IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 河北 正の特許一覧

<>
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図1
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図2
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図3
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図4
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図5
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図6
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図7
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図8
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図9
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図10
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図11
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図12
  • 特開-義歯とその取付けアタッチメント 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092101
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】義歯とその取付けアタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A61C 13/277 20060101AFI20220615BHJP
   A61C 13/007 20060101ALI20220615BHJP
   A61C 13/28 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A61C13/277
A61C13/007
A61C13/28
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204673
(22)【出願日】2020-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】512134761
【氏名又は名称】河北 正
(74)【代理人】
【識別番号】100106378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 宏一
(72)【発明者】
【氏名】河北 正
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159DD01
4C159FF03
4C159JJ01
4C159JJ20
(57)【要約】
【課題】義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与える義歯とその取付けアタッチメントを提供する。
【解決手段】義歯床の底面において支台歯収容用凹み部150が備わっており、かつ支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1及び第2のラッチ係合部110,120がそれぞれ備わり、アタッチメントは、支台歯30を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に第1及び第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1及び第2の係合力受け部210,220が形成された義歯係合用突出部200を有し、義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から第1及び第2の係合受け部にそれぞれ作用する第1及び第2のラッチ係合部の互いに略均等な弾性押圧力と、義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、義歯の支台歯に対する取付け状態を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ前記義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持することを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項2】
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面であって周方向対向する位置において係合凹み部として形成され、前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、それぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合するようになっており、かつ
義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力をそれぞれ作用させながら前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項3】
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部が前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合領域からなり、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力が、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項4】
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項5】
前記支台歯が前記残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯係合用突出部を請求項1乃至請求項4の何れかに記載の残根部に基づいて形成された支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯係合用突出部を請求項5に記載のインプラントに基づいて形成された支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯を取り外し可能に装着することができる請求項1乃至請求項4の何れかに記載の支台歯を形成するために残根部に被せる義歯係合用突出部。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯を取り外し可能に装着することができる請求項5に記載の支台歯を形成するためにインプラントに被せる義歯係合用突出部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、義歯とその取付けアタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近来の高齢化社会に伴い、長年虫歯を放置していると歯冠の部分の状態が悪化し、やがては歯冠が崩壊してしまうことが見られるようになっている。また、かなり前に虫歯を治療して金属冠(クラウン)を被せた後に長年経過して内部に発生した虫歯が徐々に進行してかなり悪化してしまう場合も同様である。
【0003】
このような状態に至ると、歯冠の部分を除去して歯根のみを残し、これを支台歯として従来から公知の入れ歯を装着することがとりあえずの対策として考えられる。
【0004】
しかしながら、このような入れ歯を装着する場合には、入れ歯を支持する支台歯の部分にクラスプ(鉤)を用いることが必須である。そのため、口を開けたときに金属のクラスプの金属部分が外から見えて例えば会話中に相手側から入れ歯を装着していることが一目瞭然で分かってしまうと共に、クラスプの金属部分が目立って審美的に好ましくない。
【0005】
一方、抜歯した状態を放置しておくと、食べ物を十分に咀嚼することができず、そのまま飲み込んで消化器官に負担を与えて健康を害してしまう。そのため、歯が抜けた部分をインプラントにより人工歯を取り付ける処置が近年広く行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6383957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インプラントの処置を行う場合は、当然のことながら抜歯した箇所ごとに1本ずつインプラントを植立させなければならない。そして、インプラントは、一本当たりのコストが非常にかかるため、抜け落ちた歯の本数が多くなった場合、それらの欠損部分の全てにインプラントを用いようとすると、トータルのコストがかなり嵩んでしまう。又、年齢と共に顎骨が委縮していくので(やせていくので)、インプラントを打ち込むのに適当な部位も年齢が高くなるにつれて限定される傾向にある。
【0008】
