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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092250
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220615BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20220615BHJP
   C08L 63/02 20060101ALI20220615BHJP
   C08L 63/08 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 7/28 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 5/5435 20060101ALI20220615BHJP
   C08K 5/315 20060101ALI20220615BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20220615BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L75/04
C08K5/17
C08L63/02
C08L63/08
C08K7/28
C08K5/5435
C08K5/315
C09J163/00
C09J11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204944
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】598109187
【氏名又は名称】パーカーアサヒ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】福島 瞳
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002BB013
4J002CD00W
4J002CD033
4J002CD05W
4J002CD18W
4J002CF003
4J002CK023
4J002CK02X
4J002CK05X
4J002CL003
4J002DE099
4J002DL007
4J002EN036
4J002EN076
4J002ET009
4J002EX068
4J002FA103
4J002FA107
4J002FD017
4J002FD146
4J002FD148
4J002FD149
4J002FD209
4J002GJ00
4J040EC001
4J040HC04
4J040HC05
4J040HC15
4J040HC16
4J040HD32
4J040JB02
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA42
4J040NA16
(57)【要約】
【課題】接着剤の比重を低減し、基材に対する密着性、強度、破壊状態に優れ、低温硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ブロックウレタン樹脂と、2つ以上のNH基を有する有機化合物もしくは該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)と、非膨張バルーンと、シランカップリング剤と、金属触媒を含むエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ブロックウレタン樹脂と、2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)と、非膨張バルーンと、シランカップリング剤と、金属触媒と、を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂は、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂(NBR変性エポキシ樹脂)を含む、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記2つ以上のNH基を有する有機化合物は、80~200℃の融点を有する有機化合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記非膨張バルーンは、ガラスバルーンまたは樹脂バルーンである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記シランカップリング剤は、エポキシ基を有するシランカップリング剤である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
前記金属触媒は、錫、亜鉛、チタン、またはビスマスを含む金属触媒である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
前記エポキシ樹脂組成物は更に、ジシアンジアミドを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
前記エポキシ樹脂組成物は更に、前記ジシアンジアミドの硬化促進剤としてウレア系触媒を含む、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
自動車構造部材に塗布され、部材を接着させる目的で使用される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車の構造部材用の接着剤として、エポキシ樹脂組成物が広く使用されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、光重合性成分とゴム成分またはエポキシ樹脂とを、もしくはゴム変性エポキシ樹脂を含有する樹脂組成物を含む、自動車の構造部材用の接着剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-57447号公報
【特許文献2】特表2010-523800号公報
【特許文献3】特開2020-128466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動車の構造用接着剤には、種々の充填剤を含有するが、比重の重い鉱物・金属系フィラーを使用することにより自動車車体が重くなり燃費の低減を妨げるという問題があった。特許文献2に記載される接着剤は、発泡性のマイクロバルーンを使用しているが、基材に対する密着性、強度、破壊状態が不十分であった。
【0005】
近年、自動車製造工程においても、CO排出削減や省エネルギー化が進み、製造工程における加熱温度を低下させることが望まれている。一方で、加熱温度が低下されることによりブロックウレタン樹脂やシランカップリング剤の反応が進まず、また、加熱ムラなどによる低温加熱部分が生じるために、特に低温加熱部分である車体低温硬化部位における強度、耐久性が不十分であるという問題があった。特許文献3に記載される接着剤は、非膨張バルーンを使用することによって、接着剤の比重を低減し、基材に対する密着性、強度、破壊状態が改善されているものの、低温での硬化部位の強度、耐久性が不十分であった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、非膨張バルーンを使用することによって、接着剤の比重を低減し、2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)と金属触媒を使用することによって低温硬化性に優れ、基材に対する密着性、強度、耐久性、破壊状態に優れたエポキシ樹脂組成物、特に、加熱硬化一液型エポキシ樹脂接着剤に好ましく用いられるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、本発明のエポキシ樹脂組成物は以下の特徴を有するエポキシ樹脂組成物である。
