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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092437
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】秤量装置及び分包体製造ライン
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20220615BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
G01G11/00 M
B65B57/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205256
(22)【出願日】2020-12-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】507340832
【氏名又は名称】株式会社アイエムイー
(71)【出願人】
【識別番号】508329302
【氏名又は名称】株式会社コマック
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩昌
(72)【発明者】
【氏名】山中 博
(72)【発明者】
【氏名】奥山 勇之
(72)【発明者】
【氏名】井森 健一
(72)【発明者】
【氏名】内木 雄也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】搬送されている連続分包体を切り離さないで、連続分包体の個々の分包体の重量を測定することができる秤量装置及び分包体製造ラインを提供する。
【解決手段】連続分包体200を連ねたまま、搬送しながら、直接的に個々の分包体の重量を測定できるように、自重と慣性力しか作用させないように搬送させる。秤量区域Bにおいて、秤量値測定手段20に支えられた筋状支持部21により、搬送中の秤量対象分包体300の収容部を横断して支えさせ、全長に亘って秤量させ、重量判定手段30により秤量値から重量を判定させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有する分包体の秤量装置において、
連続分包体を搬送させる搬送手段と、前記連続分包体をなす分包体を秤量させる秤量手段と、前記分包体の重量を判定させる重量判定手段とを含み、
前記搬送手段が、秤量対象分包体とその上流及び下流の少なくとも3つの分包体に自重と慣性力しか作用させないように、搬送経路を横断して前記連続分包体を支える複数の横断支持部を有し、
前記秤量手段が、前記収容部の幅よりも広い筋状支持部と、前記筋状支持部を支える秤量値測定手段とを備え、
前記筋状支持部と、前記筋状支持部から分包体の距離が離間された位置の前記横断支持部との間を秤量区域とさせ、
前記筋状支持部が、前記分包体をなす収容部を横断して支え、前記秤量区域において、前記秤量値測定手段が、前記筋状支持部を通過した前記分包体の秤量値を測定させ、
前記重量判定手段が、前記秤量値に基づいて前記分包体の重量を判定させ、搬送経路にある連続分包体をなす分包体の重量を、前記連続分包体を切り離さないで秤量させる、
ことを特徴とする秤量装置。
【請求項2】
前記搬送手段が、上流側からの送出力と下流側からの引込力とを均衡させる駆動手段を有すると共に、前記横断支持部の夫々が回転軸とされ、
前記筋状支持部が、秤量対象分包体の収容部の端部に位置された状態で、秤量対象分包体の直近上流と直近下流の分包体の夫々の収容部の両側端に前記回転軸が位置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の秤量装置。
【請求項3】
前記横断支持部の位置が、搬送経路に沿って位置調整可能とされている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の秤量装置。
【請求項4】
前記秤量値測定手段が、ロードセル又はフォースバランスのいずれかとされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の秤量装置。
【請求項5】
前記秤量値測定手段が、昇降手段を備え、前記昇降手段が、前記秤量値測定手段を降下させ、前記連続包装体から前記筋状支持部を離間させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の秤量装置。
【請求項6】
前記秤量値測定手段が、前記連続分包体に面する天面に断熱手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の秤量装置。
【請求項7】
不活性ガスが、前記収容部に液体と共に封入されており、
前記横断支持部が、中央部がゆるやかに窪んで湾曲され、前記収容部が前記横断支持部を通過する際に、分散されていた前記不活性ガスの気泡が一体化される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の秤量装置。
【請求項8】
前記重量判定手段が、前記秤量対象分包体が前記筋状支持部を通過している間における、複数の指定時における前記秤量対象分包体の秤量値を平均した値、又は前記秤量対象分包体の秤量値の最大値のいずれかを、前記秤量対象分包体の重量と判定させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の秤量装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8に記載のいずれかの秤量装置を含んだ分包体製造ラインであって、規格外品除外手段を含み、
前記規格外品除外手段が、前記秤量装置の下流に配設され、前記秤量装置が規格外品であると判定させた分包体を切断除去させると共に、前記規格外品の上流側と下流側の規格品を熱溶着により一体化させて下流に搬送させる、
ことを特徴とする分包体製造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、顆粒体又は液体を内容物とした分包体の製造過程で、連続分包体を切り離さないで個々の分包体の重量を測定することができる秤量装置及び分包体製造ラインに関する。分包体の内容物は、食品調味料、薬品等であればよいが限定されない。
