(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092821
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】パン製造方法、パン製造用具
(51)【国際特許分類】
A21D 8/02 20060101AFI20220616BHJP
A21D 8/06 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A21D8/02
A21D8/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205749
(22)【出願日】2020-12-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】520490015
【氏名又は名称】今野 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】今野 真二
【テーマコード(参考)】
4B032
【Fターム(参考)】
4B032DB01
4B032DG02
4B032DK03
4B032DK12
4B032DK54
4B032DP23
4B032DP33
(57)【要約】
【課題】 斬新な外観を持ち、少なくとも一端側に開口した中空部を有するパンを製造可能とする。
【解決手段】 筒状部5の途中に半径方向へ膨出した碗状の膨出部6が設けられた芯側成形具4と、芯側成形具4の内、膨大部おの下側の一部を遊挿可能な大きさに形成されたカップ状の外側成形具1とを用意し、一次発酵させたパン生地40aにより、芯側成形具4の下端近くから、膨出部6の下方の途中箇所まで、外側成形具1の内側に入る太さに包み込み、芯側成形具4の内、パン生地40aで包み込んだ部分を外側成形具1の中に挿入し、膨出部6は外側成形具1の上方に出るようにして二次発酵させ、パン生地40aの一部が外側成形具1の上方にある膨出部6の外周を包み込むように膨張させる。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に長く筒状または棒状に延びるとともに、長手方向の途中に半径方向へ膨出した鉢状または皿状または碗状またはボール状または柱状の膨出部が設けられた芯側成形具と、芯側成形具の内、膨出部の下側の全部または一部を遊挿可能な大きさに形成されたカップ状の外側成形具とを用意し、
一次発酵させたパン生地により、芯側成形具の下端近くから、膨出部の下端までまたは膨出部の下方の途中箇所まで、外側成形具の内側に入る太さに包み込み、
芯側成形具の内、パン生地で包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入し、膨出部は外側成形具の上方に出るようにして二次発酵させ、パン生地の一部が外側成形具の上方にある膨出部の外周を包み込むように膨張させること、
を特徴とするパン製造方法。
【請求項2】
一次発酵させたパン生地により芯側成形具の下部を包み込む際、棒状に延ばしたパン生地を螺旋状に巻くようにしたこと、
を特徴とする請求項1記載のパン製造方法。
【請求項3】
芯側成形具の内、一次発酵したパン生地で下部を包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入する前に、一次発酵した円盤状のパン生地を外側成形具の内底に入れておき、一次発酵したパン生地で下部を包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入する際、下端が円盤状のパン生地の上に付くようにしたこと、
を特徴とする請求項1または2記載のパン製造方法。
【請求項4】
二次発酵させる際、パン生地の上昇を膨出部の上方で制限するようにしたこと、
を特徴とする請求項1乃至3の内のいずれか一項記載のパン製造方法。
【請求項5】
上下に長い筒状または棒状に延びるとともに、長手方向の途中に半径方向へ鉢状または皿状または碗状またはボール状または柱状に膨出した膨出部が設けられた芯側成形具と、
芯側成形具の内、膨出部の下側の全部または一部を遊挿可能なカップ状の外側成形具とを含み、
芯側成形具と外側成形具は、
一次発酵させたパン生地により、芯側成形具の下端近くから、膨出部の下端までまたは膨出部の下方の途中箇所まで包み込んだ部分を、外側成形具の中に挿入するととともに膨出部を外側成形具より上側に出た状態で、二次発酵させるとパン生地の一部が外側成形具の上方にある膨出部の外周を包み込むように膨張可能に形成されていること、
を特徴とするパン製造具。
【請求項6】
外側成形具を立てた姿勢で支持する第1の支持手段と、
芯側成形具の内、一次発酵したパン生地により包み込んだ部分を、第1の支持手段に支持された外側成形具の中に挿入し、膨出部は外側成形具の上方に出るようにした状態で、膨出部より上側の芯側成形具を立てた姿勢に支持する第2の支持手段と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載のパン製造具。
