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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092329
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ロールスクリーン装置及び建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/78 20060101AFI20220615BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
E06B9/78
E06B9/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205089
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】390020101
【氏名又は名称】セイキ住工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】守谷 将人
(72)【発明者】
【氏名】澤口 直人
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】高山 幸久
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA01
2E042CA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作コードを備えたロールスクリーン装置において、操作性に加えて意匠性にも優れたものを提供する。
【解決手段】巻取軸3へのスクリーン2の巻取りに伴って、スクリーンが巻取ボックス4内に収納され、巻取軸からのスクリーンの繰出しに伴って、スクリーンが巻取ボックス内から導出されるように構成されたロールスクリーン装置1において、巻取ボックス内において巻取軸の一端に接続され、巻取軸を回動させる回転伝達機構7と、回転伝達機構に接続された操作コード16とを有し、操作コードは、その両端が相互に連結されることなく第1端及び第2端を有する有端状に形成されていて、その第1端側が巻取ボックス内から外部へと導出され、操作コードの第1端側を引っ張り操作することにより回転伝達機構を通じて前記巻取軸が回動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線周りに回動自在に支持された巻取軸と、
前記巻取軸が収容された巻取ボックスと、
前記巻取軸の回動により前記巻取軸に対して巻取り及び繰出し可能に設けられたスクリーンとを有し、
前記巻取軸へのスクリーンの巻取りに伴って、前記スクリーンが前記巻取ボックス内に収納され、前記巻取軸からのスクリーンの繰出しに伴って、前記スクリーンが前記巻取ボックス内から導出されるように構成されたロールスクリーン装置であって、
前記巻取ボックス内において前記巻取軸の一端に接続され、前記巻取軸を回動させる回転伝達機構と、
前記回転伝達機構に接続された操作コードとを有し、
前記操作コードは、その両端が相互に連結されることなく第1端及び第2端を有する有端状に形成されていて、その第1端側が前記巻取ボックス内から外部へと導出され、
前記操作コードの第1端側を引っ張り操作することにより前記回転伝達機構を通じて前記巻取軸が回動することを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
前記巻取ボックスにおける前記回転伝達機構の配された端部には、前記軸線に対して直交方向に延びる中空の枠体が接続され、
前記枠体には、その長さ方向に延びるスリットが開設され、
前記枠体と向かい合う前記スクリーンの側縁に取り付けられた係合部材が、前記スリットに摺動自在に係合され、
前記枠体の内部は、その長さ方向に延びる隔壁により第1室と第2室とに区画されていて、前記枠体のスリットが前記第1室へと連通され、
前記枠体における前記巻取ボックス側の端面には開口が形成されていて、前記操作コードの第2端側が、前記枠体の開口を通じて前記第2室内に移動自在に収容されていることを特徴とする請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項3】
前記回転伝達機構は、前記操作コードが巻き掛けられ、前記操作コードの引っ張り操作により回動する回転伝達体と、前記回転伝達体の回動運動を1より大きい所定の回転比で前記巻取軸に伝達することで、前記巻取軸の回転数を前記回転伝達体の回転数よりも多くする変速機構とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のロールスクリーン装置。
【請求項4】