【0002】
より詳細には、分包体製造ラインの製造工程の途中で、つながったままで搬送されている個々の分包体の重量を、直接的に秤量させる秤量装置及び分包体製造ラインに関する。不活性ガスが封入され、温度が高くなっている食品調味料等の分包体にも好適に適用でき、高い精度で秤量することができる秤量装置及び分包体製造ラインに関する。
【背景技術】
【0003】
分包体、例えば納豆のタレ袋は、最終製品を製造する工場とは別のタレ袋専門の製造工場で製造され、分包体がつながった状態で納豆製品を製造する工場に運搬され、納豆容器にタレ袋を落とし込む製造工程まではタレ袋はつながった連続分包体とされている。
【0004】
しかし、個々の製品又は製品の外装に質量(重量)を表示する場合には、表示の正確性を保証するために全数について個々計量することが求められるようになっている。連続分包体を個々に切り離してから重量を秤量すれば、個々の分包体の重量を正確に測定することができる。しかし、分包体の製造工程の途中で、連続分包体を切り離して秤量させるとすると、重量測定用の計量コンベアだけでなく、製品の搬送間隔を調整させる助走コンベア等を製造ラインに組み込むことが必要になる。
【0005】
そうすると、分包体製造ラインが長くなると共に、切り離した分包体の夫々の重量を測定させることが必要になるため、分包体の製造効率が低下するという課題があった。そのため、分包体の製造工場から出荷するまでの間に、連続分包体を切り離さないで連続させた状態のままで、個々の分包体の重量を測定させることができる製造効率を低下させない重量測定装置の提供が課題となっている。
【0006】
特許文献1には、液体を充填させた包装体を連ねた状態のまま重量を計測させるとする技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、液体が充填された分包体を、一対の板状体により押圧させて変形させ、板状体の間隔から包装体の体積を測定させ、比重と体積により重量を演算させている。しかし、製造過程の調味料等は加熱された状態であり、封入されている不活性ガスも熱い状態となっており、体積誤差が発生しやすい状態である。そのため、製造過程においては調味料のみの体積を正確に測定できないという課題があった。
【0007】
特許文献2には、分包体を連続させたままで、充填不良を検査させる充填状態検査装置および充填状態検査方法の技術が開示されている。特許文献2に記載の技術によれば、固定ローラと可動ローラの間に連続分包体を通して、可動ローラの変位量すなわち分包体の厚さをレーザにより連続的に検知させ、粉体の充填不良の有無を検知させるとしている。しかし、この文献に記載の技術も、特許文献1に記載の技術と同様に、分包体の中に封入されている不活性ガスの量により誤差を発生させやすく、重量を正確に測定できないという課題があった。
【0008】
特許文献3には、連続分包体に充填不良が発見された場合には、不良品の分包体と前後2個の分包体を切除させるという物品検査システムの技術が開示されている。不良品を除去させた後は、前後の位置で接合させ、一連の連続分包体に戻すことが可能であるとされている。
【0009】
特許文献3に記載の技術によれば、充填不良の検知手段として、X線による検査装置が示され、他の重量測定装置、金属検出装置又は画像検査装置等でもよいとされているが、具体的な形態が開示されていない。しかし、分包体の外装がアルミ箔と樹脂シートとの積層体からなっている場合には、X線が透過せず充填量を測定できないという課題があった。
【0010】
紫外線に暴露させないようにし変質を防いでいる食品調味料等の分包体には、外装シート体にはアルミ箔が含まれている。そのため、包装体の内部の状態を外部から透視できないだけでなく、X線を使っても液体と不活性ガスの分布状態を把握することができない。そこで、分包体の体積から間接的に分包体の重量を測定させるのではなく、分包体の重量を直接的に秤量させる秤量装置の提供が課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004-325375号公報
【特許文献2】特開2016-003032号公報
【特許文献3】特開2013-163535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、連続分包体を連ねたまま、搬送しながら、直接的に個々の分包体の重量を測定させる秤量装置及び分包体製造ラインを提供することである。不活性ガスが封入され、温度が高くなっている食品調味料等の分包体にも好適に適用でき、高い精度で秤量することができる秤量装置及び分包体製造ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の発明は、収容部を有する分包体の秤量装置において、連続分包体を搬送させる搬送手段と、前記連続分包体をなす分包体を秤量させる秤量手段と、前記分包体の重量を判定させる重量判定手段とを含み、前記搬送手段が、秤量対象分包体とその上流及び下流の少なくとも3つの分包体に自重と慣性力しか作用させないように、搬送経路を横断して前記連続分包体を支える複数の横断支持部を有し、前記秤量手段が、前記収容部の幅よりも広い筋状支持部と、前記筋状支持部を支える秤量値測定手段とを備え、前記筋状支持部と、前記筋状支持部から分包体の距離が離間された位置の前記横断支持部との間を秤量区域とさせ、前記筋状支持部が、前記分包体をなす収容部を横断して支え、前記秤量区域において、前記秤量値測定手段が、前記筋状支持部を通過した前記分包体の秤量値を測定させ、前記重量判定手段が、前記秤量値に基づいて前記分包体の重量を判定させ、搬送経路にある連続分包体をなす分包体の重量を、前記連続分包体を切り離さないで秤量させることを特徴としている。
【0014】
本発明の第1の発明によれば、秤量対象分包体だけでなく、その上流側と下流側の分包体にも自重と、搬送されることによる慣性力しか作用させない状態として、秤量対象分包体への搬送による影響を排除している。連続分包体を支える複数の横断支持部は、少なくとも連続分包体への摩擦力を排除できるように、一つの分包体あたり2か所の回転軸がバランスよく均衡されて配置されていると好適であるが、限定されず、小さな摩擦抵抗の摺動部材であってもよい。
