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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092720
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】半導体装置及びスイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/329 20060101AFI20220616BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220616BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220616BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220616BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H01L29/90 P
H01L29/91 D
H01L29/90 D
H01L29/06 301G
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/91 Z
H01L29/90 Z
H01L29/06 301M
H01L21/28 301R
H01L29/44 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205590
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】井上 征
(72)【発明者】
【氏名】柴田 行裕
(72)【発明者】
【氏名】田口 英正
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB14
4M104CC01
4M104EE06
4M104FF02
4M104FF03
4M104FF10
4M104FF13
4M104FF31
4M104FF34
4M104GG02
4M104GG18
4M104HH18
(57)【要約】
【課題】GHz帯域のノイズの発生を抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1導電型の半導体基板11と、前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層12と、前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第1の第2導電型拡散層13と、前記第1導電型の半導体層内に位置され、平面視において前記第1の第2導電型拡散層と接触し、かつ、前記第1の第2導電型拡散層を囲むように配置され、前記第1の第2導電型拡散層より耐圧が高くなるように形成された第2の第2導電型拡散層14と、前記第2の第2導電型拡散層及び平面視で前記第2の第2導電型拡散層の外側の前記半導体層の上に位置する絶縁層15と、前記第1の第2導電型拡散層、前記第2の第2導電型拡散層及び前記絶縁層の上に位置する金属プレート16と、を含む半導体装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第1の第2導電型拡散層と、
前記第1導電型の半導体層内に位置され、平面視において前記第1の第2導電型拡散層と接触し、かつ、前記第1の第2導電型拡散層を囲むように配置され、前記第1の第2導電型拡散層より耐圧が高くなるように形成された第2の第2導電型拡散層と、
前記第2の第2導電型拡散層及び平面視で前記第2の第2導電型拡散層の外側の前記半導体層の上に位置する絶縁層と、
前記第1の第2導電型拡散層、前記第2の第2導電型拡散層及び前記絶縁層の上に位置する金属プレートと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の第2導電型拡散層は、前記第1の第2導電型拡散層より不純物濃度勾配が緩やかに形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2の第2導電型拡散層の深さは、前記第1の第2導電型拡散層より深いことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層より高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層と同等であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記第2の第2導電型拡散層の深さは、前記第1の第2導電型拡散層より浅いことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項3又は6において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層より低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第1導電型の半導体層内に位置され、前記第2導電型拡散層の下に位置され、かつ、前記第2導電型拡散層と接触し、平面視において前記第2導電型拡散層の内側に位置され、前記第1導電型の半導体層より不純物濃度の高い第1導電型の埋込層と、
平面視において前記第1導電型の埋込層の外側の前記第2導電型拡散層の端部及び前記第2導電型拡散層の端部の外側の前記半導体層の上に位置する絶縁層と、
前記第2導電型拡散層、前記第2導電型拡散層の端部及び前記絶縁層の上に位置する金属プレートと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、
前記金属プレートは、第1の金属層と、前記第1の金属層上に位置する第2の金属層を有し、前記第1の金属層は前記第2の金属層と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項において、
