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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092719
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】画像表示装置および画像表示方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220616BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220616BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/18
G02B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205589
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】清水 一恵
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA85
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA65
2H249CA01
2H249CA04
2H249CA08
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で色ムラを抑制しつつ、表示画角領域を拡大してより多くの情報を表示することが可能な画像表示装置を提供すること。
【解決手段】画像表示装置10は、複数の画素を有し、画素から画像光を出射する画像形成部13と、画像形成部から出射された各像高の画像光を画角の平行光へ変換する光学系12と、光学系で変換された画像光が入射され、内部を伝搬して外部へ出射される導光板11と、導光板に配設され、導光板に入射された画像光を回折反射して導光板の内部を伝搬させる第1回折格子14と、導光板に配設され、導光板の内部を伝搬した画像光を回折反射して導光板から外部へ出射する第2回折格子15と、を備え、画像形成部13は、画像光を複数の色光に分割する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有し、前記画素から画像光を出射する画像形成部と、
前記画像形成部から出射された各像高の前記画像光を画角の平行光へ変換する光学系と、
前記光学系で変換された前記画像光が入射され、内部を伝搬して外部へ出射される導光板と、
前記導光板に配設され、前記導光板に入射された前記画像光を回折反射して前記導光板の内部を伝搬させる第1回折格子と、
前記導光板に配設され、前記導光板の内部を伝搬した前記画像光を回折反射して前記導光板から外部へ出射する第2回折格子と、
を備え、
前記画像形成部は、前記画像光を複数の色光に分割する画像表示装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、カラーフィルタを有する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、出射する前記画像光と前記導光板の前記画像光が入射する面の法線とのなす入射角が前記第2回折格子から遠ざかる方向に傾斜する位置に配置されている、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第1回折格子および前記第2回折格子は、表面レリーフ型または体積型ホログラムである、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記表面レリーフ型は、オーバーハングを含むブレーズド形状または階段形状を有する、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記導光板は、前記第1回折格子および前記第2回折格子のグレーティングベクトルが互いに交差する位置に、第3回折格子を配置している、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記第3回折格子のグレーティングベクトルは、前記第1回折格子および前記第2回折格子のそれぞれのグレーティングベクトルと交差する、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第2回折格子を前記導光板の面に対して突起形状に配置する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像形成部、前記導光板、前記第1回折格子および前記第2回折格子を、それぞれ右眼用および左眼用の2つずつ備え、
右眼の画像および左眼の画像を重ね合わせて画像を表示する、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項10】
両眼視領域および片眼視領域を表示する、請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記両眼視領域はカラー領域を表示し、前記片眼視領域は白色領域を表示する、請求項10に記載の画像表示装置。
【請求項12】
両眼視領域を表示しない、請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項13】
複数の画素を有し、前記画素から複数の色光に分割した画像光を出射するステップと、
出射された前記画像光を導光板に入射するステップと、
前記導光板に入射された前記画像光を回折反射して前記導光板の内部を伝搬させるステップと、
前記導光板の内部を伝搬した前記画像光を回折反射して前記導光板から外部へ出射するステップと、
を含む画像表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像表示装置および画像表示方法に関し、より詳細には、回折格子を有する導光板を用いて画像を表示する画像表示装置および画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成部によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者にユーザにカラー画像を提供するための、ホログラム回折格子を用いた画像表示装置(アイウェア)が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、画像形成装置、コリメート光学系及び光学装置を備え、光学装置は、導光板、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材を備えており、第1回折格子部材と第2回折格子部材とは、同じ材料から作製されており、第2回折格子部材の厚さは、第1回折格子部材30の厚さよりも薄い、画