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特開2022-92283情報処理装置、製造装置、情報処理システム、製造システム、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092283
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、製造装置、情報処理システム、製造システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20220615BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A61B6/14 311
A61C19/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205007
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(71)【出願人】
【識別番号】314004680
【氏名又は名称】有限会社協和デンタル・ラボラトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】金田 隆
(72)【発明者】
【氏名】木村 健二
【テーマコード(参考)】
4C052
4C093
【Fターム(参考)】
4C052NN03
4C052NN04
4C052NN15
4C052NN16
4C093AA12
4C093AA22
4C093CA18
4C093DA05
4C093FF42
(57)【要約】
【課題】被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる情報処理装置を提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記歯肉情報は、前記被撮像者情報に含まれる情報、又は、予め決められた厚さの歯肉を示す情報である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記被撮像者情報には、前記被撮像者が1本以上の歯を有する場合、前記被撮像者の歯列を示す歯列情報が含まれ、前記被撮像者が歯を有さない場合、前記歯列情報が含まれない、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記修復補綴は、前記被撮像者に取り付けられる総入れ歯であり、
前記修復補綴情報は、前記総入れ歯を示す3次元画像データである、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記3次元画像データは、STL(Standard Triangulated Language)データである、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記被撮像者情報には、前記顎骨部位の皮膚を示す皮膚情報が更に含まれている、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の方法は、CT(Computed Tomography)画像再構成法であり、
前記断層撮像装置は、CT装置である、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記被撮像者情報と、前記修復補綴の3次元テンプレート画像データと、受け付けた操作とに基づいて、前記修復補綴情報を出力する、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、
製造装置。
【請求項10】
断層撮像装置と、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、
前記情報処理装置は、前記断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する、
情報処理システム。
【請求項11】
情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、
前記情報処理装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、
前記製造装置は、前記情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、
製造システム。
【請求項12】
断層撮像装置と、情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、
前記断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、
前記情報処理装置は、前記断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、
前記製造装置は、前記情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、
製造システム。
【請求項13】
被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する出力ステップ、
を有する情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、
被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する出力ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置、製造装置、情報処理システム、製造システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
