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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092287
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20220615BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220615BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220615BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q19/02
A61K8/36
A61K8/34
A61K8/891
A61K8/86
A61K8/894
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205011
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 つかさ
(72)【発明者】
【氏名】榎本 歩
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC232
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC622
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD171
4C083AD172
4C083BB04
4C083BB13
4C083BB51
4C083CC03
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE16
(57)【要約】
【課題】乳化安定性に優れ、かつ、使用感として崩れ感を呈することができる、酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を含む水中油型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】本開示の水中油型乳化化粧料は、美白剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも一種、及び水を含む分散媒と、この分散媒中に分散している油滴とを含み、この油滴は、油分、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含み、また、美白剤は、塩型美白剤及び酸型美白剤から選択される少なくとも一種を含み、抗炎症剤は、塩型抗炎症剤及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種を含み、油分は、揮発性非環状シリコーン油を含むことに加え、30℃の雰囲気下でB型粘度計を用いたときに、0.6rpmで測定される粘度(V0.6rpm)と12rpmで測定される粘度(V12rpm)との粘度比(V0.6rpm/V12rpm)が、7.9以上を呈する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
美白剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも一種、及び水を含む分散媒、並びに
前記分散媒中に分散している油滴
を含む、水中油型乳化化粧料であって、
前記油滴は、油分、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含み、
前記美白剤は、塩型美白剤及び酸型美白剤から選択される少なくとも一種を含み、
前記抗炎症剤は、塩型抗炎症剤及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種を含み、
前記油分は、揮発性非環状シリコーン油を含み、
30℃の雰囲気下でB型粘度計を用いたときに、0.6rpmで測定される粘度(V0.6rpm)と12rpmで測定される粘度(V12rpm)との粘度比(V0.6rpm/V12rpm)が、7.9以上である、
水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記一価の高級アルコールに対する前記直鎖状高級脂肪酸の質量比が、0.30以上である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記直鎖状高級脂肪酸、前記高級アルコール、及び前記非イオン性界面活性剤が、25℃の雰囲気下において、前記油滴の界面膜を形成している、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記直鎖状高級脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘニン酸から選択される少なくとも一種であり、前記高級アルコールが、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールから選択される少なくとも一種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記揮発性非環状シリコーン油が、前記油分中に15質量%以上含まれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記塩型美白剤が、アスコルビン酸塩、トラネキサム酸塩、グリチルリチン酸塩、ニコチン酸塩、コウジ酸塩、エラグ酸塩、1-ピペリジンプロピオン酸塩、3-O-エチル-L-アスコルビン酸塩、及びアルコキシサリチル酸塩から選択される少なくとも一種であり、前記酸型美白剤が、アスコルビン酸、トラネキサム酸、グリチルリチン酸、ニコチン酸、コウジ酸、エラグ酸、1-ピペリジンプロピオン酸、3-O-エチル-L-アスコルビン酸、及びアルコキシサリチル酸から選択される少なくとも一種である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
前記抗炎症剤が、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、グリチルリチン酸ジカリウム及びグリチルリチン酸アンモニウムから選択される少なくとも一種である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記塩型美白剤、前記酸型美白剤、前記塩型抗炎症剤、及び前記酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種が、美白剤成分及び抗炎症剤成分の全量に対し、50質量%以上含まれている、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項9】
二価の高級アルコールをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項10】
増粘剤の含有量が、1質量%以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乳化安定性を有し、かつ、種々の使用感を呈する水中油型乳化化粧料が開発されている。
【0003】
