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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092843
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20220616BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220616BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20220616BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20220616BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 305
B41J11/02
B65H5/02 A
B65H5/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205787
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】小峯 直也
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC12
2C056HA29
2C056JC17
2C058AB18
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF04
2C058AF27
2C058AF31
2C058DA04
2C058DA13
2C058DA38
3F049AA10
3F049BA04
3F049DB02
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シートの端部にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置は、搬送ベルト21と、搬送ベルト21を摺動可能に支持するプラテンプレート27と、吸引ファン28とを備え、搬送ベルト21は、印刷する側から吸引ファン28に向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部30を備え、プラテンプレート27は、該プラテンプレート27を上下に貫通する複数の吸引孔31a,31bと、吸引孔を通過する空気の流量がシートPAによって減少すると吸引孔の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部41と、第1吸引孔縮小部41が設けられた吸引孔31aと異なる他の吸引孔31bの開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部42と、第1吸引孔縮小部41の動きを第2吸引孔縮小部42の動きに連動させるリンク部44とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷されるシートを搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを摺動可能に支持するプラテンプレートと、前記印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストと前記シートを吸引する吸引ファンとを備える搬送装置であって、
前記搬送ベルトは、
前記印刷する側から前記吸引ファンに向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部を備え、
前記プラテンプレートは、
該プラテンプレートを上下に貫通する複数の吸引孔と、
前記吸引孔を通過する前記空気の流量が前記シートによって減少すると前記吸引孔の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部と、
前記第1吸引孔縮小部が設けられた前記吸引孔と異なる他の吸引孔の開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部と、
前記第1吸引孔縮小部の動きを前記第2吸引孔縮小部の動きに連動させるリンク部と
を備える搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置としてインクジェットプリンタがある。このインクジェットプリンタは、印刷ヘッドの複数のノズルからインクジェット方式によりインク滴を吐出し、搬送装置によって搬送されるシートに画像を形成する。この搬送装置は、シートを空気の吸引力で搬送ベルトに固定して搬送する。
【0003】
シートを空気の吸引により吸着する方式では、インク滴の吐出によって発生した画像形成に使用しない微小液滴(インクミスト)が吸引による空気の流れによって、搬送ベルト及び搬送ベルトを摺動可能に支持するプラテンプレートに付着する。搬送ベルトとプラテンプレートに付着したインクミストは、シートを汚す場合がある。
【0004】