前記回転伝達体は、環状に形成され、前記軸線に対して平行に延びる軸線周りに回転可能に支持されたプーリーであり、
前記変速機構は、前記プーリーの内周面に形成された内歯車と、前記内歯車と噛み合い、前記巻取軸に接続された平歯車によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載のロールスクリーン装置。
【請求項5】
前記プーリーの背面側の外周面が前記枠体の延長線上に位置するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載のロールスクリーン装置。
【請求項6】
前記巻取ボックスは、引っ張り操作により前記巻取ボックスから引き出された前記操作コードを任意の引出し位置で保持するための係止部を有していて、
前記操作コードは、複数のボール部材を可撓性の連結細条により一定の間隔で連結することにより形成されており、
前記係止部に対して前記ボール部材が係脱可能で、前記係止部に対して前記ボール部材を係止させた状態において、前記操作コードが任意の引出し位置で保持されるように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のロールスクリーン装置。
【請求項7】
前記ロールスクリーン装置は、前記操作コードの第1端側を外部に導出するためのコード導出路を有していて、
前記係止部が、前記コード導出路に切設されて外部に向けて開いた係止穴であり、前記係止穴の幅が、前記操作コードのボール部材の径よりも小さく、かつ、前記連結細条の径よりも大きく形成されていることを特長とする請求項6に記載のロールスクリーン装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のロールスクリーン装置を備える建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作コードの操作によってスクリーンの巻取軸を回転させることで、スクリーンを巻き取るロールスクリーン装置に関するものであり、更に具体的には、その両端を連結することなく有端状に形成された操作コードの操作によってスクリーンを巻き取るロールスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作コードの操作によってスクリーンの巻取軸を回転させ、それによりスクリーンを繰出したり巻取るようにしたスクリーン装置は、既に公知である。例えば、特許文献1には、巻取ボックスに支持された巻取軸の一方の端にスプロケットを設け、このスプロケットに無端状に形成した環状の操作コードを巻きかけ、操作コードを正逆方向に回転させることでスクリーンを繰出したり巻取るようにしたスクリーン装置が開示されている。しかしながら、この種の操作コードを用いたスクリーン装置においては、巻取ボックスから2本の操作コードが導出されていて、スクリーンの繰出し・巻取りに応じていずれかの操作コードを正しく選択する必要があり、しかも、外見上、これら2本の操作コードが目に付きやすいため、操作性や意匠性について改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-106191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、操作コードを備えたロールスクリーン装置において、操作性に加えて意匠性にも優れたものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明によれば、軸線周りに回動自在に支持された巻取軸と、前記巻取軸が収容された巻取ボックスと、前記巻取軸の回動により前記巻取軸に対して巻取り及び繰出し可能に設けられたスクリーンとを有し、前記巻取軸へのスクリーンの巻取りに伴って、前記スクリーンが前記巻取ボックス内に収納され、前記巻取軸からのスクリーンの繰出しに伴って、前記スクリーンが前記巻取ボックス内から導出されるように構成されたロールスクリーン装置であって、前記巻取ボックス内において前記巻取軸の一端に接続され、前記巻取軸を回動させる回転伝達機構と、前記回転伝達機構に接続された操作コードとを有し、前記操作コードは、その両端が相互に連結されることなく第1端及び第2端を有する有端状に形成されていて、その第1端側が前記巻取ボックス内から外部へと導出され、前記操作コードの第1端側を引っ張り操作することにより前記回転伝達機構を通じて前記巻取軸が回動することを特徴とするロールスクリーン装置が提供される。
【0006】