義歯を作成する技術についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、歯列の欠損部分を補う義歯を支持する人工歯根の埋入位置を特定する人工歯根埋入位置特定装置であって、歯列の3次元データを取得する歯列データ取得手段と、歯列に連なる顎骨の3次元データを取得する顎骨データ取得手段と、歯列データ取得手段が取得した歯列の3次元データ及び前記顎骨データ取得手段が取得した顎骨の3次元データを合成する合成手段と、合成手段が生成した歯列及び顎骨の合成データが示す歯列の欠損部分を補う義歯を示す義歯データを生成する義歯データ生成手段と、義歯データ生成手段が生成した義歯データを付加した合成データに基づいて、人工歯根の埋入位置の候補を複数受け付ける候補受付手段と、候補受付手段が受け付けた候補から1つの埋入位置を特定する特定手段とを備える人工歯根埋入位置特定装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-168518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1には、患者の軟組織を示す軟組織データを人工歯根埋入位置特定装置が取得してもよい旨の記載があるものの、軟組織データをどのように用いるのかについて記載も示唆もされていない。すなわち、特許文献1に記載された人工歯根埋入位置特定装置では、患者に適した義歯を示す義歯データを生成できない場合があった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる情報処理装置、製造装置、情報処理システム、製造システム、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する、情報処理装置である。
【0008】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記歯肉情報は、前記被撮像者情報に含まれる情報、又は、予め決められた厚さの歯肉を示す情報である、構成が用いられてもよい。
【0009】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記被撮像者情報には、前記被撮像者が1本以上の歯を有する場合、前記被撮像者の歯列を示す歯列情報が含まれ、前記被撮像者が歯を有さない場合、前記歯列情報が含まれない、構成が用いられてもよい。
【0010】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記修復補綴は、前記被撮像者に取り付けられる義歯であり、前記修復補綴情報は、前記義歯を示す3次元画像データである、構成が用いられてもよい。
【0011】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記3次元画像データは、STL(Standard Triangulated Language)データである、構成が用いられてもよい。
【0012】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記被撮像者情報には、前記顎骨部位の皮膚を示す皮膚情報が更に含まれている、構成が用いられてもよい。
【0013】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記所定の方法は、CT(Computed Tomography)画像再構成法であり、前記断層撮像装置は、CT装置である、構成が用いられてもよい。
【0014】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置において、前記被撮像者情報と、前記修復補綴の3次元テンプレート画像データと、受け付けた操作とに基づいて、前記修復補綴情報を出力する、構成が用いられてもよい。
【0015】
また、本発明の他の態様は、上記に記載の情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、製造装置である。
【0016】
また、本発明の他の態様は、断層撮像装置と、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、前記情報処理装置は、前記断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する、情報処理システムである。
【0017】
また、本発明の他の態様は、情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、前記情報処理装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、前記製造装置は、前記情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、製造システムである。
【0018】
また、本発明の他の態様は、断層撮像装置と、情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、前記断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、前記情報処理装置は、前記断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、前記製造装置は、前記情報処理装置から出力される前記修復補綴情報に基づいて、前記修復補綴を製造する、製造システムである。
【0019】
また、本発明の他の態様は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する出力ステップ、を有する情報処理方法である。
【0020】
