IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田合成株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ホルダ装置 図1
  • 特開-ホルダ装置 図2
  • 特開-ホルダ装置 図3
  • 特開-ホルダ装置 図4
  • 特開-ホルダ装置 図5
  • 特開-ホルダ装置 図6
  • 特開-ホルダ装置 図7
  • 特開-ホルダ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092426
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ホルダ装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20220615BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205241
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 将訓
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB01
3D022CA16
3D022CB01
3D022CD02
(57)【要約】
【課題】トレイ部材の昇降動作を簡易な構造で実現すること。
【解決手段】ホルダ装置は、対象物が載置される昇降可能なトレイ部材と、回動軸を中心にしてトレイ部材に対して相対的に回動可能な第一ガイド部材と、トレイ部材を昇降可能に案内する第二ガイド部材と、トレイ部材と第一ガイド部材との相対的な回動動作をトレイ部材の昇降動作へ変換する変換機構と、を備える。変換機構は、トレイ部材に設けられ、回動軸を中心にした径方向へ突出するガイド突起部と、第一ガイド部材の側壁に回動軸を中心にして螺旋状に延びるように設けられ、ガイド突起部が係合する第一ガイド溝部と、第二ガイド部材の側壁に上下方向に延びるように設けられ、ガイド突起部が係合する第二ガイド溝部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が載置される昇降可能なトレイ部材と、
回動軸を中心にして前記トレイ部材に対して相対的に回動可能な第一ガイド部材と、
前記トレイ部材を昇降可能に案内する第二ガイド部材と、
前記トレイ部材と前記第一ガイド部材との相対的な回動動作を前記トレイ部材の昇降動作へ変換する変換機構と、
を備え、
前記変換機構は、
前記トレイ部材に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向へ突出するガイド突起部と、
前記第一ガイド部材の側壁に前記回動軸を中心にして螺旋状に延びるように設けられ、前記ガイド突起部が係合する第一ガイド溝部と、
前記第二ガイド部材の側壁に上下方向に延びるように設けられ、前記ガイド突起部が係合する第二ガイド溝部と、
を有する、ホルダ装置。
【請求項2】
対象物が載置される昇降可能なトレイ部材と、
回動軸を中心にして前記トレイ部材に対して相対的に回動可能な第一ガイド部材と、
前記トレイ部材を昇降可能に案内する第二ガイド部材と、
前記トレイ部材と前記第一ガイド部材との相対的な回動動作を前記トレイ部材の昇降動作へ変換する変換機構と、
を備え、
前記変換機構は、
前記トレイ部材及び前記第一ガイド部材の一方に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向の他方側へ突出する第一ガイド突起部と、
前記トレイ部材及び前記第一ガイド部材の他方の側壁に前記回動軸を中心にして螺旋状に延びるように設けられ、前記第一ガイド突起部が係合する第一ガイド溝部と、
前記トレイ部材及び前記第二ガイド部材の一方に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向の他方側へ突出する第二ガイド突起部と、
前記トレイ部材及び前記第二ガイド部材の他方の側壁に上下方向に延びるように設けられ、前記第二ガイド突起部が係合する第二ガイド溝部と、
を有する、ホルダ装置。
【請求項3】
前記第一ガイド部材は、前記トレイ部材の外周側かつ前記第二ガイド部材の内周側に配置され、
前記第一ガイド溝部は、前記第一ガイド部材に設けられている、請求項2に記載されたホルダ装置。
【請求項4】
前記第一ガイド突起部と前記第二ガイド突起部とは、前記トレイ部材に兼用して設けられている、請求項3に記載されたホルダ装置。
【請求項5】
前記第一ガイド部材は、前記トレイ部材の内周側かつ前記第二ガイド部材の内周側に配置され、
前記第二ガイド部材は、前記トレイ部材の外周側に配置されている、請求項2に記載されたホルダ装置。
【請求項6】
前記第一ガイド突起部は、前記トレイ部材の側壁の内面に設けられ、
前記第二ガイド突起部は、前記トレイ部材の側壁の外面に設けられている、請求項5に記載されたホルダ装置。
【請求項7】
前記第一ガイド突起部と前記第一ガイド溝部とは、複数組が前記回動軸を中心にして等角度間隔で配置されるように設けられている、請求項2乃至6の何れか一項に記載されたホルダ装置。
【請求項8】
前記第二ガイド突起部と前記第二ガイド溝部とは、複数組が前記回動軸を中心にして等角度間隔で配置されるように設けられている、請求項2乃至7の何れか一項に記載されたホルダ装置。
【請求項9】
前記第一ガイド溝部は、
前記回動軸に対して傾斜して延びる傾斜溝部と、
少なくとも前記第一ガイド突起部の幅分だけ水平方向に延びる水平溝部と、
を有する、請求項2乃至8の何れか一項に記載されたホルダ装置。
【請求項10】
前記水平溝部は、前記第一ガイド溝部における前記回動軸の軸方向の上端部に設けられる第一水平溝部を有する、請求項9に記載されたホルダ装置。
【請求項11】
前記水平溝部は、前記第一ガイド溝部における前記回動軸の軸方向の中途部に設けられる第二水平溝部を有する、請求項9又は10に記載されたホルダ装置。
【請求項12】
前記第一ガイド部材は、昇降不能かつ操作者による操作部材への回動操作に応じて回動可能に設けられ、
前記第二ガイド部材は、昇降不能かつ回動不能に固定部に取り付けられ、
