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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092851
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】軌道装置及び走行体
(51)【国際特許分類】
   A63H 18/16 20060101AFI20220616BHJP
   A63H 18/08 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
A63H18/16 A
A63H18/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205802
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】399012929
【氏名又は名称】株式会社アガツマ
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸所 信二
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA12
2C150CA08
2C150DA06
2C150EA03
2C150EB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】走行体の軌道を手軽に変更可能な軌道装置及び走行体を提供する。
【解決手段】軌道装置は、走行体の走行方向に長尺な略矩形平板状を有し、長尺方向の一方の端部4a側の入場部401側から他方の端部4b側の出場部403側に向かい該走行体の車輪をガイドする走行路41を複数の方向に分岐させる分岐部441と、該走行体の慣性方向とは異なる方向の走行路41b,41cに沿って配置された進路ガイド部42とを備える軌道切換部材4とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体の車輪をガイドする走行路を複数の方向に分岐させる分岐部と、
前記走行体の慣性方向とは異なる方向の前記走行路に沿って配置された進路ガイド部と、
を備えることを特徴とする軌道装置。
【請求項2】
前記進路ガイド部は、前記走行路よりも深い溝状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の軌道装置。
【請求項3】
前記進路ガイド部は、前記走行路の内側に設けられる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の軌道装置。
【請求項4】
前記分岐部の進入側に、前記走行体に前記分岐部への進入を検出させる識別部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の軌道装置。
【請求項5】
前記分岐部により分岐した複数の方向の前記走行路を含む切換軌道部材をさらに備え、
前記切換軌道部材は、前記分岐部側、前記走行路の終端側に、単線軌道部材を連結可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の軌道装置。
【請求項6】
前記切換軌道部材は、前記走行路の一端側に連結部を有し、前記走行路の他端側に被連結部を有し、
前記連結部には前記進路ガイド部が設けられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の軌道装置。
【請求項7】
前記分岐部と、前記分岐部により分岐した前記走行路の分岐終了部との間に、他の方向の前記走行路との交差部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の軌道装置。
【請求項8】
軌道部材の走行路をガイドされながら走行可能な車輪と、
前記走行路が複数の方向に分岐される分岐部において走行の慣性方向とは異なる方向の前記走行路に沿って配置された進路ガイド部に係合可能な進路切換部と、
前記分岐部において、前記進路切換部を前記進路ガイド部へ係脱させて走行方向を前記進路ガイド部に沿ってガイドさせるか否かを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする走行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道装置及び走行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両を模した走行体の走行方向を切り換えることを可能とした軌道装置が提案されている。例えば、特許文献1には、走行体(玩具車両)が走行する軌道の分岐点で走行体の走行方向を切り換えるため第1の切換位置と第2の切換位置との間を回動できるように分岐点に枢支された可動子を備える玩具車両用軌道の分岐器が開示されている。可動子は軌道のガイド溝内に設けられる。走行体は、走行体の下部に設けられた案内突起がガイド溝に係入して、可動子の切換位置に応じて走行方向がガイドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭51-129893号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の分岐器では、走行体の走行方向を切り換える度に可動子の位置を変更する必要があり、切換つまみを操作するという手間が掛かった。