そこで、インクミストを回収する技術が例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-65096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、シートの搬送方向と直交する方向にミスト回収ファンを移動させるものであり、シートの搬送方向の先端部分にインクミストが付着することによる汚れの発生を防止できないという課題がある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、シートの端部にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送装置は、印刷されるシートを搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを摺動可能に支持するプラテンプレートと、前記印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストと前記シートを吸引する吸引ファンとを備える搬送装置であって、前記搬送ベルトは、前記印刷する側から前記吸引ファンに向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部を備え、前記プラテンプレートは、該プラテンプレートを上下に貫通する複数の吸引孔と、前記吸引孔を通過する前記空気の流量が前記シートによって減少すると前記吸引孔の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部と、前記第1吸引孔縮小部が設けられた前記吸引孔と異なる他の吸引孔の開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部と、前記第1吸引孔縮小部の動きを前記第2吸引孔縮小部の動きに連動させるリンク部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの端部にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置を備えたインクジェット印刷装置の主要部を示す側面構成図である。
図2図1に示す搬送部を上から見た平面を示す図である。
図3図2に示すプラテンプレートの一部の構成を模式的に示す側面構成図である。
図4図3に示す第1吸引口縮小部と第2吸引口縮小部の配置例を示す平面図である。
図5図3に示す第1吸引口縮小部と第2吸引口縮小部の他の配置例を示す平面図である。
図6図3に示す第1吸引口縮小部と第2吸引口縮小部の変形例を示す側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る搬送装置を備えたインクジェット印刷装置の主要部を示す側面構成図である。図1に示すインクジェット印刷装置1は、給紙部2、搬送装置3、印刷部4、及び排紙部5を備える。図1において、左を左方向、右を右方向、上を上方向、下を下方向、奥を後方向と定義する。左方向は印刷処理の上流、右方向は同処理の下流になる。
【0013】
給紙部2は、印刷媒体であるシートPAの給紙を行う。給紙部2は、給紙台11と、給紙ローラ12と、レジストローラ13とを備える。
【0014】
給紙台11は、印刷に用いられるシートPAが積載される。
【0015】
給紙ローラ12は、給紙台11に積載されたシートPAを1枚ずつピックアップしてレジストローラ13に向けて搬送する。給紙ローラ12は、給紙台11の上側に配置されている。給紙ローラ12は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0016】
レジストローラ13は、給紙ローラ12により搬送されてきたシートPAを一旦止めた後、搬送装置3に向けて搬送する。レジストローラ13は、給紙ローラ12の下流側に配置される。レジストローラ13は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0017】
搬送装置3は、レジストローラ13から搬送されてきたシートPAを印刷部4や排紙部5に向けて搬送する。搬送装置3は、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23~25と、ベルト駆動モータ26と、プラテンプレート27と、吸引ファン28とを備える。
【0018】
搬送ベルト21は、駆動ローラ22及び従動ローラ23~25に掛け渡される環状の無端ベルトである。搬送ベルト21には、シートPAを吸着するための開口部(図示せず)が網目状に多数形成されている。搬送ベルト21は、吸引ファン28の駆動により開口部に発生する負圧(吸着力)により、シートPAを搬送ベルト21の上面に吸着保持する。
【0019】
搬送ベルト21は、駆動ローラ22の回転駆動により、図1において時計方向に回転する。これにより、搬送ベルト21は、無端移動することで上面に吸着保持したシートPAを右方向に搬送する。
【0020】
駆動ローラ22及び従動ローラ23~25は、搬送ベルト21が掛け渡されるものである。駆動ローラ22は、ベルト駆動モータ26により回転駆動され、搬送ベルト21を回転させる。従動ローラ23~25は、搬送ベルト21を介して駆動ローラ22に従動する。従動ローラ23は、駆動ローラ22と略同じ高さで、駆動ローラ22から左方向に所定間隔だけ離間して配置されている。従動ローラ24,25は、駆動ローラ22及び従動ローラ23の下方において、互いに左右方向に所定間隔だけ離間して略同じ高さに配置されている。
【0021】
ベルト駆動モータ26は、駆動ローラ22を回転駆動させる。
【0022】
プラテンプレート27は、駆動ローラ22と従動ローラ23との間において、搬送ベルト21の下側に配置され、搬送ベルト21の下面を摺動可能に支持する。プラテンプレート27は、搬送ベルト21の開口部が通過する箇所において上面から下面に向かって貫通する複数の吸引孔(図示せず)を有する。また、プラテンプレート27は、その下面に図示しない開口面積変更部を備える。開口面積変更部について詳しくは後述する。
【0023】