前記トレイ部材は、回動不能に設けられている、請求項1乃至11の何れか一項に記載されたホルダ装置。
【請求項13】
前記第一ガイド部材は、昇降不能かつ回動不能に固定部に取り付けられ、
前記第二ガイド部材は、昇降不能かつ操作者による操作部材への回動操作に応じて回動可能に設けられ、
前記トレイ部材は、前記第二ガイド部材の回動に応じて回動可能に設けられている、請求項1乃至11の何れか一項に記載されたホルダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカップや缶,ペットボトルなどの対象物を載置することが可能なホルダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイ部材が昇降可能なホルダ装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載されたホルダ装置は、昇降可能なトレイ部材と、トレイ部材を昇降させる昇降機構と、を備えている。昇降機構は、トレイ部材を上方へ付勢する付勢力を発生する付勢部材を有している。
【0003】
上記のホルダ装置において、トレイ部材は、上端位置にある状態で操作者の手動で下方へ押圧操作されると、付勢部材の付勢力に抗して下降される。そして、トレイ部材は、所定の下端位置まで下降されると、ロック機構によりその下端位置にロックされ、操作者の押圧操作が解除された後もその下端位置に保持される。更に、トレイ部材は、下端位置に保持された状態で操作者により所定ボタンが押下されると、ロック機構によるロックが解除されることにより付勢部材の付勢力により上昇されて上端位置に達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-60316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トレイ部材を昇降可能とするために、ホルダ装置に、上記の如く、付勢部材を有する昇降機構と、トレイ部材を所定位置にロックするロック機構と、が設けられるものとすると、部品点数が多くなり、構造が複雑化する。このため、組み付け工数が増加し、製造コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、トレイ部材の昇降動作を簡易な構造で実現することが可能なホルダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、対象物が載置される昇降可能なトレイ部材と、回動軸を中心にして前記トレイ部材に対して相対的に回動可能な第一ガイド部材と、前記トレイ部材を昇降可能に案内する第二ガイド部材と、前記トレイ部材と前記第一ガイド部材との相対的な回動動作を前記トレイ部材の昇降動作へ変換する変換機構と、を備え、前記変換機構は、前記トレイ部材に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向へ突出するガイド突起部と、前記第一ガイド部材の側壁に前記回動軸を中心にして螺旋状に延びるように設けられ、前記ガイド突起部が係合する第一ガイド溝部と、前記第二ガイド部材の側壁に上下方向に延びるように設けられ、前記ガイド突起部が係合する第二ガイド溝部と、を有する、ホルダ装置である。
【0008】
また、本発明の一態様は、対象物が載置される昇降可能なトレイ部材と、回動軸を中心にして前記トレイ部材に対して相対的に回動可能な第一ガイド部材と、前記トレイ部材を昇降可能に案内する第二ガイド部材と、前記トレイ部材と前記第一ガイド部材との相対的な回動動作を前記トレイ部材の昇降動作へ変換する変換機構と、を備え、前記変換機構は、前記トレイ部材及び前記第一ガイド部材の一方に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向の他方側へ突出する第一ガイド突起部と、前記トレイ部材及び前記第一ガイド部材の他方の側壁に前記回動軸を中心にして螺旋状に延びるように設けられ、前記第一ガイド突起部が係合する第一ガイド溝部と、前記トレイ部材及び前記第二ガイド部材の一方に設けられ、前記回動軸を中心にした径方向の他方側へ突出する第二ガイド突起部と、前記トレイ部材及び前記第二ガイド部材の他方の側壁に上下方向に延びるように設けられ、前記第二ガイド突起部が係合する第二ガイド溝部と、を有する、ホルダ装置である。
【0009】
これらの構成によれば、変換機構によりトレイ部材と第一ガイド部材との相対的な回動動作がトレイ部材の昇降動作へ変換される。かかる構成においては、トレイ部材を昇降させるうえで、操作者によりトレイ部材と第一ガイド部材とを相対的に回動させる力を用いて変換機構を作動させることとすれば十分であるので、トレイ部材の昇降動作を簡易な構造で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係るホルダ装置の斜視図である。
図2】第一実施形態のホルダ装置におけるトレイ部材が上端位置にあるときの正面図である。
図3】第一実施形態のホルダ装置の分解斜視図である。
図4】第一実施形態のホルダ装置を図2に示す直線IV-IVで切断した際の断面図である。
図5】第一実施形態のホルダ装置におけるトレイ部材が上端位置と下端位置との間の中間位置にあるときの正面図である。
図6】第二実施形態に係るホルダ装置の分解斜視図である。
図7】第二実施形態のホルダ装置におけるトレイ部材が上端位置にあるときの正面図である。
図8】第二実施形態のホルダ装置におけるトレイ部材が下端位置にあるときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るホルダ装置の具体的な実施形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
[第一実施形態]
第一実施形態のホルダ装置1は、カップや缶,ペットボトルなどの対象物を載置可能な保持装置である。ホルダ装置1は、例えば、車両に搭載されており、車室内のセンタコンソールなどに設置されている。
【0013】
ホルダ装置1は、図1図2、及び図3に示す如く、トレイ部材10と、第一ガイド部材20と、第二ガイド部材30と、変換機構40と、ベゼル部材50と、パネル部材60と、を備えている。
【0014】