また、本発明の他の態様は、コンピュータに、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される前記被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる前記顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、前記顎骨部位形状情報が示す形状に応じた前記被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、前記被撮像者の歯と前記被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する出力ステップ、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】製造システム1の構成の一例を示す図である。
図2】情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
図4】製造システム1において情報処理装置20が行う処理のうち修復補綴の製造に係る処理の流れの一例を示す図である。
図5】顎骨部位形状STLデータの一例を示す図である。
図6】第1STLデータの一例を示す図である。
図7】被撮像者Hの下側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータを含む第1STLデータの一例を示す図である。
図8】被撮像者Hの上側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータを含む第1STLデータの一例を示す図である。
図9】歯肉情報を含むDICOMデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
<製造システムの概要>
まず、本実施形態に係る製造システムの概要について説明する。
【0025】
実施形態に係る製造システムは、断層撮像装置と、情報処理装置と、製造装置とを備える。
【0026】
断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する。
【0027】
情報処理装置は、断層撮像装置から被撮像者情報として出力される被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する。
【0028】
製造装置は、情報処理装置から出力される修復補綴情報に基づいて、修復補綴を製造する。
【0029】
これにより、製造システムは、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0030】
以下では、実施形態に係る製造システムの構成と、当該製造システムにおいて情報処理装置が行う処理のうち修復補綴の製造に係る処理とのそれぞれについて詳しく説明する。
【0031】
<製造システムの構成>
以下、実施形態に係る製造システムの一例として製造システム1を例に挙げて、実施形態に係る製造システムの構成について説明する。図1は、製造システム1の構成の一例を示す図である。
【0032】
製造システム1は、例えば、断層撮像装置10と、情報処理装置20と、製造装置30を備える。なお、製造システム1は、断層撮像装置10を備えない構成であってもよい。また、断層撮像装置10と、情報処理装置20とは、図1に示したように、情報処理システムSを構成してもよい。この場合、製造システム1は、情報処理システムSと、製造装置30を備える。また、製造システム1は、断層撮像装置10と、情報処理装置20と、製造装置30とのうちの少なくとも情報処理装置20と製造装置30とに加えて、他の装置を備える構成であってもよい。
【0033】
製造システム1は、断層撮像装置10により撮像される被撮像者の歯と、当該被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴を製造する。以下では、一例として、当該被撮像者が、図1に示した被撮像者Hである場合について説明する。被撮像者Hは、断層撮像装置10による撮像が可能な人であれば、如何なる人であってもよい。被撮像者Hは、例えば、歯科医の患者であるが、これに限られるわけではない。
【0034】
断層撮像装置10は、被撮像者Hが有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する。断層撮像装置10は、例えば、歯科用のCT(Computed Tomography)装置である。この場合、所定の方法は、CT画像再構成法である。なお、断層撮像装置10は、歯科用ではないCT装置であってもよく、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置であってもよく、当該顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像可能な他の装置であってもよい。ここで、以下では、被撮像者Hの断層画像と称した場合、当該顎骨部位の断層画像のことを意味する。
【0035】
断層撮像装置10は、有線又は無線により情報処理装置20と通信可能に接続される。
【0036】
断層撮像装置10は、情報処理装置20からの制御に応じて、断層撮像装置10により撮像可能な位置及び姿勢に配置された被撮像者Hの断層画像を撮像する。断層撮像装置10は、被撮像者Hの断層画像を撮像した後、撮像した断層画像に基づく被撮像者情報を生成する。被撮像者情報は、被撮像者Hに関する情報である。より具体的には、被撮像者情報は、被撮像者Hの顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報を含む情報である。なお、被撮像者情報には、顎骨部位形状情報に加えて、他の情報が含まれる構成であってもよい。例えば、被撮像者情報には、被撮像者Hが1本以上の歯を有する場合、被撮像者Hの歯列を示す歯列情報が被撮像者情報に含まれ、被撮像者Hが歯を有さない場合、歯列情報が被撮像者情報に含まれない構成であってもよい。また、被撮像者情報には、被撮像者Hの歯肉を示す歯肉情報が含まれる構成であってもよい。また、被撮像者情報には、被撮像者Hの顎骨部位の皮膚を示す皮膚情報が含まれる構成であってもよい。例えば、断層撮像装置10は、このような被撮像者情報として、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)データを生成する。なお、断層撮像装置10は、このような被撮像者情報として、DICOMデータ以外の形式のデータを生成する構成であってもよい。以下では、一例として、断層撮像装置10が、このような被撮像者情報として、DICOMデータを生成する場合について説明する。
