(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092123
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】巻線構造
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20220615BHJP
H02K 3/04 20060101ALI20220615BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K3/04 J
H02K1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204712
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目黒 貴博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 恭平
【テーマコード(参考)】
5H601
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H601AA03
5H601AA09
5H601BB12
5H601CC01
5H601DD02
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD22
5H601DD41
5H601EE03
5H601EE11
5H601EE18
5H601GA02
5H601GB04
5H601JJ06
5H601KK26
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB12
5H603BB13
5H603BB19
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB04
5H603CB11
5H603CB16
5H603CB18
5H603CC11
5H603CC17
5H603CD21
5H603CE01
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB14
5H604BB15
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA14
5H604DB01
5H604PB03
5H604QA01
5H604QA04
5H604QB14
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】導電ピンのみならず、手や専用の治具を使用せずに、巻線の端部を位置決めして半田接続部に直接接続できる巻線構造を提供する。
【解決手段】本発明の巻線構造1は、磁性材料で構成されるコア16と、コア16と一体でインサート成型されている樹脂部材18と、樹脂部材18のコア16を囲む巻装部18Aに巻回される巻線16とからなる。樹脂部材18には、巻装部18Aに巻回する巻線16のコイル部16Aから引き出された端部16Bを絡げて、半田接続部であるランド33に導く足部18Cが形成される。予め樹脂部材18と一体に形成された足部18Cに巻線16の端部16Bを絡げるだけで、その巻線16の端部16Bが自ずとランド33に導かれ、そこで巻線16の端部16Bとランド33とを半田付け接続できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料で構成されるコアと、
前記コアと一体で成型されている樹脂部材と、
前記樹脂部材の前記コアを囲む巻装部に巻回される巻線と、からなり、
前記樹脂部材には、前記巻装部から引き出された前記巻線の端部を絡げて半田接続部に導く足部が形成されることを特徴とする巻線構造。
【請求項2】
前記足部は、前記巻線の端部の基端と先端をそれぞれ巻き付ける一対の係合片で構成され、
一方の前記係合片と他方の前記係合片との間に、前記半田接続部が位置することを特徴とする請求項1記載の巻線構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線の端部を位置決めして半田接続部に接続するファンモータなどの巻線構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の薄型用ファンモータなどに組み込まれる巻線構造は、例えば特許文献1に示すような、導電ピンを利用して巻線を半田接続部に接続する導電ピンタイプと、例えば特許文献2に示すような、導電ピンを使用せずに巻線を半田接続部に直接接続する導電ピンレスの直接半田付けタイプがそれぞれ知られている。
