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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092225
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ハウジング形管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/06 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
F16L21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204907
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】598000714
【氏名又は名称】ノーラエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231121
【氏名又は名称】JFE継手株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】堀田 幸兵
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 義郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓博
【テーマコード(参考)】
3H015
【Fターム(参考)】
3H015DA02
3H015DA08
(57)【要約】
【課題】 連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部が管の所定の位置に形成されていない場合にそのことを容易に知覚可能とする。
【解決手段】 ハウジング形管継手10は、筒状の管端収容部40と、一方シール部42と、複数のハウジング部材22,22とを備える。一方シール部42の形状が、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸へ近づくにつれて薄くなる環状である。ハウジング部材22が、収容空間形成部と、一端テーパ面とを有している。収容空間形成部は、次に述べられる空間を形成する。その空間には、管端収容部40と一方シール部42とが収容される。一端テーパ面は、収容空間形成部の内周の一端に連なる。一端テーパ面は、収容空間形成部の他端から離れるにつれて窄まる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の管端収容部と、
前記管端収容部の一端に配置されるエラストマー製の一方シール部と、
前記管端収容部と前記一方シール部とが収容されるよう互いに接続される複数のハウジング部材とを備えるハウジング形管継手であって、
前記一方シール部の形状が、前記管端収容部の一端から前記管端収容部の中心軸へ向かって延び、かつ、前記管端収容部の前記中心軸へ近づくにつれて薄くなる環状であり、
前記ハウジング部材が、
前記管端収容部と前記一方シール部とが収容される空間を形成する収容空間形成部と、
前記収容空間形成部の内周の一端に連なり前記収容空間形成部の他端から離れるにつれて窄まる一端テーパ面とを有していることを特徴とするハウジング形管継手。
【請求項2】
前記一方シール部が、
前記管端収容部の外に対向し前記管端収容部の一端から前記管端収容部の内奥へ向かって延び前記管端収容部の内奥へ近づくにつれて窄まる一方外側テーパ面と、
前記管端収容部の外から見て前記一方外側テーパ面の裏に配置され前記管端収容部の一端から前記管端収容部の内奥へ向かって延び前記管端収容部の内奥へ近づくにつれて窄まる一方内側テーパ面とを有していることを特徴とする請求項1に記載のハウジング形管継手。
【請求項3】
前記管端収容部の素材がエラストマーであり、
前記ハウジング部材の素材が前記エラストマーより剛性が高い物質であることを特徴とする請求項1に記載のハウジング形管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハウジング形管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ハウジング形管継手を開示する。このハウジング形管継手は、一対のハウジングと、シール部材と、締付部材とを備える。ハウジングは、内周面に半円形の断面を有する。その断面は、環状の空洞部を形成する。シール部材は、一対のハウジングの空洞部内に配置される。締付部材は、連結すべき一対の管に跨って配置された一対のハウジングを互いに接近する方向に押圧して一対の管の端部にシール部材を押圧する。ハウジングの内周面には環状の溝部が形成される。締付部材により一対のハウジングを締め付けたとき、次に述べられる拡径部はハウジングの溝部に係止される。その拡径部は、管の一端に環状の斜面が連なることで形成される環状の拡径部である。
【0003】
