(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092514
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】防振ブッシュ
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20220615BHJP
F16F 1/373 20060101ALI20220615BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
F16F1/36 K
F16F1/373
F16F15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205366
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】祝 勇汰
【テーマコード(参考)】
3J048
3J059
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA03
3J048BA13
3J048BB03
3J048EA07
3J048EA34
3J059AB11
3J059BA54
3J059BB08
3J059BC02
3J059BD01
3J059CA08
3J059CA14
3J059CB03
3J059DA18
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上できる防振ブッシュを提供すること。
【解決手段】補強部材570の内縁側の部位は、全体が挿入部30に被覆される被覆部571として構成されるので、挿入部30の軸O方向端面31からは補強部材570が露出しない。よって、軸O方向の荷重が繰り返し入力されても、挿入部30と補強部材570(被覆部571)との界面で剥離が生じることを抑制できる。即ち、補強部材570の外縁側の露出部572のみを本体部20の外周面から露出させることにより、軸O方向の荷重の入力時に比較的応力が生じ難い領域で補強部材570を露出させることができる。よって、防振ブッシュ510の耐久性を向上できる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源側または支持側のいずれか一方の部品として構成され、貫通孔を有する被締結部材と、その被締結部材の前記貫通孔に挿入される円筒状の筒部材と、その筒部材の軸方向の両端側に配置される一対の座金と、それら一対の座金を挟み込んだ状態で互いに締結されるボルト及びナットと、を有する締結構造において前記一対の座金の間に介在されるゴム状弾性体の防振ブッシュであって、
前記ボルト及びナットの締結時に前記被締結部材および前記座金の間で圧縮される本体部と、前記貫通孔に挿入される挿入部と、を備える筒状に形成され、
前記ゴム状弾性体よりも剛性が高い環状の補強部材が前記本体部および前記挿入部に埋め込まれ、
前記補強部材は、その内縁側の部位を構成し、全体が前記挿入部に被覆される被覆部と、その被覆部よりも前記補強部材の外縁側の部位を構成し、前記本体部の外周面から露出する露出部と、を備えることを特徴とする防振ブッシュ。
【請求項2】
軸方向において前記本体部側とは反対側に位置する前記被覆部の端部は、径方向内側に向けて屈曲していることを特徴とする請求項1記載の防振ブッシュ。
【請求項3】
前記挿入部は、前記被覆部の屈曲部分の内周側に位置し前記挿入部の内周面に凹む内周凹部を備えることを特徴とする請求項2記載の防振ブッシュ。
【請求項4】
前記本体部は、前記挿入部側に近づくにつれて外径が徐々に大きく形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防振ブッシュ。
【請求項5】
前記貫通孔の内周面から前記筒部材側に向けて突出する突出部が前記被締結部材に形成される場合に、軸方向において前記突出部と重なる位置に前記被覆部が配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防振ブッシュ。
【請求項6】
前記挿入部は、前記挿入部の軸方向端面から突出し軸方向視において環状に形成される第1凸部を備え、
前記第1凸部は、軸方向で前記被覆部と重なる位置に形成されることを特徴とする請求項5記載の防振ブッシュ。
【請求項7】
前記挿入部は、前記第1凸部よりも内周側において前記挿入部の軸方向端面から突出し軸方向視において環状に形成される第2凸部を備え、
前記第2凸部は、前記挿入部の軸方向端面からの突出高さが前記第1凸部よりも高く形成されると共に、前記突出部の内周側に挿入可能に構成され、
前記第1凸部の内周面と前記第2凸部の外周面とが湾曲面で接続されることを特徴とする請求項6記載の防振ブッシュ。
【請求項8】
前記挿入部を前記貫通孔に挿入した場合に、前記補強部材の内縁が前記突出部よりも内周側に位置することを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の防振ブッシュ。
【請求項9】
前記本体部の内周面には、前記ゴム状弾性体よりも摩擦係数の低い低摩擦部が形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の防振ブッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ブッシュに関し、特に、耐久性を向上できる防振ブッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
振動源側の部品と、その振動源を支持する支持側の部品とがボルト及びナットで締結固定される場合に、それらボルト及びナットの各々の座金同士の間にゴム状弾性体の防振ブッシュを介在させる技術がある。この種の防振ブッシュは、振動源側または支持側の被締結部材と座金との間に挟まれて防振機能を発揮する本体部と、被締結部材に形成された貫通孔に挿入される挿入部と、を備える円筒状に形成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、本体部(鍔部33a)と挿入部(挿入部33b)との境界部分に環状の補強部材(鉄板48)を設ける技術が記載されている。この技術によれば、軸方向や径方向の荷重が防振ブッシュに作用した場合に、本体部と挿入部との境界部分に生じる応力を補強部材によって低減できるので、かかる境界部分に亀裂が生じることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05-089828号公報(例えば、段落0009、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術では、補強部材の一部をゴム(薄膜33c)によって覆うことが記載されているが、このように本体部や挿入部の内部に補強部材を埋め込む構成の場合、補強部材の内、加硫成形時に金型に支持される(金型の内面に接触する)部位は、ゴムが接着されない露出部分となる。この場合、上述した従来の技術では、挿入部の軸方向端面から補強部材の一部が露出しているため、軸方向の荷重が繰り返し入力されると、挿入部の軸方向端面と補強部材との界面部分でゴムの剥離が生じ易くなる。よって、防振ブッシュの耐久性が低下するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、耐久性を向上できる防振ブッシュを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の防振ブッシュは、振動源側または支持側のいずれか一方の部品として構成され、貫通孔を有する被締結部材と、その被締結部材の前記貫通孔に挿入される円筒状の筒部材と、その筒部材の軸方向の両端側に配置される一対の座金と、それら一対の座金を挟み込んだ状態で互いに締結されるボルト及びナットと、を有する締結構造において前記一対の座金の間に介在されるゴム状弾性体の防振ブッシュであって、前記ボルト及びナットの締結時に前記被締結部材および前記座金の間で圧縮される本体部と、前記貫通孔に挿入される挿入部と、を備える筒状に形成され、前記ゴム状弾性体よりも剛性が高い環状の補強部材が前記本体部および前記挿入部に埋め込まれ、前記補強部材は、その内縁側の部位を構成し、全体が前記挿入部に被覆される被覆部と、その被覆部よりも前記補強部材の外縁側の部位を構成し、前記本体部の外周面から露出する露出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の防振ブッシュによれば、次の効果を奏する。