(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092838
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】風呂給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20220616BHJP
【FI】
F24H1/00 602B
F24H1/00 602E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205779
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】窪田 広記
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 徳子
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC18
3L024DD03
3L024DD17
3L024DD21
3L024DD28
3L024DD36
3L024EE02
3L024FF02
3L024FF15
3L024FF18
3L024GG05
3L024GG06
3L024GG12
3L024GG22
3L024HH03
3L024HH14
3L024HH22
(57)【要約】
【課題】貯湯タンクの下部の給水管は水道管と連結されているが、地域によっては水道管の埋設深度が浅いため夏場の直射日光の影響を受けて、給水温が前記所定範囲外になってしまい、所定範囲内の給水温を想定して設計されている混合弁で湯張り設定温度の湯水を湯張りしようとすると、湯張り設定温度よりも高温の湯が浴槽に湯張りされるという課題があった。
【解決手段】制御装置22には、湯張り温度センサ16の検出温度が湯張り設定温度よりも温度差が過剰に高くなっているかを判定する過剰温度判定手段30を設け、過剰温度判定手段30で前記温度差が過剰に高くなっていると判定した場合、湯張り運転制御手段29は、温度差が過剰に高くはなくなった後の時点から、湯張り設定量もしくは湯張り設定水位の時に浴槽内の湯が湯張り設定温度になるように湯張り混合弁12で混合する目標温度を湯張り設定温度より低く補正した補正湯張り運転を行うようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望された湯張り設定温度の湯を所望された湯張り設定量もしくは湯張り設定水位まで湯張りする湯張り運転を行う湯張り運転制御手段を有した制御装置と、
加熱された高温水と給水管からの給水を前記湯張り設定温度の湯になるように混合する湯張り混合弁と、
前記湯張り混合弁で混合された湯の実際の温度を検出する湯張り温度センサとを設けた風呂給湯装置において、
前記制御装置には、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度よりも温度差が過剰に高くなっているかを判定する過剰温度判定手段を設け、
前記過剰温度判定手段で前記温度差が過剰に高くなっていると判定した場合、前記湯張り運転制御手段は、前記温度差が過剰に高くはなくなった後の時点から、前記湯張り設定量もしくは前記湯張り設定水位の時に浴槽内の湯が前記湯張り設定温度になるように前記湯張り混合弁で混合する目標温度を前記湯張り設定温度より低く補正した補正湯張り運転を行うようにしたことを特徴とする風呂給湯装置。
【請求項2】
前記過剰温度判定手段は、前記湯張り温度センサの検出温度が過剰な状態で湯張りした過剰熱量を一定時間毎に積算して積算過剰熱量を算出し、前記湯張り運転制御手段は、前記補正湯張り運転において、前記積算過剰熱量を相殺するように、前記湯張り設定温度よりも低い前記目標温度と、この目標温度での補正湯張り量を算出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の風呂給湯装置。
【請求項3】
