710は、装置700と一緒に使用するための材料を収容している封止されたカートリッジを穿孔するための穿孔器を含むことができる。例えば、蝶番式マウスピース710を開き、装置700の中にカートリッジ700を挿入し、次いでマウスピース710を閉じて装置710と一緒に使用するためにカートリッジ770を穿孔することができる。穿孔器712は当業者であれば明らかな任意の物体とすることができる。穿孔器712はマウスピース710の中に成型され、なおかつ小さな力が加えられるとカートリッジ770を穿孔するための点または端部714で終端する小さな突起712であるのが好ましい。
【0056】
いくつかの関連技術の装置は点火に両手を必要とし、使用者は扱いにくさを経験する。好ましいことに、本発明の装置を用いる点火方法は片手点火を可能にする。図8A図8Bに示すように、使用者は装置800上のボタン802を押してそれを起動し、ボタン802を再び押してそれを停止することができる。他の実施形態において、使用者は材料の紐を装置800のマウスピース端部810に向かって滑らせてそれを起動し、次いで充填ポート(充填口)に向かって紐を滑り戻してそれを停止することができる。当業者であれば明らかなように、本発明の装置にスイッチなどの他の部品を組み込むことができる。使用者が過度の力を加えないで点火器を駆動するために、機械的利点が使用者に提供される。機械的利点の例には、レバー、4バーリンク、および当業者であれば明らかであろう他の装置が含まれるが、これに限定されない。
【0057】
また、本発明の装置は追加のユーザーに優しい利点を提供することもできる。例えば、バイメタル物体からなる温度調節手段は、装置を薄く小型化し、したがって魅力的な形状にすることが可能になる。断熱方法は使用者が高熱で刺激されることを予防する。簡単なオン/オフ機構により使用者は片手を用いて使用操作を開始および終了することができる。
【0058】
II カートリッジ
図9は、製品970を蒸発することのできる装置と一緒に使用するための湿潤した状態の揮発性製品972(本明細書において、しばしば高粘度揮発性材料、液状揮発性材料、湿潤した状態の喫煙可能な材料、流体喫煙可能材料、または湿潤した状態の揮発性の内容物とも呼ばれる)を収容することのできるカートリッジ970を示す。図において、カートリッジ970は蓋976で封止されたケース974を収容している。この実施例において、ケース974は蓋976をケース974に接着するためのフランジ978を含む。カートリッジ970のケース974、またはカートリッジ970全体は、金属、堅いプラスチック、可撓性プラスチック、紙、ペーパーボード、カードボード、およびワックス紙を含むがこれに限定されない様々な材料から作ることができる。カートリッジ970のケース974は多くの場合典型的に食品安全性材料を含み、カートリッジ970は人による物質の吸入のための装置と一緒に用いられる。いくつかの食品安全性材料は、アルミニウム、ステンレススチール、ポリエチレンテレフタラート(PET)、非晶質ポリエチレンテレフタラート(APET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、および多くの紙製品を含む。特に材料が紙であるいくつかの場合において、ケース974は、湿潤した状態の揮発性の内容物972の乾燥防止と、湿潤した状態の揮発性の内容物972の保護の両方のために材料または食品安全性材料で裏打ちをすることができる。
【0059】
カートリッジは、本発明の装置の室炉の中への挿入が容易な形状に形成され、熱伝導および蒸発を改善するために室炉の空洞の中にぴったり適合するのが好ましい。カートリッジは多量の有害なガスを生成しないように工程によって形成および梱包することができる。
【0060】
カートリッジのケースは、例えばヒートシール可能な蓋フィルムで蓋をして、完全に密閉された気密性カートリッジを作ることができる。本発明の封止されたカートリッジは内容物の新鮮さを保ち、出荷中または使用者による取り扱いの中でカートリッジ内の材料がこぼれるのを防止する利点を有することができる。
【0061】