補強部材の内縁側の部位は、全体が挿入部に被覆される被覆部として構成されるので、挿入部の軸方向端面からは補強部材が露出しない。よって、軸方向の荷重が繰り返し入力されても、挿入部と補強部材(被覆部)との界面で剥離が生じることを抑制できる。即ち、補強部材の外縁側の露出部のみを本体部の外周面から露出させることにより、軸方向の荷重の入力時に比較的応力が生じ難い領域で補強部材を露出させることができる。よって、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の防振ブッシュによれば、請求項1記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。軸方向において本体部側とは反対側に位置する被覆部の端部は、径方向内側に向けて屈曲しているので、軸方向の荷重が入力された時に、補強部材の内周側に向けたゴムの変形を被覆部の屈曲部分によって規制できる。よって、かかるゴムの変形時にゴムと補強部材との界面に生じる応力を低減できるので、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の防振ブッシュによれば、請求項2記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。挿入部は、被覆部の屈曲部分の内周側に位置し挿入部の内周面に凹む内周凹部を備えるので、径方向のばね定数が過剰に大きくなることを抑制できる。即ち、請求項2にように、被覆部の端部を径方向内側に向けて屈曲させた場合、軸方向の荷重が入力された時に補強部材の内周側へ向けたゴムの変形を規制できる一方で、かかる屈曲部分を形成することで径方向のばね定数が過剰に高くなることがある。これに対して請求項3では、被覆部の屈曲部分の内周側に内周凹部が形成されるので、径方向のばね定数が過剰に高くなることを抑制できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の防振ブッシュによれば、請求項1から3のいずれかに記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。本体部は、挿入部側に近づくにつれて外径が徐々に大きく形成されるので、圧縮状態における本体部の外径を軸方向にわたって一定にし易くできる。
【0012】
即ち、本体部が圧縮される場合、補強部材が埋め込まれる領域のゴムは径方向外側に向けて変形し難いため、例えば、圧縮される前の状態で本体部の外径が軸方向にわたって一定であると、本体部が圧縮された時に、補強部材が埋め込まれていない領域のみが径方向外側に向けて膨らむように変形する。このように一部の領域のみが膨らむように変形すると、その変形部分に応力が集中し易くなり、防振ブッシュの耐久性が低下する。これに対して請求項4によれば、圧縮状態における本体部の外径を軸方向にわたって一定にし易くできるので、本体部の圧縮時の応力が本体部の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【0013】
請求項5記載の防振ブッシュによれば、請求項1から4のいずれかに記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。貫通孔の内周面から筒部材側に向けて突出する環状の突出部が被締結部材に形成される場合に、軸方向において突出部と重なる位置に被覆部が配置されるので、軸方向の荷重が入力された時に、貫通孔の内部に向けた防振ブッシュの変位(ゴムの変形)を突出部と被覆部との引っ掛かりによって規制できる。よって、軸方向のばね定数を向上できるという効果がある。
【0014】
請求項6記載の防振ブッシュによれば、請求項5記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。挿入部は、その軸方向端面から突出し軸方向視において環状に形成される第1凸部を備える。第1凸部は、軸方向で被覆部と重なる位置に形成されるので、本体部の圧縮状態においては、被覆部と被締結部材の突出部とによって挟まれることで第1凸部も圧縮される。これにより、被覆部と突出部との間に挟まれるゴムが劣化して弾性力が低下した場合であっても、圧縮された第1凸部が復元することによって被締結部材の突出部との接触状態を維持できる。よって、軸方向の荷重が繰り返し入力された時に、挿入部と突出部とが接触および離隔を繰り返すことを抑制できるので、かかる繰り返しの接触による異音の発生を抑制できるという効果がある。
【0015】
請求項7記載の防振ブッシュによれば、請求項6記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。挿入部は、第1凸部よりも内周側において挿入部の軸方向端面から突出し軸方向視で環状に形成される第2凸部を備える。第2凸部は、挿入部の軸方向端面からの突出高さが第1凸部よりも高く形成され、この第2凸部が突出部の内周側に挿入されるため、軸方向の荷重が繰り返し入力されると、第1凸部と第2凸部との間の領域に応力が集中して亀裂が生じ易くなる。これに対して請求項7では、第1凸部の内周面と第2凸部の外周面とが湾曲面で接続されるので、軸方向の荷重が繰り返し入力されても、第1凸部と第2凸部との間の領域に応力が集中して亀裂が生じることを抑制できる。よって、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【0016】
請求項8記載の防振ブッシュによれば、請求項5から7のいずれかに記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。挿入部を被締結部材の貫通孔に挿入した場合に、補強部材の内縁が突出部よりも内周側に位置するので、軸方向の荷重が入力された時に、突出部の内周側に向けたゴムの変形を補強部材の内縁部分で規制できる。これにより、第2凸部が突出部の内周側に押し込まれることを抑制できるので、軸方向の荷重が繰り返し入力されても、第1凸部と第2凸部との間の領域に応力が集中して亀裂が生じることを抑制できる。よって、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【0017】
請求項9記載の防振ブッシュによれば、請求項1から8のいずれかに記載の防振ブッシュの奏する効果に加え、次の効果を奏する。本体部の内周面には、ゴム状弾性体よりも摩擦係数の低い低摩擦部が形成されるので、筒部材の外周面と本体部の内周面との間の摩擦抵抗を低減できる。これにより、軸方向の荷重が繰り返し入力された時に、筒部材の外周面との間の摩擦によって本体部の内周面が摩耗することを抑制できるので、防振ブッシュの耐久性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態における防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットの締結前の状態を示す断面図である。
【
図2】防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットを締結した状態を示す断面図である。
【
図4】(a)は、
図3の矢印IVa方向視における防振ブッシュの上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線における防振ブッシュの断面図である。
【
図5】(a)は、第2実施形態の防振ブッシュの断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の矢印Vb方向視における防振ブッシュの部分側面図である。
【
図6】第3実施形態における防振ブッシュの斜視図である。
【
図7】(a)は、
図6の矢印VIIa方向視における防振ブッシュの上面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の矢印VIIb方向視における防振ブッシュの側面図である。
【
図8】防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットの締結前の状態を示す断面図である。
【
図9】防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットを締結した状態を示す断面図である。
【
図10】(a)は、第4実施形態の防振ブッシュの断面図であり、
図10(b)は、
図10(a)の矢印Xb方向視における防振ブッシュの部分側面図である。