【請求項7】
第2の支持手段は、第1の支持手段に支持されるようにしたこと、
を特徴とする請求項6記載のパン製造具。
【請求項8】
第2の支持手段は、二次発酵で生地が膨出部の上方へ上昇する高さを制限する制限部を備えたこと、
を特徴とする請求項6または7記載のパン製造具。
【請求項9】
第1の支持手段と第2の支持手段は、複数組の外側成形具と芯側成形具を支持可能としたこと、
を特徴とする請求項5乃至8の内のいずれか一項記載のパン製造具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパン製造方法、パン製造用具に係り、とくに少なくとも一端側に開口した中空部を有するパンを製造可能なパン製造方法、パン製造用具に関する。
【背景技術】
【0002】
パンの一種に内部が中空のものがある。けれども従来の中空パンは、筒状のもの(特許文献1、2参照)、カップ状のものであり(特許文献3参照)、比較的単純な形をしており、商品の斬新さに乏しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02-207732号
【特許文献2】特開昭59-59135号
【特許文献3】特開昭64-74946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたもので、斬新な外観を持ち、少なくとも一端側に開口した中空部を有するパンを製造することのできるパン製造方法、パン製造用具を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、
上下に長く筒状または棒状に延びるとともに、長手方向の途中に半径方向へ膨出した鉢状または皿状または碗状またはボール状または柱状の膨出部が設けられた芯側成形具と、芯側成形具の内、膨出部の下側の全部または一部を遊挿可能な大きさに形成されたカップ状の外側成形具とを用意し、
一次発酵させたパン生地により、芯側成形具の下端近くから、膨出部の下端までまたは膨出部の下方の途中箇所まで、外側成形具の内側に入る太さに包み込み、
芯側成形具の内、パン生地で包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入し、膨出部は外側成形具の上方に出るようにして二次発酵させ、パン生地の一部が外側成形具の上方にある膨出部の外周を包み込むように膨張させること、
を特徴としている。
請求項2記載の発明では、
一次発酵させたパン生地により芯側成形具の下部を包み込む際、棒状に延ばしたパン生地を螺旋状に巻くようにしたこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明では、
芯側成形具の内、一次発酵したパン生地で下部を包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入する前に、一次発酵した円盤状のパン生地を外側成形具の内底に入れておき、一次発酵したパン生地で下部を包み込んだ部分を外側成形具の中に挿入する際、下端が円盤状のパン生地の上に付くようにしたこと、
を特徴としている。
請求項4記載の発明では、
二次発酵させる際、パン生地の上昇を膨出部の上方で制限するようにしたこと、
を特徴としている。
請求項5記載の発明では、
上下に長い筒状または棒状に延びるとともに、長手方向の途中に半径方向へ鉢状または皿状または碗状またはボール状または柱状に膨出した膨出部が設けられた芯側成形具と、
芯側成形具の内、膨出部の下側の全部または一部を遊挿可能なカップ状の外側成形具とを含み、
芯側成形具と外側成形具は、
一次発酵させたパン生地により、芯側成形具の下端近くから、膨出部の下端までまたは膨出部の下方の途中箇所まで包み込んだ部分を、外側成形具の中に挿入するととともに膨出部を外側成形具より上側に出た状態で、二次発酵させるとパン生地の一部が外側成形具の上方にある膨出部の外周を包み込むように膨張可能に形成されていること、
を特徴としている。
請求項6記載の発明では、
外側成形具を立てた姿勢で支持する第1の支持手段と、
芯側成形具の内、一次発酵したパン生地により包み込んだ部分を、第1の支持手段に支持された外側成形具の中に挿入し、膨出部は外側成形具の上方に出るようにした状態で、膨出部より上側の芯側成形具を立てた姿勢に支持する第2の支持手段と、
を備えたことを特徴としている。
請求項7記載の発明では、
第2の支持手段は、第1の支持手段に支持されるようにしたこと、
を特徴としている。
請求項8記載の発明では、
第2の支持手段は、二次発酵で生地が膨出部の上方へ上昇する高さを制限する制限部を備えたこと、
を特徴としている。
請求項9記載の発明では、
第1の支持手段と第2の支持手段は、複数組の外側成形具と芯側成形具を支持可能としたこと、