特許文献1には、(a)ポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体を0.01~5重量%、(b)非イオン性界面活性剤を0.05~1重量%、(c)保湿剤を10~30重量%、及び(d)尿素を1~50重量%配合してなる、尿素の刺激を軽減しながらも優れた保湿効果を示し、非常にさっぱりとした使用感を有する乳化組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、難溶性薬剤と、二種以上の高級アルコールを含む油性成分と、水と、界面活性剤とを含む乳化組成物であって、高級アルコールの一種がベヘニルアルコールである、使用性に優れ、薬剤の分散安定性、乳化安定性に優れた乳化組成物が開示されている。
【0005】
特許文献3には、尿素及び/又はアスコルビン酸の配糖体が0.05~50.0質量%配合された乳化組成物において、(A)ポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合体0.01~5.0質量%と、(B)非イオン界面活性剤0.05~1.0質量%または炭素原子数が12以上の高級脂肪酸0.05~5.0質量%とを配合してなる、安定性に優れ、かつべたつき感がなくさっぱりとした使用感を有する乳化組成物が開示されている。
【0006】
なお、特許文献4及び5には、背景技術として、トラネキサム酸等の美白剤を水中油型乳化化粧料に配合すると安定性が低下することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-247427号公報
【特許文献2】特開2001-354548号公報
【特許文献3】特開2002-249665号公報
【特許文献4】特開2019-142825号公報
【特許文献5】特開2018-123067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
化粧料を構成する乳化組成物中には、美白剤、抗炎症剤などが配合される場合がある。なかでも、酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤の使用は、水相及び油相間の乳化バランスが壊れやすくなるため、このような剤を配合した水中油型乳化化粧料の乳化安定性を向上させることは困難であった。ましてや、このような剤を含む水中油型乳化化粧料の使用感を調整することはより一層困難であった。
【0009】
したがって、本開示の主題は、乳化安定性に優れ、かつ、使用感として崩れ感を呈することができる、酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を含む水中油型乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〈態様1〉
美白剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも一種、及び水を含む分散媒、並びに
前記分散媒中に分散している油滴
を含む、水中油型乳化化粧料であって、
前記油滴は、油分、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含み、
前記美白剤は、塩型美白剤及び酸型美白剤から選択される少なくとも一種を含み、
前記抗炎症剤は、塩型抗炎症剤及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種を含み、
前記油分は、揮発性非環状シリコーン油を含み、
30℃の雰囲気下でB型粘度計を用いたときに、0.6rpmで測定される粘度(V0.6rpm)と12rpmで測定される粘度(V12rpm)との粘度比(V0.6rpm/V12rpm)が、7.9以上である、
水中油型乳化化粧料。
〈態様2〉
前記一価の高級アルコールに対する前記直鎖状高級脂肪酸の質量比が、0.30以上である、態様1に記載の化粧料。
〈態様3〉
前記直鎖状高級脂肪酸、前記高級アルコール、及び前記非イオン性界面活性剤が、25℃の雰囲気下において、前記油滴の界面膜を形成している、態様1又は2に記載の化粧料。
〈態様4〉
前記直鎖状高級脂肪酸が、ステアリン酸及びベヘニン酸から選択される少なくとも一種であり、前記高級アルコールが、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールから選択される少なくとも一種である、態様1~3のいずれかに記載の化粧料。
〈態様5〉
前記揮発性非環状シリコーン油が、前記油分中に15質量%以上含まれている、態様1~4のいずれかに記載の化粧料。
〈態様6〉
前記塩型美白剤が、アスコルビン酸塩、トラネキサム酸塩、グリチルリチン酸塩、ニコチン酸塩、コウジ酸塩、エラグ酸塩、1-ピペリジンプロピオン酸塩、3-O-エチル-L-アスコルビン酸塩、及びアルコキシサリチル酸塩から選択される少なくとも一種であり、前記酸型美白剤が、アスコルビン酸、トラネキサム酸、グリチルリチン酸、ニコチン酸、コウジ酸、エラグ酸、1-ピペリジンプロピオン酸、3-O-エチル-L-アスコルビン酸、及びアルコキシサリチル酸から選択される少なくとも一種である、態様1~5のいずれかに記載の化粧料。
〈態様7〉
前記抗炎症剤が、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、グリチルリチン酸ジカリウム及びグリチルリチン酸アンモニウムから選択される少なくとも一種である、態様1~6のいずれかに記載の化粧料。
〈態様8〉
前記塩型美白剤、前記酸型美白剤、前記塩型抗炎症剤、及び前記酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種が、美白剤成分及び抗炎症剤成分の全量に対し、50質量%以上含まれている、態様1~7のいずれかに記載の化粧料。
〈態様9〉
二価の高級アルコールをさらに含む、態様1~8のいずれかに記載の化粧料。
〈態様10〉
増粘剤の含有量が、1質量%以下である、態様1~9のいずれかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、乳化安定性に優れ、かつ、使用感として崩れ感を呈することができる、酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を含む水中油型乳化化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について詳述する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0013】
本開示の水中油型乳化化粧料(単に「化粧料」という場合がある。)は、美白剤及び抗炎症剤から選択される少なくとも一種、及び水を含む分散媒と、この分散媒中に分散している油滴とを含み、この油滴は、油分、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含み、また、美白剤は、塩型美白剤及び酸型美白剤から選択される少なくとも一種を含み、抗炎症剤は、塩型抗炎症剤及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種を含み、油分は、揮発性非環状シリコーン油を含むことに加え、30℃の雰囲気下でB型粘度計を用いたときに、0.6rpmで測定される粘度(V0.6rpm)と12rpmで測定される粘度(V12rpm)との粘度比(V0.6rpm/V12rpm)が、7.9以上を呈する。
