(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092542
(43)【公開日】2022-06-22
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20220615BHJP
【FI】
A24F40/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205407
(22)【出願日】2020-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB17
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC08
4B162AC13
(57)【要約】
【課題】喫煙具用カートリッジを新たな構造とすること。
【解決手段】 電気制御式の発熱体を備えた加熱式喫煙具に装着する喫煙具用カートリッジであって、喫煙具用カートリッジの下流側に配置され、エアロゾルを濾過するフィルタと、喫煙具用カートリッジの上流側に配置され、発熱体からの加熱により、エアロゾルを発生するカプセルと、カプセル及びフィルタを外装するカートリッジ外装体をさらに備え、カプセルは、シェル層と、シェル層内にエアロゾル形成基材を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気制御式の発熱体を備えた加熱式喫煙具に装着する喫煙具用カートリッジであって、
前記喫煙具用カートリッジの下流側に配置され、エアロゾルを濾過するフィルタと、
前記喫煙具用カートリッジの上流側に配置され、前記発熱体からの加熱により、エアロゾルを発生するカプセルと、
前記カプセル及び前記フィルタを外装するカートリッジ外装体と、を備え、
前記カプセルは、シェル層と、前記シェル層内にエアロゾル形成基材を含むことを特徴とする喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
前記シェル層は、前記発熱体が内部へ貫通可能であることを特徴とする請求項1に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
前記シェル層は、上流側または下流側に少なくとも1つ以上の孔を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジ外装体は、前記カプセルの一部を外装することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
前記エアロゾル形成基材は少なくとも粉状または顆粒状の植物原料を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
前記シェル層は、動植物系を含むフィルム状物であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジ。
【請求項7】
前記カプセルの形状が、断面視で長円形であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
例えば特許文献1には、「エアロゾル形成基材を外装体で外装した」喫煙具用カートリッジが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の喫煙具用カートリッジはエアロゾル形成基材の喫味成分が揮発してしまい風味の低下が早く、改良の余地がある。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、喫煙具用カートリッジを新たな構造とし、エアロゾル形成基材の喫味成分の揮発を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、電気制御式の発熱体を備えた加熱式喫煙具に装着する喫煙具用カートリッジであって、エアロゾルを濾過するフィルタと、前記発熱体からの加熱により、エアロゾルを発生する被加熱芳香発生体と、を備え、前記被加熱芳香発生体は、シェル層と、前記シェル層内に喫味成分を含むカプセルから構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記シェル層は、前記発熱体が内部へ貫通可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記シェル層は、上流側または下流側に少なくとも1つ以上の孔を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記カートリッジ外装体は、前記カプセルの一部を外装することを特徴とする。
【0011】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記エアロゾル形成基材は少なくとも粉状または顆粒状の植物原料を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記シェル層は、動植物系を含むフィルム状物であることを特徴とする。
【0013】
本発明の喫煙具用カートリッジにおいて、前記カプセルの形状が、断面視で長円形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、喫煙具用カートリッジを新たな構造とすることができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジを示す図。
【
図2】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジの断面図。
【
図3】
図2に示す喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した状態の模式図。
【
図4】第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセルを示す図。
【
図6】第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセルを示す図。
【
図7】第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセルを示す図。
【
図8】第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセルを示す図。
【
図9】第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1を示す図、
図2は本発明の第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1の断面図である。