像表示装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、互いに進行方位の異なる平行光束群が入射し内部を全反射により伝播した後射出するよう構成された複数の導光板が、導光板よりも屈折率の低い媒質を介して積層されてなる光学装置であって、複数の導光板は、それぞれ、平行光束群の入射領域にて平行光束群を平行光束群のまま導光板内で内部全反射条件を満たすよう回折反射する第1の反射型体積ホログラムグレーティングと、平行光束群の射出領域にて平行光束群を平行光束群のまま導光板より射出するよう回折反射する第2の反射型体積ホログラムグレーティングとを有し、複数の導光板内の入射領域から射出領域にかけて全反射を繰り返しながら伝播する互いに進行方位の異なる平行光束群は、少なくともその一部が進行方位の違いによって全反射回数が互いに異なる、光学装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献3では、複数の面を含むプリズムである導波路と、第1の面を介して光を導波路へと投影するように配置される第1の入力プロジェクタと、第2の面を介して光を導波路へと投影するように配置される第2の入力プロジェクタと、第1の入力プロジェクタおよび第2の入力プロジェクタからの光を導波路へと結合する少なくとも1つの入力格子と、導波路から出た光を視聴者の方へ結合する少なくとも1つの出力格子とを備える、拡張現実ディスプレイ用のディスプレイシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-159856号公報
【特許文献2】特開2007-011057号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0003994号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1の技術は、カラー化において,各色に対してブラッグ条件を満たすスラント角とピッチを持つ体積ホログラムを積層または多重露光で使用することを前提としている。また、特許文献1の技術は、入射角に応じてブラッグ条件が波長シフトしていることを利用して色ムラを抑えた画角拡大を狙っている。しかしながら、特許文献1の技術では、導光板一枚でカラー化を実現する場合、各色で異なるピッチの回折格子が必要となり、他の色の回折格子で同じ導光角に回折されるクロストークの発生によるゴーストを避けるのが難しいという問題がある。さらに、特許文献1の技術は、入射角センターを出力側に倒しているが、RGBを同一回折格子で回折させることを考える場合、画角が減る方向となり不利な構造である。
【0008】
また、特許文献2の技術では、クロストークを避けるために、カラー化において導光板枚数を増やし、クロストークが発生する波長については、分けて導光させている。また、特許文献2の技術は、回折の波長選択制の高い体積型ホログラムを使用して回折すること、およびRGBそれぞれ異なるピッチの回折格子を使うこと、を前提としている。しかしながら、特許文献2の技術では、回折格子を複数配置することに加え、導光板枚数が増えるため、2つの板の画像を合わせることが技術的に困難であるとともに、量産時にコストアップとなる、という問題がある。
【0009】
また、特許文献3の技術は、導光板の広い面側から見て、導光方向と直角方向に対する画角拡大を狙い、表裏に光源を配置することで、より密に配置でき、ムラを抑える技術である。しかしながら、特許文献3の技術では、光源を表裏2つ以上配置することが必要であり、複数光源の画像の位置を合わせることが技術的に困難であるとともに、量産時にコストアップとなる、という問題がある。さらに、特許文献3の技術は、実施例においてカラー化のため、20度出力側から反対側に傾けるとの記載はあるものの、具体的な記載がなく、導光方向の画角拡大は不十分である。
【0010】
そこで、本技術では、簡素な構成で色ムラを抑制しつつ、表示画角領域を拡大してより多くの情報を表示することが可能な画像表示装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本技術では、複数の画素を有し、画素から画像光を出射する画像形成部と、画像形成部から出射された各像高の画像光を画角の平行光へ変換する光学系と、光学系で変換された画像光が入射され、内部を伝搬して外部へ出射される導光板と、導光板に配設され、導光板に入射された画像光を回折反射して導光板の内部を伝搬させる第1回折格子と、導光板に配設され、導光板の内部を伝搬した画像光を回折反射して導光板から外部へ出射する第2回折格子と、を備え、画像形成部は、画像光を複数の色光に分割する画像表示装置を提供する。
【0012】
また、本技術では、複数の画素を有し、画素から複数の色光に分割した画像光を出射するステップと、出射された画像光を導光板に入射するステップと、導光板に入射された画像光を回折反射して導光板の内部を伝搬させるステップと、導光板の内部を伝搬した画像光を回折反射して導光板から外部へ出射するステップと、を含む画像表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、簡素な構成で色ムラを抑制しつつ、表示画角領域を拡大してより多くの情報を表示することが可能な画像表示装置を提供することができる。なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、又は上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を上方から見た概略構成図である。
図2】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した表示画像の一例の模式図である。
図3】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を用いてRGB波長で表現できる画角領域を示す模式図である。
図4】本技術の第1実施形態に係る画像表示装置を用いてRGB波長で表現できる画角領域を示す模式図である。
図5】本技術の第2実施形態に係る画像表示装置を用いて表現できるRGB各波長での回折効率のグラフである。
図6】本技術の第2実施形態に係る画像表示装置の入射側回折格子の形状例を示す模式図である。
図7】本技術の第2実施形態に係る画像表示装置の回折格子を反射型または透過型とした使用例の模式図である。
図8】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置の出射側回折格子の不要光を抑えるための構造例を示す模式図である。
図9】本技術の第3実施形態に係る画像表示装置を用いて、不要光を抑えた必要光の回折効率の例を示すグラフである。