【0014】
原理によって限定されるものではないが、このような水中油型乳化化粧料が、乳化安定性に優れ、かつ、崩れ感、即ち、特定の粘度比を達成し得る作用原理は以下のとおりであると考える。
【0015】
酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を水中油型乳化化粧料に配合した場合、乳化バランスが崩れるため、化粧料の乳化安定性は低下することが予想される。したがって、仮に、種々の文献において、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含む水中油型乳化組成物が開示されていたとしても、かかる組成物に対し、乳化を不安定化させ得る酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を配合しようとは、当業者は通常想起しないことである。
【0016】
しかしながら、本発明者は、酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を配合したとしても、意外にも、特定の材料、即ち、揮発性非環状シリコーン油、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を用いて調製した乳化粒子(油滴)が、乳化安定性に優れることを見出した。
【0017】
このような乳化安定性の発現は、例えば、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤が、乳化粒子の周囲において、常温下、例えば、25℃又は30℃の雰囲気下において、ミセル構造などに比べて比較的強固なラメラ液晶等に基づくゲル膜又は液晶膜のような界面膜を形成していることが影響していると考えている。
【0018】
ここで、本開示の水中油型乳化化粧料は、例えば、上述した界面膜構成成分と油分とを、70~90℃程度に加温しながら混合して油相溶液を調製し、次いで、水と美白剤及び/又は抗炎症剤とを、70~90℃程度に加温しながら混合して水相溶液を調製し、この水相溶液に、油相溶液を攪拌しながら徐々に添加した後、常温まで冷却することによって調製することができる。そして、この冷却の段階において、油相中に溶解していた界面膜構成成分が油分から分離し、油相と水相との界面付近で固化して界面膜が形成されると考えている。
【0019】
本開示の水中油型乳化化粧料は、油分として、揮発性非環状シリコーン油を使用している。このシリコーン油は、例えば、シクロペンタシロキサンなどの環状シリコーン油に比べ、上述した界面膜構成成分と相溶しにくい性質を有している。そのため、油分として揮発性非環状シリコーン油を使用すると、界面膜構成成分は、相溶しやすい環状シリコーン油である場合に比べて油分からより分離しやすくなる。その結果、より多くの界面膜構成成分が、油相と水相との界面付近に移行するため、より強固な界面膜が形成されると考えている。
【0020】
このように、本開示の水中油型乳化化粧料は、界面膜が強固に形成されるため、乳化を不安定化させ得る酸型若しくは塩型の美白剤又は抗炎症剤を配合したとしても、乳化安定性に優れていると考えている。また、このような強固な界面膜の存在は、本開示の化粧料における崩れ感にも影響していると考えられる。即ち、界面膜を有する乳化粒子は、ミセル構造による粒子などとは異なり、限界値を超える負荷が加わると一気に界面膜が破れるため、崩れ感を呈すると考えられる。
【0021】
本開示における用語の定義は以下のとおりである。
【0022】
本開示において「崩れ感」とは、化粧料に対して負荷をかけると化粧料の粘度が一気に低下するような使用感触を意図している。具体的には、本開示において「崩れ感」は、肌等に化粧料を載せた段階では粘度が大きく、流動性が低い状態であるが、肌等の上で化粧料をこすり合わせるように塗り込んでくと粘度が低下して、さらさらとした流動性が高い状態になる使用感触を言う。この崩れ感は、30℃の雰囲気下でB型粘度計(TVB形粘度計TVB-10、東機産業株式会社製、ローター番号L3)を用いたときの、0.6rpmで測定される粘度(V0.6rpm)と12rpmで測定される粘度(V12rpm)との粘度比(V0.6rpm/V12rpm)で規定することができ、この粘度比が7.9以上となる状態を意図している。
【0023】
《水中油型乳化化粧料》
本開示の水中油型乳化化粧料は、乳化安定性に優れている。ここで、乳化安定性とは、例えば、0℃~37℃で4週間、好ましくは50℃で4週間、分離していない状態、好ましくは乳化粒子(油滴)のサイズ変化が少ない又はない状態を意図することができる。
【0024】
また、本開示の水中油型乳化化粧料は、崩れ感を呈することができる。かかる崩れ感は、上述したように、粘度比(V0.6rpm/V12rpm)によって規定することができる。粘度比としては、7.9以上、8.0以上、8.1以上、8.3以上、8.5以上、8.7以上、9.0以上、9.5以上、又は10.0以上とすることができる。粘度比の上限値については特に制限はないが、例えば、30.0以下、25.0以下、20.0以下、又は15.0以下とすることができる。
【0025】
水中油型乳化化粧料の粘度比は、例えば、以下の(a)~(c)のうちの少なくとも一つの条件を調整することによって制御することができる:
(a)一価の高級アルコールに対する直鎖状高級脂肪酸の質量比。
(b)油分(例えば揮発性非環状シリコーン油及び極性油)、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤の種類、並びにそれらの組み合わせ。
(c)油分中の揮発性非環状シリコーン油及び/又は極性油の割合。
【0026】
本開示の水中油型乳化化粧料の12rpmで測定される粘度(V12rpm)としては特に制限はなく、化粧料の塗布性能、使用感等を考慮して適宜規定することができる。例えば、30℃の雰囲気下、B型粘度計(TVB形粘度計TVB-10、東機産業株式会社製、ローター番号L3)を用いて測定したときの粘度(V12rpm)としては、20,000mPa・s以下、18,000mPa・s以下、15,000mPa・s以下、12,000mPa・s以下、10,000mPa・s以下、8,000mPa・s以下、6,000mPa・s以下、又は5,000mPa・s以下とすることができ、また、2,000mPa・s以上、2,200mPa・s以上、2,500mPa・s以上、2,700mPa・s以上、又は3,000mPa・s以上とすることができる。
【0027】
〈分散媒〉
本開示の水中油型乳化化粧料は、分散媒を含み、この分散媒は、塩型美白剤及び酸型美白剤から選択される少なくとも一種の美白剤、並びに/又は塩型抗炎症剤及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種の抗炎症剤と、水とを含む。
【0028】
(美白剤)
塩型美白剤、及び酸型美白剤の配合量としては特に制限はなく、例えば、各々独立して、化粧料の全量に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1.0質量%以上とすることができ、また、15.0質量%以下、10.0質量%以下、8.0質量%以下、又は5.0質量%以下とすることができる。