本発明の目的は、支台歯への着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ前記義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持することを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面であって周方向対向する位置において係合凹み部として形成され、前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合して義歯装着状態を維持するようになっており、かつ
義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力をそれぞれ作用させながら前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部が前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合領域からなり、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力が、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項2又は請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを特徴としている。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、前記支台歯が前記残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る義歯は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯係合用突出部を請求項1乃至請求項4の何れかに記載の残根部に基づいて形成された支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯である。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る義歯は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯係合用突出部を請求項5に記載のインプラントに基づいて形成された支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯である。
【0016】
また、本発明の請求項8に係る義歯係合用突出部は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯を取り外し可能に装着することができる請求項1乃至請求項4の何れかに記載の支台歯を形成するために残根部に被せる義歯係合用突出部である。
【0017】
また、本発明の請求項9に係る義歯係合用突出部は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯を取り外し可能に装着することができる請求項5に記載の支台歯を形成するためにインプラントに被せる義歯係合用突出部である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態において義歯を取り付けアタッチメントに装着した状態を一部断面で示す概略側面図である。
図2】第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部を備えると共に支台歯収容用凹み部を備え、義歯の義歯床と一体化させて義歯床内に備える弾性押圧ユニットを一部断面で示す概略側面図(図2(a))、図2(a)に示した弾性押圧ユニットを下面から見た概略底面図(図2(b))、義歯床の底面から支台歯収容用凹み部のみを示した概略底面図(図2(c))、図2(c)において義歯床に収納された弾性押圧ユニットの収容配置状態を示す概略底面図(図2(d)、図2(d)において収容される弾性押圧ユニットの収容位置と支台歯収容用凹み部を示す概略端面図(図2(e))、及び人工歯を備えた義歯床に弾性押圧ユニットを収容すると共に支台歯収容用凹み部を示す概略配置図(図2(f))である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る義歯を支台歯に取り付ける前の状態及び義歯を支台歯から取り外した後の状態を一部断面で示す概略側面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る義歯の支台歯への取り付け直前の状態及び義歯の支台歯からの取り外し直後の状態を一部断面で示す概略側面図である。
図5図1に示した状態から義歯装着者がある程度の咬合力で咬合して2つの球状体がそれぞれ義歯係合用突出部の2つの球状体係合凹み部から外れ、残根部に向かって移動し始める状態及び咬合を終えて義歯が咬合を終えて義歯の支台歯の装着状態に戻る直前の状態を一部断面で示す概略側面図である。
図6図5の状態に対して義歯装着者が更に咬合して2つの球状体が義歯係合用突出部の係合凹み部より残根部に向かって更に移動すると共に、義歯床が歯肉に押し潰されて歯肉からの圧縮反発力で義歯床の沈下が停止した状態を一部断面で示す概略側面図である。
図7】本発明の第2の実施形態において義歯を取り付けアタッチメントに装着した状態を一部断面で示す概略側面図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る義歯の支台歯への取り付けを開始した状態及び義歯の支台歯からの取り外しを開始した状態を一部断面で示す概略側面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る義歯を支台歯に完全に取り付ける直前の状態及び義歯の支台歯からの取り外しを開始した直後の状態を一部断面で示す概略側面図である。
図10図7に示した状態から義歯装着者がある程度の咬合力で咬合して2つの球状体がそれぞれ義歯係合用突出部の2つの球状体係合溝部に沿って残根部に向かって移動し始めた状態を一部断面で示す概略側面図である。
図11図10の状態に対して義歯装着者が大きな咬合力で咬合して2つの球状体が義歯係合用突出部の2つの球状体係合溝部に沿って残根部に向かって更に移動すると共に、義歯床が歯肉に押し潰されて歯肉からの圧縮反発力で義歯床の沈下が停止した状態を一部断面で示す概略側面図である。
図12】本発明第1の変形例を一部断面で示す概略側面図である。
図13】本発明第2の変形例を一部断面で示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントの各実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを顎骨の下顎側の残根部に取り付ける形態に基づいて図面を作成し、これに従って説明を行う。
【0021】
そのため、図面や文章中の上方向や下方向、左右方向についてはこのような形態で実施を装着した態様に基づいて定義付ける。また、以下の文章中の説明や図面の描き方に関しては、あくまで本発明の属する範囲の一例を示したものに過ぎず、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば様々な形状や寸法、大きさ、材質を適宜変更可能である。
【0022】
また、図面の各構成要素間の配置関係や寸法関係、隙間の有無等については、発明の理解の容易化を図るために多少誇張すると共に実際とは異なる寸法関係で描いている。具体的には、例えば各図面中の歯肉の厚みについては、支台歯を構成する支台歯収容用凹み部や残根部に比べて発明の理解の容易化を図るために実際の寸法よりも誇張して描いている。同様に、歯根膜の厚さや残根部及び歯肉との相対的位置関係についても、発明の理解の容易化を図るため実際の寸法関係や位置関係と異なり概略的に示している。
【0023】
以上のことから、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを実際の歯科医療に適用する場合は、義歯装着者ごとの装着位置や装着部位、人工歯の本数によって好ましい形態に変えながら、本発明を様々な実際の歯科医療に合わせて変更していくことが当然であり、このような様々なバリエーションも本発明の範囲に含まれることを予め述べておく。また、図面において断面ハッチングについては説明の理解の容易化を図るために適宜省略して示している。
【0024】
また、各実施形態及びその変形例の各構成要素に関して、等価的な構成要素については多少の形状等の違いはあっても同一の符号を付して説明する。
【0025】
本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントは、少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントである。
【0026】
本発明においては、合わせて2本以上の人工歯となる小臼歯や大臼歯が義歯床の上部に備わっている。なお、本発明において義歯床に備わる小臼歯や大臼歯の種別や本数、配置形態については、本発明の作用を発揮し得る範囲内で様々な組み合わせが可能であり、義歯を装着する部位や残根部の周囲の欠損歯の状況に応じて適宜選択可能である。
【0027】
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態において義歯を取り付けアタッチメントに装着した状態を一部断面で示す概略側面図である。
【0028】
また、図2は、第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部を備えると共に支台歯収容用凹み部を備え、義歯の義歯床と一体化させて義歯床内に備える弾性押圧ユニットを一部断面で示す概略側面図(図2(a))、図2(a)に示した弾性押圧ユニットを下面から見た概略底面図(図2(b))、義歯床の底面から支台歯収容用凹み部のみを示した概略底面図(図2(c))、図2(c)において義歯床に収納された弾性押圧ユニットの収容配置状態を示す概略底面図(図2(d)、図2(d)において収容される弾性押圧ユニットの収容位置と支台歯収容用凹み部を示す概略端面図(図2(e))、及び人工歯を備えた義歯床に弾性押圧ユニットを収容すると共に支台歯収容用凹み部を示す概略配置図(図2(f))である。