前記金属プレート上に位置するはんだを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記はんだは、前記第1の第2導電型拡散層、前記第2の第2導電型拡散層及び前記絶縁層それぞれの上の前記金属プレート上に位置することを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項において、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
前記樹脂の表面を覆うシールド膜と、
を有し、
前記シールド膜は前記第1のリード線及び前記第2のリード線の少なくとも一方に接触することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項において、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
を有し、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第2導電型拡散層上に位置する金属プレートと、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
前記樹脂の表面を覆うシールド膜と、
を有し、
前記シールド膜は前記第1のリード線及び前記第2のリード線の少なくとも一方に接触することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項12又は14において、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第2導電型拡散層上に位置する金属プレートと、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
を有し、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項において、
前記金属プレートは、Al層、Ni層、Ti層、Au層、及び、Ni層とAl層の積層からなる群から選択された少なくとも一つの金属層を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の半導体装置を含むパワークランパを備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のパワークランパの電圧クランプ用メサ型ダイオードを示す断面図である。
この電圧クランプ用メサ型ダイオードはN++型シリコン基板101を有し、このN++型シリコン基板101上にN型エピタキシャル層102が形成されている。N型エピタキシャル層102の両端はテーパー状に加工されている。N型エピタキシャル層102内の表面側にはP++型拡散層103が形成されており、P++型拡散層103及びN型エピタキシャル層102のテーパー状に加工された両端にはガラスパッシベーション層等の絶縁層105が形成されている。また、P++型拡散層103の上にはNi層とAu層の積層膜又はNi膜からなる第1の金属膜104が形成されている。また、N++型シリコン基板101の下にはNi層とAu層の積層膜又はNi膜からなる第2の金属膜106が形成されている。このような電圧クランプ用メサ型ダイオードに関連する技術は例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
パワークランパは、電圧クランプ用メサ型ダイオードと高速整流ダイオードを合体して1つの素子にしたものである。従来のパワークランパでは、GHz帯域のノイズの発生について問題にされていなかった。
【0004】
しかし、CISPR(国際無線障害特別委員会)のノイズの規定が変わり、GHz帯域のノイズの発生を抑制することが要求されるようになった。そして、図11に示すパワークランパの電圧クランプ用メサ型ダイオードからもGHz帯域のノイズが発せられることが確認された。
【0005】
なお、CISPRは、無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)に関し、その許容値と測定法を国際的に合意することによって国際貿易を促進することを目的としたIEC(国際電気標準会議)の特別委員会である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-192500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の種々の態様は、GHz帯域のノイズの発生を抑制できる半導体装置及びその半導体装置を備えたスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0009】
[1]第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第1の第2導電型拡散層と、
前記第1導電型の半導体層内に位置され、平面視において前記第1の第2導電型拡散層と接触し、かつ、前記第1の第2導電型拡散層を囲むように配置され、前記第1の第2導電型拡散層より耐圧が高くなるように形成された第2の第2導電型拡散層と、
前記第2の第2導電型拡散層及び平面視で前記第2の第2導電型拡散層の外側の前記半導体層の上に位置する絶縁層と、
前記第1の第2導電型拡散層、前記第2の第2導電型拡散層及び前記絶縁層の上に位置する金属プレートと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0010】
[2]上記[1]において、
前記第2の第2導電型拡散層は、前記第1の第2導電型拡散層より不純物濃度勾配が緩やかに形成されていることを特徴とする半導体装置。
【0011】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記第2の第2導電型拡散層の深さは、前記第1の第2導電型拡散層より深いことを特徴とする半導体装置。
[4]上記[3]において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層より高いことを特徴とする半導体装置。
[5]上記[3]において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層と同等であることを特徴とする半導体装置。
