(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092269
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/20 20210101AFI20220615BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20220615BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20220615BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220615BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20220615BHJP
H01M 10/6557 20140101ALN20220615BHJP
H01M 10/6561 20140101ALN20220615BHJP
【FI】
H01M2/10 A
H01M2/12 Z
H01M2/12 101
H01M10/04 W
H01M10/613
H01M10/6557
H01M10/6561
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204976
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 泰憲
【テーマコード(参考)】
5H012
5H028
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB02
5H012BB08
5H012CC09
5H012DD01
5H012FF01
5H012GG01
5H012JJ10
5H028CC01
5H028CC04
5H028CC12
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA33
5H040AA37
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY06
5H040AY10
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】電極体内部で発生したガスを電池に備わったガス排出弁から排出し易くし、筐体の開裂による、他の電池への類焼を防止することができるモジュール電池を提供すること。
【解決手段】角形電池と、セパレータとが配列方向に沿って積層された電池モジュールであって、角形電池は、配列方向に平行な面にガス排出弁が配置され、セパレータは、角形電池と対向する面に溝を有し、溝は、端部の一方が前記ガス排出弁が配置されている配列方向に平行な面の方向に向かって形成される複数の溝を備える電池モジュール。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形電池と、セパレータとが配列方向に沿って積層された電池モジュールであって、
前記角形電池は、前記配列方向に平行な面にガス排出弁が配置され、
前記セパレータは、前記角形電池と対向する面に溝を有し、
前記溝は、端部の一方が前記ガス排出弁が配置されている前記配列方向に平行な面の方向に向かって形成される複数の溝、を備える、電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の溝のうち2つ以上は互いに、前記角形電池と対向する面を前記配列方向からみたときの前記端部の一方から他方までの長さが異なる、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記複数の溝のうち2つ以上は互いに、前記角形電池と対向する面を前記配列方向からみたときの前記面に対する前記端部の一方と他方と結ぶ直線の角度が異なる、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記複数の溝は、前記ガス排出弁に向かって延び、前記ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記角型電池は、筐体と、前記筐体内に収容される電極体とを備え、
前記筐体は、角形外装体と、封口板とから構成され、
前記角形外装体は、第1側面部と、底辺部と、第2側面部とから構成され、
前記ガス排出弁は、前記封口板上に配置され、
前記電極体は、前記封口板側から順に第1湾曲部と、平坦部と、第2湾曲部とから構成され、
前記配列方向から見たとき、前記セパレータは、
前記封口板と、前記第1湾曲部との間の領域に一方の端部が存在し、前記平坦部と前記第1側面部または第2側面部との間の領域に他方の端部が存在する第1溝と、
前記封口板と、前記第1湾曲部との間の領域に一方の端部が存在し、前記第2湾曲部と前記底辺部との間の領域に他方の端部が存在する第2溝と
を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池と、複数のセパレータとが配列方向に沿って交互に積層されたモジュール電池において、電池の放熱性を向上するためにセパレータに溝を設けることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池モジュールにおいて、電極体内部で短絡が生じ、高温のガスが電極内部で急激に発生することがある。しかしながら、電極体とそれを収容する筐体(電池缶)の間には隙間が無く、発生した高温のガスがガス排出弁に到達できずに電極体から近傍の空間に放出され、結果、筐体が溶解し、開裂することにより、隣接電池に類焼する可能性があった。特許文献1に記載のセパレータに形成された溝は冷却性の観点から設けられたものであり、電池の異常時において発生するガスを効率的にガス排出弁へ誘導することができず、電池の開裂を防止することができない。