【0029】
本発明の第1の実施形態は、少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントである。
【0030】
そして、義歯10は、義歯床100の歯肉90と接する底面側の長手方向所定位置に支台歯20を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部150が備わっており、かつ支台歯収容用凹み部150の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が備わっている。また、義歯床100の上部には大臼歯や小臼歯からなる人工歯101,102,103,・・・が備わっている。
【0031】
また、アタッチメントは、支台歯20を形成するために残根部21に取り付けられかつ義歯装着時に第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120にそれぞれ係合する第1の係合力受け部210と第2の係合力受け部220が形成された義歯係合用突出部200と、義歯係合用突出部200を残根部21に固定する固定部材250からなる。
【0032】
そして、残根部21に固定部材250を用いて義歯係合用突出部200を取り付けることで支台歯20を形成するようになっている。
【0033】
第1の実施形態が以上の構成を有することで、義歯10を支台歯20に装着した状態において、義歯係合用突出部200を挟んでこれに両側から係合力受け部210,220に作用する第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の互いに略均等な弾性押圧力と、義歯10の義歯床100が歯肉90に密着する際に生じる密着力によって義歯10の支台歯20に対する取付け状態を維持するようになっている。
【0034】
より詳細に説明すると、本発明の第1の実施形態特有の構成においては、第1の係合力受け部210と第2の係合力受け部220は、義歯係合用突出部200の周面においてそれぞれ周方向対向する位置においてラッチ係合凹み部として形成され、義歯装着者が義歯10を支台歯20に装着した際に、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が、第1の係合力受け部210と第2の係合力受け部220に嵌合して義歯装着状態を維持するようになっている。
【0035】
また、義歯装着者が咬合した際に、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が、第1の係合力受け部210と第2の係合力受け部220から外れて義歯係合用突出部200の周面上の残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力を作用させながら義歯係合用突出部200の周面上を残根部側に向かって更に移動可能となっている。
【0036】
このように、義歯係合用突出部200が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力を受け続けることで、義歯10を支持する一本の支台歯20を略均等な弾性押圧力で挟み続け、義歯10の支台歯20への装着状態を維持できるようになっている。
【0037】
そして、義歯10の義歯床全体が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力を受けるようになっている。また、義歯装着者が更に咬合して後述する2つの球状体が義歯係合用突出部200の係合力受け部210,220より残根部21に向かって更に移動すると共に、義歯床100が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力によって義歯床100の沈下が最終的に停止するようになっている。
【0038】
以下、本発明において重要な部分をなす第1の実施形態のラッチ係合部110,120の詳細構造について説明する。第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120は、中央部の底面に支台歯収容凹み部150が形成されかつ義歯床100と一体となって配置される係合ユニット130の内部であって支台歯係合凹み部内の内周面の凹み部長手方向所定位置に、その一方の端部同士を露出した状態で互いに対向して配置されている。なお、このような係合ユニット130の形態は、あくまで本発明において考えられる構成の一例に過ぎないことを付言しておく。
【0039】
第1及び第2のラッチ係合部110,120は、それぞれハウジングとしての第1及び第2の円筒体111,121と、第1及び第2の円筒体111,121の一端に取り受けられた円板型の第1及び第2のスプリング保持プレート112,122と、第1及び第2の円筒体111,121の内部に収容されかつ弾性圧縮力を発生させる第1及び第2のコイルバネ113,123と、第1及び第2のスプリング保持プレート112,122が突き当たる端部と反対側の端部に備わる第1及び第2の球状体114,124を有している。
【0040】
そして、第1及び第2の円筒体111,121の第1及び第2の球状体側端部の先端には、第1及び第2の球状体114,124の外形よりも先端に向かうに従って僅かに縮径して、第1及び第2の球状体飛び出しストッパーとしてのテーパー付き内側フランジ部111t,121tが形成されており、第1及び第2の球状体114,124の略半分が第1及び第2の円筒体111,121の端部から突出した状態で、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の円筒体111,121に保持されるようになっている。
【0041】
第1及び第2のコイルバネ113,123は、第1及び第2の球状体114,124を第1及び第2の円筒体111,121の端部のテーパー付き内側フランジ部111t,121tから全体の略半分程度近くまで、第1及び第2の円筒体111,121から突出させる弾性押圧力を発生させるように圧縮されて第1及び第2の円筒体111,121の内部に収容されている。
【0042】
即ち、第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力は、支台歯20の軸線方向に対して略直交する方向であって互いに向かい合う方向に略均等な大きさで作用するようになっている。
【0043】
なお、テーパー付き内側フランジ部111t,121tは、上述したように第1及び第2の円筒体111,121の第1及び第2の球状体側端部の先端に備わりフランジ内径が第1及び第2の球状体114,124の外形より僅かに小さくなっていることで、第1及び第2の球状体飛び出しストッパーとしての役目を果たしている。即ち、義歯10を支台歯20から外した状態において、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の円筒体111,121から飛び出すのを防止している。
【0044】
義歯係合用突出部200に形成された2つの第1及び第2の球状体係合凹み部210,220は、それぞれが義歯係合用突出部200の周方向に約180度隔てて、義歯係合用突出部200の長手方向先端部寄りに形成されている。
【0045】
具体的には、第1及び第2の球状体係合凹み部(係合力受け部)210,220は、義歯10を支台歯20に取り付けた際に、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の先端の第1及び第2の球状体114,124が義歯係合用突出部200を両側から挟む状態となるように形成されている。
【0046】
即ち、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の先端の第1及び第2の球状体114,124がそれぞれ入り込むような位置に凹み部として義歯係合用突出部200の外周面において各々形成されている。
【0047】
これを言い換えると、第1及び第2の球状体係合凹み部210,220は、義歯10を支台歯20に装着した際に義歯床100が唾液層Dを介して密着した際に、第1及び第2の球状体係合凹み部210,220に第1及び第2の球状体114,124が嵌合して、義歯10を支台歯20に装着し咬合前の状態を維持するのにちょうど良い位置となるように形成されている。
【0048】
そして、第1及び第2のコイルバネ113,123の弾性押圧力により、義歯係合用突出部200が支台歯収容用凹み部内に入り込む最初の段階で、義歯係合用突出部200の第1及び第2の球状体係合凹み部210,220が形成された部分よりも上側の周面に沿って第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の円筒体111,121の中に若干押し込められ、その後、義歯係合用突出部200が支台歯収容用凹み部150に入り込むに従って、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の球状体係合凹み部210,220に入り込むようになっている。
【0049】
また、本実施形態の場合、第1及び第2の球状体係合凹み部210,220は、義歯係合用突出部200の周面において段差をなさずに側面視で2つの斜辺をなす2つのテーパー面の組み合わせから形成されている。
【0050】
