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  • 特開-全天球カメラ用の防水ケース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092812
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】全天球カメラ用の防水ケース
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20220616BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220616BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20220616BHJP
   G03B 17/08 20210101ALI20220616BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220616BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
G03B17/56 H
G03B15/00 W
G03B37/00 A
G03B17/08
G03B17/02
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205739
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】大垣 博
【テーマコード(参考)】
2H059
2H100
2H101
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H059BA00
2H100CC01
2H100DD13
2H100EE05
2H101CC01
2H101CC52
2H101CC61
2H101CC62
2H101CC91
2H105DD07
2H105EE05
2H105EE27
2H105EE31
5C122DA11
5C122EA02
5C122FA02
5C122FA10
5C122FK23
5C122GC52
5C122GE07
5C122GE14
(57)【要約】
【課題】防水性を確保しつつ、給電にかかる手間を低減でき、かつ中断することなく連続的に撮影することができ、さらに密閉されることに伴う結露の発生を抑制して画質の低下を防ぐことができる。
【解決手段】視角制限のない画像を撮影する全天球カメラ10を収容し、防水性を有する全天球カメラ用の防水ケース1であって、全天球カメラ10を支持するホルダ2と、ホルダ2に液密にかつ着脱自在に装着され、全天球カメラ10を外側から覆うカバー体3と、を備え、ホルダ2には、カバー体3の内側に収容される全天球カメラ10にケース外部から接続される給電ケーブル14が液密に挿通可能なケーブル挿通孔24と、カバー体3の内側とケース外部とを連通する通気孔25と、が設けられた構成の全天球カメラ用の防水ケースを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視角制限のない画像を撮影する全天球カメラを収容し、防水性を有する全天球カメラ用の防水ケースであって、
前記全天球カメラを支持するホルダと、
前記ホルダに液密にかつ着脱自在に装着され、前記全天球カメラを外側から覆うカバー体と、を備え、
前記ホルダには、
前記カバー体の内側に収容される前記全天球カメラにケース外部から接続される給電ケーブルが液密に挿通可能なケーブル挿通孔と、
前記カバー体の内側と前記ケース外部とを連通する通気孔と、が設けられていることを特徴とする全天球カメラ用の防水ケース。
【請求項2】
前記通気孔には、通気フィルタが着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の全天球カメラ用の防水ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全天球カメラ用の防水ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば特許文献1に示されるような全天球カメラを使用して視角制限のない画像を撮影することが行われている。
このような全天球カメラでは、使用用途として風雨を受ける環境下となる屋外に設置されることが多いことから、透明なカバー体に全天球カメラを収容してカメラ全体を覆うことで防水性をもたせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-117330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の全天球カメラの全体を覆うカバー体は、防水性をもたせるために密閉された構成となっている。そのため、全天球カメラの充電量が低下した際にカバー体を開けてバッテリーを交換あるいは充電する必要があった。そのため、全天球カメラへの給電の管理に手間がかかるうえ、バッテリーの交換または充電作業中において一時的に撮影を中断する必要があり連続的な撮影が困難となっていた。