図10】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置の自発光パネルの使用例(領域に対する発光画素の例)を示す模式図である。
図11】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置の自発光パネルでの使用例(単色パネルすべて同一色で使用できる場合)を示す模式図である。
図12】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置に挿入する透過型のカラーフィルタの例を示す模式図である。
図13】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置にカラーフィルタを入れることによるバックグラウンドノイズ除去例を説明する図である。
図14】本技術の第4実施形態に係る画像表示装置にバンドパスフィルタがある場合の平均波長のばらつきを示すグラフである。
図15】本技術の第5実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。
図16】本技術の第5実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した色分割表示例を示す模式図である。
図17】本技術の第6実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。
図18】本技術の第6実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した色分割表示例を示す模式図である。
図19】本技術の第7実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。
図20】本技術の第7実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した色分割表示例を示す模式図である。
図21】本技術の第8実施形態に係る画像表示装置による入射角と選択できる色との関係を示す模式図である。
図22】本技術の第9実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。
図23】本技術の第10実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。
図24】本技術の第11実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、いずれの実施形態も組み合わせることが可能である。また、これらにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施形態
(1)画像表示装置の構成例
(2)表示画像の例
(3)画像表示方法の例
2.第2実施形態
3.第3実施形態
4.第4実施形態
5.第5実施形態
6.第6実施形態
7.第7実施形態
8.第8実施形態
9.第9実施形態
10.第10実施形態
11.第11実施形態
【0016】
1.第1実施形態
(1)画像表示装置の構成例
まず、図1を参照して、本技術の第1実施形態に係る画像表示装置の構成例について説明する。図1は、本実施形態に係る画像表示装置10を上方から見た概略構成図である。
【0017】
画像表示装置10は、例えば、ホログラムに光を当て、それに記録されている干渉縞による回折を利用して、元の信号波である物体光と同じ波面をつくり出すホログラフィック方式の波面再生アイウェアディスプレイとして用いることができる。特に、画像表示装置10は、拡張現実(AR)を対象とした画角色分割表示を実現する光学系に適用することができる。
【0018】
図1に示すように、画像表示装置10は、一例として、導光板11と、光学系である投射レンズ12と、2つ以上の波長の発光光源を有する画像形成部13と、第1回折格子としての入射側回折格子14と、第2回折格子としての出射側回折格子15と、を備える。
【0019】
導光板11は、各光源からの光線に対して各導光角が変わらずに導光させるための平行な平板である。導光板11には投射レンズ12で集光された画像光が入射され、入射された画像光が導光板11の内部を伝搬して外部へ出射される。
【0020】
投射レンズ12は、画像形成部13と導光板11との間に配置され、画像形成部13の複数の画素から出射された光を集光する。また、投射レンズ12は、画像形成部13から出射された各像高の画像光を画角の平行光へ変換することができる。投射レンズ12は、導光板11または画像形成部13に対して傾斜させて配置することもできる。
【0021】
画像形成部13は、導光板11の一端と対向配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有し、これらの画素から画像光を出射する。また、画像形成部13は、画像光を複数の色光に分割する色分割領域を有する。画像形成部13の入射側の耳側画角は短波長表示域であり、出射側の鼻側画角は長波長表示域である。なお、画像形成部13には、カラーフィルタを設けていてもよい。
【0022】
画像形成部13の光源は、映像または画像を作り出す表示部を有し、自発光でも照明系を有するLCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式やHTPS(High Temperature Poly-Silicon)方式であってよく、DLP(Digital Light Processing)方式であってもよい。自発光の場合の光源は、パネルと一体であり、分散のあるLED(Light Emitting Diode)光源であってもよく、LD(Laser Diode)光源であってもよい。
【0023】
入射側回折格子14は、一例として反射型の回折格子であって、導光板11の画像形成部13が配置された入射面側と反対の面の一端に配設されている。入射側回折格子14は、導光板11外からの画像光を導光角方向へ曲げるための回折格子であり、導光板11に入射された画像光を回折反射して導光板11の内部を伝搬させる。
【0024】
出射側回折格子15は、一例として反射型の回折格子であって、導光板11の入射側回折格子14が配設された面と同一面の他端に配設されている。出射側回折格子15は、導光してきた画像光を導光板11外へ出すための回折格子であり、導光板11の内部を伝搬した画像光を回折反射して導光板11の外部へ出射する。出射側回折格子15は、回折格子のピッチは入射側回折格子14と同じであり、グレーティングベクトルを閉じさせる機能を有する。また、出射側回折格子15は、光を広げる機能を有してもよい。なお、入射側回折格子14および出射側回折格子15は、体積型であってもよく、サーフェスレリーフ型であってもよい。
【0025】
ユーザは、画像形成部13が配置された側から眼球16で、出射側回折格子15で回折反射して導光板11の外部へ出射した画像光により表示された画像を観察する。
【0026】