図1、
図2に示すように、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、カプセル20と、マウスピース40と、を備える。カプセル20とマウスピース40とは、中心軸C1上に並んで配置される。カプセル20とマウスピース40との間は空間(隙間)22となっている。すなわち、喫煙具用カートリッジ1の上流側から下流側に向けてカプセル20、空間(隙間)22、マウスピース40の順に配置されている。そして、カプセル20とマウスピース40とは、シート状の外装体10により巻かれて一体化されている。外装体10は、例えば紙から成る。外装体10の紙厚は、0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、0.06mm以上0.4mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.2mm以下さらに好ましい。第1実施形態の外装体は、平行四辺形状の複数のシートを、辺の部分だけオーバーラップさせて接着させて作成しているが、上記範囲の紙厚とすることで、長手方向に対して傾斜する方向に延在しているオーバーラップ部分の形成が容易になる。
【0018】
ここで、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、例えば、直径が6.5~7.5mm、長さが40~60mmに形成される。また、カプセル20は、10~25mmの長さを有する。勿論、喫煙具用カートリッジは、これ以外の寸法で形成されても良い。
【0019】
図1から
図4に示すように、カプセル20は、充填物であるエアロゾル形成基材23をシェル層(カプセル殻)25に収容して形成されている。そして、カプセル20は外装体10によって一部を外装されており、外装されていない部分は露出している。なお、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1のカプセル20は外装体から10mmが露出しており、5mmが外装体10によって外装されている。外装体10とカプセル20は、接着剤にて接着されている。なお、外装体から露出するカプセルの長さは上記に限られないが、外装体10から抜け落ちてしまう恐れのない15mm程度までであれば、任意に設定が可能である。また、カプセルは必ずしも露出している必要はなく、長手方向の全てが外装体10によって外装されていてもよい。
【0020】
本発明を構成するカプセル20のシェル層25内に封入されているエアロゾル形成基材は、加熱式の喫煙具の加熱部75が発熱することにより発生したエアロゾルの喫味成分となるものであればよい。本発明では、エアロゾル形成基材23をシェル層25内に収容することで、喫煙などの際に発生したエアロゾルをシェル層25外部に放出させる構成となっている。このため、シェル層内に封入されているエアロゾル形成基材23以外の成分は、独立に或いはエアロゾル生成部材との兼ね合いで、適宜に選択すればよく、特に限定されない。シェル層内に封入されている成分の具体的なものとしては、例えば好ましい成分として、無味無臭の成分でありながら、リラックス効果が期待されているCBD(カンナビノイド成分)や、健康効果が期待されているカテキン類などが挙げられる。
【0021】
エアロゾル形成基材23は、詳しくは後述するタバコ植物または非タバコ植物を原料とする喫煙材で構成されている。エアロゾル形成基材23は、例えば、粉状で構成されている。
【0022】
勿論、エアロゾル形成基材23は、粉状に限定されない。例えば、顆粒状や、フレーク状、棒状、短冊状であっても良く、カプセル25に収容される程度の大きさであれば形状は特に限定されない。また、エアロゾル形成基材23は、フレーク状と粉状の組み合わせ、棒状と顆粒状の組み合わせ、棒状とフレーク状の部材の組み合わせなど種々の形状の組み合わせとしても良い。これらの場合、各組合せの一方の原料を異なるものとすれば、芳香や味わいが向上するので好ましい。
【0023】
マウスピース40は、喫煙具用カートリッジ1の吸口を構成する部分であり、例えば紙等を用いて形成される。また、マウスピース40は、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでいても良い。エアロゾル形成基材23で生成された水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部は、このマウスピース40のフィルタによってろ過される。
【0024】
ここで、上記した、本発明の喫煙具用カートリッジ1の特徴について説明する。上記したように、本発明の喫煙具用カートリッジ1は、エアロゾル形成基材23がカプセル20のシェル層25内に収容されていることを特徴とする。このようにすれば、カプセルを構成するシェル層のエアロゾル形成基材23及びシェル層内に封入する風味成分を適宜に選択することで、揮発性の高い、自然消失が懸念される風味成分をエアロゾル形成基材23の形成材料として利用することが可能になり、加熱式の喫煙具の加熱部75によってエアロゾル形成基材23からエアロゾルを生じさせることが可能になる。この場合に使用するカプセル20は、エアロゾル形成基材23を収容することから、大きさが比較的大きめのものを使用することが望ましい。具体的には、10~25mm程度の断面長円形または断面楕円形のものが望ましい。また、断面長円形の場合は、上流側および下流側が曲面になっていることから製造時に筒上にした外装体に挿入し易い効果もある。さらに、断面長円形の場合は、エアロゾル形成基材23を収容した後に上流側のシェル層と下流側のシェル層を嵌合させ易い効果もある。
【0025】
図4に示すように、本実施形態におけるカプセル20は、断面長円形であり、長手方向の長さLが20mmである。また、
図5(A)は、
図4におけるAから見た図であり、この図に示す通り、加熱式の喫煙具の加熱部75が挿入される側には2つの孔27が設けられており、この孔によって加熱部75の挿入が容易になる。一方で、
図5(B)は、
図4におけるBから見た図であり、この図に示す通り、シェル層25のマウスピース側(下流側)にはエアロゾル通過孔28が5つ設けられており、発生したエアロゾルが通過可能となっている。なお、孔27および通過孔28は大きすぎればエアロゾル形成基材23が飛び出すおそれがあり、小さすぎるとエアロゾル形成基材23によって孔が塞がれてしまうおそれがあるため、直径が0.1mm~1mmが好ましいが、0.3mm~0.7mmがより好ましい。本実施例では0.5mmで形成されている。孔の直径はエアロゾル形成基材23が飛び出さない大きさであれば上記寸法に限定されず、また、その数も少なくとも1つ以上であれるのが好ましい。なお、発生したエアロゾルが通過可能な構成となっていれば孔27および通過孔28は設けなくてもよい。