【
図11】(a)は、第5実施形態における防振ブッシュの斜視図であり、
図11(b)は、補強部材の斜視図である。
【
図12】(a)は、
図11の矢印XIIa方向視における防振ブッシュの上面図であり、
図12(b)は、
図12(a)のXIIb-XIIb線における防振ブッシュの断面図である。
【
図13】防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットの締結前の状態を示す断面図である。
【
図14】防振ブッシュを用いた締結構造において、ボルト及びナットを締結した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、第1実施形態の防振ブッシュ10を用いた締結構造1について説明する。
図1は、第1実施形態における防振ブッシュ10を用いた締結構造1において、ボルトB及びナットNの締結前の状態を示す断面図であり、
図2は、防振ブッシュ10を用いた締結構造1において、ボルトB及びナットNを締結した状態を示す断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の防振ブッシュ10を用いた締結構造1は、エンジンなどの振動源側の部品(又は、振動源の防振を行う防振装置を構成する部品)である板状の振動側部材2を備えている。なお、本実施形態では、振動側部材2がナットNの座金として機能しているが、振動側部材2が座金と別部材である(座金を別途設ける)構成でも良い。
【0021】
上記の振動源を支持する支持側部材3は、車体フレーム等によって構成されており、この支持側部材3に振動側部材2がボルトB及びナットNによって締結固定される。板状の支持側部材3には貫通孔3aが形成されており、この貫通孔3aには円筒状の筒部材4が挿入される。筒部材4の軸O方向端部(
図1の下側の端部)からは、環状のフランジ部4aが径方向外側に向けて張り出しており、このフランジ部4aは、ボルトBの頭部の座金として機能する部位である。
【0022】
筒部材4のフランジ部4a側から挿入されたボルトBを、支持側部材3の貫通孔3aと振動側部材2の貫通孔2aとに挿入し、振動側部材2の貫通孔2aから突出するボルトBの軸部にナットNを締結することにより、振動側部材2と支持側部材3とが締結される。そして、本実施形態の締結構造1では、かかるボルトB及びナットNの締結状態において、振動側部材2と支持側部材3との間、及び、支持側部材3と筒部材4のフランジ部4aとの間に一対の防振ブッシュ10が挟み込まれる。
【0023】
防振ブッシュ10は、振動側部材2(フランジ部4a)と支持側部材3との間に挟まれる本体部20と、支持側部材3の貫通孔3aに挿入される挿入部30と、を備える。本体部20は円筒状に形成されており、この本体部20の軸O方向端部から円筒状の挿入部30が突出している。これら本体部20及び挿入部30がゴム状弾性体を用いて一体に形成されることにより、円筒状の防振ブッシュ10が構成される。
【0024】
挿入部30の外径は、支持側部材3の貫通孔3aの内径と同一、又はそれよりも僅かに大きく形成されており、貫通孔3aに挿入部30が挿入可能に構成される。一方、本体部20の外径は、支持側部材3の貫通孔3aの内径よりも大きく形成されているため、挿入部30を貫通孔3aに挿入した際には、支持側部材3(貫通孔3a側の縁部)に本体部20が引っ掛かるように構成される。
【0025】
また、本体部20及び挿入部30の内径は、筒部材4の外径と同一、又はそれよりも僅かに小さく形成されており、本体部20及び挿入部30の内周側に筒部材4が挿入可能に構成される。よって、支持側部材3の貫通孔3aの縁部に引っ掛けた一対の防振ブッシュ10に筒部材4及びボルトBを挿入し、振動側部材2の貫通孔2aから突出するボルトBにナットNを締結することにより、振動側部材2(フランジ部4a)と支持側部材3とによって防振ブッシュ10が押し潰されて予圧縮が付与される(
図2参照)。
【0026】
なお、以下の説明においては、振動側部材2(フランジ部4a)と支持側部材3とによって防振ブッシュ10が圧縮された状態を「防振ブッシュの組み付け状態」と記載して説明するが、後述する第2~5実施形態においても同様とする。
【0027】
図2に示すように、防振ブッシュ10の本体部20や挿入部30に予圧縮を付与することにより、軸O方向や径方向での荷重(振動)が入力された場合には、予圧縮された本体部20及び挿入部30が元の形に復元する。よって、その荷重(振動)の入力時おいても、振動側部材2、支持側部材3及び筒部材4の各部材に防振ブッシュ10を密着させることができる。よって、かかる各部材と防振ブッシュ10とが離隔および接触を繰り返して異音が生じることを抑制できると共に、振動側部材2から支持側部材3に伝達される振動を防振ブッシュ10によって低減(減衰)できる。
【0028】
次いで、
図3及び
図4を参照して防振ブッシュ10の詳細構成について説明するが、
図1,2も適宜参照しながら説明する。
図3は、防振ブッシュ10の斜視図であり、
図4(a)は、防振ブッシュ10の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線における防振ブッシュ10の断面図である。
【0029】
図3及び
図4に示すように、防振ブッシュ10の本体部20には、軸O方向において挿入部30とは反対側の端面21に凸部40が形成される。凸部40は、端面21から軸O方向に突出する突起であり、凸部40は、周方向等間隔に複数(本実施形態では、4個)が並べて形成される。
【0030】
凸部40は、本体部20の内周面22に沿って突出するように形成される。即ち、凸部40の内周面41は、本体部20の内周面22に沿うように形成されており、軸Oに沿う平面で切断した断面視において(
図4(b)参照)、凸部40の内周面41と本体部20の内周面22とが直線状に形成される。よって、振動側部材2(フランジ部4a)と支持側部材3とによって凸部40が圧縮される際には(
図1,2参照)、凸部40を筒部材4の外周面に接触させることができる。即ち、凸部40を筒部材4に沿わせながら圧縮できるので、凸部40の高さを比較的高く形成した場合であっても、圧縮時における凸部40の倒れを筒部材4によって規制できる。なお、「比較的高く形成する」とは、例えば、本体部20からの挿入部30の突出寸法(挿入部30の軸O方向寸法)以上の高さで凸部40を形成することである。
【0031】
凸部40のうち、周方向を向く一対の側面42は、互いの間隔が外周側に近づくにつれて徐々に広くなるように形成される。即ち、周方向における凸部40の幅寸法D1(
図4(a)参照)は、内周側から外周側にかけて徐々に大きく形成されるので、凸部40の外周側におけるゴムボリュームを確保できる。これにより、凸部40が圧縮される時に、外周側に向けて凸部40が倒れることを抑制できる。
【0032】
また、凸部40の外周面43は、本体部20の外周面に近づくにつれて拡径するテーパ状に形成され、このテーパ状の外周面43が本体部20の外周面に接続されている。よって、凸部40の径方向の厚み寸法D2(
図4(b)参照)は、本体部20に近づくにつれて徐々に大きく形成される。これにより、凸部40が圧縮される時に凸部40が外周側に向けて倒れることを抑制できる。
【0033】
また、凸部40の軸O方向における端面44は、軸Oに直交する(径方向に延びる)平面であるので、凸部40が圧縮される時の力が軸O方向に加わり易くなる。よって、凸部40が圧縮される時に、外周側に向けて凸部40が倒れることを抑制できる。
【0034】
このように、圧縮時の凸部40の倒れを防止することにより、凸部40を適切に圧縮できるので、凸部40の圧縮時の応力が凸部40や本体部20の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ10の耐久性を向上できる。
【0035】
図4(b)の拡大部分に示すように、本体部20の内周面22には、防振ブッシュ10を構成するゴム状弾性体よりも摩擦係数の低い低摩擦部24が形成される。この低摩擦部24は、フッ素樹脂であるテフロン(登録商標)のシート(メッシュや布)を本体部20に加硫接着することや、本体部20の内周側にテフロン(登録商標)のコーティングを施すことによって形成される。但し、防振ブッシュ10を構成するゴム状弾性体よりも摩擦係数を低減できるものであれば、他の加工方法によって低摩擦部24を形成しても良い。
【0036】
このように、本体部20の内周面22に低摩擦部24を形成することにより、筒部材4(