【0015】
また、分包体の収容部の幅よりも広い筋状支持部により、収容部の横断方向全体を偏らないように支え、秤量値測定時における、分包体の内容物の偏りの影響を排除している。分包体の長さと同じ長さの秤量区域において、分包体が筋状支持部を通過した各時点における分包体の秤量値を、分包体の全長に亘って秤量値測定手段により支えて測定させている。筋状支持部の位置は、収容部の上流側の位置でも、下流側の位置でもよく限定されない。
【0016】
熱溶着部の直近の薄い厚さの収容部から中央の厚さの厚い収容部までの全ての部分で、筋状支持部を通過した時点の秤量値が測定され、収容部の不活性ガスの偏りによる影響を排除させている。そして、測定させた分包体の全長に亘る各部の秤量値を所定の判定基準に基づいて、例えば所定の単位時間における平均値又は最大値等の判定値を重量判定手段により判定させている。
【0017】
第1の発明において、搬送手段は、秤量対象分包体を含む前後の少なくとも3つに重量と慣性力しか作用されないこととしたが、秤量対象分包体を含む、奇数の分包体を対象とさせればよい。搬送による張力・摩擦が大きくならない範囲において数が多い方がより高い精度が出ることは勿論のことであり、例えば3つを5つとしてもよい。収容物は粉体、顆粒体又は液体のいずれであってもよく、収容物への不活性ガスの封入の有無は限定されない。
【0018】
本発明の第1の発明によれば、秤量対象分包体への搬送による影響と、収容部の不活性ガスの偏りによる影響を排除させ、個々の分包体を全長に亘って秤量させた秤量値を重量判定手段により判定させ、分包体の重量を判定させている。これにより、不活性ガスが封入されている連続分包体又は外装シート体が金属箔である連続分包体のいずれであっても、搬送されている連続分包体を切り離さないで、個々の分包体の重量を測定することができるという従来にない有利な効果を奏する。
【0019】
本発明の第2の発明は、第1の発明の秤量装置において、前記搬送手段が、上流側からの送出力と下流側からの引込力とを均衡させる駆動手段を有すると共に、前記横断支持部の夫々が回転軸とされ、前記筋状支持部が、秤量対象分包体の収容部の端部に位置された状態で、秤量対象分包体の直近上流と直近下流の分包体の夫々の収容部の両側端に前記回転軸が位置されることを特徴としている。
【0020】
本発明の第2の発明においては、搬送手段が、上流側からの送出力と下流側からの引込力とを均衡させる駆動手段を備えている。また、秤量対象分包体の収容部の端部に筋状支持部が位置された状態で、回転軸とされた横断支持部が、秤量対象分包体の直近上流と直近下流の分包体において夫々の収容部の両側端に位置され、夫々の分包体を支えている。
【0021】
これにより、秤量対象分包体の両側の分包体をバランスよく支え、連続分包体が搬送されることにより上流側又は下流側の分包体を傾かせることなく、搬送に伴う引張力が秤量対象分包体に作用されない。これにより、秤量対象分包体を含む前後の3つの分包体に、重量と慣性力しか作用させず、搬送にともなう秤量対象分包体への影響がより排除されるという効果を奏する。
【0022】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の秤量装置において、前記横断支持部の位置が、搬送経路に沿って位置調整可能とされていることを特徴としている。横断支持部の位置が調整可能とされているため、分包体の長さが変わっても適用でき、汎用性の高い秤量装置とすることができるという効果を奏する。
【0023】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の秤量装置において、前記秤量値測定手段が、ロードセル又はフォースバランスのいずれかとされていることを特徴としている。本発明の第4の発明によれば、振動による影響を受けにくいロードセル、又は高精度な測定ができるフォースバランスのいずれが選択されてもよく、秤量対象の形状・大きさ・重さ、又は測定精度に応じた秤量装置とすることができるという効果を奏する。
【0024】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の秤量装置において、前記秤量値測定手段が、昇降手段を備え、前記昇降手段が、前記秤量値測定手段を降下させ、前記連続包装体から前記筋状支持部を離間させることを特徴としている。
【0025】
高精度の秤量値測定手段を経時的に使用していると、空調による風圧、周辺の熱環境等に影響されると共に、誤差が経時的に積算されることがある。しかし、第5の発明によれば、筋状支持部を連続分包体から離間させた状態でゼロ点調整、すなわち校正させることができるため、正確に校正できるという効果を奏する。
【0026】
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の秤量装置において、前記秤量値測定手段が、前記連続分包体に面する天面に断熱手段を備えていることを特徴としている。断熱手段は、気泡を含んだ樹脂系断熱材であってもよく、熱線反射機能を有する遮熱手段と断熱材との複合材であってもよく、形態は限定されない。第6の秤量装置によれば、製造過程の高温の食品調味料を内容物とする分包体であっても、内容物からの輻射熱の影響により秤量値に誤差が発生されることを排除することができるという効果を奏する。
【0027】
本発明の第7の発明は、第1から第6の発明の秤量装置において、不活性ガスが、前記収容部に液体と共に封入されており、前記横断支持部が、中央部がゆるやかに窪んで湾曲され、前記収容部が前記横断支持部を通過する際に、分散されていた前記不活性ガスの気泡が一体化されることを特徴としている。
【0028】
第7の発明によれば、中央部がゆるやかに窪んで湾曲された横断支持部を収容部が通過される際に、内容物に含まれ分散されていた気泡となっていた不活性ガスが一つにまとまり、不活性ガスが散在していることによる測定誤差が発生しにくいという効果を奏する。
【0029】