吸引ファン28は、プラテンプレート27の下方に配置され、下方向への空気の流れを生じさせる。これにより、吸引ファン28は、搬送ベルト21の開口部、及びプラテンプレート27の吸引孔を介して空気を吸引して負圧を発生し、シートPAを搬送ベルト21上に吸着する。シートPAを吸着すると同時に、印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストも吸引する。
【0024】
印刷部4は、搬送装置3により搬送されるシートPAに印刷を行う。印刷部4は、搬送ベルト21の上側に設けられている。印刷部4は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、及びイエロー(Y)の印刷ヘッド32K,32C,32M,32Yを備える。
【0025】
印刷ヘッド32K~32Yのそれぞれは、画像形成のためのインク滴を吐出する。インク滴はシートPAの上に着弾し画像を形成するが、同時に発生するインクミストが印刷部4と搬送ベルト21の間を漂うことになる。
【0026】
図2は、搬送装置3を上から見た平面を示す図である。図2に示す搬送ベルト21は、略右側半分を切り欠いて示す。
【0027】
搬送ベルト21は、従動ローラ23と駆動ローラ22に掛け渡される。従動ローラ23と駆動ローラ22には、それぞれ回転軸231,221が設けられている。
【0028】
搬送ベルト21は、印刷部4から吸引ファン28に向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部30を備える。開口部30は、搬送ベルト21の前後方向の端部を除いて略全面に網目(メッシュ)状に空けられている。
【0029】
プラテンプレート27は、搬送ベルト21と対向する領域全体に亘って前後方向と左右方向の縦横に格子状に吸引孔31が空けられている。吸引孔31の孔径は、開口部30の孔径よりも大きい。
【0030】
(プラテンプレート)
図3は、プラテンプレート27の一部の構成を模式的に示す側面構成図である。プラテンプレート27は、その下面に開口面積変更部7を備える。
【0031】
図3(a)は、プラテンプレート27のシートPAの搬送方向に隣接する2つの吸引孔31a,31bに設けられた開口面積変更部7の側面構成を示す図である。図3(a)は、上流側の吸引孔31aを、移動するシートPAが塞いだ直後の開口面積変更部7の様子を模式的に示す図である。吸引孔31aのaは、位置を識別するための添え字である。位置を識別する必要がない場合は、添え字を省略する。
【0032】
上述のように、吸引孔31の孔径は開口部30よりも大きい。しかし、図3においては、説明の都合で両者の大きさと位置を一致させている。これは、高速で移動する搬送ベルト21の開口部30の位置によって、印刷部4から吸引ファン28に流れる空気が通る開口部分の面積が変化しないことを表している。つまり、搬送ベルト21の位置によって、吸引孔31を通過する空気の量は変化しない。実際は、吸引孔31に対する開口部30で形成される開口面積は常に一定になるように、開口部30の大きさと密度が調整されている。
【0033】
開口面積変更部7は、第1回転軸40と、第1吸引孔縮小部41と、第2吸引孔縮小部42と、第2回転軸43と、リンク部44と、弾性部材45とを備える。図3は、開口面積変更部7が隣接する2つの吸引孔31a,31bに対応させて設けられる例を示す。
【0034】
第1回転軸40は、吸引孔31aと31bの間のプラテンプレート27の下面に設けられ、第1吸引孔縮小部41の一端を回転可能に保持する。一端が第1回転軸40に保持された第1吸引孔縮小部41の他端は、第1回転軸40を支点に振り子の様に左右に移動可能である。
【0035】
第2回転軸43は、吸引孔31bと31c(図示せず)の間のプラテンプレート27の下面に設けられ、第2吸引孔縮小部42の一端を回転可能に保持する。第2吸引孔縮小部42の他端は、第1吸引孔縮小部41と同様に左右に移動可能である。
【0036】
左右に移動可能な第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42の他端側の下面には、それぞれ短い支柱が立てられ、それぞれの支柱の先端に回転軸が設けられる。その2つの回転軸は、リンク部44で連結される。リンク部44は、板状又は棒状の部材である。
【0037】
図3(a)に示すように、リンク部44で連結された第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、第2吸引孔縮小部42の他端の先端部分がリンク部44と接触する位置から右方向に移動不能である。つまり、第2吸引孔縮小部42の他端の先端部分とリンク部44の上面が接触することで、第1・第2回転軸40,43を基準にした第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42の俯角は、所定の大きさに規制される。
【0038】
一方、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42のそれぞれの他端は、第2吸引孔縮小部42の他端の先端部分がリンク部44と接触する位置から左方向に移動可能である。左方向に移動可能な第1吸引孔縮小部41の他端は、その上側が弾性部材45を介してプラテンプレート27の下面に固定されている。弾性部材45は、第1吸引孔縮小部41の一端を上側に付勢する。
【0039】
したがって、吸引ファン28による吸引力が無ければ第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、第1回転軸40及び第2回転軸43を支点として時計方向に回転し、それぞれの上面がプラテンプレート27の下面に接触する位置まで移動する。