【0037】
断層撮像装置10は、被撮像者情報としてDICOMデータを生成した後、DICOMデータとして生成した被撮像者情報を、情報処理装置20に出力する。
【0038】
なお、断層撮像装置10は、情報処理装置20により制御される構成に代えて、断層撮像装置10が有するハードウェアキー、ソフトウェアキー等を介してユーザから受け付けた操作に応じて、被撮像者Hの断層画像を撮像する構成であってもよい。この場合、断層撮像装置10は、生成した被撮像者情報を、通信を介して情報処理装置20に出力する構成であってもよく、生成した被撮像者情報を、フラッシュメモリ等の外付けの記憶装置(又は記憶媒体)に出力して記憶させる構成であってもよい。断層撮像装置10が当該被撮像者情報を当該記憶装置に出力して記憶させる場合、情報処理装置20は、ユーザにより接続された当該記憶装置を介して、当該被撮像者情報を取得する。
【0039】
情報処理装置20は、例えば、ワークステーション、デスクトップPC(Personal Computer)、ノートPC等である。なお、情報処理装置20は、これらに代えて、タブレットPC、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の他の情報処理装置であってもよい。
【0040】
情報処理装置20は、断層撮像装置10を制御する。情報処理装置20は、断層撮像装置10からDICOMデータとして出力される被撮像者情報と、被撮像者Hの歯肉を示す歯肉情報と、受け付けた操作に基づいて、被撮像者Hの歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する。ここで、被撮像者Hの歯に取り付ける修復補綴は、例えば、銀歯等のことである。被撮像者Hの歯肉に取り付ける修復補綴は、例えば、総入れ歯のことである。被撮像者Hの歯と、被撮像者Hの歯肉との両方に取り付ける修復補綴は、例えば、部分入れ歯のことである。
【0041】
ここで、情報処理装置20は、修復補綴情報として、修復補綴の形状を示す3次元画像データを生成する。例えば、情報処理装置20は、当該3次元画像データとして、修復補綴の形状を示すSTL(Standard Triangulated Language)データを生成する。なお、情報処理装置20は、当該3次元画像データとして、STLデータ以外の形式のデータを生成する構成であってもよい。
【0042】
情報処理装置20は、生成した修復補綴情報を、製造装置30に出力する。
【0043】
製造装置30は、無線又は有線により情報処理装置20と通信可能に接続される。
【0044】
製造装置30は、情報処理装置20から出力された修復補綴情報に基づいて、修復補綴情報が示す形状の修復補綴を製造する。製造装置30は、例えば、3Dプリンタである。なお、製造装置30は、CAM(Computer Aided Manufacturing)装置、NC(Numerical Control)フライス、マシニングセンタ等、修復補綴情報に基づいて修復補綴を製造可能な他の装置であってもよい。
【0045】
以上のような構成により、製造システム1は、歯肉情報を用いない場合と比較して、被撮像者Hに適した修復補綴情報を生成することができる。また、当該構成により、製造システム1は、修復補綴の製造に係る工程のうち、断層撮像装置10による撮像以外の工程において、被撮像者Hを関わらせることなく、修復補綴を製造することができる。これは、すなわち、製造システム1が、被撮像者の診療時間、診療報酬、身体的負担等のうちの少なくとも一部を軽減することができることを意味する。また、当該構成により、製造システム1は、同じ修復補綴であれば、繰り返し製造可能である。その結果、製造システム1は、予備の修復補綴の製造、破損した場合の修復補綴の再製造等を容易に行うことができる。また、製造システム1は、受け付けた操作に応じて、STLデータの修正、改変等の編集を行うことができる。その結果、製造システム1は、例えば、被撮像者Hの歯肉が有する部分のうち神経が露出している部分への接触が起らない形状の修復補綴を製造することができる。また、製造システム1による修復補綴の製造では、歯科医による口腔内への処置を行う必要がない。このため、製造システム1は、感染症が蔓延している場合であっても、歯科医等の医療従事者への安全を担保することができる。また、製造装置30が3Dプリンタである場合、製造システム1は、修復補綴の製造において無駄な材料(例えば、切削屑等)を削減することができる。
【0046】
<情報処理装置のハードウェア構成>
以下、図2を参照し、情報処理装置20のハードウェア構成について説明する。図2は、情報処理装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0047】
情報処理装置20は、例えば、CPU21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25を備える。これらの構成要素は、Busを介して相互に通信可能に接続されている。また、情報処理装置20は、通信部24を介して断層撮像装置10、製造装置30のそれぞれと通信を行う。
【0048】
CPU21は、記憶部22に格納された各種のプログラムを実行する。なお、情報処理装置20は、CPU21に代えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーを備える構成であってもよい。
【0049】