前記温度差が過剰に高くはなくなった時点とは前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度と同程度となると予測される量より多い所定湯張り量に達した時点、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度と同程度となると予測される時間より長い所定の時間が達した時点や、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度との前記温度差が同程度になった時点のいずれかに基づく時点であることを特徴とする請求項1または2記載の風呂給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴槽への湯張りを行う風呂給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の風呂給湯装置は、給水管から給水した水を加熱手段で温め、温めた湯水を貯湯タンク等に蓄え、貯湯タンク内の湯水を風呂に湯張りすることで風呂湯張りを行うことが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、給水管から給水した水を加熱手段で温め、温めた高温水を貯湯タンク等に蓄え、貯湯タンク内の高温水と給水管からの給水とを混合弁で混ぜ合わせて、所望された湯張り設定温度の湯を所望された湯張り設定量もしくは湯張り設定水位まで湯張りすることで風呂湯張りを行っていた(特許文献1)。
【0004】
また、給水管内の給水温は、水道管が地面に埋設されているため外気温よりも季節変化の影響を受けにくく、所定範囲内の温度(冬5℃~夏25℃)となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようなものでは、貯湯タンクの下部に接続されている給水管は水道管と連結されているが、地域によっては水道管の埋設深度が浅いため夏場の直射日光の影響を受けて、給水温が前記所定範囲外(30~40℃程度)になってしまい、所定範囲内の給水温を想定して設計されている混合弁で湯張り設定温度の湯水を湯張りしようとすると、湯張り設定温度よりも高温の湯が浴槽に湯張りされることとなり、入浴者に不快と感じさせてしまうという課題があった。特に夏場の湯張りを少なめに行う家庭では、温度上昇が顕著になってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、所望された湯張り設定温度の湯を所望された湯張り設定量もしくは湯張り設定水位まで湯張りする湯張り運転を行う湯張り運転制御手段を有した制御装置と、加熱された高温水と給水管からの給水を前記湯張り設定温度の湯になるように混合する湯張り混合弁と、前記湯張り混合弁で混合された湯の実際の温度を検出する湯張り温度センサとを設けた風呂給湯装置において、前記制御装置には、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度よりも温度差が過剰に高くなっているかを判定する過剰温度判定手段を設け、前記過剰温度判定手段で前記温度差が過剰に高くなっていると判定した場合、前記湯張り運転制御手段は、前記温度差が過剰に高くはなくなった後の時点から、前記湯張り設定量もしくは前記湯張り設定水位の時に浴槽内の湯が前記湯張り設定温度になるように前記湯張り混合弁で混合する目標温度を前記湯張り設定温度より低く補正した補正湯張り運転を行うようにした。
【0008】
また、前記過剰温度判定手段は、前記湯張り温度センサの検出温度が過剰な状態で湯張りした過剰熱量を一定時間毎に積算して積算過剰熱量を算出し、前記湯張り運転制御手段は、前記補正湯張り運転において、前記積算過剰熱量を相殺するように、前記湯張り設定温度よりも低い前記目標温度と、この目標温度での補正湯張り量を算出するようにした。
【0009】
また、前記温度差が過剰に高くはなくなった時点とは前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度と同程度となると予測される量より多い所定湯張り量に達した時点、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度と同程度となると予測される時間より長い所定の時間が達した時点や、前記湯張り温度センサの検出温度が前記湯張り設定温度との前記温度差が同程度になった時点のいずれかに基づく時点である。
【発明の効果】
【0010】
