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特開2022-92109シート後処理装置、シート後処理装置を備えた画像形成装置及び画像形成システム、シート搬送装置及びシート搬送装置を備えた画像形成装置及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092109
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】シート後処理装置、シート後処理装置を備えた画像形成装置及び画像形成システム、シート搬送装置及びシート搬送装置を備えた画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/00 20060101AFI20220615BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20220615BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
B65H37/00
B65H7/02
G03G15/00 432
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204683
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】萱森 修
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
2H072GA02
2H072GA08
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA06
3F048BB02
3F048CA01
3F048CA04
3F048CA09
3F048CC03
3F048CC11
3F048DA06
3F048DA09
3F048EB40
3F108GA01
3F108GB01
3F108GB03
3F108GB07
3F108HA02
3F108HA32
3F108HA43
(57)【要約】
【課題】シート搬送経路において、先行シートと後続シートのシート間隔を確保しつつ、効率良いシート搬送を可能にする。
【解決手段】先行シートに所定の処理を施すために先行シートと後続シートとのシート間隔が縮まってしまう場合、シートにループを形成するためのループ空間にて後続シートの先端側にループを形成し先行シートとのシート間隔を十分に確保すると共に、後続シートと後続シートに続くシートとのシート間隔が縮まらないように後続シートに形成されたループを解消しながら搬送を継続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬入される搬入口と、
前記搬入口から搬入されるシートを第1搬送速度で所定の搬送方向に搬送する第1搬送ローラ対と、
前記第1搬送ローラ対により搬送されるシートを前記搬送方向に沿って案内する搬送経路と、
前記第1搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第1搬送ローラ対により前記搬送経路に沿って搬送されるシートを受けて更に前記搬送方向に搬送すると共に、前記第1搬送速度及び前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度及び前記第1搬送速度よりも速い第3搬送速度とに速度可変に構成された第2搬送ローラ対と、
前記搬送方向における前記第1搬送ローラ対と前記第2搬送ローラ対の間のローラ対間で且つ前記搬送経路に沿って搬送されるシートの厚み方向において前記搬送経路の一方に配置され、前記第2搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によってニップされた状態の前記シートに形成されるループを収容するループ空間と、
前記第2搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第2搬送ローラ対によって搬送されたシートに所定の後処理を施す後処理手段と、
前記後処理手段が、前記第2搬送ローラ対によって搬送された先行シートに前記後処理を施す間、前記第1搬送ローラ対から前記第2搬送ローラ対へと搬送される後続シートに前記ループを形成して前記ループを前記ループ空間に収容し、前記後処理手段による前記後処理後に前記第3搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によって前記ループを解消しながら前記後続シートを前記後処理手段へと搬送するループ処理を実施すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する制御手段と、を備えたシート後処理装置。
【請求項2】
前記ループ空間を前記搬送経路の鉛直方向上方に設けると共に、前記搬送経路に設けられ、前記搬送方向における前記ローラ対間において固定して配置され、前記第1搬送ローラ対によって搬送されるシートの下面を支持し、前記シートを前記第2搬送ローラ対へと案内する固定ガイド部材を更に備えた請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記ループ空間を前記搬送経路の鉛直方向下方に設けると共に、前記搬送経路に設けられ、前記搬送方向における前記ローラ対間において、前記第1搬送ローラ対によって搬送されるシートを前記第2搬送ローラ対へと案内する搬送ガイド位置と、前記搬送方向において前記搬送ガイド位置よりも前記ローラ対間から退避し、前記ループ空間への前記ループの収容を許容する退避位置との間で移動自在な搬送ガイド部材を更に備え、
前記制御手段は、
前記ループ処理を実施すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記先行シートの前記搬送方向上流端と前記後続シートの前記搬送方向下流端との間隔を認識するシート間隔認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項1又は請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記先行シートの前記搬送方向上流端と前記後続シートの前記搬送方向下流端との間隔を認識するシート間隔認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項3に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記ループ処理よって前記後続シートに形成されるループ量を認識するループ量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に、前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値未満であると認識される場合よりも前記ループ量認識手段によって認識されるループ量が小さくなるように前記ループ処理を実施すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項4に記載のシート後処理装置。
【請求項7】
前記ループ処理によって前記後続シートに形成されるループ量を認識するループ量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に、前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値未満であると認識される場合よりも前記ループ量認識手段によって認識されるループ量が小さくなるように前記ループ処理を実施すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項5に記載のシート後処理装置。
【請求項8】
前記後続シートの坪量を認識する坪量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記坪量認識手段によって認識される前記後続シートの坪量が所定値以上であった場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項1又は請求項2に記載のシート後処理装置。
【請求項9】
前記後続シートの坪量を認識する坪量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記坪量認識手段によって認識される前記後続シートの坪量が所定値以上であった場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項3に記載のシート後処理装置。
【請求項10】
前記第1搬送ローラ対から前記第2搬送ローラ対へと搬送されるシートに形成された前記ループが前記ループ空間に収容された状態で、前記ループの所定箇所を前記第2搬送ローラ対のニップ部に押し込む押し込み部材を更に備え、
前記押し込み部材により押し込まれた前記所定箇所をニップしながら前記ループが形成されたシートを前記第2搬送ローラ対により前記搬送方向に搬送することで、前記所定箇所に折り目を形成する折り処理機能を備えた請求項1乃至請求項9の何れかの項に記載のシート後処理装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記請求項1乃至請求項10の何れかの項に記載のシート後処理装置を備えた画像形成システム。
【請求項12】
シートが搬入される搬入口と、
前記搬入口から搬入されるシートを第1搬送速度で所定の搬送方向に搬送する第1搬送ローラ対と、
前記第1搬送ローラ対により搬送されるシートを前記搬送方向に沿って案内する搬送経路と、
前記第1搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第1搬送ローラ対により前記搬送経路に沿って搬送されるシートを受けて更に前記搬送方向に搬送すると共に、前記第1搬送速度及び前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度及び前記第1搬送速度よりも速い第3搬送速度とに速度可変に構成された第2搬送ローラ対と、
前記搬送方向における前記第1搬送ローラ対と前記第2搬送ローラ対の間のローラ対間で且つ前記搬送経路に沿って搬送されるシートの厚み方向において前記搬送経路の一方に配置され、前記第2搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によってニップされた状態の前記シートに形成されるループを収容するループ空間と、
を備えたシート搬送装置であって、
前記第2搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第2搬送ローラ対によって搬送されたシートに所定の後処理を施す後処理装置が、前記第2搬送ローラ対によって搬送された先行シートに前記後処理を施す間、前記第1搬送ローラ対から前記第2搬送ローラ対へと搬送される後続シートに前記ループを形成して前記ループを前記ループ空間に収容し、前記後処理装置による前記後処理後に前記第3搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によって前記ループを解消しながら前記後続シートを前記後処理装置へと搬送するループ処理を実施すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する制御手段とを備えたシート搬送装置。
