(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092245
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】配送用帳票
(51)【国際特許分類】
B42D 11/00 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
B42D11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204934
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宣親
(57)【要約】
【課題】片面プリントで情報を印刷でき、製造が容易で配送品への接着性に優れる配送用帳票を提供する。
【解決手段】
第一紙片部と第二紙片部とが折り線を介して連接され、第一紙片部は、上紙、中間紙及び下紙が積層され、上紙と中間紙とは、疑似接着され、中間紙の裏面側に粘着剤層が形成され、下紙と粘着剤層との間に剥離層が形成され、第一紙片部の上紙に分離区画を有し、分離区画は、第一区画と第二区画と、第一区画及び第二区画を剥離可能にする切取線を有し、第一区画及び第二区画の表面に第一及び第二情報記入部を有し、第一紙片部の中間紙は、分離区画に重なる範囲を囲繞する切取線を有し、第二紙片部は、切取線で囲繞された第三情報記入部を有する第三区画を有し、第二紙片部と第一紙片部を裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第三区画が、分離区画と重なるように配され、かつ、裏面側に第三区画を囲繞する剥離層が形成されている、配送用帳票により解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一紙片部と第二紙片部とが折り線を介して分離可能に連接され、
第一紙片部は、上紙、中間紙及び下紙が積層され、
上紙と中間紙とは、疑似接着され、
中間紙の裏面側に粘着剤層が形成され、下紙は前記粘着剤層に対して剥離可能に積層され、
第一紙片部の上紙は、切取線で囲繞された分離区画を有し、
分離区画は、少なくとも第一区画と第二区画と、第一区画及び第二区画を中間紙からそれぞれ剥離可能にする切取線を有し、
第一区画の表面に第一情報記入部を有し、第二区画の表面に第二情報記入部を有し、
第一紙片部の中間紙は、分離区画に重なる範囲を囲繞する切取線を有し、
第二紙片部は、切取線で囲繞された第三区画を有し、
第三区画の表面に第三情報記入部を有し、
折り線で折り返して第二紙片部と第一紙片部を裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第三区画が、第一紙片部の分離区画と重なるように配され、かつ、第二紙片部の裏面側に第三区画を囲繞する剥離層が形成されている、
ことを特徴とする、配送用帳票。
【請求項2】
第二紙片部は、第一紙片部の上紙と一体であり、その表面に第三情報記入部を有する、請求項1記載の配送用帳票。
【請求項3】
第三区画内に切取線で囲繞される第四区画を有し、第四区画の表面に第三情報記入部が配され、第二紙片部の裏面側の、第四区画の範囲内に剥離層が形成されている、請求項1又は2記載の配送用帳票。
【請求項4】
第三区画内に切取線で囲繞される第四区画を有し、第四区画の表面に第三情報記入部が配され、折り線で折り返して第二紙片部と第一紙片部を裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第四区画と重なる範囲に、第一紙片部の中間紙裏面側の粘着剤層が配されていない、請求項1又は2記載の配送用帳票。
【請求項5】
中間紙の上紙の分離区画と対面する面に情報部が形成されている、請求項1~5の何れか1項に記載の配送用帳票。
【請求項6】
切取線で囲繞され、第三情報記入部が配されている区画が、郵便ハガキとなっている、請求項1~請求項5記載の配送用帳票。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送用帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等を配送する際には、納品書等の商品に関する明細を記載した明細票や、配送先を記入した配送票、受領確認のための受領証などの複数の種類の紙票が使用されている。
【0003】
配送票や受領証は、商品を梱包する外装に貼付し、明細票は、その内容を外部から視認できないように、商品と一緒に梱包されたり、封筒などに封入したうえで外装に貼付されたりするのが一般的となっている。
【0004】
このように各種の紙票は、配送品への取り付け形態が異なるため、夫々別々に作成される場合がある。そして、この場合、各紙票に記載した情報を突き合わせて確認する作業が必要となる。
【0005】
しかし、この確認作業は、発送にかかる作業負担を増大させるとともに、確認作業にミスが生ずると誤配の原因となる。
【0006】
このような確認作業により生ずる問題に鑑みて、例えば、下記特許文献1~下記特許文献3のような技術が提案されている。
【0007】
特許文献1の技術は、表側ラベルと裏側ラベルとを貼り合せた二層構造のものであり、各々のラベルにミシン目で囲まれた領域が形成され、その表側ラベルの領域の表面が送り先や受領証等の情報を印字・印刷する部分となっており、裏側ラベルの領域の表面が購入証明書情報を印字・印刷する部分となっている。両面に各情報を印字・印刷したうえで、表側ラベルの表面側が露出するように配送品に貼付し、配送後に送り先や受領証の領域を分離除去することで、下層の裏側ラベルの領域が露出し、これをさらに分離することで、購入証明書が得られる。
【0008】
また、特許文献2の技術は、貼付シートと剥離台紙とが粘着剤層及び剥離層を介して貼着された二層構造のものであり、貼付シートの表面に送り先等の情報と納品書等の情報を印字・印刷する部分がミシン目を介して配置されている。貼付シートから剥離台紙を剥離すると、貼付シートのミシン目近傍に孔が形成されるようになっており、剥離台紙の剥離後にミシン目で折り返すと、納品書等の情報を印字・印刷する部分が折り込まれるとともに、前記孔から送り先等の情報を記入する部分の裏面側の粘着剤層が露出し、ミシン目以外の他の三方縁に露出する粘着剤層と合わせて、送り先部分の裏面側に納品書部分を折り込み内包させた状態で、配送品に貼り付けることができるようになっている。