【0005】
本発明は、走行体の軌道を手軽に変更可能な軌道装置及び走行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る軌道装置は、走行体の車輪をガイドする走行路を複数の方向に分岐させる分岐部と、前記走行体の慣性方向とは異なる方向の前記走行路に沿って配置された進路ガイド部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る走行体は、軌道部材の走行路をガイドされながら走行可能な車輪と、前記走行路が複数の方向に分岐される分岐部において走行の慣性方向とは異なる方向の前記走行路に沿って配置された進路ガイド部に係合可能な進路切換部と、前記分岐部において、前記進路切換部を前記進路ガイド部へ係脱させて走行方向を前記進路ガイド部に沿ってガイドさせるか否かを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、走行体の軌道を手軽に変更可能な軌道装置及び走行体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る走行玩具の全体平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る単線軌道部材を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る切換軌道部材を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る切換軌道部材を示す図であり、(a)は図3の切換軌道部材の入場部側から見た側面図であり、(b)は図3の切換軌道部材のIVb-IVb断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る走行体の模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る走行体のブロック図である。
図7】本発明の実施形態に係るリモコン端末のブロック図である。
図8】本発明の実施形態に係る走行体の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に示す走行玩具1は、複数の軌道部材(単線軌道部材3、切換軌道部材4)を組み合わせて形成した軌道装置2と、この軌道装置2を走行可能な走行体6と、を備える。図1では、単線軌道部材3と切換軌道部材4とを組み合わせて、2つの閉路である内側の第一軌道2Aと外側の第二軌道2Bを有する軌道装置2を形成している。切換軌道部材4は、入場した走行体6の走行方向を第一軌道2Aから第二軌道2Bへ、又は第二軌道2Bから第一軌道2Aへ切り換えることもできるし、走行方向を切り換えずに走行体6を第一軌道2Aのまま又は第二軌道2Bのまま走行させることもできる。
【0011】
図1に示す単線軌道部材3は、直進用の単線軌道部材3A~3Eと、カーブ用の単線軌道部材3F~3Hとを含む。直進用の単線軌道部材3A~3Eは、長尺な単線軌道部材3A~3Dと、単線軌道部材3A~3Dよりも短尺な単線軌道部材3Eを含む。また、カーブ用の単線軌道部材3F~3Hは、それぞれ45度湾曲しており走行体6の走行方向(進行方向)を45度変更することができる。
【0012】
また、一部の単線軌道部材3B~3D,3G,3Hには、識別部35が設けられる。本実施形態の識別部35は、走行体6の走行方向に対して符号351及び符号352の一方又は両方(図2も参照)が配列されたバーコード(一次元コード)である。
【0013】
次に、図2を参照し、識別部35が設けられたカーブ用の単線軌道部材3Gを例示しながら、単線軌道部材3の構成について説明する。
【0014】
単線軌道部材3は、走行体6の走行方向に長尺な平板状の本体部30を有する。単線軌道部材3の長尺方向の両端部3a,3bの端面3a1及び端面3b1は、互いに45度傾いている。本体部30の一方側の端面3a1には、凸部である連結部51が形成される。また、本体部30の他方側の端面3b1には、連結部51と係合して連結可能な凹部である被連結部52が設けられる。図2のII-II断面図に示すように、単線軌道部材3の一方面側には軌道面3cが設けられ、他方面側には平坦な設置面3dが設けられる。単線軌道部材3は、走行体6の車輪611,612,621,631(図5参照)を走行させることが可能な走行路31と、走行路31よりも深く形成される進路ガイド部32と、を有する。
【0015】
走行路31は、車輪611,612,621,631の幅に対応して、単線軌道部材3の短尺な幅方向の両側に設けられ、互いに略平行に配置されている。走行路31は、軌道面3c側に突出する側壁33及び内壁34により囲われた走行ガイド部36により、凹溝状に形成される。図2のII-II断面図に示すように、各内壁34は、単線軌道部材3の側壁33よりも内側に配置される。内壁34は、側壁33よりも低く広幅に形成される。
【0016】
進路ガイド部32は、走行路31の内側であって単線軌道部材3の短尺方向の略中央に設けられる。進路ガイド部32は、両側が内壁34によって囲われた凹溝状に形成される。また、進路ガイド部32は、走行路31よりも深く幅狭に形成される(II-II断面図参照)。進路ガイド部32と両側の走行路31とは、略平行に配置されている。
【0017】
