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特開2022-92298乗用型移植機における予備苗の搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092298
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】乗用型移植機における予備苗の搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205029
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭輔
【テーマコード(参考)】
2B064
【Fターム(参考)】
2B064AA05
2B064AA07
2B064AB01
2B064CA02
2B064CA27
2B064CA28
2B064CB07
2B064CB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送装置の傾斜姿勢保持機構を規制と規制解除状態に簡単に切替えながら搬送装置の前後傾斜を変更する切替え作業も容易にし、苗補給作業や空苗箱の回収作業を能率よく行うことができる乗用型移植機における予備苗の搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置7を前後回動傾斜可能に支持する固定苗載台7Mの回動支点40と、その傾斜姿勢を切替え可能に保持する傾斜姿勢保持機構51とを設けて構成する予備苗の搬送装置であって、搬送装置7を前後回動傾斜させる回動支点40は、搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心に対して、前後一方側にずらして配設され、そのずらした側にある前側可動苗載台、又は後側可動苗載台7Rに、前記傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能な操作具50を設けた構成にしている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(4)の後部に植付作業機(15)を連結すると共に、走行機体(4)の操縦部(8)の側方に畦際から予備苗を植付作業機(15)の苗載台(16)に補給する搬送装置(7)を設け、該搬送装置(7)を走行機体(4)側に支持される固定苗載台(7M)に対し、その前部と後部に上方に向けて折畳自在に連結される前側可動苗載台(7F)と後側可動苗載台(7R)とを設け、前側可動苗載台(7F)と固定苗載台(7M)と後側可動苗載台(7R)とが側面視で一直線状に展開される搬送姿勢と、前側可動苗載台(7F)と後側可動苗載台(7R)を固定苗載台(7M)側に折畳んだ格納姿勢とに姿勢切換可能にすると共に、上記固定苗載台(7M)に搬送装置(7)を前後回動傾斜可能に支持する回動支点(40)と、その傾斜姿勢を切替え可能に保持する傾斜姿勢保持機構(51)とを設けて構成する乗用型移植機における予備苗の搬送装置において、
前記搬送装置(7)を前後回動傾斜させる回動支点(40)は、搬送姿勢にある搬送装置(7)の前後中心(P)に対して、前後一方側にずらして配設され、そのずらした側にある前側可動苗載台(7F)、又は後側可動苗載台(7R)に、前記傾斜姿勢保持機構(51)の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能な操作具(50)を設けたことを特徴とする乗用型移植機における予備苗の搬送装置。
【請求項2】
前記固定苗載台(7M)は、前記搬送姿勢の前後中心に対して、後方側にずらして回動支点(40)を配設し、そのずらした側にある後側可動苗載台(7R)に操作具(50)を設けた請求項1記載の乗用型移植機における予備苗の搬送装置。
【請求項3】
前記固定苗載台(7M)は、前記搬送姿勢の前後中心に対して、前方側にずらして回動支点を配設し、そのずらした側にある前側可動苗載台(7F)の前部に操作具(50)を設けた請求項1又は2記載の乗用型移植機における予備苗の搬送装置。
【請求項4】
前記操作具(50)は、搬送装置(7)の機体内側部に設けた請求項1又は2又は3記載の乗用型移植機における予備苗の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型移植機における予備苗の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行機体の運転席の側方に配設され、畦際から予備苗を植付作業機の苗載台に補給するローラコンベア方式の搬送装置を、走行機体側に回動可能に支持される固定苗載台に対し、その前部と後部に上方に向けて折畳自在に連結される前側可動苗載台と後側可動苗載台とを設け、前側可動苗載台と固定苗載台と後側可動苗載台とが側面視で一直線状に展開される搬送姿勢と、前側可動苗載台と後側可動苗載台を固定苗載台の上方に向け折畳んだ格納姿勢とに折畳自在に構成にする乗用型移植機が公知となっている。(例えば特許文献1参照)