義歯係合用突出部先端側のテーパー部のテーパー角度α(図4参照)、即ち、義歯係合用突出部200の支台歯先端側軸線方向に対する角度αは、義歯10を支台歯20に取り付ける際に義歯係合用突出部200の先端部の周面に第1の弾性押圧力及び第2の弾性押圧力で押し付けられた際に第1及び第2のラッチ係合部110,120の第1及び第2の球状体114,124が、第1及び第2の凹み部内にそれぞれ入り込む際に過大な衝撃を受けることなく、かつ義歯10を支台歯20に取り付けた際に第1及び第2のラッチ係合部110,120の第1及び第2の球状体114,124がテーパー部211,221を乗り越えて第1及び第2の球状体係合凹み部210,220から外れない角度となっている。
【0051】
更に、第1及び第2の球状体係合凹み部210,220と第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の第1及び第2の球状体114,124とのそれぞれ係合を解除するためには、義歯装着者が義歯10を指で摘まんで意図的に引っ張らなければならないと義歯10が支台歯20から外れない角度となっている。
【0052】
第2のテーパー部212,222の角度β(図5参照)は、義歯装着者が咬合した際に、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が、第1の係合力受け部210と第2の係合力受け部220から外れて義歯係合用突出部200の周面上の残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120が、第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力を作用させながら義歯係合用突出部200の周面上を残根部側に向かって残根部21に更に移動可能となるのに適した角度となっている。
【0053】
なお、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120のコイルバネの弾性押圧力は、上述したように、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の球状体係合凹み部210,220にそれぞれ入り込んだ際においても、第1及び第2の球状体114,124を第1及び第2の球状体係合凹み部210,220に対して義歯10が支台歯20から不用意に外れないようにするのに十分な力で押し付けると共に、咬合中においては、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の凹み部から外れて義歯係合用突出部200の周面を残根部21に向かって移動する際においても第1及び第2の球状体114,124を義歯係合用突出部200の周面に対して所定の力で押圧し続けることができるような大きさに規定されている。
【0054】
これによって、義歯係合用突出部200が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても義歯10を支持する一本の支台歯20をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても義歯10の支台歯20への装着状態を維持するようになっている。
【0055】
このような構造を有することで、義歯装着者が義歯10を咬合した際に、これによって発生する咬合力を義歯10の義歯床全体が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としている。
【0056】
以下に、上述した第1の実施形態の義歯とその取り付けアタッチメントの取り付け及び取り外しの手順を図面に従って説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る義歯10を支台歯20に取り付ける前の状態及び義歯10を支台歯20から取り外した後の状態を一部断面で示す概略側面図である。義歯装着者は、最初に義歯10を指で摘まんで支台歯20に近づけることによって、図3に示すような状態に至る。
【0057】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る義歯10の支台歯20への取り付け直前の状態及び義歯10の支台歯20からの取り外し直後の状態を一部断面で示す概略側面図である。義歯装着者は、図3に示す状態に続いて義歯10の支台歯収容用凹み部150に支台歯20を挿入し始める。これによって、図4に示すような状態に至る。
【0058】
図1は、本発明の第1の実施形態において義歯10を支台歯20に装着した状態を一部断面で示す概略側面図である。義歯装着者が義歯10を歯肉90に向かって指で押すことで、第1の球状体114と第2の球状体124が、この押圧力によって第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120のコイルバネをそれぞれ縮めて(圧縮して)、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2のラッチ係合部内に少しだけ入り込む。
【0059】
即ち、第1の球状体114と第2の球状体124が、義歯係合用突出部200の周面に沿うように水平方向にそれぞれ僅かに引っ込むことで、図1に示す義歯装着状態に至る。この状態においては、第1及び第2のラッチ係合部110,120の先端の第1及び第2の球状体114,124が、義歯係合用突出部200の第1及び第2の球状体係合凹み部210,220にそれぞれ係合する。
【0060】
この係合状態においては、第1及び第2のラッチ係合部110,120のコイルバネの弾性押圧力によって、第1及び第2のラッチ係合部110,120が第1及び第2の球状体係合凹み部210,220から簡単に外れないように嵌合すると共に、義歯10の義歯床100の底面全体が唾液層Dを介して歯肉90にしっかりと密着し、義歯10の支台歯20への取り付け状態を維持する。
【0061】
図5は、図1に示した状態から義歯装着者がある程度の咬合力で咬合して2つの球状体114,124がそれぞれ義歯係合用突出部200の2つの球状体係合凹み部210,220から外れ、残根部21に向かって移動し始めた状態を一部断面で示す概略側面図である。図1の状態からある程度咬合することによって、咬合力が義歯10に加わり、義歯全体が歯肉90を押し付けるように移動すると共に、第1及び第2のラッチ係合部110,120の弾性押圧力によるラッチ係合状態が解除される。
【0062】
即ち、第1及び第2のラッチ係合部110,120の先端の各球状体114,124が、義歯係合用突出部200の第1及び第2の球状体係合凹み部210,220から外れ、義歯全体が歯肉90に向かって押し付けられるようになる。
【0063】
図6は、図5の状態に対して義歯装着者が更に咬合して2つの球状体が義歯係合用突出部200の球状体係合凹み部210,220より残根部21に向かって更に移動すると共に、義歯床100が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力によって義歯床100の沈下が停止した状態を一部断面で示す概略側面図である。
【0064】
義歯装着者が義歯10を更に強く噛むことによって、義歯全体が歯肉90に沈下していく。更に、図10から図11までの歯肉90の厚みの変化度合いから容易に理解できるように、義歯10の歯肉90への沈下度合いに応じて歯肉90の圧縮反発力が大きくなり、やがてはその反発力が咬合力と釣り合って義歯10の歯肉90に対する更なる沈下を停止させる。
【0065】
この状態においても、第1及び第2のラッチ係合部110,120が義歯係合用突出部200の周面においてそれぞれ円周方向に対向する位置に均等な弾性押圧力を作用させ続けることで、支台歯20に対してその軸線方向と直交する方向の力を相殺させる。
【0066】
これによって、2つの弾性押圧力同士が支台歯20に対してバランス良く作用し、支台歯20の倒れ方向に向かうモーメントを防止することができる。その結果、1本だけからなる支台歯20の残根部21と顎骨を結合する歯根膜80の繊維組織の破損を防ぎ、支台歯20を長持ちさせることができる。その結果、1本の支台歯20だけでも義歯10の装着を長期間に亘って可能とする。
【0067】
以上の義歯装着者による咬合動作を終えると、義歯10に咬合力が作用しなくなり、義歯10は支台歯20に対して上述した順番と逆の順番で図1に示す状態まで戻る。そして、義歯装着者は、食事が終わった後など必要に応じて義歯10を指で摘んで引っ張り、義歯10を支台歯20から取り外す。この場合も上述と逆の同様の連続動作によって義歯10を支台歯20から簡単に取り外すことができる。
【0068】
続いて、第2の実施形態特有の構成について説明する。第2の実施形態においては、義歯係合用突出部300の第1の係合力受け部310と第2の係合受け部320が義歯係合用突出部300の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合領域、即ち第1の球状体係合溝部310(第1の係合力受け部)と第2の球状体係合溝部320(第2の係合力受け部)から構成されている。
【0069】
そして、義歯装着者が義歯10を咬合した際に、その咬合状態に合わせて第1のラッチ係合部110から義歯係合用突出部300の第1の係合力受け部310に作用する第1の弾性押圧力と、第2のラッチ係合部120から義歯係合用突出部300の第2の係合力受け部320に作用する第2の弾性押圧力が、これら押圧力の作用する位置を第1の係合力受け部310と第2の係合力受け部320に沿って移動させつつ、義歯係合用突出部300が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても義歯10を支持する一本の支台歯30を略均等な弾性押圧力で挟み続けて義歯10の支台歯30への装着状態を維持するようになっている。