【0026】
本発明の喫煙具用カートリッジ1を構成するカプセル20は、シェル層25の材料に、ゼラチンを使用した、いわゆるハードカプセルと呼ばれているものを採用している。その他、例えば、シェル層25の材料に、ゼラチン(動物由来、魚由来)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、加工澱粉などが好適に利用できる。これらの材料からなるカプセルは、医療用や食品用に広く用いられており、本発明の目的に応じたカプセルを、市場から容易に得ることができる。その他、シェル層の材料には、目的に合わせて、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン樹脂、生分解性プラスチック、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂材料や紙を適宜に用いることができる。
【0027】
上記したように、本発明で用いるカプセルのシェル層25の材料は特に限定されず、公知の種々の材料を用いることができる。提供する喫煙用カートリッジの目的に応じて、カプセルを適宜に設計して、目的に合ったカプセルを使用することが好ましい。
【0028】
次に、エアロゾル形成基材23として用いられる原料の具体例について説明する。エアロゾル形成基材23は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0029】
エアロゾル形成基材23は、タバコ植物または非タバコ植物を原料とする。タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0030】
なお、本明細書でいう「植物」とは動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外に、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0031】
エアロゾル形成基材23は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、粉砕若しくは分級して粉状または顆粒状にしたり、ペースト状に成形される。また、エアロゾル形成基材23は、シート状に成形した上で、所定の幅および長さを有するように切断して短冊状または棒状としてもよい。
【0032】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでな<、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。具体的には、たとえば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶などが挙げられる。これらお茶については飲用後の茶殻を使用しても良い。茶殻などを使用すれば高価なお茶などを再利用して有効活用できる。
【0033】
さらに、上記に例示した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も使用することができる。抽出物の形態としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0034】
エアロゾル形成基材23の原料としてのエアロゾルフォーマは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチルなどが挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0035】
エアロゾル形成基材23の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0036】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させて懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの分散は、高速攪拌機や高圧ホモジナイザーなどが使用できる。
【0037】
さらに、必要に応じエアロゾル形成基材23の原料として風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
エアロゾル形成基材23に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0039】
風味添加剤を用いる場合は、例えば、マウスピース40の壁部に含浸させることによってマウスピース40に設けられる。風味添加剤がマウスピース40に設けられている態様は、このような態様に限られず、例えば、当該風味添加剤が封入されている風味添加用カプセルをマウスピース40の壁部に埋設することによって、マウスピース40に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、マウスピース40とカプセル20との間に風味添加剤が封入された風味添加用カプセルが配置されるようにしても良い。風味添加剤が風味添加用カプセルに封入されている場合、喫煙者は、風味添加用カプセルを指で押圧することにより、風味添加用カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0040】
さらに、風味添加用カプセルが、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、風味添加用カプセルをカプセル20のシェル層25内に設けても良い。
【0041】
エアロゾル形成基材23の原料としての結着剤または増粘剤としては、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなどのゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
(エアロゾル形成基材の製造方法)
既述のエアロゾル形成基材23の製造方法について、各工程に分けて説明する。エアロゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程と、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程と、原料を混合して組成物とする混合工程と、組成物を成形する充填物成形工程と、を有する。
【0043】