【請求項13】
前記ループ空間を前記搬送経路の鉛直方向上方に設けると共に、前記搬送経路に設けられ、前記搬送方向における前記ローラ対間において固定して配置され、前記第1搬送ローラ対によって搬送されるシートの下面を支持し、前記シートを前記第2搬送ローラ対へと案内する固定ガイド部材を更に備えた請求項12に記載のシート搬送装置。
【請求項14】
前記ループ空間を前記搬送経路の鉛直方向下方に設けると共に、前記搬送経路に設けられ、前記搬送方向における前記ローラ対間において、前記第1搬送ローラ対によって搬送されるシートを前記第2搬送ローラ対へと案内する搬送ガイド位置と、前記搬送方向において前記搬送ガイド位置よりも前記ローラ対間から退避し、前記ループ空間部への前記ループの収容を許容する退避位置との間で移動自在な搬送ガイド部材を更に備え、
前記制御手段は、
前記ループ処理を実施すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項12に記載のシート搬送装置。
【請求項15】
前記先行シートの前記搬送方向上流端と前記後続シートの前記搬送方向下流端との間隔を認識するシート間隔認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項12又は請求項13に記載のシート搬送装置。
【請求項16】
前記先行シートの前記搬送方向上流端と前記後続シートの前記搬送方向下流端との間隔を認識するシート間隔認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項14に記載のシート搬送装置。
【請求項17】
前記ループ処理よって前記後続シートに形成されるループ量を認識するループ量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に、前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値未満であると認識される場合よりも前記ループ量認識手段によって認識されるループ量が小さくなるように前記ループ処理を実施すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項15に記載のシート搬送装置。
【請求項18】
前記ループ処理によって前記後続シートに形成されるループ量を認識するループ量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値以上であると認識した場合に、前記シート間隔認識手段によって認識される前記間隔が所定値未満であると認識される場合よりも前記ループ量認識手段によって認識されるループ量が小さくなるように前記ループ処理を実施すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項16に記載のシート搬送装置。
【請求項19】
前記後続シートの坪量を認識する坪量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記坪量認識手段によって認識される前記後続シートの坪量が所定値以上であった場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する請求項12又は請求項13に記載のシート搬送装置。
【請求項20】
前記後続シートの坪量を認識する坪量認識手段を更に備え、
前記制御手段は、
前記坪量認識手段によって認識される前記後続シートの坪量が所定値以上であった場合に前記ループ処理を禁止すべく、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対及び前記搬送ガイド部材を制御する請求項12又は請求項14に記載のシート搬送装置。
【請求項21】
前記第1搬送ローラ対から前記第2搬送ローラ対へと搬送されるシートに形成された前記ループが前記ループ空間に収容された状態で、前記ループの所定箇所を前記第2搬送ローラ対のニップ部に押し込む押し込み部材を更に備え、
前記押し込み部材により押し込まれた前記所定箇所をニップしながら前記ループが形成されたシートを前記第2搬送ローラ対により前記搬送方向に搬送することで、前記所定箇所に折り目を形成する折り処理機能を備えた請求項12乃至請求項20の何れかの項に記載のシート搬送装置。
【請求項22】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記請求項12乃至請求項21の何れかの項に記載のシート搬送装置を備えた画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート後処理装置、及び画像形成装置とシート後処理装置を備えた画像形成システム、または、シート搬送装置、及び画像形成装置とシート搬送装置を備えた画像形成システムに係わり、ジョブ全体の生産性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、画像を形成したシートに対し綴じ処理やパンチ処理や区分け処理等のシート処理を行うシート後処理装置を備えたものがある。
【0003】
画像を形成して搬送される所定のシート(先行シート)に対してパンチ処理を施す場合、ストッパ機構によってシートの搬送を一旦停止させ、穿孔装置でパンチ穴を穿孔する技術がよく知られているが、先行シートに穿孔するパンチ処理時間分だけ後続シートとのシート間隔が縮まることで先行シートと後続シートが衝突して搬送不良が発生してしまうという虞があった。そのために、先行シートに対して後続シートをパンチ処理時間分だけ遅延させて(生産性を低下させて)搬送させることで先行シートと後続シートとの衝突を回避するものが一般的に知られている。
【0004】
また、上記問題を解決するため、特許文献1では、先行シートの搬送速度を加速して先行シートと後続シートのシート間隔を一時的に広げることで生産性を低下させることなく先行シートと後続シートとの衝突を回避するシート後処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-074579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2では、先行シートの搬送速度を加速して先行シートと後続シートのシート間隔を一時的に広げることで先行シートと後続シートとの衝突を回避するシート後処理装置が提案されているが、シート後処理装置の小型化、高速化が進む近年において、限られたシート搬送経路内では単純に先行シートを加速させて搬送するだけでは先行シートと後続シートのシート間隔を十分に確保することが難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明では、先行シートに所定の処理を施すために先行シートと後続シートとのシート間隔が縮まってしまう場合、シートにループを形成するための空間にて後続シートの先端側にループを形成し先行シートとのシート間隔を十分に確保すると共に、後続シートと後続シートに続くシートとのシート間隔が縮まらないように後続シートに形成されたループを解消しながら搬送を継続することで、ジョブ全体の生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明では下記の構成を有する。
シートが搬入される搬入口と、前記搬入口から搬入されるシートを第1搬送速度で所定の搬送方向に搬送する第1搬送ローラ対と、前記第1搬送ローラ対により搬送されるシートを前記搬送方向に沿って案内する搬送経路と、前記第1搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第1搬送ローラ対により前記搬送経路に沿って搬送されるシートを受けて更に前記搬送方向に搬送すると共に、前記第1搬送速度及び前記第1搬送速度よりも遅い第2搬送速度及び前記第1搬送速度よりも速い第3搬送速度とに速度可変に構成された第2搬送ローラ対と、前記搬送方向における前記第1搬送ローラ対と前記第2搬送ローラ対の間のローラ対間で且つ前記搬送経路に沿って搬送されるシートの厚み方向において前記搬送経路の一方に配置され、前記第2搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によってニップされた状態の前記シートに形成されるループを収容するループ空間と、前記第2搬送ローラ対よりも前記搬送方向において下流側に配置され、前記第2搬送ローラ対によって搬送されたシートに所定の後処理を施す後処理手段と、前記後処理手段が、前記第2搬送ローラ対によって搬送された先行シートに前記後処理を施す間、前記第1搬送ローラ対から前記第2搬送ローラ対へと搬送される後続シートに前記ループを形成して前記ループを前記ループ空間に収容し、前記後処理手段による前記後処理後に前記第3搬送速度の前記第2搬送ローラ対と前記第1搬送速度の前記第1搬送ローラ対によって前記ループを解消しながら前記後続シートを前記後処理手段へと搬送するループ処理を実施すべく、前記後処理手段、前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対を制御する制御手段とを備えたシート後処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、先行シートに所定の処理を施すために先行シートと後続シートとのシート間隔が縮まってしまう場合、シートにループを形成するためのループ空間にて後続シートの先端側にループを形成し先行シートとのシート間隔を十分に確保すると共に、後続シートと後続シートに続くシートとのシート間隔が縮まらないように後続シートに形成されたループを解消しながら搬送を継続することで、ジョブ全体の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係わる画像形成装置とシート後処理装置およびシート折り装置を組み合わせた全体構成を示した説明図。
図2】本発明に係わるシート後処理装置の全体説明図。
図3】シート後処理装置の処理トレイ周辺の拡大側面説明図。
図4】搬送ローラ、分岐経路搬送ローラ及び排出ローラの駆動説明図。
図5図3の処理トレイのシート後端ストッパ側に設けられたステープル綴じユニットのシート幅方向への移動構成の説明図。
図6図3の処理トレイに設けられてシート幅方向に移動する整合板の移動構成の説明図。
図7】本発明に係わるシート折り装置の拡大側面説明図。
図8A】シート折り装置の駆動説明図。(a)折り部搬送ローラでシートを搬送し始めた状態。(b)折り部折りローラでシート先端を所定量ニップした状態。(c)折り部突き板を退避させ,ループを形成している状態。
図8B】シート折り装置の駆動説明図。(d)ループに対し折り部突き板を駆動し始めた状態。(e)折り部突き板を折り部折りローラ手前まで突き込んだ状態。(f)折り部突き板を退避しシートを搬送している状態。
図9】本発明に係わるパンチユニットの全体構成の説明図。
図10】パンチユニットの拡大側面説明図。
図11A】本発明のシート間隔確保制御の駆動説明図。(a)シートP1を折り部搬送ローラ、折り部折りローラで搬送している状態。(b)シートP1を折り部折りローラ、搬入ローラで搬送している状態。シートP2を折り部搬送ローラで搬送している状態。(c)シートP1がパンチ穿孔位置で停止した状態。
