IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ノーリツの特許一覧

<>
  • 特開-貯湯給湯システム 図1
  • 特開-貯湯給湯システム 図2
  • 特開-貯湯給湯システム 図3
  • 特開-貯湯給湯システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092154
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/00 20220101AFI20220615BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20220615BHJP
【FI】
F24H1/18 301Z
F24H1/18 302K
F24H1/18 302N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204779
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(72)【発明者】
【氏名】弘中 睦己
(72)【発明者】
【氏名】前田 力
(72)【発明者】
【氏名】奥田 康成
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰介
(72)【発明者】
【氏名】立岩 伸吾
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB26
3L122AB33
3L122BB03
3L122BB14
3L122CA06
3L122DA02
3L122DA12
3L122DA13
3L122EA02
3L122EA05
3L122FA02
3L122GA03
(57)【要約】
【課題】補助熱源機の加熱能力を判定することができ、判定した加熱能力に応じて貯湯槽からの出湯を制御することができる貯湯給湯システムを提供すること。
【解決手段】主熱源機5で加熱した湯水を貯湯する貯湯槽2を有する貯湯ユニット3と、燃焼式の補助熱源機4を備え、貯湯槽2に給湯設定温度の給湯が可能な湯水がない場合に、貯湯ユニット3が出湯した湯水を補助熱源機4で加熱して給湯栓に供給する再加熱運転を行う貯湯給湯システム1において、貯湯ユニット3の出湯温度を変動させたときに補助熱源機4が燃焼を開始/停止したことを貯湯ユニットに入力する入力手段20,21を備え、この入力結果によって、補助熱源機4の最低加熱能力を判定する加熱能力判定機能を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱源機で加熱した湯水を貯湯する貯湯槽を有する貯湯ユニットと、燃焼式の補助熱源機を備え、前記貯湯槽に給湯設定温度の給湯が可能な湯水がない場合に、前記貯湯ユニットが出湯した湯水を前記補助熱源機で加熱して給湯栓に供給する再加熱運転を行う貯湯給湯システムにおいて、
前記貯湯ユニットの出湯温度を変動させたときに前記補助熱源機が燃焼を開始/停止したことを前記貯湯ユニットに入力する入力手段を備え、この入力結果によって、前記補助熱源機の最低加熱能力を判定する加熱能力判定機能を備えたことを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記加熱能力判定機能によって判定した最低加熱能力に応じて、前記再加熱運転における前記貯湯ユニットの出湯温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【請求項3】
前記加熱能力判定機能は、試運転の際に実行されることを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主熱源機で加熱して貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱運転効率が高い主熱源機として例えばヒートポンプ式熱源機で加熱された湯水を貯湯槽に貯留し、この貯湯槽から出湯した湯水に上水を混合して給湯設定温度に調整した湯水を給湯する貯湯給湯システムが広く利用されている。
【0003】
貯湯槽に給湯設定温度の給湯が可能な温度の湯水がない場合には、加熱能力が大きい補助熱源機として例えば燃焼式熱源機によって、貯湯槽から出湯した湯水を再加熱して給湯する。この補助熱源機による再加熱運転では、貯湯槽から出湯した湯水を給湯設定温度に加熱するために、加熱能力を調整する。
【0004】