【0029】
塩型美白剤としては、例えば、アスコルビン酸塩、トラネキサム酸塩、グリチルリチン酸塩、ニコチン酸塩、コウジ酸塩、エラグ酸塩、1-ピペリジンプロピオン酸塩、3-O-エチル-L-アスコルビン酸塩、及びアルコキシサリチル酸塩(例えば4-メトキシサリチル酸塩)を挙げることができる。塩型美白剤の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;亜鉛塩;鉄塩;アンモニウム塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミンとの塩を挙げることができる。塩型美白剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
酸型美白剤としては特に制限はなく、例えば、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸)、トラネキサム酸、グリチルリチン酸、ニコチン酸、コウジ酸、エラグ酸、1-ピペリジンプロピオン酸、3-O-エチル-L-アスコルビン酸、及びアルコキシサリチル酸(例えば4-メトキシサリチル酸)を挙げることができる。酸型美白剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0031】
(抗炎症剤)
塩型抗炎症剤、及び酸型抗炎症剤の配合量としては特に制限はなく、例えば、各々独立して、化粧料の全量に対し、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1.0質量%以上とすることができ、また、15.0質量%以下、10.0質量%以下、8.0質量%以下、又は5.0質量%以下とすることができる。
【0032】
塩型抗炎症剤としては、例えば、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、グリチルリチン酸ジカリウム、及びグリチルリチン酸アンモニウムを挙げることができる。塩型抗炎症剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
ここで、本開示では、上述した美白剤及び抗炎症剤において、美白作用及び抗炎症作用の両方の性能を呈する剤に関しては、美白剤として扱う。
【0034】
(水)
水の配合量としては特に制限はなく、例えば、乳化安定性、崩れ感等の観点から、化粧料の全量に対し、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上とすることができ、また、95質量%以下、90質量%以下、又は85質量%以下とすることができる。
【0035】
本開示の水中油型乳化化粧料で使用し得る水としては特に制限はなく、例えば、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができる。このような水として、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、及び水道水が挙げられる。
【0036】
〈油滴〉
水中油型乳化化粧料における油相又は分散相としての油滴は、油分、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を含んでいる。これらの成分のうち、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤は、油滴の界面膜を形成することができる。かかる界面膜は、例えば、光学顕微鏡などを用いて確認することができる。
【0037】
本発明者は、例えば、油分とともに、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を加熱しながら混合して溶液を調製し、それを加温した水へ添加する液晶乳化法によって水中油型乳化組成物を調製すると、このような界面膜を有する油滴(乳化粒子)が得られることを見出した。
【0038】
分散相である油滴の平均粒径としては、特に制限はない。このような油滴の平均粒径としては、例えば、作製直後において、10μm以下、7μm以下、5μm以下、又は3μm以下とすることができる。平均粒径の下限値は特に限定されないが、例えば、500nm以上、700nm以上、又は1μm以上とすることができる。ここで、油滴の平均粒径は、光学顕微鏡で観察した10個以上、好ましくは100個以上の油滴の投影面積円相当径の平均値として規定することができる。
【0039】
(油分)
本開示の水中油型乳化化粧料中の油分の含有量としては特に制限はなく、例えば、化粧料の全量に対し、0.5質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、13質量%以上、又は15質量%以上とすることができ、また、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下とすることができる。
【0040】
本開示の水中油型乳化化粧料は、油分として少なくとも揮発性非環状シリコーン油を含む。揮発性非環状シリコーン油は、油滴の界面膜の膜強度を向上させることができる。また、界面膜の膜強度を向上させ得る揮発性非環状シリコーン油の使用は、化粧料の動的粘度の上昇を抑えながら静置粘度を上昇させることもできるため、粘度比の上昇、すなわち、崩れ感をより発現させやすくできる。
【0041】
揮発性非環状シリコーン油として、例えば、揮発性直鎖状シリコーン油、揮発性分岐状シリコーン油を使用することができる。なかでも、揮発性直鎖状シリコーン油が好ましい。揮発性非環状シリコーン油は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
ここで「揮発性」とは、大気圧下、105℃で3時間放置したときの揮発分が5%超を呈するものを意図する。優れた膜強度及び崩れ感を得る観点から、揮発性の指針となる揮発分としては、10%以上、20%以上、40%以上、50%以上、60%以上、80%以上、又は100%であることが好ましい。あるいは、揮発性の指針として、1気圧(101.325kPa)下における沸点を使用することができる。この沸点は、優れた膜強度及び崩れ感を得る観点から、250℃以下、240℃以下、又は230℃以下であることが好ましく、また、80℃以上、100℃以上、120℃以上、150℃以上、又は160℃以上であることが好ましい。また、本開示において「不揮発性」とは、105℃で3時間放置したときの揮発分が5%以下を呈するものを意図する。
【0043】
揮発性直鎖状シリコーン油としては、例えば、粘度0.65cStのジメチルポリシロキサン(「ジメチコン」と称する場合がある。)、粘度1cStのジメチルポリシロキサン、粘度1.5cStのジメチルポリシロキサン、粘度2cStのジメチルポリシロキサン等の低分子量の直鎖状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。ここで、これらの粘度は、25℃雰囲気下における動粘度を意図する。
【0044】
揮発性分岐状シリコーン油としては、例えば、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等の低分子量の分岐状シロキサンが挙げられる。
【0045】