カートリッジの蓋は、様々な材料から作ることができる。典型的に、蓋は食品安全性材料を含む。湿潤した状態の揮発性の内容物が本発明のカートリッジの中に挿入された後、蓋をカートリッジ上に封止することができる。カートリッジのケース上に蓋を封止する多くの方法は当業者であれば周知である。フランジを含むカートリッジのケース上に蓋を封止する方法の一例はヒートシーリングである。カートリッジの蓋は少なくとも約400°F(204℃)まで食品衛生上安全であると考えられるのが好ましい。蓋は、従来のオーブンで調理される食品に使用するための市場で入手可能なフィルムとすることができ、しばしば二重オーブン可能(マイクロウェーブおよび従来のオーブンの使用)と呼ばれる。二重オーブン可能なフィルは典型的にPET(ポリエチレンテレフタラート)ベース層およびAPET(非晶質ポリエチレンテレフタラート)ヒートシーリング層からなる。それらの蓋用フィルムは容易に金属化することができ、または好ましくはアルミニウムで予め箔化し、湿度、酸素、および他のガスに対してフィルムのバリア性能を改善することができる。金属化されたフィルムは当業者であれば周知の通常の変換工程によって製造することができる。
【0062】
説明のため、図10はPETベース層1080とAPETヒートシーリング層1082を有する基本的なヒートシール可能なフィルム1076を示す。図11は類似のPETベース層1180およびAPETヒートシーリング層1182を有するが、追加の金属層1184および金属接着層1186も有する複合フィルム1176を示す。両方の場合において、APETヒートシーリング層1182は本発明のカートリッジのケースのフランジに接触するものである。
【0063】
本発明のカートリッジの材料およびケースは充填材料の新鮮さを保つ働きをし、カートリッジの貯蔵寿命を増加することができる。また、金属化されたカートリッジ、蓋、及びケースは、カートリッジの視覚的な魅力および知覚的な価値を高める。また、カートリッジの材料は商標および香りの表示などの製品情報の印刷および視認性を高めることができる。
【0064】
湿潤した状態の揮発性製品を収容している本発明のカートリッジ1270は、図12の例示的カートリッジ1270で示すように、カートリッジ1270の中に孔または排気口1288を有することができる。これらの孔1288はカートリッジ1270内の内容物が環境にアクセスすることを可能にする。いくつかの種類の内容物は環境へのアクセスの利点を必要としまたは見出すことができる。
【0065】
また、図12の例示的カートリッジ1270は、カートリッジ1270の内容物を蒸発させることのできる装置の中に置かれたとき、穿孔または開口できる材料から構成することができる。例えば、カートリッジ1270がある温度に加熱される場合、内容物が蒸発し、孔または複数の孔、または装置によって形成された開口部1288は加熱されたカートリッジ1270から蒸気内容物が排出することを可能にする。異なる方法では、カートリッジ1270は、カートリッジ1270を装置内に挿入する直前に開くことのできる蓋またはシール1276を含むことができる。
【0066】
カートリッジの一部は図13Aのものとすることができ、2つの部分1390、1392を有するカートリッジ1370は互いに固定することができ、または2つの部分1390、1392を互いに封止するための機構を有する。図13Bは互いに固定されたカートリッジ1370を示し、各部分は、カートリッジ1370が加熱されたときカートリッジ1370の内容物からの蒸気を放出するための孔または排気口1388を含む。
【0067】
多くの場合、本発明のカートリッジは使い捨てで、簡単に処分できることを意図している。しかし、2つの部分を互いに封止する方法を有するものなど、いくつかのカートリッジの種類は、再利用可能なカートリッジとして複数回使用することができよう。
【0068】
カートリッジは使い捨ての湿潤した状態の揮発性製品を収容して最終使用者に提供または販売することができる。カートリッジ内に収容される製品の種類は、カートリッジ上に押印または書き込むことができ、またはカートリッジの色、サイズ、または形状によって表すことができる。しかし、カートリッジは最終使用で湿潤した状態の揮発性製品を充填することができる。
【0069】
最終消費者による使用を意図して、本発明の封止されたカートリッジは本発明の装置の室炉の中に挿入することができる。次いで、装置のマウスピースを閉じた位置に戻し、その点でカートリッジの頂部のフィルムを穿孔することができる。加熱工程によって発生した蒸気はカートリッジを出ることができ、マウスピースを経由して使用者が吸入することができる。