【0012】
[6]上記[1]又は[2]において、
前記第2の第2導電型拡散層の深さは、前記第1の第2導電型拡散層より浅いことを特徴とする半導体装置。
[7]上記[3]又は[6]において、
前記第2の第2導電型拡散層の表面濃度は、前記第1の第2導電型拡散層より低いことを特徴とする半導体装置。
【0013】
[8]第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第1導電型の半導体層内に位置され、前記第2導電型拡散層の下に位置され、かつ、前記第2導電型拡散層と接触し、平面視において前記第2導電型拡散層の内側に位置され、前記第1導電型の半導体層より不純物濃度の高い第1導電型の埋込層と、
平面視において前記第1導電型の埋込層の外側の前記第2導電型拡散層の端部及び前記第2導電型拡散層の端部の外側の前記半導体層の上に位置する絶縁層と、
前記第2導電型拡散層、前記第2導電型拡散層の端部及び前記絶縁層の上に位置する金属プレートと、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0014】
[9]上記[1]から[8]のいずれか一項において、
前記金属プレートは、第1の金属層と、前記第1の金属層上に位置する第2の金属層を有し、前記第1の金属層は前記第2の金属層と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【0015】
[10]上記[1]から[9]のいずれか一項において、
前記金属プレート上に位置するはんだを有することを特徴とする半導体装置。
【0016】
[11]上記[10]において、
前記はんだは、前記第1の第2導電型拡散層、前記第2の第2導電型拡散層及び前記絶縁層それぞれの上の前記金属プレート上に位置することを特徴とする半導体装置。
【0017】
[12]上記[1]から[11]のいずれか一項において、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
前記樹脂の表面を覆うシールド膜と、
を有し、
前記シールド膜は前記第1のリード線及び前記第2のリード線の少なくとも一方に接触することを特徴とする半導体装置。
【0018】
[13]上記[1]から[11]のいずれか一項において、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
を有し、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【0019】
[14]第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第2導電型拡散層上に位置する金属プレートと、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
前記樹脂の表面を覆うシールド膜と、
を有し、
前記シールド膜は前記第1のリード線及び前記第2のリード線の少なくとも一方に接触することを特徴とする半導体装置。
【0020】
[15]上記[12]又は[14]において、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【0021】
[16]第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板上に位置する第1導電型の半導体層と、
前記第1導電型の半導体層内の表面側に位置する第2導電型拡散層と、
前記第2導電型拡散層上に位置する金属プレートと、
前記金属プレートに電気的に接続された第1のリード線と、
前記半導体基板に電気的に接続された第2のリード線と、
前記第1のリード線及び前記第2のリード線それぞれの一部、前記半導体基板及び前記金属プレートを封止する樹脂と、
を有し、
前記樹脂には、前記樹脂より誘電率の高い材料が混入されていることを特徴とする半導体装置。
【0022】
[17]上記[1]から[16]のいずれか一項において、
前記金属プレートは、Al層、Ni層、Ti層、Au層、及び、Ni層とAl層の積層からなる群から選択された少なくとも一つの金属層を有することを特徴とする半導体装置。
【0023】
[18]上記[1]から[17]のいずれか一項に記載の半導体装置を含むパワークランパを備えることを特徴とするスイッチング電源装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の種々の態様によれば、GHz帯域のノイズの発生を抑制できる半導体装置及びその半導体装置を備えたスイッチング電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図2に示す2-2線に沿った断面図である。
図2】本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図である。
図3図1に示す第2のP型不純物拡散層14の深さを変更した変形例である。
図4図1に示す第2のP型不純物拡散層14の深さを変更した変形例である。
図5図1に示すN型エピタキシャル層12から上の構造を示す断面図である。
図6】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図である。
図7】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図である。
図8】本発明の一様態に係る半導体装置を形成するために導入された不純物の濃度分布を模式的に示した図である。
図9】本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図である。
図10】本発明の一態様に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。
図11】従来のパワークランパの電圧クランプ用メサ型ダイオードを示す断面図である。
図12】従来のプレーナ型ダイオードを示す断面図である。
図13】本発明の一態様に係るスイッチング電源装置を示す回路図である。