特許文献1に開示されたハウジング形管継手において、締付部材の締め付けにより上述された拡径部はハウジングの溝部に大きな押圧力で接触する。上述された拡径部がハウジングの溝部に大きな押圧力で接触するので、上述された拡径部が形成されている管に抜け出し力又は回転力が加えられても、ハウジングに対するその管の軸方向移動又は回転が阻止される。管の軸方向移動又は回転が阻止されるので、上述された拡径部はハウジングの溝部内に確実に保持される。また、上述された拡径部は管の外側に膨出する。管の外側に膨出するので、上述された拡径部は管の軸方向に働く内部流体の圧力を受け難い。管の軸方向に働く内部流体の圧力を受け難いため、上述された拡径部は変形し難い。上述された拡径部が変形し難いので、ハウジング形管継手における脱管は防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-132626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたハウジング形管継手には、上述された拡径部が管の所定の位置に形成されていないとその管がそのハウジング形管継手から徐々に抜けることがあるという問題点がある。その管がそのハウジング形管継手から徐々に抜けると、ある時その管がそのハウジング形管継手から完全に外れてしまう恐れが生じる。その管がそのハウジング形管継手から完全に外れてしまうと、その管およびそのハウジング形管継手の少なくとも一方から漏れが生じることとなる。拡径部の大きさが所定の大きさに達していない場合も同様である。
【0006】
本発明の目的は、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部が管の所定の位置に形成されていない場合にそのことが容易に知覚可能となるハウジング形管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図面に基づいて本発明のハウジング形管継手が説明される。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0008】
上述された目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、ハウジング形管継手10は、筒状の管端収容部40と、一方シール部42と、複数のハウジング部材22,22とを備える。一方シール部42は、管端収容部40の一端に配置される。複数のハウジング部材22,22は、管端収容部40と一方シール部42とが収容されるよう互いに接続される。一方シール部42の形状が、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸50へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸50へ近づくにつれて薄くなる環状である。ハウジング部材22が、収容空間形成部160と、一端テーパ面164とを有している。収容空間形成部160は、次に述べられる空間を形成する。その空間には、管端収容部40と一方シール部42とが収容される。一端テーパ面164は、収容空間形成部160の内周の一端に連なる。一端テーパ面164は、収容空間形成部160の他端から離れるにつれて窄まる。
【0009】
一方シール部42の形状が、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸50へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸50へ近づくにつれて薄くなる環状である。これにより、一方シール部42の断面形状が厚板状の場合に比べて、一方シール部42は撓みやすくなる。ハウジング部材22が、一端テーパ面164を有している。一端テーパ面164は、収容空間形成部160の他端から離れるにつれて窄まる。この一端テーパ面164に管12の拡径部112の斜面が接触すると、管12の拡径部112の斜面は一端テーパ面164から力を受ける。その際、管12の先端が一方シール部42を貫通していなければ、管12の拡径部112の斜面が一端テーパ面164によって押される。拡径部112の斜面が一端テーパ面164によって押されると、管12の先端は一方シール部42を貫通するよう押される。一方、そのような拡径部112が管12の所定の位置に形成されていない場合には、一端テーパ面164は管12の拡径部112の斜面を押せない。一端テーパ面164が管12の拡径部112の斜面を押せないと、一方シール部42のうち管端収容部40の中心軸50に近い部分のその拡径部112に対する押し当てが不十分となる。もともと一方シール部42が撓みやすいので、その拡径部112に対するその中心軸50に近い部分の押し当てが不十分となると、管12内を流れる流体がハウジング形管継手10から漏れる。その結果、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部112が管12の所定の位置に形成されていない場合にそのことが容易に知覚可能となる。
【0010】
また、上述された一方シール部42が、一方外側テーパ面80と、一方内側テーパ面82とを有していることが望ましい。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の外に対向する。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の外から見て一方外側テーパ面80の裏に配置される。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。
【0011】
一方シール部42が一方外側テーパ面80と一方内側テーパ面82とを有していると、一方シール部42は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びることとなる。これにより、一方外側テーパ面80のうち管端収容部40の中心軸50に近い領域から遠い領域までが管12の拡径部112の斜面に接触し得ることとなる。一方外側テーパ面80のうち管端収容部40の中心軸50に近い領域から遠い領域までが管12の拡径部112に接触し得ると、管12内を流れる流体がハウジング形管継手10から漏れ難くなる。その結果、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部112が管12の所定の位置に形成されていない場合にそのことは容易に知覚可能となる。さらに、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部112が管12の所定の位置に形成されている場合には漏れが生じ難くなる。