本開示の水中油型乳化化粧料中の揮発性非環状シリコーン油の含有量としては特に制限はなく、例えば、化粧料の全量に対し、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1.0質量%以上とすることができ、また、20.0質量%未満、15.0質量%以下、10.0質量%以下、9.0質量%以下、8.0質量%以下、7.0質量%以下、6.0質量%以下、5.0質量%以下、4.0質量%以下、又は3.0質量%以下とすることができる。あるいは、揮発性非環状シリコーン油の含有量は、油分の全量に対し、15質量%以上、17質量%以上、又は20質量%以上とすることができ、また、約100質量%以下、約100質量%未満、約90質量%以下、約80質量%以下、約70質量%以下、約60質量%以下、約50質量%以下、約40質量%以下、又は約30質量%以下とすることができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示の水中油型乳化化粧料は、油分として、揮発性環状シリコーン油及び不揮発性非環状シリコーン油を配合してもよい。しかしながら、揮発性非環状シリコーン油を配合して界面膜の膜強度をより向上させる場合には、揮発性環状シリコーン油及び不揮発性非環状シリコーン油の含有量は、各々独立して、化粧料の全量に対し、20.0質量%未満、15.0質量%以下、10.0質量%以下、7.0質量%以下、5.0質量%以下、3.0質量%以下、又は1.0質量%以下とすることが好ましい。あるいは、揮発性環状シリコーン油及び不揮発性非環状シリコーン油の含有量は、油分の全量に対し、各々独立して、10.0質量%以下、7.0質量%以下、5.0質量%以下、3.0質量%以下、又は1.0質量%以下とすることが好ましい。さらには、揮発性環状シリコーン油及び/又は不揮発性非環状シリコーン油は、油分中に配合しないことがより好ましく、揮発性環状シリコーン油を油分中に配合しないことが特に好ましい。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示の水中油型乳化化粧料は、油分として極性油を含むことができる。油分の中でも極性油は、油の性能を有する一方で、極性を有しているために、無極性油に比べて水と親和しやすい性能を有している。そのため、水相及び油相間の乳化バランスが壊れやすく、一般的に、極性油を配合した水中油型乳化化粧料の乳化安定性を向上させることは困難である。しかしながら、本開示の水中油型乳化化粧料は、上述したように、油滴(乳化粒子)の周囲に強固な界面膜が形成され、乳化バランスを崩壊させやすい極性油を包み込んでいるため、このような極性油を使用したとしても、良好な乳化安定性及び崩れ感を呈することができる。
【0048】
極性油として、例えば、IOBが0.10以上の極性油及びIOBが0.10以上の紫外線吸収剤から選択される少なくとも一種を含むことができる。これらの油分は、油分の全量に対し、50質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上含むことができる。これらの油分の上限値については特に制限はなく、例えば、85質量%以下、80質量%以下、又は75質量%以下とすることができる。ここで、IOBが0.10以上の有機系紫外線吸収剤は、極性油とみなすことができる。
【0049】
極性油及び紫外線吸収剤のIOB値は、例えば、0.10以上、0.11以上、0.12以上、又は0.13以上とすることでき、また、0.50以下、0.45以下、又は0.40以下とすることができる。ここで、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、IOB値=無機性値/有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、p.11~17、三共出版、1984年発行参照)。
【0050】
IOBが0.10以上の極性油の例としては、ミリスチン酸イソプロピル(IOB値=0.18)、パルミチン酸オクチル(IOB値=0.13)、パルミチン酸イソプロピル(IOB値=0.16)、ステアリン酸ブチル(IOB値=0.14)、ラウリン酸ヘキシル(IOB値=0.17)、ミリスチン酸ミリスチル(IOB値=0.11)、オレイン酸デシル(IOB値=0.11)、イソノナン酸イソノニル(IOB値=0.20)、イソノナン酸イソトリデシル(IOB値=0.15)、エチルヘキサン酸セチル(IOB値=0.13)、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(IOB値=0.35)、コハク酸ジエチルヘキシル(IOB値=0.32)、コハク酸ジオクチル(IOB値=0.36)、ジステアリン酸グリコール(IOB値=0.16)、ジイソステアリン酸グリセリル(IOB値=0.29)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(IOB値=0.25)、リンゴ酸ジイソステアリル(IOB値=0.28)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(IOB値=0.16)、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリエチルヘキサノイン)(IOB値=0.35)、トリオクタン酸トリメチロールプロパン(IOB値=0.33)、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(IOB値=0.16)、アジピン酸ジイソブチル(IOB値=0.46)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル(IOB値=0.29)、アジピン酸2-ヘキシルデシル(IOB値=0.16)、セバシン酸ジイソプロピル(IOB値=0.40)、パルミチン酸2-エチルヘキシル(IOB値=0.13)、エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル(IOB値=0.2)、トリイソステアリン(IOB値=0.16)、ジピバリン酸PPG-3(IOB値=0.52)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(IOB値=0.33)等が挙げられる。これらの極性油は単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
【0051】
IOBが0.10以上の紫外線吸収剤の例としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコーン-15、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン-3、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ホモサレート、サリチル酸エチルへキシル等の有機系の紫外線吸収剤を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0052】
(炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸)