上記搬送装置は、固定苗載台に搬送装置を前後回動傾斜可能に支持する回動支点と、その傾斜姿勢を切替え可能に保持する傾斜姿勢保持機構とを設け、該傾斜姿勢保持機構51の係止ピンを前側支柱フレームに穿設した複数の選択係合孔に択一的に挿入係合することにより、搬送装置の回動規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-168438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される移植機は、植付作業の進行に伴い予備苗が後側可動苗載台から苗載台に順次補給されることで、空になった空苗箱を後側可動苗載台側から固定苗載台側に生じる空きスペースに載置できること、及び圃場の畦等に残置されている空苗箱並びに肥料タンク他の農用資材を逐次拾い上げて搬送装置に載置することができるので、オペレータは空苗箱や農用資材等の回収資材をステップや通路に散乱させないで植付作業を行うことができる。
然しながら、上記回収資材を畦際に居る補助作業者に受け渡して回収する作業(回収作業)を行う際には、搬送装置を作業し易い高さまで低くして渡す必要があるので、オペレータが降車して田面を歩行するか、又は補助作業者が畦から降りて田面を歩き、機体前部側に構成されている傾斜姿勢保持機構まで移動する必要があるため、ぬかるんで歩きにくい田面を歩行する手間と転倒トラブルに注意を要する等の問題がある。
そして、搬送装置の傾斜姿勢を変更する際には、先ず腰をかがめた姿勢でノブボルトを緩め、固定苗載台側に延設されている操作ハンドルを握り搬送装置の荷重を支えながら、前側支柱フレームからクレビスピンを抜いて傾斜姿勢保持機構の規制を解除し、搬送装置を所望高さに回動操作し、次に、支柱フレームの係合孔と固定苗載台側の摺動部材の係合孔とを位置合わせをしたのち、クレビスピンを差し込み傾斜姿勢保持機構を規制状態にする等の面倒な傾斜姿勢操作によって行われるものである。
従って、上記傾斜姿勢保持機構による搬送装置を備える移植機は、予備苗や農用資材の供給作業並びに回収作業を行なう度に、ぬかるんで転倒し易い田面を歩行しなければならない手間とトラブルがあること、及び傾斜姿勢保持機構の規制を規制状態と規制解除状態に切替えをする傾斜姿勢操作が非能率で煩雑である等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、第1に、走行機体4の後部に植付作業機15を連結すると共に、走行機体4の操縦部8の側方に畦際から予備苗を植付作業機15の苗載台16に補給する搬送装置7を設け、該搬送装置7を走行機体4側に支持される固定苗載台7Mに対し、その前部と後部に上方に向けて折畳自在に連結される前側可動苗載台7Fと後側可動苗載台7Rとを設け、前側可動苗載台7Fと固定苗載台7Mと後側可動苗載台7Rとが側面視で一直線状に展開される搬送姿勢と、前側可動苗載台7Fと後側可動苗載台7Rを固定苗載台7M側に折畳んだ格納姿勢とに姿勢切換可能にすると共に、上記固定苗載台7Mに搬送装置7を前後回動傾斜可能に支持する回動支点40と、その傾斜姿勢を切替え可能に保持する傾斜姿勢保持機構51とを設けて構成する乗用型移植機における予備苗の搬送装置において、
前記搬送装置7を前後回動傾斜させる回動支点40は、搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心Pに対して、前後一方側にずらして配設され、そのずらした側にある前側可動苗載台7F、又は後側可動苗載台7Rに、前記傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能な操作具50を設けたことを特徴としている。
第2に、前記固定苗載台7Mは、前記搬送姿勢の前後中心に対して、後方側にずらして回動支点40を配設し、そのずらした側にある後側可動苗載台7Rに操作具50を設けたことを特徴としている。
第3に、前記固定苗載台7Mは、前記搬送姿勢の前後中心に対して、前方側にずらして回動支点を配設し、そのずらした側にある前側可動苗載台7Fの前部に操作具50を設けたことを特徴としている。
第4に、前記操作具50は、搬送装置7の機体内側部に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、走行機体の後部に植付作業機を連結すると共に、走行機体の操縦部の側方に畦際から予備苗を植付作業機の苗載台に補給する搬送装置を設け、該搬送装置を走行機体側に支持される固定苗載台に対し、その前部と後部に上方に向けて折畳自在に連結される前側可動苗載台と後側可動苗載台とを設け、前側可動苗載台と固定苗載台と後側可動苗載台とが側面視で一直線状に展開される搬送姿勢と、前側可動苗載台と後側可動苗載台を固定苗載台側に折畳んだ格納姿勢とに姿勢切換可能にすると共に、上記固定苗載台に搬送装置を前後回動傾斜可能に支持する回動支点と、その傾斜姿勢を切替え可能に保持する傾斜姿勢保持機構とを設けて構成する乗用型移植機における予備苗の搬送装置において、前記搬送装置を前後回動傾斜させる回動支点は、搬送姿勢にある搬送装置の前後中心に対して、前後一方側にずらして配設され、そのずらした側にある前側可動苗載台、又は後側可動苗載台に、前記傾斜姿勢保持機構の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能な操作具を設けたことにより