【0070】
このような構造を有することで、義歯装着者が義歯10を咬合した際に、これによって発生する咬合力を義歯10の義歯床全体が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としている。
【0071】
ここで、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120は、第1の実施形態と同等の構成のため、その記載を流用してその構成の詳細な説明を省略する。
【0072】
第1及び第2のコイルバネ113,123の弾性押圧力は、義歯係合用突出部300が支台歯収容用凹み部150内に入り込む最初の段階で、義歯係合用突出部300の第1及び第2の球状体係合溝部310,320が形成された部分よりも上側の周面に沿って第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の円筒体111,121の中に若干押し込められ、その後、義歯係合用突出部300が支台歯収容用凹み部150に入り込むに従って、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の球状体係合溝部310,320に入り込むのに適した大きさに規定されている。
【0073】
義歯係合用突出部300に形成された2つの第1及び第2の球状体係合溝部310,320は、それぞれが義歯係合用突出部300の周方向に約180度隔てて、義歯係合用突出部300の長手方向中ほどにおいて義歯係合用突出部300の先端側から基端側に延在するように形成されている。
【0074】
即ち、第1及び第2の球状体係合溝部310,320は、上述したように義歯10を支台歯30に取り付けた際に第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の先端の第1及び第2の球状体114,124が義歯係合用突出部300を両側から挟むように位置する。つまり、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の先端の第1及び第2の球状体114,124がそれぞれ入り込むような位置に溝部として義歯係合用突出部300の外周面に各々形成されている。
【0075】
そして、第1及び第2の球状体係合溝部310,320の義歯係合用突出部先端側には、第1及び第2の球状体係合溝部310,320の底面とその先端側の義歯係合用突出部300の周面等の間において、段差の代わりにテーパー部311,321が形成されている。
【0076】
テーパー部311,321のテーパー角度α(図8参照)、即ち、義歯係合用突出部300の軸線方向に対する角度αは、義歯10の支台歯30に取り付ける際に義歯係合用突出部300の先端部の周面に弾性押圧力で押し付けられた第1及び第2の球状体114,124が、第1及び第2の球状体係合溝部310,320内に入り込む際に過大な衝撃を受けることなく、かつ義歯10を支台歯30に取り付けた後に第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の第1及び第2の球状体114,124がテーパー部311,321を乗り越えて第1及び第2の球状体係合溝部310,320から外れない角度となっている。
【0077】
即ち、テーパー部311,321の角度は、第1及び第2の球状体係合溝部310,320から第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120の第1及び第2の球状体114,124を取り外すためには義歯装着者が義歯10を指で摘まんで意図的に引っ張らなければならないと義歯10が支台歯30から外れない程度の大きさとなっている。
【0078】
第1及び第2の球状体係合溝部310,320の長さは、義歯10を支台歯30に装着した際に義歯床100が唾液層Dを介して密着した際に、第1及び第2の球状体係合溝部310,320のテーパー部近傍に第1及び第2の球状体114,124が位置すると共に、義歯装着者がその後に咬合動作を始めた際に義歯床全体が咬合力によって、この歯肉90の沈下に合わせて義歯10が沈下するに伴って、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の球状体係合溝部310,320に沿ってテーパー部311,321から離れる方向、即ち義歯係合用突出部300の周面上を基端側に移動可能な長さとなっている。
【0079】
そして、義歯装着者が最大の咬合力で咬合した際において、第1及び第2の球状体係合溝部310,320の基端側(下側)端部が支台歯基端側近傍まで至るように、第1及び第2の球状体係合溝部310,320が形成されている。
【0080】
なお、第1のラッチ係合部110と第2のラッチ係合部120のコイルバネの弾性押圧力は、第1及び第2の球状体114,124が第1及び第2の球状体係合溝部310,320に入り込んだ際においても、第1及び第2の球状体114,124の第1及び第2の球状体係合溝部310,320に所定の力で押し付けられるのに十分な大きさを有している。
【0081】
以下に、上述した第2の実施形態の義歯10とその取り付けアタッチメントの取り付け及び取り外しの手順を図面に従って説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る義歯10の支台歯30への取り付けを開始した状態及び義歯10の支台歯30からの取り外しを開始した状態を一部断面で示す概略側面図である。義歯装着者は、最初に義歯10を指で摘まんで支台歯30に近づけることによって、図8に示すような状態に至る。
【0082】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る義歯10を支台歯30に完全に取り付ける直前の状態及び義歯10の支台歯30からの取り外しを開始した直後の状態を一部断面で示す概略側面図である。図8に示す状態に続いて義歯10を支台歯収容用凹み部の中に支台歯30を挿入し始める。これによって、図9に示すような状態に至る。
【0083】
図7は、本発明の第2の実施形態において義歯10を支台歯30に装着した状態を一部断面で示す概略側面図である。図9に示した状態から、義歯装着者が義歯10を歯肉90に向かって指で押すことで、図7に示す義歯装着状態に至る。この状態においては、第1及び第2のラッチ係合部110,120の先端の第1及び第2の球状体114,124が、義歯係合用突出部300の第1及び第2の球状体係合溝部310,320にそれぞれ係合している。
【0084】
この係合状態においては、第1及び第2のラッチ係合部110,120のコイルバネ113,123の弾性押圧力によって、第1及び第2のラッチ係合部110,120が第1及び第2の球状体係合溝部310,320から簡単に外れないように嵌合すると共に、義歯10の義歯床100の底面全体が唾液層Dを介して歯肉90にしっかりと密着し、義歯10の支台歯30への取り付け状態を維持する。
【0085】
図10は、図7に示した状態から義歯装着者がある程度の咬合力で咬合して2つの球状体114,124がそれぞれ義歯係合用突出部300の2つの球状体係合溝部310,320に沿って残根部21に向かって移動し始めた状態を一部断面で示す概略側面図である。図7の状態から、ある程度咬合することによって咬合力が義歯10に加わり、義歯全体が歯肉90を押し付けるように移動すると共に、第1及び第2のラッチ係合部110,120の2つの球状体114,124が、弾性押圧力を義歯係合用突出部300に加えながらそれぞれ義歯係合用突出部300の2つの球状体係合溝部310,320に沿って残根部21に向かって移動し始めていることが分かる。
【0086】
図11は、図10の状態に対して義歯装着者が大きな咬合力で咬合して2つの球状体が義歯係合用突出部300の2つの球状体係合溝部に沿って残根部21に向かって更に移動すると共に、義歯床100が歯肉90を押し潰すことで生じる歯肉90からの圧縮反発力によって義歯床100の沈下が停止した状態を一部断面で示す概略側面図である。義歯装着者が義歯10を更に強く噛むことによって、義歯全体が歯肉90に沈下していくことで、図10に示す状態から図11に示す状態に至る。
【0087】
図10から図11までの歯肉90の厚みの変化度合いから容易に理解できるように、義歯10の歯肉90への沈下度合いに応じて歯肉90の圧縮反発力が大きくなり、やがてはその反発力が咬合力と釣り合って義歯10の歯肉90に対する更なる沈下を停止させる。
【0088】
この状態においても、第1及び第2のラッチ係合部110,120が義歯係合用突出部300の周面においてそれぞれ円周方向に対向する位置に均等な弾性押圧力を作用させ続けることで、支台歯30に対してその軸線方向と直交する方向の力を相殺させる。
【0089】
これによって、2つの弾性押圧力同士が支台歯30に対してバランス良く作用し、支台歯30の倒れ方向に向かうモーメントを防止することができる。その結果、1本だけからなる支台歯30の残根部21と顎骨を結合する歯根膜80の繊維組織の破損を防ぎ、支台歯30を長持ちさせることができる。
【0090】
以上の義歯装着者による咬合動作を終えると、義歯10に咬合力が作用しなくなり、義歯10は支台歯30に対して上述した順番と逆の順番で図7に示す状態まで戻る。そして、義歯装着者は、食事が終わった後など必要に応じて義歯10を指で摘んで引っ張り、義歯10を支台歯30から取り外す。この場合も上述と逆の同様の連続動作によって義歯10を支台歯30から簡単に取り外すことができる。
【0091】
なお、本発明の上述の各実施形態においては、義歯装着者が義歯10を思いっ切り強く咬合した際においても、義歯係合用突出部300の上端部と支台歯収容用凹み部150の底部との間に一定の残存空間S(図6及び図11参照)を残存させる構造を有したことを更なる特徴としている。