を特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡単なパン製造用具により、開口近くが大きく膨大した斬新な形を持つ中空のパンを製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は本発明に係るパン製造用具の一つである外側成形具の外観斜視図である。
【
図3】
図3は本発明に係るパン製造用具の他の一つである芯側成形具の外観斜視図である。
【
図5】
図5は本発明に係るパン製造用具の他の一つである第1の支持手段の外観斜視図である。
【
図6】
図6は本発明に係るパン製造用具の他の一つである第2の支持手段の主要部の外観斜視図である。
【
図10】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図11】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図12】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図13】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図14】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図15】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図16】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【
図17】本発明に係るパン製造方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例0009】
図1乃至
図17を参照して本発明に係るパン製造方法を説明する。
図1は開口近くが大きく膨大した斬新な形を持つ中空のパン製造に用いる外側成形具を示す外観斜視図、
図2は外側成形具の断面図、
図3は開口近くが大きく膨大した斬新な形を持つ中空のパン製造に用いる芯側成形具を示す外観斜視図、
図4は芯側成形具の断面図、
図5と
図6は中空のパンの量産に用いる第1、第2の支持手段の外観斜視図、
図7乃至
図17は中空のパンの製造方法の説明図である。
図1、
図2において、1はステンレス製でカップ状の外側成形具である。外側成形具1の内側空間2は上端の開口2aの内径W0が内底2bの内径W1より大きい逆円錐台形になっている。外側成形具1の上端縁部1aは円環形のフランジ状に半径方向外側へ折曲されている。上端縁部1aの外径をC0、上端縁部1aの直下の外側成形具1の外径をC1とすると、C1≒W0、C0>C1である。
【0010】
図3、
図4において、4は全体がステンレス製であり、上下に長く筒状に延びた有底の筒状部5と、筒状部5の長手方向の途中に一体的に設けられて半径方向外側へ膨出した碗状の膨出部6とからなる芯側成形具である。芯側成形具4は、筒状部5の直径D0が外側成形具1の内底2bの内径W1より細く形成されており、芯側成形具4の筒状部5の内、下端から膨出部6より下方の途中までを外側成形具1の中に遊挿可能に形成されている。より具体的には後述するように、筒状部5の下部(筒状部5の下端から、膨出部6の下方の途中箇所までの部分)を一次発酵したパン生地で包み込んだ状態で、このパン生地で包み込んだ部分を外側成形具1の内側空間2の中に挿入可能な大きさになっている。
【0011】
また、芯側成形具4は、膨出部6の下側の長さLが外側成形具1の内部空間2の深さH0より大きく形成されている(例えば、H0の約1.2~1.5倍程度)。碗状の膨出部6は上方に開口しており、上端の外径D1がD0の約1.2~1.5倍程度、高さhがD1の約0.2乃至0.5倍程度に形成されている。
【0012】
図5、
図6はパン製造時にパンを量産するため、多数組の外側成形具1と芯側成形具4を所定の姿勢状態で支持するために用いる第1、第2の支持手段を示す外観斜視図である。
図5において、10は多数の外側成形具1を立てた姿勢で支持可能な第1の支持手段であり、全体がステンレス製である。第1の支持手段10の内、11は長方形に形成された水平な第1の台板、12は第1の台板11の四隅のねじ穴11aに螺合された4本の長ボルトであり、第1の台板11をテーブル(
図14の符号100参照)上で支持する脚として機能する。第1の台板11には縦横に5×3個の支持穴13が碁盤の目状に穿設されている。
【0013】
支持穴13の直径C2は、外側成形具1の上端縁部1aの外径C0より小さく、上端縁部1aの直下の外側成形具1の外径C1と同じか僅かに大きく形成されており、上向きの外側成形具1を上から支持穴13に挿入したとき、上端縁部1aが支持穴13の周囲に係止されて、外側成形具1が立てた姿勢に支持されるようになっている(
図10参照)。長ボルト12に対して台板11が固定される高さは、支持穴13に係止された外側成形具1の下端が長ボルト12の下端と同じ位置か、少しだけ高い位置に来るように調節される(少しだけ高い位置に来るとき、外側成形具1は上端縁部1aが支持穴13の周囲の第1の台板11に吊持されて、下端がテーブル100から少し浮くことになる。
