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  • 特開-ショーケース 図1
  • 特開-ショーケース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092148
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20220615BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F3/04 L
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204764
(22)【出願日】2020-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】星野 五大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏行
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110BA05
3B110CA10
(57)【要約】
【課題】ショーケースの商品陳列室内の下部に配置されて前後方向にスライド可能なスライドデッキは、大型で重量物であるため、商品陳列室内への取付に手間がかかっている。さらに、自重と商品重量との大きな負荷が作用した状態で繰り返しスライドされることにより、歪みが生じやすくなり、耐久性が低下する。
【解決手段】ショーケースは、内部に商品陳列室を有するショーケース本体と、商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向スライド可能であって左右方向に配列された複数のスライドデッキ11a、11bと、隣り合って位置する二つのスライドデッキを一体にスライド可能となるように連結し又はその連結を解除する連結機構12とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、
前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能であって左右方向に配列された複数のスライドデッキと、
隣り合って位置する二つの前記スライドデッキを一体にスライド可能となるように連結し又はその連結を解除する連結機構と、
を有することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記連結機構は、前記スライドデッキの正面側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品陳列室内の下部に前後方向にスライド可能なスライドデッキを有するショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、商品陳列室内の下部に前後方向にスライド可能なスライドデッキを有するショーケースが用いられており、このスライドデッキには、野菜等の大型の商品や、積み重ねた状態とされる豆腐や納豆等の小型の商品が載置されている。スライドデッキに商品を載置する作業や、載置されている商品を整列させる作業は、スライドデッキを前方(手前側)へスライドさせて商品陳列室内から引き出した状態で行い、作業終了後にスライドデッキを後方へスライドさせて商品陳列室内に収容している。このようなスライドデッキを備えたショーケースの一例としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-41801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているスライドデッキは、横幅寸法が商品陳列室内の横幅寸法と略同じであり、大型であるとともに重量物となっている。このため、スライドデッキを商品陳列室内に取付ける作業には手間がかかっている。
【0005】
さらに、スライドデッキが大型であって重量物であるとともに、その大型のスライドデッキには多量の商品が陳列されるため、スライドデッキには大きな負荷が作用することになる。そして、大きな負荷が作用したスライドデッキのスライド操作を繰り返すうちにスライドデッキには次第に歪みが発生し、その歪みによって円滑なスライド操作が妨げられるようになり、耐久性が低下するという問題が生じている。
【0006】
そこで、スライドデッキを横幅方向の寸法を小さくして小型化し、小型化した複数のスライドデッキを商品陳列室内に設けることが考えられる。このようにすれば、個々のスライドデッキに作用する負荷が小さくなり、負荷の作用により発生するスライドデッキの歪みが防止される。
【0007】
しかしながら、小型化した複数のスライドデッキを商品陳列室内に設けた場合には、スライドデッキ上に商品を載置するために行うスライドデッキのスライド操作の回数が多くなり、スライドデッキ上に商品を載置する作業等の省力化を図ることができない。
【0008】
さらに、大型の商品や積み重ねた状態の小型の商品が隣り合うスライドデッキ上に跨って載置されていると、それらのスライドデッキを個々にスライドさせる場合に、跨って載置されている商品がスライドデッキ上から落下したり、載置されている商品の整列状態が乱れたりする。このため、隣り合うスライドデッキ上に商品を跨った状態で載置することは難しくなる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、スライドデッキを小型化することにより、商品陳列室内へのスライドデッキの取付を容易にすることである。さらに、スライドデッキを小型化して軽量化することにより、スライドデッキに作用する負荷を軽減し、スライドデッキを繰り返しスライドさせることにより発生する歪みを防止して耐久性を向上させることである。さらに、商品を隣り合うスライドデッキに跨った状態で載置できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るショーケースは、内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能であって左右方向に配列された複数のスライドデッキと、隣り合って位置する二つの前記スライドデッキを一体にスライド可能となるように連結し又はその連結を解除する連結機構と、を有する。