連結部51は、端部3aにおいて本体部30の短尺方向(幅方向)における略中央から突出した首部511と、首部511の先端側に設けられた平面視略円形状の拡幅部512とを有する。首部511の幅は、両走行路31の内面311間の幅よりも小さく、進路ガイド部32の幅よりも大きく形成される。首部511及び拡幅部512には、進路ガイド部32の幅方向両側に配置された内壁34の一部が同じ高さで延設されている。従って、進路ガイド部32は、連結部51においても延設されている。連結部51の端部における進路ガイド部32は、本体部30側の進路ガイド部32の幅と同幅で切り欠かれて、連結部51と被連結部52の進路ガイド部32が連設可能に形成される。
【0018】
被連結部52は、端部3bにおいて本体部30の短尺方向(幅方向)における略中央が切り欠かれた開口部521と、走行路31の内面311側に設けられたスリット522とにより形成された二股状の腕部523を有する。開口部521及びスリット522は、端面3b1から見て切欠き深さが略同じである。両腕部523の先端部(端面3b1)側には、腕部523間の幅が基部よりも縮幅するように互いの対向方向に突出した突出部523aが形成される。各突出部523aの対向面は、本体部30の長尺方向に亘って同幅で略平行に形成される。
【0019】
腕部523の基部側に形成される開口部521の拡幅部521aは、平面視略円形状に形成される。また、腕部523は、本体部30側の内壁34と同じ厚みであり、内壁34が延設されるように形成される。被連結部52の開口部521の幅は、連結部51の首部511及び拡幅部512の幅よりも大きく形成される。
【0020】
単線軌道部材3の軌道面3c側には、識別部35が設けられる。本実施形態の識別部35は、走行体6の走行方向に符号351,352が配列された一次元バーコードである。識別部35は、光の反射率の低い符号351と、符号351よりも光の反射率の高い符号352とを含む。走行体6は、後述する光センサ615により符号351,352の配列を読み取り、識別部35の種別を検出することができる。例えば、光センサ615の入力として、符号351は「1」に対応し、符号352は「0」に対応している。図1に示した軌道装置2において、切換軌道部材4の分岐部441(図3参照)の進入側の単線軌道部材3Gには、識別部35が設けられる。識別部35は、走行体6に分岐部441への進入を検出させることができる。識別部35Gは、符号351、符号352、符号351、符号351の順に配列されている。この場合、走行体6は、光センサ615により「1011」の入力を検出することができる。識別部35Gは、走行体6の走行方向に対して切換軌道部材4の直前の位置であることを示している。
【0021】
各符号351,352は、図2の平面視において略長矩形状となるように、進路ガイド部32の底面及び対向する内面と、内壁34の上面とに亘って連続して設けられる。本実施形態の符号351は、黒色に形成され、テープの貼着、塗装、単線軌道部材3とは別部材の配置等の任意の方法により設けることができる。また、単線軌道部材3は、白色の基材により形成されており、符号352は基材を露出させることで光の反射率の高い領域を設けることができる。
【0022】
本実施形態では、図1に示すように、内側の第一軌道2Aと、外側の第二軌道2Bのそれぞれにおいて、識別部35Gを含む単線軌道部材3Gが配置される。また、単線軌道部材3Hには、識別部35Gとは符号351,352の配列順が逆の識別部35Hが設けられる。識別部35Hは、走行体6を図1の第一軌道2A及び第二軌道2Bにおいて時計回り方向に走行させる場合に、走行体6に切換軌道部材4の直前の位置であることを検出させることができる。
【0023】
また、図1の軌道装置2において、直進用の単線軌道部材3B~3Dにも識別部35B~35Dが設けられる。識別部35B~35Dは、走行玩具1における駅の位置を示しており、符号351,351の配列の違いにより異なる駅を表している。本実施形態では、識別部35B(「111」)は「駅1」を表しており、識別部35C(「1111」)は「駅2」を表しており、識別部35D(「11111」)は「駅3」を表している。後述するように、走行体6は、「駅停車指示」を受けて指定された任意の駅の位置で停車することができる。
【0024】
図3は、切換軌道部材4の平面図である。切換軌道部材4は、走行体6の走行方向に長尺な略矩形平板状の本体部40を有する。切換軌道部材4は、長尺方向の一方の端部4a側に二箇所の入場部401,402を有し、他方の端部4b側に二箇所の出場部403,404を有する。切換軌道部材4では、走行体6が、入場部401及び入場部402のいずれか一方から入場して、出場部403及び出場部404のいずれか一方から出場することができる。切換軌道部材4は平面視において上下対称に形成される。
【0025】
切換軌道部材4の長尺方向の両端部4a,4bの端面4a1,4b1は、略平行に形成される。本体部40の一方側の端面4a1には、凸部である連結部51が形成される。また、本体部40の他方側の端面4b1には、連結部51と係合して連結可能な凹部である被連結部52が設けられる。連結部51及び被連結部52の構成は、単線軌道部材3の連結部51及び被連結部52と略同様である。
【0026】
図4(a)及び図4(b)に示すように、切換軌道部材4の一方側には軌道面4cが設けられ、他方側に平坦な設置面4dが設けられる。切換軌道部材4は、走行体6の車輪611,612,621,631を走らせることが可能な走行路41と、走行路41よりも深く形成される進路ガイド部42と、を有する。
【0027】