本開示の水中油型乳化化粧料における炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸の含有量としては特に制限はなく、例えば、化粧料の全量に対し、0.10質量%以上、0.15質量%以上、0.20質量%以上、0.25質量%以上、又は0.30質量%以上とすることができ、また、5.0質量%以下、3.0質量%以下、又は1.0質量%以下とすることができる。
【0053】
本開示の水中油型乳化化粧料は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲において、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸以外の高級脂肪酸、例えば、炭素原子数が16未満の直鎖状又は分岐状高級脂肪酸、或いは、炭素原子数が16以上の分岐状高級脂肪酸を含んでも構わないが、崩れ感、乳化安定性の観点から、これらの他の高級脂肪酸は、化粧料の全量に対し、例えば、0.10質量%未満、0.05質量%以下、又は0.01質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、また、これらの他の高級脂肪酸は、化粧料に含まれない方がより好ましい。
【0054】
直鎖状高級脂肪酸の炭素原子数は、16以上又は18以上とすることができ、また、25以下、24以下、又は22以下とすることができる。
【0055】
このような直鎖状高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸(ベヘン酸)、リグノセリン酸などの飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサンエン酸などの不飽和脂肪酸を挙げることができる。中でも、崩れ感の観点から、飽和脂肪酸が好ましく、ステアリン酸、ベヘニン酸がより好ましく、ベヘニン酸が特に好ましい。これらの直鎖状高級脂肪酸は、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
(一価の高級アルコール)
本開示の水中油型乳化化粧料中の一価の高級アルコールの含有量としては特に制限はなく、例えば、化粧料の全量に対し、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、又は1.0質量%以上とすることができ、また、5.0質量%以下、4.0質量%以下、又は3.0質量%以下とすることができる。
【0057】
一価の高級アルコールとしては特に制限はなく、例えば、飽和又は不飽和の一価の脂肪族アルコールを使用することができ、直鎖状、分岐状のいずれであっても構わないが、直鎖状であることが好ましい。乳化安定性、崩れ感の観点から、直鎖状高級脂肪酸及び非イオン性界面活性剤とともに、常温以上でラメラ液晶等に基づくゲル膜又は液晶膜などの界面膜を形成しやすい、例えば、常温で固体状の一価の高級アルコールが好ましい。ここで、本開示において「常温」とは、5℃~35℃の範囲を意図する。
【0058】
このような一価の高級アルコールとしては、融点が40℃以上の高級アルコール、例えば、炭素原子数が10~30の一価の脂肪族アルコールを挙げることができる。具体的には、例えば、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、コレステロール、シトステロール、セチルアルコール(セタノール)、セトステアリルアルコール、デシルテトラデカノール、フィトステロール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール等を挙げることができる。中でも、乳化安定性、崩れ感の観点から、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールがより好ましい。これらの高級アルコールは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
一価の高級アルコールに対する炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸の質量比としては、乳化安定性、崩れ感等の観点から、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、0.55以上、0.60以上、又は0.65以上であることが好ましく、また、2.0以下、1.7以下、1.5以下、又は1.3以下であることが好ましい。
【0060】
(非イオン性界面活性剤)
本開示の水中油型乳化化粧料中の非イオン性界面活性剤の含有量としては特に制限はなく、例えば、化粧料の全量に対し、0.1質量%以上、0.3質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができ、また、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、又は2.0質量%以下とすることができる。
【0061】
非イオン性界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、PEG脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、イソステアリン酸PEGグリセリル類、シリコーン系界面活性剤類を挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0062】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等を挙げることができる。
【0063】
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等を挙げることができる。
【0064】
POEアルキルエーテル類としては、例えば、POE(2)ラウリルエーテル、POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(5.5)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(7)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(2)(C12-15)アルキルエーテル、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル、POE(5)2級アルキルエーテル、POE(7)2級アルキルエーテル、POE(9)アルキルエーテル、POE(12)アルキルエーテル等を挙げることができる。
【0065】
POE・POPアルキルエーテル類としては、例えば、POE(1)ポリオキシプロピレン(POP)(4)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等を挙げることができる。
【0066】
PEG脂肪酸エステル類としては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)(10)、モノステアリン酸PEG(10)、モノステアリン酸PEG(25)、モノステアリン酸PEG(40)、モノステアリン酸PEG(45)、モノステアリン酸PEG(55)、モノステアリン酸PEG(100)、モノオレイン酸PEG(10)、ジステアリン酸PEG、ジイソステアリン酸PEG、PEG(40)水添ヒマシ油、PEG(50)水添ヒマシ油、PEG(60)水添ヒマシ油、PEG(100)水添ヒマシ油等を挙げることができる。