トレイ部材10は、上記の対象物が載置される部材である。トレイ部材10は、後に詳述する変換機構40により上端位置と下端位置との間で昇降可能である。トレイ部材10は、円筒状に形成されている。トレイ部材10は、図3に示す如く、上壁11と、側壁12と、を有している。
【0015】
上壁11は、対象物が載置される載置面SL(図2及び図5参照)を形成している。上壁11は、円形状に形成されている。上壁11には、載置される対象物を支持する支持部13が設けられている。支持部13は、上壁11から上方へ突出している。支持部13は、対象物の底面全体が上壁11に接しないように設けられている。支持部13は、例えば、上壁11の中心から径方向に並んで複数箇所(図3においては二箇所)設けられていると共に、上壁11の周方向に等間隔(図3においては120°間隔)で設けられている。側壁12は、上壁11の外周縁から下方へ延びている。
【0016】
第一ガイド部材20は、トレイ部材10及び第二ガイド部材30に対して回動可能なガイド部材である。第一ガイド部材20は、円筒状に形成されている。第一ガイド部材20は、トレイ部材10の外周側に配置されている。第一ガイド部材20は、トレイ部材10を内包しながらトレイ部材10の外面に沿うように回動する。
【0017】
第二ガイド部材30は、トレイ部材10を昇降可能に案内する部材である。第二ガイド部材30は、円筒状に形成されている。第二ガイド部材30は、トレイ部材10の外周側に配置されていると共に、第一ガイド部材20の外周側に配置されている。すなわち、第一ガイド部材20は、第二ガイド部材30とトレイ部材10との間の隙間に挿入されて配置されている。トレイ部材10は、第二ガイド部材30に対して上下方向に昇降可能かつ回動不能に設けられている。
【0018】
第二ガイド部材30の側壁の外面には、取付部31が設けられている。取付部31は、第二ガイド部材30ひいてはホルダ装置1全体を車両側の固定部(図示せず)に取り付け固定するための部位である。取付部31は、第二ガイド部材30の側壁の外面に複数箇所(例えば三箇所)設けられている。第二ガイド部材30は、車両側に昇降不能かつ回動不能に固定されている。
【0019】
変換機構40は、第一ガイド部材20の回動動作をトレイ部材10の昇降動作へ変換する機構である。変換機構40は、図3に示す如く、ガイド突起部41と、第一ガイド溝部42と、第二ガイド溝部43と、を有している。
【0020】
ガイド突起部41は、トレイ部材10に設けられている。ガイド突起部41は、トレイ部材10の側壁12の外面から径方向外方(すなわち、径方向の第一ガイド部材20側及び第二ガイド部材30側)へ突出する部位である。ガイド突起部41は、断面略円柱状又は円筒状に形成されている。ガイド突起部41は、トレイ部材10の側壁12の外面に等角度間隔で配置されるように複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。尚、ガイド突起部41は、図4に示す如く、トレイ部材10の本体部とは別体で構成されて楔状に形成され、上壁11の裏面にスクリュ締めされてその本体部の側壁12から径方向へ突出するものとしてもよい。また、ガイド突起部41は、トレイ部材10の本体部と一体で形成されていてもよい。
【0021】
第一ガイド溝部42は、第一ガイド部材20に設けられている。第一ガイド溝部42は、上記のガイド突起部41が係合する溝部である。第一ガイド溝部42は、第一ガイド部材20の側壁に設けられた径方向に貫通する貫通孔である。第一ガイド溝部42は、第一ガイド部材20の回動軸C(図4参照)を中心にして螺旋状に延びている。第一ガイド溝部42は、ガイド突起部41に対応して、第一ガイド部材20の側壁に等角度間隔で配置されるようにガイド突起部41の数と同じ複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。第一ガイド溝部42は、傾斜溝部42aと、第一水平溝部42bと、第二水平溝部42cと、を有している。
【0022】
傾斜溝部42aは、第一ガイド溝部42の主要部である。傾斜溝部42aは、第一ガイド部材20の側壁に回動軸Cに対して傾斜して延びるように形成されている。傾斜溝部42aは、図2図3、及び図5に示す如く、回動軸Cに対して右螺旋方向に延びている。尚、傾斜溝部42aは、回動軸Cに対して左螺旋方向に延びていてもよい。傾斜溝部42aの上下方向長さは、トレイ部材10が昇降する上端位置と下端位置との距離に合わせて設定されている。また、傾斜溝部42aの周方向長さは、トレイ部材10を上端位置と下端位置との距離だけ昇降させるうえで第一ガイド部材20を回動させるのに必要な角度分に設定されている。
【0023】
第一水平溝部42bは、第一ガイド部材20の側壁に水平方向に延びるように形成されている。第一水平溝部42bは、傾斜溝部42aの上端に連通している。第一水平溝部42bは、第一ガイド溝部42における回動軸Cの軸方向の上端部に設けられている。第一水平溝部42bは、少なくともトレイ部材10のガイド突起部41の幅分だけ水平方向に延びており、その上下方向の大きさがガイド突起部41の直径に略一致するように形成されている。第一水平溝部42bは、トレイ部材10の自重により或いはトレイ部材10上に対象物が載置されてもそのトレイ部材10を上端位置に保持するための部位である。
【0024】
第二水平溝部42cは、第一ガイド部材20の側壁に水平方向に延びるように形成されている。第二水平溝部42cは、傾斜溝部42aの中途に介在して連通している。第二水平溝部42cは、第一ガイド溝部42における回動軸Cの軸方向の中途部に設けられている。第二水平溝部42cは、少なくともガイド突起部41の幅分だけ水平方向に延びており、その上下方向の大きさがガイド突起部41の直径に略一致するように形成されている。第二水平溝部42cは、トレイ部材10の自重により或いはトレイ部材10上に対象物が載置されてもそのトレイ部材10を上端位置と下端位置との間の中間位置に保持するための部位である。
【0025】
尚、第一ガイド溝部42は、更に、第一ガイド部材20の側壁に水平方向に延びるように形成され、傾斜溝部42aの下端に連通する水平溝部を有するものとしてもよい。この水平溝部は、第一ガイド溝部42における回動軸Cの軸方向の下端部に設けられてよい。この水平溝部は、少なくともガイド突起部41の幅分だけ水平方向に延びており、その上下方向の大きさがガイド突起部41の直径に略一致するように形成され、そして、トレイ部材10の自重により或いはトレイ部材10上に対象物が載置されてもそのトレイ部材10を下端位置に保持するための部位である。