【0070】
III エアロゾル化された材料
当業者であれば明らかなように、エアロゾル化して使用者によって吸入することのできる任意の材料を本発明の装置またはカートリッジの中に組み込むことができる。材料が、呼吸器管の中の触覚としての応答という点で、または吸入された材料の吐き出しに関する可視のフィードバックという点で、経験を使用者に与えることは特に興味深い。例えば、これに限定されないが、タバコ、天然または人工香料、コーヒー粉またはコーヒー豆、ミント、ローマカミツレ、レモン、蜂蜜、茶葉、ココア、および他の植物に基づく他のタバコではない代替物を含むものなど多くの材料を本発明と一緒に用いることが考えられる。また、本発明の装置またはカートリッジは、医薬品化合物または合成化合物を医薬用または娯楽用に両立して使用できることが意図されている。比較的低い温度で有害な劣化生成物なしに蒸発(または揮発)できるそれらの任意の化合物は、本発明のカートリッジまたは装置と一緒に使用するのに適している。化合物の例には、メントール、カフェイン、タウリン、およびニコチンが含まれるがこれに限定されない。
【0071】
植物に含まれる活性成分は異なる温度で蒸発する。装置は例えば、特定の製品を蒸発させる目的で単一の安定な温度を確立するように較正することができる。また、調節手段を用いて様々な温度設定を選択することができる。使用者は使用するカートリッジの種類に基づいてその設定を選択するであろう。また、調節手段はバルブの流量を変化させることなどによって望ましい温度を機械的に得ることができ、または電気機械的バルブおよび中間のマイクロ調節手段などによって電気的に得ることができる。例えば、本発明の装置の運転温度を変更するには、室炉をバイメタルのディスクなどの温度調節手段に対して動かすことができる。
【0072】
ここで、タバコまたはタバコ材料は娯楽または医療用途のために蒸発することのできる天然および合成材料の任意の組み合わせであると定義される。本発明の一実施形態において、カートリッジは硬化されたタバコ、グリセリンおよび香料を用いて調製することができる。タバコ製品製造技術の当業者は、紙巻きたばこ、シガー等に用いられるこれらの物または他の成分を熟知している。カートリッジはタバコを細片(例えば、2mm未満、好ましくは1mm未満)に砕き、他の成分を加え、均一性が得られるまで混合することによって製造することができる。他の実施形態において、カートリッジは、充填材料を均一なペースト状(例えば、1mm未満の粒子サイズ)に加工することによって調製することができ、これは例えば、オーガフィラー、蠕動ポンプ、またはピストンポンプの使用によるカートリッジの充填工程を容易にする。
【0073】
本発明の装置と一緒に使用する材料または本発明のカートリッジ内に収容される材料は少なくとも1つの蒸気を形成する媒体および使用者の呼吸器管の中に触覚の応答を提供するための媒体を含むことが好ましい。装置に挿入された材料からのエアロゾル化された製品は蒸気相ガス、ならびに蒸気相から凝縮してガス/空気混合物の中に懸濁して残る小さな液滴の組み合わせとすることができる(後者は吸入された物質の可視部分をなす)。
【0074】
プロピレングリコール(PG)、グリセリン、または両方の組み合わせは蒸気を形成する媒体として用いることができる。他の蒸気を形成する媒体を本発明のカートリッジおよび装置と一緒に用いることができる。蒸気を形成する媒体は、加熱されるとき、煙状蒸気などの視覚的蒸気を生成する働きをする。この蒸気は吸入の前および媒体の吐き出しの間の両方で可視化することができる。PGはグリセリン単独に比べていくつかの利点を有するが、それは同等の温度ではるかに高い蒸気圧を呈し、装置を低い温度で運転することを可能にするためである。運転温度の低下はエネルギーを節約し、このシステムを用いる健康上の利益を潜在的にさらに向上させることができる。
【0075】