図14】比較例のDCRスナバを用いたスイッチング電源装置を示す回路図である。
図15図1に示す電圧クランプ用プレーナ型ダイオードのサンプルからGHz帯域(1GHzから6GHz)のノイズが発生することについての実験を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
(第1の実施形態)
<電圧クランプ用プレーナ型ダイオード>
図2は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す平面図である。図1は、図2に示す2-2線に沿った断面図である。図1に示す参照符号AからFは、図2に示す参照符号AからFに対応し、図1及び図2に示す破線は図1に示す断面図と図2に示す平面図の関係性を分かりやすくするためのものである。但し、図2は、N++型シリコン基板11、第1のP型不純物拡散層13、第2のP型不純物拡散層14及びAl層16のみを示しており、それ以外の部分については図示していない。
【0028】
図3及び図4それぞれは、図1に示す第2のP型不純物拡散層14の深さを変更した変形例である。但し、図3及び図4では、第1のP型不純物拡散層13及び第2のP型不純物拡散層14a,14bのみを示しており、それ以外の構成は図1と同一である。
【0029】
図5は、図1に示すN型エピタキシャル層12から上を示しており、それ以外の構成は図1と同一である。
図8は、図1図3図4図5及び図7に示す第2のP型不純物拡散層14,14a,14bの不純物の濃度勾配[0]は、[0]第1のP型不純物拡散層13の不純物の濃度勾配より緩やかに[0]形成されていることを説明する図である。
【0030】
図1に示す半導体装置は電圧クランプ用プレーナ型ダイオードであり、この電圧クランプ用プレーナ型ダイオードはN++型シリコン基板11(「第1導電型の半導体基板」ともいう。)を有する。このN++型シリコン基板11上にはN型エピタキシャル層12(「第1導電型の半導体層」ともいう。)が形成されている。このN型エピタキシャル層12内の表面側には第1のP型不純物拡散層13(「第1の第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。また、N型エピタキシャル層12内には第2のP型不純物拡散層14(「第2の第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。第2のP型不純物拡散層14は、平面視において第1のP型不純物拡散層13と接触し、かつ、図2に示すように第1のP型不純物拡散層13を囲むように配置されている。クランプ動作の際には電流が後述する金属プレートの下部に位置する半導体領域で流れるように構成されている。すなわち、第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13より耐圧が高くなるように形成されている。詳細には、第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13若しくは、第2のP型不純物拡散層14と第1のP型不純物拡散層13の接触部付近で、降伏現象(ツェナー降伏現象、アバランシェ降伏現象若しくは、ツェナー降伏現象とアバランシェ降伏現象が混在する降伏現象)が生ずるように形成されている。これを実現するために、詳細典型例として、図8に示す(2)と図8に示す(1)、図8に示す(3)と図8に示す(1)、図8に示す(4)と図8に示す(1)、又は図8に示す(5)と図8に示す(1)の関係のように、第2のP型不純物拡散層14の不純物の濃度勾配[0]は、[0]第1のP型不純物拡散層13の不純物の濃度勾配より緩やかに[0]形成されている。ここでいう不純物の濃度勾配とはPN接合部に近づくにつれて変化する不純物濃度の変化率の絶対値のことである。なお、図8では、典型的なガウス(Gauss)型の変化を仮定しており、不純物濃度は深さ方向に対して単純に減少するが、降伏現象が上記のように生ずるのであれば、不純物濃度の分布は何でもよく、図8のような例に限定されるものではない。これは、本発明の他の実施例においても同様である。第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13より表面濃度が高くても同等でも低くてもよく、第1のP型不純物拡散層13よりも深く拡散して形成されているとよい。
また、第1及び第2のP型不純物拡散層13,14それぞれは、例えばN型エピタキシャル層12の表面にP型不純物の拡散源を配置し、そのP型不純物をN型エピタキシャル層12に熱拡散させることで形成してもよいし、N型エピタキシャル層12にP型不純物をイオン注入した後に熱拡散させることで形成してもよい。
【0031】
図2に示すように、第1のP型不純物拡散層13の上から視た平面形状は四角形の角を円弧とした形状又は丸くした形状である。第2のP型不純物拡散層14の平面形状は第1のP型不純物拡散層13の周囲を囲む形状であり、第2のP型不純物拡散層14の平面形状の輪郭は第1のP型不純物拡散層13の平面形状の輪郭を拡大した形状である。
【0032】
図1に示すように、第2のP型不純物拡散層14は第1のP型不純物拡散層13より深く形成されているとよいが、図3に示すように、第2のP型不純物拡散層14aは第1のP型不純物拡散層13と同じ深さで形成されていてもよいし、図4に示すように、第2のP型不純物拡散層14bは第1のP型不純物拡散層13より浅く形成されていてもよい。ここで、図3に示す第2のP+型不純物拡散層14a(図8に示す(4)に相当)は、図3に示す第1のP+型不純物拡散層13(図8に示す(1)に相当)より不純物の濃度勾配が緩やかに形成されている。 また、図4に示す第2のP+型不純物拡散層14b(図8に示す(6)に相当)は、図4に示す第1のP+型不純物拡散層13(図8に示す(1)に相当)より不純物の濃度勾配が緩やかに形成されている。第2のP型不純物拡散層14の深さは、深くても浅くても同じであっても、1~6GHz帯域のノイズの発生を抑制する効果を得ることができる。但し、第2のP型不純物拡散層14を第1のP型不純物拡散層13より深く形成した場合の方が、同じ深さ又は浅い深さで形成した場合よりダイオードの特性を良くすることができ、かつ、1~6GHz帯域のノイズの発生を抑制する効果もより大きくできることが期待される。