図11B】本発明のシート間隔確保制御の駆動説明図。(d)シートP2が折り部折りローラでシート先端を所定量ニップしている状態。(e)シートP2に対してループを形成し始めた状態。(f)シートP2に対して継続してループを形成している状態。
図11C】本発明のシート間隔確保制御の駆動説明図。(g)シートP1に対するパンチ処理後、折り部折りローラ、搬入ローラの再起動を開始する状態。(h)シートP2に対してループを解消し始めた状態。(i)シートP2がループ解消完了減速ポイントに到達した状態。
図11D】本発明のシート間隔確保制御の駆動説明図。(j)シートP2に対するループの解消が完了した状態。(k)シートP2を折り部折りローラ、搬入ローラで搬送している状態、及びシートP3を折り部搬送ローラで搬送している状態。
図12】本発明のシート間隔確保制御実施時のモータ駆動タイミング。
図13】本発明のシート間隔確保制御実施時のフローチャート。
図14】本発明のシート間隔確保制御の実施の有無の決定処理の例を示したフローチャート。
図15】シートP1とシートP2の縮まるシート間隔とシートP2へのループ形成量と最大ループ形成量の関係図。
図16】シート間隔確保制御実施時のループ空間についての説明図。
図17図1の全体構成における制御構成のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の発明を実施するための形態について、図面を利用しながら説明する。図1は本発明に係わる画像形成装置H001とシート後処理装置F001と折り処理機能を備えたシート搬送装置Z013(以後は単純にシート折り装置Z013とする)を備えた画像形成システムを示す全体構成図であり、図2はシート後処理装置F001の詳細構成の説明図、図7はシート折り装置Z013の詳細構成の説明図である。なお、本発明はこの構成に限らず、例えばシート後処理装置F001とシート折り装置Z013が一体化した構成でも良く、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の実施形態を構成することが可能である。
【0012】
[画像形成システム]
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置H001とシート後処理装置F001とシート折り装置Z013から構成されている。そして画像形成装置H001の本体排出口H011にはシート折り装置Z013の折り部搬入口Z017が連結され、画像形成装置H001で画像形成されたシートをシート折り装置Z013の折り部搬入口Z017から受け取る。さらに、シート折り装置Z013の折り部排出口Z018にはシート後処理装置F001の搬入口F016が連結され、シート折り装置Z013の折り部排出口Z018から搬送されたシートをシート後処理装置F001で所定の後処理を施してスタックトレイF600またはサドルトレイS001に収納するように構成されている。また、スタックトレイF600の上方には綴じ処理を行わず直接シート収納するエスケープトレイF015が配設されている。
【0013】
[画像形成装置]
画像形成装置H001について図1に従って説明する。この画像形成装置H001は、給紙部H002からシートを画像形成部H005に送り、画像形成部H005でシートに画像形成した後、本体排出口H011から排出するように構成されている。給紙部H002は複数サイズのシートが給紙カセットH003、H004に収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部H005に給送する。
【0014】
画像形成部H005には例えば静電ドラムH006と、その周囲に配置されたレーザー発光器H007と現像器H008と、転写チャージャH009と定着器H010が配置されている。画像形成部H005は、静電ドラムH006上にレーザー発光器H007で静電潜像を形成し、これに現像器H008でトナーを付着し、転写チャージャH009でシート上に画像を転写し、定着器H010で加熱定着し画像形成する。このようにして画像形成されたシートは本体排出口H011から順次搬出される。循環経路H012は、定着器H010から表面側に画像形成したシートを、スイッチバック経路H013を介して表裏反転した後、再び画像形成部H005に給送してシートの裏面側に画像形成する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートはスイッチバック経路H013で表裏反転された後、本体排出口H011から搬出される。
【0015】
画像読取装置H014では、プラテンH015上にセットした原稿シートをスキャンユニットH016で走査し、光電変換素子(たとえばCCD)で電気的に読み取る。この画像データは画像形成制御部C000の画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部H017に転送され、前記レーザー発光器H007に画像信号を送る。また、原稿送り装置H018では、原稿スタッカH019に収容した原稿シートをプラテンH015に給送する。また、画像形成装置H001には上記スキャンユニットH016で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部H020に蓄積される。このデータ貯蔵部H020から画像データはバッファメモリH022に転送され、このバッファメモリH022から順次にレーザー発光器H007にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0016】
コントロールパネルH021からは、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、シート坪量指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。さらに、上述の片面/両面印刷、拡大/縮小印刷、モノクロ/カラー印刷などの画像形成条件と同時にシート処理条件も入力指定される。このシート処理条件は、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「区分け(ジョグ)モード」「中綴じモード」「パンチモード」等が設定される。なお、これらの処理条件については後述する。
【0017】
[シート折り装置]
図7にて、シート折り装置Z013の構成を説明する。搬送経路には折り部搬送ローラZ002と折り部折りローラZ007が、それぞれ一対のゴムローラで形成されている。折り部搬送ローラZ002は駆動機構で折り部搬送モータZ003に連結され、折り部折りローラZ007は駆動機構で折り部折りモータZ008に連結され、モータの回転に伴って回転する。
【0018】
折り部搬送ローラZ002と折り部折りローラZ007の間には、折り部搬送ガイドZ014と折り部突き板Z004が配置されている。折り部突き板Z004は駆動機構で図示しない折り部突きモータZ011に連結され、モータの駆動に伴って移動する。
【0019】
折り部搬送ガイドZ014および折り部突き板Z004の下側は空間があり、ループ形成用のループ空間Z015を形成している。折り部突き板Z004が上流側に位置している時に、ループ形成用のループ空間Z015の間口が開き、折り部突き板Z004が下流側に位置している時は、折り部突き板Z004は折り部搬送ガイドZ014とともにシートを搬送するための経路を形成している。
【0020】
折り部折りローラZ007の下流側に、シート搬送方向と上下に交差する方向に増し折りユニットZ009が配置されている。増し折りコロZ016は、等間隔で増し折りユニットZ009に取り付けられており、シート折り目の全域をカバーしている。増し折りユニットZ009は駆動機構で図示しない増し折りユニットモータZ012に連結され、モータの駆動に伴いシート搬送方向と上下に交差する方向に往復移動する。
【0021】
シート折り装置Z013は、シートをZ折りするための「シートZ折り動作」と、シートを折らないで搬送する「シートスルー搬送動作」が設定される。なお、これらの処理条件については後述する。
【0022】
[シート後処理装置]
シート後処理装置F001は図1及び図2に示す様に、装置フレームF014の一方に設けられたシートの搬入口F016と、これと反対の外側に設けられた1枚シートや比較的厚いシートを集積するエスケープトレイF015が配置されている。このエスケープトレイF015の下方には、綴じ処理したシートや比較的量が多いシートを集積する昇降可能なスタックトレイF600が位置している。さらにこのスタックトレイF600の下方には、中綴じあるいは折り処理されたシートを集積するサドルトレイS001が設けられている。
【0023】
[シートの搬送経路]
このシート後処理装置F001の上記搬入口F016からは搬入経路F002から処理トレイ出口F300に向かって略直線的に延びる搬送経路F004が配置されている。搬入経路F002にはパンチユニットP001が設けられ、パンチモータP003によりシートの端面や必要に応じて搬送方向の中程にパンチ処理する。このパンチユニットP001の搬入経路F002を挟んだ下方にはパンチ処理時に発生するパンチ屑を集積するパンチ屑ボックスP002が装置フレームF014に着脱自在に設けられている。
【0024】
上記パンチユニットP001の下流側には、シートを搬送する搬入ローラF003が配置され搬入ローラモータF021(不図示)によりシートを搬送する。この搬入ローラF003の下流側の搬送経路F004には、シートを処理トレイF301やその下流側のスタックトレイF600に導く正逆転可能な搬送ローラF005が設けられている。この搬送ローラF005の後方はシートの搬送経路出口F006となっている。
【0025】
この搬送経路出口F006の下流側には、正逆転可能な排出ローラF601が設けられている。この排出ローラF601は、シートをスイッチバックして処理トレイF301にシートを搬入したり、スタックトレイF600にストレートで排出したり、あるいは処理トレイF301で綴じ処理されたシートの束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出する。
【0026】
[エスケープ経路、分岐経路]
また、搬送経路F004は、シートをエスケープトレイF015に案内するエスケープ経路F008と、比較的長いシートを中綴じ処理や折り処理するためにサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010とに、分岐位置F017で分岐されている。この分岐位置F017には、シートを搬送経路F004にそのまま搬送するか、エスケープ経路F008に搬送するか、搬送経路F004上でスイッチバックさせて分岐経路F010に案内するかを選択するための経路の分岐位置切り替えゲートF007が設けられている。
【0027】
上記分岐経路F010は、図2及び図3に示される様に処理トレイF301の側方でこの処理トレイF301を囲うように下側に湾曲した経路であり、後述するように後続シートが待機シートとして待機する待機経路と兼用している(本発明では、待機経路として説明する場合には、分かりやすく待機経路F010と表現している)。また、エスケープ経路F008には、シートを搬送するエスケープ搬送ローラF009とエスケープトレイF015にシートを排出するエスケープ排出ローラF018が設けられている。