いくつかの場合において、使用者によって吸入されるPGから得られる蒸気は部分的に呼吸器管の中に吸収されることができる。これが起きる場合、使用者は主として空気を吐き出しているかのように見える。これは、喫煙の場合に使用者が典型的に自らが吐き出すときに排出された煙を見て楽しむことができるという点で、従来の喫煙経験とは異なる。グリセリンの加熱によって作られた視覚的蒸気は排気の際に見ることができるため、本発明の充填材料のいくつかの調製はグリセリンとPGの両方の組み合わせを含むことができる。これらの実施形態において、PGは使用者が吸入ならびに呼吸器管の中の触覚の応答の前に見て/経験することのできる高密度の可視の蒸気を可能にし、追加のグリセリンは排気の際に増加した量の蒸気を見るまたは経験することを可能にする。
【0076】
本発明の装置またはカートリッジに使用するための材料を製造する一方法は、硬化したタバコ葉を他の成分と低温で混合し、次いで混合物を室温で長時間、1日から3週間の長さまで(使用される特定の処方および香りによる)組み込みまたはマリネにすることである。次いで、材料は直径1~2mmの粒子を有する均一な密度に砕くことで加工でき、カートリッジまたは直接装置の中に挿入することができる。代わりに、本明細書に説明される従来のポンプ装置における取り扱いを向上させるために、材料はさらに均一なペースト状に加工することができる。
【0077】
材料をカートリッジの中に充填する例示的方法には、オーガフィラーを用いる方法およびピストンポンプ法が含まれていた。これらは共に食品および医薬品製品のための梱包産業に用いられた充填工程である。いずれの方法も繰り返し制御された容積(例えば、約0.25立方センチメートル)の充填材料をケースに装填することを可能にする。次いで、充填されたケースはヒートシール可能な蓋フィルムを用いて蓋をすることができる。充填およびシール作業は食品および医薬品梱包分野の当業者に知られた割送り装置の中で組み合わせることができる。
【0078】
IV 使用
装置は使用者が要求する喫煙の望ましい多くの効果を提供することによって喫煙を模倣する。本発明の装置および/またはカートリッジの使用方法の実施例は、図14に示される。本明細書に述べる蒸気を形成する媒体は、タバコ材料と混合し、直接または本発明のカートリッジを用いて本発明の装置1400の中に挿入することができる。タバコ材料は使用者にニコチンなどの物質1494の吸入を提供するが、タバコ材料の燃焼に伴う多くのホフマンアナライト(下記を参照)などの多くのタール型物質は提供しない。本発明の装置1400は、装置1400のマウスピースを使用者10の口12に接触させることによって、紙巻きたばこまたは他の喫煙具に対し同じように使用することができる。しかし、煙または煙の感覚なしに、使用者はこの経験に満足することはできない。タバコ材料の吸入に対する触覚の応答を提供するために、呼吸器管14の中に吸収することのできるプロピレングリコールなどの蒸気を形成する媒体1494を加えることができる。
【0079】
また、タバコを喫煙するとき、煙は使用者に視覚的な補助および/または視覚的な認識を提供することができる。類似の視覚的な補助を提供するために、蒸気を形成する媒体はグリセリンなどの物質を含むことができ、吸入前および吸入中、ならびに排出の間に見ることができる。図15に示した例示的使用方法において、使用者10は、本発明の装置1500から、使用者10のホフマンアナライト摂取を少なくとも70%低減して吸入されるタバコ物質を受け取った。物質の摂取後に、使用者は口12を通して蒸気を形成する媒体からの視覚的蒸気1596を吐き出すことができる。視覚的蒸気1596は喫煙の行為における吐き出された煙のそれと同じ視覚的補助を提供することができる。
【0080】
V ホフマンアナライト
紙巻きたばこの煙は数千の化学成分の複雑な混合物である。これらの多くは喫煙に関係する疾患と結びついている。ホフマンアナライトの表は、紙巻きたばこの煙に見出されるさらに有害な化合物の標準的な基準であり、主要な煙に存在する約44種の異なるアナライトが認められる。それは生化学者でタバコの発癌現象の先導的権威者であるディートリッヒ・ホフマンに敬意を表して名づけられている。この表は喫煙の健康危険性に通常伴う化学物質を含む。これらのアナライトおよび化学物質は、例えば、アンモニア、アミノナフタレン、ベンゾピレン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、シアン化水素、酸化窒素、タバコ特有のニトロソアミン(TSNA)、ピリジン、キノリン、ハイドロキノン、フェノール、クレゾール、タール、ニコチン、一酸化炭素、1,3-ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、ベンゼン、トルエン、スチレン、およびその他多くを含む。喫煙具からの主要煙の中で、いくつかのホフマンアナライトは望ましくないと判断されている。このように、ホフマンアナライトの低減について広範囲の研究が行われてきた。また、ホフマンアナライトは発癌性があり、喫煙または喫煙模倣の装置が望ましい。