【0026】
第二ガイド溝部43は、第二ガイド部材30の側壁に設けられている。第二ガイド溝部43は、上記のガイド突起部41が係合する溝部である。ガイド突起部41は、第一ガイド溝部42に係合すると共に、第二ガイド溝部43に係合する。すなわち、ガイド突起部41は、トレイ部材10の外面から第一ガイド溝部42と第二ガイド溝部43との双方に係合可能に突出する突出量を有している。ガイド突起部41は、突起根元側で第一ガイド溝部42に係合しかつ突起先端側で第二ガイド溝部43に係合する。
【0027】
第二ガイド溝部43は、第二ガイド部材30の側壁に設けられた径方向に貫通する貫通孔又はその側壁の内面に凹状に設けられた溝部である。第二ガイド溝部43は、上下方向に延びている。第二ガイド溝部43は、ガイド突起部41に対応して、第二ガイド部材30の側壁に等角度間隔で配置されるようにガイド突起部41の数と同じ複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。
【0028】
ベゼル部材50は、操作者により第一ガイド部材20の回動軸Cを中心にして回動操作されることが可能な操作部材である。ベゼル部材50は、第一ガイド部材20に合わせて円環状に形成されている。ベゼル部材50は、第一ガイド部材20の上端縁に取り付け固定されて第一ガイド部材20に一体的に設けられた枠体である。ベゼル部材50は、操作者による回動操作に連動して第一ガイド部材20を回動軸Cを中心にして回動させるために設けられている。
【0029】
パネル部材60は、車内パネルに設置される板状の部材である。パネル部材60は、貫通孔61を有している。貫通孔61は、上下方向に貫通している。貫通孔61は、第一ガイド部材20の上端部の外径に比して大きくかつベゼル部材50の外径に比して小さな径を有している。第一ガイド部材20の上端部は、貫通孔61を貫通してパネル部材60の上方へ突出している。上記のベゼル部材50は、パネル部材60の上方へ突出した第一ガイド部材20の上端部の上端縁に取り付け固定される。ベゼル部材50は、パネル部材60の貫通孔61の周縁部に沿って回動することが可能である。第一ガイド部材20は、ベゼル部材50と一体でトレイ部材10及び第二ガイド部材30に対して回動可能にかつ昇降不能に設けられている。
【0030】
次に、ホルダ装置1の動作について説明する。
ホルダ装置1は、第一ガイド部材20が第二ガイド部材30に内包されかつトレイ部材10を内包するように組み立てられる。この組み立て後、トレイ部材10のガイド突起部41は、第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42を貫通して係合すると共に、第二ガイド部材30の第二ガイド溝部43に嵌って係合する。また、この組み立て後、トレイ部材10、第一ガイド部材20、及び第二ガイド部材30は、パネル部材60の下方に配置され、ベゼル部材50は、パネル部材60の上方に突出すると共に、トレイ部材10の上壁11の載置面SLは、パネル部材60の貫通孔61を通して上方に露出する。
【0031】
ホルダ装置1において、ベゼル部材50が回動軸Cに対する右回動端に位置するときは、図2に示す如く、トレイ部材10のガイド突起部41が第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の上端(具体的には、第一水平溝部42b)及び第二ガイド部材30の第二ガイド溝部43の上端に位置する。この場合、トレイ部材10は、載置面SLがパネル部材60の貫通孔61を塞ぐように上端位置に保持される。
【0032】
かかる状態で操作者がベゼル部材50を回動軸Cに対して左回動方向へ回動操作すると、そのベゼル部材50の左回動操作に連動して第一ガイド部材20が回動軸Cに対して左回動動作する。第一ガイド部材20が左回動動作すると、その左回動動作の過程で第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の縁部がトレイ部材10のガイド突起部41にそのガイド突起部41をその第一ガイド溝部42に沿って相対的に下方へ移動させる力を付与するので、トレイ部材10全体が第一ガイド部材20に対して相対的に下方へ移動する。また、トレイ部材10のガイド突起部41は、第二ガイド部材30の上下方向に延びた第二ガイド溝部43に沿って上下方向に移動できるだけであるので、第一ガイド部材20の左回動動作の過程では、トレイ部材10は、第二ガイド部材30に対して回動することなく下方へ移動する。
【0033】
尚、第一ガイド部材20の左回動動作の過程でトレイ部材10のガイド突起部41が第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の第二水平溝部42cに位置する際は、トレイ部材10は、第二ガイド部材30に対して下方へ移動しない。このときに操作者によるベゼル部材50の左回動操作が停止されることで第一ガイド部材20の左回動動作が停止されると、トレイ部材10の下方への移動が停止されることにより、トレイ部材10が上端位置と下端位置との間の中間位置に保持される。
【0034】
また、第一ガイド部材20の左回動動作の過程でトレイ部材10のガイド突起部41が第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の下端に達すると、ガイド突起部41が第二ガイド部材30の第二ガイド溝部43の下端に位置し、ベゼル部材50が回動軸Cに対する左回動端に達する。この位置では、トレイ部材10の下方への移動が停止されると共に、第一ガイド部材20に対するトレイ部材10の回動方向への移動が規制されてその第一ガイド部材20の左回動動作が停止される。この場合、トレイ部材10は、ベゼル部材50の回動操作が解除されても、載置面SLが最下点に位置するように下端位置に保持される。
【0035】