【0028】
[綴じ処理部]
ところで、搬送経路F004の搬送経路出口F006の下方には処理トレイF301が設けられその下端側には、この処理トレイF301上に一時集積したシート束の端面を綴じる綴じ処理部F302が位置している。この綴じ処理部F302については、追って図3図5により説明する。
【0029】
[中綴じ処理部]
一方、比較的長いシートを上記の搬送経路F004を処理トレイF301方向に一旦搬送し、分岐位置切り替えゲートF007の下流側に搬送後、今度はスイッチバック搬送して分岐経路F010に搬送して分岐経路出口S008からサドル処理トレイS006に集積する。このサドル処理トレイS006に集積したシートの中ほどを綴じる中綴じ処理部S002が配置されている。図2に示す様に分岐経路出口S008には、分岐経路排出ローラS009からサドル処理トレイS006にシートが搬入される毎にシートを図示左側に付勢して先行シート後端と次シート先端の衝突を防止する中綴じ処理部切り替えフラッパS010が設けられている。
【0030】
[サドル処理トレイ]
サドル処理トレイS006にはシートの搬入位置を規定するシート先端ストッパS007が位置している。このシート先端ストッパS007は、サドル処理トレイS006の上下側に設置されたプーリに張設された移動ベルトをシート先端ストッパ移動モータS015で駆動することにより図示矢印方向に移動する。シート先端ストッパS007の位置は、シートがサドル処理トレイS006に搬入の際にシートの後端が上記の中綴じ処理部切り替えフラッパS010で変更できる位置、シートの搬送方向の略中央を中綴じユニットS003で中綴じを行う位置、及び中綴じされた位置を折りローラS004対に往復動する折りブレードS005で押し込んでシートの束を二つ折りする位置に夫々停止する。また、折りローラS004の上下には、シートのサドル処理トレイS006の搬入の都度シート幅方向からシートの両側縁を押圧して揃え動作を行う中綴じ整合板S011が設けられている。
【0031】
[中綴じユニット]
中綴じ処理部S002には、シート束を、例えばステープル針を中綴じユニットS003内のドライバによって打ち込み、これに対向する位置に設けられステープル針の脚部を折り曲げるアンビルが設けられている。この中綴じユニットS003は既に広く知られているので、ここでの説明を省略するが、綴じ手段としてはステープル針をシート束に貫通して綴じるのみではなく、シートの搬送方向中央に接着剤を塗布して、シートを貼り合せて束とする機構であってもよい。
【0032】
[サドルトレイ]
上記の中綴じユニットS003で綴じられたシート束は、折りローラS004とこれにシート束を押し込む折りブレードS005によって、二つ折りにされながらのこの折りローラS004とその下流側に位置する折りシート束排出ローラS013によって、サドルトレイS001に排出される。このサドルトレイS001には、折り処理されその背側を先端側として排出される折りシート束をサドルトレイS001に落下させる先端に回転自在のコロを設け揺動自在の折りシート束押えローラS012と、集積した折りシート束が広がらないように上から押える折りシート束押えレバーS014が取り付けられている。この折りシート束押えローラS012と折りシート束押えレバーS014により折りシート束が開いてしまうことによる集積性の低下を低減している。
【0033】
[分岐位置と端面綴じ部]
ここで、図3により分岐位置F017や綴じ処理部F302について、さらに説明を続ける。既に説明したようにここでは、搬入口F016から搬入ローラF003が配置された搬入経路F002、これから処理トレイF301方向に直線的に延びる搬送経路F004、この搬送経路F004から図示上方に延びるエスケープ経路F008と下方に湾曲してシートをサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010が示されている。分岐位置F017には搬入経路F002のシートをエスケープ経路F008か搬送経路F004か、または搬送経路F004をスイッチバック搬送してくるシートを分岐経路F010に選択的に位置して案内する分岐位置切り替えゲートF007が配置されている。
【0034】
この実施の形態にあっては、例えば図3に示すように、実線位置でエスケープ経路F008を塞いで、シートを搬入経路F002から搬送経路F004に案内するようになっており、破線位置では搬入経路F002から搬送されるシートはエスケープ経路F008へ、搬送経路F004をスイッチバック搬送されるシートは分岐経路F010に案内されることを示している。
【0035】
上述した搬送経路F004には、最終端である搬送経路出口F006の直前に、正逆転するとともに相互に離接する搬送ローラF005が配置されている。すなわち、この搬送ローラF005が圧接状態での一方向回転で処理トレイF301側にシートを搬送し、他方回転で反対方向にスイッチバック搬送可能となっている。
【0036】
[スイッチバック搬送について]
このスイッチバック搬送は、搬送経路F004の分岐位置切り替えゲートF007の直後に配置された入口センサF011がシート後端の通過を検出した後、搬送ローラF005を他方回転させることよっておこなわれる。この他方回転のときは、分岐位置切り替えゲートF007が搬入経路F002を塞ぐ位置(図3破線位置)に移動しており、これによりシートは待機経路F010に搬送され、分岐経路搬送ローラF012によって引き継ぎ搬送される、シート後端が所定位置に到達するとこの分岐経路搬送ローラF012を停止して、待機経路F010でシートを待機状態とする。
【0037】
ところで、搬送ローラF005の下流側であり処理トレイ出口F300には、正逆転するとともに相互に離接する排出ローラF601が配置されている。この排出ローラF601は、排出上ローラF603と排出下ローラF604とからなり、これらが相互に圧接状態での一方向回転で、上記の搬送ローラF005と協働してスタックトレイF600にシートを搬送する。また、排出ローラF601は、処理トレイF301に集積して束としたシートをスタックトレイF600に押し出す移動部材でもあるシート後端ストッパF303と協働して排出する際も使用される。
【0038】
[処理トレイへの搬入]
ここで、処理トレイF301へのシートの搬入について説明する。この処理トレイF301への搬入は、搬送ローラF005から放出したシートを下流側に位置する排出ローラF601の他方回転で処理トレイF301の傾斜面を図3右側に搬送する。この搬送されたシートを、掻き込みコロF013を図示反時計方向に回転して移送する。この移送によりシートの搬送方向先端は端面の綴じ基準となるシート後端ストッパF303に当接して停止する。このとき掻き込みコロF013はシート上を滑り、シート先端がシート後端ストッパF303に当接後に座屈することを防いでいる。このように、排出ローラF601は搬送ローラF005から排出されたシートを処理トレイF301のシート後端ストッパF303に送る機能を有している。
【0039】
[ステープル綴じユニット移動と綴じ処理]
シートが搬送ローラF005から放出される度に、排出ローラF601と掻き込みコロF013の回転によりシートをシート後端ストッパF303に送り処理トレイF301上に積み重ねていく。また、この積み重ね動作に合わせて、整合板F304をシート幅方向の両側から当接させてシートを処理トレイF301の幅方向中央に整合する。このような積み重ねと整合を、束とする指定の枚数になるまで繰り返す。指定枚数になると、今度はステープル綴じユニット移動台F305の上を処理シートの端面をシート幅方向に移動するステープル綴じユニットF306を所望の綴じ位置に移動する。この移動は、ステープル綴じユニット移動台F305にシート幅方向に設けられた図示の溝レールにステープル綴じユニットF306のステープル綴じユニット移動ピンF307が嵌合して案内されてなされる。
【0040】
ステープル綴じユニットF306の綴じ処理は既に公知なので説明を省略するが、ステープル綴じユニットF306が指定した綴じ位置で停止すると、ステープル綴じモータF309が回転駆動して、図示していないドライバを移動してステープル針をシート束に打ち込み、打ち込まれたステープル針をアンビルによって折り曲げて針綴じ処理する。この綴じ処理はシート束の角の端面や幅方向の端面の複数位置に行う。
【0041】
[綴じシート束の排出]
ステープル綴じユニットF306で綴じ処理されたシート束は、処理トレイF301下方の左右側に設置されたプーリに架け渡された移動ベルトの図示反時計方向の移動により、このシート後端ストッパ移動ベルトに連結されたシート後端ストッパF303が図示左方向に移動することにより、移動部材としてシート束の綴じ端面側をスタックトレイF600に向けて移動するように押し出す。なおシート後端ストッパ移動ベルトの駆動は、シート後端ストッパ移動モータF327で行われる。この押し出しとともに処理トレイF301の出口に配置された排出ローラF601で綴じられたシート束を表裏から押圧し、時計方向の回転によりスタックトレイF600に綴じられたシート束を排出する。
【0042】
[スタックトレイの昇降]
シート束を集積するスタックトレイF600について説明する。図3に示す様にこのスタックトレイF600は処理トレイF301と傾斜角度を略同様にして配置され、処理トレイF301から排出される綴じシート束や搬送経路F004から搬送ローラF005、排出ローラF601によって排出される1枚毎のシートも集積する。
【0043】
このスタックトレイF600の底面側には、スタックトレイF600を昇降するスタックトレイ昇降モータF605が設けられ、この駆動はスタックトレイ昇降ピニオンF606に伝達される。スタックトレイ昇降ピニオンF606は、装置フレームF014の立ち面F607の両側に上下に固定して設けられたスタックトレイ昇降ラックF608に係合している。また、特に図示していないが、スタックトレイF600の立ち面F607に設けられた昇降レールで上下を案内している。
【0044】
このスタックトレイF600の位置またはこのスタックトレイF600に集積されたシートの位置は、立ち面F607に設けたスタックトレイ紙面センサF609によって検出する。そして、このスタックトレイ紙面センサF609が検出するとスタックトレイ昇降モータF605を駆動して、スタックトレイ昇降ピニオンF606を回転して下降するようになっている。図3の状態は、スタックトレイF600の上面をスタックトレイ紙面センサF609で検出している状態で、ここから多少下降してシート束を受け入れることになる。従って、処理トレイF301からの出口位置の上面と、スタックトレイF600の上面は段差を持って位置している。
【0045】
[搬送上ローラの回転駆動]
まず、搬送上ローラF019と搬送下ローラF020からなる搬送ローラF005の駆動は、搬送ローラモータF023で行われる。この搬送ローラモータF023はハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する搬送ローラ速度検出センサF024が配置されている。
【0046】
[搬送上ローラの離接]