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部22は、情報処理装置20に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、情報処理装置20が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラムを記憶する。
【0050】
入力受付部23は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置である。なお、入力受付部23は、ディスプレイと一体に構成されたタッチパネルであってもよい。
【0051】
通信部24は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0052】
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を備えた表示装置である。
【0053】
<情報処理装置の機能構成>
以下、図3を参照し、情報処理装置20の機能構成について説明する。図3は、情報処理装置20の機能構成の一例を示す図である。
【0054】
情報処理装置20は、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25と、制御部26を備える。
【0055】
制御部26は、情報処理装置20の全体を制御する。制御部26は、情報取得部261と、表示制御部262と、第1装置制御部263と、第2装置制御部264と、データ編集部265を備える。制御部26が備えるこれらの機能部は、例えば、CPU21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。また、当該機能部のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0056】
情報取得部261は、各種の情報を取得する。例えば、情報取得部261は、断層撮像装置10から被撮像者情報を取得する。また、例えば、情報取得部261は、入力受付部23を介してユーザから受け付けた各種の情報を取得する。
【0057】
表示制御部262は、受け付けた操作に応じて、各種の画像を生成する。表示制御部262は、生成した画像を表示部25に表示させる。
【0058】
第1装置制御部263は、断層撮像装置10を制御する。
【0059】
第2装置制御部264は、製造装置30を制御する。
【0060】
データ編集部265は、各種のデータの編集を行う。例えば、データ編集部265は、DICOMデータとして情報取得部261により取得される被撮像者情報を、STLデータに変換する。また、例えば、データ編集部265は、受け付けた操作に応じて、STLデータの編集を行う。
【0061】
<製造システムにおいて情報処理装置が行う処理のうち修復補綴の製造に係る処理>
以下、図4を参照し、製造システム1において情報処理装置20が行う処理のうち修復補綴の製造に係る処理について説明する。図4は、製造システム1において情報処理装置20が行う処理のうち修復補綴の製造に係る処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、当該処理を開始する操作を情報処理装置20が受け付けている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、断層撮像装置10により撮像可能な位置及び姿勢に被撮像者Hが配置されている場合について説明する。また、以下では、一例として、被撮像者Hが歯を有さない場合について説明する。この場合、情報処理装置20が生成する修復補綴情報が示す修復補綴は、総入れ歯である。また、以下では、一例として、被撮像者情報に、前述の歯肉情報、皮膚情報のそれぞれが含まれない場合について説明する。
【0062】
第1装置制御部263は、断層撮像装置10を制御し、被撮像者Hの断層画像を断層撮像装置10に撮像させる(ステップS110)。これにより、断層撮像装置10は、被撮像者情報としてDICOMデータを生成し、生成した被撮像者情報を情報処理装置20に出力する。
【0063】
次に、情報取得部261は、ステップS110において断層撮像装置10から出力された被撮像者情報を取得する(ステップS120)。
【0064】
次に、データ編集部265は、ステップS120において情報取得部261によりDICOMデータとして取得された被撮像者情報を、STLデータに変換する(ステップS130)。この一例において、当該被撮像者情報には、顎骨部位形状情報が含まれ、歯肉情報、皮膚情報が含まれていない。この場合、ステップS130において変換されたSTLデータは、被撮像者Hの顎骨部位の形状を示すSTLデータである。以下では、説明の便宜上、ステップS130において変換されたSTLデータを、顎骨部位形状STLデータと称して説明する。ここで、図5は、顎骨部位形状STLデータの一例を示す図である。図5に示したSTLデータD1は、顎骨部位形状STLデータの一例である。図5に示したように、STLデータD1は、被撮像者Hの顎骨部位の形状を示す。
【0065】
次に、表示制御部262は、ステップS130においてデータ編集部265により変換された後の顎骨部位形状STLデータを含む画像を、編集画像として表示部25に表示させる(ステップS140)。ここで、編集画像は、顎骨部位形状STLデータの編集を行うことが可能なGUIを含む画像であれば、如何なる画像であってもよい。
【0066】
次に、データ編集部265は、表示部25に表示された編集画像を介して操作を受け付けるまで待機する(ステップS150)。当該操作は、例えば、顎骨部位形状STLデータの編集を行う操作、当該編集に必要なパラメータの入力を行う操作、歯肉形状STLデータを顎骨部位形状STLデータに組み合わせる操作、歯肉形状STLデータを組み合わせた後の顎骨部位形状STLデータに修復補綴形状STLデータを組み合わせる操作、編集を完了させる操作等であるが、これらに限られるわけではない。ここで、歯肉形状STLデータは、人の歯肉の形状を示すSTLデータであり、記憶部22に予め記憶された3次元テンプレート画像データである。また、修復補綴形状STLデータは、被撮像者Hの歯肉に取り付ける修復補綴(この一例において、総入れ歯)の形状を示すSTLデータであり、記憶部22に予め記憶された3次元テンプレート画像データである。