【0033】
図1に示すように、第2のP型不純物拡散層14及び平面視で第2のP型不純物拡散層14の外側のN型エピタキシャル層12の上には絶縁層15が形成されている。この絶縁層15は例えばSiO及びPSG(Phospho-Silicate Glass)等で形成されている。第1のP型不純物拡散層13、第2のP型不純物拡散層14及び絶縁層15の上にはAl層16(「金属プレート」ともいう。)が形成されている。Al層16は、図2に示すように第2のP型不純物拡散層14の外側まで拡がって形成されている。
【0034】
また、図1に示すように、N型エピタキシャル層12にはN++不純物拡散層26が形成されている。このN++不純物拡散層26は、平面視において第2のP型不純物拡散層14の外側に位置し、かつ、第2のP型不純物拡散層14と離れて形成されている。また、絶縁層15は、第2のP型不純物拡散層14、N型エピタキシャル層12及びN++不純物拡散層26の上に位置している。絶縁層15及びN++不純物拡散層26の上にはAl層32が形成されている。また、N++型シリコン基板11の下にはTi層とNi層を順に積層したTi/Ni金属層28が形成されている。
【0035】
Al層16(「第1の金属層」ともいう。)上にはTi層とNi層を順に積層したTi/Ni金属層17(「第2の金属層」ともいう。)が形成されており、このTi/Ni金属層17はAl層16と電気的に接続されている。なお、前述したようにAl層16を金属プレートとしてもよいが、Al層16とTi/Ni金属層17を合わせて金属プレート18と呼んでも良い。
【0036】
++不純物拡散層26、絶縁層15及びAl層16,32の上にはポリイミド膜27が形成されている。Ti/Ni金属層17上には、はんだ19が形成されている。図1では、Ti/Ni金属層17上にポリイミド膜27を形成していないが、Ti/Ni金属層17をAl層16の端のほうに広げて形成し、Ti/Ni金属層17上にもポリイミド膜27を形成してもよい。
【0037】
上述したようにTi/Ni金属層17をAl層16の端のほうに広げて形成することで、ノイズ低減効果を大きくできることが期待される。
【0038】
図1に示すように、主に第1のP型不純物拡散層13の上に位置するポリイミド膜27の開口部27a(言い換えると、主に第1のP型不純物拡散層13の上に位置するポリイミド膜27から露出したTi/Ni金属層17上)にはんだ19を形成してもよいが、図5に示すように、はんだ19を形成するポリイミド膜27の開口部27bをAl層16の端のほうに向けて大きく広げて形成し、その開口部27bにはんだ19を形成してもよい。つまり、第1のP型不純物拡散層13、第2のP型不純物拡散層14及び絶縁層15それぞれの上にTi/Ni金属層17を形成し、Ti/Ni金属層17上にはんだ19を形成してもよい。このようにはんだ19をAl層16の端のほうに向けて大きく広げて形成することで、1~6GHz帯域のノイズの発生を抑制する効果をより大きくすることができる。
【0039】
上記の電圧クランプ用プレーナ型ダイオードによれば、N型エピタキシャル層12内の表面側に第1のP型不純物拡散層13が位置し、平面視において第1のP型不純物拡散層13と接触し、かつ、第1のP型不純物拡散層13を囲むように、第1のP型不純物拡散層13より耐圧の高い(例えば不純物濃度の低い)第2のP型不純物拡散層14を配置する。これにより、第2のP型不純物拡散層14より中央寄りの第1のP型不純物拡散層13で降伏現象を起こさせることができる。その上、第1のP型不純物拡散層13及び絶縁層15の上に金属プレートとしてのAl層16を位置させることで、金属プレートがシールド効果を奏する。その結果、上記の電圧クランプ用プレーナ型ダイオードから1~6GHz帯域のノイズが発せられることを抑制でき、ノイズ低減効果が得られる。
【0040】
また、図1に示す電圧クランプ用プレーナ型ダイオードでは、第2のP型不純物拡散層14の深さを、第1のP型不純物拡散層13より深くすることで、降伏現象箇所を第1のP型不純物拡散層13の端部より中央寄りにすることができる。これにより、ノイズ低減効果をより大きくすることができる。
【0041】
また、図1に示す電圧クランプ用プレーナ型ダイオードでは、第1の金属層としてのAl層16上に第2の金属層としてのTi/Ni金属層17を形成し、Ti/Ni金属層17をAl層16と電気的に接続している。そのため、Al層16とTi/Ni金属層17を合わせた金属プレート18となり、この金属プレート18がシールド効果を奏する。その結果、電圧クランプ用プレーナ型ダイオードから1~6GHz帯域のノイズが発せられることを抑制でき、ノイズ低減効果が得られる。
【0042】
また、金属プレート18のTi/Ni金属層17上にはんだ19を形成し、金属プレート18がはんだ19に電気的に接続されている。そのため、はんだ19と金属プレート18を合わせてシールドとして作用することで、電圧クランプ用プレーナ型ダイオードから1~6GHz帯域のノイズが発せられることを抑制できる。
【0043】
なお、図1から図5に示す半導体装置における不純物拡散層の作製方法は、例えばフォトレジスト膜をマスクとして酸化膜エッチングによりパターン化し、不純物を堆積させ、導入した後に、熱処理を施すことで作製される。また、N型エピタキシャル層12上に位置する各々の層やポリイミド膜の作製方法には、例えばスパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、塗布法、エッチング法等が用いられる。
【0044】
(第2の実施形態)
<電圧クランプ用プレーナ型ダイオード>
図6は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図であり、その断面は図1に対応する面である。また、図6は、図1と同一部分には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。
【0045】