【0012】
また、上述された管端収容部40の素材がエラストマーであることが望ましい。この場合、ハウジング部材22の素材がエラストマーより剛性が高い物質であることが望ましい。
【0013】
管端収容部40の素材がエラストマーであると、一方シール部42の中心を管が貫通する際、一方シール部42の弾性変形に伴って管端収容部40も弾性変形が可能となる。管端収容部40も弾性変形が可能であれば、そうでない場合に比べ、一方シール部42の中心を管が貫通することが容易となる。その結果、本発明のハウジング形管継手10に対する管の接続が容易となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部が管の所定の位置に形成されていない場合にそのことが容易に知覚可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のある実施形態にかかる管継手の正面図である。
図2】本発明のある実施形態にかかる管継手の側面図である。
図3】本発明のある実施形態にかかる流体漏れ防止部の断面図である。
図4】本発明のある実施形態にかかる流体漏れ防止部の断面の拡大図である。
図5】本発明のある実施形態にかかるハウジング部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態が説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能は同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0017】
[管継手の構成]
図1は、本実施形態にかかるハウジング形管継手10の正面図である。図2は、本実施形態にかかるハウジング形管継手10の側面図である。図2において、図示されている物の一部は切り欠かれた状態で示されている。図2において、本実施形態にかかるハウジング形管継手10には2本の管12,14が接続されている。以下、図1および図2に基づき、本実施形態にかかるハウジング形管継手10の構成が説明される。
【0018】
本実施形態にかかるハウジング形管継手10は、2本の管12,14を互いに接続させるために用いられる。図2から明らかなように、管12の所定の位置には所定の大きさの拡径部112が形成されている。図2から明らかなように、この拡径部112は、管14に近づくにつれ窄まる環状の斜面120と管14から離れるにつれ窄まる環状の斜面122とを有している。すなわち、この拡径部112は、連続する斜面の対によって形成されている。それらの斜面の形状は環状である。図2から明らかなように、管14の所定の位置にも所定の大きさの拡径部114が形成されている。この拡径部114も、連続する斜面の対によって形成されている。それらの斜面の形状も環状である。本実施形態にかかるハウジング形管継手10は、流体漏れ防止部20と、複数のハウジング部材22,22と、ボルト24と、ナット26とを備える。
【0019】
本実施形態にかかる流体漏れ防止部20はエラストマー製である。より具体的には、本実施形態にかかる流体漏れ防止部20は天然ゴム製である。流体漏れ防止部20は、2本の管12,14のうち一方の管12の一端と他方の管14の一端との間から流体が漏れることを防止するためのものである。その流体は、一方の管12および他方の管14の内部を流れるものである。本実施形態の場合、その流体は水である。
【0020】
本実施形態の場合、ハウジング形管継手10は2個のハウジング部材22,22を備える。それら2個のハウジング部材22,22は、流体漏れ防止部20を収容する。複数のハウジング部材22,22は、流体漏れ防止部20が収容されるよう互いに接続可能である。本実施形態の場合、その接続は、ボルト24とナット26とによって実現される。その結果、本実施形態にかかるボルト24とナット26とは、ハウジング部材22,22を互いに接続するための接続部として動作する。
【0021】
図3は、本実施形態にかかる流体漏れ防止部20の断面図である。図4はその拡大図である。以下、図3および図4に基づき、本実施形態にかかる流体漏れ防止部20の構成が説明される。
【0022】
流体漏れ防止部20が、管端収容部40と、一方シール部42と、他方シール部44とを有している。本実施形態の場合、管端収容部40と、一方シール部42と、他方シール部44とは一体となっている。管端収容部40は流体漏れ防止部20のうち筒状の部分にあたる。管端収容部40は、一方の管12の一端と他方の管14の一端とが収容されるためのものである。一方シール部42は、管端収容部40の一端に配置される。他方シール部44は、管端収容部40の他端に配置される。上述されたように、本実施形態にかかる流体漏れ防止部20はエラストマー製である。したがって、管端収容部40と、一方シール部42と、他方シール部44とは、いずれもエラストマー製である。
【0023】
本実施形態にかかる一方シール部42の形状は、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸50へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸50へ近づくにつれて薄くなる環状である。