【0009】
また、特許文献3の技術は、上紙部と下紙部とを有する二層構造であり、上紙部の表面にミシン目で囲まれた明細情報を印字・印刷する部分と、送り先情報を印字・印刷する部分とが折り返し線を挟んで形成されている。上紙部の裏面には、粘着剤層と剥離層を配されており、下紙部の裏面にも粘着剤層と剥離層が配されている。上紙部と下紙部の粘着剤層は対面する位置にあり、下紙の一部を剥離して上紙の粘着剤層を露出させ、折り返し線で折り返すと、送り先情報を印字・印刷する部分と明細情報を印字・印刷する部分とが表裏の位置関係となる。さらに、上紙の一部を下紙から剥離すると、明細情報を印字・印刷する部分の周縁に粘着剤層が露出して、明細情報が記入された部分を貼付面側に隠蔽するようにして、配送品に貼付できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2017-97068号公報
【特許文献2】特開2019-38210号公報
【特許文献3】特開2017-80967号公報
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術は、表裏に特定の位置に印字・印刷する構成であるため、両面プリントを行う必要がある。両面プリントは、片面プリントに比して、プリント時間が長く、プリントコストが高いという問題がある。さらに、両面プリントは、片面プリントに比して、プリンタの消耗が激しく、プリンタの耐久寿命を低減してしまう問題もある。さらに、片面プリンタで印刷可能な帳票も多く、両面ラベルプリンタの導入が必須となる特許文献1の技術は、他の帳票生産との互換性や汎用性が低く、現場作業の煩雑さが増すおそれがある。
【0012】
一方、特許文献2の技術は、剥離台紙を剥離する際にミシン目近傍に孔が形成されるように複雑な形状にスリットを形成する必要がある。このような複雑なスリット配置は、意図しない剥離や印字詰まりが発生する原因となるおそれがある。また、ミシン目で折り返した縁側は、孔から露出する粘着剤層の部分だけで配送品に接着されているので、この縁側の接着力が他の縁より低くなりやすい。さらに、孔が形成されていない部分は、配送品と接着していないため配送品との間に隙間があり、この隙間から、異物が侵入するなどして伝票が破損し、配達不可となるおそれもある。
【0013】
特許文献3の技術は、上紙と下紙に形成した各粘着剤層と剥離層とを、上紙と下紙における粘着剤層と剥離層の境界位置が一致するように精度よく対面させる必要があり、さらに、両者を貼付した後に積層内面にあり目視できない境界位置に精度よくミシン目を形成する必要がある。境界位置とミシン目とが一致していないと各紙片部における上紙及び下紙の剥離や分離ができなくなるため、極めて製造難易度が高い。さらに、境界が一致していない不良品の発見が極めて困難という問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の主たる課題は、片面プリントで送り先や明細等の情報を印字・印刷することができ、配送品への接着性に優れ、さらに、製造が容易な配送用帳票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決した第一の手段は、
第一紙片部と第二紙片部とが折り線を介して分離可能に連接され、
第一紙片部は、上紙、中間紙及び下紙が積層され、
上紙と中間紙とは、疑似接着され、
中間紙の裏面側に粘着剤層が形成され、下紙は前記粘着剤層に対して剥離可能に積層され、
第一紙片部の上紙は、切取線で囲繞された分離区画を有し、
分離区画は、少なくとも第一区画と第二区画と、第一区画及び第二区画を中間紙からそれぞれ剥離可能にする切取線を有し、
第一区画の表面に第一情報記入部を有し、第二区画の表面に第二情報記入部を有し、
第一紙片部の中間紙は、分離区画に重なる範囲を囲繞する切取線を有し、
第二紙片部は、切取線で囲繞された第三区画を有し、
第三区画の表面に第三情報記入部を有し、
折り線で折り返して第二紙片部と第一紙片部を裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第三区画が、第一紙片部の分離区画と重なるように配され、かつ、第二紙片部の裏面側に第三区画を囲繞する剥離層が形成されている、
ことを特徴とする、配送用帳票である。
【0016】
第二の手段は、
第二紙片部は、第一紙片部の上紙と一体であり、その表面に第三情報記入部を有する、上記第一の手段に係る配送用帳票である。
【0017】
第三の手段は、
第三区画内に切取線で囲繞される第四区画を有し、第四区画の表面に第三情報記入部が配され、第二紙片部の裏面側の、第四区画の範囲内に剥離層が形成されている、上記第一又は第二の手段に係る配送用帳票である。
【0018】
第四の手段は、
第三区画内に切取線で囲繞される第四区画を有し、第四区画の表面に第三情報記入部が配され、折り線で折り返して第二紙片部と第一紙片部を裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第四区画と重なる範囲に、第一紙片部の中間紙裏面側の粘着剤層が配されていない、上記第一又は第二の手段に係る配送用帳票である。
【0019】
第五の手段は、
中間紙の上紙の分離区画と対面する面に情報部が形成されている、上記第一~第五の手段に係る配送用帳票である。
【0020】
第六の手段は、
切取線で囲繞され、第三情報記入部が配されている区画が、郵便ハガキとなっている、上記第一から第五の手段に係る配送用帳票である。
【0021】
(作用効果)
本発明の上記の形態は、第一~第三情報記入部が、表面に位置しているため、片面プリントで送り先や明細等の必要な情報を印字・印刷することができる。
【0022】
また、下紙を中間紙から剥離した後、第一紙片部と第二紙片部とを裏面同士が対面するように折り重ねると、第一及び第二情報記入部と第三情報記入部とが表裏となるように、露出した粘着剤層により両紙片部が接着されて一体化される。
【0023】
この状態で第二紙片部の裏面側には第三区画を囲繞する剥離層が形成されているため、第三区画の外側領域が、粘着剤層から剥離除去することができるようになる。
【0024】