乾燥・粉砕工程では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を組成物とするため、所定の粉砕物に加工する。その際、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整することが好ましい。乾燥において、温度は60℃以上80℃以下が好ましい。この範囲とすることで、必要とする香味成分の散逸を避けながら、所望の水分量に到達させやすい。さらに、乾燥・粉砕工程には、粉砕物を篩分けする篩工程を設けることもでき、所望の粒度に調整して混合工程に投入することができる。
【0044】
準備工程においては、エアロゾル形成基材23を作製するにあたり必要な原料を準備することができる。前述の微結晶セルロースは、準備工程において秤量され、混合工程に投入される。
【0045】
混合工程においては、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0046】
充填物成形工程では、各種原料が混合された組成物を適宜粉砕若しくは分級を行うことが好ましい。粉状または顆粒状のエアロゾル形成基材23における平均粒子径は、小さすぎると孔27および通過孔28に詰まってしまうおそれがあり、大きすぎれば喫味成分が損なわれやすくなるため、例えば0.1~3.0mmであることが好ましく、0.5mm~0.7mmの顆粒状であることがより好ましい。当該平均粒子径は、例えばJIS K 0069:1992に記載された篩分け法によって求められる。つまり、この平均粒子径は、複数の篩による試験結果について、目開きの大きいほうからの質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒子径としても良い。
【0047】
また、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23とするには、上記組成物について、薄いシート状に成形してから、切断することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23が成形される。本実施形態では、薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いると、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断により、混練、分散などを行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いて作製することもできる。
【0048】
充填物成形工程では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いても良い。また、充填物成形工程では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加しても良いし、水などを添加しても良い。
【0049】
充填物成形工程で得られるシートの厚さは、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0050】
ここで、エアロゾル形成基材23の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23と粉状、顆粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材23と組み合わせる場合に、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材23の表面に粉状または顆粒状のエアロゾル形成基材23を安定して保持することができる。
【0051】
(喫煙具用カートリッジの使用方法)
喫煙具用カートリッジ1の使用方法について説明する。喫煙具用カートリッジ1は、加熱式の喫煙具に装着されて使用される。喫煙具は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部を有している。挿入部には、針状あるいはブレード状の加熱部75が設けられる。挿入部に喫煙具用カートリッジ1が挿入されると、加熱部75がカプセル20のシェル層25を貫通し、さらに挿入されることでシェル層25の内部のエアロゾル形成基材23へと届く。加熱部75がエアロゾル形成基材23へと届いた状態で加熱部75が発熱することにより、エアロゾル形成基材23からエアロゾルが生成される。この状態で喫煙者がマウスピース40をくわえて吸引すると、加熱により発生したエアロゾルがカプセル25に設けられた通過孔28を通過し、マウスピース40に流れて、喫煙者の口内へと流入される。
【0052】
このように構成された第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0053】
新たな構造の喫煙具用カートリッジを提供することができる。また、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1はエアロゾル形成基材23をカプセル25に収容したことによって、エアロゾル形成基材23の喫味成分が揮発してしまうことを防ぐことができる。さらに、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1は上流側からカプセル25、空間(隙間)22、マウスピース40の構成としたことから、従来の喫煙具の加熱部が挿入されるタイプの喫煙具カートリッジでは、エアロゾル形成基材を支持するための支持部材が必要であったが、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば支持部材を必要としない。一般的に支持部材は合成樹脂で形成されるものが多いため、使用後のゴミの分別の問題が内在していたが、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジ1によれば、その問題も好適に解決することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。
図6に示すように、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジは、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジと基本的には同じ構成であるが、カプセル52の形状が長円形ではなく、円柱形状で構成されている点が相違する。なお、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセル52においてもマウスピース側(下流側)にはエアロゾル通過孔28が同様に設けられている。