操作具を操作し傾斜姿勢保持機構を規制解除したとき、搬送装置は回動支点を中心に、操作具が設置された側の操作具設置側可動苗載台とは前後反対側に搬送装置重心が大きく掛かるため、オペレータ又は畦際にいる補助作業者は各手元において、操作具の傾斜姿勢保持機構の規制を規制状態と規制解除状態とに簡単に切替えることができると共に、搬送装置の前後傾斜を変更する切替え作業も大きな持ち上げ操作力を要しないで傾斜姿勢操作を簡単にできるため、後側可動苗載台の折畳み方向への間違った力の伝わり方をなくして折畳み方向への誤動作も防止することができ、苗補給作業や回収作業が幾度となく行われる広い圃場での一連の植付作業を能率よく行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、前記固定苗載台は、前記搬送姿勢の前後中心に対して、後方側にずらして回動支点を配設し、そのずらした側にある後側可動苗載台に操作具を設けたことにより、
オペレータが傾斜姿勢操作時毎に降車することなく操縦部側に居ながら、後側可動苗載台に設置される操作具を規制解除すると同時に、操作具が配設された後側可動苗載台を小さい力で押さえ加減を調節するだけの傾斜姿勢操作によって、搬送装置を回動支点を支点に所望角度姿勢に簡単に固定保持することができるので、搬送装置の傾斜姿勢操作作業と係る一連の植付作業を能率よく行うことができる。
またオペレータは、植付作業装置への苗補給作業と同じ位置で搬送装置の前後傾斜の切替え作業や農用資材の返却ができるため、機体上での歩行移動量を低減しながら幾度となく行われる苗補給作業や回収作業を能率よく行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、前記固定苗載台は、前記搬送姿勢の前後中心に対して、前方側にずらして回動支点を配設し、そのずらした側にある前側可動苗載台の前部に操作具を設けたことにより、
移植機を畦側に接近させ操作具が畦の上方に臨む位置において、畦際に居る補助作業者が前側可動苗載台の前部を押え支持しながら操作具を操作することができるので、空苗箱等の回収作業並びに予備苗の供給作業等に好適な搬送装置の角度姿勢を設定して、一連の苗補給や回収作業をオペレータとの連係を図りながら能率よく行うことができる等の特徴がある。
請求項4に係る発明によれば、前記操作具は、搬送装置の機体内側部に設けた
ことにより、
搬送装置を姿勢変更する際に、オペレータは運転座席に居ながら又は立ち上がった苗補給姿勢等において、操作具の切替え操作と後側可動苗載台の傾斜姿勢操作とを無理な姿勢をとることなく簡単且つ能率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明を適用した乗用型移植機の全体左側面図である。
図2】乗用型移植機の全体平面図である。
図3】搬送装置の左側面図である。
図4図3の搬送装置を下向きに傾斜姿勢操作をした左側面図である。
図5】搬送装置を折畳んだ格納姿勢を示す左側面図である。
図6】操作具と傾斜姿勢保持機構の要部構造を示す右側面図である。
図7】搬送装置と操作具の構造を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1図2に示す移植機1は乗用型の田植機であり、前輪2および後輪3で支持される走行機体4を備えており、該走行機体4の前部には、エンジン(図示せず)を搭載するエンジン搭載部5が構成され、エンジン搭載部5の左右両外側部には、それぞれサイドフレーム6が立設されており、その上方に予備苗や農用資材を搬送する予備苗供給装置としての搬送装置7が設けられている。
上記エンジン搭載部5の後方には、作業者が乗車する操縦部8が構成され、該操縦部8はステアリングハンドル9、運転座席10などを備えて構成されており、運転座席10の前下方には、操縦部8の床面を形成するフロアステップ11が設けられている。
【0009】
フロアステップ11は、エンジン搭載部5の左右外側部に設けられるフロントステップ12や、フロアステップ11の左右幅を拡張するワイドステップ13と接続されており、オペレータは、これらフロントステップ12やワイドステップ13を経由することにより、機体前方および側方のどちらからでも操縦部8に乗り込むことができる。
一方、走行機体4の後部には、昇降リンク機構14を介して植付作業機15が昇降自在に連結されている。植付作業機15は、前高後低状に傾斜する苗載台16、該苗載台16から苗を掻取って圃場に植付ける植付機構17、田面を滑走するフロート18などを備えて構成されている。
【0010】