さらに、従来のカバー体は、防水性をもたせるために密閉されているので、外気温が低い場合に防水ケース内が結露により曇ってしまう。そのため、ケース内の全天球カメラで撮影した画像の品質が低下するという問題があり、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、防水性を確保しつつ、給電にかかる手間を低減でき、かつ中断することなく連続的に撮影することができ、さらに密閉されることに伴う結露の発生を抑制して画質の低下を防ぐことができる全天球カメラ用の防水ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る全天球カメラ用の防水ケースは、視角制限のない画像を撮影する全天球カメラを収容し、防水性を有する全天球カメラ用の防水ケースであって、前記全天球カメラを支持するホルダと、前記ホルダに液密にかつ着脱自在に装着され、前記全天球カメラを外側から覆うカバー体と、を備え、前記ホルダには、前記カバー体の内側に収容される前記全天球カメラにケース外部から接続される給電ケーブルが液密に挿通可能なケーブル挿通孔と、前記カバー体の内側と前記ケース外部とを連通する通気孔と、が設けられていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る防水ケースでは、ホルダに対して密閉された状態でカバー体が液密に装着されているので、このカバー体の内側に収容された全天球カメラに防水性をもたせた状態で風雨の影響を受ける屋外等に設置することができる。
さらに本発明では、防水ケースに覆われた全天球カメラに給電ケーブルを接続することができるので、使用される全天球カメラに対して継続的に給電することが可能となる。このように防水ケース内に収容された状態で給電できるので、従来のように全天球カメラのバッテリー容量が低下した際にバッテリーを交換したり、充電するといった給電にかかる手間を低減することができ、全天球カメラによる撮影を中断することなく連続的に使用することができる。
【0008】
また、本発明では、ホルダに対してカバー体が液密に装着された防水ケースに通気孔を設けることで、防水ケースに結露が発生することを抑制することができる。そのため、防水ケースにおける結露に伴う曇りが生じることを防止でき、ケース内に収容されている全天球カメラで撮影する画像の品質の低下を防ぐことができる。さらに、結露を取り除くためのメンテナンスを行う必要がなくなるため、全天球カメラによる撮影を中断させることなく連続使用が可能になる。
【0009】
また、本発明に係る全天球カメラ用の防水ケースは、前記通気孔には、通気フィルタが着脱可能に設けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明では、通気孔を通過する外気に混じるゴミが通気フィルタで捕集されるので、ケース外部のゴミが防水ケース内に入り込むことを防止することができる。そのため、ケース内の清掃を行う頻度を減らすことができ、全天球カメラによる撮影を中断することなく連続的に使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の全天球カメラ用の防水ケースによれば、防水性を確保しつつ、給電にかかる手間を低減でき、かつ中断することなく連続的に撮影することができ、さらに密閉されることに伴う結露の発生を抑制して画質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態による全天球カメラ用の防水ケースの全体構成を示す一部破断した縦断面図である。
図2図1に示すA-A線矢視図であって、防水ケースを下方からみた平面図である。
図3】タイムラプス撮影システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による全天球カメラ用の防水ケースについて、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の全天球カメラ用の防水ケース1は、視角制限のない画像を撮影する全天球カメラ10を収容し、防水性を有するものである。
【0015】
防水ケース1内に保持される全天球カメラ10は、360度全天球カメラであり、タイムラプス撮影が可能なものが採用される。例えば、1分間に1回の撮影で撮影間隔はプログラムにより変更可能であり、フル充電で約3時間、180枚の写真を撮影することが可能とされる。また、全天球カメラ10は、薄厚縦長の形状で、上部にカメラレンズ13を備えている。全天球カメラ10の底部10aには、下面視で略中央に雌ねじで形成されたカメラ雌ねじ部11と、全天球カメラ10に給電するための給電ケーブル14を接続するケーブル端子12と、を有している。