【0081】
本発明の装置を用いて、材料を燃焼させることなくタバコ材料をエアロゾル化することができる。タバコをエアロゾル化することによって、多くの望ましくない化学物質およびホフマンアナライトが使用者によって吸入されない。例えば、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約70%以上低減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約50%以上低減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約60%以上低減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約70%以上低減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約80%以上低減することができる。いくつかの実施形態において、本発明の装置はホフマンアナライトの吸入を約90%以上低減することができる。
【0082】
VI エームス試験
細菌の復帰突然変異試験は元来エームスらによって開発された。エームス試験はヒトに発癌現象を招く化合物の予測として働く。方法は広く適用され、FDAはそれを新しい食品添加物および薬物に対するより総合的な研究の一部として組み込んでいる。同じ試験はタバコ製品およびタバコの煙の毒性研究に広く用いられてきた。エームス試験は化学化合物の突然変異誘発性の可能性を評価する生化学的試験である。癌はしばしばDNA損傷に関連するので、試験は化合物の発癌可能性を予測する迅速な試験としても働く。これに比べて、齧歯動物に行われた発癌性の標準的な試験は完了まで数年を要し、高価である。エームス試験は、ヒスチジン合成に関与する遺伝子における突然変異を行うネズミチフス菌のいくつかの菌株を用いるので、それらはヒスチジンの成長を必要とする。試験された変数は、ヒスチジンのない媒体上で成長に対する復帰突然変異を誘起する突然変異可能性である。試験菌株はヒスチジン合成に要する遺伝子の中にフレームシフトと点突然変異の両方を有するように特別に構成され、そのため異なる機構を経由して行う突然変異の検出が可能になる。いくつかの化合物は完全に特殊であり、たった1つまたは2つの菌株の中に復帰突然変異を誘起する。また、試験菌株はリポポリサッカライド合成の役割をもつ遺伝子中の突然変異を行い、細菌の細胞壁をより浸透性にし、除去修復システムにおいて試験をさらに敏感にする。ベンゾピレンなどのいくつかの化合物はそれ自体突然変異誘発性ではないが、それらの代謝生成物は突然変異誘発性があるので、ラットの肝臓の抽出が代謝の効果を模擬するために加えられる。試験を実施するために、細菌は少量のヒスチジンと一緒に熟成プレート上に広げられる。成長媒体の中のこの少量のヒスチジンは、初期の期間中に細菌を成長させ突然変異を行う機会を有する。ヒスチジンがなくなると、ヒスチジンを生成する能力を得るように突然変異した細菌だけが生き残る。プレートは48時間培養される。物質の突然変異性は観察されるコロニーの数に比例する。
【0083】
下の実施例2に示したように、タバコ含有材料と一緒に使用するための本発明の装置は、多くの種類のタバコ喫煙に比べてエームス試験結果の顕著な改善を示すことができる。したがって、本発明の装置は、タバコの燃焼または煙に付随するいくつかの重要な発癌性成分を与えることなく、ニコチンなどのタバコの多くの物質を使用者に提供することができる。
【実施例0084】
紙巻きたばこの煙は数千の化学成分の複雑な混合物である。これらの多くは喫煙に関係する疾患に結びついていた。ホフマンアナライト表は紙巻きたばこの煙に見出されるさらに有害な化合物の標準的な基準である。52種の目標化合物がホフマン表に基づいて選択されるであろう。本発明の装置によって生成された蒸気はこれらの目標化合物のレベルを顕著な量(70%以上の低減)低減することが期待される。