【0092】
このような構成を有することで、以下のような作用を発揮することができる。具体的には、義歯10を思いっ切り咬合した状態において、義歯係合用突出部200,300の先端部(図中上側端部)と支台歯収容用凹み部150の底部(図中上側の底面)との間には一定の残存空間S(図6及び図11参照)を残存させることで、このように思い切り咬合した際に義歯係合用突出部200,300の先端に咬合力が直接作用しないようになっている。これによって、義歯係合用突出部200,300のみならず、これが取り付けられた残根部21の軸線方向に無理な力が作用するのを防止できる。
【0093】
即ち、咬合力は、約3MPa~約9MPa(1cm当たり平均30kg~90kg(1m当たり300トン~900トン))と極めて大きい。そして、本発明によると思いっきり咬合した際にこのような咬合力が支台歯に衝撃力として加わるのを防止することができる。
【0094】
このようにして、支台歯、即ち残根部及び残根部と顎骨を結合する歯根膜にこのような大きな咬合力が衝撃力として加わるのを防止し、本発明の義歯を取り付けるための1本だけからなる支台歯を長期間に亘って健全な状態で維持することができる。
【0095】
その結果、本発明による義歯とその取付けアタッチメントを一旦装着すれば、長期間その装着状態を維持することが可能となり、歯科医院にメンテナンスのために頻繁に通院する必要もなく、義歯とその取付けアタッチメントが破壊して新たな義歯とその取付けアタッチメントを装着し直すような重大な問題を生じさせるのを防止することができる。
【0096】
次いで、以上説明した各実施形態及び各変形例特有の効果、即ち本発明の構成に基づく特有の効果について説明する。本発明は、弾性体ラッチ係合機構と義歯床の歯肉の密着のみで義歯を支台歯に取り付けており、その他に考えられる例えば磁石等の構成要素を有していない。
【0097】
義歯を支台歯にきちんと装着した瞬間に支台歯の両側の係合凹み部にこれにそれぞれ対応する義歯のラッチ係合部がカチっと入り込むので、この感覚が指先の神経や聴覚神経の代わりに三叉神経を介して直接脳に伝わり、高齢であっても義歯が支台歯にしっかりと装着できたことを確実に実感(確認)することができる。そのため、例えば介護者などの第三者に手伝ってもらったり装着を確認してもらったりするような煩わしさをかけることなく自ら義歯の装着や取り外しを簡単に行うことができる。
【0098】
これによって、義歯全体の小型化を図ることができる。そして、義歯を小型化することで義歯の幅(口の外側と内側を結ぶ方向の厚み)を小さくできるため、残根部やインプラントを介してこれらの幅の小さい部分に本発明に係る義歯を取り付けることができる。
【0099】
この理由は、義歯を取り付けるための支台歯を構成する義歯係合用突出部の幅は、これが固定される残根部やインプラントの幅と略同一か少なくともこれよりも小さい必要があり、これより大きいと義歯装着後に様々な支障が生じてしまうからである。
【0100】
このように、本発明によって小型化を図ったそれ自体で着脱可能な義歯を実現することで、咬合口径の小さい女性や高齢者で年齢に伴って咬合口径が委縮した義歯装着者に義歯を装着するにあたって、装着可能な対象者や装着可能な咬合部位に関する自由度が高まる。
【0101】
また、義歯の幅を狭くできるため、歯の元々の構造上日勤して残根部やインプラントの幅が小さくならざるを得ない前歯にも本発明に係る義歯であれば積極的に装着することができる。これによって、以下に説明するクラスプタイプの義歯を前歯に装着した際の問題点を一掃することができる。
【0102】
なお、上述した第2の実施形態に係る溝部は、遊離端義歯に作用する咬合力の方向を正しい正規な方向に導くガイド用(案内用)の役目も果たすようになっている。これによって、好ましくない噛み癖を矯正する役目も有している。その結果、食べ物を、消化吸収を促進できる程度まで咬み砕くようにする習慣をつけることが可能となる
【0103】
以下に、本発明によると、従来広く使用されているスクラブによる問題点を一気に解決することができる点について説明する。具体的には、クラスプで固定した一般的な義歯を長期間使い続けるとクラスプの部分が塑性変形してやがては疲労破壊してしまい、破断してその先端が口の中の粘膜や舌に突き刺さってこれらを傷つけたり、クラスプの破片を食べ物と共に飲み込んでしまい誤飲を招いたりする。
【0104】
しかしながら、上述の第1の実施形態による義歯とその取付けアタッチメントを用いると、このような咬合に伴う義歯の複雑な動きが支台歯に機械的影響を与えることなく、支台歯自体をその役割を維持しながら長期間に亘って残存させることができると共に、義歯自体についても破損させずに長期間使用し続けることができる。
【0105】
また、クラスプを用いることなく義歯の内部の支台歯収容用凹み部内で義歯係合用突出部に対して義歯全体を支台歯に装着しているので、クラスプのような金属部材が外部に露出することがない。その結果、口を開けたときにクラスプの金属部分が外部から見えたりすることなく、義歯を装着していることが一見すると全く分からないので、本発明に係る義歯が審美的に非常に優れていると言える。また、義歯装着者は、このような観点から外出して友人や知り合いとの会話を心置きなく楽しむことができると共に、買い物や講演等の受講を行っている際に質問が生じたら相手が十分に聞き取れる声で遠慮なく聞いてみることが可能となる。
【0106】
また、残根部に支台を設け、これに従来から用いられているクラスプの付いた義歯を装着した場合、咬合力は、上述したように約3MPa~約9MPa(1cm当たり平均30kg~90kg(1m当たり300トン~900トン))と極めて大きい。このような咬合時に向きや大きさの絶えず変化する大きな咬合力が従来一般的に使われているクラスプを備えた義歯のクラスプの部分に作用すると、この部分が金属疲労により緩んだり破断してしまったりする問題がある。
【0107】
また、支台歯にクラスプを備えた従来の義歯を装着した場合、口を開けたときにクラスプが目立って審美的な問題がある。更には、長期間の使用によってクラスプが緩んで義歯が外れ易くなり、口の中で外れかかった義歯を舌で押さえ続けたり、くしゃみなどで偶発的に義歯が外れて口から飛び出してしまったりするような事態を招いたりして、長期間にわたって使用し続けることができず、近年の高齢化社会の到来に向けて重要視されているクオリティオブライフの向上に支障をきたしている。
【0108】
更には、従来のクラスプを備えた義歯を使用した場合、クラスプの部分の緩みの有無の定期的な確認等とゆるみを発見した際にこの部分を元通りに直すような手間の掛かるメンテナンスを必要としている。また、従来のクラスプを備えた義歯を外してこれをきれいにする場合等において、特に指先の不自由な義歯装着者にとっては誤って義歯を床に落としてしまい、金属でできたクラスプの部分が曲がったり破断してしまったりする恐れもある。このような場合、このクラスプの部分を元の状態に直したり、直すことができない程度に曲がったり破損してしまった場合は、クラスプ全体を新しいものに交換しなければならない面倒な問題を生じさせる。
【0109】
そして、クラスプの部分の修理又は交換を依頼している間、その義歯を使用することができなくなり、極めて不便となる。しかしながら、本発明によると、義歯を固定して支持するためのクラスプのような金属部部分を義歯の外部に備えていないので、そのような不都合なことは一切起こることはなく、殆どメンテナンスフリーで義歯を安心して使い続けることができるという非常に大きなメリットを有している。
【0110】
続いて、以下に本発明の第1の変形例と第2の変形例について説明する。なお、第1の変形例及び第2の変形例について、図面に示す符号に関しては、述の実施形態と等価的な構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
図12は、本発明の第1の変形例を一部断面で示す概略側面図である。第1の変形例においては、義歯係合用突出部200は、第1及び第2の弾性押圧力が作用する方向と直交する方向から見て、支台歯の先端側から基端側に向かって所定の角度をなすテーパー部211,221と徐々に幅が広がっていく膨出部213,223との連続した輪郭形状を有している。そして、図面中左右に示すこのテーパー部211,221と膨出部213,223との結合点である2つの谷間214,224が、上述した第1の実施形態の球状体係合凹み部に相当する。
【0112】
図13は、本発明の第2の実施形態の第2の変形例を一部断面で示す概略側面図である。第2の変形例においては、義歯係合用突出部300は、第1及び第2の弾性押圧力が作用する方向と直交する方向から見て、支台歯の先端側から基端側に向かって所定の角度をなすテーパー部311,321と垂直方向の直線部分312,322にとの連続した輪郭形状を有している。
【0113】
そして、このテーパー部311,321と直線部分312,322との結合した図面中左右に示す2つの谷間313,323が、上述した第1の実施形態の球状体係合溝部の先端側端部に相当する。また、直線部分の一定領域が第2の実施形態の球状体係合溝部に相当する。
【0114】
なお、上述の各実施形態及びその各種変形例はあくまで本発明の例示的な内容を示したものに過ぎず、本発明の範囲内であれば形状、材質、大きさ等の異なる様々な構造の義歯とその取付けアタッチメントであっても構わないことは言うまでもない。
【0115】
具体的には、例えば支台歯が残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されていても本発明を適用可能である。一端植設すると長期間それを使用し続ける必要のあるインプラントを本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントの支台歯の一部として利用することで、インプラントの破損を防止しつつ、かつ1本の支台歯のみで近接する部分にインプラントを植設する必要もなくコストをかけずに本発明に係る義歯を長期間使用し続けることができる。