【0005】
本開示の目的は、電極体内部で発生したガスを電池に備わったガス排出弁から排出し易くし、筐体の開裂による、他の電池への類焼を防止することができる電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の電池モジュールを提供する。
[1] 角形電池と、セパレータとが配列方向に沿って積層された電池モジュールであって、
前記角形電池は、前記配列方向に平行な面にガス排出弁が配置され、
前記セパレータは、前記角形電池と対向する面に溝を有し、
前記溝は、端部の一方が前記ガス排出弁が配置されている前記配列方向に平行な面の方向に向かって形成される複数の溝、を備える、電池モジュール。
[2] 前記複数の溝のうち2つ以上は互いに、前記角形電池と対向する面を前記配列方向からみたときの前記端部の一方から他方までの長さが異なる、[1]に記載の電池モジュール。
[3] 前記複数の溝のうち2つ以上は互いに、前記角形電池と対向する面を前記配列方向からみたときの前記面に対する前記端部の一方と他方と結ぶ直線の角度が異なる、[1]または[2]に記載の電池モジュール。
[4] 前記複数の溝は、前記ガス排出弁に向かって延び、前記ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成される、[1]~[3]のいずれかに記載の電池モジュール。
[5] 前記角型電池は、筐体と、前記筐体内に収容される電極体とを備え、
前記筐体は、角形外装体と、封口板とから構成され、
前記角形外装体は、第1側面部と、底辺部と、第2側面部とから構成され、
前記ガス排出弁は、前記封口板上に配置され、
前記電極体は、前記封口板側から順に第1湾曲部と、平坦部と、第2湾曲部とから構成され、
前記配列方向から見たとき、前記セパレータは、
前記封口板と、前記第1湾曲部との間の領域に一方の端部が存在し、前記平坦部と前記第1側面部または第2側面部との間の領域に他方の端部が存在する第1溝と、
前記封口板と、前記第1湾曲部との間の領域に一方の端部が存在し、前記第2湾曲部と前記底辺部との間の領域に他方の端部が存在する第2溝と
を備える、[1]~[4]のいずれかに記載の電池モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電極体内部で発生したガスを電池に備わったガス排出弁から排出し易くし、筐体の開裂による、他の電池への類焼を防止することができる電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】配列方向から見た角形電池の内部を示す概略断面図である。
【
図3】角形電池の側面から見た角形電池の内部を示す概略断面図である。
【
図4】配列方向から見たセパレータの一例を示す概略図である。
【
図5】配列方向から見た電池モジュールのセパレータと電極体との位置関係を模式的に示す概略図である。
【
図6】
図5に示す電池モジュールのVI-VI断面図である。
【
図7】配列方向から見た電池モジュールのセパレータと電極体との別の位置関係を模式的に示す概略図である。
【
図8】
図7に示す電池モジュールのVIII-VIII断面図である。
【
図10】セパレータの溝のパターンの一例を示す概略図である。
【
図11】セパレータの溝のパターンの一例を示す概略図である。
【
図12】セパレータの溝のパターンの一例を示す概略図である。
【
図13】セパレータの溝のパターンの一例を示す概略図である。
【
図14】電池モジュールの別の例を示す概略図である。
【
図15】実施例における短内部短絡試験を説明する概略図である。
【
図16】比較例1に用いたセパレータを示す概略図である。
【
図17】比較例2に用いたセパレータを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量等に言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量等に限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0010】
図1は、電池モジュール1の基本的構成を示す図である。
図1に示すように、電池モジュール1は、角形電池100と、セパレータ200とを備える。角形電池100と、セパレータ200とは直接接して積層されていてよい。
【0011】
角形電池100と、セパレータ200とは配列方向(矢印DR1方向)に沿って積層される。電池モジュール1は、複数の角形電池と複数のセパレータとが配列方向に沿って交互に積層されたものであってもよい。
【0012】
角形電池100は、例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等であってよい。角形電池100は、平坦面状の直方体形状に形成されている。角形電池100は、ガス排出弁110と、電極端子120と、筐体130とを備える。ガス排出弁110は、角形電池100の配列方向に平行な面101上に配置される。
【0013】
筐体130は、角形外装体131および封口板132から構成される。角形外装体131は、第1側面部133と、底辺部134と、第2側面部135を含む。角形外装体131および封口板132は、それぞれ金属製であることが好ましく、アルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることが好ましい。電池モジュール1において封口板132の一方の面が配列方向に平行な面101となっている。