そして、この外側領域を剥離除去することにより、第三区画を囲繞するように粘着剤層が露出され、第三情報記入部を配送品と対面させ、第一情報記入部及び第二情報記入部を表面側として、第三区画の周縁全体を接着させることが可能となる。つまり、配送品に対して第三情報記入部を隠蔽した状態で、かつ、異物等が挟み込まれる隙間なく配送品等に貼着することができる。
【0025】
さらに、分離区画を分離することで、第三区画を配送品等の被貼着物から分離することができ、第三情報記入部に記入された内容を読みとることができる紙片を入手することができる。
【0026】
また、上紙、中間紙及び下紙における同一面に粘着剤層と剥離層とを形成する必要がなく製造は容易である。
【発明の効果】
【0027】
以上のとおり本発明によれば、片面プリントで送り先や明細等の情報を印字・印刷することができ、配送品への接着性に優れ、さらに、製造が容易な配送用帳票が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第一実施形態に係る配送用帳票の表面を示す平面図である。
【
図2】第一実施形態に係る配送用帳票の裏面図である。
【
図3】第一実施形態に係る配送用帳票の上紙の裏面側を示す図である。
【
図4】第一実施形態に係る配送用帳票の中間紙の表面側を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る配送用帳票の中間紙の裏面側を示す図である。
【
図6】第一実施形態に係る配送用帳票の下紙の表面側を示す図である。
【
図7】第一実施形態に係る配送用帳票の下紙の裏面側を示す図である。
【
図8】
図1及び
図2のA-A位置の断面の一例を示す図である。
【
図9】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための第一の図である。
【
図10】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための
図9におけるB-B位置における断面を示す図である。
【
図11】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための第二の図である。
【
図12】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための第三の図である。
【
図13】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための第四の図である。
【
図14】第一実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための第五の図である。
【
図15】第一実施形態に係る配送用帳票の
図1及び
図2のA-A位置の他の断面図を示すである。
【
図16】第二実施形態に係る配送用帳票の表面を示す平面図である。
【
図17】第二実施形態に係る配送用帳票の裏面図である。
【
図18】第二実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための断面図である。
【
図19】第二実施形態に係る配送用帳票の使用方法を説明するための他の図である。
【
図20】第三実施形態に係る配送用帳票の中間紙の裏面側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次いで、本発明の実施形態を
図1~
図20を参照しながら以下に詳述する。まず、本発明の第一実施形態を
図1~15を参照しながら説明し、さらに
図16~
図20を参照しながら第一実施形態を基本として、一部構造の異なる第二~第三の実施形態について、特にその異なる部分について説明する。なお、本発明及び明細書における配送用帳票や各紙の表面とは、上紙の表面及び上紙側の面であり、裏面とは、下紙の露出している側の面及びその面に向く側の面である。
【0030】
(第一実施形態)
「構造例」
本形態の配送用帳票1は、
図1、
図2及び
図8等に示されるように、一枚のシート状をなしている。大きさは限定されないが、例えば、日本工業規格のA列規格やB列規格等のプリンタでの印刷に適した規格の適宜の大きさとすることができる。
【0031】
この配送用帳票1は、第一紙片部2と第二紙片部3とが折り線11を介して分離可能に連接されている。図示の形態では、紙面表面を手前に向けた状態で、右側半分が第一紙片部2、左側半分が第二紙片部3となっているが、これに限定されない。例えば、左側半分が第一紙片部2、右側半分が第二紙片部3であってもよい。さらに、第一紙片部2と第二紙片部3とが折り線11を介して上下に配置されていてもよい。第一紙片部2と第二紙片部3の大きさ及び形状は、必ずしも同一である必要はないが、第一紙片部2と第二紙片部3とが、同形状で同じ大きさであると折り線11で折り返した際に、第一紙片部2と第二紙片部3とが一致し、使用時の取り扱いに優れるようになるため、同形状で同じ大きさであるのがよい。
【0032】
第一紙片部2と第二紙片部3とを分ける折り線11は、第一紙片部2と第二紙片部3とを折り曲げ可能に区画分けするものでよく、より好適には分離しやすくするものが望ましい。必ずしも限定されないが、例えば、筋入れ加工により形成したり、ミシン目やアンカット部を設けたスリット線やハーフスリット線により形成したりすればよい。なお、スリット線は、紙面を完全に貫いてカットすることで形成される線であり、ハーフスリット線は、紙面を完全に貫かずにごくわずかに紙層が残るようにしてカットすることで形成される線である。好ましくは、折り曲げと分離がともに容易に行うことができるミシン目及びアンカット部を設けたスリット線である。ミシン目のカットタイ比やアンカット部の長さや間隔は、紙の強度や大きさに応じて適宜に設計することができる。ミシン目は、略L字や略Y字のカット部が並ぶジッパーミシン目とも称されるミシン目がよい。このジッパーミシン目は、一方方向からの裂開されやすく、反対方向から裂開し難くなっており、意図せず裂開し難く、また、意図した操作によって裂開させやすい。また、上紙表面に、当該折り線により折り曲げることを示唆する情報を印刷等により不可変情報として印刷しておくのが望ましい。
【0033】