次に、操作者がベゼル部材50を回動軸Cに対して右回動方向へ回動操作すると、そのベゼル部材50の右回動操作に連動して第一ガイド部材20が回動軸Cに対して右回動動作する。第一ガイド部材20が右回動動作すると、その右回動動作の過程で第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の縁部がトレイ部材10のガイド突起部41にそのガイド突起部41をその第一ガイド溝部42に沿って相対的に上方へ移動させる力を付与するので、トレイ部材10全体が第一ガイド部材20に対して相対的に上方へ移動する。また、トレイ部材10のガイド突起部41は、第二ガイド部材30の上下方向に延びた第二ガイド溝部43に沿って上下方向に移動できるだけであるので、第一ガイド部材20の右回動動作の過程では、トレイ部材10は、第二ガイド部材30に対して回動することなく上方へ移動する。
【0036】
尚、第一ガイド部材20の右回動動作の過程でトレイ部材10のガイド突起部41が第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の第二水平溝部42cに位置する際は、トレイ部材10は、第二ガイド部材30に対して上方へ移動しない。このときに操作者によるベゼル部材50の右回動操作が停止されることで第一ガイド部材20の右回動動作が停止されると、トレイ部材10の上方への移動が停止されることにより、トレイ部材10が上端位置と下端位置との間の中間位置に保持される。
【0037】
また、第一ガイド部材20の右回動動作の過程でトレイ部材10のガイド突起部41が第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42の上端(具体的には、第一水平溝部42b)に達すると、ガイド突起部41が第二ガイド部材30の第二ガイド溝部43の上端に位置し、ベゼル部材50が回動軸Cに対する右回動端に達する。この位置では、トレイ部材10の上方への移動が停止されると共に、第一ガイド部材20に対するトレイ部材10の回動方向への移動が規制されてその第一ガイド部材20の右回動動作が停止される。この場合、トレイ部材10は、ベゼル部材50の回動操作が解除されても、載置面SLが最上点に位置するように上端位置に保持される。
【0038】
このように、ホルダ装置1においては、操作者によるベゼル部材50への回動操作により第一ガイド部材20をトレイ部材10及び第二ガイド部材30に対して回動させると共に、その第一ガイド部材20の回動動作を変換機構40によりトレイ部材10の昇降動作へ変換してトレイ部材10を昇降させることができる。かかる構成においては、トレイ部材10を上端位置と下端位置との間で昇降させるうえで、操作者がベゼル部材50を回動操作させる力ひいてはトレイ部材10と第一ガイド部材20とを相対回動させる力を用いて変換機構40を作動させることとすれば十分である。この場合は、ホルダ装置1として、トレイ部材10を上方へ付勢する付勢力を発生する付勢部材や、その付勢部材の付勢力に抗してトレイ部材10を下端位置にロックしかつ所定ボタンの押下によりそのロックを解除するロック機構などを設けることは不要である。
【0039】
従って、トレイ部材10を昇降させることが可能なホルダ装置1としての部品点数を削除して構造の簡素化を図ることができ、トレイ部材10の昇降動作を簡易な構造で実現することができる。このため、ホルダ装置1を組み付けるうえでの組み付け工数を少なく抑えることができ、ホルダ装置1を製造するうえでの製造コストを低く抑えることができる。
【0040】
また、変換機構40の第一ガイド溝部42は、第一ガイド部材20の側壁に螺旋状に延びて形成されており、その第一ガイド溝部42の主要部をなす傾斜溝部42aを有すると共に、その傾斜溝部42aの中途に介在して連通する第二水平溝部42cを有する。この第二水平溝部42cにトレイ部材10のガイド突起部41が位置した際にベゼル部材50の回動操作が停止されると、トレイ部材10が上端位置と下端位置との間の中間位置に保持される。
【0041】
かかる状態では、ベゼル部材50が回動操作されない限り、トレイ部材10が載置面SLに対象物を載置した状態でもその中間位置に保持される。このため、トレイ部材10の上端位置では大部分がパネル部材60の貫通孔61から上方へ突出する一方で、トレイ部材10の下端位置ではパネル部材60の貫通孔61から上方へ突出する突出量を確保できない対象物(すなわち、高さが低い対象物)が載置されるときにも、パネル部材60から上方へ突出する突出量を十分に確保することが可能となるので、トレイ部材10に載置できる対象物の範囲を拡大することができ、対象物を載置するうえでの利便性を向上させることができる。
【0042】
また、第一ガイド部材20は、トレイ部材10の外周側に配置されており、トレイ部材10と第二ガイド部材30との間の隙間で回動可能である。そして、螺旋状の第一ガイド溝部42は、その第一ガイド部材20に設けられていると共に、ガイド突起部41は、トレイ部材10に設けられてその第一ガイド溝部42に係合している。更に、そのガイド突起部41は、その第一ガイド溝部42を貫通しつつ、第二ガイド部材30に設けられた上下方向に延びる第二ガイド溝部43に係合している。
【0043】
すなわち、トレイ部材10のガイド突起部41は、第一ガイド溝部42に係合するガイド突起部と第二ガイド溝部43に係合するガイド突起部とを兼用している。具体的には、ガイド突起部41は、突起根元側で第一ガイド溝部42に係合しかつ突起先端側で第二ガイド溝部43に係合する。このため、第一ガイド溝部42に係合するガイド突起部と第二ガイド溝部43に係合するガイド突起部とがトレイ部材10に別々に設けられる構成と比較して、トレイ部材10の構造の簡素化を図ることができる。
【0044】
更に、ガイド突起部41は、トレイ部材10の側壁12の外面に等角度間隔で配置されるように複数箇所設けられると共に、第一ガイド溝部42は、第一ガイド部材20の側壁に等角度間隔で配置されるようにガイド突起部41の数と同じ複数箇所設けられる。すなわち、ガイド突起部41と第一ガイド溝部42とは、複数組が回動軸Cを中心にして等角度間隔で配置されるように設けられている。
【0045】
このため、ホルダ装置1の構造によれば、ガイド突起部41と第一ガイド溝部42とが例えば一組のみ設けられる場合などの回動軸Cを中心にして偏って設けられる構造と比較して、トレイ部材10のガイド突起部41と第一ガイド部材20の第一ガイド溝部42との係合を周方向で均等化することができるので、第一ガイド部材20の回動動作からトレイ部材10の昇降動作への変換をスムースに行うことができる。