このように本発明によれば、夏場の直射日光等で給水温が上がってしまっても、過剰温度判定手段で過剰熱量を算出し、過剰温度で湯張りされた分を相殺できる補正湯張り温度を算出して、補正湯張り温度で湯張りすることで、湯張り運転完了時には確実に所望の湯張り設定温度で湯張り運転を完了させることができるので、風呂の温度が予期しない高温になることがなく安心して入浴でき、不快に感じさせるのを防止できる風呂給湯装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態の貯湯式給湯機の概略構成図
【
図2】本発明の第1実施形態を説明するためのフローチャート図
【
図3】本発明の第1実施形態を説明するためのタイムチャート図
【
図4】本発明の第2実施形態を説明するためのフローチャート図
【
図5】本発明の第2実施形態を説明するためのタイムチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の風呂給湯装置の第1実施形態を
図1に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1に給水する給水管、3は貯湯タンク1下部からくみ上げた水を加熱するヒートポンプ式加熱手段、4は貯湯タンク1上部に接続された出湯管である。
【0013】
5は給水管2の途中で分岐する給湯用給水バイパス管、6は貯湯タンク1から取り出した高温水と給湯用給水バイパス管5の給水を適宜の比率で混合して給湯設定温度に調整する給湯混合弁、7は給湯混合弁6で混合された湯水が流れる給湯管、8は給湯管7を流れる流量を検出する給湯フローセンサ、9は給湯管7を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサ、10はユーザが開閉を行うシャワー等の給湯栓である。
【0014】
11は給水管2の途中で分岐する湯張り用給水バイパス管、12は取り出した貯湯タンク1の高温水と湯張り用給水バイパス管11の給水を適宜の比率で混合して風呂設定温度に調整する湯張り混合弁、13は湯張り混合弁12で混合された湯水が流れる湯張り管、14は湯張り管13を流れる湯張り流量と湯張り量を検出する湯張りフローセンサ、15は湯張り管13の開閉を行う電磁弁、16は湯張り管13を流れる湯水の温度を検出する湯張り温度センサ、17は浴槽である。
【0015】
18は風呂の追い焚き経路である風呂配管、19は風呂往き温度を検出する風呂往き温度センサ、20は貯湯タンク1上部の湯水と熱交換するために設けられた風呂熱交換器、21は風呂配管18の途中で風呂熱交換器20を迂回するように流路の切り替えを行う風呂三方弁である。
【0016】
22はマイコン等からなる、各センサの出力に基づいて所定の演算を行い機器の運転を制御する制御装置、23は温度変更手段、24はユーザが操作することで、給湯及び風呂の設定温度である給湯設定温度と湯張り設定温度及び湯張りの設定量である湯張り設定量を適宜変更できる操作部を有し、操作した内容を制御装置22に通信可能に接続されたリモコン、25は風呂湯張りスイッチ、26はリモコン24で設定した内容を確認及び報知するための表示部、27は制御装置22で演算した結果に基づき、湯張り完了報告やユーザに所定の動作を促すことを報知するスピーカー、28はリモコン24内部に設けられた浴室内の温度を検出する浴室温度センサである。また、ユーザに所定の動作を促す表示部26とスピーカー27は総称して報知部とする。
【0017】
また、制御装置22には、後述する湯張り運転の制御を行う湯張り運転制御手段29が設けられ、湯張り運転制御手段29は、風呂湯張りスイッチ25が押されると、浴槽17に所望された湯張り設定温度の湯を所望された湯張り設定量もしくは湯張り設定水位まで湯張りするものである。
【0018】
また、制御装置22には、湯張り運転時に湯張り温度センサ16で検出した検出温度と、リモコン24で設定した目標の湯張り設定温度との温度差が所定の過剰温度差以上あれば(ここでは5℃以上)、過剰に高くなっていると判定し、過剰温度差未満であれば(ここでは5℃未満)、過剰に高くなっていると判定しない過剰温度判定手段30が設けられている。
【0019】