なお、本発明に係る配送用帳票1に関し、枠線や使用方法の説明など配送用帳票1を使用する者に共通する情報等を予め印刷等したものを不可変情報ということがある。これに対して、宛先、商品情報等の使用者や利用者により可変して印字・印刷する必要がある情報を可変情報ということがある。
【0034】
他方で、本実施形態の配送用帳票1は、特に
図8に示すように、少なくとも第一紙片部2が、上紙20、中間紙30及び下紙40が表面側からこの順で積層され一体化されて構成されている。このうち上紙20と中間紙30とは、疑似接着されており、剥離可能に接着されているとともに、剥離後において、剥離面が過度の粘着性を有さず、通常の使用において再接着しないようになっている。上紙20と中間紙30とを疑似接着する技術は必ずしも限定されず、一般的な疑似接着技術を用いることができる。例えば、両紙間に圧着フィルムを介在させることで、疑似接着させることができる。また、両紙間に層構造を有する擬似接着フィルムを介在させることで、疑似接着させてもよい。好ましくは、図示の形態のように、疑似接着剤層23を介して上紙20と中間紙30とが疑似接着する形態が望ましい。疑似接着剤の塗布により安価にかつ容易に形成できる。さらに、塗布量、塗布位置さらに塗布範囲を柔軟に設定することができ製造も容易となる。また、疑似接着剤層23は、疑似接着剤の凝集破壊により、疑似接着剤層23が上紙側と下紙側とに分断されて接着状態から両紙が剥離するものが望ましい。この場合、上紙20及び中間紙30を破損なく剥離しやすく、特に剥離後に剥離面の粘着性を低くすることができる。
【0035】
疑似接着剤層23を形成するための疑似接着剤としては、ホットメルト粘着剤にシリコーンを配合するなどして再接着性を低下させたホットメルト系粘着剤、天然又は合成ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、有機溶剤系、エマルジョン系の非剥離性粘着剤に亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の既知の微粒子充填剤を配合して接着力を調整した微粒子充填系粘着剤、水溶性エマルジョン系粘着剤などを用いることができる。特に、好ましくは、紙層内への浸透性が弱く、乾燥後の粘着性が極めて低く、疑似接着剤層23の凝集破壊による好適な剥離機構を構築できる、仮止め接着剤とも称されるポリプロピレン酢酸ビニル共重合物等の水性エマルションを主成分とする疑似接着剤である。
【0036】
他方、中間紙30の裏面側には粘着剤層34が形成されており、下紙40はこの粘着剤層34を被覆するようにして剥離可能に積層されている。したがって、下紙40を剥離することにより、上紙20と中間紙30とが疑似接着された状態で、中間層30の裏面側の粘着剤層34が露出される。
【0037】
下紙40を粘着剤層34に対して剥離可能に積層する技術は、必ずしも限定されない。例えば、下紙を樹脂製の剥離フィルムが一方面にラミネートされたものとして、粘着剤層上に剥離フィルム面を対面させて積層するようにしてもよい。好ましくは、図示の形態のように、下紙40と粘着剤層34との間に剥離層35を介在さて剥離層35と共に下紙40が剥離される形態である。剥離層35を印刷等によって容易に設けることができ製造が容易となるとともに、剥離フィルムを用いるよりも製造コストを安くしやすい。粘着剤層34と下紙40との間に剥離層35を介在させるようにするには、下紙40の一方面に予め剥離層35を形成した剥離紙を粘着剤層面に積層するようにすればよい。また、図示の形態は、剥離層35は、下紙40と中間紙30の間の全面にベタで設けられているが、例えば、網点印刷や模様印刷等によって部分的や散財的に形成し、剥離力や接着力を調整することができる。
【0038】
剥離層35を形成するための剥離剤は、粘着剤層34に対して剥離可能な剥離層35を形成できるものを選択すればよく、必ずしも限定されない。配送用帳票に用いられる公知の剥離剤を用いることができる。具体例としては、シリコーン、変性シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等を挙げることができる。
【0039】
一方の粘着剤層34は、配送品等の被貼着物に対して、通常の使用において剥離不能に強固に接着する粘着性を有する。粘着剤層34は、中間紙30の裏面側に印刷等によって塗布することができる。予め中間紙30の裏面側となる面に対して粘着剤層34を設けた後、上紙や下紙等と積層してもよい。
【0040】
ここで、本発明に係る配送用帳票1は、製造工程のいつの段階で粘着剤層34や剥離層35を形成するかは、限定されない。また、図示の形態では、粘着剤層34は、中間紙30の裏面の全面にベタで設けられているが、例えば、網点印刷や模様印刷等によって部分的や散財的に形成し、剥離力や粘着力を調整することができる
【0041】
粘着剤層34を構成する粘着剤は、配送用帳票1に用いられる公知の粘着剤を用いることができる。例えば、ホットメルト系粘着剤、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、オレフィン系粘着剤、EVA系粘着剤、ウレタン系粘着剤が挙げられる。なかでも、ホットメルト系粘着剤は、乾燥工程を省略することができ、製造容易である点で望ましい。
【0042】
他方で、本実施形態の配送用帳票1は、第一紙片部2の上紙20に切取線12で囲繞された分離区画21を有している。この分離区画21は切取線12で囲まれているため分離区画内21の範囲は、上紙20における切取線12の範囲外にある他の部分から分離可能となっている。分離区画21の形状は限定されないが、好ましくは、図示例のように矩形である。特に、角部から意図せず分離区画が中間紙から剥離し難いように、角部に丸みをつけた角丸長方形が望ましい。
【0043】
分離区画21を囲繞する切取線12は、ミシン目やスリット線やハーフスリット線により形成することができる。上紙20と中間紙30とは疑似接着されているため、切取線12がアンカット部を有さない上紙20を貫通するスリット線であっても分離区画21が意図せず分離するおそれはないが、アンカット部を設けてもよい。意図しない分離がより防止される。ミシン目のカットタイ比やアンカット部の長さや間隔は、紙の強度や大きさに応じて適宜に設計することができる。ミシン目は、上記のジッパーミシン目でもよい。
【0044】