【0067】
データ編集部265は、ステップS150において操作を受け付けたと判定した場合(ステップS150-YES)、受け付けた操作に応じた処理を行う(ステップS160)。例えば、顎骨部位形状STLデータの編集を行う操作をステップS150において受け付けた場合、データ編集部265は、受け付けた操作に応じた編集を顎骨部位形状STLデータに対して行う。例えば、当該編集には、顎骨部位形状STLデータの欠損部分を埋める処理、顎骨部位形状STLデータが示す形状の表面を滑らかにする処理等が含まれる。また、例えば、当該編集に必要なパラメータの入力を行う操作を受け付けた場合、データ編集部265は、受け付けたパラメータを記憶部22に記憶させる。当該パラメータは、例えば、被撮像者Hの歯肉の厚さを示すパラメータ(人の歯肉の厚さは、個人差が小さいため、平均的な値を用いても実用上問題がない)であるが、これに限られるわけではない。また、例えば、歯肉形状STLデータを顎骨部位形状STLデータに組み合わせる操作を受け付けた場合、データ編集部265は、顎骨部位形状STLデータに、歯肉形状STLデータを組み合わせる。データ編集部265は、顎骨部位形状STLデータが示す形状、前述のパラメータとして受け付けた歯肉の厚さ等に応じて、歯肉形状STLデータの拡縮、変形等を行い、歯肉形状STLデータが示す形状を、顎骨部位形状STLデータが示す形状に合致する歯肉(例えば、前述のパラメータにより指定された厚みの歯肉であり、被撮像者Hの顎骨部位の形状にフィットする歯肉)の形状に変化させる。そして、データ編集部265は、変化させた後の歯肉形状STLデータを、顎骨部位形状STLデータに組み合わせる。以下では、説明の便宜上、歯肉形状STLデータが組み合わされた後の顎骨部位形状STLデータを、第1STLデータと称して説明する。また、例えば、第1STLデータに修復補綴形状STLデータを組み合わせる操作を受け付けた場合、データ編集部265は、第1STLデータに修復補綴STLデータを組み合わせる。データ編集部265は、第1STLデータが示す歯肉の形状に応じて、修復補綴STLデータの拡縮、変形等を行い、修復補綴形状STLデータが示す形状を、第1STLデータが示す歯肉の形状に合致する修復補綴の形状に変化させる。そして、データ編集部265は、変化させた後の修復補綴形状STLデータを、第1STLデータに組み合わせる。以下では、説明の便宜上、修復補綴形状STLデータが組み合わされた後の第1STLデータを、第2STLデータと称して説明する。また、例えば、編集を完了させる操作をデータ編集部265が受け付けた場合、表示制御部262は、編集画像を表示部25から削除する。ここで、表示制御部262は、データ編集部265が編集画像上に含まれるSTLデータへの編集を行った場合、当該STLデータに行われた編集を、編集画像上に含まれるSTLデータに反映させる。このため、情報処理装置20のユーザは、編集画像を見ながら、STLデータの編集を容易に行うことができる。なお、前述の2つの3次元テンプレート画像データの拡縮、変形は、受け付けた操作に基づいて、データ編集部265により行われてもよい。また、歯肉についての3次元テンプレート画像データは、被撮像者の歯肉を示す歯肉情報の一例であり、予め決められた厚さの歯肉を示す情報の一例である。ここで、図6は、第1STLデータの一例を示す図である。図6に示したSTLデータD2は、第1STLデータの一例を示す。また、図6に示したSTLデータD3は、歯肉形状STLデータの一例である。すなわち、第1STLデータの一例であるSTLデータD2は、図6に示したように、顎骨部位形状STLデータの一例であるSTLデータD1に、歯肉形状STLデータの一例であるSTLデータD3を組み合わせたSTLデータである。データ編集部265は、前述した通り、顎骨部位形状STLデータが示す形状、パラメータとして受け付けた歯肉の厚さ等に応じて、歯肉形状STLデータの拡縮、変形等を行い、歯肉形状STLデータが示す形状を、顎骨部位形状STLデータが示す形状に合致する歯肉の形状に変化させる。図6に示したSTLデータD3は、このようにデータ編集部265による形状の変化を行った後の歯肉形状STLデータの一例である。なお、図6に示した例では、STLデータD3には、被撮像者Hの歯の形状を示すSTLデータが組み合わされているが、ステップS160の処理において当該STLデータが組み合わされていなくてもよい。また、第1STLデータは、図7に示すように、顎骨部位形状STLデータの一例であるSTLデータD1に対して、被撮像者Hの下側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータの一例であるSTLデータD4が組み合わされたSTLデータであってもよい。図7は、被撮像者Hの下側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータを含む第1STLデータの一例を示す図である。また、第1STLデータは、図8に示すように、顎骨部位形状STLデータの一例であるSTLデータD1に対して、被撮像者Hの上側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータの一例であるSTLデータD5が組み合わされたSTLデータであってもよい。図8は、被撮像者Hの上側の歯肉の形状を示す歯肉形状STLデータを含む第1STLデータの一例を示す図である。
【0068】