【0085】
本発明の試作装置および参照用の紙巻きたばこ(KY2R4F)の成分試験が実験室で実施される。両方の装置の種類からのサンプルは、現場の自動喫煙機械で、カナダの強度型(30秒ごとに55立方センチメートル(cc)の吸吐)の下で得られる。この方法はFTC型(60秒ごとに35ccの吸吐)よりも実際の喫煙状態に近似すると考えられる。アリスタは文献に基づいて目標化合物の分析について広範囲の記録を展開した。これらの記録は試験に用いられる。各アナライトグループについての収集および抽出方法を表1に纏める。
【0086】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0087】
本発明の装置と参考用の紙巻きたばこの両方について、各目標化合物に5回の繰り返し試験が行われる。2つの品目の間の平均値の差をパーセントとして求める。本発明の装置は参照用の紙巻きたばこに比べて約70%以上ホフマンアナライトのレベルを低減することが期待される。
【実施例0088】
細菌復帰突然変異試験、または「エームス試験」は人に発癌現象を招く化合物の予測として働く。この試験はタバコ製品およびタバコの煙の毒性研究に広く用いられてきた。本明細書に説明したこの研究の目的は、ネズミチフス菌のTA98菌株における突然変異誘発性について、エームス試験を用いて本発明の煙の濃縮物をスクリーニングすることであった。菌株TA98は、それがネズミチフス菌の中でも最も敏感な菌株であり、様々な突然変異を検出することができる理由から選択された。服用依存性の応答が検出される場合、煙の凝縮物はその菌株について突然変異の誘発性があると考えられる。
【0089】
試験施設:試験物品調製(すなわち、「喫煙」および抽出)、化学成分分析および遺伝子毒性はArista Laboratories,1941 Reymet Road,Richmond,VA.23237にて行った。
【0090】
試験物品の抽出の調製:自動回転喫煙機械(Borgwaldt RM-20CSR)に接続された本発明の装置を用いて、繰り返し毎に、以下のパラメータを用いて3つのカートリッジを「喫煙」した。(1)吸吐容量55ml、(2)吸吐期間30秒、およびISO標準に従う空気流。全粒子状物質(TPM)相を44mmのケンブリッジ・フィルタ・パッド上に収集し、ジメチルスルホキシド(DMSO)の中に抽出した。抽出に続いて直ちに、TPMサンプルを個々の茶色試験瓶に分別し、エームス試験の前に少なくとも-70℃以下で48時間以上貯蔵した。試験のために溶解され使用されると、TPM抽出物は再使用または再冷凍しなかった。
【0091】
突然変異試験(エームス試験):エームス試験は3つの独立した「喫煙」期間中に発生したTPM抽出物で行われた。試験はArista Standard Operating Procedure#TOX001に従って行われた。TPMサンプルは外因性代謝活性システム(S9)の追加により3回繰り返して試験した。各繰り返しサンプルについて、プレート当たり0以上2000μg以下のTPM粒子相の10個の濃縮物を濃縮物当たり最小3つのプレートで試験した。菌株特定の陽性対照試験(S9あり、なしで)および単一の濃縮物(すなわち100μg)のKY2R4F参照用の紙巻きたばこの濃縮物を同時に行った。試験はCanada Official Method 501、第2版、2004-11-01、Arista Standard Operating Procedure#TOX001に従って行った。エームス試験の結果は図16に示される。媒体および陽性対照物、KY2R4F、および各試験で菌株と培養条件に付属して同時に発生した自発的復帰突然変異は予期した研究所の制御限界内でありまたは研究監督者によって化学的に許容可能であると判断された。
【0092】