本実施形態の配送用帳票1では、分離区画21は、第一区画21Aと第二区画21Bと、これら第一区画21A及び第二区画21Bを中間紙20からそれぞれ別々に剥離可能にするための切取線13,14を有している。つまり、第一区画21A及び第二区画21Bも切取線13,14により囲繞されている。この第一区画21Aと第二区画21Bを中間紙30から剥離可能にするための切取線13,14は、分離区画21を囲繞する切取線12と一部が共通されていてもよい。図示の形態は、紙面上下方向の上側が第一区画21A、下側が第二区画21Bとされ、これら第一区画21A及び第二区画21Bとが切取線13,14を介して連接して配置されている。但し、本発明に係る配送用帳票1では、第一区画21Aと第二区画21Bとは連接している必要はなく、また、第一区画21A及び第二区画21B以外の他の一又は複数の区画が存在していてもよい。これらの区画については、中間紙から分離可能であっても分離不能でもよいが、分離可能であるのが望ましい。
【0045】
第一区画21A及び第二区画21Bを中間紙30からそれぞれ剥離可能にする切取線13,14は、分離区画21を囲繞する切取線と同様に、適宜のミシン目やスリット線やハーフスリット線により形成することができる。ミシン目とスリット線が混在していてもよい。アンカット部を有さないスリット線を含むと、第一区画21A及び第二区画21Bを剥離しやすくなる。
【0046】
第一区画21A及び第二区画21Bは、その角部に第一区画21A及び第二区画21Bを中間紙20から剥離しやすいようにするためにそれぞれコーナーカット部22a,22bを有するのが望ましい。コーナーカットの位置は特に限定されない。コーナーカット部が形成されていると、剥離の起点として当該部分の近傍を摘まみやすくなる。
【0047】
他方で、第一区画21Aの表面には、第一情報記入部21aが形成されている。さらに、第二区画21Bの表面に第二情報記入部21bが形成されている。第一情報記入部21a及び第二情報記入部21bは、商品の配送に必要な可変情報を記入する部分である。図示の形態では、第一情報記入部21aは、送り先や配送先等、配送先毎に可変する情報を記入する部分となっている。第二情報記入部21bは、受領人の情報や届けられた商品を受け取った受領証明のサインを記入したり押印したりする受取人毎に可変する部分となっている。もちろん第一情報記入部21a及び第二情報記入部21bに記入する情報は、これに限定されない。例えば、送り先情報や受領情報だけでなく、第一情報記入部21aと第二情報記入部21bとに共通して発送者情報を記入する部分があってもよい。また、第二情報記入部21bが配送先情報を記入する部分とされ、第一情報記入部21aに受領人情報を記入する部分となっていてもよい。
【0048】
この第一情報記入部21a及び第二情報記入部21bは、例えば、記入する各情報種やその記入位置を定めるための枠や文字情報を不可変情報として印刷しておくことができる。但し、可変情報を印刷する際に、枠等が同時に印字・印刷される部分であってもよい。
【0049】
他方、本実施形態の配送用帳票1では、第一紙片部2を構成する中間紙30には、上紙20に形成された分離区画21と重なる範囲31を囲繞するように切取線15が設けられている。したがって、この切取線15で囲繞される範囲31は、中間紙30の他の部分から分離可能となっている。また、この切取線15は、中間紙における上紙20の分離区画21と重なる範囲31を囲繞するものであるため、上紙20の分離区画21を囲繞する切取線12と平面視で一致する位置に形成されている。但し、完全一致している必要はなく、例えば、製造上の誤差やミシン目の幅(太さ)に応じた意図的又は意図しない位置ズレ等、本発明の効果を奏する範囲でのずれは許容される。好適には、上紙20の切取線と中間紙30の切取線が完全に一致しているのがよく、ずれがあっても2mm以内とするのがよい。また、完全一致させるには、例えば、上紙20と中間紙30とが積層された状態でミシン目等の切取線12,15を形成するようにすればよい。なお、上紙20と中間紙30とが積層された状態で切取線12,15を形成する際に、下紙40の同位置にミシン目等の切取線が形成されてもよい。本発明では、下紙40における切取線の有無は限定されるものではない。
【0050】
このように本実施形態の配送用帳票1では、上紙20と中間紙30とが疑似接着され、さらに、切取線12で囲繞される上紙20の分離区画21と重なる範囲31を囲繞する切取線15が中間紙30にも設けられているため、分離区画21の分離後、あるいは分離区画21の分離と同時に、中間紙20におけるこの分離区画21に重なる範囲31も分離することができるようになっている。
【0051】
一方で、本実施形態の配送用帳票1の第二紙片部3は、切取線16で囲繞された第三区画51を有している。第二紙片部3は、好適には、
図8に示すように、第一紙片部2の上紙20と一体であり、第一紙片部2の上紙20が折り線11を越えて延在した部分で構成される。但し、
図15に示すように、中間紙30と一体として中間紙30が折り線11を越えて延在した部分で構成することもできる。この場合、第二紙片部2の表面側には疑似接着剤層23を形成しないのが望ましい。
【0052】
第三区画51を囲繞する切取線16は、ミシン目やアンカット部を設けたスリット線やハーフスリット線により形成することができる。この切取線16は、好ましくは、ミシン目であり、特に好ましくは、上記のジッパーミシン目である。特に、第二紙片部3が、上紙20又は中間紙30のみが延在された部分で非積層の一枚で構成される場合、アンカット部を設けたスリット線よりも、ミシン目やジッパーミシン目のほうが、切取線16の強度が高く、プリンタでの印刷時に意図せず分離するおそれが各段に低くなる。
【0053】
他方、この第二紙片部3の表面には、第三情報記入部51aが設けられている。第三情報記入部51aは、例えば、配送品に梱包される商品の商品名、その商品の価格や割引率など商品購入時の明細情報等を記入するに適した部分であり、図示の形態では、このような情報の記入により納品書として機能するようになっている。但し、第三情報記入部51aに記入される情報は、商品明細に限られず、商品の保証書や取り扱い情報、使用時の注意書き等の情報とすることができる。特に、第三情報記入部51aは、配送時に隠蔽されることが好ましい情報を記入する部分として適する。なお、第三情報記入部51aは、第一情報記入部21aや第二情報記入部21bと同様に、記入する各情報種やその記入位置を定めるための枠や文字情報を不可変情報として印刷しておくのが望ましい。但し、可変情報を印刷する際に、枠等が同時に印字・印刷される部分であってもよい。