そして、走行機体4の後部には、リヤステップ19が設けられており、作業者は、リヤステップ19に立って左右に移動することができると共に、リヤステップ19とワイドステップ13を利用した半立ち姿勢で搬送装置7から苗載台16に予備苗を補給をすることができ、且つ空苗箱の回収を行なうことができる。そして、搬送装置7を後述するように操作することにより、苗補給作業や苗箱の回収作業を能率よく行うことができるようにしている。
【0011】
次に、搬送装置7の具体構造について図1図2を参照し説明する。この搬送装置7は、走行機体4の左右両外側部に前後方向に沿うように配設されており、その前端部は走行機体4の前方に位置し、後端部は運転座席10の側方に位置し、左右の側枠間に複数のローラ21を回転自在に支持した矩形のローラコンベアとなし、前高後低状の傾斜に沿って予備苗を自走式で後方搬送するように構成される。
【0012】
本実施形態の搬送装置7は、前側可動苗載台7F、固定苗載台7M及び後側可動苗載台7Rに分割形成されている。これらの苗載台7F、7M、7Rは、それぞれヒンジ22、23を介して連結されており、非作業時には、固定苗載台7Mの上方に、図5に示すように、後側可動苗載台7Rと前側可動苗載台7Fを折畳み状に収納した格納姿勢にすることができる。
【0013】
尚、搬送装置7は、走行機体4の前方から後部へ予備苗を搬送する際に、これら前側可動苗載台7F及び後側可動苗載台7Rを固定苗載台7Mに対して前後に伸展させた伸展姿勢、つまり、前側可動苗載台7Fが固定苗載台7Mから機体前方側に延び、後側可動苗載台7Rが固定苗載台7Mから機体後方側に延びた状態で、各苗載台に少なくとも1つの予備苗を載置可能にして使用される。尚、本実施形態において、単に搬送装置7と言う場合は、伸展姿勢の搬送装置7を意味するものとする。
【0014】
次に、搬送装置7の支持部について、図3図7を参照し説明する。この支持部は、走行機体4の外側部であるサイドフレーム6上に立設される側面視冂型の支持フレーム24と、支持フレーム24上で搬送装置7を左右回動自在に支持する左右回動支持機構25と、支持フレーム24上で搬送装置7を上下回動自在に支持する上下回動支持機構26とを備える。
支持フレーム24は、前後一対の支柱フレーム27、28と、前後の支柱フレーム27、28を一体的に連結する連結フレーム29とを一体的に備えて側面視冂型に形成されており、いずれのフレーム27、28、29も円筒状のパイプ材を用いて形成されている。
【0015】
左右回動支持機構25は図3図6に示すように、搬送装置7の下部に沿って一体的に設けられる操作ハンドル30と、操作ハンドル30の後端部に一体的に設けられる第一支軸ブラケット31と、上下方向を向く第一回動支軸32を介して第一支軸ブラケット31を左右回動自在に支持する左右回動支持ベース33とを備え、第一回動支軸32を支点とする搬送装置7の左右回動を可能にしている。図示例の左右回動支持ベース33は、箱状のベース本体33aと、ベース本体33aから前方に延出するパイプ状の延出部33bとを一体的に備え、搬送装置7は、第一回動支軸32を介してベース本体33aで左右回動自在に支持されている。
【0016】
そして、第一支軸ブラケット31と左右回動支持ベース33(ベース本体33a)との間には、搬送装置7の左右回動位置を段階的に調節する左右調節機構34が構成されている。左右調節機構34は、左右回動支持ベース33の上面部に第一回動支軸32を中心とする円弧に沿って形成される複数の係合孔(図示せず)と、第一支軸ブラケット31に上下動自在に設けられ、左右回動支持ベース33の係合孔に対して選択的に係合される係合ピン(図示せず)と、係合ピンを抜き挿し操作する左右回動切換レバー35とを備えて構成されている。
【0017】
そして、操作ハンドル30と左右回動支持ベース33(延出部33b)との間には、平面視で走行機体4と平行となる左右回動初期位置で搬送装置7の荷重を下方から支持する姿勢保持補助機構36を設けている。
また実施形態の搬送装置7は、後側可動苗載台7Rの機体外側部に沿わせて予備苗及びその空苗箱(予備苗トレー)を載置可能な形状の資材載せ台37を設けており、該資材載せ台37は図7に実線で示す使用姿勢から下向きに反転回動して後側可動苗載台7Rの下面側に沿わせた格納姿勢にするようにしている。
【0018】
上下回動支持機構26は、後側支柱フレーム28の上端部に設けられる正面視凵型の第二支軸ブラケット39と、第二支軸ブラケット39に左右を向いて設けられ、左右回動支持ベース33の後端側(ベース本体)を上下回動自在に支持する第二回動支軸(以下単に回動支点と言う)40と、前側支柱フレーム27に設けられ、左右回動支持ベース33の前端側(延出部の前端部)を高さ調節可能に支持する高さ調節機構41とを備えて構成されている。
【0019】
次に、高さ調節機構41について図3図6を参照し説明する。この高さ調節機構41は、前側支柱フレーム27で上下摺動自在に支持される摺動部材42と、摺動部材42の上端部と左右回動支持ベース33の延出部33bの前端部を融通状態で連結する融通機構43と、前側支柱フレーム27に対する摺動部材42の摺動位置を調節する高さ調節部44と、摺動部材42のガタを取るガタ取り部45と、高さ調節部44に設けられる係止ピン47を操縦部8側から係合姿勢と非係合姿勢に操作可能にする後述の操作具50等を備える傾斜姿勢保持機構51等によって構成される。