【0016】
防水ケース1は、全天球カメラ10を支持するホルダ2と、ホルダ2に液密にかつ着脱可能に固定され、全天球カメラ10を覆う透明なカバー体3と、ホルダ2に全天球カメラ10を固定するための支持脚4と、を備えている。
【0017】
ホルダ2およびカバー体3は、それぞれ円筒状をなし、ホルダ2の上部に取り付けられている。
ここで本実施形態では、防水ケース1は有頂有底筒状に形成され、その横断面の中央を通る中心軸線をケース軸Oといい、ケース軸O方向に沿って、カバー体3の天壁3a側を上方といい、ホルダ2の底壁22側を下方という。また、ケース軸O方向から見た平面視において、ケース軸Oに直交する方向を径方向といい、ケース軸O回りに周回する方向を周方向という。ホルダ2およびカバー体3は、それぞれケース軸Oと同軸に配置されている。
【0018】
ホルダ2は、周壁21と底壁22とから有底筒状に形成されている。周壁21の上縁内周面には、カバー体3の下部を螺合させるホルダ雌ねじ部21aが形成されている。
【0019】
図1および図2に示すように、ホルダ2の底壁22には、支持脚4を固定するための支持脚固定孔23と、カバー体3の内側に収容される全天球カメラ10にケース外部から接続される給電ケーブル14を挿通するケーブル挿通孔24と、カバー体3の内側とホルダ外部とを連通する通気孔25と、を有している。
【0020】
支持脚固定孔23は、底壁22における平面視中心に配置されている。支持脚固定孔23には、カメラ固定ねじ43の雄ねじ部43aが底壁22の下方から挿入される。底壁22上に突出するカメラ固定ねじ43の雄ねじ部43aには、支持脚4の下端部(後述する支持脚雌ねじ部42)が螺合される。
【0021】
支持脚4は、棒状に形成されている。支持脚4の上端部には、全天球カメラ10の底部10aに形成されるカメラ雌ねじ部11に螺合する支持脚雄ねじ部41が設けられている。支持脚4の下端部には、支持脚雌ねじ部42が形成されている。
支持脚4は、ホルダ2の底壁22上に配置され、底壁22と全天球カメラ10の底部10aとを連結する。底壁22の下方から支持脚固定孔23に挿入されたカメラ固定ねじ43の雄ねじ部43aを支持脚4の支持脚雌ねじ部42に螺合させることで、支持脚4はホルダ2の底壁22から立設した状態で支持される。
【0022】
支持脚4の長さは、カバー体3内に収容される全天球カメラ10の底部10aとホルダ2の底壁22の上面22aとの間に所定の高さの空間Rが形成されるように設けられている。
【0023】
ケーブル挿通孔24は、支持脚固定孔23の側方の配置されている。ケーブル挿通孔24に挿通されている給電ケーブル14の底壁22上に位置する第1接続部14Aは、支持脚4に固定されている全天球カメラ10の底部10aに設けられているケーブル端子12に接続される。給電ケーブル14のケース外部に位置する第2接続部14Bはバッテリーや電気コンセント等の不図示の電源に接続されている。
なお、給電ケーブル14としては、本実施形態ではUSBケーブルを採用しているが、他の形態の給電ケーブルであってもよい。
【0024】
通気孔25は、支持脚固定孔23の側方に配置され、内面には雌ねじが形成されている。通気孔25には、雄ねじ5aが形成されているボルト状の通気フィルタ5が螺合により着脱自在に装着されている。通気フィルタ5は、通気孔25に装着した状態でケース内外を連通する流路が形成され、その流路にはエアフィルタ(図示省略)が取り付けられている。
【0025】
カバー体3の下端外周面には、ホルダ2の上縁部(上述したホルダ雌ねじ部21a)に対して螺合可能な装着ねじ部3bが設けられている。カバー体3は、内側に所定の大きさの全天球カメラ10が収容可能な大きさに設定されている。
カバー体3は、ホルダ2のホルダ雌ねじ部21aに対してOリング等の止水パッキン(図示省略)を介して液密に装着されている。カバー体3がホルダ2に装着された状態でホルダ2に固定された全天球カメラ10の底部10aとホルダ2の底壁22の上面との間に所定の高さの空間Rが形成されるように設けられている。
【0026】
上述した本実施形態の防水ケース1に収容された全天球カメラ10を使用したタイムラプス撮影を効率よく行うために適用される図3に示すタイムラプス撮影システム6の具体例について、建設現場に適用した一例で具体的に説明する。
タイムラプス撮影システム6は、複数の建設現場のそれぞれに1台或いは複数台の全天球カメラ10を設置し、各全天球カメラ10で撮影された画像を建設現場あるいは管理部署で確認できるシステムである。
【0027】