次に、データ編集部265は、表示部25に表示された編集画像を介した操作の受け付けが終了したか否かを判定する(ステップS170)。例えば、データ編集部265は、ステップS160において、表示制御部262が編集画像を表示部25から削除した場合、当該操作の受付が終了したと判定する。なお、データ編集部265は、他の条件が満たされた場合に、表示部25に表示された編集画像を介した操作の受け付けが終了したと判定する構成であってもよい。一方、データ編集部265は、ステップS160において、表示制御部262が編集画像を表示部25から削除していない場合、当該操作の受付が終了していないと判定する。なお、データ編集部265は、他の条件が満たされた場合に、表示部25に表示された編集画像を介した操作の受け付けが終了していないと判定する構成であってもよい。
【0069】
データ編集部265は、表示部25に表示された編集画像を介した操作の受け付けが終了していないと判定した場合(ステップS170-NO)、ステップS150に遷移し、表示部25に表示された編集画像を介して操作を受け付けるまで再び待機する。
【0070】
一方、データ編集部265は、表示部25に表示された編集画像を介した操作の受け付けが終了したと判定した場合(ステップS170-YES)、ステップS160において編集された第2STLデータを、記憶部22に記憶させる(ステップS180)。
【0071】
次に、第2装置制御部264は、ステップS180において記憶部22に記憶された第2STLデータを記憶部22から読み出し、読み出した第2STLデータに含まれるSTLデータのうちの修復補綴形状STLデータを、被撮像者の歯肉に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報として製造装置30に出力する(ステップS190)。
【0072】
次に、第2装置制御部264は、製造装置30を制御し、ステップS190において出力した修復補綴情報に基づいて、当該修復補綴情報が示す形状の修復補綴の製造を製造装置30に開始させる(ステップS200)。
【0073】
次に、第2装置制御部264は、ステップS200において開始させた修復補綴の製造が終了するまで待機する(ステップS210)。ここで、第2装置制御部264は、例えば、修復補綴の製造が終了したことを示す情報を製造装置30から取得した場合、ステップS200において開始させた修復補綴の製造が終了したと判定する。なお、第2装置制御部264は、他の条件が満たされた場合に、ステップS200において開始させた修復補綴の製造が終了したと判定する構成であってもよい。
【0074】
第2装置制御部264は、ステップS200において開始させた修復補綴の製造が終了したと判定した場合(ステップS210-YES)、図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0075】
以上のように、情報処理装置20は、被撮像者Hが有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置10から被撮像者情報として出力される被撮像者Hに関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者Hの歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯肉に取り付ける修復補綴(この一例において、総入れ歯)に関する修復補綴情報を出力する。これにより、情報処理装置20は、被撮像者Hに適した修復補綴情報を生成することができる。換言すると、製造システム1(又は、情報処理システムS)は、被撮像者Hに適した修復補綴情報を生成することができる。
【0076】
なお、被撮像者情報には、前述したとおり、歯肉情報が含まれる構成であってもよい。この場合、データ編集部265は、ユーザから操作を受け付けることなく、DICOMデータである被撮像者情報を、顎骨部位形状STLデータへの変換を経ることなく、第1STLデータへ直接変換することができる。ここで、図9は、歯肉情報を含むDICOMデータに基づく画像の一例を示す図である。図9に示した画像P1は、当該DICOMデータに基づく画像の一例を示す。画像P1が有する領域のうち、図9において太線によって塗り潰された領域は、被撮像者Hの歯肉を示す領域である。図9に示したように、被撮像者情報は、歯肉情報を含むDICOMデータとして生成されてもよい。
【0077】
また、被撮像者情報に歯肉情報が含まれる場合、情報処理装置20は、被撮像者情報に含まれる情報のうち歯肉情報に基づいて、歯肉形状STLデータを生成する構成であってもよい。この場合、情報処理装置20は、ステップS130の処理において、被撮像者情報を、歯肉形状STLデータに変換する。そして、情報処理装置20は、ステップS140の処理において、歯肉形状STLデータを含む画像を、編集画像として表示部25に表示させる。また、情報処理装置20は、ステップS150~ステップS170の処理において、歯肉形状STLデータに修復補綴形状STLデータを組み合わせる操作を受け付けた場合、データ編集部265は、歯肉形状STLデータに修復補綴STLデータを組み合わせる。この場合であっても、情報処理装置20は、被撮像者Hに適した修復補綴情報を生成することができる。
【0078】
また、被撮像者情報には、被撮像者の顎骨部位の皮膚を示す皮膚情報が更に含まれる構成であってもよい。この場合、データ編集部265は、DICOMデータである被撮像者情報を顎骨部位形状STLデータに変換する際、被撮像者Hの顎骨部位の形状とともに、当該皮膚の形状を示す3次元画像データとして、被撮像者情報を顎骨部位形状STLデータに変換する。
【0079】