図1に示す画像表示装置10は、光源波長にRed、Green、Blue(RGB)の3色を用いた場合の構成を示している。画像表示装置10は、映像源である画像形成部13の像高に対して領域で色分割を行う。各色彩の像高の画像光は、投射レンズ12でそれぞれ異なる角度の画角の平行光に変換され、導光板11の入射側回折格子14で導光方向の角度にさらに変換される。導光したそれぞれ異なる角度の入射光L1および入射光L2は、出射側回折格子15で、導光板11に入る前の角度に戻されて眼球16の瞳に入り、画像として見ることができる。
【0027】
(2)表示画像の例
次に、図2から図4を参照して、画像表示装置10による表示画像の例について説明する。図2は、本実施形態に係る画像表示装置10を用いて表示した表示画像の一例の模式図である。図2に示す表示画像は、実際にユーザが見る画角または像高に対して色分割された画像の例である。
【0028】
図2に示すように、表示画像中央のRGB光源で表現されるRGB表示領域は、画像や映像などのカラー表示が望ましい情報を表示している。表示画像の紙面に向かって左側のBlue表示領域および紙面に向かって右側のRed表示領域の、画角端の単色で表現する部分については、アイコンや文字などの表示を想定している。なお、表示領域と表示する情報との関係は、本実施形態に限らず、自由に情報を配置してよい。
【0029】
次に、図3および図4を参照して、画像表示装置10を用いてRGB波長で表現できる画角領域について説明する。図3は、本実施形態に係る画像表示装置10を用いてRGB波長で表現できる画角領域を示す模式図である。図4は、本実施形態に係る画像表示装置10を用いてRGB波長で表現できる画角領域の他の例を示す模式図である。
【0030】
一例として、画像表示装置10の導光板11上に、入射側回折格子14と出射側回折格子15とが等ピッチで2つ存在する場合について説明する。一例として、導光板11の屈折率を1.7とし、回折格子での光源波長を480nm、530nm、600nmの3波長とする。また、入射側回折格子14および出射側回折格子15のピッチは、ともに412nmとする。
【0031】
この場合、図3に示すように、各波長でとり得る画角は、530nm でRGB表示の領域C1、480nm でB表示の領域C2、600nm でR表示の領域C3、となる。なお、3つの波長がすべて重なり合った領域がRGB表示可能域、530nm および480nmの波長が重なり合った領域がBG表示可能域、530nm および600nmの波長が重なり合った領域がRG表示可能域、480nmの波長のみの領域がB表示可能域、600nmの波長のみの領域がR表示可能域、である。
【0032】
ここで、従来技術では、領域C2および領域C3は、特にLED光源のようにスペクトルに幅をもつ光源において、波長分散(色分散)により、色ムラが発生してしまう領域であるため、領域C1のRGBで表現される画角のみが用いられていた。そこで、本実施形態の画像表示装置10では、あえて画像形成部13側で波長を絞ることで色を領域ごとに制限し、従来捨てられていた領域C2および領域C3の画角を特定の単色表示領域として利用して、広い画角で情報表示を可能にさせている。
【0033】
本実施形態では、領域C2に対応する画像形成部13側の領域は、Blue波長に絞って表示を行っている。また、領域C3に対応する画像形成部13側の領域は、Red波長に絞って表示を行っている。つまり、RGBカラー表示領域C1は導光方向の画角18度分の表示を行い、Blue単色表示領域C2は画角16度分の表示を行い、Red単色表示領域C3も画角16度分の表示を行う。そして、Blue表示領域C2は入射側回折格子14から遠い側に設けられ、Red表示領域C3は入射側回折格子14に近い側に設けられている。
【0034】
ただし、本実施形態における表示領域は、図3に示す領域に固定されるわけではなく、各波長が存在する領域であれば、自由に表示領域を分けることができる。図4に示すように、表示領域の分け方の他の例として、RGBカラー表示領域C1を小さくし、RGB領域C1、Blue表示領域C2およびRed表示領域C3に加え、シアン表示のGB表示領域C4およびイエロー表示のRG表示領域C5を新たに設けることも可能である。なお、図3および図4に示す表示領域の分け方は、いずれにしろ、対応する表示領域の波長を制限する必要がある。
【0035】
(3)画像表示方法の例
次に、図1から図4を参照して、本実施形態に係る画像表示装置10を用いた画像表示方法の例について説明する。
【0036】
まず、ステップS1において、ユーザが、アイウェア等の画像表示装置10を装着する。画像表示装置10を装着したら、画像表示装置10の電源をオンにする。
【0037】
次に、ステップS2において、複数の画素を有する画像形成部13が、その複数の画素から複数の色光に分割した画像光を出射する。
【0038】
ステップS3において、出射された各像高の画像光が、投射レンズ12で各画素の画像光を画角のほぼ平行光へ変換されて導光板11に入射する。
【0039】
ステップS4において、入射側回折格子14が、導光板11に入射された画像光を回折反射して導光板11の内部を伝搬させる。
【0040】
ステップS5において、出射側回折格子15が、導光板11の内部を伝搬した画像光を回折反射して導光板11から外部へ出射する。
【0041】
ステップS6において、外部へ出射された画像光が、ユーザの眼球16の瞳孔に照射される。そして、ユーザが、画像表示装置10に色分割表示されたカラー表示画像または映像を視聴する。
【0042】
本実施形態に係る画像表示装置10は、1つの導光板11に入射側回折格子14および出射側回折格子15を配設し、導光角(回折角)がRGBでそれぞれ異なる。また、画像表示装置10は、各回折格子のRGBの使用波長および使用角度のすべてにおいて大きな回折効率を有するため、導光板11を複数備えることなく1枚だけ備えていればよい。また、画像表示装置10は、従来捨てていた画角領域を画像形成部13で、画角によって(像高に対して)特定の色で表示させて色分割する構造を有している。したがって、画像表示装置10によれば、クロストークの心配がなく、コストも低く抑えることができる。なお、画像表示装置10は、入射する画像光の入射角を出射側とは逆方向に傾けることで、RGBの色分割の設定自由度を上げることもできる。
【0043】
さらに、画像表示装置10は、設定RGB波長の重なり以外の画角表示領域を単色発光とし、色ムラを抑えて単色領域を利用した画角拡大構造となっている。したがって、画像表示装置10は、映像源側である画像形成部13で色分割を行い、波長分散で色ムラが生じる領域を、単色領域として利用して表示領域を拡大している。
【0044】
以上より、アイウェア等の画像表示装置10によれば、入射側回折格子14および出射側回折格子15が配設された導光板11を用いて画面の色分割表示を実現しているため、簡素な構成で色ムラを抑制しつつ、表示画角領域を拡大してより多くの情報を表示することができる。