【0024】
本実施形態にかかる他方シール部44の形状も、管端収容部40の他端から管端収容部40の中心軸50へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸50へ近づくにつれて薄くなる環状である。
【0025】
図4に示されるように、本実施形態にかかる一方シール部42は、一方外側テーパ面80と、一方内側テーパ面82と、一方シール先端部84とを有している。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の外に対向する。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。一方外側テーパ面80は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の外から見て一方外側テーパ面80の裏に配置される。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。一方内側テーパ面82は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。一方シール先端部84は、一方シール部42の先端に配置される。一方シール先端部84は、一方外側テーパ面80と一方内側テーパ面82とに連なる。
【0026】
図4に示されるように、本実施形態にかかる他方シール部44は、他方外側テーパ面100と、他方内側テーパ面102と、他方シール先端部104とを有している。他方外側テーパ面100は、管端収容部40の外に対向する。他方外側テーパ面100は、管端収容部40の他端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。他方外側テーパ面100は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。他方内側テーパ面102は、管端収容部40の外から見て他方外側テーパ面100の裏に配置される。他方内側テーパ面102は、管端収容部40の一端から管端収容部40の内奥へ向かって延びる。他方内側テーパ面102は、管端収容部40の内奥へ近づくにつれて窄まる。他方シール先端部104は、他方シール部44の先端に配置される。他方シール先端部104は、他方外側テーパ面100と他方内側テーパ面102とに連なる。すなわち、本実施形態にかかる一方シール部42と他方シール部44とは、各々の先端部分が互いに近づくよう延びることとなる。
【0027】
図5は、本実施形態にかかるハウジング部材22,22の断面図である。図5において、2個のハウジング部材22,22は互いに接続された状態で示されている。以下、図1および図5に基づき、本実施形態にかかるハウジング部材22の構成が説明される。
【0028】
本実施形態にかかるハウジング部材22は金属製である。したがって、エラストマー製である管端収容部40に比べて、ハウジング部材22の素材はエラストマーより剛性が高い物質である。ハウジング部材22は、円筒構成部140と、接続ブラケット部142,142の対とを有している。円筒構成部140は、流体漏れ防止部20を覆う。接続ブラケット部142,142の対の一方は、円筒構成部140の一端から突出する。接続ブラケット部142,142の対の他方は、円筒構成部140の他端から突出する。接続ブラケット部142には図示されない貫通孔が形成されている。上述されたボルト24は、その貫通孔を貫通する。その貫通孔を貫通したボルト24にナット26がねじ込まれることにより、2個のハウジング部材22,22が互いに接続されることとなる。
【0029】
ハウジング部材22は、収容空間形成部160と、一端拡径収容部162と、一端テーパ面164と、他端拡径収容部166と、他端テーパ面168とを有している。収容空間形成部160は、次に述べられる空間を形成する。その空間には、流体漏れ防止部20が収容される。一端拡径収容部162は、収容空間形成部160の一端に連なる。一端拡径収容部162は、管12の拡径部112のうち外径が最大の部分を収容する。一端テーパ面164は、一端拡径収容部162を介して収容空間形成部160の内周の一端に連なる。一端テーパ面164は、収容空間形成部160の他端から離れるにつれて窄まる。他端拡径収容部166は、管14の拡径部114のうち外径が最大の部分を収容する。他端テーパ面168は、他端拡径収容部166を介して収容空間形成部160の内周の他端に連なる。他端テーパ面168は、収容空間形成部160の一端から離れるにつれて窄まる。
【0030】
[管継手の接続方法]
本実施形態にかかるハウジング形管継手10の接続方法は以下の通りである。まず、作業者は、周知の方法により、一方の管12の一端に拡径部112を形成する。作業者は、同様に、他方の管14に拡径部114を形成する。
【0031】
次に、作業者は、2つのハウジング部材22,22を接続しているボルト24とナット26とを緩める。ボルト24とナット26とが緩められると、作業者は2つのハウジング部材22,22を分解する。作業者は、分解された2つのハウジング部材22,22の中から、流体漏れ防止部20を取り出す。
【0032】
流体漏れ防止部20が取り出されると、作業者は、流体漏れ防止部20の一端に一方の管12の一端を挿入する。次いで、作業者は、流体漏れ防止部20の他端に他方の管14の一端を挿入する。
【0033】