また、搬送上ローラF019は固定された搬送下ローラF020に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、搬送上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する搬送ローラ移動アームモータF022を正逆転駆動することにより、一方向回転によりの解放方向に、他方回転により搬送下ローラF020に圧接する圧接方向に移動する。なお、搬送ローラ移動アームモータF022もステッピングモータで構成されるとともに、搬送上ローラF019の位置を搬送ローラ移動アームセンサF025で検出するようになっている。
【0047】
[搬送下ローラなどの回転駆動]
搬送下ローラF020の回転駆動は、搬送ローラモータF023によって行われる。また、搬送ローラモータF023は同時に掻き込みコロF013も回転させる。
【0048】
この掻き込みコロF013は、ワンウェイクラッチ付ギアを介して伝達されているので、搬送ローラモータF023が正逆回転しても図4の実線矢印方向のみにしか回転せず、処理トレイF301のシート後端ストッパF303の方向のみにシートを移送するように回転する。
【0049】
また、搬送ローラモータF023の駆動は、分岐経路F010中でシートを搬送する分岐経路搬送ローラF012にも伝達される。
【0050】
以上の構成により、搬送ローラモータF023の正逆回転に従い、搬送ローラF005、分岐経路搬送ローラF012は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(スイッチバック方向)に、掻き込みコロF013は実線矢印方向のシート後端ストッパF303方向に回転する。また、この搬送ローラモータF023は、シートを処理トレイF301側に搬送する際や分岐経路F010側へのスイッチバック搬送の際に、所定の速度でシート搬送ができるよう設定可能となっている。
【0051】
[排出上ローラの回転駆動]
排出上ローラF603と排出下ローラF604からなる排出ローラF601の駆動は、排出ローラモータF614で行われる。この排出ローラモータF614もハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する排出ローラ速度検出センサF611も同様に配置されている。
【0052】
[排出上ローラの離接など]
排出上ローラF603は、固定された排出下ローラF604に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、排出上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する排出ローラ移動アームモータF612を正逆転駆動することにより、一方向回転により解放方向に、他方回転により排出下ローラF604に圧接する圧接方向に移動する。なお、排出ローラ移動アームモータF612もステッピングモータで構成されるとともに、排出上ローラF603の位置を排出ローラ移動アームセンサF613で検出するようになっている。また、排出下ローラF604の回転駆動は、排出ローラモータF614によって行われる。
【0053】
[排出ローラモータの速度設定]
以上の構成により、排出ローラモータF614の正逆回転に従い、排出ローラF601は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(シートが搬送ローラF005から放出されてから処理トレイF301上でシート後端ストッパF303側への搬送方向)に回転する。また、この排出ローラモータF614は、搬送ローラF005を所定の速度で駆動するように速度設定が変更可能としている。
【0054】
なお、この実施の態様においては、後述する待機搬送を行う場合のスイッチバック搬送時など搬送ローラF005でシート搬送を行っている場合は、駆動モータが分かれていて連動が難しいので、この排出上ローラF603は排出下ローラF604から解放された離間位置に位置している。
【0055】
[待機搬送、サドル処理トレイ搬送]
ここで、図3に戻って、例えば上述した綴じ処理のためスイッチバック搬送して待機経路F010に待機する待機搬送について述べる。処理トレイF301のステープル綴じユニットF306で綴じ処理する場合に、画像形成装置H001の画像形成したシートの搬入する速度が速く、またシート間隔が短いために、先行するシート束の綴じ処理が完了しないのに次のシートが搬入されることを防ぐ必要がある。この為、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートの1枚目または2枚目までを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを待機経路F010に留め置いて待機させることが行われている。そして次の2枚目あるいは3枚目のシートと重ね合わせて送るように待機経路F010に待機した待機シートを繰り出す様にしてシート束間の間隔時間を確保する。
【0056】
なお、ここではこの搬送経路F004から待機経路F010にスイッチバック搬送し、この待機経路F010にシートを1枚以上留め置いて待機させ、この待機した待機シートの次のシートと共に繰り出し搬送することを「待機搬送」と言う。この待機搬送を行う綴じ処理用のシートは搬送方向長さが比較的短いシート、例えばA4、B5、レターの各サイズシートが多い。従って、これらのシートは待機搬送のためにスイッチバック搬送は、処理トレイF301の下流側に大きくはみ出ることなく行われ、この搬送時にシートが曲がることは少ない。たとえ、多少曲がっても、処理トレイF301迄の距離は比較的短いので、整合板F304の整合動作で曲がりが矯正されやすい。
【0057】
また、上記の綴じ処理の完了は、シート束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出動作が完了するのみではなく、処理トレイF301上の整合板F304の初期設定動作やシート後端ストッパF303の初期位置復帰あるいはその他次シートを受け入れるために各機構を初期位置設定することを含む。
【0058】
次に、中綴じユニットS003で中綴じ処理を行い、このシートを折りローラS004と折りブレードS005で折り処理して折りシート束とするためのサドル処理トレイS006に搬送する場合について述べる。このサドル処理トレイS006への搬送は、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを分岐経路F010からサドル処理トレイS006に搬送することになる。このスイッチバック搬送したシートを、分岐経路F010を介してサドル処理トレイS006に搬送することを、ここでは「サドル処理トレイ搬送」という。
【0059】
[スイッチバック搬送]
なお、この実施の形態においては、搬送ローラF005によりシートは「待機搬送」を行う場合には、シート後端が搬送経路F004と待機経路F010との分岐位置に配置された入口センサF011に検知されるとシートを待機経路F010にスイッチバック搬送して待機経路F010に位置する分岐経路搬送ローラF012にニップさせてその後この分岐経路搬送ローラF012の回転を停止する。また、待機経路F010の下流側に位置するサドル処理トレイS006に集積して中綴じ処理を行う「サドル処理トレイ搬送」を行う場合、同様に搬送ローラF005によりスイッチバック搬送されたシートを分岐経路F010の分岐経路搬送ローラF012に送り停止させることなくサドル処理トレイS006に送る。
【0060】
また、排出ローラF601も正逆転可能となっていて、搬送ローラF005によって送られてきた後続シート(待機経路F010に待機していた待機シート、または搬入経路F002からのシートあるいはこれらの重ね合わせたシート)の後端が、搬送ローラF005から放出すると、この後続シートを排出ローラF601でニップし、その後逆転するとこれらの後続シートはシート後端ストッパF303側へ搬送されて、処理トレイF301に収納される。
【0061】
[処理トレイからのシート束排出]
また、排出ローラF601は、先に説明したように排出上ローラF603が揺動可能となっていて、下降して排出下ローラF604に圧接する圧接位置(図4の破線位置)と、排出下ローラF604から上昇した離間位置(図4の実線位置)に位置する。そして、処理トレイF301でシート束に所定の後処理がされた後に、このシート束をスタックトレイF600に排出するために、まずシート後端ストッパF303を処理トレイ出口F300側に移動して押し上げる。引き続き排出上ローラF603を圧接位置に下降して、シート束を排出下ローラF604と共にニップして処理トレイ出口F300側にシート束を移送して、スタックトレイF600に束排出する。
【0062】
[シート処理部]
排出ローラF601によって排出されるシート束は、処理トレイF301のシート処理部で処理される。本実施の態様のシート処理は、ステープル綴じユニットF306で綴じる綴じ処理と、整合板F304で処理トレイF301での位置を異ならせて排出してスタックトレイF600で綴じられることなく区分けする、いわゆるジョグ処理が行われる。なお、このほかにも、糊付けによる貼り合わせやシートに穿孔するパンチ処理などもこのシート処理に含まれる。
【0063】
[ステープル綴じユニットの移動]
すでに、この発明のシート処理部として、シート束を針綴じ処理するステープル綴じユニットF306について触れているが、ここでこのステープル綴じユニットF306のシート束の幅方向の移動について、図5により説明する。この図はシート束の針綴じを行うステープル綴じユニットF306が、ステープル綴じユニット移動台F305上で移動することを示している。このステープル綴じユニット移動台F305はシート後処理装置F001の装置フレームF014に、図示上部をフロント側として、下部をリア側としている。図3も参照すると、ステープル綴じユニット移動台F305にはステープル綴じユニットF306側から突出するステープル綴じユニット移動ピンF307を案内するステープル綴じユニット移動溝F311が略直線状に設けられている。このステープル綴じユニットF306の先端側にステープル綴じユニットガイドピンF308が、ステープル綴じユニット移動台F305に設けられたステープル綴じユニット姿勢ガイドF310に係合されてある。
【0064】
また、ステープル綴じユニットF306は、ステープル綴じユニット移動モータF312によって移動するステープル綴じユニット移動台ベルトF313に結合されている。これにより、ステープル綴じユニットF306は、その移動位置によって、リア側のコーナー綴じ位置F314、これよりセンター側の範囲にマルチ綴じ範囲F316~F317、フロント側のコーナー綴じ位置F315となっている。さらに、フロント側においてステープル綴じユニットF306の後方を装置外側に向ける針補充位置と、これよりフロント側のマニュアル綴じ位置でもあり綴じ開始前のステープル綴じユニットホームポジション位置F318に位置するように制御される。したがって、この実施態様の装置は、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束の任意の位置で綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306を有している。なお、シート処理部では処理トレイF301にシートの搬入の都度シート揃えを行うシート幅方向に対となる整合板F304が配置されている。