図6に示すように、N型エピタキシャル層12(「第1導電型の半導体層」ともいう。)内の表面側にはP型不純物拡散層13a(「第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。なお、ここでいうP型不純物拡散層13aは端部13bも含む意味である。P型不純物拡散層13aの下には、N型エピタキシャル層12内に位置するN型埋込層31(「第1導電型の埋込層」ともいう。)が形成されており、N型埋込層31はN型エピタキシャル層12より不純物濃度が高い。またN型埋込層31は、P型不純物拡散層13aと接触し、平面視においてP型不純物拡散層13aの内側に配置されている。つまり、P型不純物拡散層13aの端部13bは、N型埋込層31とは接触せず、N型エピタキシャル層12と接触し、かつ、平面視においてP型不純物拡散層13aがN型埋込層31と接触する部分を囲むように配置されている。
【0046】
平面視においてN型埋込層31の外側のP型不純物拡散層の端部13b及びP型不純物拡散層の端部13bの外側のN型エピタキシャル層12の上には絶縁層15が形成されている。P型不純物拡散層13a、P型不純物拡散層の端部13b及び絶縁層15の上にはAl層16(「金属プレート」ともいう。)が形成されている。
【0047】
本実施形態によれば、平面視においてN型埋込層31をP型不純物拡散層13aの内側に形成し、そのP型不純物拡散層13aとN型埋込層31を接触させている。このため、平面視においてN型埋込層31の外側に位置するP型不純物拡散層13aの端部13bはN型エピタキシャル層12に接触する。そして、N型エピタキシャル層12はN型埋込層31より不純物濃度が低いため、N型埋込層31の外側に位置するP型不純物拡散層13aの端部13bは、N型埋込層31と接触するP型不純物拡散層13aより耐圧が高くなる。これにより、P型不純物拡散層13aの端部13bより中央寄りのP型不純物拡散層13aで降伏現象を起こさせることができる。その上、P型不純物拡散層13a及び絶縁層15の上に金属プレートとしてのAl層16を形成することで、Al層16がシールド効果を奏する。その結果、上記の電圧クランプ用プレーナ型ダイオードから1~6GHz帯域のノイズが発せられることを抑制でき、ノイズ低減効果が得られる。
【0048】
(第3の実施形態)
<電圧クランプ用メサ型ダイオード>
図7は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図である。図7に示す半導体装置は電圧クランプ用メサ型ダイオードであり、図11と同一部分には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。また図7に示す電圧クランプ用メサ型ダイオードは、図11に示す従来の電圧クランプ用メサ型ダイオードに図1に示す第1の実施形態の特徴を加えたものである。
【0049】
図7に示す電圧クランプ用メサ型ダイオードはN++型シリコン基板101(「第1導電型の半導体基板」ともいう。)を有する。このN++型シリコン基板101上にはN型エピタキシャル層102(「第1導電型の半導体層」ともいう。)が形成されている。このN型エピタキシャル層102内の表面側には第1のP++型不純物拡散層13(「第1の第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。また、N型エピタキシャル層102内には第2のP型不純物拡散層14(「第2の第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。第2のP型不純物拡散層14は、平面視において第1のP型不純物拡散層13と接触し、かつ、第1のP型不純物拡散層13を囲むように配置されている。クランプ動作の際には電流が後述する金属プレートの下部に位置する半導体領域で流れるように構成されている。なお、第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13より耐圧が高くなるように形成されている。詳細には、第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13若しくは、第2のP型不純物拡散層14と第1のP型不純物拡散層13の接触部付近で、降伏現象(ツェナー降伏現象、アバランシェ降伏現象若しくは、ツェナー降伏現象とアバランシェ降伏現象が混在する降伏現象)が生ずるように形成されている。これを実現するために、詳細典型例として、図3に示す(2)と図3に示す(1)、図3に示す(3)と図3に示す(1)、図3に示す(4)と図3に示す(1)、又は図3に示す(5)と図3に示す(1)の関係のように、第2のP型不純物拡散層14の不純物の濃度勾配[0]は、[0]第1のP型不純物拡散層13の不純物の濃度勾配より緩やかに[0]形成されている。ここでいう不純物の濃度勾配とはPN接合部に近づくにつれて変化する不純物濃度の変化率の絶対値のことである。なお、図3では、典型的なガウス(Gauss)型の変化を仮定しており、不純物濃度は深さ方向に対して単純に減少するが、降伏現象が上記のように生ずるのであれば、不純物濃度の分布は何でもよく、図3のような例に限定されるのもではない。これは、本発明の他の実施形態においても同様である。第2のP型不純物拡散層14は、第1のP型不純物拡散層13より表面濃度が高くても同等でも低くてもよく、第1のP型不純物拡散層13よりも深く拡散して形成されているとよい。
【0050】
図7に示すように、第2のP型不純物拡散層14及び平面視で第2のP型不純物拡散層14の外側のN型エピタキシャル層102の上には絶縁層105が形成されている。第1のP型不純物拡散層13、第2のP型不純物拡散層14及び絶縁層15の上にはAl層16(「金属プレート」ともいう。)が形成されている。Al層16は、第2のP型不純物拡散層14の外側まで拡がって形成されている。
【0051】
Al層16(「第1の金属層」ともいう。)上にはTi/Ni金属層17(「第2の金属層」ともいう。)が形成されており、Ti/Ni金属層17はAl層16と電気的に接続されている。なお、上述したようにAl層16を金属プレートとしてもよいが、Al層16とTi/Ni金属層17を合わせて金属プレート18と呼んでも良い。
【0052】