結果:図16に示すように、研究では、本発明の装置の「喫煙」によって発生した全粒子状物質(TPM)の服用依存性効果は見出せなかった。さらに、全てのTPMサンプルは対照試験のものの半分未満の復帰突然変異率を示した。対照的に、「1R4F」Kentucky参照用の紙巻きたばこ、通常のタバコの紙巻きたばこおよびフィルタ組成物の刊行されたデータはTA98試験菌株について正の傾斜の傾向を有した。D.W.Bombickら、“Chemical and Biological Studies of a New Cigarette that Primarily Heats Tobacco(「主としてタバコを加熱する新しい紙巻きたばこの化学的および生物学的研究、パート3、煙全体のインビトロ毒性」)、Food and Chemical Toxicology,36:183-190(1997)を参照されたい。
【0093】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態が示され、詳細に説明されたが、当業者であれば、実施形態が例示のためにのみ提供されたことは明らかである。本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更、および代替が当業者には想起されるであろう。本明細書に説明した本発明の実施形態の様々な代替が本発明の実施に用いることができることを理解すべきである。以下の請求項は本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびその等価の範囲内の方法と構造はそれによって包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発装置に使用するカートリッジであって、前記蒸発装置は挿入される前記カートリッジのために構成された室炉を含んでおり、前記カートリッジは、
フランジを有し、プロピレングリコール、グリセリンを有する揮発性材料、及びタバコの細片を有するタバコ材料を内包しているケースと、
前記フランジの上を封止する、複数の孔または排気口を含む蓋と、を備え、
前記複数の孔または排気口は、前記蒸発装置のヒータによって前記カートリッジ内の前記揮発性材料が目標温度に加熱されて発生するエアロゾルの排出を可能にするように構成されており、
前記プロピレングリコール及び前記グリセリンは、可視のエアロゾルを生成する量で存在している、蒸発装置。
【請求項2】
前記タバコの細片は2mm未満の直径である、請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項3】
前記目標温度は100℃から200℃である、請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項4】
前記蓋は、ヒートシール可能なフィルム又はアルミニウムを含む、請求項1に記載の蒸発装置。
【請求項5】
ヒータ及び室炉を有する本体と、
前記本体に接続され、前記室炉にアクセスできるように開かれるように構成されるマウスピースと、
前記室炉に挿入されるように構成されるカートリッジと、を備え、
前記カートリッジは、
フランジを有し、プロピレングリコール、グリセリンを有する揮発性材料、及びタバコの細片を有するタバコ材料を包含するケースであって、前記ヒータが、前記室炉内の前記カートリッジ内の前記揮発性材料を目標温度へと加熱するように構成されている、ケースと、
前記ケースの前記フランジの上を封止する蓋であって、前記カートリッジ内の前記揮発性材料が加熱されて発生するエアロゾルの前記カートリッジからの排出を可能にするように構成された複数の孔または排気口を含む蓋と、を備え、
前記プロピレングリコール及び前記グリセリンは、可視のエアロゾルを生成する量で存在している、エアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記タバコの細片は2mm未満の直径である、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記目標温度は100℃から200℃である、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記蓋は、ヒートシール可能なフィルム又はアルミニウムを含む、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記マウスピースは、前記室炉にアクセスできるように蝶番で開く、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。