【0116】
また、上述した残根部を利用して支台歯を構成した場合に享有する効果と同等の効果を、インプラントを利用して支台歯を構成した場合においても当然に享有することができる。
【0117】
具体的には、支台歯が残根部を利用して構成されていてもインプラントを利用して構成されていても、思いっ切り咬合した場合に義歯係合用突出部の先端と支台歯収容用凹み部の底部との間に一定の残存空間を残存させることで、前者の場合は残根部やその周囲の歯根膜を破壊させることなく、後者の場合は一旦破壊すると再度植設することが難しいインプラントを長期間に亘って使用し続けることが可能となる。
【0118】
なお、支台歯を構成するにあたって、残根部を利用する場合のみならずインプラントを利用して支台歯を構成する場合にも言えることであるが、強く咬み過ぎたときに支台歯の平坦な頭部に支台歯収容凹み部の底面(各図面では、図中上側に示す底面)にあえて突き当たるようにすることで、義歯の支台歯との寸法関係を義歯装着者ごとに調整及び選択しても良い。
【0119】
これによって、強く咬み過ぎたときに支台歯から残根部及び顎骨を介して咬み過ぎたことを直接体感することができ、その後の咬合のし過ぎに積極的に注意を払うようになり、支台歯の残根部を破損せずに支台歯自体を長持ちさせることができるようになる。
【0120】
また、本発明の第1の実施形態においては、球状体係合凹み部の大きさは、球状体がこの凹み部に嵌合できる程度の大きさであったが、義歯の支台歯への装着状態を義歯床と歯肉の装着度合いにより十分に確保できれば、周方向ある程度の長さを有する凹み部から形成されていても良い。
【0121】
同様に、第2の実施形態においても、義歯の支台歯への装着状態を義歯床と歯肉の装着度合いにより十分に確保できれば、球状体係合溝部の代わりに義歯係合用突出部の長手方向においてその全周が溝部の深さに対応するように縮径されていても良い。
【0122】
これを例示的に言い換えると、上述した第1の変形例及び第2の変形例の輪郭形状が義歯係合用突出部の全周に亘って形成されているような形態が考えられる。
【符号の説明】
【0123】
10 義歯
20 支台歯
21 残根部
30 支台歯
80 歯根膜
90 歯肉
100 義歯床
101,102,103,・・・ 人工歯
110 第1のラッチ係合部
111,121 第1及び第2の円筒体
111t,121t テーパー付き内側フランジ部
112,122 第1及び第2のスプリング保持プレート
113,123 第1及び第2のコイルバネ
114,124 第1及び第2の球状体
120 第2のラッチ係合部
130 係合ユニット
150 支台歯収容用凹み部
200 義歯係合用突出部
210 第1の球状体係合凹み部(第1の係合力受け部)
211,221 (第1の)テーパー部
212,222 (第2の)テーパー部
213,223 膨出部
214,224 谷間
220 第2の球状体係合凹み部(第2の係合力受け部)
250 固定部材
300 義歯係合用突出部
310 第1の球状体係合溝部(第1の係合力受け部)
320 第2の球状体係合溝部(第2の係合力受け部)
311,321 テーパー部
312,322 直線部分
313,323 谷間
350 固定部材
D 唾液層
S 一定の残存空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に係合凹み部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、それぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合するようになっており、かつ
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力が、前記義歯床の延在する方向に合わせて作用するようになっており、
前記義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって当該義歯係合用突出部の長手方向中心軸線に合わせて更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項2】
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合溝部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項3】
前記支台歯が前記残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項4】
請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項1に記載の義歯
【請求項5】
請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項1に記載の義歯係合用突出部
【請求項6】
請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項2に記載の義歯
【請求項7】
請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項2に記載の義歯係合用突出部
【請求項8】
請求項3において規定される請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯であって、請求項3におけるインプラントに基づいて形成された支台歯にのみ取り外し可能に装着するための義歯
【請求項9】
請求項3において規定される請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯係合用突出部であって、請求項3における支台歯を形成するためにのみインプラントに被せるための義歯係合用突出部
【請求項10】
請求項3において規定される請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯であって、請求項3におけるインプラントに基づいて形成された支台歯にのみ取り外し可能に装着するための義歯
【請求項11】
請求項3において規定される請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯係合用突出部であって、請求項3における支台歯を形成するためにのみインプラントに被せるための義歯係合用突出部
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に係合凹み部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、それぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合するようになっており、かつ
前記義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって当該義歯係合用突出部の長手方向中心軸線に合わせて更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本発明の請求項2に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合溝部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、前記支台歯が前記残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されることを特徴としている。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明の請求項に係る義歯は、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項1に記載の義歯である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明の請求項に係る義歯は、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項1に記載の義歯係合用突出部である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の請求項に係る義歯係合用突出部は、請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項2に記載の義歯である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、本発明の請求項に係る義歯係合用突出部は、請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる請求項2に記載の義歯係合用突出部である。
また、本発明の請求項8に係る義歯は、請求項3において規定される請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯であって、請求項3におけるインプラントに基づいて形成された支台歯にのみ取り外し可能に装着するための義歯である。
また、本発明の請求項9に係る義歯係合用突出部は、請求項3において規定される請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯係合用突出部であって、請求項3における支台歯を形成するためにのみインプラントに被せるための義歯係合用突出部である。