この場合において、前記巻取ボックスにおける前記回転伝達機構の配された端部には、前記軸線に対して直交方向に延びる中空の枠体が接続され、前記枠体には、その長さ方向に延びるスリットが開設され、前記枠体と向かい合う前記スクリーンの側縁に取り付けられた係合部材が、前記スリットに摺動自在に係合され、前記枠体の内部は、その長さ方向に延びる隔壁により第1室と第2室とに区画されていて、前記枠体のスリットが前記第1室へと連通され、前記枠体における前記巻取ボックス側の端面には開口が形成されていて、前記操作コードの第2端側が、前記枠体の開口を通じて前記第2室内に移動自在に収容されていることが好ましい。
【0007】
また、前記回転伝達機構は、前記操作コードが巻き掛けられ、前記操作コードの引っ張り操作により回動する回転伝達体と、前記回転伝達体の回動運動を1より大きい所定の回転比で前記巻取軸に伝達することで、前記巻取軸の回転数を前記回転伝達体の回転数よりも多くする変速機構とを有することが望ましい。
【0008】
また、本発明に係るロールスクリーン装置の好ましい実施形態においては、前記回転伝達体は、環状に形成され、前記軸線に対して平行に延びる軸線周りに回転可能に支持されたプーリーであり、前記変速機構は、前記プーリーの内周面に形成された内歯車と、前記内歯車と噛み合い、前記巻取軸に接続された平歯車によって構成されている。
この実施形態において、前記プーリーの背面側の外周面が前記枠体の延長線上に位置するように配置されていることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係るロールスクリーン装置の好ましい実施形態においては、前記巻取ボックスは、引っ張り操作により前記巻取ボックスから引き出された前記操作コードを任意の引出し位置で保持するための係止部を有していて、前記操作コードは、複数のボール部材を可撓性の連結細条により一定の間隔で連結することにより形成されており、前記係止部に対して前記ボール部材が係脱可能で、前記係止部に対して前記ボール部材を係止させた状態において、前記操作コードが任意の引出し位置で保持されるように構成されている。
また、この実施形態において、前記ロールスクリーン装置は、前記操作コードの第1端側を外部に導出するためのコード導出路を有していて、前記係止部が、前記コード導出路に切設されて外部に向けて開いた係止穴であり、前記係止穴の幅が、前記操作コードのボール部材の径よりも小さく、かつ、前記連結細条の径よりも大きく形成されていることが好ましい。
そして、この実施形態において、前記ロールスクリーン装置は建具に取り付けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロールスクリーン装置においては、巻取軸を回動させるための操作コードは、その両端が相互に連結されることなく第1端及び第2端を有する有端状に形成され、その第1端側が引っ張り操作に供するために巻取ボックス内から外部へと導出されている。そのため、操作コードの第1端側を容易に操作することができ、かつ、意匠性にも優れたロールスクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るロールスクリーン装置の一部を破断して示す要部縦断正面図である。
図2】上記ロールスクリーン装置の水平断面図である。
図3】上記ロールスクリーン装置の側断面図である。
図4】上記ロールスクリーン装置の回転伝達機構を分解して示す斜視図である。
図5図4に示す回転伝達機構を組み立てた斜視図である。
図6図1に示すロールスクリーン装置の回転伝達機構を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係るロールスクリーン装置の実施形態について説明する。本実施形態のロールスクリーン装置1は、スクリーン2を巻取軸3から繰出し・巻取ることによって上下方向に開閉する縦開き式のロールスクリーン装置であり、水平方向(図1における左右方向)に延びる軸線L1周りに回転可能に支持され、左端を第1側端とし、右端を第2側端とした巻取軸3と、このロールスクリーン装置1の上枠を構成し、水平方向に延びて巻取軸3を収容する巻取ボックス4と、巻取ボックス4の左右端に接続されていて、軸線L1に対して直交方向、すなわち下方に延びる枠体5,6と、巻取軸3を回動させるための回転伝達機構7とが設けられている。そして、このロールスクリーン装置1は、建物開口部に取り付けられている窓枠51に支持されており、このロールスクリーン装置1と窓枠51とによって建具50が構成されている。
【0013】
スクリーン2は、その左右端部をそれぞれの枠体5,6にガイドさせることにより開閉を行うものであり、スクリーン2の左右端部の側縁には、衣服等に使用するファスナーの半体等で構成される多数の係合部材9が取り付けられている。これらの係合部材9は、後述する枠体5,6のスリット11,12に摺動自在に係合されており、それによりスクリーン2が枠体5,6に沿って上下方向に移動可能に形成されている。また、スクリーン2の一端部が巻取軸3に取り付けられており、スクリーン2の他端部には重錘としての機能を有する可動桟8が取り付けられている。