【0067】
ポリグリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等を挙げることができる。
【0068】
POEグリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)(5)グリセリル、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノオレイン酸POE(5)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル等を挙げることができる。
【0069】
イソステアリン酸PEGグリセリル類としては、例えば、イソステアリン酸PEG(8)グリセリル、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル、イソステアリン酸PEG(15)グリセリル、イソステアリン酸PEG(20)グリセリル、イソステアリン酸PEG(25)グリセリル、イソステアリン酸PEGグリセリル(30)、イソステアリン酸PEG(40)グリセリル、イソステアリン酸PEG(50)グリセリル、イソステアリン酸PEG(60)グリセリル等を挙げることができる。
【0070】
シリコーン系界面活性剤類としては、例えば、PEG(7)ジメチコン、PEG(10)ジメチコン等を挙げることができる。
【0071】
これらの中でも、乳化安定性、崩れ感等の観点から、PEG脂肪酸エステル類、イソステアリン酸PEGグリセリル類及びシリコーン系界面活性剤類が好ましく、PEG(60)水添ヒマシ油、イソステアリン酸PEG(60)グリセリル及びPEG(10)ジメチコンがより好ましく、これらは単独で使用してもよいが、併用することが好ましい。
【0072】
〈任意成分〉
本開示の水中油型乳化化粧料は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、各種成分を適宜配合することができる。各種成分としては、化粧料に通常配合し得るような添加成分を挙げることができる。例えば、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ダイナマイトグリセリン等の保湿剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、水溶性高分子、油溶性高分子、シリコーン化多糖類等の皮膜形成剤、金属イオン封鎖剤、エタノール等の低級アルコール、PEG6000及びジプロピレングリコール等の多価アルコール、上記以外の高級アルコール、各種抽出液、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、キレート剤、上記以外の紫外線吸収剤、酸化亜鉛等の紫外線散乱剤、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、医薬品、医薬部外品、化粧品等に適用可能な水溶性薬剤、上記以外の美白剤、上記以外の抗炎症剤、酸化防止剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止助剤、増粘剤、分散剤、噴射剤、有機系粉末、粘土鉱物、顔料、染料、色素、香料、酸成分、アルカリ成分、上記以外の極性又は無極性の油分等を挙げることができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができ、油相中及び/又は水相中に適宜配合することができる。
【0073】
このような添加剤の中でも、界面膜の結晶化の抑制、崩れ感等の観点から、上記以外の高級アルコールを使用することが好ましい。このような高級アルコールとしては、二価の高級アルコールが好ましく、バチルアルコールが特に好ましい。
【0074】
また、一般に、塩型若しくは酸型の美白剤又は抗炎症剤及び極性油を使用する水中油型乳化化粧料の乳化安定性を向上させることは困難であるため、通常、増粘剤、特に水溶性の増粘剤を使用してこのような化粧料の乳化安定性を確保している。しかしながら、増粘剤の配合は、乳化安定性を向上させることはできるかもしれないが、崩れ感、即ち、特定の粘度比を達成させるのに悪影響を及ぼすおそれがあり、また、べたつき感を呈しやすい。
【0075】
一方、本開示の水中油型乳化化粧料における乳化粒子(油滴)は、特定の材料、即ち、揮発性非環状シリコーン油、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、及び非イオン性界面活性剤を用いて調製され、乳化安定性に優れるため、本開示の化粧料は、増粘剤を実質的に含有させなくてもよい。即ち、増粘剤は、化粧料の全量に対し、1質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、又は0.001質量%以下の割合で配合してもよいが、崩れ感等の観点から、増粘剤は使用しないことが有利である。
【0076】
本開示の水中油型乳化化粧料は、上記以外の美白剤及び/又は抗炎症剤を配合し得るが、このような場合、塩型美白剤、酸型美白剤、塩型抗炎症剤、及び酸型抗炎症剤から選択される少なくとも一種は、美白剤成分及び抗炎症剤成分の全量に対し、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上含有させることができる。ここで、上記以外の美白剤としては、例えば、アスコルビン酸誘導体(例えばアスコルビン酸グルコシド)、トラネキサム酸誘導体、グリチルリチン酸誘導体、ニコチン酸誘導体、コウジ酸誘導体(例えばコウジ酸ジパルミテート)、エラグ酸誘導体、アルコキシサリチル酸誘導体、ハイドロキノン、α-アルブチン、β-アルブチン、ニコチン酸アミド、アスタキサンチン、ヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)、カミツレエキス、甘草エキス、プラセンタエキス、ローズマリーエキス、ルシノール、及びマグノリグナンが挙げられ、また、上記以外の抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン、及びアラントインが挙げられる。
【0077】
《水中油型乳化化粧料の用途》
本開示の水中油型乳化化粧料は、負荷をかけると化粧料の粘度が一気に低下するような崩れ感を呈することができる。したがって、このような使用感を呈する本開示の化粧料は、例えば、皮膚等に対して塗り広げて適用される化粧料として使用することができる。ここで、皮膚に適用される化粧料には、皮膚外用剤と呼ばれるものも包含することができる。
【0078】
本開示の化粧料の剤型としては特に制限はなく、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状、スプレー状、ムース状などを挙げることができる。ここで、本開示において「スプレー」とは、ミストタイプのスプレー、エアゾールタイプのスプレーなどを包含することができる。
【0079】
本開示の化粧料の製品形態としては特に制限はなく、例えば、化粧水、美容液、乳液、パック等のフェーシャル化粧料;ファンデーション等のメーキャップ化粧料;日焼け止め化粧料(サンスクリーン剤);ボディー化粧料;メーク落とし、ボディーシャンプーなどの皮膚洗浄料;ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、シャンプー、リンス、育毛料等の毛髪化粧料;軟膏などを挙げることができる。