【0054】
他方で、第二紙片部3に形成される第三区画51は、第一紙片部2と第二紙片部3とを分ける折り線11で、配送用帳票1を折り曲げ、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第一紙片部2の分離区画21と重なる位置に配されている。つまり、この配送用帳票1は、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面同士が対面するように折り重ねた際に、上紙20の第一紙片部2にある分離区画21と、これに重なる範囲にある中間紙30の切取線15で囲繞される範囲31と、第二紙片部3の第三区画51とが、平面視で重なるようになっている。なお、分離区画21と第三区画51との重なりは、分離区画21と中間紙30の切取線15で囲繞される範囲31と同様に、完全一致している必要はなく、例えば、製造上の誤差やミシン目の幅(太さ)に応じた意図的又は意図しない位置ズレ等、本発明の効果を奏する範囲でのずれは許容される。好適には、完全一致であり、ずれがあっても2mm以下とするのがよい。折り線11で折り返した際に、分離区画21と第三区画51と一致するようにするには、折り線を対象軸として分離区画21と第三区画51とが線対称となるように切取線12,15を形成すればよい。容易に精度よく各位置に分離区画21と第三区画51を形成することができる。
【0055】
他方、第二紙片部3の裏面側は、第三区画51を囲繞するようにして第三区画51以外の部分に剥離層52が形成されている。この剥離層52は、少なくとも第一紙片部2と第二紙片部3とを分ける折り線11で、配送用帳票2を折り曲げ、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第一紙片部2の粘着剤層34に重なる範囲には形成されている。この剥離層52は、中間紙30の裏面側の粘着剤層34に対して剥離可能又は接着不能な層であり、剥離剤の塗布や樹脂剤のラミネート等によって形成することができる。剥離剤の塗布は、印刷技術やロール転写技術など公知の技術によって形成することができる。剥離剤は、配送用帳票に用いられる公知の剥離剤を用いることができる。具体例としては、シリコーン、変性シリコーン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等を挙げることができる。但し、下紙40の表面側に設けられている剥離層35を形成するための剥離剤と必ずしも同種である必要はない。
【0056】
他方で、本実施形態の配送用帳票1では、第二紙片部3の裏面側は、第三区画51の範囲内に剥離層は設けられていない。したがって、この部分は、中間紙40の裏面側の粘着剤層34に対して接着可能となっている。
【0057】
上記構成の本実施形態の配送用帳票1では、第一紙片部2における下紙40を中間紙30から剥離し、中間紙20の裏面側の粘着剤層34を露出させた後、第一紙片部2と第二紙片部3とを折り線11で折り返して、その裏面同士を対面させると、中間紙20の裏面側に露出する粘着剤層34により、両紙片部2,3が接着される。但し、第二紙片部3の裏面においては、第三区画51を囲繞するように剥離層52が設けられているため、第三区画51の範囲内は完全に接着されるが、第三区画51の範囲外では中間紙20の裏面側に露出する粘着剤層34に対して接着されないか、剥離可能に仮接着されるか接着されない態様となる。
【0058】
そして、第三区画51は、切取線16で囲繞されているとともに、第一紙片部2と第二紙片部3との境界の折り線11で両紙片部が分離可能になっているため、この切取線16及び折り線11で第三区画51を残して、分離することができるようになっている。第三区画51の範囲外は、粘着剤層34と接着していないか剥離可能なため、この範囲を第三区画51と分離すると、同時に第一紙片部2の粘着剤層34からも剥離され、第三区画51を囲繞するように粘着剤層34Aの一部が新たに露出され、この露出する粘着剤層34Aを介して配送品等の被貼着物60へ貼着することが可能となる。
【0059】
さらに、第一紙片部2と第二紙片部3とが重ねられた状態では、分離区画21と中間紙30の分離区画21に重なる範囲31と第三区画51とは平面視で一致しているとともに、分離区画21と中間紙30の分離区画21に重なる範囲31は切取線12,15で囲繞されているため、第三区画51は、分離区画21と中間紙30の分離区画21に重なる範囲31とともに、又は、分離区画21の全部又は一部が剥離された後の中間紙30の分離区画21に重なる範囲31とともに、他の部分から分離することができる。
【0060】
この分離された部分は、分離区画21と中間紙30の分離区画21と重なる範囲31が疑似接着され、中間紙30と第二紙片部2の第三区画51とが粘着剤層34を介して接着された、三層積層の一体的なシート状をなすもの70か、又は、分離区画21の全部又は一部が剥離された後の中間紙30の分離区画21に重なる範囲31と第二紙片部2の第三区画51とが粘着剤層34を介して接着された、一体的なシート状をなすものとなる。
【0061】
ここで、本実施形態の配送用帳票1では、上紙20、中間紙30、下紙40は、公知の紙を用いることができ、例えば、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、レーヨン紙、コート紙で構成することができる。上紙20は、可変情報の印字・印刷に優れた上質紙が望ましい。紙の坪量が限定されないが、40~200g/m2程度あるのが望ましい。
【0062】
また、分離区画21は、葉書サイズであるのが望ましい。葉書サイズとは、90~107×140~154mmである。分離区画21が葉書サイズであると、例えば、上記のように、分離区画21と中間紙30の分離区画21に重なる範囲31と第三区画51とを他の部分から分離して得られるシート状物70を葉書として使用することが可能となる。なお、葉書として郵送するには6g以下である必要があるため、本発明に係る配送用帳票2では、この分離されるシート状物70となる部分の総重量が6g以下であるのが望ましい。これは、上紙20及び中間紙30の坪量、疑似接着剤層、粘着剤層の目付量により調整することができる。