【0020】
先ず、高さ調節部44は図6に示すように、前側支柱フレーム27を前後方向に貫通する係合孔(支持孔)27aと、前側支柱フレーム27に固設されるピンホルダ27bに保持されて係合孔27aにスライド自在に挿通される係止ピン47(クレビスピン)と、摺動部材42の上下方向に所定の間隔を有して複数形成される前後方向に貫通する選択係合孔42a等からなる。
これによる高さ調節部44は図6に示すように、摺動部材42の最下段位置にある選択係合孔42aに係止ピン47が挿入係合している場合には、係止ピン47を介して搬送装置7を最大の上向き傾斜姿勢(搬送姿勢)に保持することができるため、搬送装置7は前方の畦側から逐次供給載置される予備苗を後部側に向けて連続的な滑動態様によって後方に向け搬送することができる。
【0021】
一方、操作具50の操作により係止ピン47が選択係合孔42aから引き抜き操作された保持解除状態においては、オペレータは後述するような回動動作によって搬送装置7を前記回動支点40を中心に前部側を下方回動することができ、このとき例えば図4に示すように、搬送装置7の前部が最下位になる高さにおいて、係止ピン47が操作具50の復帰操作にもとづき最下段の選択係合孔に挿入係合されると、搬送装置7を最大の下向き傾斜姿勢(回収搬送姿勢)に保持することができる。また係止ピン47が両者の中間に設けられる所定の選択係合孔42aに挿入される場合には、搬送装置7を水平姿勢と所望角度の緩傾斜姿勢にして切替え保持することができる。
【0022】
前記ガタ取り部45は、前側支柱フレーム27の前面側に前方から螺入するノブボルト48を備えており、該ノブボルト48を摺動部材42の高さ調節後に締め込むことにより、摺動部材42を前側支柱フレーム27の内周面後側に押接すると共に、前記係合孔27aに挿通している係止ピン47とを押し付けてガタツキを規制することができる。
これによるガタ取り部45は、例えば、移植機1の路上走行時に生じ易い、摺動部材42等の振動やガタツキ音の発生を防止することができる。そして、ガタ取り部45のノブボルト48は、植付作業の開始時には予め緩めておくことで、随時に行われる搬送装置7の傾斜姿勢操作をオペレータが圃場に降りることなく速やかに行うことができる。
【0023】
次に、図6を参照し前記傾斜姿勢保持機構51について詳述する。先ず、図示例の操作具50は、レバー部50aと作動アーム50bとを側面視でL字状をなすレバー形状とし、両者の基部位置を操作回動支点になる取付軸52を介し、後側可動苗載台7Rの機体内側部に設けられる取付ブラケット53に着脱可能に軸支している。
この操作具50は図6図7に示すように、取付ブラケット53の軸支部を介し取付軸52を後側可動苗載台7Rの下部面より下位になるように軸支することにより、作動アーム50bを取付ブラケット53に近接した状態で搬送フレーム6aの上面部より突出させることなく、前記係止ピン47との連係手段である操作ワイヤー55のインナーワイヤー55aと引張りスプリング56とを介して連結し、図示する実線位置では係止ピン47を係合姿勢に保持するようにしている。
【0024】
そして、操作具50のレバー部50aは実線で示すように、取付軸52cの下方で前方に指向させた操作性のよい下向き傾斜姿勢で設けることにより、取付軸52から後端部に至る後述する把持操作距離Hを利用し搬送フレーム6aの下面に当てた手を前側に向けて滑らかにスライドさせるガイド部材となって上げ方向に回動操作できるため、搬送フレーム6aとレバー部50aとの間で手を挟むような不具合を防止すると共に、レバー部50aを2点鎖線で示すように後側可動苗載台7Rの下面側に沿う保持解除操作姿勢(規制解除状態)にすることができる。つまり、オペレータは、後方の把持操作距離Hを利用して傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態にする操作具50に対し、レバー部50aを掌で掬い上げるように操作したのち親指を搬送フレーム6a側に接当させる握り姿勢によって、簡単且つ安定的に規制解除状態をキープすることができる。
【0025】
上記傾斜姿勢保持機構51の操作ワイヤー55は、インナーワイヤー55aを内装するアウタワイヤー55bの前端を後側支柱フレーム28に設けられる取付部28aに取付け、後端を取付ブラケット53に突設される取付部に取付け、中途部を屈曲自在にしながらその前後側を後側支柱フレーム28と後側可動苗載台7Rの機体内側部に沿わせて配策支持し、インナーワイヤー55aの他端をピンホルダ27bに支持される係止ピン47の基部端に連結している。
【0026】
そして、上記係止ピン47の中途部には、押圧スプリング57を外嵌してピンホルダ27bに取付けることにより、保持姿勢における係止ピン47の先端が前側支柱フレーム27の係合孔27aから一部突出付勢されるようにしている。