図1参照)の外周面と本体部20の内周面22との間の摩擦抵抗を低減できる。これにより、防振ブッシュ10の組み付け状態(
図2の状態)で軸O方向の荷重(振動)が繰り返し入力された時に、筒部材4の外周面との間の摩擦によって本体部20の内周面22が摩耗することを抑制できるので、防振ブッシュ10の耐久性を向上できる。更に、筒部材4の外周面と本体部20の内周面22との摩擦に起因する異音の発生を抑制できる。
【0037】
なお、図示は省略するが、この低摩擦部24に相当する構成は、挿入部30の内周面や、凸部40の内周面41にも形成されているので、筒部材4の外周面との間の摩擦抵抗を低減できる。これにより、防振ブッシュ10の組み付け状態(
図2の状態)で軸O方向の荷重(振動)が繰り返し入力された時に、筒部材4の外周面との間の摩擦によって挿入部30や凸部40が摩耗することを抑制できると共に、かかる摩擦に起因する異音の発生を抑制できる。更に、
図1に示す状態から凸部40を圧縮させる時に、筒部材4の外周面に対して凸部40が滑り易くなるので、凸部40を適切に圧縮できる。
【0038】
ここで、
図2に矢印Aで示すように、防振ブッシュ10の組み付け状態で軸O方向の荷重が入力されると、本体部20や凸部40のゴムの変形により、挿入部30が支持側部材3の貫通孔3aの内部に向けて押し込まれる。この時、本体部20と挿入部30との境界P1に応力が集中し、亀裂が生じ易くなる。この亀裂を抑制する第2実施形態の構成について、
図5を参照して説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
図5(a)は、第2実施形態の防振ブッシュ210の断面図であり、
図5(b)は、
図5(a)の矢印Vb方向視における防振ブッシュ210の部分側面図である。なお、
図5(a)では、軸Oに沿う平面で切断した断面を図示しており、
図5(b)では、溝225の底面(頂点)を破線で図示している。
【0040】
図5(a)に示すように、防振ブッシュ210は、本体部20に形成される溝225を備える。溝225は、軸O方向における本体部20の端面23(挿入部30側に位置する端面23)に凹む環状の溝である。溝225は、挿入部30の外周面に沿って凸部40側に向けて凹んでいる。即ち、溝225は、挿入部30の外周面に隣接して形成されるので、本体部20と挿入部30との境界P1(
図2参照)に生じる応力を溝225によって低減できる。よって、防振ブッシュ210の耐久性を向上できる。
【0041】
図5(b)に示すように、溝225は、溝底面が凸部40側に向けて凸の湾曲形状である湾曲部225aを備えている。図示は省略するが、湾曲部225aは、周方向等間隔に複数(本実施形態では、溝225の4か所に)形成されており、それら複数の湾曲部225aの周方向端部同士が直線部225bによって接続される。直線部225bは、溝225の深さが周方向に沿って一定となっている部位である。
【0042】
即ち、凸部40が圧縮される前の状態における溝225の深さ(端面23からの深さ)は、軸O方向で凸部40と重なる領域で深くなる一方、軸O方向で凸部40と重ならない他の領域で浅く形成される。よって、凸部40が圧縮される時のゴムの変形を、溝225の深さが深い湾曲部225aで受け入れることができる。これにより、凸部40の圧縮後における溝225の深さを、周方向にわたって均一にできる(凸部40の圧縮によって溝225が塞がることを抑制できる)。よって、本体部20と挿入部30との境界P1(
図2参照)に生じる応力を溝225によって効果的に低減できる。
【0043】
図1及び
図2に戻って説明する。振動側部材2(筒部材4のフランジ部4a)と支持側部材3との間で本体部20及び凸部40が圧縮される場合、凸部40が形成される領域でゴムの変形量が多くなる。よって、凸部40が圧縮された状態(
図2の状態)では、軸Oと直交する方向で切断した本体部20の断面形状は、真円ではなく、凸部40の形成領域のみが膨らむ歪んだ形状になり易い。この膨らみ部分に応力が集中し易いため、防振ブッシュ10の耐久性が低下するという問題点がある。更に、凸部40の圧縮によって本体部20の一部の領域のみが膨らむと、その膨らみ部分が周囲の他部品に干渉することがある。この干渉を抑制するためには、防振ブッシュ10の配置スペースを増大させる必要がある。
【0044】
また、凸部40が圧縮された場合、支持側部材3と本体部20との接触部分P2の摩擦力が大きくなるため、かかる圧縮状態で径方向の荷重が入力されると、支持側部材3との間の摩擦によって本体部20が損傷し易くなるという問題点がある。
【0045】
これらの問題点を解決する第3実施形態の防振ブッシュ310について、
図6~9を参照して説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図6は、第3実施形態における防振ブッシュ310の斜視図であり、
図7(a)は、
図6の矢印VIIa方向視における防振ブッシュ310の上面図であり、
図7(b)は、
図7(a)の矢印VIIb方向視における防振ブッシュ310の側面図である。
図8は、防振ブッシュ310を用いた締結構造1において、ボルトB及びナットNの締結前の状態を示す断面図であり、
図9は、防振ブッシュ310を用いた締結構造1において、ボルトB及びナットNを締結した状態を示す断面図である。なお、
図8に示す防振ブッシュ310の断面は、
図7(a)のVIII-VIII線における断面に相当する。
【0047】
図6及び
図7に示すように、第3実施形態の防振ブッシュ310の本体部20には、軸O方向における挿入部30とは反対側の端面に凸部340が形成される。凸部340は、本体部20から軸O方向に突出する突起であり、凸部340は、周方向等間隔に複数(本実施形態では、4個)並べて形成される。なお、本実施形態では、複数の凸部340の間に位置する部位を凹部360として説明する。この凹部360の底面は第1実施形態の本体部20の端面21に相当する。
【0048】
凸部340は、本体部20の内周面22に沿って突出するように形成される。即ち、凸部340の内周面341は、本体部20の内周面22に沿うように形成されており、
図8に示すように、軸Oに沿う平面で切断した断面視において、凸部340の内周面341と本体部20の内周面22とが直線状に形成される。よって、振動側部材2(筒部材4のフランジ部4a)と支持側部材3とによって凸部340が圧縮される際には、筒部材4の外周面に沿わせながら凸部340を圧縮できる。よって、凸部340の高さを比較的高く形成した場合であっても、凸部340に予圧縮を適切に付与できる。
【0049】
また、凸部340の軸O方向端面(先端面)が湾曲面であるので、振動側部材2(筒部材4のフランジ部4a)と凸部340の軸O方向端面との接触面積を低減できる。これにより、防振ブッシュ310の組み付け状態(
図9の状態)において本体部20や凸部340のゴムが劣化して弾性力が低下し、仮に、凸部340と振動側部材2とが接触および離隔を繰り返したとしても、かかる繰り返しの接触によって生じる異音を低減できる。
【0050】
図6及び
図7に示すように、複数の凸部340同士は、凹部360によって接続されており、凹部360は、本体部20の外周面から内周面22にかけて径方向に延びている。この凹部360は、挿入部30側に向けて凹む湾曲面であるため、凸部340が圧縮された時の応力が凸部340同士の間の領域、即ち、凹部360の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。
【0051】
本体部20の外周面には、本体部20の端面23から凸部340の外周面にかけて軸O方向に延びる外周凹部326が形成され、外周凹部326は、軸O側に向けて凹む湾曲面によって構成される。この外周凹部326が形成されることにより、軸O方向で凸部340と重なる領域における本体部20の径方向の厚み寸法D3が、他の領域の厚み寸法D4よりも薄く形成される。これにより、図示は省略するが、防振ブッシュ310の組み付け状態(
図9の状態)において、本体部20の一部の領域(凸部340が形成される領域)のみが径方向外側に膨らむことを抑制できる。即ち、凸部340の圧縮状態における本体部20の断面(軸Oと直交する平面における断面)形状を真円に近付けることができる。
【0052】
本体部20の径方向の厚み寸法D3,D4は、周方向における凸部340同士の間の中間位置(D4で示す位置)で最も厚く形成され、かかる中間位置から軸O方向で凸部340と重なる位置(D3で示す位置)にかけて徐々に薄くなるように構成される。これにより、凸部340の圧縮状態(