図14参照)。
【0014】
図6において、21は多数の芯側成形具4を立てた姿勢で支持する第2の支持手段の主要部としての第2の台板であり、方形のステンレス製で第1の台板11と同じ大きさに形成されている。第2の台板21には縦横に5×3個の支持穴23が碁盤の目状に穿設されている。第1の台板11の5×3個の支持穴13と、第2の台板21の5×3個の支持穴23は平面的に見て同じ位置配列となっている。但し、支持穴23の直径C3は、芯側成形具4の内、膨大部6より上側の筒状部5の外径D0より少しだけ大きく形成されており、筒状部5の内、膨出部6より上部を支持穴23に遊挿自在になっている。支持穴23は芯側成形具4を上下に真っすぐに立てた姿勢で支持するためのものである。
【0015】
第2の台板21の四隅には、第1の台板11の四隅のねじ穴11aに対応する箇所に穴21aが設けられている。穴21aは長ボルト12の外径より少し穴径が大きく、長ボルト12を挿脱自在に挿入可能になっている。長ボルト12の内、第1の台板11の上方の途中箇所に4つのナット24が螺合されている。各ナット24は長ボルト12に対する固定位置を上下に調節することができる。4つのナット24は使用時に、同じ高さに固定される。第2の台板21は、穴21aを長ボルト12を挿通し、ナット24の上に載せることにより、第1の支持手段10に支持される。このとき、上下の支持穴23と13は同軸となる。
【0016】
第2の台板21の高さは、外側成形具1の中に起立した芯側成形具4の内、膨大部6の上側の筒状部5の途中箇所を支持穴23に遊挿した状態とできる高さに調節される。具体的には、一次発酵した円盤状パン生地(
図7の符号30参照)を内側空間2の内底2bに入れた外側成形具1が第1の支持手段10に立てた姿勢で支持された状態で(
図10参照)、芯側成形具4を立てた姿勢で外側成形具1の内部空間2の中に入れ、芯側成形具4の下端が円盤状パン生地の上面に付くようにしたときの膨出部6の上側の筒状部5に対し、上から穴21aに長ボルト12を挿入しながら第2の台板21を下方へ移動し、支持穴23に筒状部5の上端部を遊挿して行くと、第2の台板21が膨出部6の上端に当接する前に第2の台板21がナット24の上に載り、この際、筒状部5の途中箇所が支持穴23の中に遊挿された状態となり(
図12参照)、支持穴23の周囲の台板21により芯側成形具4を立てた姿勢で支持できるように調節される。
【0017】
なお、膨出部6の上側の筒状部5の長さには十分な余裕があり、円盤状のパン生地がなく、芯側成形具4の下端が外側成形具1の内底2bに付いても膨出部6の上側の筒状部5の途中箇所を支持穴23が支持できるようになっている。
第2の台板21は、長ボルト12の先端側に着脱自在に螺合した蝶ナット25により、上方移動が制限されるようになっており、第2の台板20の内、支持穴23の周囲が二次発酵で生地が膨出部6の上方へ上昇する高さを制限する制限部26を成す(
図14参照)。
第2の台板21、ナット24、蝶ナット25により第2の支持手段20が構成されている。
【0018】
次に、
図7乃至
図17を参照して、上記した外側成形具1と芯側成形具4を15組と、第1、第2の支持手段10、20を一組用いて一端が開口した中空部を有するパンの製造方法を説明する。
なお、ここでは、一例としてH=80~90mm、W0=50~65mm、W1=40~50mm、C0=53~70mm、C1=50~65mm、D0=25~35mm、D1=35~45mm、L= 110~130mm、h=10~20mm、C2=(C1+1)mm、C3=(D1+2)mm程度の大きさに形成されているものとして説明する。
また、第1の支持手段10の第1の台板11の下面と長ボルト12の下端の間の距離は、支持穴13に外側成形具1を支持させたときの第1の台板11の下面と外側成形具1の下端の間の距離と同じか、少し大きくなるように調節されているものとする。
また、長ボルト12に螺合したナット24の上面は、外側成形具1の中に起立した芯側成形具4の内、膨出部6の上側の筒状部5の途中箇所を第2の台板21の支持穴23に遊挿した状態とできる高さに調節されているものとする。
【0019】
(1)パン生地の製造
小麦粉、砂糖、塩、水、イーストを混ぜて練り、約30°Cに30~60分程度保ち、一次発酵させたパン生地約60g分を15個製造する。
【0020】
一次発酵した約60g分のパン生地1つを約10gと約50gに分け、約10g分を直径約40~50mmの円盤状に成形し、この円盤状パン生地30を一つの外側成形具1の内部空間2の内底2bに入れる(
図7参照)。そして、外側成形具1を立てた状態で第1の支持手段10の支持穴13に上から挿入し、上端縁部2aを第1の台板11に係止させて外側成形具1を立てた姿勢で支持させる(
図8参照)。
【0021】