(1)少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ブロックウレタン樹脂と、2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)と、非膨張バルーンと、シランカップリング剤と、金属触媒と、を含むエポキシ樹脂組成物。
(2)前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、上記(1)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(3)前記エポキシ樹脂は、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂(NBR変性エポキシ樹脂)を含む、上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(4)前記2つ以上のNH基を有する有機化合物は、80~200℃の融点を有する有機化合物である、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(5)前記非膨張バルーンは、ガラスバルーンまたは樹脂バルーンである、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(6)前記シランカップリング剤は、エポキシ基を有するシランカップリング剤である、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)前記金属触媒は、錫、亜鉛、チタン、またはビスマスを含む金属触媒である、上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(8)前記エポキシ樹脂組成物は更に、ジシアンジアミドを含む、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
(9)エポキシ樹脂組成物は更に、前記ジシアンジアミドの硬化促進剤としてウレア系触媒を含む、上記(8)に記載のエポキシ樹脂組成物。
(10)自動車構造部材に塗布され、部材を接着させる目的で使用される、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
接着剤の比重を低減し、基材に対する密着性、強度、耐久性、破壊状態に優れ、低温硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物、特に、加熱硬化一液型エポキシ樹脂接着剤に好ましく用いられる低温硬化性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態について説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
本発明は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂を主成分とし、2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)と、非膨張バルーンと、シランカップリング剤と、金属触媒を含むエポキシ樹脂組成物(以下、本実施形態に係る樹脂組成物と呼ぶ)である。
【0011】
以下、各々の成分について、詳細に説明する。
【0012】
≪エポキシ樹脂≫
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つであるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、もしくはビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、もしくはアルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、もしくはテトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、もしくはN,N-ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0013】
本実施形態に係る樹脂組成物におけるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、および/またはカルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂(NBR変性エポキシ樹脂)を含むことが好ましい。以下に、これらのエポキシ樹脂について、詳細に説明する。
【0014】
<ビスフェノールA型エポキシ樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つである、ビスフェノールA型エポキシ樹脂について説明する。
【0015】
本実施形態に係る樹脂組成物が含有するエポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することで、接着剤としての強度も十分な樹脂組成物が得られる。
【0016】
本実施形態に係るビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が150以上260以下であるのが好ましい。また、本実施形態に係る樹脂組成物における、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の量は、20~80質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、より耐衝撃性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0017】
<カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂(NBR変性エポキシ樹脂)>
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つである、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂(NBR変性エポキシ樹脂)について説明する。
【0018】
本実施形態に係る樹脂組成物は、骨格がゴムであるエポキシ樹脂を含み、具体的には、カルボキシル基を含有するNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂を含む。NBR変性エポキシ樹脂を含有することで、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0019】
本実施形態に係るNBR変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が200以上500以下であるのが好ましい。また、本実施形態に係る樹脂組成物における、NBR変性エポキシ樹脂の量は、5~70質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、より耐衝撃性、柔軟性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0020】
NBR変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ樹脂は、特に制限されず、従来公知のエポキシ樹脂を使用することができる。
また、エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0021】
なお、本発明において、NBR変性エポキシ樹脂のエポキシ当量および添加量は、製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂を含むNBR変性エポキシ樹脂におけるエポキシ当量および添加量とする。
【0022】
≪ブロックウレタン樹脂≫