本発明の第8の発明は、第1から第7の発明の秤量装置において、前記重量判定手段が、前記秤量対象分包体が前記筋状支持部を通過している間における、複数の指定時における前記秤量対象分包体の秤量値を平均した値、又は前記秤量対象分包体の秤量値の最大値のいずれかを、前記秤量対象分包体の重量と判定させることを特徴としている。
【0030】
複数の指定時とは、例えば、秤量対象分包体が筋状支持部を通過する1秒のうち、100分の40秒から100分の50秒までの各100分の1秒等とすればよく、この間の10の測定値の平均値とすれば、計量値測定手段にかかった風圧等の不測の影響を排除できる。また、最大値とすれば、風圧等の不測の影響を受けた分包体については、影響を受けた重量が測定される。第8の発明によれば、分包体に求められる重量値の精度、不良率等に応じた重量値を測定することができる。なお、重量値とは、測定された重量の値である。
【0031】
本発明の第9の発明は、第1から第8の発明の秤量装置を含んだ分包体製造ラインであって、規格外品除外手段を含み、前記規格外品除外手段が、前記秤量装置の下流に配設され、前記秤量装置が規格外品であると判定させた分包体を切断除去させると共に、前記規格外品の上流側と下流側の規格品を熱溶着により一体化させて下流に搬送させることを特徴としている。
【0032】
分包体製造ラインが、第1から第8の発明の秤量装置を含んでいるため、搬送させながら分包体の重量を秤量し、規格外品を切断除去し、規格品のみを一体化させて下流に搬送させる。これにより、分包体の個々の重量を秤量していても、高い製造効率を維持することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0033】
・第1の発明によれば、不活性ガスが封入されている連続分包体又は外装シート体が金属箔である連続分包体のいずれであっても、搬送されている連続分包体を切り離さないで、個々の分包体の重量を測定することができるという従来にない有利な効果を奏する。
・第2の発明によれば、秤量対象分包体を含む前後の3つの分包体に、重量と慣性力しか作用させず、搬送にともなう秤量対象分包体への影響がより排除されるという効果を奏する。
・第3の発明によれば、分包体の長さが変わっても適用でき、汎用性の高い秤量装置とすることができるという効果を奏する。
・第4の発明によれば、秤量対象の形状・大きさ・重さ、又は測定精度に応じた秤量装置とすることができるという効果を奏する。
【0034】
・第5の発明によれば、秤量値測定手段を連続分包体から離間させた状態で校正することができるため、正確に校正できるという効果を奏する。
・第6の発明によれば、製造過程の高温の食品調味料を内容物とする分包体であっても、内容物からの輻射熱の影響により秤量値に誤差が発生されることを排除することができるという効果を奏する。
・第7の発明によれば、不活性ガスが散在していることによる測定誤差が発生しにくいという効果を奏する。
・第8の発明によれば、分包体に求められる重量値の精度、不良率等に応じた重量値を測定することができる。
・第9の発明によれば、分包体の個々の重量を秤量していても、高い製造効率を維持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】分包体製造ラインの説明図(実施例1)。
図2】秤量装置の構成と、秤量値と重量判定手段による判定の説明図(実施例1)。
図3】秤量値測定手段の説明図(実施例1)。
図4】秤量装置の構成と、秤量値と重量判定手段による判定の説明図(実施例2)。
図5】横断支持部の位置調整手段と、昇降手段と、断熱手段とを備えた秤量装置の説明図(実施例3)。
図6】不活性ガスの気泡を一体化させる横断支持部の説明図(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0036】
分包体の秤量装置において、連続分包体を連ねたまま、搬送しながら、直接的に個々の分包体の重量を測定できるように、自重と慣性力しか作用させないように搬送させるようにした。秤量区域において、秤量値測定手段に支えられた筋状支持部により、搬送中の秤量対象分包体の収容部を横断して支えさせ、全長に亘って秤量させ、重量判定手段により秤量値から重量を判定させるようにした。
【実施例0037】
実施例1においては、秤量装置1を図1から図3を参照して説明する。図1は分包体製造ライン100の説明図を示している。図2は秤量装置1の構成と、秤量値と重量判定手段による判定の説明図の説明図を示している。
【0038】
図2(A)図は、筋状支持部が秤量対象分包体の収容部の上流側に配置された秤量装置の側面図を示している。図2(B)図は、図2(A)図における連続分包体と筋状支持部と横断支持部のみを示した平面図を示している。図2(C)図は、重量判定手段が秤量値測定手段から取得する秤量値の経時変化の説明図を示している。詳細には、筋状支持部が上流側に配置され(図2(A)図参照)、秤量値がゆるやかに増加される場合を示している。
【0039】
図3は、秤量手段をなす秤量値測定手段の説明図を示している。秤量値測定手段の態様は限定されないが、本実施例1においてはフォースバランス、ロードセルを例に説明している。図3(A)図に、フォースバランスの概要を示し、図3(B)図にロードセルの概要を示している。
【0040】
実施例1においては、連続分包体200を製造させる分包体製造ライン100に一体に組み込まれた秤量装置1を説明する。なお、本発明にかかる秤量装置は、秤量、規格外品の除外、梱包だけを行う製造ラインのように、製造と秤量とが分離された分包体製造ラインに組み込まれてもよいことは勿論のことである。
【0041】
分包体製造ライン100は、上流側に連続分包体を製造させる充填包装機101が配設され、1分間あたり60個から100個の分包体が連なって製造されている(図1破線参照)。充填包装機101は、連続分包体をなす帯状の外装シート体201を、間欠送給装置102により間欠送給させつつ、長手方向に二つ折りにして、第1熱溶着機103により重ねた両縁部を連続して熱溶着させ、筒状に成形させている。
【0042】