また、湯張り運転制御手段29は、過剰温度判定手段30で前記検出温度と湯張り設定温度との温度差が過剰に高くなっていると判定した場合、温度差が過剰に高くはなくなった後の時点から、湯張り設定量もしくは湯張り設定水位の時に浴槽内の湯が湯張り設定温度になるように湯張り混合弁12で混合する目標温度を、湯張り設定温度より低い補正湯張り温度に切り替えて湯張り運転を行うものである。
【0020】
次に、温度差が過剰ではなくなった後の時点について説明する。
温度差が過剰に高くはなくなった後の時点とは、湯張り運転開始から直射日光等により温められてしまった前記所定範囲外の水が湯張り混合弁12の給水に徐々に利用され、その後、前記所定範囲内の温度になってくると、過剰温度となっていた湯張り温度も湯張り設定温度に収束してくる。本実施形態では、温度差が過剰に高くはなくなった後の時点として、湯張り温度センサの検出温度が湯張り設定温度と同程度となると予測される量(水道本管から風呂給湯装置までの内容積)より多い所定湯張り量に達した時点のことである。
【0021】
過剰温度判定手段30は、過剰温度判定手段30で前記検出温度と湯張り設定温度との温度差が過剰温度差以上であれば(ここでは5℃以上)、湯張り設定温度よりも高い温度で湯張りされた過剰熱量を一定時間毎(毎秒毎)の積算を行う。そして、湯張り運転制御手段29は、この積算された積算過剰熱量を相殺するように、前記温度差が過剰ではなくなった後の時点から前記補正湯張り温度の湯張りを行っている。
【0022】
次に、沸き上げ運転について説明する。
沸き上げ要求があると貯湯タンク1とヒートポンプ式加熱手段3を繋ぐ配管の途中にある図示しない循環ポンプが駆動して、貯湯タンク1内下部から水をくみ上げ、ヒートポンプ式加熱手段3で温めて貯湯タンク1上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク1内の水が高温水へと沸き上げられる。
【0023】
次に、給湯動作ついて説明する。
給湯栓10が開かれると給水管2から給水され、貯湯タンク1下部に流入すると共に、給湯用給水バイパス管5を通り、貯湯タンク1上部から押し出された高温水と給湯用給水バイパス管5の給水が給湯混合弁6で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度センサ9で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓10から給湯される。
【0024】
また、湯張り運転について説明する。
リモコン24の風呂湯張りスイッチ25が押されると湯張り運転制御手段29が電磁弁15を開状態にして、給水管2から給水を供給し、貯湯タンク1下部に流入すると共に、湯張り用給水バイパス管11を通り、貯湯タンク1上部から押し出された高温水と湯張り用給水バイパス管11の給水が湯張り混合弁12で混ぜ合わされ、湯張り設定温度と湯張り温度センサ16で検出された温度が同じになるように調整された湯水が風呂三方弁21で風呂熱交換器20を迂回して浴槽17に流入されることで湯張りが開始される。そして、湯張りフローセンサ14で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が湯張り設定量分流れたら湯張り運転制御手段29が電磁弁15を閉状態にすることで湯張り運転を終了する。
【0025】
次に、水道管の凍結の恐れがほとんどない地域においては、風呂給湯装置に接続される水道管の埋設深度が浅く、真夏等に直射日光や外気温度の影響を受けて、水道管内の水の温度が40℃近くまで上昇することがある。このような場面に有用な実施形態の特徴的な湯張り運転について
図2のフローチャート及び
図3のタイムチャートに基づいて詳しく説明する。
【0026】
風呂湯張りスイッチ25が押されると(S1)、制御装置22の湯張り運転制御手段29は、湯張り混合弁12の開度を湯張り設定温度に対応した開度にし(S2)、電磁弁15を開いて、湯張り運転を開始する(S3)。
【0027】
このとき、湯張りフローセンサ14で湯張り量を検出し、湯張り温度センサ16で湯張り混合弁12で混合した実際の湯張り温度を検出し、過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度と、所望されている湯張り設定温度との温度差を見て、所定の過剰温度差であるか確認する(S4)。
【0028】