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーが、活性メチレン化合物、オキシム化合物、フェノール化合物、ラクタム化合物や2級アミン化合物等でブロックされたブロックウレタン樹脂を含有する。
【0023】
<ポリヒドロキシ化合物>
ポリヒドロキシ化合物は、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格等は特に限定されず、比較的低分子の多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0024】
多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3-もしくは1,4-)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5-ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0025】
ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、上記多価アルコール類から導かれるものを使用しても良いし、以下に示す芳香族ジオール類、アミン類から導かれるものを使用しても良い。
【0026】
芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m-ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4-ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、または4-(2-ジヒドロキシエチル)フェノール;ビスフェノールA構造(4,4′-ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′-ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、またはビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0027】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイド、およびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0029】
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラエチレングリコール、またはソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0030】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、または上記アミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物;ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε-カプロラクトン、α-メチル-ε-カプロラクトン、またはε-メチル-ε-カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので、両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0031】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素-炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0032】
これらのポリヒドロキシ化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0033】
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、または脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、またはノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI))、MDI(例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′-MDI)、もしくは2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′-MDI))、1,4-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、またはトリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、またはジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0035】
<ブロック剤>
ブロックウレタンのブロック剤としては、マロン酸ジエステル、アセト酢酸エステル等の活性メチレン化合物;メチルイソブチルケトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム等のオキシム化合物;ノニルフェノール、ビスフェノールA等のフェノール化合物(モノ体、もしくはジ体);ε-カプロラクタム等のラクタム化合物;ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン化合物が挙げられる。ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネートとの反応により、末端に遊離のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーが得られる。このウレタンプレポリマーに、これらのブロック剤を反応させることでブロックウレタン樹脂を得ることができる。
【0036】
ブロック剤の添加量としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物の合計に対して、5~30質量%とすることが好ましい。
【0037】
<ブロックウレタン樹脂合成触媒>
ブロックウレタン樹脂を合成する反応に好適である触媒は市販されており、例えば、アルミニウム、錫、亜鉛、チタン、マンガン、ビスマスまたはジルコニウムをベースとする金属または遷移金属化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、亜鉛オクトエート、チタンテトラブチレート、またはジルコニウムオクトエート等が挙げられる。
【0038】
また、本実施形態に係る樹脂組成物における、ブロックウレタン樹脂の量は、3~50質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、高温においても優れた強度および耐久性を有する樹脂組成物が得られる。
【0039】
≪その他の成分≫
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記説明した主成分以外の成分として、下記に挙げる2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)、非膨張バルーン、シランカップリング剤、金属触媒の他、その他の硬化剤、その他の硬化促進剤、更にその他の成分を含む。各々の成分について、下記に詳細に説明する。
【0040】
<2つ以上のNH基を有する有機化合物>
本実施形態に係る2つ以上のNH基を有する有機化合物としては、例えば3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、炭素原子数10~12の非環状ジカルボン酸のジヒドラジド、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、3-ジアミノシクロヘキサン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2,4‐ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、エチレンジアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルフェニル)メタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、またはポリエチレンポリアミン類などの分子中にNH基を2つ以上有する有機化合物が挙げられる。
これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0041】
上記の2つ以上のNH基を有する有機化合物は、ブロックウレタン樹脂の硬化剤として好ましい有機化合物であって、本実施形態においては80℃~200℃の融点を有するものがより好ましい。
これら2つ以上のNH基を有する有機化合物としては、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、炭素原子数10~12の非環状ジカルボン酸のジヒドラジド、p-フェニレンジアミン、または2,4‐ジアミノトルエンが好ましく、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾエート)、または炭素原子数10~12の非環状ジカルボン酸のジヒドラジドがより好ましい。
【0042】
本実施形態において、ブロックウレタン樹脂の硬化剤として、上記2つ以上のNH基を有する有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)も好ましく用いられる。
2つ以上のNH基を有する有機化合物の反応生成物(変性物質)としては、炭素原子数10~12の非環状ジカルボン酸のジヒドラジド、イソホロンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メンタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1、3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1、3-ジアミノシクロヘキサン、m-フェニレンジアミン、または2,5-ジアミノトルエンなどの2つ以上のNH基を有する有機化合物と、アジピン酸などの二塩基酸;2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、もしくはビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物もしくはその重合体(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、など);イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、またはノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、もしくはジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの芳香環を有しない、脂肪族もしくは脂環式で2官能性のイソシアネート、もしくはそのポリイソシアネート、などとの反応生成物(変性物質)が挙げられる。
これら2つ以上のNH基を有する有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)としては、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンと2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパンもしくは重合体(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)との反応生成物(変性物質)、ヒドラジンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)、またはエチレンジアミンとイソホロンジイソシアネートとの反応生成物(変性物質)が特に好ましく用いられる。
【0043】
<非膨張バルーン>
本実施形態に係る非膨張バルーンとしては、ガラスバルーン、樹脂バルーンが好ましく用いられる。樹脂バルーンは、PET、ナイロン、ポリウレタン、ポリオレフィン、PVC、および/または他の架橋ポリマーから成る、比較的非弾性の材料で構成される。
非膨張バルーンを用いることにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の軽量化が可能となる。
【0044】
<シランカップリング剤>
本実施形態に係るシランカップリング剤としては、エポキシ基を有するものが有効であり、例えば2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、またはシロキサンオリゴマー骨格中にエポキシ基とアルコキシシラン基を複数有するもの、が好ましく用いられる。
これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0045】
<金属触媒>
本実施形態に係る金属触媒としては、例えばジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ビス(アセトキシジブチル錫)オキサイド、ビス(ラウロキシジブチル錫)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビスマレイン酸モノブチルエステル、ジオクチル錫ビスマレイン酸モノブチルエステル、またはジブチル錫スルフィドなどの錫系触媒;オクチル酸亜鉛、ビス(2-エチルヘキサン酸)亜鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、または硝酸亜鉛などの亜鉛系触媒;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)、ジオクタノキシチタンジオクタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、またはチタン酸ブチルなどのチタン系触媒;ビスマストリオクラート、ネオデカン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、または硝酸ビスマスなどのビスマス系触媒が挙げられる。
これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
上記の金属触媒は、ブロックウレタン樹脂、シランカップリング剤の硬化を促進させる作用を有し、エポキシ樹脂組成物に優れた低温硬化性を付与するための触媒として好ましい。
【0046】
<その他の硬化剤>
本実施形態に係るその他の硬化剤としては、通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものをそのまま使用することができる。
【0047】
その他の硬化剤の具体例としては、例えばジシアンジアミド、2-n-ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、N,N-ジアルキル尿素誘導体、N,N-ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、N-アミノエチルピペラジン、三フッ化ホウ素錯化合物、またはトリスジメチルアミノメチルフェノールなどが挙げられる。
これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0048】
上記のその他の硬化剤の中でも、ジシアンジアミドを好適に使用することができる。ジシアンジアミドは、室温で安定に貯蔵でき、かつ、加熱により溶融し活性化することで急速に硬化する機能を有する潜在性硬化剤である。そのため、ジシアンジアミドを使用することで、優れた強度および耐久性を有する樹脂組成物が得られる。
【0049】