筒状に成形させた外装シート体を第2熱溶着機104で熱溶着させて底部を成形させて、そこに充填機105により液体・粉体・粘動体等を充填させている。調味料・液体スープ等の液体食品が充填される場合には、窒素ガス等の不活性ガスを同時に充填させる。1回の充填が終わると、外装シート体201が分包体の単位長さだけ繰り出され、再び第2熱溶着機104により熱溶着がされて一つの分包体が製造されている。これが繰り返されることにより連続分包体200が製造される。連続分包体をなす外装シート体の材質は限定されず、樹脂シート体とアルミ箔等の金属箔とが積層された複合シート体であってもよい。
【0043】
充填包装機101の下流には、連続分包体200を搬送する搬送コンベア106と、製造された連続分包体を貯留させる貯留部107、秤量装置1、規格外品除外手段108の順に配設されている。搬送コンベア106により貯留部107まで搬送された連続分包体200は、秤量装置1に搬送されるまで、たるませた状態で待機される。秤量装置1の上流側に貯留部107を配設させることにより、充填包装機101による分包体の製造と、秤量装置1における秤量とをそれぞれ別々に作動させることができる。
【0044】
秤量装置1は、連続分包体200を切り離さずに搬送させる搬送手段10と、連続分包体をなす個々の分包体を秤量させる秤量手段と、秤量手段による秤量値から個々の分包体の重量を判定させる重量判定手段とからなっている(図2(A)図参照)。
【0045】
秤量装置をなす搬送手段10は、複数の横断支持部11をなす回転軸と、上流側からの送出力と下流側からの引込力とを均衡させる駆動手段12,13(図1参照)とを備えている。横断支持部11は、8か所に配置された回転軸14,15とされる。回転軸は秤量対象分包体を中心に上流側と下流側とが線対称となるように配置され、秤量対象分包体の上流側と下流側とにおいて、連続分包体の重量バランスが釣り合うように支えている。8か所の回転軸のうち、中央の6か所の回転軸が5つの分包体を水平に支える水平支持用の回転軸14とされ、外方の2か所の回転軸が連続分包体をたるませないように支える張力調整用の回転軸15とされる。
【0046】
水平支持用の回転軸14は、両端の回転軸の離間距離が5つの分包体の長さに整合され、一つの分包体301あたり2か所の回転軸14,14が収容部302の両側に位置され、連続分包体200をバランスよく支えている。より詳細には、後述する筋状支持部21が、秤量対象分包体300の収容部の端部303の上流側に位置された状態で、秤量対象分包体の直近上流の分包体304を支える2か所の回転軸16,16と、直近下流の分包体305を支える2か所の回転軸17,17とが、夫々の分包体の収容部の両端側に配置されている(図2(A)図距離A参照)。
【0047】
上流側にある張力調整用の回転軸15は、垂直方向に引き上げて搬送される連続分包体200の搬送方向を、斜め上方に変更させて、上流端にある水平支持用の回転軸14に向けて送り出している。前記上流端にある水平支持用の回転軸14は、斜め上方に搬送される連続分包体の搬送方向を、水平方向に変更させて、筋状支持部21に向けて送り出している。これらの回転軸により、連続分包をたるませないで、搬送方向を水平に滑らかに変更させることができる。
【0048】
下流端にある水平支持用の回転軸14が、水平方向に搬送される連続分包体の搬送方向を斜め下方に変更させ、下流側にある張力調整用の回転軸15が、斜め下方に搬送される連続分包体の搬送方向を垂直下方に変更させている。連続分包体200が秤量対象分包体300を基準として上流側と下流側とが線対称とされているため、上流側と下流側との重量バランスが均衡され、連続分包体がたるみにくい。張力調整用の回転軸15と、上流端と下流端にある水平支持用の回転軸14については、他の回転軸に比べて径を大きくさせると、滑らかに搬送方向を変更できるため好適である。
【0049】
水平支持用の回転軸14は、秤量させる分包体の全長、収容部の長さに応じて、搬送方向に位置調整が可能とされるとより好適である。また、上流端と下流端にある水平支持用の回転軸14,14だけに、連続分包体200を横断方向に位置ずれさせないガイド部材18,18が装着されている(図2(B)図参照)。秤量対象分包体300と、その直近上流の分包体304と、直近下流の分包体305の3つの分包体よりも外側に連なる分包体がガイド部18と擦れ合っても、前記3つの分包体を支える回転軸16,17にはガイド部材が備えられていないため秤量値に影響を及ぼさない。なお、張力調整用の回転軸15の下方にも、連続分包体を横断方向に位置ずれさせないガイドローラ19を配設させている。
【0050】
搬送手段10をなす駆動手段12は、秤量装置1の上流側に、連続包装体の側縁部の連続した熱溶着部を挟んで送り出す一対のローラ121と、ローラ駆動用のモータ120を備えている。搬送手段10をなす駆動手段13は、秤量装置1の下流側に、同様の一対のローラ131と駆動用のモータ130を備えている。上流側のモータ120と下流側のモータ130とを制御させる一つの駆動制御装置122を備え、2つのモータを連動駆動させることにより、上流側の送出力と下流側の引込力とを均衡させて連続分包体を搬送させている。これにより、秤量対象分包体300だけでなく、その上流側と下流側の分包体にも自重と、搬送されることによる慣性力しか作用させない状態として、秤量対象分包体への搬送による影響を排除している。
【0051】
前記充填包装機101により製造された連続分包体200は、秤量装置1よりも上流側に配設された貯留部107にたるませた状態で貯留されている(図1図2(A)図参照)。そのため、充填包装機101における製造態様にかかわらず、秤量装置1においては連続分包体200を連続して搬送させることもできる。
【0052】
秤量手段20は、分包体の収容部302の幅よりも広い筋状支持部21と、筋状支持部を支える秤量値測定手段22とを備えている(図2参照)。筋状支持部21が搬送経路を横断する幅が、前記収容部302の幅よりも広いことにより、収容部302の横断方向全体を偏らないように支え、分包体の内容物の偏りによる影響を排除させている。筋状支持部21は、フッ素樹脂からなる小さな摩擦抵抗の摺動部材とされる。筋状支持部をなす摺動部材は、頂部が上方に凸に湾曲され、連続分包体との接触面積を小さくさせて、搬送に伴う摩擦による影響をより小さくさせている。筋状支持部の他の態様として、頂部に回転ローラを備えさせて摩擦抵抗を小さくさせてもよいが、前記摺動部材とさせた方が秤量値にローラの回転に伴う変動誤差が加わらず好適である。