過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度が過剰温度であり、温度差が所定の過剰温度差であると判定した場合(S4がYes)、湯張り運転を継続させ、所定湯張り量に到達するまでの一定時間毎に(ここでは毎秒毎)過剰温度で湯張りされた過剰熱量の積算を開始する(S5)。
【0029】
そして、湯張りフローセンサ14の検出値が湯張り温度センサの検出温度が湯張り設定温度と同程度となると予測される量より多い所定湯張り量に達したかを確認する(S6)。
【0030】
湯張りフローセンサ14の検出値が所定湯張り量に到達すると(S6がYes)、過剰温度判定手段30は、過剰熱量の積算を停止し(S7)、積算過剰熱量を算出し(S8)、前記積算過剰熱量を相殺するように湯張り設定温度よりも低い目標温度である補正湯張り温度の算出と、補正湯張り量の算出を行う(S9)。
【0031】
S4で過剰温度判定手段30が温度差が所定の過剰温度差以上(5℃以上)であると判定すると、過剰温度分を相殺する補正湯張り運転を行うことが決定され、湯張り設定温度よりも高い温度で湯張りされた分を過剰熱量として積算していく。この積算過剰熱量と、補正湯張り量と、補正湯張り温度の計算方法について説明する。
【0032】
まず、以下の式のように湯張り温度センサ16で検出した検出温度から湯張り設定温度を減じることで過剰温度差を算出し、過剰温度差に湯張りフローセンサ14で検出する湯張り流量を乗することで一定時間毎(毎秒毎)の過剰熱量を算出する。
{(湯張り温度センサの検出温度)-(湯張り設定温度)}×(1秒毎の湯張り流量)=(1秒毎の過剰熱量)
【0033】
そして、以下の式のように算出した過剰熱量を一定時間毎(毎秒毎)に積算し、積算過剰熱量を算出する。
(過剰熱量1)+(過剰熱量2)+(過剰熱量3)+()...=(積算過剰熱量)
【0034】
この積算過剰熱量を補正湯張り量(ここでは、湯張り設定量から所定湯張り量を減算した量)を除して、補正温度差を算出する
(湯張り設定量)-(所定湯張り量)=(補正湯張り量)
(積算過剰熱量)÷(補正湯張り量)=(補正湯張り温度差)
【0035】
次に以下の式のように湯張り設定温度から補正温度差を減算して補正湯張り温度を算出する。
(湯張り設定温度)-(補正湯張り温度差)=(補正湯張り温度)
【0036】
次に上述した計算方法を基に単純化した例の説明を行う。本実施形態では、所望された湯張り設定温度を40℃、湯張り設定量は180L、過剰温度が50℃(初期50℃、時間経過で湯張り設定温度に収束)であり、所定湯張り量を30Lとしたとき、湯張り運転開始から2分程度の間過剰熱量が発生し、過剰熱量を一定時間毎(毎秒毎)に積算して積算過剰熱量を算出する。この積算過剰熱量が300kcalだったとすると、湯張り設定量180Lから所定湯張り量30Lを減算した補正湯張り量150Lであり、積算過剰熱量を補正湯張り量で除することで補正湯張り温度差2℃を算出することができ、湯張り設定温度40℃から補正湯張り温度差2℃減算することで、補正湯張り温度38℃を算出することができる。
【0037】
そして、過剰温度判定手段30が算出した補正湯張り温度である38℃になるように湯張り混合弁12の開度を変更して(S10)、湯張り運転を継続し、湯張り設定温度(ここでは40℃)及び湯張り設定量(ここでは180L)に達したことを確認する(S11)。
【0038】
湯張り運転制御手段29は、湯張り設定温度及び湯張り設定量に達していたら(S11がYes)、電磁弁15を閉状態にして、浴槽17への湯張り運転を完了する(S12)。
【0039】
そして、湯張り運転が完了すると、表示部26及びスピーカー27で湯張り運転が終了したことをユーザに報知する(S15)。
【0040】
このように、夏場の直射日光等で給水温が上がってしまっても、過剰温度判定手段30で過剰熱量を算出し、過剰温度で湯張りされた分を相殺できる補正湯張り温度を算出して、補正湯張り温度で湯張りすることで、湯張り運転完了時には確実に所望の湯張り設定温度で湯張り運転を完了させることができるので、風呂の温度が予期しない高温になることがなく安心して入浴でき、不快に感じさせるのを防止できる風呂給湯装置を提供することができる。
【0041】