【0046】
また、第二ガイド溝部43は、第二ガイド部材30の側壁に等角度間隔でガイド突起部41の数と同じ複数箇所設けられる。すなわち、ガイド突起部41と第二ガイド溝部43とは、複数組が回動軸Cを中心にして等角度間隔で配置されるように設けられている。このため、ホルダ装置1の構造によれば、ガイド突起部41と第二ガイド溝部43とが例えば一組のみ設けられる場合などの回動軸Cを中心にして偏って設けられる構造と比較して、トレイ部材10のガイド突起部41と第二ガイド部材30の第二ガイド溝部43との係合を周方向で均等化することができるので、トレイ部材10の昇降動作をスムースに行うことができる。
【0047】
尚、上記の第一実施形態においては、ガイド突起部41が特許請求の範囲に記載した「第一ガイド突起部」及び「第二ガイド突起部」に相当している。
【0048】
ところで、上記の第一実施形態においては、第一ガイド溝部42のうち傾斜溝部42aの中途に介在する第二水平溝部42cを唯一つだけ設けるものとしている。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、傾斜溝部42aの中途に二箇所以上の第二水平溝部42cを設けるものとしてもよい。この変形形態によれば、トレイ部材10を上端位置と下端位置との間において多段階で保持させることが可能である。
【0049】
[第二実施形態]
第二実施形態のホルダ装置100は、後述の点を除いて、上記の第一実施形態のホルダ装置1と同様の構成を有している。尚、第二実施形態において、上記の第一実施形態のホルダ装置1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
【0050】
ホルダ装置100は、図6に示す如く、トレイ部材110と、第一ガイド部材120と、第二ガイド部材130と、変換機構140と、ベゼル部材150と、パネル部材60と、を備えている。
【0051】
トレイ部材110は、対象物が載置される部材である。トレイ部材110は、後に詳述する変換機構140により上端位置と下端位置との間で昇降可能である。トレイ部材110は、円筒状に形成されている。トレイ部材110は、図7及び図8に示す如く、底壁111と、側壁112と、を有している。底壁111は、対象物が載置される載置面SLを形成している。底壁111は、円形状に形成されている。側壁112は、底壁111の外周縁から上方へ延びている。
【0052】
第一ガイド部材120は、トレイ部材110及び第二ガイド部材130に対して回動可能なガイド部材である。第一ガイド部材120は、円筒状に形成されている。第一ガイド部材120は、トレイ部材110の内周側に配置されている。第一ガイド部材120は、トレイ部材110に内包されながらトレイ部材110の内面に沿うように回動する。
【0053】
第二ガイド部材130は、トレイ部材110を昇降可能に案内する部材である。第二ガイド部材130は、円筒状に形成されている。第二ガイド部材130は、トレイ部材110の外周側に配置されている。すなわち、トレイ部材110は、第二ガイド部材130に内包されながら第二ガイド部材130の内面に沿うように上下方向に昇降可能かつ回動不能に設けられている。第二ガイド部材130は、車両側に昇降不能かつ回動不能に固定されている。
【0054】
変換機構140は、第一ガイド部材120の回動動作をトレイ部材110の昇降動作へ変換する機構である。変換機構140は、図6に示す如く、第一ガイド突起部141と、第一ガイド溝部142と、第二ガイド溝部143と、第二ガイド突起部144と、を有している。
【0055】
第一ガイド突起部141は、トレイ部材110に設けられている。第一ガイド突起部141は、トレイ部材110の側壁112の内面から径方向内方へ突出する部位である。第一ガイド突起部141は、断面略円柱状又は円筒状に形成されている。第一ガイド突起部141は、トレイ部材110の側壁112の内面に等角度間隔で配置されるように複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。
【0056】
第一ガイド溝部142は、第一ガイド部材120に設けられている。第一ガイド溝部142は、上記の第一ガイド突起部141が係合する溝部である。第一ガイド溝部142は、第一ガイド部材120の側壁に設けられた径方向に貫通する貫通孔又はその側壁の外面に凹状に設けられた溝部である。第一ガイド溝部142は、第一ガイド部材120の回動軸Cを中心にして螺旋状に延びている。第一ガイド溝部142は、第一ガイド突起部141に対応して、第一ガイド部材120の側壁に等角度間隔で配置されるように第一ガイド突起部141の数と同じ複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。第一ガイド溝部142は、図6に示す如く、傾斜溝部142aと、水平溝部142bと、を有している。
【0057】
傾斜溝部142aは、第一ガイド溝部142の主要部である。傾斜溝部142aは、第一ガイド部材120の側壁に回動軸Cに対して傾斜して延びるように形成されている。傾斜溝部142aは、図6図7、及び図8に示す如く、回動軸Cに対して右螺旋方向に延びている。尚、傾斜溝部142aは、回動軸Cに対して左螺旋方向に延びていてもよい。傾斜溝部142aの上下方向長さは、トレイ部材110が昇降する上端位置と下端位置との距離に合わせて設定されている。また、傾斜溝部142aの周方向長さは、トレイ部材110を上端位置と下端位置との距離だけ昇降させるうえで第一ガイド部材120を回動させるのに必要な角度分に設定されている。
【0058】
水平溝部142bは、第一ガイド部材120の側壁に水平方向に延びるように形成されている。水平溝部142bは、傾斜溝部42aの上端に連通している。水平溝部142bは、第一ガイド溝部142における回動軸Cの軸方向の上端部に設けられている。水平溝部142bは、少なくともトレイ部材110のガイド突起部41の幅分だけ水平方向に延びており、その上下方向の大きさがガイド突起部41の直径に略一致するように形成されている。水平溝部142bは、トレイ部材110の自重により或いはトレイ部材110上に対象物が載置されてもそのトレイ部材110を上端位置に保持するための部位である。