【0014】
巻取軸3は巻取ボックス4に対して回転可能に支持される軸であり、その第1側端にフランジを有すると共に、その第2側端に巻取ボックス4に支持するための支持軸を有している。巻取軸3は、筒状の巻取軸本体3aと、巻取軸本体3aの第1側端に取り付けられている巻取キャップ3bと、巻取軸本体3aの第2側端から軸線L1に沿って延びていて、巻取ボックス4の右端に回転可能に支持される支持軸3cとを有している。巻取キャップ3bは巻取軸本体3aの第1側端側に内嵌されていて、その第1側端にフランジが設けられている。そして、この巻取キャップ3bのフランジには、角柱状に形成された嵌合穴3dが軸線L1上に形成されている。また、支持軸3cは、巻取軸本体3aの第2側端側に対して内嵌されていて、その先端が巻取ボックス4に回転可能に支持されている。
【0015】
巻取ボックス4は略四角柱状に形成されており、略矩形の断面形状を有し水平方向に延びた中空の巻取ボックス本体13と、巻取ボックス本体13における両端にそれぞれ設けられ、巻取ボックス本体13に対してネジ止めされた一対のエンドキャップ14,15とを備えている。巻取ボックス本体13の下面にはスクリーン導出口10が形成されており、巻取ボックス4に収容されている巻取軸3が軸線L1を中心に回転すると、巻取軸3に巻回されているスクリーン2がスクリーン導出口10から繰り出されたり巻取軸3に巻き取られるように構成されている。
【0016】
エンドキャップ14,15は、いずれも巻取ボックス本体13両端の開口とほぼ同形同大に形成されており、巻取軸3の第1側端及び第2側端をそれぞれ回転可能に支持している。エンドキャップ14は、巻取ボックス本体13における巻取軸3の第1側端側が配された端に取り付けられており、巻取キャップ3bに接続されている回転伝達機構7を回転可能に収容し、操作コード16の第1端16a側を巻取ボックス4内から外部に導出することができるように形成されている。一方で、エンドキャップ15は巻取ボックス本体13における巻取軸3の第2側端側が配された端に取り付けられていて、支持軸3cを回転可能に支持するように構成されている。そして、このエンドキャップ15の他の構造は周知のものであるため、その構造についてのこれ以上の説明は省略する。
【0017】
エンドキャップ14は、略板状に形成されたキャップ本体21と、このキャップ本体21の内面壁に設けられ、回転伝達機構7を収容する収容部22と、このキャップ本体21の正面側に開設され、操作コード16の第1端16a側をエンドキャップ14から導出するコード導出路23と、操作コード16の第2端16bを第1枠体5にガイドするためのガイド部材27とを備えている。収容部22は、軸線L1と平行で、かつこの軸線L1よりも正面側に位置する軸線L2とキャップ本体21との交わる点を中心として、キャップ本体21の内周壁に環状に立設された外周壁24と、この外周壁24と同じ中心を有し外周壁24の内周側に環状に立設された内周壁25と、底壁を構成するキャップ本体21の一部とによって形成されている。
【0018】
この外周壁24は背面側であってこの外周壁24の中心よりも下方の位置と、正面側であってこの外周壁24の中心とほぼ同じ高さの位置に開口を有しており、背面側の開口部分に上記ガイド部材27が設けられている。また、内周壁25は背面側であってこの内周壁25の中心よりも上方の位置に開口を有しており、この開口部分に円柱状からなる支持部材26が設けられている。そして、この外周壁24と内周壁25との間の距離は、後述するプーリー34の外周面34aと内周面34bとの間の距離よりもわずかに大きくなるように形成されていて、かつ、この外周壁24と内周壁25の高さがプーリー34の厚みとほぼ同一となるように形成されているため、収容部22にプーリー34を収容することができる。一方で、上記支持部材26は平歯車38を支持するための部材であり、この支持部材26に平歯車38を支持させることで、内周壁25の開口部分に平歯車38を収容することができる。
【0019】
コード導出路23は操作コード16の第1端16a側を巻取ボックス4から外部に導出するための通路であり、その基端がプーリー34の正面側の外周面34a、好ましくはこの外周面34aの正面側端に位置するように配置されている。また、このコード導出路23の通路の幅は、後述するボール部材17の直径よりも少し大きくなるように形成されていて、この通路の先端には下向きに形成された開口28が設けられている。この開口28の下側縁28aには、ボール部材17を係止するために略円形に切設された係止部としての係止穴28bが、コード導出路23の外部に向けて開かれている。この係止穴28bは、その幅がボール部材17の径よりも小さく、かつ、後述する連結細条18の径よりも大きく形成されているため、任意のボール部材17を係止穴28bに係止させることで、操作コード16を任意の引き出し位置で保持することができ、係止穴28bに係止されているボール部材17を取り外すことで、この操作コード16の保持を解除することができる。