【0011】
また、前述のショーケースにおいて、前記連結機構は、前記スライドデッキの正面側に配置されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るショーケースは、商品陳列室の下部に、左右方向に配列された複数のスライドデッキが設けられ、これらのスライドデッキは前後方向にスライド可能とされている。そして、隣り合って位置する二つのスライドデッキは、連結機構により連結されて一体にスライド可能とされ、また、連結機構による連結を解除することにより個々にスライド可能とされている。従って、個々のスライドデッキは左右方向の横幅寸法が小さくなって小型化され、軽量化されているため、商品陳列室内への取付作業を容易に行える。また、個々のスライドデッキは軽量であるとともに各スライドデッキに載置される商品の重量も少なくなるため、前後方向へのスライド操作を繰り返してもスライドデッキには歪みが生じにくくなり、耐久性が向上する。一方、隣り合って位置するスライドデッキを連結機構で連結することにより、連結されたスライドデッキを一体にスライドさせることができ、複数のスライドデッキをスライドさせる操作を手間をかけず容易に行うことができ、しかも、商品が隣り合うスライドデッキ上に跨って載置されている場合でも、その商品をスライドデッキから落下させることなく二以上のスライドデッキを一体にスライドさせることができる。
【0013】
また、連結機構がスライドデッキの正面側に配置されているので、連結機構によりスライドデッキを連結する作業、及び、連結解除作業を、ショーケースの正面側から容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ショーケースの全体構成を示す断面側面図である。
図2】スライドデッキの配置状態を示す斜視図である。
図3】連結機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態のショーケースについて、図面に基づいて説明する。図1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗内に設置されるショーケース1を示す断面側面図である。このショーケース1は、正面に開口2が形成された断面形状コの字型のショーケース本体3を有し、ショーケース本体3の内部に商品陳列室4が設けられている。
【0016】
ショーケース本体3内には、その内周部に沿って通風路5が形成されている。この通風路5の一端には、ショーケース本体3の正面側上部に位置して下向きに開口する吹出口6が形成されている。通風路5の他端には、ショーケース本体3の正面側下部に位置して上向きに開口する吸込口7が形成されている。
【0017】
通風路5内には、ファン8と冷却器9とが配置されている。ファン8が駆動されることにより吸込口7から空気が吸い込まれ、その空気は通風路5内を流れて吹出口6から下向きに吹出される。冷却器9は、通風路5内を流れる空気を冷却する。
【0018】
商品陳列室4内には、上下方向に沿って複数段の商品陳列棚10が設けられ、それらの商品陳列棚10の下側には二つのスライドデッキ11a、11bが設けられている。これらの商品陳列棚10とスライドデッキ11a、11bとは、各種の商品が載置される場所とされている。特に、商品陳列室4内の下部に設けられているスライドデッキ11a、11bは、野菜等の大型の商品や、豆腐や納豆等の小型の商品が積み重ねた状態で載置される場所とされている。なお、二つのスライドデッキ11a、11bは、図2に示すように、左右方向に隣り合って配置されている。そして、二つのスライドデッキ11a、11bは、前後方向に延出するスライドレールを備えたスライド機構(図示せず)により、前後方向(図1及び図2に示す矢印a方向)にスライド可能とされている。
【0019】
また、二つのスライドデッキ11a、11bは、これらのスライドデッキ11a、11bの正面側に配置された連結機構12により連結可能とされ、又は、連結機構12による連結を解除可能とされている。二つのスライドデッキ11a、11bが連結機構12により連結されている場合、二つのスライドデッキ11a、11bは一体となって前後方向にスライド可能となる。また、連結機構12による連結を解除されている場合、二つのスライドデッキ11a、11bは個々に前後方向にスライド可能となる。
【0020】
連結機構12は、図2及び図3に示すように、一対のスライドガイド板13a、13bと、連結操作板14と、マグネット板15とから構成されている。
【0021】
スライドガイド板13a、13bは略U字形に形成され、一方のスライドガイド板13aは、解放側を下向きとして一方のスライドデッキ11aに固定されている。他方のスライドガイド板13bは、解放側を下向きとして他方のスライドデッキ11bに固定されている。
【0022】
連結操作板14は、左右方向(図3に示す矢印b方向)にスライド可能に設けられており、一方のスライドガイド板13a、又は、二つのスライドガイド板13a、13bにスライド可能に係合されている。連結操作板14が二つのスライドガイド板13a、13bに係合されている場合には、二つのスライドデッキ11a、11bは連結状態となっている。一方、連結操作板14がスライドガイド板13bとの係合を解除されてスライドガイド板13aにのみ係合されている場合には、二つのスライドデッキ11a、11bは連結状態を解除されている。連結操作板14の一端側には、この連結操作板14を左右方向にスライド操作する際に手を掛ける部分となる取手部16が下向きに延出して形成されている。
【0023】
マグネット板15は、スライドガイド板13bと左右方向で並んだ位置に配置され、スライドデッキ11bに固定されている。連結操作板14が二つのスライドガイド板13a、13bに係合されている場合、連結操作板14の先端部がマグネット板15により吸着されるようになっている。
【0024】
また、スライドデッキ11a、11bの正面側には、これらのスライドデッキ11a、11bを後方位置にスライドさせた場合に吸込口7の上方に位置する開口部17が形成されている。そして、この開口部17内に連結機構12が配置されており、図示は省略しているが、開口部17と連結機構12とを覆う吸込口カバーがスライドデッキ11a、11bに着脱可能に取付けられている。