【0059】
尚、第一ガイド溝部142は、第一実施形態の第一ガイド溝部42と同様に、第一ガイド溝部42における回動軸Cの軸方向の中途部に設けられる第二水平溝部を有するものとしてもよい。
【0060】
第二ガイド溝部143は、第二ガイド部材130の側壁に設けられている。第二ガイド溝部143は、下記の第二ガイド突起部144が係合する溝部である。第二ガイド溝部143は、第二ガイド部材130の側壁に設けられた径方向に貫通する貫通孔又はその側壁の内面に凹状に設けられた溝部である。第二ガイド溝部143は、上下方向に延びている。第二ガイド溝部143は、第二ガイド部材130の側壁に等角度間隔で配置されるように複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。
【0061】
第二ガイド突起部144は、トレイ部材110に設けられている。第二ガイド突起部144は、トレイ部材110の側壁112の外面から径方向外方へ突出する部位である。第二ガイド突起部144は、断面略楕円柱状又は楕円筒状に形成されている。第二ガイド突起部144は、第二ガイド溝部143に対応して、トレイ部材110の側壁112の外面に等角度間隔で配置されるように第二ガイド溝部143の数と同じ複数箇所(例えば、三箇所)設けられている。
【0062】
ベゼル部材150は、操作者により第一ガイド部材120の回動軸Cを中心にして回動操作されることが可能な操作部材である。ベゼル部材150は、第一ガイド部材120に合わせて円環状に形成されている。ベゼル部材150は、第一ガイド部材120の上端縁に取り付け固定されて第一ガイド部材120に一体的に設けられた枠体である。ベゼル部材150は、操作者による回動操作に連動して第一ガイド部材120を回動軸Cを中心にして回動させるために設けられている。
【0063】
パネル部材60は、車内パネルに設置される板状の部材である。第一ガイド部材120の上端部は、貫通孔61を貫通してパネル部材60の上方へ突出している。上記のベゼル部材150は、パネル部材60の上方へ突出した第一ガイド部材120の上端部の上端縁に取り付け固定される。ベゼル部材150は、パネル部材60の貫通孔61の周縁部に沿って回動することが可能である。第一ガイド部材120は、ベゼル部材150と一体でトレイ部材110及び第二ガイド部材130に対して回動可能にかつ昇降不能に設けられている。
【0064】
次に、ホルダ装置100の動作について説明する。
ホルダ装置100は、第一ガイド部材120が第二ガイド部材130に内包されかつトレイ部材110に内包されるように組み立てられる。この組み立て後、トレイ部材110の第一ガイド突起部141は、第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142に嵌って係合すると共に、トレイ部材110の第二ガイド突起部144は、第二ガイド部材130の第二ガイド溝部143に嵌って係合する。また、この組み立て後、トレイ部材110、第一ガイド部材120、及び第二ガイド部材130は、パネル部材60の下方に配置され、ベゼル部材150は、パネル部材60の上方に突出すると共に、トレイ部材110の底壁111の載置面SLは、パネル部材60の貫通孔61を通して上方に露出する。
【0065】
ホルダ装置100において、ベゼル部材150が回動軸Cに対する右回動端に位置するときは、図7に示す如く、トレイ部材110の第一ガイド突起部141が第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142の上端(具体的には、水平溝部142b)に位置すると共に、トレイ部材110の第二ガイド突起部144が第二ガイド部材130の第二ガイド溝部143の上端に位置する。この場合、トレイ部材110は、載置面SLがパネル部材60の貫通孔61に最接近した上端位置に保持される。
【0066】
かかる状態で操作者がベゼル部材150を回動軸Cに対して左回動方向へ回動操作すると、そのベゼル部材150の左回動操作に連動して第一ガイド部材120が回動軸Cに対して左回動動作する。第一ガイド部材120が左回動動作すると、その左回動動作の過程で第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142の縁部がトレイ部材110の第一ガイド突起部141にその第一ガイド突起部141をその第一ガイド溝部142に沿って相対的に下方へ移動させる力を付与するので、トレイ部材110全体が第一ガイド部材120に対して相対的に下方へ移動する。また、トレイ部材110の第二ガイド突起部144は、第二ガイド部材130の上下方向に延びた第二ガイド溝部143に沿って上下方向に移動できるだけであるので、第一ガイド部材120の左回動動作の過程では、トレイ部材110は、第二ガイド部材130に対して回動することなく下方へ移動する。
【0067】
そして、第一ガイド部材120の左回動動作の過程でトレイ部材110の第一ガイド突起部141が第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142の下端に達すると、トレイ部材110の第二ガイド突起部144が第二ガイド部材130の第二ガイド溝部143の下端に位置し、ベゼル部材150が回動軸Cに対する左回動端に達する。この位置では、トレイ部材110の下方への移動が停止されると共に、第一ガイド部材120に対するトレイ部材110の回動方向への移動が規制されてその第一ガイド部材120の左回動動作が停止される。この場合、トレイ部材110は、ベゼル部材150の回動操作が解除されても、載置面SLが最下点に位置するように下端位置に保持される。
【0068】