本実施形態に係る樹脂組成物中における、その他の硬化剤の含有量は、特に限定されず、それぞれのその他の硬化剤ごとの最適量を好ましく用いることができる。
【0050】
<その他の硬化促進剤>
本実施形態に係るその他の硬化促進剤は、その他の硬化剤として好適に用いられるジシアンジアミドの硬化反応を促進する効果を有するものが好ましく用いられる。本実施形態の組成物に用いられるその他の硬化促進剤は、ジシアンジアミドの硬化反応を促進する効果を有するものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の硬化促進剤を用いることができる。その他の硬化促進剤の具体例としては、脂肪族ジメチルウレア、芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
これらのその他の硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0051】
<更にその他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、その用途に応じて、更に無機充填剤、有機もしくは高分子充填剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、摺動性付与剤、界面活性剤、または着色剤等を含有していてもよい。
これらは、1種類を単独で含有していても良いし、2種類以上を併用して含有していても良い。
更にその他の成分の具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、ワレストナイト、ヒュームドシリカ、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム、ベントナイト、カオリン、またはカーボンブラック等が挙げられる。
【0052】
≪エポキシ樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂、2つ以上のNH基を有する有機化合物および/または該有機化合物もしくはヒドラジンとの反応生成物(変性物質)、非膨張バルーン、シランカップリング剤、金属触媒、並びに必要に応じてその他の成分を、室温で均質に混練することで得ることができる。
【0053】
≪実施例≫
以下に、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、ジブチル錫ジアセテートを0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0055】
(実施例2のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンとビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応生成物(変性物質)を2重量部、ジブチル錫ジアセテートを0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0056】
(実施例3のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、ヒドラジンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、ジブチル錫ジアセテートを0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0057】
(実施例4のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)を0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0058】
(実施例5のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、オクチル酸亜鉛を0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0059】
(実施例6のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、ビスマストリオクラートを0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0060】
(比較例1のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0061】
(比較例2のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、イソホロンジアミンとアジピン酸との反応生成物(変性物質)を2重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0062】
(比較例3のエポキシ樹脂組成物の製造)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(液状、エポキシ当量=190)を70重量部、NBR変性エポキシ樹脂(HyPox RA 1340 CVC社製)を30重量部、コロネート2532(ブロックウレタン樹脂、東ソー社製)を20重量部、ガラスバルーン(非膨張バルーン:S38 3M社製)を5重量部、ジシアンジアミドを7重量部、1-フェニル-3,3-ジメチル尿素を1重量部、ジブチル錫ジアセテートを0.05重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1重量部、フィラーとして、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、ヒュームドシリカ、酸化カルシウムの混合物を30重量部混合、脱気してエポキシ樹脂組成物を得た。
【0063】
(試験および評価方法)
(1)引張り剪断強度試験
(1-1)各実施例および各比較例で得られた組成物を、軟鋼板の表面に塗布して所定の温度(145℃)、所定の時間(30分)で硬化させて硬化直後の試料とし、引張り剪断強度試験に供した。
また、硬化後、30℃、湿度90%に設定した高温恒湿器内に30日間放置し、放置後の試料として引張り剪断強度試験に供した。
(1-2)試験は、下記の条件で実施した。
試験方法:JIS K 6850に準拠
テストスピード 50mm/min
塗布膜厚 0.2mm
塗膜面積 13×25mm
試験温度 23℃
とした。
(1-3)30℃、湿度90%の条件で30日間放置したことによる引張り剪断強度の低下を、強度低下率(%)として、「硬化直後の試料の引張り剪断強度」と「放置後の試料の引張り剪断強度」から、下記の式によって求めた。
強度低下率(%)=[「硬化直後の試料の引張り剪断強度」-「放置後の試料の引張り剪断強度」/「硬化直後の試料の引張り剪断強度」]×100
(2)破壊状態
引張り剪断強度試験後の試料表面の破壊状態(形態)を目視にて観察した。破壊状態(形態)が「凝集破壊」を示す程度について評価を行い、試料表面全体における「凝集破壊」を示した程度(%)で表記した(特許第6049705号公報参照)。
【0064】
実施例1~6および比較例1~3の評価結果について、表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
実施例1~6において、「硬化直後の試料」の引張り剪断強度および破壊状態は、145℃の低温硬化条件であったが、良好な結果を示した。一方、比較例1~3においては、実施例1~6に比較して強度が低かった。
また、実施例1~6においては、高湿度条件下に放置した後においても、強度低下率(%)は20%未満と、良好な結果を示した。一方、比較例1~3における強度低下率(%)は30%以上であり、特に比較例1では50%と大きな強度低下を示した。
そして、実施例1~6においては、高湿度条件下に放置した後においても、100%が「凝集破壊」であった。一方、比較例1~3では30%~70%の「凝集破壊」であった。
したがって、実施例におけるエポキシ樹脂組成物は、優れた強度および耐久性を有することがわかった。