【0003】
図4は、導電ピンタイプの巻線構造を有するファンモータの要部構成を示している。図中、101はファンモータの固定子ユニットで、これは磁性材料からなるコア102と、コア102を囲んで保持する樹脂部材103と、樹脂部材103に巻回される導電性の巻線105と、樹脂部材103に圧入固定される導電ピン106と、を主な構成要素とする。また、ここには図示しないが、固定子ユニット101には、導電性のパターンを有する絶縁基材に各種の電子部品を実装した回路基板が設けられる。
【0004】
導電ピンタイプでは、樹脂部材103に巻装される巻線105の端部105Aを導電ピン106に向けて引き出して、ほどけない程度に何回か巻回した後に、その部分を回路基板の適所に貫通形成された導電性のスルーホールに挿通する。回路基板のスルーホールとパターンは電気的に通じており、巻線105の端部105Aを含めて、導電ピン106と回路基板のスルーホールとを半田で接続すれば、回路基板から巻線105への通電が可能となる。
【0005】
図5は、直接半田付けタイプの巻線構造を有するファンモータの要部構成を示している。図中、111はファンモータの固定子ユニットで、これは磁性材料からなるコア112と、コア112を囲んで保持する樹脂部材113と、樹脂部材113に巻回される導電性の巻線115と、を主な構成要素とする。但しここでは、前述の導電ピン106は存在しない。116は、導電性のパターン117を有する絶縁基材118に各種の電子部品119を実装してなる回路基板であり、固定子ユニット111は回路基板116の一側面に載るように配設される。
【0006】
直接半田付けタイプでは、樹脂部材113に巻装される巻線115の端部115Aを、回路基板の一側面に設けられたランド120に向けて引き出し、例えば手や特許文献2に開示されるような組立治具で保持して位置決めさせる。回路基板116のランド120とパターン117は電気的に通じており、巻線115の端部115Aを回路基板116のランド120とを半田121で接続すれば、回路基板116から巻線115への通電が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-299412号公報
【特許文献2】特開2018-107903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図4に示す導電ピンタイプの巻線構造は、導電ピン106に巻線105の端部105Aを巻回するために、半田ディップなどの前作業が必要となる。また作業の際に、導電ピン106のエッジで巻線105を切る可能性がある。
【0009】
図5に示す直接半田付けタイプの巻線構造は、巻線115の端部115Aがフリー状態となるため、手や専用の治具を用いて位置決めをしてから、ランド120のような半田接続部に半田付けをする必要がある。したがってどちらのタイプでも、何等の作業を行わなければ、巻線の端部を位置決めして半田接続部に接続できない煩わしさがあった。
【0010】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、導電ピンのみならず、手や専用の治具を使用せずに、巻線の端部を位置決めして半田接続部に直接接続できる巻線構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の巻線構造は、上記目的を達成するために、磁性材料で構成されるコアと、前記コアと一体で成型されている樹脂部材と、前記樹脂部材の前記コアを囲む巻装部に巻回される巻線と、からなり、前記樹脂部材には、前記巻装部から引き出された前記巻線の端部を絡げて半田接続部に導く足部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、予め樹脂部材と一体に形成された足部に巻線の端部を絡げるだけで、巻線の端部が自ずと半田接続部に導かれ、そこで巻線の端部と半田接続部とを接続することが可能となる。そのため、導電ピンのみならず、手や専用の治具を使用せずに、巻線の端部を位置決めして半田接続部に直接接続できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、巻線の端部の基端と先端を、足部となる一対の係合片にそれぞれ巻き付けるだけで、一方の係合片と他方の係合片との間に張架された巻線の端部を、半田接続部に自ずと位置決めすることができ、巻線の位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態を示す巻線構造を含むファンモータの縦断面図である。