【0040】
吸引ファン28による吸引力を弾性部材45の収縮力より大きく(吸引力>収縮力)設定すると、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、第2吸引孔縮小部42の他端の先端部分がリンク部44と接触する位置まで移動する。
【0041】
吸引力>収縮力で状態が安定している場合において、図3(a)に示すように上流の吸引孔31aがシートPAで塞がれ、その分の空気の流量が失われると、吸引力よりも弾性部材の収縮力が勝り(吸引力<収縮力)、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、時計方向に回転し、それぞれの上面がプラテンプレート27の下面に接触する位置まで移動する。
【0042】
図3(b)に示すように、プラテンプレート27の下面に接触する位置まで移動した第1吸引孔縮小部41は、吸引孔31aの開口面積を小さくさせる。同様に第2吸引孔縮小部42は、吸引孔31bの開口面積を小さくさせる。つまり、第1・第2吸引孔縮小部41,42は、吸引孔31を通過する空気の量を減少させる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送装置3は、印刷されるシートPAを搬送する搬送ベルト21と、搬送ベルト21を摺動可能に支持するプラテンプレート27と、印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストとシートPAを吸引する吸引ファン28とを備える搬送装置3であって、搬送ベルト21は、印刷する側から吸引ファン28に向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部30を備え、プラテンプレート27は、該プラテンプレート27を上下に貫通する複数の吸引孔31と、記吸引孔31を通過する空気の流量がシートPAによって減少すると吸引孔31の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部41と、第1吸引孔縮小部41が設けられた吸引孔31と異なる他の吸引孔31の開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部42と、第1吸引孔縮小部41の動きを第2吸引孔縮小部42の動きに連動させるリンク部44とを備え第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、シートPAの搬送方向に配置される。これにより、シートPAの搬送方向の先端が吸引孔31に到達する直前の印刷部4の側から吸引ファン28に向かう空気の流量を減少させることができ、シートPAの先端部分にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる。
【0044】
なお、シートPAが吸引孔31を通過した直後も空気の流量を減少させるので、シートPAの後端部分にインクミストが付着することによる汚れの発生も低減できる。また、第1・第2吸引孔縮小部41,42の開閉は、シートPAが吸引孔31を塞ぐことをトリガーに行われるので、特別な検出センサが不要である。
【0045】
上記の実施形態は、開口面積変更部7をシートPAの搬送方向に配置する例を説明した。開口面積変更部7の配置については他の形態が考えられる。次に、開口面積変更部7の配置について幾つかの例を示して説明する。
【0046】
(開口面積変更部の配置)
図4は、プラテンプレート27のシートPAの搬送方向の両端部の吸引孔31の列に対して、1個おきに開口面積変更部7を配置した例を示す。ここでの列は、シートPAの搬送方向と直交する方向である。
【0047】
図4に示すように、プラテンプレート27の左から1列目の吸引孔31に対して開口面積変更部7が設けられた吸引孔31と、開口面積変更部7が設けられない吸引孔31が交互に存在する。プラテンプレート27の右から1列目の吸引孔31についても同様である。
【0048】
このように開口面積変更部7を配置することで、シートPAの先端部分と後端部分のインクミストが付着することによる汚れの発生をバランスよく低減させることができる。
【0049】
図5(a)は、開口面積変更部7をシートPAの搬送方向に対して直交する方向に配置した例を示す。このように、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、シートPAの搬送方向に対して直交する方向に配置してもよい。これにより、シートPAのサイズに合わせてその側面にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減させることができる。
【0050】
図5(b)は、開口面積変更部7を印刷ヘッドに合わせて配置した例を示す。図5(b)において、縦長の一点鎖線で示す長方形は印刷ヘッド32K,32Yを表す。他の印刷ヘッド32C,32Mは省略している。
【0051】
図5(b)に示すように、開口面積変更部7は、印刷ヘッド32K~32Yのそれぞれに合わせて配置してもよい。開口面積変更部7の作用により、空気の流量を減少させるので吸引によるインク滴の着弾ずれを軽減することができ、画像の品質を向上させることができる。
【0052】
(変形例)
図6は、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42の形状を変更した変形例を示す。図6に示す第1吸引孔縮小部51と第2吸引孔縮小部52は、孔を備えない点で上記の実施形態(図3)と異なる。