図9の状態)において、本体部20の一部の領域みが径方向外側に向けて膨らむことをより効果的に抑制できる。
【0053】
このように、凸部340の圧縮状態における本体部20の断面形状を真円に近付けることにより、凸部340の圧縮時の応力が本体部20の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。更に、本体部20の周方向における一部の領域のみが膨らむように変形する場合に比べ、圧縮後の本体部20が周囲の他部品に干渉することを抑制できる。よって、防振ブッシュ310の配置スペースを低減できる。
【0054】
また、本体部20及び凸部340の内周面22,341には、第1実施形態の低摩擦部24(
図4(b)参照)に相当する加工が施されている。これにより、
図8の状態から凸部340を圧縮させる時に、本体部20及び凸部340が筒部材4に対して滑り易くなるので、意図した形状に本体部20が圧縮され易くなる。よって、凸部340の圧縮状態(
図9の状態)における本体部20の径方向の厚み寸法を、周方向にわたってより一定にし易くできる。また、筒部材4の外周面との間の摩擦によって、本体部20及び凸部340の内周面22,341が摩耗することを抑制できるので、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。更に、筒部材4の外周面と、本体部20及び凸部340の内周面22,341との摩擦に起因する異音の発生を抑制できる。
【0055】
図7(b)に示すように、挿入部30側における本体部20の端面23には、凸部340側に向けて凹む凹部327が形成され、凹部327は、本体部20の外周面から挿入部30の外周面(端面23の内縁)にかけて径方向に延びている。よって、
図8に示すように、凸部340が圧縮される前の状態においては、凹部327によって支持側部材3と本体部20との間に空間S1が形成される。これにより、本体部20が圧縮される時のゴムの変形を、支持側部材3と本体部との間の空間S1(凹部327)で受け入れることができる。よって、
図9に示す本体部20の圧縮状態において、支持側部材3に作用する荷重、即ち、支持側部材3と本体部20との接触部分の摩擦力を低減できる。従って、防振ブッシュ310の組み付け状態(
図9の状態)で径方向の荷重が入力された時に、支持側部材3との摩擦によって本体部20が損傷することを抑制できるので、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。
【0056】
図示は省略するが、凹部327は、周方向等間隔に複数形成されており、それら複数の凹部327の各々は、複数の凸部340と軸O方向で重なる位置に形成される。これにより、
図8及び
図9に示すように、凸部340が圧縮される時のゴムの変形を、支持側部材3と本体部20との間の空間S1(凹部327)で受け入れることができる。よって、凸部340の圧縮による応力が本体部20の一部に集中することを抑制できるので、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。
【0057】
図7(b)に示すように、凹部327の深さD5は、軸O方向で凸部340と重なる位置で最も深く形成されており、凸部340が圧縮される時のゴムの変形が凹部327に受け入れられ易くなっている。これにより、凸部340の圧縮による応力が本体部20の一部に集中することをより効果的に抑制できる。
【0058】
また、凹部327は、凸部340側に向けて凹む湾曲面であるので、本体部20の圧縮時の応力が凹部327の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。
【0059】
なお、本実施形態では、本体部20の端面23のうち、凹部327が形成されていない部位が平坦面となっているが、この平坦面を、挿入部30側(
図7(b)の下側)に向けて凸の湾曲面として構成しても良い。これにより、本体部20の端面23が波形の凹凸形状になるので、本体部20の圧縮時の応力が端面23の一部に集中することをより効果的に抑制できる。
【0060】
図8に示すように、防振ブッシュ310は、支持側部材3を挟んで一対に設けられるため、それら一対の防振ブッシュ310の挿入部30同士が貫通孔3aの内部で対面する。この場合、第1実施形態の挿入部30のように(
図1参照)、挿入部30の軸O方向における端面が平坦面であると、本体部20が圧縮された時のゴムの変形によって一対の端面31同士が接触することがある(
図2参照)。このように挿入部30の端面31同士が接触すると、その接触部分に応力が集中し易くなるという問題点や、軸O方向のばね定数が悪化する(過剰に大きくなる)という問題点がある。
【0061】
これに対して本実施形態では、
図7(b)に示すように、挿入部30の端面31には、周方向に並ぶ複数の凹部32が形成され、凹部32は、挿入部30の外周面から内周面にかけて径方向に延びている。これにより、
図8に示すように、凸部340の圧縮前の状態において、一対の挿入部30同士の間にゴムの変形を受け入れるための空間S2を形成できる。この空間S2を形成する凹部32は、軸O方向において凸部340と重なる位置に形成されるので、凸部340が圧縮される時のゴムの変形を、挿入部30の端面31同士の間の空間S2(凹部32)で受け入れることができる(
図8,9参照)。よって、凸部340の圧縮時に挿入部30の端面31同士が接触することを抑制できるので、かかる接触によって挿入部30の一部に応力が集中することや、軸O方向のばね定数が悪化する(過剰に大きくなる)ことを抑制できる。
【0062】
ここで、上述した通り、凸部340が圧縮される時のゴムの変形が本体部20の凹部327で受け入れられるため、凹部327が形成される領域では、挿入部30が貫通孔3aの内部に押し込まれ易い。よって、かかる領域では、凸部340の圧縮時に一対の挿入部30の端面31同士が接触し易くなる。
【0063】
これに対して本実施形態では、挿入部30の凹部32は、周方向において本体部20の凹部327と同位相となる位置に形成される。つまり、
図7(b)に示すように、防振ブッシュ310を径方向視した場合に、本体部20の凹部327と挿入部30の凹部32とが軸O方向で並ぶ位置に形成される。これにより、
図8及び
図9に示すように、本体部20が圧縮される時(ゴムの変形を凹部327で受け入れた時)のゴムの変形を、挿入部30の凹部32で受け入れることができる。これにより、本体部20の圧縮時に挿入部30の端面31同士が接触することを効果的に抑制できる。
【0064】
図7(b)に示すように、本体部20の凹部327の深さD5は、挿入部30の凹部32の深さD6よりも深く形成される。また、本体部20の凹部327の周方向における幅寸法D7は、挿入部30の凹部32の周方向における幅寸法D8よりも大きく形成される。これにより、凸部340が圧縮される時のゴムの変形を、主に本体部20の凹部327で受け入れることができる。よって、その分、挿入部30の凹部32を小さく形成してゴムボリュームを確保しつつ、凸部340の圧縮状態(
図9の状態)で挿入部30の端面32同士が接触することを抑制できる。
【0065】
挿入部30のゴムボリュームを確保することにより、防振ブッシュ310の組み付け状態(
図9の状態)で径方向の荷重(振動)が繰り返し入力されても、挿入部30が早期に劣化することを抑制できる。
【0066】
また、凹部32は、本体部20側に向けて凹む湾曲面であるため、本体部20が圧縮された時の応力が凹部32の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ310の耐久性を向上できる。
【0067】
次いで、
図10を参照して、第4実施形態の防振ブッシュ410について説明する。
図10(a)は、第4実施形態の防振ブッシュ410の断面図であり、
図10(b)は、
図10(a)の矢印Xb方向視における防振ブッシュ410の部分側面図である。なお、
図10(a)では、軸Oに沿う平面で切断した断面を図示しており、
図10(b)では、溝425の底面(頂点)を破線で図示している。
【0068】
図10(a)に示すように、防振ブッシュ410は、本体部20に形成される溝425を備える。溝425は、本体部20の端面23に凹む環状の溝である。溝425は、挿入部30の外周面に沿って凸部340側に向けて凹んでいる。即ち、溝425は、挿入部30の外周面に隣接して形成されるので、本体部20と挿入部30との境界に生じる応力を溝425によって低減できる。よって、防振ブッシュ410の耐久性を向上できる。