尚、係止ピン47の先端は丸頭部形状にすることが望ましく、この場合には上下に移動する選択係合孔42aに対する係止ピン47の押圧スプリング57による挿入動作を、丸頭形状が誘導するため速やかに係合係止させることができる。
【0027】
上記構成される操作ワイヤー55は、図6で示す搬送装置7の搬送姿勢において、操作具50が押上げ(掬い上げ)られ上方に向けて回動する動作に基づき、インナーワイヤー55aが引張りスプリング56を介し押圧スプリング57を圧縮しながら係止ピン47を引き作動し、前記係合孔27aと選択係合孔42aとの係合を解除することができる。
尚、この際に、係止ピン47と選択係合孔42aとの係合が齧り状態であるとき、オペレータがこれを看過して操作具50を無理に解除方向に回動操作した場合には、引張りスプリング56の伸びによって操作具50の回動を許容すると共に、この状態においてオペレータが例えば、搬送装置7を上下方向に揺さぶる等の齧り解除動作をすると、係止ピン47は引張りスプリング56の引っ張り作用によって係合解除動作を支障なく行うことができる。
【0028】
一方、上記傾斜姿勢保持機構51を備える搬送装置7は、その前後傾斜用の回動支点40を、搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心Pに対して後方側にずらして配設すると共に、そのずらした側にある後側可動苗載台7Rに対し、前記傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能にする操作具50を設けていることにより、例えば、上向き傾斜の搬送姿勢にある搬送装置7を操作具50の操作によって選択係合孔42aから係止ピン47を引き抜いた規制解除状態にしたとき、搬送装置7の搬送装置重心は、回動支点40を中心に、操作具50が配設された後側可動苗載台7R側の前後反対側に搬送装置重心が掛かるので、前側可動苗載台7Fと固定苗載台7M側との自重が大きな回動力(モーメント)になって前方に働くため、搬送装置7は回動支点40を中心に下降傾斜をする。
【0029】
このとき、回動支点ずらし方向に配置されて小自重である後側可動苗載台7R側は回動支点40を中心に上向きに傾動するので、オペレータは後側可動苗載台7Rを持ち上げ回動するための力を要することなく、専ら後側可動苗載台7Rの後部側に対してその上げ回動量を抑制する程度の小さい力によって押さえ加減を調節した操作を行ない、図4で述べたように、所望の角度位置に位置決めしたタイミングにおいて、操作具50を実線の戻し位置(規制状態)に操作する。
【0030】
これにより、操作ワイヤー55の押圧スプリング57によって押動付勢されている係止ピン47は、該当する所望の選択係合孔42aに臨んだとき自ずと挿入係合して搬送装置7を所望の角度姿勢に固定保持するため、オペレータはこの係合状態のてごたえを容易に感知でき、操作具50と後側可動苗載台7Rから各手をタイムリーに離すことにより、一連の傾斜姿勢操作を簡単且つ能率よく終えることができる。
【0031】
つまり、オペレータは従来のもののように傾斜姿勢操作時毎に都度降車する必要がなく、操縦部8側に居ながらにして、搬送装置7の傾斜姿勢操作時に後側可動苗載台7Rに設置される操作具50を規制解除すると同時に、回動支点40を中心に操作具50が配設された後側可動苗載台7Rを敢えて持ち上げ操作することなく、少ない力で押さえ加減を調節するだけの傾斜姿勢操作によって搬送装置7を所望角度姿勢に固定保持することができる。
従って、搬送装置7の傾斜姿勢操作作業と係る一連の植付作業を能率よく行うことができると共に、傾斜姿勢操作時に後側可動苗載台7Rは上方向への操作力を要しないため、後側可動苗載台7Rの折畳み方向への間違った力の伝わり方を抑制して折畳み誤動作を防止できるため、軽労化にもつながる等の特徴がある。
【0032】
さらに、後側可動苗載台7Rの機体内側部で転座席10の側方に取付軸52を設けてレバー部50aを搬送フレーム6aの下方スペースに臨ませて配置する操作具50は、着座姿勢で上体を単に横向き捻った無理のない半振り返り姿勢において、オペレータが機体前方側になる前片手(レバー操作側手)での、操作具50のレバー部50aを押し上げ操作を容易にでき、同時に後片手(苗載台操作側手)で行う後側可動苗載台7Rの搬送フレーム6aの機体内側部の掴み把持を行い易くすることができる。
このとき機体後方側になる後片手(苗載台操作側手)は、操作具50が後側可動苗載台7Rの後端部から前方側に把持操作距離Hを有して配設されているため、後側可動苗載台7Rの機体内側部フレームの後部側面又はフレーム後端側の掴み把持を、操作具50に支障されることなく速やかに行うことができる。
【0033】
つまり、傾斜姿勢保持機構51の操作具50は、後側可動苗載台7Rに前記把持操作距離Hを有して配設しているため、オペレータが着座又は立上がって上体を後側可動苗載台7R側に向けて対面する対面姿勢において、左右の各手で操作具50の切替え操作と、回動支点40からより離れた後側可動苗載台7Rの後部を、側方又は後端から即時的に接当又は掴むことができる。