【0053】
図6(a)に示すように、変形例の第1吸引孔縮小部51のシートPAの搬送方向の長さは、第1吸引孔縮小部41よりも短い。そして、第1吸引孔縮小部41の中心付近に設けられていた孔がない。第2吸引孔縮小部52も同様である。
【0054】
図6に示す変形例では、弾性部材56が収縮し、第1・第2吸引孔縮小部51,52の上面がプラテンプレート27の下面に接触しても吸引孔31a,31bは完全に遮蔽されないように構成される。
【0055】
図6(b)は、第1吸引孔縮小部51の係止構造を示す模式図である。図6(b)は、シートPAの搬送方向の上流側から第1吸引孔縮小部51を見た図である。
【0056】
図6(b)に示すように、第1吸引孔縮小部51の上流側の端部(他端)は、吸引孔31aを挟んだ両側で2つの弾性部材56,57でプラテンプレート27に係止される。このように、開口面積変更部7の構成は、図3に示す構成に限定されない。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送装置3は、印刷されるシートPAを搬送する搬送ベルト21と、搬送ベルト21を摺動可能に支持するプラテンプレート27と、印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストとシートPAを吸引する吸引ファン28とを備える搬送装置であって、搬送ベルト21は、印刷する側から吸引ファン28に向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部30を備え、プラテンプレート27は、該プラテンプレート27を上下に貫通する複数の吸引孔31と、吸引孔31を通過する空気の流量がシートPAによって減少すると吸引孔31の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部41と、第1吸引孔縮小部41が設けられた吸引孔31と異なる他の吸引孔31の開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部42と、第1吸引孔縮小部41の動きを第2吸引孔縮小部42の動きに連動させるリンク部44とを備える。これにより、シートの端部にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる。
【0058】
具体的には、シートPAの先端部分にインクミストが付着することによる汚れの発生を低減できる。また、シートPAの後端部分にインクミストが付着することによる汚れの発生も低減できる。また、特別な検出センサが不要である。
【0059】
なお、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42は、隣接する吸引孔31に対応させて設ける例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42がそれぞれ設けられた吸引孔31の間に、吸引孔縮小部が設けられない吸引孔31が存在しても構わない。要するに、第1吸引孔縮小部41と第2吸引孔縮小部42との間隔は、第1・第2吸引孔縮小部41,42の開閉レスポンス速度とシートPAの搬送速度との関係で適切に設定すればよい。
【0060】
また、吸引孔31は、搬送ベルト21と対向するプラテンプレート27の領域全体に亘って格子状に設ける例を示したが、本発明はこの例に限定されない。吸引孔31は格子状に設けなくても構わない。また、孔の形状も円形に限られない。
【0061】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0062】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0063】
(付記1)
印刷されるシートを搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトを摺動可能に支持するプラテンプレートと、前記印刷のためのインク吐出の際に発生するインクミストと前記シートを吸引する吸引ファンとを備える搬送装置であって、
前記搬送ベルトは、
前記印刷する側から前記吸引ファンに向かう空気を通過させる網目状に空けられた開口部を備え、
前記プラテンプレートは、
該プラテンプレートを上下に貫通する複数の吸引孔と、
前記吸引孔を通過する前記空気の流量が前記シートによって減少すると前記吸引孔の開口面積を小さくさせる第1吸引孔縮小部と、
前記第1吸引孔縮小部が設けられた前記吸引孔と異なる他の吸引孔の開口面積を小さくさせる第2吸引孔縮小部と、
前記第1吸引孔縮小部の動きを前記第2吸引孔縮小部の動きに連動させるリンク部と
を備える搬送装置。
【0064】
(付記2)
前記第1吸引孔縮小部と前記第2吸引孔縮小部は、前記シートの搬送方向に配置される
付記1に記載の搬送装置。
【0065】
(付記3)
前記第1吸引孔縮小部は、
前記印刷部を構成する印刷ヘッドに合わせて配置される
付記1に記載の搬送装置。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェット印刷装置
3 搬送装置
4 印刷部
11 給紙台
21 搬送ベルト
27 プラテンプレート
28 吸引ファン
30 開口部
31 吸引孔
41 第1吸引孔縮小部
42 第2吸引孔縮小部
44 リンク部
PA シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6