補助熱源機の加熱能力は、予め最大加熱能力、最小加熱能力が決まっている。それ故、貯湯槽の湯水温度が給湯設定温度に近い給湯設定温度未満の温度の場合には、最小加熱能力で加熱しても給湯設定温度よりも高温になる虞がある。そのため、例えば特許文献1,2のように、湯水の加熱に必要な加熱能力が最小加熱能力以下の場合には、再加熱運転を行わないようにする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-257078号公報
【特許文献2】特開昭60-240948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2のように再加熱運転を行わないようにすると、給湯設定温度よりも低温の給湯によってユーザが不快感や不信感を覚える虞があり、好ましくない。そこで、貯湯槽から出湯した湯水に低温の上水を混合して所定温度以下に温度を下げた湯水を補助熱源機に供給し、最小加熱能力以上の加熱能力で再加熱運転を行うことにより給湯設定温度の給湯を行うようにしている。
【0007】
貯湯槽の湯水の温度を下げてから加熱するので、貯湯槽の熱量が十全には利用できず、補助熱源機の加熱量が増加する。そのため、補助熱源機の加熱能力に応じて貯湯槽からの出湯を制御することによって、貯湯槽の熱量をできるだけ活用しながら補助熱源機による再加熱運転を行うことが求められている。
【0008】
しかし、貯湯給湯システムは、既設の古い燃焼式熱源機を補助熱源機として使用し、この補助熱源機に主熱源機と貯湯槽を有する新しい貯湯ユニットを組み合わせて構成される場合があり、特に補助熱源機と貯湯ユニットのメーカーが異なる場合、貯湯ユニットと補助熱源機との間が通信接続できないため、補助熱源機と連動した給湯運転ができず、補助熱源機の情報を取得できない。
【0009】
本発明の目的は、通信接続不能な補助熱源機の加熱能力を貯湯ユニット側で判定することができ、判定した加熱能力に応じて貯湯槽からの出湯を制御することができる貯湯給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の貯湯給湯システムは、主熱源機で加熱した湯水を貯湯する貯湯槽を有する貯湯ユニットと、燃焼式の補助熱源機を備え、前記貯湯槽に給湯設定温度の給湯が可能な湯水がない場合に、前記貯湯ユニットが出湯した湯水を前記補助熱源機で加熱して給湯栓に供給する再加熱運転を行う貯湯給湯システムにおいて、前記貯湯ユニットの出湯温度を変動させたときに前記補助熱源機が燃焼を開始/停止したことを貯湯ユニットに入力する入力手段を備え、この入力結果によって、前記補助熱源機の最低加熱能力を判定する加熱能力判定機能を備えたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、貯湯ユニットの出湯温度を変動させたときに前記補助熱源機が燃焼を開始/停止したことを貯湯ユニットに入力する入力手段を備え、この入力結果によって、補助熱源機の最低加熱能力を判定することができる。従って、貯湯ユニットに組み合わせる補助熱源機がどのようなものであっても、効率的な給湯運転を行うことが可能な貯湯給湯システムを構築することができる。
【0012】
請求項2の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記加熱能力判定機能によって判定した最低加熱能力に応じて、前記再加熱運転における前記貯湯ユニットの出湯温度を制御することを特徴としている。
上記構成によれば、補助熱源機の最低加熱能力に応じて貯湯ユニットの出湯温度を制御して、給湯設定温度の給湯をすることができる。それ故、貯湯槽の熱量を活用して、補助熱源機による加熱量を少なくすることができる。
【0013】
請求項3の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記加熱能力判定機能は、試運転の際に実行されることを特徴としている。
上記構成によれば、貯湯給湯システム施工時の試運転で補助熱源機の最低加熱能力を判定するので、給湯使用時には判定済みの最低加熱能力に応じて貯湯ユニットの出湯温度を制御して、容易に給湯設定温度の給湯を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の貯湯給湯システムによれば、補助熱源機の加熱能力を判定することができ、判定した加熱能力に応じて貯湯ユニットの出湯を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯システムの構成の説明図である。
図2】実施例に係る加熱判定機能のフローチャートである。