また、被撮像者Hが歯を1本以上の有する場合、すなわち、被撮像者情報に歯列情報が含まれる場合、データ編集部265は、DICOMデータである被撮像者情報を顎骨部位形状STLデータに変換する際、被撮像者Hの顎骨部位の形状とともに、被撮像者Hの歯列の形状を示す3次元画像データとして、被撮像者情報を顎骨部位形状STLデータに変換する。そして、データ編集部265は、受け付けた操作に応じて、部分入れ歯、銀歯等の形状を示すSTLデータを、修復補綴形状STLデータとして、顎骨部位形状STLデータに組み合わせる。これにより、情報処理装置20は、総入れ歯だけではなく、部分入れ歯、銀歯等についても、修復補綴の製造に係る工程のうち、断層撮像装置10による撮像以外の工程において、被撮像者Hを関わらせることなく、修復補綴を製造することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置(上記において説明した例では、情報処理装置20)は、被撮像者(上記において説明した例では、被撮像者H)が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法(上記において説明した例では、CT画像再構成法)により撮像する断層撮像装置(上記において説明した例では、断層撮像装置10)から被撮像者情報として出力される被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴(上記において説明した例では、総入れ歯、部分入れ歯、銀歯)に関する修復補綴情報を出力する。これにより、情報処理装置は、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0081】
また、情報処理装置では、歯肉情報は、被撮像者情報に含まれる情報、又は、予め決められた厚さの歯肉を示す情報である、構成が用いられてもよい。
【0082】
また、情報処理装置では、被撮像者情報には、被撮像者が1本以上の歯を有する場合、被撮像者の歯列を示す歯列情報が含まれ、被撮像者が歯を有さない場合、歯列情報が含まれない、構成が用いられてもよい。
【0083】
また、情報処理装置では、修復補綴は、被撮像者に取り付けられる総入れ歯であり、修復補綴情報は、総入れ歯を示す3次元画像データである、構成が用いられてもよい。
【0084】
また、情報処理装置では、3次元画像データは、STLデータである、構成が用いられてもよい。
【0085】
また、情報処理装置では、被撮像者情報には、顎骨部位の皮膚を示す皮膚情報が更に含まれている、構成が用いられてもよい。
【0086】
また、情報処理装置では、所定の方法は、CT画像再構成法であり、断層撮像装置は、CT装置である、構成が用いられてもよい。
【0087】
また、情報処理装置では、被撮像者情報と、修復補綴の3次元テンプレート画像データと、受け付けた操作とに基づいて、修復補綴情報を出力する、構成が用いられてもよい。
【0088】
また、本実施形態に係る製造装置(上記において説明した例では、製造装置30)は、上記に記載の情報処理装置から出力される修復補綴情報に基づいて、修復補綴を製造する、製造装置である。これにより、製造装置は、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0089】
また、本実施形態に係る情報処理システム(上記において説明した例では、情報処理システムS)は、断層撮像装置と、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、情報処理装置は、断層撮像装置から被撮像者情報として出力される被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力する、情報処理システムである。これにより、情報処理システムSは、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0090】
また、本実施形態に係る製造システム(上記において説明した例では、製造システム1)は、情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、情報処理装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像する断層撮像装置から被撮像者情報として出力される被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、製造装置は、情報処理装置から出力される修復補綴情報に基づいて、修復補綴を製造する、製造システムである。これにより、製造システムは、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る製造システム(上記において説明した例では、製造システム1)は、断層撮像装置と、情報処理装置と、製造装置とを備える製造システムであって、断層撮像装置は、被撮像者が有する部位のうち顎骨を含む顎骨部位の断層画像を所定の方法により撮像し、情報処理装置は、断層撮像装置から被撮像者情報として出力される被撮像者に関する被撮像者情報に含まれる顎骨部位の形状を示す顎骨部位形状情報と、顎骨部位形状情報が示す形状に応じた被撮像者の歯肉を示す歯肉情報とに基づいて、被撮像者の歯と被撮像者の歯肉との少なくとも一方に取り付ける修復補綴に関する修復補綴情報を出力し、製造装置は、情報処理装置から出力される修復補綴情報に基づいて、修復補綴を製造する、製造システムである。これにより、製造システムは、被撮像者に適した修復補綴情報を生成することができる。
【0092】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0093】
また、以上に説明した装置(例えば、断層撮像装置10、情報処理装置20、製造装置30)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリー(RAM:Random Access Memory)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0094】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…製造システム、10…断層撮像装置、20…情報処理装置、21…CPU、22…記憶部、23…入力受付部、24…通信部、25…表示部、26…制御部、30…製造装置、261…情報取得部、262…表示制御部、263…第1装置制御部、264…第2装置制御部、265…データ編集部、H…被撮像者、S…情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9