【
図2】同、樹脂部材に巻線を巻装する前の固定子ユニットを示す要部斜視図である。
【
図3】同、樹脂部材に巻線を巻装した後の固定子ユニットを示す要部斜視図である。
【
図4】同、従来の一例として、巻線の端部が導電ピンに巻き付けられたファンモータの要部写真である。
【
図5】同、従来の別な一例として、巻線の端部が半田接続部に直接接続されたファンモータの要部写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明における好ましい巻線構造の一実施形態について詳しく説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する構成や部分には同一の符号を付すものとする。
【0016】
図1は、本実施形態の巻線構造1を組み込んだファンモータ2の断面を示している。電子機器の冷却装置となるファンモータ2は、有底状のケース3と、そのケース3の上部開口を覆うカバー4とにより、外部に露出する外郭部品が構成される。本実施形態のケース3は、金属製の底板部材5と、底板部材5の外周に立設する樹脂製の側周壁部材6とを組み合わせて構成されるが、単独の部材で構成してもよい。底板部材5には、ファンモータ2の内部に空気を取り入れるための吸気口7が設けられ、この吸気口7と直交する方向に、ケース3の側部には、ファンモータ2の外部に空気を吐出するための排気口(図示せず)が設けられる。
【0017】
吸気口7の略中央には、ブリッジ11で吸気口7の周囲部にある底面部材5と繋がれた島状のモータ載置部12が設けられ、モータ載置部12の略中心には、円筒状のスリーブ13が直立して設けられる。吸気口7は底板部材5にだけでなく、底板部材5に対向して配置される外郭部材のカバー4にも開口形成される。
【0018】
15は、巻線16(
図2及び
図3を参照)とコア17との間に絶縁材料となる樹脂部材18を介在して構成される固定子ユニットであり、19は、ファンモータ2の外部から巻線16に所定のタイミングで電流供給を行なうための基板としてのフレキシブル基板である。本実施形態の巻線構造1をなす固定子ユニット15とフレキシブル基板19は、何れもスリーブ13に位置決めされてファンモータ2に取付け固定される。
【0019】
21は、ファンモータ2の外郭部品の内部に設けられるファンである。ファン21は、下端を開口したカップ部22から外周に向けて放射状に複数枚のファンブレード23を有し、且つカップ部22の中心から下方に向けてシャフトとなる回転軸24を備えて構成される。また、カップ部22の内周面には、固定子ユニット15のコア17に対向して永久磁石によるマグネット25が配置される。これらのファン21とマグネット25とにより、固定子ユニット15に対して回動可能な回転子ユニット26が構成される。
【0020】
モータ載置部12から起立する煙突状のスリーブ13には、回転子ユニット26の回転軸24を回動自在に軸支する軸受28が内装される。ここでのファンモータ2は、ファン21の回転軸24に沿った垂直方向の寸法が、回転軸24に直交する水平方向の寸法に対して極端に小さい扁平薄型形状を有しており、回転軸24の下端にはファンモータ2の薄型化を阻害するような止め輪が設けられていない。代わりに本実施例では、ファンモータ2の薄型化を阻害しないように、板状のカバー4と略同一面に形成したフレーム29を、ファンロック防止構造として備えている。
【0021】
フレーム29は、単に吸気口7を複数に区画するためだけでなく、ファン21を含む回転子ユニット26が、回転時に軸受28から上方に抜けようとする際に、ファンブレード23の外周先端23Aがカバー4に干渉しないように、ファン21の略中心がフレーム29の凸部31に点接触で第一に干渉する構造を有している。これにより、フレーム29が回転子ユニット26の上方への移動を規制して、回転子ユニット26のファンブレード23と回転軸24が、カバー4と軸受28の上下2箇所にそれぞれ干渉して保持されるファンロックが発生しないメカニズムとなっている。
【0022】