図3】実施例に係る加熱判定機能実行時の貯湯ユニットの出湯温度の説明図である。
図4】実施例に係る貯湯ユニットの出湯制御テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
最初に、本発明の貯湯給湯システム1の構成について、図1に基づいて説明する。貯湯給湯システム1は、貯湯槽2を有する貯湯ユニット3と補助熱源機4を備えている。貯湯ユニット3は、主熱源機5として例えばヒートポンプ式熱源機を有し、主熱源機5で加熱した湯水を貯湯槽2に貯湯する貯湯運転を行う。補助熱源機4は、例えば燃焼式熱源機であり、貯湯ユニット3から供給される湯水を再加熱して、又は再加熱せずに給湯栓6に供給する。
【0018】
貯湯槽2の下部には、主熱源機5に貯湯槽2の湯水を供給するためのポンプ7を備えた主熱源機往き通路8が接続されている。貯湯槽2の上部には、主熱源機5で加熱された湯水を貯湯槽2に供給するための主熱源機戻り通路9が接続されている。主熱源機戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設され、切替弁10で主熱源機戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、主熱源機往き通路8のポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0019】
主熱源機戻り通路9の切替弁10よりも上流側部分には、主熱源機5で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えば主熱源機5の起動直後における戻り温度センサ9bの検知温度が低い場合に、切替弁10を貯湯槽2側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯槽2に湯水を戻さずに循環させる。
【0020】
貯湯槽2の底部には、矢印CWで示すように上水を供給する給水通路11が接続され、貯湯槽2の頂部には、貯湯槽2の湯水を貯湯ユニット3外に出湯するための出湯通路12が接続されている。給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aは、出湯通路12の途中に配設された混合弁14に接続されている。貯湯槽2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが配設され、貯湯槽2に貯湯された湯水の温度と貯湯量を検知することができる。
【0021】
給水通路11には、給水通路11から供給される上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット3からの出湯流量を検知する出湯流量センサ12aと、貯湯槽2から出湯される湯水の温度(貯湯槽出湯温度)を検知する貯湯槽出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット3からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12cが配設されている。
【0022】
貯湯ユニット3の出湯通路12と補助熱源機4の給水口4aが湯水通路15によって接続されている。補助熱源機4の給湯口4bには、給湯栓6に接続された給湯通路16が接続されている。貯湯ユニット3から出湯された湯水は、補助熱源機4を介して給湯栓6に供給され、矢印HWで示すように給湯栓6から給湯される。
【0023】
貯湯ユニット3は、ポンプ7を駆動して貯湯槽2と主熱源機5の間で湯水を循環させて、主熱源機5で加熱した湯水を貯湯槽2の上部から貯湯する貯湯運転を制御する制御部18を有する。制御部18は、貯湯槽出湯温度センサ12bで検知される貯湯槽出湯温度と、給水温度センサ11bで検知される給水温度と、出湯流量センサ12aで検知される出湯流量に基づいて、出湯温度センサ12cで検知される温度が例えば予め設定された給湯設定温度や所定温度になるように、混合弁14における混合比を調整して出湯する。
【0024】
制御部18には、給湯設定温度をユーザが設定するための貯湯ユニット操作端末19が接続されている。貯湯ユニット操作端末19には補助熱源機が燃焼を開始/停止したことを前記貯湯ユニットに入力する入力手段として、燃焼ONスイッチ20と燃焼OFFスイッチ21が備えられている。
【0025】
補助熱源機4は、給湯設定温度をユーザが設定するための補助熱源機操作端末30が接続されており、貯湯ユニット操作端末19または補助熱源機操作端末30でユーザが設定した給湯設定温度の湯水を給湯栓6に供給でき、補助熱源機4の燃焼開始・停止をユーザに知らせるための表示部が設けられている。