【0020】
また、このエンドキャップ14には、キャップ本体21とほぼ同形同大に形成された蓋板29が、収容部22に収容されたプーリー34及び平歯車38を覆うようにネジ止めによって取り付けられている。この蓋板29の中央には、後述する平歯車38の角軸39を挿通させる挿通孔30が設けられ、蓋板29の背面側の下方には、スクリーン2をスクリーン導出口10にガイドするためのガイド溝31が設けられている。
【0021】
操作コード16は、多数のボール部材17をそれぞれ連結細条18により一定間隔で連結することにより構成されていて、その両端が相互に連結されることなく第1端16a及び第2端16bを有する有端状に形成された可撓性を有するコードである。操作コード16は、この操作コード16の第1端16aと第2端16bがロールスクリーン装置1の正面側と背面側に位置するように、プーリー34に巻き掛けられている。また、この操作コード16の第1端16aには、この操作コード16を手動で引っ張る際に把持するためのグリップ19が設けられている。一方で、操作コード16の第2端16bは、後述するように第1枠体5の第2室43に収容されている。
【0022】
回転伝達機構7は、操作コード16の第1端16a側を引っ張ることで回動する回転伝達体としてのプーリー34と、プーリー34の回転運動を1より大きい所定の回転比で巻取軸3に伝達することで、巻取軸3の回転数をプーリー34の回転数よりも多くする変速機構35とを有している。プーリー34は環状に形成されていて、その外周面34aに操作コード16を巻き掛けるための環状の外周溝36が設けられると共に、その内周面34bに複数の歯からなる内歯車37が形成されている。また、この外周溝36には、操作コード16のボール部材17を係合させるための複数の係合片36aが等間隔で設けられている。そして、このプーリー34は、軸線L2上に配されて、収容部22に収容されている。
【0023】
本実施形態の変速機構35は、プーリー34の内周面に形成された内歯車37と、このプーリー34の内周側に配置され、この内歯車37と噛み合う平歯車38とによって構成されている。この平歯車38の内側の面38a(巻取キャップ3bと対向する面)には直方体状の角軸39が立設されており、この角軸39が巻取キャップ3bの嵌合穴3dに嵌合されている。そして、この嵌合によって、平歯車38と巻取軸3とが接続され、この接続によって平歯車38と巻取軸3とが一体に回転可能となる。また、この平歯車38の外側の面38b(キャップ本体21と対向する面)の中心には支持部材26を係合する係合穴40が設けられており、この係合穴40に支持部材26を係合させることで、支持部材26、平歯車38の角軸39、及び巻取軸3が、同一の軸線L1上に配置される。
また、プーリー34の内歯車37の歯数は34であり、平歯車38の歯数は14であるため、プーリー34に対する平歯車38の回転比(ギア比)は約2.4となる。したがって、プーリー34が1回転することで、平歯車38と巻取軸3は、プーリー34の回転方向と同一方向に約2.4回転する。
【0024】
次に、枠体5,6について説明する。枠体5,6は、巻取ボックス4における巻取軸3の第1側端が配された端部(図1における左端部)に接続される第1枠体5と、この巻取ボックス4における巻取軸3の第2側端が配された端部(図1における左端部)に接続される第1枠体6とからなり、第1枠体5は巻取ボックス4の背面側の左側端から下方に延び、第2枠体6は巻取ボックス4の背面側の右側端から下方に延びている。第1枠体5及び第2枠体6は、それぞれが巻取ボックス4側の端である上端に開口5a,6aを有する中空の枠であって、その横断面形状が長方形状をなしている。また、この第1枠体5と第2枠体6の内部には、第1枠体5と第2枠体6の長さ方向(図1中の上下方向)に延びる隔壁41,41がそれぞれ設けられており、この隔壁41によって、第1枠体5と第2枠体6の内部は、スクリーン2と対向し第1枠体5と第2枠体6の上下方向に延びる第1室42と、この第1室42の外側に設けられ、第1枠体5と第2枠体6の上下方向に延びる第2室43とに区画されている。
【0025】