絶縁層105及びAl層16の上にはポリイミド膜27が形成されている。Ti/Ni金属層17上には、はんだ19が形成されている。
【0053】
本実施形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(第4の実施形態)
<電圧クランプ用メサ型ダイオード>
図9は、本発明の一態様に係る半導体装置を示す断面図であり、図7と同一部分には同一符号を付し、同一部分の説明は省略する。図9に示す半導体装置は、電圧クランプ用メサ型ダイオードであり、図11に示す従来の電圧クランプ用メサ型ダイオードに図6に示す第2の実施形態の特徴を加えたものである。
【0055】
図9に示すように、N型エピタキシャル層102(「第1導電型の半導体層」ともいう。)内の表面側にはP型不純物拡散層13a(「第2導電型拡散層」ともいう。)が形成されている。P型不純物拡散層13aの下には、N型エピタキシャル層102内に位置するN型埋込層31(「第1導電型の埋込層」ともいう。)が形成されており、N型埋込層31はN型エピタキシャル層102より不純物濃度が高い。またN型埋込層31は、P型不純物拡散層13aと接触し、平面視においてP型不純物拡散層13aの内側に配置されている。つまり、P型不純物拡散層13aの端部13bは、N型埋込層31とは接触せず、N型エピタキシャル層102と接触し、かつ、平面視においてP型不純物拡散層13aがN型埋込層31と接触する部分を囲むように配置されている。
【0056】
平面視においてN型埋込層31の外側のP型不純物拡散層の端部13b及びP型不純物拡散層の端部13bの外側のN型エピタキシャル層102の上には絶縁層105が形成されている。P型不純物拡散層13a、P型不純物拡散層の端部13b及び絶縁層15の上にはAl層16(「金属プレート」ともいう。)が形成されている。
【0057】
本実施形態においても第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(第5の実施形態)
<樹脂封止された半導体装置>
図10は、本発明の一態様に係る半導体装置を模式的に示す断面図である。
【0059】
図10に示す半導体装置は、N++型シリコン基板11(「第1導電型の半導体基板」ともいう。)と、N++型シリコン基板11上に形成された金属プレート18と、この金属プレート18上にはんだ19によって電気的に接続して形成された第1のリード線21と、N++型シリコン基板11に電気的に接続された第2のリード線22を有する。第2のリード線22は、はんだ34によって電極33に電気的に接続され、電極33はN++型シリコン基板11に電気的に接続されている。なお、金属プレート18は、Al層、Ni層、Ti層、Au層、及び、Ni層とAl層の積層からなる群から選択された少なくとも一つの金属層を有するプレートであるとよい。
【0060】
図10に示すN++型シリコン基板11、金属プレート18及びはんだ19は、図1図2図6図7及び図9に示す第1から第4の実施形態それぞれの半導体装置を適用することができる。
【0061】
さらに、図10に示すN++型シリコン基板11は、図12に示す従来の電圧クランプ用メサ型ダイオードを適用してもよい。詳細には、N++型シリコン基板101と、そのN++型シリコン基板101上に形成されたN型エピタキシャル層102と、そのN型エピタキシャル層102内の表面側に形成されたP++型拡散層103と、そのP++型拡散層103上に形成された第1の金属膜104(「金属プレート」ともいう。)と、を有する電圧クランプ用メサ型ダイオードを適用してもよい。
【0062】
また、第1のリード線21及び第2のリード線22それぞれの一部、N++型シリコン基板11、及び金属プレート18は樹脂23によって封止されている。
【0063】
この樹脂23の表面はシールド膜24によって覆われており、このシールド膜24は第1のリード線21及び第2のリード線22の少なくとも一方に接触している。なお、シールド膜24は、例えば、信越樹脂:KMC140-9又は化研テック製シールドペースト(CR-3911,3913,3915,4000~4002)である。
【0064】
また、樹脂23には、その樹脂23より誘電率の高い材料35が混入されている。図10では、誘電率の高い材料35を3つの点で示しているが、誘電率の高い材料35は樹脂23に均一性良く混入されていることが好ましい。
【0065】
本実施形態によれば、第1のリード線21及び第2のリード線22の少なくとも一方に接触するシールド膜24で樹脂23の表面を覆うことにより、ダイオードから発せられるGHz帯域のノイズを樹脂23内に閉じ込めることができ、ノイズ低減効果が得られる。
【0066】
また、本実施形態では、第1のリード線21及び第2のリード線22それぞれの一部、N++型シリコン基板11、及び金属プレート18を樹脂23により封止し、この樹脂23に誘電率の高い材料を混入させることで、この誘電率の高い材料がダイオードから発せられるGHz帯域のノイズを吸収し、ノイズが樹脂23の外側に出されることを抑制できる。
【0067】
(第6の実施形態)
<スイッチング電源装置>
図13は、本発明の一態様に係るスイッチング電源装置を示す回路図である。図14は、比較例のDCRスナバ61を用いたスイッチング電源装置を示す回路図である。
図13に示すスイッチング電源装置は、第1から第5の実施形態それぞれの半導体装置を含むパワークランパ51を備えている。図13に示すスイッチング電源装置は、図14に示すDCRスナバ61をパワークランパ51に置き換えたもので、ハードスイッチングのフライバック電源回路に主に用いられ、例えば、テレビ、複写機等のスタンバイ電源、エアコンの室内機用電源等に適用される。
以下に図13及び図14の構成を説明する。