そして、過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度が過剰温度ではなく、温度差が所定の過剰温度差ではないと判定した場合(S4がNo)、湯張り設定温度の湯張り運転を継続させ、湯張り設定温度(ここでは40℃)及び湯張り設定量(ここでは180L)に達したことを確認する(S13)。
【0042】
湯張り運転制御手段29は、湯張り設定温度及び湯張り設定量に達していたら(S13がYes)、電磁弁15を閉状態にして、浴槽17への湯張り運転を完了する(S14)。
【0043】
そして、湯張り運転が完了すると、表示部26及びスピーカー27で湯張り運転が終了したことをユーザに報知する(S15)。
【0044】
次に、
図4のフローチャート及び
図5のタイムチャートに基づいて第2の実施形態について説明する。
【0045】
風呂湯張りスイッチ25が押されると(S16)、制御装置22の湯張り運転制御手段29は、湯張り混合弁12の開度を湯張り設定温度に対応した開度にし(S17)、電磁弁15を開いて、湯張り運転を開始する(S18)。
【0046】
このとき、湯張りフローセンサ14で湯張り量を検出し、湯張り温度センサ16で湯張り混合弁12で混合した実際の湯張り温度を検出し、過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度と、所望されている湯張り設定温度とを比較して、実際に湯張りされている湯張り温度が所定の過剰温度であるか確認する(S19)。
【0047】
過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度が過剰温度であり、温度差が所定の過剰温度差であると判定した場合(S19がYes)、湯張り運転を継続させ、所定湯張り量に到達するまでの一定時間毎に(ここでは毎秒毎)過剰温度で湯張りされた過剰熱量の積算を開始する(S20)。
【0048】
そして、湯張りフローセンサ14の検出値が湯張り温度センサの検出温度が湯張り設定温度と同程度となると予測される量より多い所定湯張り量に達したかを確認する(S21)。
【0049】
湯張りフローセンサ14の検出値が所定湯張り量に到達すると(S21がYes)、過剰温度判定手段30は、過剰熱量の積算を停止し(S22)、積算した過剰熱量を算出し(S23)、前記積算した過剰熱量を相殺するように湯張り設定温度よりも低い目標温度である補正湯張り温度を算出する(S24)。
【0050】
S19で過剰温度判定手段30が温度差が所定の過剰温度差(5℃以上)であると判定すると、過剰温度分を相殺する補正湯張り運転を行うことが決定され、湯張り設定温度よりも高い温度で湯張りされた分を過剰熱量として積算していく。この積算過剰熱量と補正湯張り温度の計算方法について説明する。
【0051】
また、第2実施形態では、過剰温度となっていた湯張り温度が湯張り設定温度に収束してくるであろう所定湯張り量と(ここでは30L)、過剰温度で湯張りされた分を相殺させる補正湯張り量を予め設定しており(ここでは、所定湯張り量の2倍程度の60L)、この補正湯張り量で湯張りしている間は補正湯張り温度で湯張りをおこなうようにしている。補正湯張り温度の計算方法について説明する。
【0052】
まず、以下の式のように湯張り温度センサ16で検出した検出温度から湯張り設定温度を減じることで過剰温度差を算出し、過剰温度差に湯張りフローセンサ14で検出する湯張り流量を乗することで過剰熱量を算出する。
{(湯張り温度センサの検出温度)-(湯張り設定温度)}×(1秒毎の湯張り流量)=(1秒毎の過剰熱量)
【0053】
そして、以下の式のように算出した過剰熱量を一定時間毎(毎秒毎)に積算し、積算過剰熱量を算出する。
(過剰熱量1)+(過剰熱量2)+(過剰熱量3)+()...=(積算過剰熱量)
【0054】
この積算過剰熱量を補正湯張り量で除して、補正温度差を算出する。
(積算過剰熱量)÷(補正湯張り量)=(補正湯張り温度差)
【0055】
次に以下の式のように湯張り設定温度から補正温度差を減算して補正湯張り温度を算出する。
(湯張り設定温度)-(補正湯張り温度差)=(補正湯張り温度)
【0056】