一次発酵した残り約50g分のパン生地を長さ約25~35cm程度の棒状に延ばし、棒状パン生地40とする。この際、棒状パン生地40の両先端は尖らすようにする。棒状パン生地40を芯側成形具4の筒状部5の下部外周面に、下端から、膨出部6の下端より下方の途中までの約60~80mmの部分にらせん状に巻き、筒状部5の下部を包み込む(
図9参照)。螺旋状パン生地40aで包み込んだ芯側成形具4の筒状部5の下部は、丁度、外側成形具1の内部空間2に挿入可能な太さとなるようにする。
次に、芯側成形具4を立てた状態で螺旋状パン生地40aで包み込んだ下部の部分を上から第1の支持手段10に支持された一つの外側成形具1の内部空間2に挿入し、下端を円盤状パン生地30の上に着ける(
図10と
図11、
図12と
図13参照)。
【0022】
他の一次発酵した約60g分のパン生地14個についても同様に、約10g分と約50g分に分け、約10g分を円盤状に成型し、空きの外側成形具1の内底2bに入れ、第1の支持手段10の空きの支持穴13に挿入して支持させる。また約50g分のパン生地を約25~35cm程度の長さの棒状に延ばし、まだパン生地を巻いていない芯側成形具4の筒状部5の外周面の下端から、膨出部6の下端より下方の途中まで、約60~80mmの部分にらせん状に巻き、筒状部5の下部を包み込む。そして、芯側成形具4を立てた状態で螺旋状パン生地40aで包み込んだ下部を上から、第1の支持手段10に支持されたまだ芯側成形具4の挿入されていない空きの外側成形具1の内部空間2に挿入し、下端を円盤状パン生地30の上に着ける。
【0023】
15組の外側成形具1、芯側成形具4全てについて同様の作業を行ったら、第2の支持手段20の第2の台板21の四隅の通し穴21aを長ボルト12に先端側から挿通して、ナット24の上に第2の台板21を載せることで、第1の支持手段10に第2の支持手段20を支持させ、この際、第2の台板21の各支持穴23を対応する芯側成形具4の膨出部6より上側の筒状部3に遊嵌し、芯側成形具4が立てた姿勢を維持するように支持させる(
図14参照)。
そして、第2の台板20は、長ボルト12の先端側に蝶ナット25を螺合して、第2の台板21の上方移動が一定範囲内に制限されるようにする。
【0024】
次に、第1、第2の支持手段10、20とともに外側成形具1、芯側成形具4にセットしたパン生地30、40aを35℃で20~30分程度掛けて二次発酵させる。二次発酵により、パン生地30、40aは筒状部5を登りながら外側成形具1から上方へ膨張し、膨出部6の外周を包み込み(
図15参照。
図15では、第2の台板21を省略している)、更に膨出部6の上側の筒状部5を登る。パン生地40aの上端は第2の台板21に当たり、押し上げるが、蝶ナット25により第2の台板21の制限部26の上昇移動が制限されているので、パン生地40aの上端部は第2の台板21の制限部26から押圧力を受けて下面に沿って横に広がる。
【0025】
二次発酵が終了したら、180~190℃前後で25分程度、焼成する。
最後に、焼成したパンから芯側成形具4を上方へ抜き、外側成形具1を下方へ外すことで(
図16参照)、芯側成形具4の膨出部6の存在により、上端の開口50の近くが大きく膨大した膨大部51の形成された斬新な形を持つ中空部52付きのパン53が完成する(
図17参照)。大きな開口50により、後工程で中空部52に具材を挿入する作業が容易となるが、この実施例ではさらに、膨大部51の開口50は第2の台板21からの押圧により、開口50近くの穴径が横に広がっているので、中空部52に具材を挿入する作業がより容易となる。
【0026】
なお、外側成形具1の内底2bに入れる円盤状パン生地30を省略することで、上下両端に開口した中空のパンを製造することもできる(この場合、芯側成形具4の下部を螺旋状パン生地40aで包み込んだ筒状部5の下端は、外側成形具1の内側空間2の内底2bに付くようにセットする)。
【0027】
この実施例によれば、カップ状の外側成形具1と、上下に長く筒状に延びるとともに、長手方向の途中に碗状の膨出部6が設けられた芯側成形具4という簡単な用具により、開口50近くが大きく膨大した斬新な形を持つ中空のパン53を製造可能となる。また大きな開口50により、後工程で中空部52に具材を挿入する作業が容易となるが、この実施例ではさらに、パン53の膨大部51の開口50は第2の台板21からの押圧により、開口50近くの穴径が横に広がっているので、中空部52に具材を挿入する作業がより容易となる。
また、外側成形具1、芯側成形具4を多数組用意し、多数の支持穴13、23の空いた第1、第2の支持手段10、20と組み合わせることにより、容易に量産することもできる。
【0028】
なお、上記した実施例では、外側成形具を略逆円錐台形としたが、円筒状としたり、水平断面が多角形や星形などとしても良い。
また、上下に延びた筒状部の途中に膨大部を設けたが、上下に延びた棒状部の途中に膨大部を設けたものとしても良い。
また、半径方向外側に膨出した膨大部は碗状に限定されず、皿状、鉢状、半球状、ボール状、柱状などとしても良い。
また、外側成形具には、芯側成形具の内、膨大部の下側全部を遊挿可能としても良い。