図14に示すように、キャパシタ54の一方の電極と他方の電極の間に入力電圧VINが印加されるように構成される。キャパシタ54の一方の電極は、DCRスナバ61の抵抗62の一端及びキャパシタ63の一方の電極に電気的に接続されている。抵抗62の他端は、キャパシタ63の他方の電極及びファスト・リカバリ・ダイオード64のカソードに電気的に接続されている。ファスト・リカバリ・ダイオード64のアノードは、トランス56の一次巻線の一端及びスイッチング素子57の一方の電極に電気的に接続されている。スイッチング素子57の他方の電極はキャパシタ54の他方の電極に電気的に接続されている。また、キャパシタ63の一方の電極は寄生インダクタ55の一端に電気的に接続されており、寄生インダクタ55の他端はトランス56の一次巻線の他端に電気的に接続されている。トランス56の二次巻線の一端はダイオード58のアノードに電気的に接続されており、ダイオード58のカソードはキャパシタ59の一方の電極に電気的に接続されている。キャパシタ59の他方の電極はトランス56の二次巻線の他端に電気的に接続されており、キャパシタ59の一方の電極と他方の電極の間には出力電圧VOUTが出力される。
図13に示すスイッチング電源装置は、図14に示すスイッチング電源装置と以下の部分のみが異なる。
図13に示すように、キャパシタ54の一方の電極は、パワークランパ51のツェナーダイオード(アバランシェダイオード)53のアノード及び寄生インダクタ55の一端に電気的に接続されている。ツェナーダイオード53のカソードはファスト・リカバリ・ダイオード52のカソードに電気的に接続されている。ファスト・リカバリ・ダイオード52のアノードは、トランス56の一次巻線の一端及びスイッチング素子57の一方の電極に電気的に接続されている。
【0068】
なお、上記の第1から第6の実施形態は互いに組み合わせて実施することも可能である。
【実施例0069】
図15は、図1に示す電圧クランプ用プレーナ型ダイオードのサンプルからGHz帯域(1GHzから6GHz)のノイズが発生することについての実験を行った結果を示す図である。サンプルの詳細は表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
図15に示すIpはダイオードの降伏現象により流れる降伏電流のピーク値である。このグラフはGHz帯域のノイズが出始めるIp値をプロットしている。Ip値が高いほどノイズ抑制効果が高いと判断できる。
【0072】
(1)で囲まれた枠のデータは、図1に示す第2のP型不純物拡散層14が図2に示すようなリング構造であるが、外側層である第2のP型不純物拡散層14の耐圧の方が低くなってしまい、第2のP型不純物拡散層14のコーナー外側(リング部)で降伏したサンプルの降伏電流のピーク値である。これら3つのサンプルの降伏電流のピーク値からは、フィールドプレート(FP)である金属プレート(Al層16)が平面視で外側に長い方がノイズ発生の抑制効果が向上することが分かる(表1及び図15参照)。なお、FP長さはFP60<FP80である。
【0073】
(2)で囲まれた枠のデータは、内側浅い拡散層(バルク)である図1に示す第1のP型不純物拡散層13で降伏しているが、金属プレート(Al層16)が無いサンプルの降伏電流のピーク値である。(1)の1-1のデータと比較すると内側(第1のP型不純物拡散層13)で降伏させることでノイズ発生の抑制効果が向上することが分かる。
【0074】
(3)で囲まれた枠のデータは、内側浅い拡散層(バルク)である図1に示す第1のP型不純物拡散層13で降伏していて、FPである金属プレート(Al層16)が有るサンプルの降伏電流のピーク値である。これら4つのサンプルの降伏電流のピーク値からは、FPである金属プレート(Al層16)が平面視で外側に長い方がノイズ発生の抑制効果が向上することが分かる(表1及び図15参照)。
【0075】
(4)で囲まれた枠のデータは、図12に示す従来のプレーナ型ダイオード構造のみで、FP無しの結果である。本発明の比較対象とはならない。なお、図12は、図6と同一部分には同一符号を付している。
【0076】
(5)で囲まれた枠のデータは、(4)の6-1st_Bのサンプルの図12に示すプレーナ型ダイオードにFP(金属プレート)を付けたサンプル(6-1st_B+FP60, 6-1st_B+FP80)の降伏電流のピーク値である。
【0077】
(6)で囲まれた枠のデータは、外周層である第2のP型不純物拡散層14の不純物濃度を低くして(2次試作)、外周層の耐圧を高くし、FPが最も長いパターンのサンプルの降伏電流のピーク値である。このサンプルでは、内側層(第1のP型不純物拡散層13)で降伏し、最もノイズ発生の抑制効果が高かった。
【0078】
(7)で囲まれた枠のデータは、(3)の6-9のサンプルの電圧クランプ用プレーナ型ダイオードと組み合わせるファスト・リカバリ・ダイオード(FRD)を別パッケージに入れた場合と同じパッケージに組んだ場合とを比較した結果である。本発明の比較対象とはならない。
【0079】
(1)の1-1のサンプルと(2)の6-1のサンプルとの比較と、(2)の6つのサンプルの比較から内側(第1のP型不純物拡散層13)で降伏させることによるノイズ発生の抑制効果を確認することができた。
【0080】
(1)のサンプルでの比較、(2)のサンプルと(3)のサンプルの比較、(4)の6-1st_Bのサンプルと(5)のサンプル内の比較でフィールドプレートが外側に長いほどノイズ発生の抑制効果が高いことを確認することができた。以上、本発明を上記の実施形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
11 N++型シリコン基板(第1導電型の半導体基板)
12 N型エピタキシャル層(第1導電型の半導体層)
13 第1のP型不純物拡散層(第1の第2導電型拡散層)
13a P型不純物拡散層(第2導電型拡散層)
13b P型不純物拡散層の端部(第2導電型拡散層の端部)
14 第2のP型不純物拡散層(第2の第2導電型拡散層)
14b 第2のP型不純物拡散層(第2の第2導電型拡散層)
15 絶縁層
16 Al層(第1の金属層、金属プレート)
17 Ti/Ni金属層(第2の金属層)
18 金属プレート
19 はんだ
21 第1のリード線
22 第2のリード線
23 樹脂
24 シールド膜
31 N型埋込層(第1導電型の埋込層)
32 Al層
101 N++型シリコン基板(第1導電型の半導体基板)
102 N型エピタキシャル層(第1導電型の半導体層)
105 絶縁層
図1
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