また、本発明の請求項10に係る義歯係合用突出部は、請求項3において規定される請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯であって、請求項3におけるインプラントに基づいて形成された支台歯にのみ取り外し可能に装着するための義歯である。
また、本発明の請求項11に係る義歯係合用突出部は、請求項3において規定される請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いる義歯係合用突出部であって、請求項3における支台歯を形成するためにのみインプラントに被せるための義歯係合用突出部である。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に係合凹み部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、それぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合するようになっており、かつ
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力が、前記義歯床の延在する方向に合わせて作用するようになっており、
前記義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって当該義歯係合用突出部の長手方向中心軸線に合わせて更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項2】
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合溝部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項3】
前記支台歯が前記残根部に基づいて形成される代わりに、顎骨に植設したインプラントに基づいて形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
【請求項4】
請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項1に記載の義歯。
【請求項5】
請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項2に記載の義歯。
【請求項6】
請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項3に記載の義歯。
【請求項7】
請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項1に記載の義歯係合用突出部。
【請求項8】
請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項2に記載の義歯係合用突出部。
【請求項9】
請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項3に記載の義歯係合用突出部。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に係合凹み部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、それぞれ係合する前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部にそれぞれ嵌合するようになっており、かつ
前記義歯装着者が咬合した際に、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部から外れて前記義歯係合用突出部の周面上の前記残根部側近傍に移動すると共に、咬合力の大きさに応じて、前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部が、前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、前記義歯係合用突出部の周面上を前記残根部側に向かって当該義歯係合用突出部の長手方向中心軸線に合わせて更に移動可能となっていると共に、
前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
また、本発明の請求項2に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯収容用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯収容用凹み部の内周面の対向する位置には第1のラッチ係合部と第2のラッチ係合部がそれぞれ備わり、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するために残根部に取り付けられかつ義歯装着者に前記第1のラッチ係合部と前記第2のラッチ係合部にそれぞれ係合する第1の係合力受け部と第2の係合力受け部が形成された義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記残根部に固定する固定部材からなり、
前記残根部に前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
前記義歯を前記支台歯に装着した状態において、前記義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部にそれぞれ作用する前記第1のラッチ係合部の第1の弾性押圧力及び前記第2のラッチ係合部の第2の弾性押圧力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する際に生じる密着力によって、前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持する義歯とその取付けアタッチメントであって、
前記第1の係合力受け部と前記第2の係合受け部は、それぞれ前記義歯係合用突出部の周面でこの周方向対向する位置であり、かつ前記義歯床の延在する方向に合った前記周方向対向する位置に前記義歯係合用突出部の長手方向所定の長さを有する長手方向延在係合溝部として形成され、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、その咬合状態に合わせて前記第1のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第1の係合力受け部に作用する第1の弾性押圧力と、前記第2のラッチ係合部から前記義歯係合用突出部の前記第2の係合力受け部に作用する第2の弾性押圧力によって前記義歯係合用突出部をその周方向対向する2箇所において挟み込みながら、当該第1の弾性押圧力と第2の弾性押圧力の作用する位置を前記第1の係合力受け部と前記第2の係合力受け部に沿って移動させつつ、前記義歯係合用突出部が、前記支台歯の軸線方向と略直交する方向であって互いに向かい合う方向に前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯を前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力で挟み続けて当該義歯の支台歯への装着状態を維持するようになっており、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つ構造を有することによって、前記義歯係合用突出部が、その軸線方向と略直交する方向に略均等な前記第1の弾性押圧力と前記第2の弾性押圧力を受け続けることで、咬合中においても前記義歯を支持する一本の支台歯をその周面の周方向対向する2箇所から略均等な弾性押圧力で挟み続けて、咬合中においても前記義歯の前記支台歯への装着状態を維持すると共に、前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を当該義歯の義歯床全体が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持つことを可能としていることを特徴としている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明の請求項4に係る義歯は、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項1に記載の義歯である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明の請求項5に係る義歯は、請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項2に記載の義歯である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明の請求項6に係る義歯係合用突出部は、請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項3に記載の義歯である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、本発明の請求項7に係る義歯係合用突出部は、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項1に記載の義歯係合用突出部である。
また、本発明の請求項8に係る義歯係合用突出部は、請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項2に記載の義歯係合用突出部である。
また、本発明の請求項9に係る義歯係合用突出部は、請求項3に記載の義歯とその取付けアタッチメントのためにのみ用いられる請求項3に記載の義歯係合用突出部である。