【0065】
[整合板]
次に、図6により、処理トレイF301へのシート搬入の都度シート側縁に当接して、シートを整合したり、シートの積載位置を変更したりする整合板F304について説明する。図6は、処理トレイF301を上面から見た図で、整合板F304は、フロント側のフロント整合板F319とリア側のリア整合板F320とからなる。これらは夫々、シートの側縁に離接するフロント整合面F321とリア整合面F322を有する。このシート側縁への離接は、フロント整合モータF323、及びリア整合モータF324によって行われる。
【0066】
このフロント整合板F319とリア整合板F320は、マルチ綴じをするときはシートセンターを基準として整合したり、コーナー綴じのときは、図6のように片側基準として整合したり綴じ方などよって整合の基準を変更することができる。また、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束を片寄せし、これをスタックトレイF600に排出することによってシート束を区分けするいわゆるジョグ処理も可能となっている。
【0067】
[区分け処理]
区分け処理を行う場合は、たとえば図6に示す最大シートを処理トレイF301に搬入後、このシート幅方向外側に位置していたフロント整合板F319を図示F325(フロント側シフト位置)へ移動する。これによってシートは予め退避していたリア整合板F320にシートの側縁が当接して、F326(リア側シフト位置)へ寄せられて処理トレイF301に位置することになる。これとは逆にリア側整合板F320でフロント側に寄せれば、フロント側に位置することになる。これによりシートを区分けすることができる。
【0068】
[シートZ折り動作]
シート折り装置Z013でシートをZ折りする動作を説明する。図8A及び図8Bの(a)~(f)では、Z折りを形成するためのシートの動きを示している。
【0069】
まず図8A(a)で示すように、上流側の画像形成装置H001から排紙されたシートを搬送方向へ駆動している折り部搬送ローラZ002で搬送し、折り部搬送ガイドZ014の経路を更に搬送する。
【0070】
次に図8A(b)で示すように、シート先端が折り部搬送ガイドZ014と折り部突き板Z004の搬送経路を搬送した後、シートの流れに沿って折り部折り前センサZ006でシート先端位置を検知し、折り部折りローラZ007にてシート先端を保持させた状態となるように所定量搬送したところで折り部折りローラZ007の駆動を停止する。
【0071】
次に図8A(c)で示すように、シート先端を折り部折りローラZ007に保持させた状態で、折り部突き板Z004を上流側へ移動し、折り部搬送ローラZ002を駆動し続けることで、ループ形成用のループ空間Z015にシートを誘い込む。
【0072】
次に図8B(d)、図8B(e)で示すように、折り部搬送ローラZ002で所定量シートを送りこみ、ループを形成させた後、折り部突き板Z004を下流側へ移動させ、折り部折りローラZ007にシートを押し込むことでシートに1つ目の折りを形成する。
【0073】
次に図8B(f)で示すように、シートに1つ目の折りを形成した後、折り部折りローラZ007を搬送方向へ駆動し、ループを形成していた箇所が絞られていき、最終的には折り部折りローラZ007で絞り折りされ、2つ目の折りを形成する。
【0074】
折り目の精度を向上させるため、シートの折り目が増し折りコロZ016の下部に来たときにシートの搬送を停止させ、シートの折り目に沿うように増し折りユニットZ009を駆動させて増し折り処理を実施する。Z折りにおいては2ヵ所の折り目があるため、シート搬送を折り目毎に停止して増し折りを行う。
【0075】
増し折りが完了したら、シートを搬送しシート折り装置Z013から排出し、下流側に接続された装置にシートを受け渡す。
【0076】
[シートスルー搬送動作]
シート折り装置Z013でシートを折らずにそのまま下流側にスルー搬送する動作を説明する。まず図8A(a)で示すように、上流側の画像形成装置H001から排紙されたシートを折り部搬送ローラZ002で搬送し、折り部搬送ガイドZ014の経路を更に搬送する。
【0077】
次に図8A(b)で示すように、シート先端が折り部搬送ガイドZ014と折り部突き板Z004の搬送経路を搬送した後、シートの流れに沿って折り部折り前センサZ006でシート先端位置を検知し、折り部折りローラZ007を通過し、更に下流側に搬送する。
【0078】
そのまま増し折りユニットZ009を通過した後、シート折り装置Z013から排出し、下流側に接続された装置にシートを受け渡す。
【0079】
[パンチユニット]
搬入経路F002に配置され、搬入口F016から搬送されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニットP001について説明する。パンチユニットP001は、搬入経路F002のシート搬送方向に対して直交する方向に複数のパンチ部材101(101a~101e)を所定の間隔で配列して、選択された穴数をシートに穿孔する。
【0080】
図9にパンチユニットP001の説明図を、図10にパンチユニットP001の拡大側面説明図を示す。パンチユニットP001は、ユニットフレーム102と、このユニットフレームに上下動可能に配列された複数のパンチ部材101(101a~101e)と、各パンチ部材を上下動(穿孔方向に往復動)する駆動カム103と、この駆動カム103を駆動するパンチモータP003で構成されている。
【0081】
パンチ屑ボックスP002は、パンチ部材101(101a~101e)の下方に配置され穿孔屑を収納する。このパンチ屑ボックスP002は側枠フレーム70f、70r(ユニットフレーム102とは異なる)にスライド可能にガイドレール105に取り付けられている。回転操作部材106は、パンチ部材101(101a~101e)に搬送不良が発生した場合やパンチ駆動モータP003に異常が発生した場合に駆動カム103を強制的に回転させてシートに食い込んだパンチ部材101(101a~101e)を引き離す(引き剥がす)。このため回転操作部材106は、駆動カム103の回転軸107に連結された手動回転ツマミで構成してある。
【0082】
図10に示すようにユニットフレーム102は、搬入経路F002のシート搬送方向と直交する方向に所定長さの上部フレーム102aと、下部フレーム102bで構成されている。上部フレーム102aにはシート搬送方向と直交する方向(以下「搬送直交方向」とする)に所定間隔で複数のパンチ部材101(101a~101e)が穿孔方向に往復動可能(上下動可能)に配置されている。下部フレーム102bには各パンチ部101(101a~101e)に対向する位置に穿孔穴(ダイ)が形成されている。またユニットフレーム102には駆動回転軸107が配置され、この回転軸107に各パンチ部材101(101a~101e)を上下動する駆動カム103が取り付けられている。さらに、回転軸107にはパンチモータP003が伝動機構を介して連結されている。
【0083】
駆動カム103は、回転軸107に軸着され複数のパンチ部材101(101a~101e)に対応する円筒カム部材で構成され、このカム部材に各パンチ部材101(101a~101e)が連結ピンで連結されている。そして回転軸107の所定角度回転でパンチ部材101(101a~101e)は穿孔方向に上下動するようになっている。このとき複数パンチ部材101(101a~101e)の第1グループ101b、101d(例えば2穴穿孔)は、駆動回転軸107の第1回転角度で穿孔方向に上下動し、異なる第2回転角度で第2グループ101a、101c、101e(例えば3穴穿孔)が穿孔方向に上下動する。
【0084】
パンチ屑ボックスP002は、上記パンチ部材101(101a~101e)の下方に配置され、側枠フレーム70f、70rに設けたガイドレール105に支持され、シート後処理装置F001のフロント側(図示のものはフロントカバー73f)から着脱するようになっている。
【0085】
また回転軸107は、パンチモータP003が歯車伝動機構を介して連結されていると共に、オペレータが手動で回転操作部材106を回転することが可能なように側枠フレーム70fに設けられた開口部70xを通して側枠フレーム70fのフロント側に配置されている。
【0086】
[パンチユニットのシフト機構]
上述のパンチユニットP001は側枠フレーム70f,70r間を連結するステー部材70sに取り付けられ、ガイドレール108上を側枠フレーム70fに設けられた開口部70xをユニットフレーム102の上部フレーム102aが貫通してスライド移動可能に嵌合されている。そして上部フレーム102aの一部にラック109が一体形成され、パンチシフトモータP004と駆動ピニオン110でユニットフレーム102全体がシート後処理装置F001のフロント側、もしくはリア側に位置移動する。
【0087】
[パンチユニットのシフト処理]
パンチユニットP001は搬入経路F002に搬送されたシートの側端縁を基準に適合する穿孔穴位置に位置移動する。
【0088】
このためユニットフレーム102には、シートの側端縁を検出するセンサS3(例えばJISB5縦)、S4(A4縦)、S5(B5横)、S6(A4横、A3縦)、がサイズ毎に配置されている。また図示HpSはユニットフレーム102に取り付けられたホームポジションセンサである。
【0089】
後述するシート後処理装置制御部(CPU)C003は、搬入経路F002にシート先端が搬入されたタイミングを基準にパンチユニットP001をホームポジションから所定方向に位置移動する。そしてシート側端縁を検出したセンサの検出信号を受信し、その信号がいずれのセンサで発信されたかを判別して、シートサイズと側端縁を認識し、サイズに応じた穿孔位置を割り出す。そしてその穿孔位置にパンチユニットP001を位置移動する。
【0090】
搬入経路F002に搬送されるシートにパンチ処理を施す場合、後述するシート後処理装置制御部(CPU)C003はパンチ穿孔位置にてシートの搬送を一時的に停止する。そして、パンチユニットP001を搬送直交方向に移動し、シートの側端縁をセンサ(例えば、S3、S4、S5、S6)で検出して所定の穿孔位置を割り出した後にパンチユニットP001を停止してパンチ処理を実行する。
【0091】
パンチ処理が完了すると、シート後処理装置制御部(CPU)C003はシートの搬送を再開させるが、この時、画像形成装置H001から搬送される際の搬送速度(例えば、280mm/s)よりも速い速度(例えば、750mm/s)でシートを再搬送して先行シートに対するパンチ処理時間分縮まってしまった後続シートとのシート間隔を一時的に広げることで後続シートとの衝突を回避している。
【0092】
しかしながら、このようなパンチ処理後の再搬送速度を上流の画像形成装置H001から搬送される際の搬送速度よりも速くすることで先行シートと後続シートのシート間隔を一時的に広げるという従来制御では、限られたシート搬送経路内にて単純に先行シートを加速して搬送するだけでは先行シートと後続シートのシート間隔を十分に確保することが難しく、実際にはジョブ全体の生産性を低下させているという課題があった。
【0093】