【0045】
2.第2実施形態
次に、図5から図7を参照して、本技術の第2実施形態に係る画像表示装置の回折格子の構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る画像表示装置を用いて表現できるRGB各波長での回折効率を示すグラフである。図5の横軸は媒質内入射角を表し、縦軸は回折効率を表している。図6は、本実施形態に係る画像表示装置の入射側回折格子の形状例を示す模式図である。
【0046】
本実施形態に係る画像表示装置に用いられる回折格子は、RGB等の設定波長に対してそれぞれの最適ピッチを用意するのではなく、1つのピッチですべての波長を回折させるものである。そのため、使用する波長と画角に対して回折効率を持つ必要がある。本実施形態では、サーフェスレリーフ型の回折格子を用いており、一例として、この回折格子の屈折率が1.58で、ピッチが490nmである。図5に示すように、本実施形態では、RGの波長に対してBの波長での回折効率が若干低く設計されているが、これらの波長は、使用する光源の効率に合わせて回折格子の形状を変化させることにより任意に設計することができる。また、他の例として、回折格子の屈折率が1.64で、ピッチが580nmとすることもできる。この場合、使用する媒質内入射角の範囲において、1つの回折格子でRGBすべての波長が同程度の回折効率を持つ形状に設計することができる。
【0047】
図6Aは、ブレーズド型の入射側回折格子31を示している。図6Bは、階段型の入射側回折格子34を示している。図6Cは、オーバーハングのブレーズド型の入射側回折格子37を示している。入射側回折格子31、入射側回折格子34および入射側回折格子37は、各回折格子32、35、38の表面が、それぞれ、アルミ、銀、または他の高反射金属膜33、36、39で覆われている。入射側回折格子31、入射側回折格子34および入射側回折格子37は、高反射金属膜33、36、39で表面をコートすることで反射率を上げている。高反射金属膜33、36、39によるコートは、少なくとも50nm程度あればよい。なお、画像形成部13の光源のパワーに余裕があれば、ブレーズド型や階段形状ではなく、単純バイナリ形状でもよいし、入射側回折格子31、入射側回折格子34および入射側回折格子37を金属膜で覆わなくてもよい。
【0048】
本実施形態では、サーフェスレリーフ型の回折格子を用いているが、本実施形態の使用画角範囲および波長範囲での回折効率を持たせることが可能であれば、体積型ホログラムの回折格子を用いることもできる。また、本実施形態では、反射型回折格子を用いているが、透過型回折格子を用いることもできる。
【0049】
図7は、本実施形態に係る画像表示装置の回折格子を反射型または透過型とした使用例の模式図である。図7に示す画像表示装置の回折格子以外の構成は、第1実施形態に係る画像表示装置10の構成と同様である。
【0050】
図7Aに示す画像表示装置40は、透過型の入射側回折格子41と、反射型の出射側回折格子15と、を用いている。図7Bに示す画像表示装置42は、透過型の入射側回折格子41と、透過型の出射側回折格子43と、を用いている。図7Cは、反射型の入射側回折格子14と、透過型の出射側回折格子43と、を用いている。図7Aから図7Cに示すように、透過型の回折格子41または43を用いる場合は、導光板11の画像光入射面側に回折格子41または43を配置する必要がある。
【0051】
3.第3実施形態
次に、図8および図9を参照して、本技術の第3実施形態に係る画像表示装置の回折格子の構成例について説明する。図8は、本実施形態に係る画像表示装置の出射側回折格子の不要光を抑えるための構造例を示す模式図である。
【0052】
図8Aは、ブレーズド型の出射側回折格子51を示している。出射側回折格子51は、ブレーズド型の回折格子52の表面が、TiO2等の高屈折材料膜53で覆われている。図6Bは、階段型の出射側回折格子54を示している。出射側回折格子54も、階段型の回折格子55の表面が、TiO2等の高屈折材料膜56で覆われている。
【0053】
ここで、サーフェスレリーフ型の回折格子は、例えば反射型の回折格子を出射側に使用した場合、回折格子を透過する方向にもある程度の回折効率を持つことが多い。この透過する方向の回折は不要光となり効率ロスとなる。また、使用する角度範囲で回折効率分布に大きな差が生じないことが望ましい。特に、導光角が入射又は出射面に対して角度がたってくるほど回折効率は高いことが望ましい。そこで、本実施形態では、回折格子形状の最適化を行っている。
【0054】
本実施形態に係る画像表示装置の出射側回折格子51および出射側回折格子54は、例えば、屈折率2以上のTiO2のような高屈折材料膜53および56を数十nm塗布することで、回折効率を比較的高くしている。これにより、本実施形態に係る画像表示装置は、不要回折光となる透過回折光を抑制することができる。
【0055】
なお、ピッチによるが、出射側回折格子51および出射側回折格子54には、表面の斜面側のみ高屈折材料膜53および56を塗布することが好ましい。本実施形態では、P偏光時の例を示しており、TiO2の高屈折材料膜53および56は、20-30nm塗布されている。ただし、高屈折材料膜53および56の必要な厚みは、基材屈折率および塗布する高屈折率材料や、偏光に応じて、変化する。なお、材料の屈折率は、高いほど画角が広がるため、高屈折率の材料を用いることで、RGBすべての波長を使える領域を広げて、色分割の自由度を増加させることもできる。
【0056】
図9は、本実施形態に係る画像表示装置を用いて、必要回折光を回折効率20%程度とし、不要光を抑えた例を示すグラフである。図9の横軸は、導光角を表し、縦軸は回折効率を表している。図9に示すように、本実施形態に係る画像表示装置は、必要回折光の回折効率を20%程度とすると、不要光を抑制することができる。
【0057】
4.第4実施形態
次に、図10から図14を参照して、本技術の第4実施形態に係る画像表示装置による映像面または画像面の色分けの例について説明する。まずは、図10および図11を参照して、自発光パネルを使用する場合について説明する。
【0058】
図10は、本実施形態に係る画像表示装置の自発光パネル60の使用例(領域に対する発光画素の例)を示す模式図である。図10Aは、RGBを1画素とする自発光パネル60の例を示している。図10Bは、自発光パネル60の各表示領域と青色(B)画素との関係を示し、図10Cは、自発光パネル60の各表示領域と緑色(G)画素との関係を示し、図10Dは、自発光パネル60の各表示領域と赤色(R)画素との関係を示している。
【0059】