【0069】
図10(b)に示すように、溝425は、溝底面が凸部340側に向けて凸の湾曲形状である湾曲部425aと、その湾曲部425aに周方向で接続される直線部425bと、を備える。図示は省略するが、湾曲部425aは、周方向等間隔に複数(本実施形態では、溝425の4か所に)形成されており、それら複数の湾曲部425aの周方向端部同士が直線部425bによって接続される。直線部425bは、溝425の深さが周方向に沿って一定となっている部位である。
【0070】
即ち、溝425は、本体部20の凹部327に対応する湾曲形状に形成されており、凸部340が圧縮される前の状態における溝425の深さは、周方向にわたって一定に形成されている。よって、凸部340が圧縮された後の状態においても、溝425の深さを周方向にわたって均一にできる。よって、本体部20と挿入部30との境界に生じる応力を溝425によって効果的に低減できる。
【0071】
このように、本体部20と挿入部30との境界に生じる応力を溝425によって低減することも可能であるが、かかる境界部分に補強部材を設けることでも応力の低減が可能である。この構成を備える第5実施形態の防振ブッシュ510について、
図11~14を参照して説明する。
【0072】
図11(a)は、第5実施形態における防振ブッシュ510の斜視図であり、
図11(b)は、補強部材570の斜視図であり、
図12(a)は、
図11の矢印XIIa方向視における防振ブッシュ510の上面図であり、
図12(b)は、
図12(a)のXIIb-XIIb線における防振ブッシュ510の断面図である。
図13は、防振ブッシュ510を用いた締結構造501において、ボルトB及びナットNの締結前の状態を示す断面図であり、
図14は、防振ブッシュ510を用いた締結構造501において、ボルトB及びナットNを締結した状態を示す断面図である。
【0073】
図11及び
図12に示すように、第5実施形態の防振ブッシュ510の本体部20には、軸O方向における挿入部30とは反対側の端面に凸部540が形成される。凸部540は、本体部20から軸O方向に突出する突起であり、凸部540は、周方向等間隔に複数(本実施形態では、4個)並べて形成される。なお、本実施形態においても、複数の凸部540の間に位置する部位を凹部560として説明する。この凹部560の底面は第1実施形態の本体部20の端面21に相当する。
【0074】
凸部540は、本体部20の内周面22に沿って突出するように形成される。即ち、凸部540の内周面541は、本体部20の内周面22に沿うように形成されており、軸Oに沿う平面で切断した断面視において(
図12参照)、凸部540の内周面541と本体部20の内周面22とが直線状に形成される。よって、振動側部材2(筒部材4のフランジ部4a)と支持側部材3とによって凸部540が圧縮される際には(
図13及び
図14参照)、筒部材4の外周面に沿わせながら凸部540を圧縮できる。よって、凸部540の高さを比較的高く形成した場合であっても、凸部540に予圧縮を適切に付与できる。
【0075】
凸部540は、本体部20からの突出高さが比較的低い複数(本実施形態では、4個)の凸部540aと、それら複数の凸部540aの間に形成される複数(本実施形態では、4個)の凸部540bとから構成される。
【0076】
本体部20からの凸部540bの突出高さは、凸部540aよりも高いので、凸部540bの圧縮量を多く(圧縮長さを長く)確保できる。これにより、凸部540bの圧縮状態(
図14の状態)から本体部20のゴムが劣化して弾性力が低下した場合であっても、圧縮された凸部540bが復元することによって振動側部材2や筒部材4のフランジ部4aとの接触状態を維持し易くできる。
【0077】
また、複数の凸部540b同士の間の領域に形成される凸部540aも圧縮されるので(
図13及び
図14参照)、予圧縮によって生じる応力が凸部540bの形成領域のみに集中することを抑制できる。言い換えると、防振ブッシュ510の組み付け状態(
図14の状態)において、凸部540a,540bの圧縮によって生じる反力(ばね力)を周方向にわたって均一にできる。
【0078】
軸O方向における凸部540bの端面544bの面積は、凸部540aの端面544aの面積よりも小さく形成されるので、振動側部材2(
図13及び
図14参照)や筒部材4のフランジ部4aと、凸部540bの端面544bとの接触面積を低減できる。これにより、凸部540bの圧縮状態(
図14の状態)から本体部20のゴムが劣化して弾性力が低下し、仮に、凸部540bと振動側部材2とが接触および離隔を繰り返したとしても、かかる繰り返しの接触によって生じる異音を低減できる。
【0079】
凸部540a,540bの端面544a,544bは、軸Oに直交する平面であるので、凸部540a,540bが圧縮される時の力が軸O方向に加わり易くなる。よって、凸部540a,540bが圧縮される時に、外周側に向けて凸部540a,540bが倒れることを抑制できる。
【0080】
周方向における凸部540aの幅寸法は、内周側から外周側にかけて徐々に大きく形成される。これにより、凸部540aが圧縮される時に外周側に向けて倒れることを抑制できる。
【0081】
複数の凸部540同士は、凹部560によって接続されており、凹部560は、本体部20の外周面から内周面22にかけて径方向に延びている。この凹部560は、挿入部30側に向けて凹む湾曲面であるため、凸部540が圧縮された時(
図14の状態)の応力が凸部540同士の間の領域、即ち、凹部560の一部に集中することを抑制できる。よって、防振ブッシュ510の耐久性を向上できる。
【0082】
また、図示は省略するが、本体部20及び凸部540の内周面22,541には、第1実施形態の低摩擦部24(
図4(b)参照)に相当する加工が施されている。これにより、凸部540の圧縮時に本体部20及び凸部540が筒部材4(
図13及び
図14参照)に対して滑り易くなるので、凸部540を適切に圧縮することができる。更に、筒部材4の外周面と、本体部20及び凸部540の内周面22,541との摩擦に起因する異音の発生を抑制できる。
【0083】
本体部20及び挿入部30の内部には、補強部材570が埋め込まれる。補強部材570は、防振ブッシュ510を構成するゴム状弾性体よりも剛性が高い材料、例えば、樹脂や金属などを用いて環状に形成される。補強部材570は、その内縁側の部位を構成する環状の被覆部571と、その被覆部571の外縁側から本体部20側に向けて延びつつ径方向外側に張り出す露出部572と、を備え、それら被覆部571及び露出部572が一体に形成される。
【0084】
被覆部571は、その全体が挿入部30に被覆されるため、挿入部30の端面31からは補強部材570が露出しない。よって、防振ブッシュ510の組み付け状態(
図14の状態)で軸O方向や径方向の荷重(振動)が繰り返し入力されても、挿入部30と補強部材570(被覆部571)との界面で剥離が生じることを抑制できる。
【0085】
一方、補強部材570の外縁部分を構成する露出部572は、その一部が本体部20の外周面から露出するように構成される。この露出部分では、軸O方向における露出部572の両端面と、露出部572の外周面とが本体部20から露出する。この露出部572の露出部分は、防振ブッシュ510の金型成形時において、金型の内面に支持される(上型および下型によって挟まれる)部位である。
【0086】
このように、本実施形態では、補強部材570の外縁部分を構成する露出部572の一部を本体部20の外周面から露出させる一方、露出部572の一部を除く補強部材570の他の部位(被覆部571)の全体を本体部20及び挿入部30に埋め込む構成である。これにより、軸O方向の荷重(振動)の入力時に応力が生じ難い領域で、補強部材570を本体部20から露出させることができる。よって、補強部材570の露出部分(露出部572の一部)と本体部20との界面で剥離が生じることを抑制できるので、防振ブッシュ510の耐久性を向上できる。
【0087】
軸O方向において本体部20側とは反対側(
図12(b)の下側)に位置する被覆部571の端部は、径方向内側に向けて屈曲している。即ち、軸Oに沿う平面で切断した断面視において、被覆部571がL字状に形成され、補強部材570が全体として略S字状(クランク状)に形成される。これにより、防振ブッシュ510の組み付け状態(