【0053】
実施例1においては、筋状支持部21が直近上流の分包体304側に近接して配設されているため、筋状支持部21から直近下流の分包体305を支えている上流側の回転軸14との間が秤量区域とされる(図2(A)図距離B参照)。搬送により新たに前記秤量区域に至った分包体が、秤量対象分包体300とされ、秤量対象分包体が筋状支持部21を通過される期間に秤量がされる。
【0054】
筋状支持部を支える秤量値測定手段22は、フォースバランス40(図3(A)図参照)又はロードセル50(図3(B)図参照)のいずれであってもよい。いずれの場合であっても、秤量対象分包体300が筋状支持部21を通過される期間において、秤量のサンプリング周期ごとに、各時点における秤量対象分包体の秤量値を測定させている。
【0055】
フォースバランス40は、てこ機構41と、位置検知センサー42と、電磁石43とを備えた秤量値測定手段である(図3(A)図参照)。詳細には、てこ機構41の一端44に秤量対象の重量をかけ、電磁石43により他端45の位置が平衡となるように引き寄せ、平衡となったときの電流値から重量を検知させている。フォースバランス40は、微細な変動を測定しやすい電流値から秤量値を演算させるため、軽量物であっても高精度な測定が可能とされると共に、秤量のサンプリング周期が短く動作応答性に優れている。そのため、軽量かつ小さい分包体、例えば納豆のタレ袋、即席麺に同封される使い切りの香辛料等を製造する分包体製造ラインにも適している。
【0056】
ロードセル50は、歪み量に応じて電気抵抗値が線形に変化される電気抵抗線歪計51と、秤量対象の重量を支えて、電気抵抗線歪計に歪みを発生させる起歪体52とを備えた秤量値測定手段である(図3(B)図参照)。詳細には、起歪体52の一端53を固定させ、他端54に秤量対象の重量をかけて起歪体を歪ませることにより、起歪体52の4か所に貼付された電気抵抗線歪計51を歪ませて電気抵抗値を変化させている。そして、電気抵抗線歪計51に一定の電圧をかけると共に電流値を測定させて、電気抵抗値の変化量から重量を演算させている。
【0057】
ロードセル50の場合には、フォースバランス40に比べて秤量の誤差が大きいとされているが、てこ機構が使われないため、フォースバランスよりも振動の影響を受けにくいという利点がある。そのため、連続分包体の搬送速度が早く、振動が大きくなる分包体製造ラインであっても、小さな誤差で秤量対象分包体の重量を測定させることができる。
【0058】
重量判定手段30(図2参照)は、制御手段と、記憶手段と、表示手段と、入力手段とを有している。制御手段は、中央演算処理装置であればよく、記憶手段はハードディスク等の記憶装置であればよい。本実施例においては、表示手段と入力手段とが一体をなすタッチして操作されるタッチスクリーン機器31とされる例を説明するが、表示手段と入力手段を別々の機器とさせてもよい。
【0059】
記憶手段には、制御手段を作動させるアプリケーションと共に、製品規格ごとに設定される判定基準情報が予め記憶されている。判定基準情報には、基準となる分包体の基準重量値、その製品規格に許容される許容誤差値、重量判定動作設定の情報、平均値演算期間32の設定情報等が含まれる。重量判定動作設定とは、秤量値の最大値をそのまま秤量対象分包体の重量値と判定させるか、複数の指定時における平均値を前記重量値と判定させるかの設定である。平均値演算期間は、秤量値が最大値となる前後において、平均値を演算させる期間の開始点と終了点を指定している。平均値演算期間において、秤量値が取得される各時点が前記複数の指定時とされる。
【0060】
重量判定手段30をなす制御手段は、秤量値測定手段22から、秤量のサンプリング周期の各時点における秤量値を取得させると共に、記憶手段から前記アプリケーションと前記判定基準情報とを取得させている。制御手段は、取得した情報を基に、秤量対象分包体300の重量値を判定させ、その秤量対象分包体が規格品か否かを判定させている。制御手段は、その秤量対象分包体300の重量値と、規格品か否かの判定情報とを、秤量情報として記憶手段に一体に記憶させる。
【0061】
なお、秤量値測定手段22とされるフォースバランス及びロードセルには、作業環境温度に応じて秤量値を補正させる機能を備えさせることができる。補正機能を備えさせた場合には、秤量値の補正値も併せて取得し、秤量情報として記憶手段に記憶させると、より正確な製造記録を残すことができるため好適である。ほかにも、記憶手段には連続分包体の平均重量値、最大重量値、最小重量値等の情報を記憶させてもよい。
【0062】
重量判定手段30は、秤量値測定手段から取得した秤量値と、前記秤量情報と前記判定基準情報とを前記タッチスクリーン機器31に伝達させる。また重量判定手段は、秤量対象分包体を規格外品と判定させた場合には、その情報を規格外品除外手段に伝達させる。
【0063】
タッチスクリーン機器31は、重量判定手段から伝達された情報の表示手段として機能されると共に、前記判定基準情報の変更入力と、測定の開始・停止を入力させる入力手段として機能される。表示手段としての機能において、画面の中央に秤量値の経時変化を示す線グラフ33を表示させ、線グラフの周辺に前記判定基準情報と前記秤量情報を表示させている(図2(C)図参照)。また、重量判定動作設定の欄34、表示設定の欄35、計測開始の欄36、計測停止の欄37においては、現在選択されている設定の欄を強調表示させると好適である。
【0064】
入力手段としての機能において、判定基準情報の欄がタッチされることにより判定基準情報を変更させることができる。例えば、重量判定動作設定の欄34において、平均値の欄又は最大値の欄をタッチさせて、平均値測定と最大値測定とを切り替えるようにすればよい。なお、重量判定手段は平均値と最大値のいずれかのみで分包体の重量を判定させてもよい。製品規格を変更させる場合には、基準重量値の欄38、許容誤差値の欄39をタッチさせて、その製品規格に応じた数値を変更入力させる。
【0065】