【0055】
よって、第2実施形態に係る喫煙具用カートリッジについても第1実施形態と同様の効果を奏し得るとともに、長円形のカプセルに比べて円柱形状のカプセル52の方が喫煙具の加熱部が挿入し易いといった効果も奏し得る。また、長円形のカプセルに比べて円柱形状のカプセルの方がエアロゾル形成基材23をより多く収容することが可能となる。
【0056】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。
図7に示すように、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジは、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジと基本的には同じ構成であるが、カプセル53の形状が相違する。第3実施形態のカプセル53は、カプセルの外側に向かって円形状に凸になる長円形上ではなく、内側に向かって円形状に凸になる形状となっている。言い換えると、カプセルの長手方向の外側が凹になる形状となっている。なお、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセル53においてもマウスピース側(下流側)にはエアロゾル通過孔28が同様に設けられている。
【0057】
よって、第3実施形態に係る喫煙具用カートリッジについても第1実施形態と同様の効果を奏し得るとともに、長円形のカプセルに比べて円柱形状のカプセル53の方が喫煙具の加熱部が挿入し易いといった効果も奏し得る。なお、第3実施形態の喫煙具用カートリッジのカプセル53は長手方向の両端面を内側に向かって円形状に凸になる形状としたが、少なくとも喫煙具の加熱部が挿入される側(上流側)のみ内側に向かって円形状に凸になる形状としてもよい。
【0058】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。
図8に示すように、第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジは、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジと基本的には同じ構成であるが、カプセル54の形状が相違する。第4実施形態のカプセル54は、マウスピース側(下流側)に外側に向かって凸になるエアロゾル通過路56が設けられた形状となっている。なお、第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジのカプセル54は、エアロゾル通過路56のマウスピース側(下流側)にエアロゾル通過孔28が設けられている。
【0059】
よって、第4実施形態に係る喫煙具用カートリッジについても第1実施形態と同様の効果を奏し得るとともに、喫煙具の加熱部75の加熱により発生したエアロゾルがエアロゾル通過路56を通ってマウスピース40へと流れることとなるため、発生したエアロゾルを喫煙具用カートリッジのエアロゾル通過路56に集中させることができる効果も奏し得る。また、発生したエアロゾルがエアロゾル通過路56を通ってマウスピース40へと流れることから、エアロゾル通過路56の内側にタールを付着させることが可能となるため、喫煙者の口元でのタール量を低下させる効果も生じる。
【0060】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジについて説明する。
図9に示すように、第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジは、第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジと基本的には同じ構成であるが、カプセル60の形状が相違する。カプセル60は断面長円形であり、長手方向の長さL´が8mmである。長手方向の長さを第1実施形態に係る喫煙具用カートリッジに比べて短くしたことにより、喫煙具の加熱部によってカプセル60が貫通させられる構成とした。なお、長さL´は、使用する喫煙具の加熱部の長さにもよるが、5mm以上10mm未満が好ましい。
【0061】
よって、第5実施形態に係る喫煙具用カートリッジについても第1実施形態と同様の効果を奏し得るとともに、喫煙具の加熱部によってカプセル60を貫通させることでエアロゾルの流路となる孔が形成される。つまり、喫煙具の加熱部によって貫通される前は、カプセル60は密閉された状態となり、あらかじめ孔27や通過孔28を設ける必要がなくなるため、エアロゾル形成基材23の喫味成分が揮発してしまうことを防ぐことができる。このため、喫煙者はいつでも美味しく喫煙を楽しむことが可能となる。
【0062】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記各実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0063】
例えば各実施形態に係る喫煙具用カートリッジにおいて、孔27及び通過孔28の形状は特に限定されず、また、その個数も特に限定されない。また、各実施形態において外装体10から露出するカプセル20の長さは適宜変更することが可能である。さらに、カプセルの形状も各実施形態に限定されない。例えば、各実施形態のほか、円錐形状とすることも可能である。
【0064】
各実施形態に係る喫煙具用カートリッジにおいて、カプセルとマウスピース40の間に空間(隙間)22を設けたが、カプセルとマウスピース40の間に支持部材を設けてもよい。支持部材を設けた場合にあっては、喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した場合に、加熱部75によるカプセルの移動を好適に防止することができる。また、カプセルと外装体を接着するための接着剤を少なくすることができる。
【0065】
各実施形態に係る喫煙具用カートリッジは、喫煙具用カートリッジを喫煙具に挿入した場合に、加熱部75がシェル層の内部へ貫通可能に構成した。言い換えると、各実施形態に係る喫煙具用カートリッジは喫煙具の加熱部75が直接エアロゾル形成基材23を加熱するタイプの喫煙具を想定して記載したが、加熱部が喫煙具用カートリッジの周囲に設けられているタイプの喫煙具に使用してもよい。この場合は、加熱部75がシェル層の内部へ貫通することがないため、内部の充填物がこぼれ落ちることがなくなる。
【符号の説明】
【0066】
1 喫煙具用カートリッジ
10 外装体
20、52、53、54、60 カプセル
22 空間
23 エアロゾル形成基材
25,35,45,55,65 シェル層
40 マウスピース
75 加熱部