【0014】
ガス排出弁110は、配列方向(矢印DR1方向)に平行な面に配置されることができる。ガス排出弁110は例えば角形電池100の鉛直方向に上向きの面に配置されることができる。角形電池100において、ガス排出弁110は、封口板132上に配置されている。角形電池100内で内部短絡が起きたときに生じる高温のガスをガス排出弁110から筐体130内から排出することができる。ガス排出弁110は、筐体130内の圧力が所定値以上となった際に破断する。これにより、筐体130内のガスが筐体130外に排出される。高温のガスをガス排出弁110より排出することにより隣接する角形電池への類焼を防止することができる。
【0015】
電極端子120は、正極端子121と、負極端子122とを含む。電極端子120は、封口板132上に形成されている。筐体130には、図示されていないが電極体および電解質が収容されている。
【0016】
図2は、配列方向(矢印DR1方向)から見た角形電池100の内部を示す。筐体130内には電極体300が収容される。電極体300は、巻回型として図示されているが、積層(スタック)型であってもよい。巻回型である電極体300は、湾曲部301、平坦部302及び湾曲部303を有している。電極体300は、正極集電部材(図示せず)によって正極端子121に接続されている。正極集電部材は、例えばアルミニウム板等であってもよい。電極体300は、負極集電部材(図示せず)によって負極端子122に接続されている。負極集電部材は、例えば銅板等であってもよい。
【0017】
図3は、角形電池100の側面から見た角形電池100の内部を示す。角形電池100の側面とは、ガス排出弁110が備わっていない面であり、配列方向に垂直な方向(矢印DR3方向)から見た面をいう。電極体300は通常、配列方向から見た面が筐体130に直接接しており、配列方向から見た面と筐体130との間に隙間がなく、電極体内で短絡が起こったときに生じるガスの逃げ場がない。湾曲部301と湾曲部303では、湾曲により電極体300と筐体130との間に隙間(空間)が生じている。
【0018】
図3に示す角形電池100は、筐体130内に1つの電極体が収容されているが、複数の電極体が収容されていてもよい。電極体300が筐体130内に複数収容される場合、電極体300が配列方向(矢印DR1方向)に積層されていてよい。
【0019】
図4は、セパレータの一例を示す。セパレータ200は、配列方向(矢印DR1方向)から見た形状(以下、平面視形状ともいう)が例えば方形形状であってよく、長辺と短辺とを有する長方形であってもよい。セパレータ200および筐体130の平面視形状がいずれも長方形である場合、セパレータ200の短辺および長辺の寸法はそれぞれ、筐体130の短辺および長辺の寸法と同一であってよく、または小さくてもよい。
【0020】
セパレータ200を構成する材料は、例えば熱可塑性樹脂又はゴムからできていてよい。熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリブチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。ゴムとしては、例えばエチレンプロピレン系ゴム(EPM、EPDM)等が挙げられる。セパレータの圧縮弾性率は、例えば2000MPa以下であってよく、好ましくは100MPa以上1800MPa以下、より好ましくは500MPa以上1300MPa以下である。セパレータ200は、例えば断熱板としての機能を有していてもよい。
【0021】
セパレータ200は、例えば射出成形により製造することができるし、または上記材料からなる板状体に溝を形成することにより製造することもできる。
【0022】
セパレータ200の配列方向(矢印DR1方向)の寸法(以下、厚みともいう)は、例えば0.5mm以上10mm以下であってよく、好ましくは1mm以上5mm以下である。
【0023】
セパレータ200は、角形電池100と対向する面に溝210を有する。セパレータ200は、セパレータ200の配列方向から見た面の両側の面に溝を有していてもよい。両側の面に溝を有する場合、セパレータ200の両側に角形電池100を積層したときでもガスを排出し易くできる。溝は、端部のうち一方が角形電池100のガス排出弁110が配置されている配列方向に平行な面の面方向に向かって形成される複数の溝211、212、213、214を備える。セパレータが上記溝を有することにより、電極内部で短絡が起こり、短絡箇所より急激にガスが発生した場合でも、セパレータのガス排出弁に向かう溝に沿って筐体が膨れることにより、電極体と筐体との間にガスのガス排出弁へのガス流出経路が形成され、ガス排出弁からスムーズにガスを排出することができ、電池缶の開裂による、他の電池への類焼を防止することができるようになる。
【0024】
図4において、複数の溝の形状は全て直線状として示されているが、複数の溝の形状は互いに同一であってよく、異なっていてもよく、直線状、曲線状または分枝状のいずれであってよく、これらの2以上の組み合わせであってもよい。
【0025】
セパレータ200の平面視形状において、複数の溝の幅は、例えば0.1mm以上5mm以下であってよく、好ましくは0.5mm以上4mm以下、より好ましくは1mm以上3mm以下である。複数の溝の深さは、例えば0.05mm以上5mm以下であってよく、好ましくは0.1mm以上3mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。