そして、下向きの押圧加減を調節する搬送装置7の傾斜姿勢操作を、操縦位置又は植付作業装置6への苗補給作業と略同じ位置で、オペレータがステップ上を大きく歩行移動をすることなく前後移動量の削減を図りながら作業効率を上げることができる等の利点も創出する。
【0034】
次に、上記搬送装置7を備える移植機1による、予備苗や肥料容器等農用資材の供給作業、及び空苗箱等の回収作業の態様について説明する。
先ず、苗載台16に対する予備苗を補給する搬送供給作業は、在来のものと同様に前高後低の傾斜搬送姿勢又は水平姿勢に設定されている搬送装置7の前部に対し、畦際にいる補助者による予備苗の載置供給を受けながら、搬送装置7の後部にいるオペレータがリヤステップ19とワイドステップ13とに足を載せかけた立ち姿勢(予備苗供給姿勢)になって、搬送装置7の後部で搬送予備苗を受け取り苗載台16の全面に苗補給をする。
【0035】
そして、この補給作業に伴ない空になる苗箱(空資材)は、搬送装置7の後部外方で仮載せ姿勢にある資材載せ台37に順次重ねて溜め置き(仮置)きすることができ、苗載台16の全面にマット苗が充填補給された時点で、溜め置きされた複数の苗箱を畦側に返送して回収する回収作業が行われる。
この苗箱回収作業は、ガタ取り部45のノブボルト48が予め緩められた状態にあることから、立ち姿勢にあるオペレータが先ず上体を操作具50側に向けた対面姿勢になり、前側片手で操作具50を解除操作すると同時に後側片手によって後側可動苗載台7Rを押さえながら、前記した搬送装置7の傾斜角度上下位置決め動作を行なう。次いで、この動作態様により、搬送装置7の前方が下向き傾斜の所望角度になったとき、操作具50を復帰操作し回収姿勢に切替え固定をする。
【0036】
次いで、資材載せ台37に仮置きしている空苗箱を、前低後高の回収姿勢にある後側可動苗載台7Rに順次載せて前方に向けて下降搬送をし、畦側に待機している補助作業者の手元側に順次返送する。これにより補助作業者は、空苗箱を楽な姿勢で回収することができる。
そして、空苗箱の回収作業を終えたオペレータは、立ち姿のまま又は運転座席10に着座した姿勢によって、操作具50の切替え操作と搬送装置7を上向きにする傾斜角度上下位置決め動作によって所望角度の搬送姿勢に切替え固定をしたのち、再び補助作業者による貯留予備苗の載置供給を受け、搬送装置7の長さ全面に所定数の貯留予備苗を載置した状態で、次工程の圃場植付け箇所に対する植付作業を再開する。
【0037】
次いで、植付作業に伴い上記貯留予備苗の苗も植付けられた時点で、オペレータは資材載せ台37に載置状態にある貯留予備苗の空苗箱や、畦等に既に残置されている空苗箱又は任意の農用資材を拾い上げ、この回収物を搬送装置7やワイドステップ13等に載せた状態で畦側に向けて戻り走行をし、前記回収及び補給作業と同じ態様によって操作具50を操作すると共に、搬送装置7を各最適姿勢に切替えながら空苗箱や農用資材の回収作業を行い、且つ、補給作業を幾度となく繰り返して圃場に対する一連の植え付け作業を完了する。
【0038】
以上のように操縦部3側からの傾斜角度上下位置決め動作(傾斜姿勢操作)によって所望の搬送姿勢にできる搬送装置7を備える移植機1は、搬送装置7を前後回動傾斜させる回動支点40を、搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心Pに対して、後側にずらして配設すると共に、そのずらした側にある後側可動苗載台7Rに前記傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能にする操作具50を設けたことにより、従来のものように傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替える度に、オペレータが圃場に降りて田面を歩き機体前方に向けて歩行移動をすることなく、乗車したまま操縦部8側に居ながらにして、後側可動苗載台7Rに設置される操作具50を規制解除すると同時に、搬送装置7を回動支点40を支点に省力的且つ動き易い操作によって所望の角度姿勢に簡単に固定保持することができる。
【0039】
また後側可動苗載台7Rの機体内側部に操作具50を設けている搬送装置7は、オペレータが搬送装置7の後方部で植付作業装置6への苗補給作業を行なう苗供給姿勢になっていても、ステップ上を大きく歩行移動する煩雑さを伴うことなく略同じ位置で振り返る程度の動作によって操作具50に対面し、その切替え操作と搬送装置7の前後傾斜の切替え作業、並びに空苗箱や農用資材の返却等回収作業も能率よく行うことができる。
【0040】
そして、操作具50を握り操作し前記傾斜姿勢保持機構51を規制解除状態にするとき、搬送装置7の搬送装置重心が回動支点40を中心に操作具50が配設される後側可動苗載台(操作具設置側可動苗載台)7R側の前後反対側に掛かるので、搬送装置7の傾斜姿勢を上下調節する傾斜姿勢操作は、操作具50を握りながら後側可動苗載台7Rの後部側に対する押さえ加減を調節して上げ回動量を抑制する程度の小さい力によって所望角度位置に位置決めでき、その場で操作具50の握りを止めることにより、傾斜姿勢保持機構51を規制状態することができる。