【0026】
次に、制御部18による補助熱源機4の加熱能力判定機能について、図2のフローチャートに基づいて、図3を参照しながら説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。貯湯給湯システム1の施工時に行う試運転の際に、制御部18は加熱能力判定機能を実行することによって、補助熱源機4の加熱能力を判定する。ユーザが給湯使用するときには、制御部18は試運転で判定済みの加熱能力に基づいて、貯湯槽2の熱量をできるだけ有効に利用できるように貯湯ユニット3からの出湯温度を制御する。
【0027】
貯湯給湯システム1の施工時に、例えば水張りと主熱源機5の試運転を行い、その後、加熱能力判定機能が実行される。最初にS1において、準備動作を行う。準備動作では、貯湯温度センサ2a~2dの検知温度に基づいて、加熱能力判定に必要な給湯設定温度以上の温度の湯水が貯湯槽2に必要量以上貯湯されていることを確認後に、給湯栓6の開栓を促す。加熱能力判定に必要な湯水がなければ貯湯運転を行って、貯湯完了後に給湯栓6の開栓を促す。尚、貯湯ユニット操作端末19と補助熱源機操作端末30において給湯設定温度は同じ設定温度(例えば40℃)に設定されている。給湯栓6が開栓されたらS2に進む。例えば出湯流量センサ12aによって所定流量(例えば10L/分)が検知された場合に、S2に進む。
【0028】
S2において、補助熱源機4に上水を供給することにより、補助熱源機4の燃焼を開始させてS3に進む。補助熱源機4の燃焼は、補助熱源機4に供給される湯水の温度と流量に応じて開始される。貯湯ユニット3は、混合弁14の貯湯槽2側を全閉にすると共に給水分岐通路11a側を全開にして、補助熱源機4に上水を供給する(図3の時刻t0参照)。補助熱源機4は、貯湯ユニット3から供給される上水を設定されている給湯設定温度に加熱できるように燃焼を開始させ、加熱能力を調整して加熱した湯水を給湯栓6に供給する。
【0029】
S3において、補助熱源機4の燃焼が開始されたか否かを補助熱源機操作端末30の表示部を視認することによって施工者が判定する。S3の判定がYesの場合にはS4に進み、貯湯ユニット操作端末19の燃焼ONスイッチ20を施工者が操作することによって、制御部18は補助熱源機4が燃焼を開始したと判定してS5に進む。ここで、燃焼ONスイッチの操作が所定期間(例えば図3の時刻t0から時刻t1までの間)ない場合(S13)にはS13に進み、S13において燃焼エラーを報知して、終了動作(S12)に進む。
【0030】
S5では、混合弁14を調整することによって(図3の時刻t1~t2参照)、給湯設定温度よりもα[℃](例えばα=1)だけ低温(給湯設定温度-α[℃])の湯水を補助熱源機4に供給して、S6に進む。
【0031】
S6において、補助熱源機4の燃焼が停止したか否かを補助熱源機操作端末30の表示部を視認することによって施工者が判定する。S6の判定がYesの場合にはS7に進み、貯湯ユニット操作端末19の燃焼OFFスイッチ21を施工者が操作することによって、制御部18は補助熱源機4が燃焼を停止したと判定してS8に進む。ここで、燃焼OFFスイッチ21の操作が所定期間(例えば図3の時刻t2から時刻t3までの間)ない場合(S15)には、補助熱源機4は、貯湯ユニット3からの出湯温度を低温にする必要があるCタイプであると判定(S16)して、S12に進む。
【0032】
そしてS8において、混合弁14を調整することによって(図3の時刻t3~t4参照)、給湯設定温度よりもβ[℃](例えばβ=3)だけ低温(給湯設定温度-β[℃])の湯水を補助熱源機4に供給して、S9に進む。
【0033】
S9において、補助熱源機4の燃焼が開始されたか否かを補助熱源機操作端末30の表示部を視認することによって施工者が判定する。S9の判定がYesの場合にはS10に進み、貯湯ユニット操作端末19の燃焼ONスイッチ20を施工者が操作することによって、制御部18は補助熱源機4が最小加熱能力「小」のAタイプであると判定し、S12に進む。ここで、燃焼ONスイッチ20の操作が所定期間(図3の時刻t4から時刻t5までの間)ない場合(S17)には、補助熱源機4が最小加熱能力「大」のBタイプであると判定(S18)して、S12に進む。
【0034】
最後にS12において、終了動作を行って、加熱能力判定を終了する。終了動作では、給湯栓6の閉栓を促す。判定した補助熱源機4のタイプを報知してもよい。