【0063】
「使用方法例」
次いで、第一実施形態の配送用帳票1の使用方法を、商品を購入した購入者に、その商品を梱包した配送品60を送付する態様を例に説明する。
【0064】
まず、
図1及び
図2に示す枚葉或いはこれがミシン目等を介して連続する連続帳票の状態において、第一情報記入部21a、第二情報記入部21b、第三情報記入部51aに必要な可変情報を記入する。本使用方法例では、第一情報記入部21aに、商品の送り先住所、受取人の氏名等の配送先情報、第二情報記入部21bに受領人の氏名等の受領証情報を記入し、第三情報記入部51aには、商品の商品名、金額、割引額等の納品書情報を記入する。このとき、第一情報記入部21a、第二情報記入部21b、第三情報記入部51aは同一紙面である表面側にあるため、片面プリントにより可変情報を印字・印刷することができる。なお、連続帳票の態様の場合は、この後の適時の工程で各帳票に分離する。
【0065】
各情報記入部に可変情報を記入した後には、
図9に示すように、第一紙片部2における下紙40を中間紙30から剥離して、中間紙30の裏面側の粘着剤層34を露出させる。
【0066】
次いで、この粘着剤層34が露出した状態で、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面側が対面するように折り返して、
図10に断面を示すように、下紙40が剥離された第一紙片部2と第二紙片部3とを粘着剤層34により、接着して積層一体化する。この折り返しにより、第一情報記入部21a及び第二情報記入部21bと第三情報記入部51aとが表裏の位置関係となるとともに、第二紙片部3の裏面にある第三区画51を囲繞するように設けられた剥離層52が粘着剤層34に対面する。
【0067】
第一紙片部2と第二紙片部3とを接着した後には、
図11に示すように、第二紙片部3における第三区画51の範囲外の部分を折り線11及び切取線16で分離して除去する。この部分は、粘着剤層34と対面する部分に剥離層52が設けられているため、第三区画51を残して分離される。そして、このように第三区画51の範囲外の部分を切取線16で分離して除去することで、折り返しによって第二紙片部3により隠蔽された粘着剤層34の一部34Aが第三区画51を囲繞するようにして再度露出される。
【0068】
このように第三区画51を囲繞するように粘着剤層34Aが露出されたならば、
図12に示すように、この露出する粘着剤層34Aを介して、配送先情報が記入された第一情報記入部21aが表面側となるようにして配送用帳票1を配送品60に貼付する。このとき、第三情報記入部51aは、配送品60に対面するように貼付されるため、第三情報記入部51aに記入した情報が隠蔽され外部から視認することができないようになる。それとともに、第三情報記入部51aが設けられている第三区画51を囲むように配されている粘着剤層34Aによって、第三区画51の周囲が隙間なく配送品に貼着される。
【0069】
次いで、配送品60が配送先に配送された後には、配達人が第二情報記入部21bの受領証部分に受領人より押印等により受領証明情報を記入してもらい、切取線14により第二区画21Bを上紙20の他の部分から分離するとともに、疑似接着されている中間紙30より剥離して受領証明書とする。さらに、必要に応じて、配送品60を受け取った受取人等が、切取線13によって第一区画21Aを上紙20の他の部分から分離するとともに、疑似接着されている中間紙30より剥離する。
【0070】
第一区画21Aを分離の後又はその前に、分離区画21を囲繞する切取線12によって、この切取線12で囲まれる範囲を他の部分から分離する。なお、図示の形態は、第一区画21Aと第二区画21B以外に分離区画21の他の区画21Cがあるが、この他の区画21Cも上紙20と中間紙30とが疑似接着されている部分であるため、剥離により除去することができる。また、図示例とは異なり分離区画21が、第一区画21Aと第二区画21Bのみで構成されている場合には、第一区画21A及び第二区画21Bを中間紙から剥離すると同時に分離区画21がなくなる。このように分離区画21が剥離除去されると、中間紙20には、分離区画21と重なる範囲31を囲繞するように切取線15が設けられているため、この切取線15と切取線15で囲まれる範囲31が露出し、他の部分から分離することができるようになる。
【0071】
他方で、第二紙片部3における第三区画51は、裏面側が第一紙片部2と第二紙片部3との折り返しにより粘着剤層34を介して中間紙30と接着されて積層一体化されているとともに、中間紙30の切取線15で囲まれる範囲31と重なって一致しているため、中間紙30における分離区画21と重なる範囲31を囲繞する切取線15によって、他の部分から分離すると、
図14に示すように、配送品60に対面していた第三情報記入部51aが露出されるようにして、第三区画51も分離される。
【0072】
ここで、分離区画21は中間紙20に対して疑似接着されている上紙20の一部であるため、第一区画21A及び第二区画21Bを含む分離区画21の剥離除去によって露出される中間紙30の疑似接着面は、粘着性がないか通常では接着性を示さない程度の極めて低い粘着性しかない。
【0073】
したがって、この分離した部分は、第三区画51の第三情報記入部51aが一方面となり、分離区画21が剥離除去された後の中間紙30の分離区画21が重なっていた範囲31の表面側が他方面となる一枚のシート状となり、第三情報記入部51aに記入された情報により納品書や明細書として利用することが可能なものなる。なお、この部分が葉書サイズであれば、葉書として使用しやすくなる。その場合、例えば、第三情報記入部51aに商品の使用感などのアンケート情報を記入する部分として、納品書ではなくアンケート葉書とする態様とすることもできる。
【0074】
ここで、上記の使用方法例では、第一区画21Aや他の区画21Cを剥離除去し、中間紙30における分離区画21と重なる範囲31及びこの範囲31を囲繞する切取線15をすべて露出させた後に、中間紙30における分離区画21と重なる範囲31とこれに接着されている第三区画を分離しているが、本実施形態の配送用帳票1では、