図示しないが、上記構成の完成したファンモータ2は、最終的にパソコンやタブレット等の薄型電子機器に内蔵される。そして、当該電子機器が動作するのに伴い、ファンモータ2の外部からフレキシブル基板19を通じて、所定のタイミングで巻線16に電流が供給されると、回転子ユニット26を構成するマグネット25と、固定子ユニット15を構成するコア17との間に発生する力で、回転軸24を中心に回転子ユニット26が回転する。これにより、相互に向かい合うケース3とカバー4の各吸気口7から、ファンモータ2の内部に吸い込んだ空気が、回転するファンブレード23の外周方向に送り出され、ファンモータ2の排気口を通して電子機器の内部に向けて強制的な送風が行われる。
【0023】
次に、上記巻線構造1の詳細について、樹脂部材18に巻線16を巻装する前の固定子ユニット15を示した
図2と、樹脂部材18に巻線16を巻装した後の固定子ユニット15を示した
図3をそれぞれ参照して説明する。
【0024】
コア17は、筒状に形成されるコア保持部17Aと、平面視でコア保持部17Aの外側部から放射方向に等間隔で配置されるT字状のティース17Bとにより、例えば複数枚の電磁鋼板を積層した磁性材料で構成される。一方、電気絶縁性を有する樹脂部材18は、コア17におけるコア保持部17Aの外周からそれぞれのティース17Bの基部17B1を包囲するように形成される巻装部18Aと、ティース17Bの先端部17B2を上下方向から挟むように、巻装部18Aから外方に延設されるフランジ部18Bと、ティース17Bの先端部17B2で露出し、完成状態のファンモータ2では回転子ユニット26のマグネット25に直接対向する外周面17B3よりもさらに外方に突出して延設される足部18Cと、により構成される。
【0025】
コア17の各ティース17Bに対応して、樹脂部材18の巻装部18Aには、巻線16のコイル部16Aがそれぞれ所定のターン数で巻回される。このコイル部16Aと繋がって、樹脂部材18の巻装部18Aから引き出された巻線16の巻終わり部となる端部16Bが、樹脂部材18の足部18Cに絡げてフレキシブル基板19の半田接続部となるランド33に導かれる。足部18Cは、巻線16の端部16Bの基端16B1と先端16B2をそれぞれ巻き付ける一対の係合片18C1,18C2で構成され、一方の係合片18C1と他方の係合片18C2とのほぼ中間に、フレキシブル基板19のランド33が配置される。また、一方の係合片18C1は、巻線16の端部16Bの基端16B1が係合片18C1から脱落しないように、断面が凹状の溝部18Dが形成されるのに対し、他方の係合片18C2は、巻線16の端部16Bの先端16B2を係合片18C2に円滑に巻き付けるために、断面がL字状の段部18Eが形成される。
【0026】
なお、最終的に巻線16と半田(図示せず)で接続されるランド33は、対をなす係合片18C1,18C2の間にあればどの位置あってもよく、例えば係合片18C2の直下や近傍に設けられていてもよい。また、係合片18C1,18C2の間の直線状に沿って、ランド33を一個のみならず、複数個並べて配置させることも可能であり、ランド33の代わりとなる半田での接続が可能な別な半田接続部(例えば導電端子など)を配置させてもよい。回路基板となる可撓性のフレキシブル基板19は、図示しないが導電性のパターンを有する絶縁基材に各種の電子部品を実装して構成され、巻線16の端部16Bをパターンに通じる導電性のランド33に半田付け接続することで、フレキシブル基板19から巻線16への電流供給が可能となる。
【0027】
次に、上記構成の巻線構造1において、巻線16をランド33に接続するまでの巻線処理方法の手順を説明する。
【0028】
最初に、コア17と樹脂部材18とを一体化させた複合部品を得るために、コア17の周囲に原料となるプラスチックを射出注入して、コア17を樹脂部材18にインサート成型する。本実施形態では、このインサート成型の際に、巻装部18Aやフランジ部18Bと共に、樹脂部材18で足部18Cが形成されるので、従来のような別部材の導電ピンとは異なり、巻線16の端部16Bを絡げるための足部18Cを樹脂部材18の成型時に一体で形成でき、足部18Cをわざわざ樹脂部材18に取付け固定する手間がない。
【0029】
次に、
図2に示す巻線16を巻回する前の状態から、コア17の各ティース17Bの基部17B1を囲む樹脂部材18の巻装部18Aに、巻線16となる導電性の線材をそれぞれ巻回し、所定のターン数のコイル部16Aを得たら、巻線16のコイル部16Aから引き出された端部17Bを樹脂部材18の足部18Cに絡げ、
図3に示す破線で囲まれた箇所Sをフレキシブル基板19のランド33に半田付けする。
【0030】