第1枠体5及び第2枠体6の互いに対向する側壁5b,6bには、上下方向に延び、スクリーン2の係合部材9を抜脱しないよう摺動自在に係合するスリット11,12が開設されている。このスリット11,12は第1枠体5及び第2枠体6の第1室42へと連通しており、それにより係合部材9の頭部が第1室42に摺動自在に収容されている。また、第1枠体5の第2室43は、操作コード16の第2端16bが開口5aを通じて第2室43内に、その長さ方向(図1中の上下方向)に対して移動自在に収容することができるように構成されている。すなわち、第1枠体5は、プーリー34の背面側の外周面34aが第2室43の上方延長線上に位置するように,好ましくはこの外周面34aの背面側端が第2室43の上方延長線上に位置するように配置されている。そして、このように構成されていることで、操作コード16の第2端16bは、ガイド部材27とによってガイドされて第2室43に収容される。このとき、ガイド部材27と外周壁24の背面側端24aとによって形成されるコード導入路44の幅は、ボール部材17の直径よりもわずかに大きくなるように形成されている。
【0026】
次に、本実施形態のロールスクリーン装置1におけるスクリーンの開閉について説明する。本実施形態のロールスクリーン装置1は、操作コード16の操作によってスクリーン2が巻取軸3に巻き取られ、それによりスクリーン2が開くと共に、可動桟8の自重によってスクリーン2が巻取軸3から繰り出され、それによりスクリーン2が閉じる装置である。スクリーン2を開く動作は、操作コード16の第1端16a側を操作することでプーリー34が回転し、このプーリー34の回転力が平歯車38を介して巻取軸3に伝達されて、スクリーン2が巻取軸3に巻き取られることで行われる。このとき、巻取軸3、平歯車38、プーリー34は、いずれも同一方向に回転し、プーリー34の1回転に対して巻取軸3が約2.4回転する。そして、この巻取軸3の回転により、スクリーン2が巻きとられてスクリーン2が開いた状態となり、この状態で操作コード16のボール部材17を係止穴28bに嵌合させることで、ボール部材17が係止穴28bに係止され、スクリーン2の開いた状態が保持される。
【0027】
一方で、スクリーン2を閉じる動作は、可動桟8の自重によってスクリーン2が繰り出されることでなされる。スクリーン2が開いている状態で、係止穴28bとボール部材17との嵌合を解除すると、可動桟8の自重による下向きの力によって、巻取軸3が操作コード16の操作時とは反対方向に回転する。そして、この回転によってスクリーン2が巻取軸3から繰り出され、スクリーン2が閉じた状態となる。
【0028】
このように、本実施形態のロールスクリーン装置1によれば、有端状の操作コード16の第1端16a側を引っ張ることでプーリー34を回転させ、変速機構35によって巻取軸3の回転数をプーリー34の回転数よりも多くすることで、無端状の操作コードを用いル際の操作コード16の回転方向の選択が不要になると共に、操作コード16の長尺化を防止することができる。しかも、操作コード16の第2端16bはスクリーン枠5の第2室43に収容されているため、操作コード16を操作する際に、その第1端16a側と第2端16b側の選択をする必要がなく、確実に操作することができる。
【0029】
以上において本発明に係るロールスクリーン装置について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。例えば、本実施形態では、回転伝達体としてプーリー34を用いているが、プーリー34の代わりにスプロケットを用いてもよい。また、本実施形態では、変速機構35としてプーリー34の内周側に形成された歯部37に噛み合う平歯車38を用いているが、これに限られない。例えば、プーリー34の歯部37の代わりにプーリーと共に一体回転する平歯車を設け、この平歯車に噛み合い、巻取軸と一体回転する平歯車や内歯車等の歯車を用いても良い。この場合には、プーリーと共に一体回転する平歯車と、巻取軸と一体回転する歯車とが変速機構に該当する。
【0030】
また、本実施形態では、上下方向にスクリーンを開閉する縦開き式のロールスクリーン装置について説明しているが、本発明は左右方向にスクリーンを開閉する横引き式のロールスクリーン装置にも適用することができる。この場合には、巻取軸が上下方向に延びた軸線周りに回転可能に支持されると共に、巻取ボックスの両端に設けられている第1枠体及び第2枠体が左右方向に延びており、操作コードの第1端側を操作することでスクリーンが開き、可動桟を把持してスクリーンを繰り出す方向に操作することでスクリーンが閉じるように構成されている。
【符号の説明】
【0031】
1 ロールスクリーン装置
2 スクリーン
3 巻取軸
4 巻取ボックス
5 枠体(第1枠体)
5a (第1枠体の)開口
6 枠体(第2枠体)
6a (第2枠体の)開口
7 回転伝達機構
8 可動桟
9 係合部材
11,12 スリット
16 操作コード
16a 第1端
16b 第2端
23 コード導出路
34 回転伝達体(プーリー)
35 変速機構
38 平歯車
42 第1室
43 第2室
L1 (巻取軸の)軸線
L2 (プーリーの)軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6