図13に示す状態では、分離区画21と中間紙30における切取線15で囲繞される範囲31と第三区画51が重なっているため、分離区画21Aの一部、例えば、受領票となる第二区画21Bを剥離除去した後には、第一区画21Aや他の区画21Cを分離しなくとも、中間紙30における切取線15とこの切取線15で囲繞される範囲31の一部が露出し、この露出する切取線15の一部から、分離区画21の一部(第一区画21Aや他の区画21C)を剥離除去することなく、中間紙30における切取線15で囲繞される範囲31と第三区画51とともに、分離して得ることができる。
【0075】
したがって、他の使用方法例として、分離区画21の一部(第一区画21Aや他の区画21C)を剥離除去することなく、中間紙30における切取線15で囲繞される範囲31と第三区画51とともに、分離した後に、中間紙30における切取線15で囲繞される範囲31から疑似接着されている分離区画21の一部である第一区画21Aや他の区画21Cを分離するようにしてもよい。
【0076】
(第二実施形態)
次いで、本発明の第二実施形態の配送用帳票1を
図16~
図19を参照しながら説明する。なお、第一の実施形態と同様の構成については上記のとおりであり、特に第二実施形態に特有の構成を説明する。また、本形態では構造を説明しつつ使用方法も説明する。
【0077】
この第二実施形態の配送用帳票1は、第二紙片部3の第三区画51の範囲内に切取線17で囲繞される第四区画54が設けられており、この第四区画54の表面に第三情報記入部51aが配されている。この第四区画54は、少なくとも第三区画51より狭い範囲となっている。なお、
図16に示すように、第四区画54を囲繞する切取線17は、その一部が第三区画51を囲繞する切取線16と共通していてもよい。
【0078】
他方で、この第四区画54を囲繞する切取線17は、第三区画51を囲繞する切取線16と同様に、ミシン目やアンカット部を設けたスリット線やハーフスリット線により形成することができるが、好ましくは、ミシン目であり、特に好ましくは、上記のジッパーミシン目である。
【0079】
この第二実施形態の配送用帳票1では、
図17に示すように、第二紙片部3に配置された第四区画54の裏面側にも剥離層55が形成されている。この剥離層55は、第三区画51を囲繞するように配される剥離層52や下紙40の表面側の剥離層35と同様に剥離層の塗布等により形成することができる。但し、用いる剥離剤は必ずしも同一である必要はない。
【0080】
第二実施形態の配送用帳票1では、下紙40を剥離して中間紙30裏面側の粘着剤34を露出させた状態で、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面側が対面するように折り返すと、
図18に断面を示すように、第二紙片部裏面側の第三区画51の範囲外と第四区画54の範囲内において剥離層52,55が粘着剤層34に対面する。
【0081】
このため、
図19に示すように、使用時に分離区画21を囲繞する切取線12と中間紙3における分離区画21と重なる範囲31を囲繞する切取線17を他の部分から分離して、シート状物70を得た後、さらに、切取線17で切り取ることで、第四区画54を中間紙30から分離することが可能となる。
【0082】
この第二実施形態の配送用帳票1では、納品書等として得られる第三区画51aであった部分が、中間紙30と積層されていない状態で得ることができるため、取り扱い性に優れた納品書等を得ることができる。
【0083】
(第三実施形態)
次いで、本発明の第三実施形態を特に
図20を参照しながら説明する。
図20は、第一紙片部2の中間紙20の裏面側を示している。なお、第一の実施形態及び第二実施形態と同様の構成については上記のとおりであり、特に第三実施形態に特有の構成を説明する。また、本形態も構造を説明しつつ使用方法も説明する。
【0084】
この第三実施形態も第二実施形態と同様に、第二紙片部3の第三区画51内に切取線17で囲繞される第四区画54が設けられており、この第四区画54の表面に第三情報記入部51aが配されている。
【0085】
他方で、第三の実施形態の配送用帳票では、
図20に示すように、第一紙片部2の中間紙30裏面側に、粘着剤層34が部分的に配されていないか糊殺し等の処理によって粘着性を示さないようになされた非粘着部36が形成されている。
【0086】
この非粘着部36は、折り線11で折り返して第二紙片部3と第一紙片部2の裏面同士が対面するように折り重ねた際に、第四区画54と重なる範囲となっている。
【0087】
したがって、下紙40を剥離して中間紙30の裏面側の粘着剤層を露出させた状態で、第一紙片部2と第二紙片部3の裏面側が対面するように折り返しても、第四区画54と中間紙30とが粘着剤層34によって接着されない。
【0088】
このため、第二実施形態の配送用帳票1と同様に、使用時に分離区画21を囲繞する切取線12及び中間紙20における分離区画21と重なる範囲31を囲繞する切取線15で他の部分から分離してシート状物70を得た後等に、さらに、切取線17で切り取ることで、第四区画54が中間紙30から分離される。
【0089】
この第三実施形態では、納品書等として得られる第三区画51aであった部分が、中間紙30と積層されていない状態で得ることができ、さらに、剥離層等もないため、薄く取り扱い性に優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0090】
1…配送用帳票、2…第一紙片部、3…第二紙片部、11…折り線、12…分離区画を囲繞する切取線、13…第一区画を分離するための切取線、14…第二区画を分離するための切取線、15…中間紙の分離区画と重なる範囲を囲繞する切取線、16…第三区画を囲繞する切取線、17…第四区画を囲繞する切取線、21…分離区画、21A…第一区画、21B…第二区画、21C…分離区画の第一区画及び第二区画以外の部分、21a…第一情報記入部、21b…第二情報記入部、22a,22b…コーナーカット部、20…上紙、23…疑似接着剤層、30…中間紙、34…粘着剤層、34A…新たに露出する粘着剤層、35…剥離層、31…中間紙の分離区画と重なる範囲、40…下紙、51…第三区画、51a…第三情報記入部、52…第三区画を囲繞する剥離層、54…第四区画、55…第四区画裏面の剥離層、60…被貼着物(配送品)、70…シート状物、71…納品書。