具体的には、巻線16のコイル部16Aを樹脂部材18の巻装部18Aに巻回した状態で、巻線16の端部16Bを樹脂部材18と一体に形成された足部18Cの一方の係合片18C1に導き、端部16Bの基端16B1を係合片18C1の溝部18Dからはみ出さない程度に何ターンか巻回する。次に、端部16Bの先端16B2に張力を加えながら、この端部16Bの先端16Bを足部18Cの係合片18C2に導き、そのまま係合片18C2の段部18Eに何ターンか巻回する。このとき、巻線16の端部16Bの基端16B1は、一方の係合片18C1から脱落しないように溝部18Dに巻回されており、しかも端部16Bの先端16B2は、最初に段部18Eの段差に突き合わせて、そこから他方の係合片18C2の先端すなわち外側に向けて円滑に巻回させることができるので、巻線16の端部16Bを樹脂部材18の足部18Cに絡げる作業を、誰でも支障なく行なうことが可能になる。
【0031】
この後、フレキシブル基板19を底部部材5の所定の位置に載せ、次いでその上からスリーブ13にコア17のコア保持部17Aを挿通すると、
図3に示すように、樹脂部材18の足部18となる一対の係合片18C1,18C2の間に、フレキシブル基板19のランド33が位置するようになる。そのため、予め巻線16の端部16Bの基端16B1と先端16B2を、一対の係合片18C1,18C2に巻き付けておけば、係合片18C1,18C2との間に張架された巻線16Bの端部16Bが、フレキシブル基板19の半田接続部となるランド33の上方に自ずと位置決めされ、
図3に示す箇所Sで、フレキシブル基板19のランド33に対して巻線16の端部16Bを円滑に半田付け接続することが可能となる。
【0032】
こうして本実施形態では、コア17を樹脂部材18にインサート成型する際に、樹脂部材18と一体で一対の係合片18C1,18C2からなる足部18Cを作り、その足部18Cに巻線16の端部16Bを絡げて、フレキシブル基板19のランド33に半田付け接続することで、従来の導電ピンを使用しない巻線構造1を実現している。また、足部18Cに巻線16の端部16Bを絡げることで、その端部16Bを自ずとフレキシブル基板19のランド33に導いて位置決めすることができ、巻線への手作業を不要にできる。そのため、巻線16への手作業の削減と、導電ピンレスによるコスト削減が期待できる。
【0033】
以上のように、本実施形態の巻線構造1は、磁性材料で構成されるコア16と、コア16と一体でインサート成型されている樹脂部材18と、樹脂部材18のコア16を囲む巻装部18Aに巻回される巻線16とからなり、樹脂部材18には、巻装部18Aに巻回する巻線16のコイル部16Aから引き出された端部16Bを絡げて、半田接続部であるランド33に導く足部18Cが形成されている。
【0034】
この場合、予め樹脂部材18と一体に形成された足部18Cに巻線16の端部16Bを絡げるだけで、その巻線16の端部16Bが自ずとランド33に導かれ、そこで巻線16の端部16Bとランド33とを半田付け接続することが可能となる。そのため、導電ピンのみならず、手や専用の治具を使用せずに、巻線16の端部16Bを位置決めしてランド33に直接接続できる。
【0035】
また、本実施形態の足部18Cは、巻線16の端部16Bの基端16B1と先端16B2をそれぞれ巻き付ける一対の係合片18C1,18C2で構成され、一方の係合片18C1と他方の係合片18C2との間に、半田接続部となるランド33が位置する構成となっている。
【0036】
この場合、巻線16の端部16Bの基端16B1と先端16B2を、それぞれ足部18Cとなる一対の係合片18C1,18C2に巻き付けるだけで、一方の係合片18C1と他方の係合片18C2との間に張架された巻線16の端部16Bを、ランド33に自ずと位置決めすることができ、巻線16の位置決め精度の向上を図ることが可能となる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、本実施形態の巻線構造1を、ファンモータ以外の各種電子機器に適用することも可能である。また、コア16や樹脂部材18の形状や個数などは、上記実施形態に示したものに限定されず、巻線16を樹脂部材18の巻装部18Aにどのような形態で巻装するのかについても、特に限定はされない。
【符号の説明】
【0038】
16 巻線
16B 端部
16B1 基端
16B2 先端
17 コア
18 樹脂部材
18A 巻装部
18C 足部
18C1 一方の係合片
18C2 他方の係合片
33 ランド(半田接続部)