【0026】
複数の溝の本数は、例えば4本以上40本以下であってよく、好ましくは4本以上20本以下である。
【0027】
セパレータ200は、平面視形状において、ガス排出弁が配置される側の辺からその辺に対向する辺に降ろした垂線Pを境界として第1領域Aおよび第2領域Bとしたとき、第1領域Aおよび第2領域Bおける複数の溝の配置および形状が同じであることができる。
【0028】
セパレータ200の平面視形状において、複数の溝のうち2つ以上は互いに、溝の端部の一方から他方までの長さが異なっていてよい。溝の形状が後述するように曲線状の場合、溝のガス排出弁に向かって形成される端部と、他方の端部とを結んだ直線の距離をいう。また、溝の形状が分枝状の場合、溝のガス排出弁に向かって形成される端部と、他方の端部の一つとを結んだ直線の距離のうち最も長い距離をいう。
図4に示す複数の溝211と212とは互いに、溝の端部の一方から他方までの長さが異なっている。また、
図4に示す複数の溝213と214とは互いに、溝の端部の一方から他方までの長さは互いに異なっている。第1領域Aおよび第2領域Bにおいてそれぞれ配置される複数の溝の全ては互いに、上記長さが異なっていてもよい。溝の端部の一方から他方までの長さは例えば30mm以上500mm以下であってよい。
【0029】
セパレータ200の平面視形状において、複数の溝のうち2つ以上は互いに、角形電池100と対向する面101を配列方向からみたときの面101に対する溝の端部の一方と他方とを結ぶ直線の角度が異なっていてよい。
図4に示す複数の溝211と212とは互いに角度が異なっている。また、
図4に示す複数の溝213と214とは互いに角度が異なっている。第1領域Aおよび第2領域Bにおいてそれぞれ配置される複数の溝の全ては互いに、上記角度が異なっていてもよい。上記角度は0度超90度未満であることができる。
【0030】
セパレータ200の平面視形状において、複数の溝は、一方の端部がガス排出弁に向かって延び、ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成されていてよい。
図4に示す複数の溝211と212の間隔は、ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成されている。また、
図4に示す複数の溝213と214の間隔のように、ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成されている。第1領域Aおよび第2領域Bにおいてそれぞれ配置される複数の溝は、ガス排出弁に近づくにつれ互いの間隔が小さくなるように形成されていてもよい。
【0031】
図5は、配列方向から見た電池モジュールのセパレータと電極体との位置関係を模式的に示す。
図5に示すように、電池モジュールを配列方向から見たとき、セパレータ200は、封口板132と、第1湾曲部301との間の領域に一方の端部が存在し、平坦部302と第1側面部133または第2側面部135との間の領域に他方の端部が存在する第1溝215、218、および封口板132と、第1湾曲部301との間の領域に一方の端部が存在し、第2湾曲部303と底辺部134との間の領域に他方の端部が存在する第2溝216、217とを備えることができる。
【0032】
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図6に示すように、第2溝216、217の両方の端部は、電極体の外側まで(湾曲部301および302を超えるまで)延びていてよい。
【0033】
図7は、配列方向から見た電池モジュールのセパレータと電極体との別の位置関係を模式的に示す。
図7に示すように、電池モジュールを配列方向から見たとき、セパレータ200は、第1湾曲部301上に一方の端部が存在し、平坦部302と第1側面部133または第2側面部135との間の領域に他方の端部が存在する第1溝215、218、および第1湾曲部301上に一方の端部が存在し、第2湾曲部303上に他方の端部が存在する第2溝216、217とを備えることができる。
【0034】
図8は、
図7のVIII-VIII断面図である。
図8に示すように、第2溝216、217の両方の端部は、電極体の湾曲部301および303上にあることができる。
【0035】
図9は、セパレータの一例を示す。
図9に示すセパレータは、配列方向から見た両側の面に直線状の複数の溝を有する。複数の溝は、セパレータが角形電池に積層されたときに、溝の一方の端部が角形電池のガス排出弁が配置される面の方向に放射状に向かうように形成されている。複数の溝が上記放射状に形成されることにより、電極体の短絡時に生じるガスがガス排出弁から排出され易くなる傾向にある。
【0036】
図10~
図13は、セパレータの平面視形状における溝の形状の例を示す。
図10に示すように、溝の形状は、曲線状であってよい。
図11に示すように、セパレータが角形電池に積層されたときに、角形電池のガス排出弁が配置される面側に設けられた窪みに溝の一方の端部が集約されるように、溝の一方の端部が角形電池のガス排出弁が配置される面の方向に放射状に向かうように形成されていてもよい。
図12に示すように、溝の形状は分枝状であってもよい。
図13に示すように、溝の形状は、溝の幅が、角形電池のガス排出弁が配置される面の方向に近づくにつれ狭くなるように形成されていてもよい。
【0037】
図14は、本開示の電池モジュールの別の例を示す。