【0025】
このような構成において、スライドデッキ11a、11b上に商品を載置する作業や、スライドデッキ11a、11b上に載置されている商品を整列する作業は、スライドデッキ11a、11bを前方にスライドさせて商品陳列室4内から引き出した状態で行っている。そして、それらの作業が終了した後、スライドデッキ11a、11bを後方へスライドさせて商品陳列室4内に収容している。
【0026】
二つのスライドデッキ11a、11bは連結機構12により連結可能であり、及び、その連結状態を解除可能である。二つのスライドデッキ11a、11bを連結する場合には、連結操作板14をスライドデッキ11aからスライドデッキ11b側へスライドさせ、この連結操作板14をスライドガイド板13a、13bに係合させる。さらに、連結操作板14の先端部をマグネット板15に吸着させる。この操作により、二つのスライドデッキ11a、11bが連結され、一体に前後方向にスライド可能となる。
【0027】
一方、二つのスライドデッキ11a、11bの連結状態を解除する場合には、連結操作板14をスライドデッキ11bから離反する方向にスライドさせ、スライドガイド板13bとの係合状態を解除する。この操作により、二つのスライドデッキ11a、11bの連結状態が解除され、スライドデッキ11a、11bは個別に前後方向にスライド可能となる。
【0028】
ここで、商品陳列室4内に一つのスライドデッキが設けられている従来例の場合に比べて、左右方向に配列されている二つのスライドデッキ11a、11bの個々は、左右方向の横幅寸法が小型化され、軽量化されている。このため、スライドデッキ11a、11bを商品陳列室4内に取付ける作業を容易に行うことができる。また、個々のスライドデッキ11a、11bは軽量であるとともに各スライドデッキ11a、11b上に載置される商品の重量も少なくなり、各スライドデッキ11a、11bに作用する負荷は小さくなる。このため、スライドデッキ11a、11bをスライドさせる操作を繰り返しても、スライドデッキ11a、11bには歪みが生じにくくなり、スライドデッキ11a、11bの耐久性が向上する。
【0029】
一方、二つのスライドデッキ11a、11bを連結機構12で連結することにより、連結したスライドデッキ11a、11bを一体に前後方向にスライドさせることができる。このため、スライドデッキ11a、11bを連結することにより、商品を載置するために行うスライドデッキ11a、11bを前後方向へスライドさせる操作回数を減らすことができ、スライドデッキ11a、11b上に商品を載置する作業の省力化を図ることができる。また。二つのスライドデッキ11a、11bに跨った状態で商品が載置されている場合には、二つのスライドデッキ11a、11bを連結して一体にスライドさせることにより、スライド操作時におけるスライドデッキ11a、11bからの商品の落下を防止することができる。このため、大型の商品や積み重ねた状態で陳列される小型の商品についても、隣り合うスライドデッキ11a、11b上に跨った状態で載置することができる。
【0030】
また、連結機構12はスライドデッキ11a、11bの正面側に配置されているので、連結機構12によってスライドデッキ11a、11bを連結する作業や、連結機構12による連結状態を解除する作業を、ショーケース1の正面側から容易に行うことができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、商品陳列室4内には左右方向に二つのスライドデッキ11a、11bが配置された場合を例に挙げて説明したが、左右方向に配置されるスライドデッキの数は三つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ショーケース
2 開口
3 ショーケース本体
4 商品陳列室
5 通風路
6 吹出口
7 吸込口
8 ファン
9 メイン冷却器
10 商品陳列棚
11a、11b スライドデッキ
12 連結機構
13a、13b スライドガイド板
14 連結操作板
15 マグネット板
16 取手部
17 開口部
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、
前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能であって左右方向に配列された複数のスライドデッキと、
隣り合って位置する二つの前記スライドデッキを一体にスライド可能となるように連結し又はその連結を解除する連結機構と、
有し、
前記連結機構は、係合される部分を有して隣り合う一方の前記スライドデッキに固定された一つのスライドガイド板と、係合される部分を有して他方の前記スライドデッキに固定された他の一つのスライドガイド板と、一方の前記スライドデッキに取付けられ、二つの前記スライドガイド板の係合される部分に係合する位置と、他方の前記スライドガイド板の係合される部分への係合を解除して一方の前記スライドガイド板の係合される部分にのみ係合する位置とにスライド可能な連結操作板とを有することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記連結機構は、前記スライドデッキの正面側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明に係るショーケースは、内部に商品陳列室を有し、正面に開口を有するショーケース本体と、前記商品陳列室内の下部に設けられ、前後方向にスライド可能であって左右方向に配列された複数のスライドデッキと、隣り合って位置する二つの前記スライドデッキを一体にスライド可能となるように連結し又はその連結を解除する連結機構と、を有し、前記連結機構は、係合される部分を有して隣り合う一方の前記スライドデッキに固定された一つのスライドガイド板と、係合される部分を有して他方の前記スライドデッキに固定された他の一つのスライドガイド板と、一方の前記スライドデッキに取付けられ、二つの前記スライドガイド板の係合される部分に係合する位置と、他方の前記スライドガイド板の係合される部分への係合を解除して一方の前記スライドガイド板の係合される部分にのみ係合する位置とにスライド可能な連結操作板とを有する