計測開始の欄36がタッチされると、前記駆動手段12,13(図2(A)図参照)をなすモータが駆動され連続分包体200の重量の測定が開始される。計測停止の欄37がタッチされるとモータが停止され、測定が停止される。測定履歴消去の欄310がタッチされると、それまでの測定履歴が消去される。測定履歴の消去は、試験秤量における履歴の消去、製造ロットの変更等で使用される。
【0066】
次に、筋状支持部21の位置による秤量値の経時変化の相違を、図2(C)図に示すタッチスクリーン機器の画面に表示される線グラフ33を参照して具体的に説明する。併せて、重量判定手段30の設定についても説明する。なお、図2(C)図に示す線グラフにおいては、理解を容易にするため平均値演算期間以外には斜線を付して示している。
【0067】
筋状支持部21が、直近上流の分包体304を支える回転軸16に近接して配置されている場合(図2(A)図,図2(B)図参照)には、秤量対象分包体300の収容部の大部分が筋状支持部21を乗り越えるまでは、その重量が筋状支持部21と直近上流の分包体304を支える回転軸16,16のうちの下流側とに分散されている。そのため、筋状支持部21にかかる重量はゆるやかに増加され、秤量対象分包体300の収容部の中央が通過されてから収容部の上流側の端部303が通過されるまでに秤量値が最大値に達する(図2(B)図,図2(C)図参照)。
【0068】
その後は、筋状支持部21にかかる重量が急激に減少され、熱溶着部306が筋状支持部を通過されるときに秤量値が検知されない状態となる(図2(B)図,図2(C)図参照)。この場合には、秤量値がゆるやかに増加されて最大値に達するため、秤量値が実際の重量値を超えて振動される現象が起きにくく、秤量の精度を高くできる。例えば、秤量に高い精度が要求される医薬品を製造させる分包体製造ラインに適している。
【0069】
秤量値がゆるやかに増大されるため、平均値演算期間は、秤量値が最大となる前後の350msecから400msecの期間に設定させている。秤量値測定手段は、この期間において、5msecの秤量のサンプリング周期ごとに10回の秤量をさせ、重量判定手段は10回の秤量値の平均値から重量値を演算させる。平均値演算期間は上記期間に限定されず、その製品の試験秤量に基づいて適切な期間に調整されればよい。
【0070】
次に、規格外品除外手段108について、図1を参照して簡単に説明する。規格外品除外手段108は、秤量装置1をなす下流側の駆動手段13よりも下流に配設され、規格外品を切除させる切断刃109と、切除させた規格外品を搬送経路から排出させる排出手段110と、規格品を繋ぎ合わせる熱溶着機111とを備えている。
【0071】
規格外品除外手段108は、重量判定手段30から規格外品の情報を取得し(図1参照)、規格外品が規格外品除外手段108を通過されるときに、切断刃109により規格外品を切除させている。前記排出手段110により、切除された規格外品が搬送路から排出される。次いで、規格外品除外手段108は、上流の規格外品の熱溶着部と、予め待機させておいた下流の規格品の熱溶着部とを前記熱溶着機111により接合させ、規格品のみが連なった連続分包体200とさせる。
【実施例0072】
実施例2においては、筋状支持部の位置を下流側に変えた別の態様の秤量装置2を、図4を参照して説明する。図4(A)図は、秤量装置の側面図を示している。図4(B)図は、秤量装置2において、重量判定手段30が秤量値測定手段22から取得する秤量値の経時変化の説明図を示している。詳細には、筋状支持部23が下流側に配置され(図4(A)図参照)、秤量値がすみやかに増加される場合を示している。実施例2以下においては実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略している。
【0073】
実施例2においては、筋状支持部23が直近下流の分包体305を支えている回転軸16に近接して配設されているため、筋状支持部23と直近上流の分包体304を支える回転軸16,16のうちの下流側との間が秤量区域とされる(図4(A)図距離B参照)。この場合(図4(A)図参照)には、秤量対象分包体300の収容部が筋状支持部23に乗り上げた直後から略全ての重量が筋状支持部にかかる。そのため、筋状支持部にかかる重量はすみやかに増加されて、秤量値がすみやかに最大値に達する(図4(B)図線グラフ330参照)。画面の機能配置は、実施例1と同様であるため、図4(B)図においては符号を省略している。
【0074】
秤量値がすみやかに増大されるため、平均値演算期間は、秤量値が最大となる前後の70msecから120msecの期間に設定させている。その後は筋状支持部23と、直近下流の分包体305を支える回転軸17,17のうちの上流側とに秤量対象分包体の重量が分散されるため、ゆるやかに秤量値が減少される。この場合には、秤量値がすみやかに最大値に達するため、重量を判定させるまでの待機時間が短い。例えば、秤量に早い応答速度が要求される食品を製造させる分包体製造ラインに適している。
【実施例0075】
実施例3においては、各々の横断支持部11の位置調整手段60と、昇降手段70と、断熱手段80とを備えた秤量装置3を、図5を参照して説明する。図5(A)図は、昇降手段により秤量値測定手段を降下させる前の状態を示し、図5(B)図は、秤量値測定手段を降下させ、ゼロ点を調整させている状態を示している。図5(A)図においては、横断支持部の位置調整手段を一部切り欠き断面図により示している。
【0076】
横断支持部11をなす各々の回転軸14は、回転軸を位置調整可能に固定させる位置調整手段60を備えている。位置調整手段60は、一対の機器固定レール61と、回転軸の両端部に備えられる固定片62から左右に延びる鍔部63と、一対の機器固定レール61と鍔部63とを挟んで螺合されるネジ64とナット65とされる(図5(A)図参照)。
【0077】
一対の機器固定レール61は、天面にナットよりも狭い幅の溝部66を有し、溝部の下方がナットをスライド可能に収容させる空洞67に繋がっている。前記ネジ64が、前記鍔部63の貫通孔と前記溝部66とに挿嵌されてナット65と螺合されることにより各々の回転軸14が位置固定され、螺合をゆるめることにより回転軸の位置が機器固定レールに沿って調整可能とされる。これにより、分包体の長さに応じて各々の回転軸の位置・間隔を調整でき、汎用性の高い秤量装置とさせることができる。