図14の状態)で軸O方向の荷重が入力された時に、補強部材570の内周側に向けたゴムの変形を被覆部571の屈曲部分によって規制できる。よって、かかるゴムの変形時にゴムと補強部材570との界面に生じる応力を低減できるので、防振ブッシュ510の耐久性を向上できる。
【0088】
図13及び
図14に示すように、本実施形態の締結構造501では、支持側部材3の貫通孔3aの内部に突出部3bが形成される。突出部3bは、貫通孔3aの内周面から径方向内側に向けて環状に突出しており、突出部3bの内径は、挿入部30の外径よりも小さく形成されている。よって、貫通孔3aに挿入部30を挿入した挿入状態においては、突出部3bに挿入部30が引っ掛かるように構成されている。
【0089】
そして、かかる挿入状態においては、軸O方向で突出部3bと重なる位置に被覆部571が配置されるので、軸O方向の荷重が入力された時に、貫通孔3aの内部に向けた防振ブッシュ510の変位(ゴムの変形)を、突出部3bと被覆部571との引っ掛かりによって規制できる。よって、軸O方向のばね定数を向上できる。
【0090】
また、補強部材570の外径は、貫通孔3aの内径よりも大きく形成されている。よって、貫通孔3aに挿入部30を挿入した挿入状態においては、補強部材570(露出部572)の外縁が貫通孔3aの縁部に引っ掛かるように構成される。これにより、軸O方向の荷重が入力された時に、貫通孔3aの内部に向けた防振ブッシュ510の変位(ゴムの変形)を、貫通孔3aの縁部と補強部材570(露出部572)との引っ掛かりによって規制できる。よって、軸O方向のばね定数を向上できる。
【0091】
挿入部30の端面31(
図13参照)からは、第1環状凸部533が突出している。第1環状凸部533は、軸O方向視において環状に形成されると共に、軸O方向で補強部材570の被覆部571と重なる位置に形成される。よって、凸部540(本体部20)の圧縮状態(
図14の状態)においては、被覆部571と支持側部材3の突出部3bとによって挟まれることで第1環状凸部533も圧縮される。
【0092】
これにより、被覆部571と突出部3bとの間に挟まれるゴムが劣化して弾性力が低下した場合であっても、圧縮された第1環状凸部533が復元することによって突出部3bとの接触状態を維持できる。よって、軸O方向の荷重が繰り返し入力された時に、挿入部30と突出部3bとが接触および離隔を繰り返すことを抑制できるので、かかる繰り返しの接触による異音の発生を抑制できる。
【0093】
また、第1環状凸部533よりも内周側には、第2環状凸部534が形成される。第2環状凸部534は、挿入部30の端面31から突出する環状の突起であり、第2環状凸部534は、挿入部30の端面31からの突出高さが第1環状凸部533よりも高く形成される。そして、この第2環状凸部534が突出部3bの内周側に挿入されるため、防振ブッシュ510の組み付け状態(
図14の状態)で軸O方向の荷重(振動)が繰り返し入力されると、第1環状凸部533と第2環状凸部534との間の境界P3(
図14参照)部分に応力が集中して亀裂が生じ易くなる。
【0094】
これに対して本実施形態では、第1環状凸部533の内周面と第2環状凸部534の外周面とが湾曲面で接続される。即ち、第1環状凸部533と第2環状凸部534との間には、かかる湾曲形状に凹む環状の溝が形成されるので、軸O方向の荷重が繰り返し入力されても、第1環状凸部533と第2環状凸部534との境界P3部分に生じる応力を低減できる。
【0095】
また、支持側部材3の突出部3bの内径は、補強部材570の内径よりも大きく形成されており、挿入部30を貫通孔3aに挿入した状態では、補強部材570(被覆部571)の内縁が突出部3bよりも内周側(筒部材4側)に位置するように構成される。これにより、防振ブッシュ510の組み付け状態(
図14の状態)で軸O方向の荷重が入力された時に、突出部3bの内周側に向けたゴムの変形を補強部材570(被覆部571)の内縁部分で規制できる。これにより、第2環状凸部534が突出部3bの内周側に押し込まれることを抑制できるので、軸O方向の荷重が繰り返し入力されても、第1環状凸部533と第2環状凸部534との境界P3部分に生じる応力を効果的に低減できる。
【0096】
ここで、貫通孔3aに挿入部30を挿入した状態では、補強部材570の被覆部571が貫通孔3aの内周面と筒部材4とによって挟まれた状態になる。この場合、上述したように、軸O方向における被覆部571の端部が径方向内側に屈曲していると、径方向のばね定数が過剰に高くなることがある。
【0097】
これに対して本実施形態では、挿入部30は、被覆部571の屈曲部分の内周側に位置する内周凹部535を備える。内周凹部535は、挿入部30の内周面を切り欠くようにして形成される環状の凹みであり、挿入部30の内周面のうち、被覆部571と径方向で重なる領域から挿入部30(第2環状凸部534)の軸O方向端部にかけて内周凹部535が形成される。
【0098】
これにより、凸部540(本体部20)が圧縮される前の状態(
図13の状態)においては、内周凹部535によって筒部材4と挿入部30の内周面との間に空間S3を形成できる。そして、凸部540(本体部20)が圧縮された後の状態(
図14の状態)においては、かかる空間S3にゴムの変形が受け入れられるが、その圧縮状態においても、空間S3が被覆部571の内周側に残るように構成されている。これにより、軸O方向における被覆部571の端部を径方向内側に向けて屈曲させた場合であっても、径方向のばね定数が過剰に大きくなることを抑制できる。
【0099】
ここで、本実施形態のように、本体部20及び挿入部30の内部に補強部材570が埋め込まれる構成の場合、凸部540が圧縮される時に、補強部材570が埋め込まれる領域では径方向外側に向けてゴムが変形し難くなる。よって、例えば、凸部540が圧縮される前の状態(
図13の状態)で本体部20の外径が軸O方向にわたって一定であると、補強部材570が埋め込まれていない領域のみが径方向外側に向けて膨らむように変形し易くなる。このように一部の領域のみが膨らむようにして変形すると、その変形部分に応力が集中し易くなり、防振ブッシュ510の耐久性が低下する。
【0100】
これに対して本実施形態では、本体部20の外径(径方向での厚み寸法)は、挿入部30側に近づくにつれて徐々に大きく形成されるので、凸部540が圧縮された状態(
図14の状態)における本体部20の外径を軸O方向にわたって一定にし易くできる。これにより、凸部540の圧縮時の応力が本体部20の一部に集中することを抑制できるので、防振ブッシュ510の耐久性を向上できる。
【0101】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0102】
上記各実施形態では説明を省略したが、振動側部材2の振動源として構成されるものとしては、電気モータ、ガソリンエンジン、デーゼルエンジン、水素燃料エンジン、水素モータ、又はそれらのハイブリッド(例えば、ガソリンエンジンと電気モータのハイブリッド)が例示され、その振動源を駆動させるエネルギーは化石燃料、水素、又は電気などが例示される。但し、振動源(振動側部材2)と、その振動源を支持する部材(支持側部材3)とがボルトB及びナットNで締結固定されるものであれば、上記各実施形態の防振ブッシュ10,210,310,410,510を適用できるため、振動源(振動側部材2)や、その振動源を支持する部材(支持側部材3)は、以上に説明したものに限定されるものではない。
【0103】
上記各実施形態の防振ブッシュ10,210,310,410,510の本体部20、挿入部30、凸部40,340,540(凹部360,560)、及び補強部材570に相当する構成を、他の実施形態に適用しても良い。よって、例えば、第3実施形態の外周凹部326に相当する構成を第1,2,5実施形態の防振ブッシュ10,210,510に適用することや、第5実施形態の凸部540a,540bに相当する構成を第1~4実施形態の防振ブッシュ10,210,310,410に適用することは当然可能であり、他の構成についても同様である。
【0104】
上記各実施形態では、支持側部材3の貫通孔3aに防振ブッシュ10,210,310,410,510を介して振動側部材2が締結固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振動側部材2の貫通孔2aに防振ブッシュ10,210,310,410,510を介して支持側部材3が締結固定される構成でも良い。
【0105】
上記各実施形態では、凸部40,340,540が4又は8個形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、凸部40,340,540を形成する数は適宜設定できる。