次に、操作者がベゼル部材150を回動軸Cに対して右回動方向へ回動操作すると、そのベゼル部材150の右回動操作に連動して第一ガイド部材120が回動軸Cに対して右回動動作する。第一ガイド部材120が右回動動作すると、その右回動動作の過程で第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142の縁部がトレイ部材110の第一ガイド突起部141にその第一ガイド突起部141をその第一ガイド溝部142に沿って相対的に上方へ移動させる力を付与するので、トレイ部材110全体が第一ガイド部材120に対して相対的に上方へ移動する。また、トレイ部材110の第二ガイド突起部144は、第二ガイド部材130の上下方向に延びた第二ガイド溝部143に沿って上下方向に移動できるだけであるので、第一ガイド部材120の右回動動作の過程では、トレイ部材110は、第二ガイド部材130に対して回動することなく上方へ移動する。
【0069】
そして、第一ガイド部材120の右回動動作の過程でトレイ部材110の第一ガイド突起部141が第一ガイド部材120の第一ガイド溝部142の上端(具体的には、水平溝部142b)に達すると、トレイ部材110の第二ガイド突起部144が第二ガイド部材130の第二ガイド溝部143の上端に位置し、ベゼル部材150が回動軸Cに対する右回動端に達する。この位置では、トレイ部材110の上方への移動が停止されると共に、第一ガイド部材120に対するトレイ部材110の回動方向への移動が規制されてその第一ガイド部材120の右回動動作が停止される。この場合、トレイ部材110は、ベゼル部材150の回動操作が解除されても、載置面SLが最上点に位置するように上端位置に保持される。
【0070】
このように、ホルダ装置100においては、操作者によるベゼル部材150への回動操作により第一ガイド部材120をトレイ部材110及び第二ガイド部材130に対して回動させると共に、その第一ガイド部材120の回動動作を変換機構140によりトレイ部材110の昇降動作へ変換してトレイ部材110を昇降させることができる。かかる構成においても、トレイ部材110を上端位置と下端位置との間で昇降させるうえで、操作者がベゼル部材150を回動操作させる力ひいてはトレイ部材110と第一ガイド部材120とを相対回動させる力を用いて変換機構140を作動させることとすれば十分である。この場合は、ホルダ装置100として、トレイ部材110を上方へ付勢する付勢力を発生する付勢部材や、その付勢部材の付勢力に抗してトレイ部材110を下端位置にロックしかつ所定ボタンの押下によりそのロックを解除するロック機構などを設けることは不要である。
【0071】
従って、トレイ部材110を昇降させることが可能なホルダ装置100としての部品点数を削除して構造の簡素化を図ることができ、トレイ部材110の昇降動作を簡易な構造で実現することができる。このため、ホルダ装置100を組み付けるうえでの組み付け工数を少なく抑えることができ、ホルダ装置100を製造するうえでの製造コストを低く抑えることができる。これにより、ホルダ装置100も、上記の第一実施形態のホルダ装置1と同様の効果を得ることが可能である。
【0072】
尚、上記の第二実施形態においては、水平溝部142bが特許請求の範囲に記載した「水平溝部」及び「第一水平溝部」に相当している。
【0073】
ところで、上記の第二実施形態においては、第一ガイド突起部141がトレイ部材110に設けられ、第一ガイド溝部142が第一ガイド部材120に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、逆に、第一ガイド突起部141が第一ガイド部材120に設けられ、第一ガイド溝部142がトレイ部材110に設けられるものとしてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態においては、第二ガイド突起部144がトレイ部材110に設けられ、第二ガイド溝部143が第二ガイド部材130に設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、逆に、第二ガイド突起部144が第二ガイド部材130に設けられ、第二ガイド溝部143がトレイ部材110に設けられるものとしてもよい。
【0075】
また、上記の第一及び第二実施形態においては、ベゼル部材50,150が第一ガイド部材20,120に合わせて円環状に形成されている。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、ベゼル部材50,150が、操作者による回動操作により第一ガイド部材20,120を回動できるものであれば何れの形状を有していてもよく、例えば、パネル部材60の貫通孔61から上方に突出するスティック状に形成されていてもよい。
【0076】
更に、上記の第一及び第二実施形態においては、ベゼル部材50,150が第一ガイド部材20,120に一体的に設けられる。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、ベゼル部材50,150が第二ガイド部材30,130に一体的に設けられるものとしてもよい。
【0077】
この変形形態においては、第一ガイド部材20,120が昇降不能かつ回動不能に車両側の固定部に取り付けられる。そのうえで、ベゼル部材50,150が回動操作されると、第二ガイド部材30,130が昇降不能で回動されることにより、第二ガイド部材30,130と第一ガイド部材20,120とが相対的に回動し、トレイ部材10,110が第二ガイド部材30,130と同期して回動しながら第一ガイド部材20,120に対して昇降する。従って、この変形形態においては、操作者によるベゼル部材50,150への回動操作により第一ガイド部材20,120を第二ガイド部材30,130に対して相対的に回動させると共に、その回動動作を変換機構40,140によりトレイ部材10,110の昇降動作へ変換してトレイ部材10,110を昇降させることができるので、第一及び第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1,100:ホルダ装置、10,110:トレイ部材、20,120:第一ガイド部材、30,130:第二ガイド部材、40,140:変換機構、50,150:ベゼル部材、60:パネル部材、41:ガイド突起部、42,142:第一ガイド溝部、42a,142a:傾斜溝部、42b:第一水平溝部、42c:第二水平溝部、43,143:第二ガイド溝部、141:第一ガイド突起部、142b:水平溝部、144:第二ガイド突起部、C:回動軸、SL:載置面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8