【0041】
従って、オペレータは、操作具50の傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに簡単に切替えることができ、搬送装置7の前後傾斜の切替え作業も上方向への持ち上げ操作力を要しないですむため、後側可動苗載台7Rの折畳み方向への間違った力の伝わり方をなくして折畳み方向への誤動作も防止することができ、特に、苗補給作業や回収作業が幾度となく行われる広い圃場での一連の植付作業を能率よく行うことができる。
【0042】
さらに、実施形態の搬送装置7は図5に示すように、固定苗載台7Mの上方に後側可動苗載台7Rを折畳み、該固定苗載台7Mの上方に前側可動苗載台7Fを折畳んだコンパクトな格納姿勢にしたとき、操作具50は折畳まれた後側可動苗載台7Rの機体内側部の前部側において、レバー部50aを操作し易い上向きの操作姿勢にすることができる。
これによる上向き傾斜の格納姿勢にある搬送装置7は、オペレータがフロントステップ12側に移動して操作具50を下向きに操作すること、及び降車したオペレータ又は補助作業者が操作具50を下向きに操作しながら傾斜姿勢操作をして、搬送装置7を水平又は下向き傾斜の低い所望姿勢にすることができるので、移植機1を格納する際の利便性を高めることができる等の特徴もある。
【0043】
次に、本発明の別実施形態に係る、前方操作型の搬送装置7を備える移植機1について説明する。尚、前記実施形態のものと同様な構成及び作用については説明を省略する。
この場合の移植機1は、搬送装置7を前後回動傾斜させる回動支点40を、搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心Pに対して、前側にずらして配設すると共に、そのずらした側にある前側可動苗載台(操作具設置側可動苗載台)7Fに前記傾斜姿勢保持機構51の規制を規制状態と規制解除状態とに切替え可能にする操作具50を、図3に2点鎖線で示すように、前側可動苗載台7Fの前部側に対し前記した把持操作距離Hを介して設ける構造にしている。
【0044】
この場合の搬送装置7の支持部は、左右回動支持機構25と上下回動支持機構26とを介して搬送装置7を支持する側面視冂型の支持フレーム24を、前記後方操作型の搬送装置7を支持するものを前後反転させた構成によって設置することにより、回動支点40を搬送姿勢にある搬送装置7の前後中心Pに対し前側にずらして配設することができる。
これによる搬送装置7は、畦側で待機している補助作業者が畦から圃場に降りることなく、前部側に把持操作距離Hを有して設けられる操作具50の操作を介し、傾斜姿勢保持機構51の切替えと搬送装置7の傾斜姿勢変更とを行うことができる。
【0045】
即ち、操縦部8にいるオペレータは、走行運転によって移植機1を畦側に接近させた位置に走行させ、図3に示すような上向き傾斜にある搬送装置7の前部で下向きに設けられる操作具50が畦の上方に臨むように停車させる。
次いで、畦側にいる補助作業者が伸ばした苗載台操作側手で前側可動苗載台7Fの前部を掴み支持し、他方のレバー操作側手によって操作具50を上方に回動操作する。
これにより補助作業者は、畦側から前記後方操作型の搬送装置7と同様な操作態様によって、その場面において好適な傾斜姿勢操作をスムーズに行うことができる。
【0046】
次いで、補助作業者とオペレータとの意思疎通と連係により、空苗箱等の回収作業並びに予備苗の供給搬送により、植付作業装置6への苗補給作業と空苗箱の回収、並びに搬送装置7の全面に対する複数の予備苗載置が行われた時点で、オペレータとの合意のもと補助作業者が搬送装置7を植付作業に好適な元の上向き傾斜姿勢に戻し操作したのち、オペレータによる植付作業が再開され、搬送装置7の傾斜姿勢操作作業と係る一連の植付作業を、力が弱く非力なオペレータであったとしても、大きな負担をかけることなく簡単且つ能率よく行うことができる等の特徴がある。
【0047】
尚、図示例による移植機1では、搬送装置7側に設置する操作具50と支持フレーム24側に構成される高さ調節機構41とを連係操作する連係手段として操作ワイヤー55を利用した傾斜姿勢保持機構51を示したが、これに限ることなく連係手段は一般的なリンク構造にしてもよく、また操作具50から電気的な電動連係手段によって高さ調節機構41を切替え動作するようにしてもよい。また高さ調節機構41は、係止ピン47と選択係合孔42aとの係合選択機構を示したが他の方式による汎用的な高さ調節機構を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 移植機(乗用田植機)
4 走行機体
7 搬送装置
7M 固定苗載台
7F 前側可動苗載台
7R 後側可動苗載台
8 操縦部
10 運転座席
15 植付作業機
16 苗載台
40 回動支点
50 操作具
51 傾斜姿勢保持機構
P 前後中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7