そこで、上記課題を解決するための本発明のシート間隔確保制御について具体的な実施例を用いて説明する。図11A図11Dは、本発明のシート間隔確保制御の駆動説明図を、図12は、本発明のシート間隔確保制御実施時のモータ駆動タイミングを、図13は、本発明のシート間隔確保制御のフローチャートを示している。なお、実施例では、シートP1(先行シート)にパンチ処理を施した際にシートP2(後続シート)とのシート間隔が縮まる場合を想定しているが、本発明における特許請求の範囲はこの実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、以下の動作は後述するシート後処理装置制御部(CPU)C003により実行される。
【0094】
図11A(a)は、シートP1を折り部搬送ローラZ002、折り部折りローラZ007で搬送している状態を示している(S501)。なお、この時、折り部搬送モータZ003、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021は280mm/sで駆動している(図13参照)。
【0095】
続けて、図11A(b)は、シートP1を折り部折りローラZ007、搬入ローラF003で搬送し、シートP1のシート後端から所定のシート間隔分(実施例では、Xmmとする)開いて搬送されるシートP2を折り部搬送ローラZ002で搬送している状態を示している(S502)。
【0096】
その後、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、シートP1がパンチ穿孔位置に到達したか否かを判定する(S503)。シートP1がパンチ穿孔位置に到達していないと判定した場合(S503:N)は処理を再度S503に戻し、シートP1がパンチ穿孔位置に到達したと判定した場合(S503:Y)は処理をS504へ進め、搬入ローラモータF021を停止開始する(図13参照)。
【0097】
シート後処理装置制御部(CPU)C003は、続けてS505にて搬入ローラモータF021が停止完了したか否かを判定する。搬入ローラモータF021が停止完了していないと判定した場合(S505:N)は処理をS505に戻し、搬入ローラモータF021が停止完了したと判定した場合(S505:Y)は処理をS506へ進める。図11A(c)は、シートP1がパンチ穿孔位置で停止している状態を示しており、シート後処理装置制御部(CPU)C003はシートP1に対して上述したパンチ処理を開始する(図13参照)。
【0098】
その後、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、シートP1のシート後端からXmm分開いて搬送されるシートP2が折り部折りローラZ007を所定量ニップした位置に到達したか否かを判定する(S507)。シートP2が折り部折りローラZ007を所定量ニップした位置に到達していないと判定した場合(S507:N)は処理をS507に戻し、シートP2が折り部折りローラZ007を所定量ニップした位置に到達したと判定した場合(S507:Y)は処理をS508へ進め折り部折りモータZ008を停止開始する。図11B(d)は、シートP2が折り部折りローラZ007でシート先端を所定量ニップしている状態であり、この状態から図13に示す様に、折り部搬送モータZ003は280mm/sで駆動を継続させながら折り部折りモータZ008を停止開始させるため、図11B(e)、図11B(f)のようにシートP2にループが形成されていくことになる。なお、本実施例では、折り部折りモータZ008を停止させる例を紹介しているが、実際には、折り部折りモータZ008が折り部搬送モータZ003よりも遅い速度で駆動することでシートP2にループを形成しても良い。
【0099】
続けて、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、S509にてシートP1に対するパンチ処理が完了したか否かを判定する(S509)。シートP1に対するパンチ処理が完了していないと判定した場合(S509:N)は処理をS509に戻し(この間、シートP2には継続してループが形成される)、シートP1に対するパンチ処理が完了していると判定した場合(S509:Y)は処理をS510に進める。
【0100】
S509にてシートP1に対するパンチ処理が完了していると判定されると、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、S510にて搬入ローラモータF021を750mm/sで再起動させシートP1を下流側へ搬送開始すると共に折り部折りモータZ008を750mm/sで再起動させシートP2を下流側へと搬送開始する(この状態は図11C(g)に示している)。なお、図13に示す様に、折り部搬送モータZ003は280mm/sで駆動を継続させながら搬入ローラモータF021と折り部折りモータZ008を750mm/sで駆動させるため、図11C(h)、図11C(i)、図11D(j)のようにシートP2に形成されたループが解消されていくことになる。
【0101】
S510にてシートP2に形成されたループが解消され始めると、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、S511にてシートP2に形成されたループ量や折り部搬送モータZ003、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の駆動速度などからループ解消完了減速ポイント(例えば、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021を折り部搬送モータZ003と同じ280mm/sへ減速完了させた時にシートP2に形成されたループの解消が完了するタイミング)を決定する。
【0102】
続けて、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、S512にてシートP2がループ解消完了減速ポイントに到達したか否かを判定する(S512)。シートP2がループ解消完了減速ポイントに到達していないと判定した場合(S512:N)は処理をS512に戻し、シートP2がループ解消完了減速ポイントに到達したと判定した場合(S512:Y)は処理をS513に進め折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021を280mm/sへ減速開始する。図11C(i)は、シートP2がループ解消完了減速ポイントに到達した状態であり、この状態から図13に示す様に、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の減速が完了した時にシートP2に形成されたループの解消が完了するように折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021を280mm/sへ減速開始させる。
【0103】
その後、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の減速が完了したか否かを判定する(S514)。折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の減速が完了していないと判定した場合(S514:N)は処理をS514に戻し、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の減速が完了したと判定した場合(S514:Y)はシート間隔確保制御を終了する(図11D(j)はシートP2に形成されたループの解消が完了された状態を示している)。なお、この実施例においては、シートP2にループを形成することでシートP1に対するパンチ処理時間分のシート間隔を確保すると共に、シートP2に形成されたループを解消しながら搬送を継続しているためシートP2とシートP2に続くシートP3の間でシート間隔が縮まることはない。従って、図11D(k)に示す様に、シートP2のシート後端から所定のシート間隔分(実施例では、Xmmとする)以上に遅延させてシートP3を搬送させる必要がないため、ジョブ全体の生産性を向上させることが可能となる(従来制御のように生産性を低下させる必要がない)。
【0104】
[シート間隔確保制御の実施の有無]
シート後処理装置制御部(CPU)C003は、所定のシート(例えば、実施例におけるシートP1)のシート後端が搬入口F016から搬入されてから、その所定のシートに続くシート(例えば、実施例におけるシートP2)のシート先端が搬入口F016から搬入されるシート間隔を認識するシート間隔認識手段を備えており、シート間隔認識手段によって認識されるシート間隔に基づいて本発明であるシート間隔確保制御を実施するか否かを判定することができる。
【0105】
例えば、シートP1のシート後端が搬入口F016から搬入してからシートP2のシート先端が搬入口F016に搬入するまでのシート間隔が所定間隔よりも長く(もともとシステムとしての生産性が遅い、シートP2が画像形成装置H001の都合により搬入タイミングが突発的に遅れてしまう等が考えられる)、本発明のシート間隔確保制御を実施しなくてもシートP1とシートP2のシート間隔を十分に確保可能であると認識した場合は、本発明のシート間隔確保制御を実施しないことも可能である。
【0106】
また、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、所定のシート(例えば、実施例におけるシートP2)の坪量を認識する坪量認識手段を備えており、坪量認識手段によって認識されるシートの坪量に基づいて本発明であるシート間隔確保制御を実施するか否かを判定することができる。
【0107】
例えば、シートP2の坪量が所定値以上であり、本発明のシート間隔確保制御によりシートP2にループの形成を実施した場合にシートP2に対して座屈等のダメージが懸念されると認識した場合は、本発明のシート間隔確保制御を実施しないことも可能である。
【0108】
図14は、本発明のシート間隔確保制御の実施の有無の決定処理の例を示したフローチャートである。
【0109】
まず、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、画像形成装置H001より図示しない通信線を介してシートP2に関する情報を受け取った際、S601にてシートP1の情報が有るか否かを判定する(シートP1に対する全ての処理が完了し、エスケープトレイF015/スタックトレイF600/サドルトレイS001のいずれかのトレイに排出が完了している場合、シートP1に関する情報は消去されているものとする)。シートP1の情報が無いと判定された場合(S601:N)はシートP2に対して本発明のシート間隔確保制御を実施しないように決定する(S606)。
【0110】
S601にて、シートP1の情報が有ると判定した場合(S601:Y)は、続けてシートP1とシートP2のシート間隔が所定値未満であるか否かを判定する(S602)。シートP1とシートP2のシート間隔が所定値以上であると判定した場合(S602:N)は本発明のシート間隔確保制御を実施しないように決定する(S606)。
【0111】