次に上述した計算方法を基に単純化した説明を行う。本実施形態では、所望された湯張り設定温度を40℃、湯張り設定量は180L、過剰温度が50℃であり、所定湯張り量を30L、補正湯張り量を60Lとしたとき、湯張り運転開始から2分程度の間過剰熱量が発生し、過剰熱量を一定時間毎(毎秒毎)に積算して過剰熱量を積算する。この積算過剰熱量が300kcalだったとすると、60Lで積算過剰熱量を除することで補正湯張り温度差5℃を算出することができ、湯張り設定温度40℃から補正湯張り温度差5℃減算することで、補正湯張り温度35℃を算出することができる。
【0057】
そして、過剰温度判定手段30が算出した補正湯張り温度である35℃になるように湯張り混合弁12の開度を変更して(S25)、湯張り運転を継続し、補正湯張り量(ここでは湯張り運転開始から90L)に達したことを確認する(S26)。
【0058】
そして、補正湯張り量に達していたら(S26がYes)、湯張り運転制御手段29は、所望された湯張り設定温度の湯が湯張りされるように湯張り混合弁12の開度を変更して(S27)、湯張り運転を継続し、湯張り設定温度(ここでは40℃)及び湯張り設定量(ここでは180L)に達したことを確認する(S28)。
【0059】
湯張り運転制御手段29は、湯張り設定温度及び湯張り設定量に達していたら(S28がYes)、電磁弁15を閉状態にして、浴槽17への湯張り運転を完了する(S29)。
【0060】
このように、夏場の直射日光等で給水温が上がってしまっても、過剰温度判定手段30で過剰熱量を算出し、過剰温度で湯張りされた分を相殺できる補正湯張り温度を算出して、補正湯張り温度で湯張りすることで、湯張り運転完了時には確実に所望の湯張り設定温度で湯張り運転を完了させることができるので、風呂の温度が予期しない高温になることがなく安心して入浴でき、不快に感じさせるのを防止できる風呂給湯装置を提供することができる。
【0061】
また、第2実施形態では、補正湯張り量までに過剰温度分を相殺させることができるため、使用者が湯張り運転完了前に入浴する場合でも確実に湯張り設定温度の湯を提供することができるので、風呂の温度が予期しない高温になることがなく安心して入浴できる。
【0062】
そして、過剰温度判定手段30は、実際に湯張りされている湯張り温度が過剰温度はないと判定した場合(S19がNo)、湯張り設定温度の湯張り運転を継続させ、湯張り設定温度(ここでは40℃)及び湯張り設定量(ここでは180L)に達したことを確認する(S26)。
【0063】
湯張り運転制御手段29は、湯張り設定温度及び湯張り設定量に達していたら(S30がYes)、電磁弁15を閉状態にして、浴槽17への湯張り運転を完了する(S31)。
【0064】
そして、湯張り運転が完了すると、表示部26及びスピーカー27で湯張り運転が終了したことをユーザに報知する(S32)。
【0065】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、今回はヒートポンプ式加熱手段を用いて説明したが、貯湯タンク1内にヒーターを設けた電気温水器及び燃焼式の風呂給湯装置でも良く、貯湯式給湯機だけではなく、給水を利用した湯張り運転を行うもので、給水温度の変化で湯張り温度がかわってしまう可能性があれば本発明を利用することができる。
【0066】
また、温度差が過剰に高くはなくなった後の時点として、本実施形態では、湯張り温度センサ16の検出温度が湯張り設定温度と同程度となると予測される量より多い所定湯張り量に達した時点としているが、湯張り温度センサ16の検出温度が湯張り設定温度と同程度となると予測される時間より長い所定の時間に達した時点や、湯張り温度センサ16の検出温度が湯張り設定温度との温度差が同程度になった時点や、それらの時点から少し後の時点でも良く、実施形態とは違う方法でも同様の効果が得られる。
【0067】
また、本実施形態では、補正湯張り温度差を算出する例で説明したが、補正湯張り温度差を予め固定し、補正湯張り量を算出することで過剰温度分を相殺するようにしても良い。
【0068】
また、任意でユーザが変更した湯張り設定量や湯張り設定温度に応じて、所定湯張り量や所定の過剰温度差は要旨を変更しない範囲で適宜値を変えても良いものである。
【符号の説明】
【0069】
1 貯湯タンク
2 給水管
12 湯張り混合弁
13 湯張り管
14 湯張りフローセンサ
16 湯張り温度センサ
17 浴槽
22 制御装置
29 湯張り運転制御手段
30 過剰温度判定手段