図14に示す電池モジュール2は、角形電池100とセパレータ200とが交互に積層されている。角形電池100とセパレータ200とは、一対のエンドプレート400で挟んで固定されていてもよい。2つのエンドプレートに挟持された複数の角形電池100は、エンドプレート400によって押圧され、2つのエンドプレート400間で拘束されることとなる。
【0038】
エンドプレート400は、矢印DR1方向(配列方向)において電池モジュール2両端に配置されている。エンドプレート400は、電池モジュール2を収納するケースなどの基台に固定される。エンドプレート400の矢印DR3方向の両端には、段差部410が形成される。
【0039】
締結部500は、2つのエンドプレート400を互いに接続する拘束部材510と、エンドプレート400の角部に設けられるカバー部材520とを含む。拘束部材510は、2つのエンドプレート400に各々形成された段差部410に取り付けられる。
図14の例では、拘束部材510は、略L字状の断面を有し、角形電池100の角部に拘束部材510が配置される。
【0040】
複数の角形電池100、セパレータ200およびエンドプレート400の積層体に対して矢印DR1方向の圧縮力を作用させた状態で拘束部材510を段差部410に係合させ、その後に圧縮力を解放することにより、2つのエンドプレート400を接続する拘束部材510に引張力が働く。その反作用として、拘束部材510は、2つのエンドプレート400を互いに近づける方向に押圧する。
【0041】
エンドプレート400は、例えばアルミダイカスト材、アルミ押出材、鋳鉄などから構成される。拘束部材510は、例えばSPFH590材の一般材、およびSUS材などから構成される。
【0042】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
[内部短絡試験]
非水電解質二次電池の内部短絡時に、セパレータの溝によるガス排出弁へのガス誘導作用で、非水電解質二次電池の側面開裂を防止し、類焼を抑制することができるか以下の方法により評価を行った。
図15に示すように、実施例および比較例で作製した非水電解質二次電池(寸法:縦91mm、横148mm、厚み26.5mm)からなる電池モジュール600を固定用金属プレート601、602で挟んで、所定の荷重で非水電解質二次電池603とセパレータ604、605とを固定した。
図15に示すように、固定用金属プレート602およびセパレータ604の配列方向から見た面に釘刺用穴606を6か所設けた。次に、固定用金属プレート602およびセパレータ604に設けた釘刺用穴606の6か所それぞれにおいて、直径1mmの釘を内部短絡によりガスが発生するまで電池に刺し込み、非水電解質二次電池603のガス排出弁以外において開裂する電池の数をカウントした。
【0045】
<実施例1>
ポリプロピレンでできたセパレータ(厚み3mm、寸法:長辺148mm×短辺85mm、圧縮弾性率1200MPa)を準備した。
図9に示すセパレータの非水電解質二次電池との接触面において、いずれの溝においても一方の端部からガス排出弁に向かう他方の端部までの距離が最短となる直線を描くようなパターン(以下、放射状パターンともいう)で、幅2mm、深さ1mmの溝を両面に複数形成し、セパレータを作製した。非水電解質二次電池を2枚のセパレータで挟んで電池モジュールを作製した。作成した電池モジュールについて内部短絡試験を実施した。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例1>
図16に示すように、非水電解質二次電池とセパレータの接触面において、いずれの溝においても一方の端部からガス排出弁に向かう他方の端部までの距離が最短となる直線を描くようなパターン(以下、縦直線パターンともいう)で複数の溝を形成したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、非水電解質二次電池をセパレータで挟んで電池モジュールを作製した。作成した電池モジュールについて内部短絡試験を実施した。結果を表1示す。
【0047】
<比較例2>
図17に示すように、非水電解質二次電池とセパレータの接触面において、いずれの溝においても一方の端部からガス排出弁に向かう他方の端部までの距離が最短となる直線を描くようなパターン(以下、横直線パターンともいう)で複数の溝を形成したこと以外は実施例1と同様にしてセパレータを作製し、非水電解質二次電池をセパレータで挟んで電池モジュールを作製した。作成した電池モジュールについて内部短絡試験を実施した。結果を表1示す。
【0048】
<比較例3>
溝を形成せずにセパレータをそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にして電池モジュールを作製し、内部短絡試験を実施した。結果を表1示す。
【0049】
1,2,600 電池モジュール、100 角形電池、101 配列方向に平行な面、110 ガス排出弁、120 電極端子、121 正極端子、122 負極端子、130 筐体、131 角形外装体、132 封口板、133 第1側面部、134 底辺部、135 第2側面部、200 セパレータ、210 溝、211,212,213,214 複数の溝、215,218 第1溝、216,217 第2溝、300 電極体、301,303 湾曲部、302 平坦部、400 エンドプレート、410 段差部、500 締結部、510 拘束部材、520 カバー部材、601,602 固定用金属プレート、603 非水二次電池、604,605 セパレータ、606 釘刺用穴、A 第1領域、B 第2領域。