なお、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、S602にて、シートP1とシートP2のシート間隔が所定値未満であると判定した場合(S602:Y)は、続けてシートP2の坪量が所定値未満であるか否かを判定する(S603)。シートP2の坪量が所定値以上であると判定した場合(S603:N)は本発明のシート間隔確保制御を実施しないように決定し(S606)、シートP2の坪量が所定値未満であると判定した場合(S603:Y)は、本発明のシート間隔確保制御を実施するように決定する(S604)。ただし、本発明のシート間隔確保制御を実施するか否かを判定する基準については、これらに限定されずに特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の判定基準を設けることができる。
【0112】
[シート間隔確保制御実施時のループ形成量]
シート後処理装置制御部(CPU)C003は、シート間隔確保制御実施時に所定のシートに形成されるループ量を認識するループ量認識手段を備えており、S604にて本発明のシート間隔確保制御を実施するように決定した場合、例えば、シートP1に施される処理によって縮まるシートP1とシートP2のシート間隔からシートP2に形成されるループ量を決定することが出来る(S605)。なお、通常は、シートP1に施される処理によって縮まるシートP1とシートP2のシート間隔が大きくなる程、シートP2に対するループ形成量が大きくなるように制御している(シートP2に対する座屈等のダメージの可能性を鑑みると、シートP1に施される処理によって縮まるシートP1とシートP2のシート間隔が小さい場合は、シートP2に対するループ形成量を小さくする方が好ましいため)。
【0113】
また、本発明のシート間隔確保制御における実施例では、シートP2とシートP3とのシート間隔が縮まらないようにシートP2に形成されたループを解消しながら搬送を継続しているが、シートP2に形成される最大ループ形成量は、本実施例の場合、折り部搬送モータZ003、折り部折りモータZ008、搬入ローラモータF021の駆動速度、シートP2のシートサイズ等の情報により決定される。これは、例えば、シートP2にループを形成する前の折り部折りモータZ008の搬送速度とループ解消時の折り部折りモータZ008の搬送速度差が小さい、シートP2の搬送方向に対するシートサイズが短くループ解消する前にシートP2のシート後端が折り部搬送ローラZ002を抜けてしまう場合等が考えられる。ただし、このような場合であってもシートP2に対するループの解消を実施した時と実施しなかった時の時間差分はシートP3とのシート間隔を確保することが可能となるため、本発明のシート間隔確保制御を実施した場合の方が生産性の向上が見込めることは明らかである(なお、シートP2に対して最大ループ形成量のループを形成してもシートP3とのシート間隔を広げる必要がある場合は、シートP2に対するループの解消を実施した時と実施しなかった時の時間差分を図示しない通信線を介して画像形成制御部C000に通知する等の手段により、必要最低限の遅延時間だけでシートP3を受け取ることが可能である)。
【0114】
図15は、シートP1とシートP2の縮まるシート間隔とシートP2へのループ形成量と最大ループ形成量の関係図である。以上より、本発明のシート間隔確保制御においては、例えば、シートP1に施される処理によって縮まるシートP1とシートP2のシート間隔や折り部搬送モータZ003、折り部折りモータZ008、搬入ローラF021の駆動速度、シートP2のシートサイズ等の情報からシートP2に形成されるループ量を最適に(若しくは、任意に)決定することが可能である。ただし、本発明のシート間隔確保制御におけるループ形成量の判定基準については、これらに限定されず特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の判定基準を設けることができる。
【0115】
[シート間隔確保制御実施時のループ空間]
また、本発明のシート間隔確保制御における実施例では、シートP2に形成されるループは折り部搬送ローラZ002と折り部折りローラZ007の間に設けられた折り部搬送ガイドZ014及び折り部突き板Z004の鉛直方向下方に設けられたループ空間Z015に形成される場合について説明しているが、ループ空間Z015は、図16(a)に示す様に、折り部搬送ローラZ002と折り部折りローラZ007の間の固定搬送ガイドZ019の鉛直方向上方に設けられても良く、ループ空間Z015を設ける位置に関しては、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の実施形態を設けることが可能である。
【0116】
[制御構成の説明]
上述した画像形成装置システム制御構成を図17のブロック図に従って説明する。図1に示す画像形成装置システムは画像形成装置H001の画像形成制御部C000とシート後処理装置F001のシート後処理装置制御部(CPU)C003を備えている。画像形成制御部C000は、給紙制御部C001と入力部C002を備えている。そしてこの入力部C002に設けられたコントロールパネルH021から「プリントモード」「シート処理モード」の設定を行う。
【0117】
シート後処理装置制御部(CPU)C003は、前述の指定されたシート処理モードに応じてシート後処理装置F001を動作させる。このシート後処理装置制御部(CPU)C003は、動作プログラムを記憶した不揮発性記憶部(ROM)C004と、制御データを記憶する揮発性記憶部(RAM)C005とを備えている。また、このシート後処理装置制御部(CPU)C003には、各種センサ入力部C014からスタックトレイF600上の紙面検出するスタックトレイ紙面センサF609や搬送経路F004のシートを検出する入口センサF011などの信号が入力される。
【0118】
このシート後処理装置制御部(CPU)C003は、シートの搬入経路F002の搬入ローラモータF021、搬送経路F004と分岐経路F010の搬送ローラモータF023、処理トレイF301出口の排出ローラモータF614、搬送上ローラF019の昇降を行う搬送ローラ移動アームモータF022、排出上ローラF603の昇降を行う排出ローラ移動アームモータF612などを制御するシート搬送制御部C006を備えている。また、このシート後処理装置制御部(CPU)C003は、パンチユニットP001でシートに穿孔処理を行うパンチモータP003などを制御するパンチ制御部C007と、処理トレイF301でシートの集積動作を行う整合板F304などを制御する処理トレイ制御部C008を備えている。また、処理トレイF301上のシート束に綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306のステープル綴じモータF309などを制御するステープル綴じ制御部C009と、ステープル綴じしたシート束やスタックトレイF600上へのシートスイッチバックに応じて昇降するスタックトレイ昇降モータF605などを制御するスタックトレイ昇降制御部C010も備えている。
【0119】
また、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、中綴じ処理するためにサドル処理トレイS006に集積するシートの中綴じ整合板S011やシート先端を規制するシート先端ストッパS007などを制御するサドル処理トレイ制御部C011と、シート束の搬送方向中程を綴じる中綴じユニットS003を制御する中綴じ制御部C012を有している。
【0120】
さらに、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、中綴じ処理したシート束を二つ折りにしてサドルトレイS001に排出する折りローラS004や折りシート束排紙ローラS013などを制御する折り・排出制御部C013を備えている。これら各制御部と搬送されるシートを検出する各センサと各駆動モータとのつながり等は既に各動作の態様においても述べた通りである。
【0121】
また、シート後処理装置制御部(CPU)C003は、搬送されるシートにループを形成しZ折り処理するための折り部折りローラZ007や折り部突き板Z004などを制御するZ折り制御部C020を有している。
【0122】
[シート処理モードの説明]
上述のように構成された本実施態様のシート後処理装置制御部(CPU)C003はシート後処理装置F001に、例えば「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「区分け(ジョグ)モード」、「中綴じモード」「パンチモード」等を実行させる。以下、この処理モードについて述べる。
【0123】
(1)「プリントアウトモード」
画像形成装置H001の本体排出口H011から画像形成されたシートを受け入れ、このシートを搬送ローラF005や排出ローラF601でスタックトレイF600に収容する。
【0124】
(2)「ステープル綴じモード」
本体排出口H011から画像形成されたシートを処理トレイF301に受け入れシートを束状に部揃えして端面綴じユニットF306で綴じ処理した後、スタックトレイF600に収納する。なお、この綴じ処理にあっては、本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して待機経路F010に一時待機して待機シートとする「待機搬送」を行う。
【0125】
(3)「区分け(ジョグ)モード」
本体排出口H011から画像形成されたシートを処理トレイF301に受け入れシートを1枚ずつフロント側リア側いずれかの方向に区分け(ジョグ)して綴じることなくスタックトレイF600に収納する。なお、この区分け(ジョグ)にあっても、本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送して待機経路F010に一時待機して待機シートとする「待機搬送」を行う。
【0126】
(4)「中綴じモード」
画像形成装置H001の本体排出口H011から画像形成されたシートをサドル処理トレイS006に受け入れ、シートを束状に部揃えし中綴じユニットS003でシートの受け入れ搬送方向の略中央を綴じ、冊子状に折り畳んでサドルトレイS001に収納する。この中綴じ処理にあたっては、本体排出口H011からのシートをスタックトレイF600上に一旦排出し、その後分岐経路F010にスイッチバック搬送してサドル処理トレイS006に搬送する「サドル処理トレイ搬送」を行っている。
【0127】
(5)「パンチモード」
画像形成装置H001から画像形成されたシートを受け入れ、パンチユニットP001でパンチ処理した後、シートを下流側へ搬送する。なお、このパンチモードは、上述した「プリントアウトモード」「ステープル綴じモード」「区分け(ジョグ)モード」と合わせて処理することが可能である(パンチユニットP001でパンチ処理した後、端面綴じユニットF306で綴じ処理してスタックトレイF600に収納する等)。
【0128】
以上のように、上述した各実施態様によれば、先行シートに所定の処理を施すために先行シートと後続シートとのシート間隔が縮まってしまう場合、シートにループを形成するためのループ空間にて後続シートの先端側にループを形成し先行シートとのシート間隔を十分に確保すると共に、後続シートと後続シートに続くシートとのシート間隔が縮まらないように後続シートに形成されたループを解消しながら搬送を継続することで、ジョブ全体の生産性を向上させることが可能となる。
【0129】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17