図10Aに示すように、自発光パネル60は、画角に対応して、低波長側に青色(B)表示領域のRGBパネル61、中央に白色表示領域のRGBパネル62、高波長側に赤色(R)表示領域のRGBパネル63、が配置されている。また、図10Bに示すように、B表示領域および白色表示領域で、B画素を高くしている。また、図10Cに示すように、白色表示領域で、G画素を高くしている。そして、図10Dに示すように、白色表示領域およびR表示領域で、R画素を高くしている。
【0060】
このように自発光パネル60は、画角に対応する表示領域の各画素の発光を制限することで作成することができる。自発光パネル60は、白色表示領域と、B表示領域およびR表示領域との画素ピッチは同じで、解像度が同じとなる。
【0061】
図11は、本実施形態に係る画像表示装置の自発光パネル65の使用例(単色パネルすべて同一色で使用できる場合)を示す模式図である。図11に示すように、自発光パネル65は、画角に対応して、低波長側にB表示領域のBパネル66、中央に白色表示領域のRGBパネル67、高波長側にR表示領域のRパネル68、が配置されている。
【0062】
自発光パネル65は、RGBに割り当てられた画素をB表示領域およびR表示領域のそれぞれで同一色として使用することができ、これらの単色領域では解像度を、例えば3倍に増やすことができる。なお、自発光パネル65は、画角に対応して、別々のパネルを隣接配置してもよいし、同一パネル内の画素の色分けを変えてもよい。
【0063】
次に、図12から図14を参照して、自発光でない透過型パネルや反射型パネルを使用する場合について説明する。図12は、本実施形態に係る画像表示装置に挿入する透過型のカラーフィルタの例を示す模式図である。図12Aは、パネルの下面にカラーフィルタを挿入する例を示し、図12Bは、パネルの上面にカラーフィルタを挿入する例を示している。
【0064】
図12Aに示すように、カラーフィルタ70は、白色照明光WLが入射する透過型パネル71の下面の、B表示領域にブルーカラーフィルタ72を挿入し、R表示領域にレッドカラーフィルタ73を挿入している。また、図12Bに示すように、カラーフィルタ75は、白色照明光WLが入射する透過型パネル71の上面の、B表示領域にブルーカラーフィルタ72を挿入し、R表示領域にレッドカラーフィルタ73を挿入している。
【0065】
図13は、本実施形態に係る画像表示装置にカラーフィルタを入れることによるバックグラウンドノイズ除去例を説明する図である。図13Aは、カラーフィルタを挿入する前の状態を示し、図13Bは、カラーフィルタを挿入した後の状態を示している。
【0066】
自発光でない透過型パネルや反射型パネルを使用する場合、図13Aに示すように、B表示領域およびR表示領域にバックグラウンドノイズが出てしまうことが知られている。そこで、本実施形態に係る画像表示装置は、カラーフィルタ70またはカラーフィルタ75のように、対応画角領域にブルーカラーフィルタ72およびレッドカラーフィルタ73を挿入している。これにより、図13Bに示すように、B表示領域およびR表示領域のバックグラウンドノイズを除去することが可能となる。また、カラーフィルタを用いることにより、画角表示安定性およびコントラストの改善も可能となる。
【0067】
図14は、本実施形態に係る画像表示装置にバンドパスフィルタがある場合の平均波長のばらつきを示すグラフである。図14Aは、バンドパスフィルタがない場合の平均波長のばらつきを示し、図14Bは、バンドパスフィルタがある場合の平均波長のばらつきを示している。また、図14Aおよび図14Bの各グラフの横軸は波長を表し、縦軸は光源の出力を表している。
【0068】
図14Aに示すように、バンドパスフィルタがない場合、光源スペクトルは、温度、電流またはロッド等により、平均波長にばらつきが出てしまうことがある。そこで、本実施形態に係る画像表示装置は、バントパスフィルタを備えることができる。これにより、図14Bに示すように、光源スペクトルの波長のばらつきを抑えることができる。結果として、本実施形態に係る画像表示装置は、光源の温度特性などによる波長変化によって、画角がずれることを抑えることが可能となる。
【0069】
5.第5実施形態
次に、図15および図16を参照して、本技術の第5実施形態に係る画像表示装置の回折格子の構成例について説明する。図15は、本実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。図16は、本実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した、1軸Expansion配置による色分割表示例を示す模式図である。
【0070】
図15に示すように、本実施形態に係る画像表示装置80は、入射側回折格子81および出射側回折格子82に加えて、入射側回折格子81と出射側回折格子82との間に1軸Expansionとしての第3回折格子83を備えている。
【0071】
第3回折格子83は、導光方向に直行する方向の軸の画角を広げるための回折格子である。画像表示装置80では、入射側回折格子81と出射側回折格子82とのグレーティングベクトルは互いに閉じている関係であり、第3回折格子83は、光線を導光方向と直交する方向に瞳拡大する機能のみを有する。そのため光線の角度は、導光するときに折り返されていくが、使用されるときに元の角度に戻される。
【0072】
第3回折格子83は、一例として、材料屈折率1.6の材質を使用している。また、入射側回折格子81および出射側回折格子82のピッチの傾きは導光板の広い面から見て0度とし、第3回折格子83は68度程度傾けて配置している。この場合、図16に示すように、各色の設定できる画角範囲との関係から、画角に対応して、R表示領域、白色表示領域、シアン(BG)表示領域、のカラー領域配置が形成される。
【0073】
6.第6実施形態
次に、図17および図18を参照して、本技術の第6実施形態に係る画像表示装置の回折格子の構成例について説明する。図17は、本実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。図18は、本実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した、2軸配置による色分割表示例を示す模式図である。
【0074】
図17に示すように、本実施形態に係る画像表示装置90は、入射側回折格子91および出射側回折格子92に加えて、入射側回折格子91と出射側回折格子92との間に2軸配置された第3回折格子93を備えている。
【0075】
第3回折格子93は、光線の光路を折り曲げるための回折格子として配置される。画像表示装置90は、入射側回折格子91、第3回折格子93および出射側回折格子92によって、2つのグレーティングベクトルが閉じており、導光板入射時の光線角度は出射時に保存されることを特徴とする。本実施形態に係る画像表示装置は、第3回折格子93を配置することにより、表示できる画角を広げることができる。
【0076】