一方の管12の一端と他方の管14の一端とが流体漏れ防止部20に挿入されると、作業者は、流体漏れ防止部20に2つのハウジング部材22,22を被せる。2つのハウジング部材22,22が流体漏れ防止部20に被せられると、作業者は、ボルト24とナット26とによって2つのハウジング部材22,22を接続する。
【0034】
その後、作業者は、2つのハウジング部材22,22が互いに密着していることを確認する。それが確認されると、作業者は、2つのハウジング部材22,22に跨る合いマーク(作業完了の目印)を施す。これにより、本実施形態にかかるハウジング形管継手10と2本の管12,14との接続は完了する。
【0035】
[本実施形態にかかる効果の説明]
本実施形態にかかるハウジング形管継手10において、一方シール部42の形状は、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸50へ向かって延び、かつ、管端収容部40の中心軸50へ近づくにつれて薄くなる環状である。これにより、一方シール部42の断面形状が厚板状の場合に比べて、一方シール部42は撓みやすくなる。ハウジング部材22が、一端テーパ面164を有している。一端テーパ面164は、収容空間形成部160の他端から離れるにつれて窄まる。この一端テーパ面164に管12の拡径部112の斜面が接触すると、管12の拡径部112の斜面は一端テーパ面164から力を受ける。その際、管12の先端が一方シール部42を貫通していなければ、管12の拡径部112の斜面が一端テーパ面164によって押される。拡径部112の斜面が一端テーパ面164によって押されると、管12の先端は一方シール部42を貫通するよう押される。一方、そのような拡径部112が管12の所定の位置に形成されていない場合には、一端テーパ面164は管12の拡径部112の斜面を押せない。拡径部112が小さすぎる場合も同様である。一端テーパ面164が管12の拡径部112の斜面を押せないと、一方シール部42のうち管端収容部40の中心軸50に近い部分のその拡径部112に対する押し当てが不十分となる。もともと一方シール部42が撓みやすいので、その拡径部112に対するその中心軸50に近い部分の押し当てが不十分となると、管12内を流れる流体がハウジング形管継手10から漏れる。他方シール部44についても同様である。その結果、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部112,114が管12,14に形成されていない場合にそのことは容易に知覚可能となる。
【0036】
また、本実施形態にかかるハウジング形管継手10の場合、一方シール部42が一方外側テーパ面80と一方内側テーパ面82とを有している。これにより、一方外側テーパ面80のうち管端収容部40の中心軸50に近い領域から遠い領域までが管12の拡径部112の斜面に接触し得ることとなる。一方外側テーパ面80のうち管端収容部40の中心軸50に近い領域から遠い領域までが管12の拡径部112の斜面に接触すると、管12内を流れる流体がハウジング形管継手10から漏れ難くなる。他方シール部44についても同様である。その結果、連続する環状の斜面の対を有し所定の大きさである環状の拡径部112,114が管12,14に形成されていない場合にそのことは容易に知覚可能となる。さらに、本実施形態の場合のような拡径部112,114が管12,14に形成されている場合にはハウジング形管継手10から漏れが生じ難くなる。
【0037】
また、本実施形態にかかるハウジング形管継手10の場合、管端収容部40の素材がエラストマーである。これにより、一方シール部42の中心を管12が貫通する際、一方シール部42の弾性変形に伴って管端収容部40も弾性変形が可能となる。管端収容部40も弾性変形が可能であれば、そうでない場合に比べ、一方シール部42の中心を管12が貫通することが容易となる。管14の貫通についても同様である。その結果、本発明のハウジング形管継手10に対する管12,14の接続が容易となる。
【0038】
[変形例]
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述された実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、上述された実施形態に対して本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0039】
例えば、管端収容部40と、一方シール部42と、他方シール部44とは一体でなくてもよい。この場合、これらの素材は同一でなくてもよい。一方シール部42および他方シール部44の素材は天然ゴムに限定されない。その素材は、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、および、シリコーンゴムのいずれかであってもよい。一方シール部42および他方シール部44の形態は上述したものに限定されない。一方シール部42が延びる方向は、管端収容部40の一端から管端収容部40の中心軸50へ向かうものである限り、特に限定されない。
【符号の説明】
【0040】
10…ハウジング形管継手
12,14…管
20…流体漏れ防止部
22…ハウジング部材
24…ボルト
26…ナット
40…管端収容部
42…一方シール部
44…他方シール部
50…中心軸
80…一方外側テーパ面
82…一方内側テーパ面
84…一方シール先端部
100…他方外側テーパ面
102…他方内側テーパ面
104…他方シール先端部
112,114…拡径部
120,122…斜面
140…円筒構成部
142…接続ブラケット部
160…収容空間形成部
162…一端拡径収容部
164…一端テーパ面
166…他端拡径収容部
168…他端テーパ面
図1
図2
図3
図4
図5