【0035】
図4は、判定した補助熱源機4の加熱能力タイプ別に貯湯ユニット3の出湯制御を規定した出湯制御テーブルである。Aタイプの補助熱源機4は、最小加熱能力が小さいため、給湯設定温度よりも少し低温の給湯設定温度-β[℃]の湯水を給湯設定温度に加熱できる。それ故、貯湯槽2の湯切れまで、貯湯ユニット3から給湯設定温度の湯水を出湯して給湯する。貯湯槽2の湯切れによって貯湯ユニット3からの出湯温度が下がり始めたときには、補助熱源機4が再加熱して給湯設定温度の給湯をすることができるので、給湯温度が大きく変動することがない。
【0036】
Bタイプの補助熱源機4は、最小加熱能力が大きいため、給湯設定温度-β[℃]の湯水を給湯設定温度に加熱できず、給湯設定温度よりも高温の給湯になってしまう。それ故、貯湯槽2の湯水を給湯設定温度に調整して給湯できる場合には貯湯槽2の湯水を給湯設定温度に調整して給湯を開始する。そして、貯湯槽2の湯切れ前に、例えば貯湯槽2の最上段の貯湯温度センサ2dの検知温度が低下して給湯設定温度-β[℃]以下になった場合に、貯湯ユニット3からの出湯温度を所定温度以下に下げて補助熱源機4で再加熱して給湯設定温度の給湯を行う。
所定温度は、設定されている給湯設定温度よりも例えば5℃低い温度としてもよく、例えば設定可能な最低温の給湯設定温度よりも5℃低い温度としてもよい。湯切れ時には既に補助熱源機4で加熱して給湯しているので、補助熱源機4での加熱が開始されず給湯温度が給湯設定温度よりも大きく温度が低下してしまうことが防止され、給湯温度が大きく変動することがない。
【0037】
Cタイプの補助熱源機4は、貯湯ユニット3の出湯温度が給湯設定温度に近くても、補助熱源機4内を湯水が流動する給湯時には常に燃焼する。それ故、補助熱源機4が常に給湯温度を給湯設定温度に調整できるように、貯湯ユニット3からの出湯温度を低温の所定温度にする。湯切れになっても、供給される湯水の温度低下に応じて補助熱源機4が加熱能力を調整するので、給湯温度が大きく変動することがない。
【0038】
上記実施例の貯湯給湯システム1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯システム1は、貯湯ユニット3の出湯温度を変動させたときに前記補助熱源機が燃焼を開始/停止したことを貯湯ユニットに入力する入力手段を備え、この入力結果によって、補助熱源機4の最低加熱能力を判定する加熱能力判定機能を備えている。補助熱源機4の最低加熱能力を判定することができるので、貯湯ユニット3に組み合わせる補助熱源機4を、特定の最低加熱能力を備えた補助熱源機に限定する必要がない。従って、新たな補助熱源機4と組み合わせるときだけでなく、既に設置され貯湯ユニット3と通信接続ができない燃焼式熱源機を補助熱源機4として組み合わせるときにも、容易に貯湯給湯システム1を構築することができる。
【0039】
また、判定した最低加熱能力に応じて、再加熱運転における貯湯ユニット3の出湯温度を制御する。これにより、貯湯槽2に蓄えられた熱量を活用して補助熱源機4による加熱量を少なくすることができ、給湯中に貯湯槽2の湯切れが生じた場合でも給湯温度の変動を抑制して、給湯設定温度の給湯を行うことができる。
【0040】
加熱能力判定機能は、貯湯給湯システム1の施工時の試運転で実行され、補助熱源機4の最低加熱能力を判定する。従って、給湯使用時には判定済みの最低加熱能力に応じて出湯制御を行うことができ、容易に給湯設定温度の給湯を行うことができる。
【0041】
本実施例では、補助熱源機4の燃焼開始/停止を貯湯ユニット3に入力する手段として、貯湯ユニット操作端末19に燃焼ONスイッチ20と燃焼OFFスイッチ21を設けているが、これに限定されることなく、貯湯ユニット3に通信接続して信号入力可能なものであればよく、例えば通信回線を通じて貯湯ユニット3の制御部18と接続された携帯端末などでもよい。
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0042】
1 :貯湯給湯システム
2 :貯湯槽
3 :貯湯ユニット
4 :補助熱源機
5 :主熱源機
6 :給湯栓
11 :給水通路
11a :給水分岐通路
11b :給水温度センサ
12 :出湯通路
12a :出湯流量センサ
12b :貯湯槽出湯温度センサ
12c :出湯温度センサ
14 :混合弁
15 :湯水通路
16 :給湯通路
18 :制御部
19 :貯湯ユニット操作端末
20 :燃焼ONスイッチ
21 :燃焼OFFスイッチ
30 :補助熱源機操作端末30
図1
図2
図3
図4