図3に示すように、タイムラプス撮影システム6は、管理者使用PC端末61、サーバ―62、全天球カメラ10、WEB共有フォルダ63、及び現場使用PC端末64を備えている。これらの機器同士は無線により通信される。
【0028】
管理者使用PC端末61は、管理者が管理する端末であり、例えば撮影間隔、撮影時間、写真の画質等の全天球カメラ10の撮影条件の設定が行われる。管理者使用PC端末61で設定されたカメラ設定データD1は、サーバ62に送信される。全天球カメラ10は、サーバ62からカメラ設定データD1をダウンロード可能に設けられている。全天球カメラ10は、ダウンロードしたカメラ設定データD1に基づいて撮影条件が設定される。また、全天球カメラ10では、撮影した画像データD2をWEB共有フォルダ63にアップロードすることが可能に構成されている。なお、全天球カメラ10におけるカメラ設定データD1のダウンロード及び画像データD2のアップロードは、所定の時間間隔で自動的に行われてもよいし、全天球カメラ10を操作する人が手動で任意のタイミングで行ってもよい。
【0029】
WEB共有フォルダ63では、アップロードされた画像データD2を設置現場毎、カメラ毎、日付毎などのフォルダに振り分けた処理データD3として管理される。現場使用PC端末64は、各現場に設けられ、WEB共有フォルダ63にアクセス可能となっている。各建設現場では、現場使用PC端末64を使用してWEB共有フォルダ63にアクセスし、処理データD3を閲覧することが可能である。なお、図3で示していないが、管理者使用PC端末61からWEB共有フォルダ63にアクセスし、処理データD3を閲覧することも可能である。
なお、タイムラプス撮影システム6は、本実施形態の構成に限定されることはなく、また建設現場における適用にも限定されることはない。
【0030】
次に、上述した全天球カメラ用の防水ケース1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による防水ケース1では、図1に示すように、ホルダ2に対して密閉された状態でカバー体3が液密に装着されているので、このカバー体3の内側に収容された全天球カメラ10に防水性をもたせた状態で風雨の影響を受ける屋外等に設置することができる。
【0031】
さらに本実施形態では、防水ケース1に覆われた全天球カメラ10に給電ケーブル14を接続することができるので、使用される全天球カメラ10に対して継続的に給電することが可能となる。このように防水ケース1内に収容された状態で給電できるので、従来のように全天球カメラ10のバッテリー容量が低下した際にバッテリーを交換したり、充電するといった給電にかかる手間を低減することができ、全天球カメラ10による撮影を中断することなく連続的に使用することができる。
【0032】
また、本実施形態では、ホルダ2に対してカバー体3が液密に装着された防水ケース1に通気孔25を設けることで、防水ケース1内における結露の発生を抑制することができる。そのため、防水ケース1内に収容されている全天球カメラ10に結露が生じて曇って画像に影響が出る際に点検する必要がなくなり、連続的に全天球カメラ10を使用できる。
【0033】
また、本実施形態では、通気孔25を通過する外気に混じるゴミが通気フィルタ5で捕集されるので、ケース外部のゴミが防水ケース1内に入り込むことを防止することができる。そのため、ケース内の清掃を行う頻度を減らすことができ、全天球カメラ10による撮影を中断することなく連続的に使用することができる。
【0034】
上述のように本実施形態による全天球カメラ用の防水ケース1では、防水性を確保しつつ、給電にかかる手間を低減でき、かつ中断することなく連続的に撮影することができ、さらに密閉されることに伴う結露の発生を抑制して画質の低下を防ぐことができる。
【0035】
以上、本発明による全天球カメラ用の防水ケースの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、通気孔25に通気フィルタ5を着脱可能に設けているが、このような構成に限定されることはなく、通気フィルタ5を省略してもよい。
また、通気フィルタは、着脱式でなく、ホルダに一体になっている構成のものであってもかまわない。
【0036】
また、本実施形態では、全天球カメラ10を支持する固定方法として支持脚4を設けているが、これに限定されることはなく、他の固定方法を採用してもよい。
【0037】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 防水ケース
2 ホルダ
3 カバー体
4 支持脚
5 通気フィルタ
5a 雄ねじ
6 タイムラプス撮影システム
10 全天球カメラ
12 ケーブル端子
14 給電ケーブル
22 底壁
23 支持脚固定孔
24 ケーブル挿通孔
25 通気孔
43 カメラ固定ねじ
O ケース軸
図1
図2
図3