【0078】
秤量手段20は、昇降手段70をなすエアシリンダーにより昇降可能に支えられている(図5(A)図参照)。エアシリンダーの進退軸71を縮退させると、秤量手段20全体が降下され、筋状支持部21も連続分包体200から離間される(図5(B)図参照)。この状態で、秤量値測定手段22をなすフォースバランス又はロードセルのゼロ点を調整させれば、連続分包体の重量負荷をかけない状態で、正確にゼロ点を校正させることができる。ゼロ点の校正後には、進退軸71が伸長され、筋状支持部21が秤量対象分包体300に接する位置まで復帰される(図5(A)図参照)。
【0079】
秤量値測定手段22は、連続分包体200に面する天面に断熱手段80を有している(図5参照)。秤量値測定手段の天面とは、フォースバランス・ロードセルの本体部だけでなく、筋状支持部21が起立される平板24の天面も含んでいる。断熱手段は、気泡を含んだ樹脂系断熱材であってもよく、熱線反射機能を有する遮熱手段と断熱材との複合材であってもよく、形態は限定されない。
【0080】
樹脂系断熱材は、例えば発泡ポリスチレン、発泡ウレタン等からなる板状体であればよく、断熱材の厚さも限定されない。断熱材は樹脂系断熱材に限定されず、例えばグラスウール等の繊維系断熱材であってもよい。遮熱手段と断熱材との複合材は、例えば、アルミ箔と樹脂フィルムとを積層させた遮熱シートであればよいが、これに限定されない。これにより、分包体の収容物が高温であっても、その輻射熱により秤量値測定手段が影響を受けにくい。高温の収容物の具体例としては、油脂成分の流動性をよくするために高温のまま充填される即席麺の液体スープ等があげられる。
【実施例0081】
実施例4においては、不活性ガスの気泡を一体化させる横断支持部90について図6を参照して説明する。図6(A)図は、横断支持部90の斜視図を示している。図6(B)図は、図6(A)図のA-A位置における分包体の断面図を示している。図6(C)図は、気泡が一体化された状態の分包体の断面図を示している。
【0082】
調味料等の分包体301においては、収容部302に液体調味料307と共に不活性ガスの気泡308が封入されている(図6参照)。連続分包体200は、秤量装置に至るまでに上下動を含む搬送経路を搬送されているため、前記不活性ガスの気泡が搬送に伴う振動によって複数の気泡309に分断されて散在されている(図6(A)図,図6(B)図参照)。同一重量の分包体であっても、気泡の散在状態によって異なった秤量値が測定されることがあるため、秤量の精度を高くさせるには気泡の散在による秤量誤差を小さくさせる必要がある。そこで、実施例4においては、秤量に先立って分散された気泡を一体化させることにより、秤量誤差を小さくさせている。
【0083】
秤量装置1の上流側にある張力調整用の回転軸15(図2(A)図参照)が、不活性ガスの気泡を一体化させる横断支持部90とされ、中央部がゆるやかに窪んで湾曲されている。連続分包体200は、前記貯留部107(図2(A)図参照)から引き上げられて搬送されるため、不活性ガスは複数の気泡309に分散された状態で、収容部302の上方に集まっている(図6(A)図,図6(B)図参照)。
【0084】
この状態で、分包体の収容部302が前記横断支持部90に接すると、収容部302が横断支持部のくぼみ91に沿って湾曲され、散在されていた複数の気泡309が収容部302の中央に寄せられて接し、気泡308が一体化される(図6(C)図)。そのため、分包体301が横断支持部90を通過されると、気泡308が収容部の中央でまとまった状態となる(図6(A)図参照)。これにより、秤量対象分包体を秤量させるときに、気泡が散在していることによる秤量誤差が小さくなり、より高い精度で秤量させることができる。
【0085】
(その他)
・本実施例においては、貯留部により連続分包体をたるませる分包体製造ラインの例を説明したが、分包体製造ラインが貯留部を有さなくてもよい。例えば、単位時間あたりの分包体の製造数と秤量数とを揃えれば、貯留部がなくても、秤量対象分包体とその直近上流及び直近下流の少なくとも3つの分包体に自重と慣性力しか作用させないように搬送させることができる。この場合には、搬送コンベアから秤量装置までを、平坦な搬送経路にすることもでき、張力調整用の回転軸も不要となる。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1,2,3…秤量装置、100…分包体製造ライン、
10…搬送手段、20…秤量手段、30…重量判定手段、
11…横断支持部、12,13…駆動手段、120,130…モータ、
121,131…一対のローラ、122…駆動制御装置、
14…(水平支持用の)回転軸、15…(張力調整用の)回転軸、
16,17…回転軸、18…ガイド部材、19…ガイドローラ、
21…筋状支持部、22…秤量値測定手段、23…筋状支持部、24…平板、
31…タッチスクリーン機器、32…平均値演算期間、33…線グラフ、
34…重量判定動作設定の欄、35…表示設定の欄、36…計測開始の欄、
37…計測停止の欄、38…基準重量値の欄、39…許容誤差値の欄、
310…計測履歴消去の欄、330…線グラフ、
40…フォースバランス、41…てこ機構、42…位置検知センサー、
43…電磁石、44…一端、45…他端、
50…ロードセル、51…電気抵抗線歪計、52…起歪体、53…一端、54…他端、
60…位置調整手段、61…一対の機器固定レール、62…固定片、63…鍔部、
64…ネジ、65…ナット、66…溝部、67…空洞、
70…昇降手段、71…進退軸、80…断熱手段、90…横断支持部、
101…充填包装機、102…間欠送給装置、103…第1熱溶着機、
104…第2熱溶着機、105…充填機、106…搬送コンベア、107…貯留部、
108…規格外品除外手段、109…切断刃、110…排出手段、111…熱溶着機、
200…連続分包体、201…外装シート体、
300…秤量対象分包体、301…分包体、302…収容部、
303…(収容部の)端部、304…直近上流の分包体、305…直近下流の分包体、
306…熱溶着部、307…液体調味料、308…気泡、309…複数の気泡
図1
図2
図3
図4
図5
図6