画像表示装置90を用いた場合、図18に示すように、中央で矩形に白色表示領域、白色表示領域を囲むように高波長領域の2軸方向にR表示領域、白色表示領域を囲むように低波長領域の2軸方向にB表示領域、のカラー領域配置が形成される。
【0077】
7.第7実施形態
次に、図19および図20を参照して、本技術の第7実施形態に係る画像表示装置の回折格子の構成例について説明する。図19は、本実施形態に係る画像表示装置における回折格子の設置例を示す模式図である。図20は、本実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した、突起形状配置による色分割表示例を示す模式図である。突起形状は、一例として、円柱形上の先端が尖っている形状になっている。
【0078】
図19に示すように、本実施形態に係る画像表示装置100は、入射側回折格子101と、出射側回折格子と導光方向に直交する方向に表示画角の拡大(瞳の拡大)が一体化した1軸Expansionとしての第3回折格子102と、を備えている。第3回折格子102は、出射側回折格子の役割も有している。第3回折格子102は、画像光を導光方向と直交する方向に表示画角を拡大(瞳を拡大)する機能を有する。第3回折格子102は、格子を、六方細密構造またはそれに近い構造に配列している。
【0079】
画像表示装置100は、第3回折格子102が配置されている位置において、入射側回折格子101から第3回折格子102へ向かう方向、すなわち、導光方向と直交する方向に出射側回折格子ピッチを有している。また、画像表示装置100は、第3回折格子102が配置されている位置において、上記直交する方向に対して、傾斜して交差する2つの方向にExpansion回折格子ピッチを有している。本実施形態により、2軸または1軸Expansion配置よりも全体のレイアウト面積(導光板のサイズ)を小さくすることができる。また、本実施形態により、入射側回折格子101および第3回折格子102の二つの回折格子のベクトル方向と直交する方向に表示画角を広げることができる。
【0080】
画像表示装置100を用いた場合、図20に示すように、画角に対応して、高波長領域にR表示領域、低波長領域の2軸方向にBG表示領域、R表示領域とBG表示領域との間の中央領域に白色表示領域、のカラー領域配置が形成される。
【0081】
8.第8実施形態
次に、図21を参照して、本技術の第8実施形態に係る画像表示装置の回折格子と画像光の入射角との関係について説明する。図21は、本実施形態に係る画像表示装置による入射角と選択できる色との関係を示す模式図である。
【0082】
図21Aは、光源の位置を出射側回折格子15に近づける方向に傾けて、画像光を入射側回折格子14に垂直に入射させる場合を示している。図21Bは、画像光を入射側回折格子14に垂直に入射させる場合を示している。図21Cは、光源の位置を出射側回折格子15から遠ざける方向に傾けて、画像光を入射側回折格子14に垂直に入射させる場合を示している。
【0083】
図21Cに示すように、入射側回折格子14への画像光の入射角を出射側回折格子15から遠ざける方向に傾けることで、図21Aおよび図21Bに示す画像光を入射させる場合に比べて、RGB白色表示領域を拡大することができる。これにより、図21Cに示す本実施形態に係る画像表示装置は、白色表示領域の表示領域を増加させることができる。その結果、図21Cに示す本実施形態に係る画像表示装置は、表示の色分割の自由度を上げることができる。
【0084】
したがって、例えば、図15に示す第5実施形態の回折格子のように1軸方向の配置の場合は、画像光の入射角を導光方向の軸に対して出射側回折格子から遠ざける方向に傾けることで、白色表示領域が広がる。また、図17に示す第6実施形態の回折格子のように2軸方向の配置の場合は、画像光の入射角を入射側回折格子および出射側回折格子が導光板面内の対角方向にあることから、出射側回折格子に対して対角方向に離れる方向に傾けることで、白色表示領域が広がる。
【0085】
さらに、図21Cに示す本実施形態に係る画像表示装置は、すべてを白色表示する場合も有効な構成である。なお、本実施形態に係る画像表示装置は、画像または映像を画面の左右に寄せることもできる。
【0086】
9.第9実施形態
次に、図22を参照して、本技術の第9実施形態に係る画像表示装置の配置例について説明する。図22Aは、本実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。図22Bは、本実施形態に係る画像表示装置による表示画像の色分割表示例を示す模式図である。本実施形態では、両眼に画像表示装置を適用し、両眼視で白色表示領域を増加させる配置例を示している。
【0087】
図22Aに示すように、本実施形態では、一例として、ユーザの右目の眼球16に第1実施形態に係る画像表示装置10を適用し、ユーザの左目の眼球116に画像表示装置10と対照的な配置構成の画像表示装置110を適用している。
【0088】
画像表示装置110は、ユーザの両眼16および116間の中心位置に対して線対称の位置に、導光板111、投射レンズ112、画像形成部113を備えている。
【0089】
画像表示装置10の導光板11および画像表示装置110の導光板111は、両眼16および116の視線方向に対して、互いの上面が向き合う方向へ角度θ傾けて配置されている。
【0090】
画像表示装置10の投射レンズ12および画像形成部13は、導光板11の面に垂直な方向に対して、出射側回折格子15から遠ざかる方向へ角度θ傾けて配置されている。画像表示装置110の投射レンズ112および画像形成部113も同様に、導光板111の面に垂直な方向に対して、出射側回折格子から遠ざかる方向へ角度θ傾けて配置されている。なお、本実施形態の配置により、画像光の導光板11および111に対する入射角が角度θ傾けられている。この傾斜角度θは、入射側回折格子の屈折率が低い場合はθ>0の範囲が好ましいが、入射側回折格子の屈折率が高い場合はθ=0であってもよい。ここで、出射側回折格子から遠ざかる方向は、図22の紙面に向かって左右方向(X軸方向)の場合だけでなく、図22の紙面に向かって表裏方向(Y軸方向)の場合も含まれる。さらに、第3回折格子も配置するときには、出射側回折格子から遠ざかる方向は、上記X軸方向およびY軸方向の両方向である場合も含まれる。
【0091】
図22Aおよび図22Bに示すように、本実施形態に係る画像表示装置10および画像表示装置110を配置することで、両眼視により中央画角を両眼視ではっきりと見えるように構成されているため、白色表示領域を拡大し、表示領域をさらに広くすることができる。なお、表示画面の端の画角は、ユーザの左右の目でのカラーの足し合わせで白色表示することにより、疑似的に白色表示領域を増やすこともできる。
【0092】
10.第10実施形態