【0080】
《水中油型乳化化粧料の製造方法》
本開示の水中油型乳化化粧料は、例えば、分散法、凝集法といった公知の方法により調製することができる。
【0081】
分散法とは、分散相の塊を機械的な力により微細化する方法である。具体的には、乳化機の破砕力を利用して乳化する方法であり、このような方法として、例えば、高圧ホモジナイザーを用いて高剪断力を付加する高圧乳化法などを挙げることができる。
【0082】
凝集法とは、界面化学的特性を利用したコロイド調製法であり、一様に溶け合った状態から何らかの手段で過飽和状態にし、分散相となるものを出現させる方法である。具体的な手法として、液晶乳化法、HLB温度乳化法、転相乳化法、非水乳化法、D相乳化法等が知られている。
【0083】
これらの方法の中でも、乳化安定性、崩れ感等の観点から、本開示の水中油型乳化化粧料は、液晶乳化法によって調製することが有利である。液晶乳化法によって調製した乳化粒子の界面付近には、ラメラ液晶等に基づくゲル膜又は液晶膜などの界面膜が形成されやすくなる。その結果、乳化粒子の凝集及び合一が抑制され、乳化安定性が向上するとともに、強固な界面膜によって崩れ感がより発現しやすくなる。
【0084】
本開示の化粧料の液晶乳化法による調製方法としては、例えば、以下の方法を採用することができる。なお、揮発性非環状シリコーン油、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、非イオン性界面活性剤、並びに塩型若しくは酸型美白剤及び/又は塩型若しくは酸型抗炎症剤、任意成分などは、上述したものを同様に使用することができる。
【0085】
揮発性非環状シリコーン油、炭素原子数が16以上の直鎖状高級脂肪酸、一価の高級アルコール、非イオン性界面活性剤、及び任意に油溶性の任意成分を、70~90℃程度に加温しながら混合して油相溶液を調製する。次いで、水、塩型若しくは酸型美白剤及び/又は塩型若しくは酸型抗炎症剤、並びに任意に水溶性の任意成分を、70~90℃程度に加温しながら混合して水相溶液を調製し、この水相溶液に、油相溶液を攪拌しながら徐々に添加した後、常温まで冷却することによって、本開示の水中油型乳化化粧料を調製することができる。
【0086】
従来の液晶乳化法では、常温まで冷却される段階で、乳化粒子の周囲にラメラ液晶等に基づくゲル膜又は液晶膜などの界面膜が形成されることが確認されていることから、本開示の乳化粒子も同様の段階で、このような界面膜が、乳化粒子の周囲に形成されていると考えられる。
【実施例0087】
以下に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りのない限り、配合量は質量%で示す。
【0088】
《実施例1~3、比較例1~4及び参考例1~3》
表1~2に示す処方及び下記に示す製造方法により得た水中油型乳化化粧料について、以下の評価を行い、その結果を表1~2に示す。
【0089】
〈評価方法〉
(粘度の評価)
化粧料の粘度は、ローター番号L3、30℃、0.6rpm及び12rpmの条件で、B型粘度計(TVB形粘度計TVB-10、東機産業株式会社製)を用いて評価した。その結果及び得られた結果から算出した粘度比を表にまとめる。ここで、表には、0.6rpmで測定される粘度を「V0.6rpm」、12rpmで測定される粘度を「V12rpm」、粘度比を「V0.6rpm/V12rpm」と表記する。
【0090】
(乳化安定性の評価)
乳化化粧料を作製してから1時間以内の油滴のサイズと、50℃で4週間保存後の油滴のサイズを、光学顕微鏡にて観察し、以下の基準で乳化安定性を評価した:
A:油滴サイズの変化がほとんどなかった。
B:油滴サイズが僅かに増大していた。
C:油滴サイズが明らかに増大していた、或いは化粧料が分離した。
【0091】
〈化粧料の製造方法〉
(実施例1)
表1に示す処方を用い、以下に示す液晶乳化法によって水中油型乳化化粧料を製造した。ここで、以下に示す番号は、表1の処方の左側の成分名称を示す番号と一致する。
【0092】
70~90℃に加温しながら、No.6~7、No.9~12の油分を均一に混合した後、No.1及びNo.2の非イオン性界面活性剤、No.3及びNo.4の高級アルコール、No.5の直鎖状の高級脂肪酸であるベヘニン酸をさらに混合して油相溶液を調製した。
【0093】
続いて、70~90℃に加温しながら、No.23のイオン交換水にNo.13~20及びNo.22の材料を添加し、均一に混合して水相溶液を調製した。
【0094】
水相溶液を70~90℃に加温しながら、そこへ油相溶液を徐々に添加し、ディスペンサーで均一に分散させた後、常温まで冷却して、実施例1の水中油型乳化化粧料を得た。
【0095】
(実施例2、比較例1~2及び参考例1)
油相溶液及び水相溶液の成分及び配合量を、表1に示す成分及び配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2、比較例1~2及び参考例1の水中油型乳化化粧料を得た。
【0096】
(実施例3、比較例3~4及び参考例2~3)
油相溶液及び水相溶液の成分及び配合量を、表2に示す成分及び配合量に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3、比較例3~4及び参考例2~3の水中油型乳化化粧料を得た。
【0097】
【表1】
【0098】
〈結果〉
参考例1の結果より、酸型美白剤及び塩型美白剤を含まない場合には、例えば、一価の高級アルコールに対する直鎖状高級脂肪酸の質量比を調整することによって、7.9以上の粘度比を達成することができる。しかしながら、比較例2の結果を見ると分かるように、酸型美白剤を配合した場合には、高級アルコールに対する直鎖状高級脂肪酸の質量比が同一であったとしても、7.9以上の粘度比を達成することができないため、比較例2の化粧料を皮膚に適用して塗り広げても崩れ感を感じることはなかった。
【0099】
一方、実施例1~2の結果から明らかなように、油分として揮発性非環状シリコーン油(ジメチコン(1.5cst))を使用した場合には、酸型美白剤及び塩型美白剤を配合したとしても、化粧料は乳化安定性に優れるとともに、粘度比が7.9以上を達成することができており、これらの化粧料を皮膚に適用して塗り広げると、良好な崩れ感を呈することが確認できた。
【0100】
また、実施例1~2及び参考例1を比較すると分かるように、油分として揮発性非環状シリコーン油を使用した場合には、乳化化粧料の粘度比を増加させ得ることが分かった。
【0101】
【表2】
【0102】
〈結果〉
実施例3と比較例4を比較すると明らかなように、油分として、不揮発性非環状シリコーン油に代えて揮発性非環状シリコーン油を使用すると、美白剤を配合したとしても、良好な乳化安定性を呈することができ、また、7.9以上の粘度比を達成し得ることが分かった。
【0103】
参考例2~3の結果を比べると分かるように、油分中の極性油の割合が増加すると、粘度比が低下する傾向にある。比較例3の化粧料は、極性油を含んでいないが、この場合であっても、油分として揮発性非環状シリコーン油を含まずに、酸型美白剤が含まれていると、7.9以上の粘度比を達成できないことが確認できた。