【0106】
上記各実施形態では、本体部20、挿入部30、及び凸部40,340,540のそれぞれの内周面に低摩擦部24が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部20、挿入部30、又は凸部40,340,540のいずれかの内周面のみに低摩擦部24を形成する構成でも良いし、低摩擦部24を省略しても良い。
【0107】
上記第1~4実施形態では、一対の防振ブッシュ10,210,310,410(2部品)の各々の挿入部30が支持側部材3の貫通孔3aに挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対の防振ブッシュ10,210,310,410の挿入部30を繋げるようにして一体的(1部品)に形成しても良い。
【0108】
上記第1~4実施形態では、凸部40,340の径方向の厚み寸法が本体部20に近づくにつれて徐々に大きく形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凸部40,340の径方向の厚み寸法が軸O方向にわたって一定であっても良い。
【0109】
上記第1,2,5実施形態では、凸部40,540aの周方向の厚み寸法が内周側から外周側にかけて徐々に大きく形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凸部40,540aの周方向の厚み寸法は、内周側から外周側にかけて一定であっても良く、徐々に減少していても良い。
【0110】
上記第3~5実施形態では、凸部340,540の間に位置する凹部360,560が湾曲面である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹部360,560の一部を軸Oと直交する平面に形成しても良い。
【0111】
上記第3~5実施形態では、凸部340,540が本体部20の内周面22に沿って突出するように形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部20の軸O方向端面の外縁側に凸部340,540が形成される構成でも良い(内周面22に沿って形成されていなくても良い)し、凸部340,540を省略し、本体部20の軸O方向端面を平面に形成しても良い。
【0112】
上記第3,4実施形態では、本体部20の端面23に形成される凹部327と、挿入部30の端面31に形成される凹部32とが軸O方向で凸部340と重なる位置に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凹部32,327は、軸O方向で凸部340と重ならない位置に形成される構成でも良い(周方向において同位相の位置に形成されていなくても良い)し、凹部32,327を省略して本体部20及び挿入部30の端面23,31を平坦面に形成しても良い。
【0113】
上記第3,4実施形態では、凹部327の深さが凹部32の深さよりも深く、且つ、凹部327の周方向における幅寸法が、凹部32の周方向における幅寸法よりも大きく形成される場合を説明したが、凹部327の深さや幅寸法が凹部32とで同一であっても良いし、凹部32の深さや幅寸法が凹部327よりも大きい構成でも良い。
【0114】
上記第3,4実施形態では、軸O方向で凸部340と重なる領域における本体部20の径方向の厚み寸法が、他の領域に比べて薄く形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部20の径方向の厚み寸法は、周方向にわたって一定であっても良い。
【0115】
また、周方向に並ぶ複数の凹部327を本体部20の端面23(第2端面)に形成した場合、それら複数の凹部327の間に位置する部位が凸部(第2端面の凸部)になるため、この凸部と軸O方向で重なる領域における本体部20の径方向の厚み寸法を、他の領域に比べて薄く形成する構成でも良い。この構成によれば、かかる端面23(第2端面)の凸部の圧縮状態において、本体部20の径方向の厚みを周方向にわたって一定にし易くできるので、凸部の圧縮時の応力が本体部20の一部に集中することを抑制できる。
【0116】
上記第2実施形態では、軸O方向で凸部40と重なる領域における溝225の深さが他の領域に比べて深く形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、溝225の深さは、周方向にわたって一定であっても良い。
【0117】
上記第4実施形態では、溝425の深さが周方向の全周にわたって一定である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、軸O方向で凸部340と重なる領域で溝425の深さを最も深くする構成でも良い。
【0118】
上記第5実施形態では、凸部540aよりも凸部540bの高さが高い場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、凸部540a,540bの高さは同一であっても良く、凸部540bよりも凸部540aの高さを高くしても良い。また、凸部540a,540bの端面544a,544bの面積を同一にしても良く、凸部540aの端面544aよりも凸部540bの端面544bの面積を大きくしても良い。
【0119】
上記第5実施形態では、補強部材570が本体部20及び挿入部30に埋め込まれる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、補強部材570を本体部20又は挿入部30のいずれか一方のみに埋め込む構成でも良いし、補強部材570を省略する構成でも良い。
【0120】
上記第5実施形態では、補強部材570の被覆部571の端部が径方向内側に向けて屈曲している場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、かかる被覆部571の端部を軸O方向に沿う直線状(円筒状)に形成しても良い。
【0121】
上記第5実施形態では、被覆部571の屈曲部分の内周側に内周凹部535が形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内周凹部535を省略しても良い。
【0122】
上記第5実施形態では、本体部20の外径が挿入部30側に近づくにつれて大きく形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、本体部20の外径が軸O方向にわたって一定であっても良い。
【0123】
上記第5実施形態では、締結構造501の支持側部材3に突出部3bが形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、締結構造501の支持側部材3の突出部3bを省略しても良い。
【0124】
また、第1~4実施形態の締結構造501の支持側部材3に突出部3bに相当する構成を適用し、防振ブッシュ10,210,310,410の挿入部30を突出部3bに引っ掛ける構成でも良い。この構成によれば、軸O方向のばね定数を向上できる。
【0125】
上記第5実施形態では、挿入部30の端面31に第1環状凸部533と第2環状凸部534とが形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1環状凸部533又は第2環状凸部534のいずれか一方または両方を省略し、挿入部30の端面31を平面に形成しても良い。
【0126】
上記第5実施形態では、挿入部30を貫通孔3aに挿入した場合に、補強部材570の内縁が突出部3bよりも内周側に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、かかる挿入状態において、補強部材570の内縁が突出部3bの内縁(先端)よりも外周側に位置する(補強部材570の内径が突出部3bの内径よりも大きい)構成でも良い。
【符号の説明】
【0127】
501 締結構造
2 振動側部材(座金)
3 支持側部材(被締結部材)
3a 貫通孔(被締結部材の貫通孔)
3b 突出部
4 筒部材
4a フランジ部(座金)
510 防振ブッシュ
20 本体部
22 本体部の内周面
24 低摩擦部
30 挿入部
31 端面
533 第1環状凸部(第1凸部)
534 第2環状凸部(第2凸部)
535 内周凹部
570 補強部材
571 被覆部
572 露出部
B ボルト
N ナット
O 軸