次に、図23を参照して、本技術の第10実施形態に係る画像表示装置の配置例について説明する。図23Aは、本実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。図23Bは、本実施形態に係る画像表示装置による表示画像の色分割表示例を示す模式図である。本実施形態では、両眼に画像表示装置を適用し、それぞれの片眼視で表示することで表示領域を拡大させる配置例を示している。
【0093】
図23Aに示すように、本実施形態では、第9実施形態と同様に、ユーザの右目の眼球16に画像表示装置10を適用し、ユーザの左目の眼球116に画像表示装置110を適用している。本実施形態では、導光板11および111が同一平面上に配置されている点が、第9実施形態と異なり、その他の構成は第9実施形態と同様である。
【0094】
図23Aおよび図23Bに示すように、本実施形態に係る画像表示装置10および画像表示装置110を配置することで、両眼視エリアを設けずに、左右両眼で異なる情報表示を行うことができる。その結果、観察できる画角範囲を増やすことが可能となる。本実施形態に係る画像表示装置は、例えば、一方の眼で作業マニュアルを確認し、他方の眼で実際の作業を行う等の作業支援表示を行うことができる。
【0095】
11.第11実施形態
次に、図24を参照して、本技術の第11実施形態に係る画像表示装置の配置例について説明する。図24Aは、本実施形態に係る画像表示装置の配置例を示す模式図である。図24Bは、本実施形態に係る画像表示装置を用いて表示した表示画像の一例の模式図である。本実施形態では、第1実施形態に係る画像表示装置10の配置に対し、90度移動させた画像表示装置200の配置例を示している。
【0096】
図24Aに示すように、画像表示装置200は、一例として、導光板211と、投射レンズ212と、2つ以上の波長の発光光源を有する画像形成部213と、入射側回折格子214と、出射側回折格子215と、を備える。画像表示装置200は、導光板211に入射された画像光の導光方向を垂直方向に設定して配置している。
【0097】
図24Bに示すように、画像表示装置200により表示した表示画像は、一例として、上方端部にR表示領域、下方端部にB表示領域、それらの中央にRBG表示領域、が形成される。
【0098】
本実施形態に係る画像表示装置200によれば、第1実施形態に係る画像表示装置10と同様に、簡素な構成で色ムラを抑制しつつ、表示画角領域を拡大してより多くの情報を表示することができる。なお、本技術に係る画像表示装置は、水平方向に導光させるか、垂直方向に導光させるか、で表示領域を任意に変更することができる。また、本技術に係る画像表示装置によれば、1軸Expansion配置、2軸配置、突起形状配置など、どの配置による方式でも同様に、表示画像の画角を拡大することができる。本実施形態により、画像は白色表示をして、下に文字表示をすることができる。これにより、文字が白色表示である必要がない場合に積極的に使用することができる。
【0099】
なお、本技術では、以下の構成を取ることができる。
(1)
複数の画素を有し、前記画素から画像光を出射する画像形成部と、
前記画像形成部から出射された各像高の前記画像光を画角の平行光へ変換する光学系と、
前記光学系で変換された前記画像光が入射され、内部を伝搬して外部へ出射される導光板と、
前記導光板に配設され、前記導光板に入射された前記画像光を回折反射して前記導光板の内部を伝搬させる第1回折格子と、
前記導光板に配設され、前記導光板の内部を伝搬した前記画像光を回折反射して前記導光板から外部へ出射する第2回折格子と、
を備え、
前記画像形成部は、前記画像光を複数の色光に分割する画像表示装置。
(2)
前記画像形成部は、カラーフィルタを有する、(1)に記載の画像表示装置。
(3)
前記画像形成部は、出射する前記画像光と前記導光板の前記画像光が入射する面の法線とのなす入射角が前記第2回折格子から遠ざかる方向に傾斜する位置に配置されている、(1)または(2)に記載の画像表示装置。
(4)
前記第1回折格子および前記第2回折格子は、表面レリーフ型または体積型ホログラムである、(1)から(3)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(5)
前記表面レリーフ型は、オーバーハングを含むブレーズド形状または階段形状を有する、(4)に記載の画像表示装置。
(6)
前記導光板は、前記第1回折格子および前記第2回折格子のグレーティングベクトルが互いに交差する位置に、第3回折格子を配置している、(1)から(5)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(7)
前記第3回折格子のグレーティングベクトルは、前記第1回折格子および前記第2回折格子のそれぞれのグレーティングベクトルと交差する、(6)に記載の画像表示装置。
(8)
前記第2回折格子を前記導光板の面に対して突起形状に配置する、(1)から(7)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(9)
前記画像形成部、前記導光板、前記第1回折格子および前記第2回折格子を、それぞれ右眼用および左眼用の2つずつ備え、
右眼の画像および左眼の画像を重ね合わせて画像を表示する、(1)から(8)のいずれか一つに記載の画像表示装置。
(10)
両眼視領域および片眼視領域を表示する、(9)に記載の画像表示装置。
(11)
前記両眼視領域はカラー領域を表示し、前記片眼視領域は白色領域を表示する、(10)に記載の画像表示装置。
(12)
両眼視領域を表示しない、(9)に記載の画像表示装置。
(13)
複数の画素を有し、前記画素から複数の色光に分割した画像光を出射するステップと、
出射された前記画像光を導光板に入射するステップと、
前記導光板に入射された前記画像光を回折反射して前記導光板の内部を伝搬させるステップと、
前記導光板の内部を伝搬した前記画像光を回折反射して前記導光板から外部へ出射するステップと、
を含む画像表示方法。
【符号の説明】
【0100】
10、40、42、44、80、90、110、200 画像表示装置
11、111、211 導光板
12、112、212 投射レンズ(光学系)
13、113、213 画像形成部
14、31、34、37、41、81、91、214 入射側回折格子(第1回折格子)
15、43、51、54、82、92、215 出射側回折格子(第2回折格子)
16、116 眼球
21、221 表示画像
32、35、38、52、55 回折格子
33、36、39 高反射金属膜
53、56 高屈折材料膜
60~63、65~68、71 パネル
70、75 カラーフィルタ
72 ブルーカラーフィルタ
73 レッドカラーフィルタ
83、93、102 第3回折格子
L1、L2 入射光
WL 白色照明光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24