走行路41は、切換軌道部材4の大部分に設けられた平坦面である走行面43上に形成される。走行路41は、左右の車輪611,612,621,631の幅と略同幅の平行に設けられ、本実施形態では、四方向の走行路41a~41dが設けられる。走行路41a~41dは、走行体6の車輪611,612,621,631を、走行面43から突出した側壁45や島部46等の側面(或いは内面)によりガイドする。走行路41aは入場部401から出場部403へ向かって形成され、走行路41bは入場部401から出場部404へ向かって形成される。また、走行路41cは入場部402から出場部403へ向かって形成され、走行路41dは入場部402から出場部404へ向かって形成される。走行路41aと走行路41dとは略平行に直線状に配置される。走行路41bと走行路41cとは互いにX字状に交差して斜めに配置される。
【0028】
切換軌道部材4は、短尺方向の両縁部に、軌道面4c側に突出する側壁45を有する(図4(a)等参照)。また、切換軌道部材4は、側壁45の内側において軌道面4c側に突出する複数の島部46を有する。側壁45は、単線軌道部材3の側壁33と略同じ高さで形成され、入場部401,402又は出場部403,404側に単線軌道部材3を連結した場合には単線軌道部材3の側壁33が延長されるように側壁33と連続的に配置される。
【0029】
島部46は、二本の走行路41aの間及び二本の走行路41dの間に配置される内側島部461と、入場部401,402側に設けられる端部側島部462,464と、出場部403,404側に設けられる端部側島部463,465とを含む。図4(a)及び図4(b)に示すように、端部側島部462,463は、側壁45と略同じ高さに形成される。内側島部461及び端部側島部464,465は、側壁45(又は端部側島部462,463)よりも低く、図2の単線軌道部材3の内壁34と略同じ高さで形成される(図4(a)及び図4(b)も参照)。
【0030】
端部側島部462,463は、走行路41bと走行路41cとの間に配置され、図3の平面視において切換軌道部材4の内側に二等辺で構成される頂点を向けた二等辺三角形状に形成される。端部側島部464は、連結部51に隣接しており、二本の走行路41aの間、及び、二本の走行路41dの間にそれぞれ配置される。また、端部側島部465は、被連結部52に隣接しており、二本の走行路41aの間、及び、二本の走行路41dの間にそれぞれ配置される。
【0031】
さらに、入場部401,402側の首部511に隣接し、進路ガイド部42に対して端部側島部464の反対側には、端部側島部464と略同じ高さの内壁471が設けられる。また、出場部403,404側の開口部521に隣接し、進路ガイド部42に対する端部側島部465の反対側には、端部側島部465と略同じ高さの内壁472が設けられる。
【0032】
進路ガイド部42は、走行路41が設けられる走行面43において走行路41よりも深く窪んだ凹溝状に形成される。進路ガイド部42は、入場部401から出場部403へ向かう走行体6の慣性方向に延設された走行路41aとは異なる方向に延設された走行路41bに沿って配置される。従って、進路ガイド部42は、入場部401側から出場部404側までに亘って設けられる。また、進路ガイド部42は、入場部402から出場部404へ向かう走行体6の慣性方向に延設された走行路41dとは異なる方向に延設された走行路41cに沿って配置される。従って、切換軌道部材4は、複数の走行路41b,41cに沿って、互いにX字状に交差する複数の進路ガイド部42を有する。走行路41bに対応する進路ガイド部42は、走行体6の左右の車輪611,612,621,631が通過する二本の走行路41bの内側に設けられる。また、走行路41cに対応する進路ガイド部42は、走行体6の車輪611,612,621,631が通過する二本の走行路41cの内側に設けられる。
【0033】
入場部401側から出場部403側へ向かう走行路41aは、分岐部441、ガイド部442、及び合流部443を含む。分岐部441では、入場部401から延設された走行路41が走行路41aと走行路41bとに分岐する。走行路41aは、分岐部441において側壁45又は端部側島部464にガイドされ又はガイドされずに走行する走行体6の慣性方向(本実施形態では直進方向)に延設される。
【0034】
ガイド部442は、側壁45及び内側島部461により走行体6の走行方向をガイドする。合流部443では、走行路41aと走行路41cとが合流して、走行体6を出場部403側から次段に連結される単線軌道部材3側にガイドする。
【0035】
入場部401側から出場部403側へ向かう走行路41bは、分岐部441、ガイド部444、交差部445、ガイド部446、合流部443を含む。ガイド部444では、走行路41bの側方に内側島部461の側面が位置しており、走行体6の車輪611,612,621,631が内側島部461に当接した場合であっても、走行体6の走行方向を走行路41bに沿った交差部445側にガイドすることができる。交差部445では、分岐部441と、分岐部441により分岐した走行路41bの分岐終了部(本実施形態では合流部443)との間に配置され、走行路41bと他の方向の走行路41cとが交差している。交差部445は、分岐部441と、分岐部441により分岐した走行路41bの分岐終了部(本実施形態では合流部443)との間に配置される。また、交差部445における走行路41bは、略直線状(直進方向)に形成されている。従って、ガイド部444から進入した走行体6は、進路切換部618bが進路ガイド部42にガイドされた状態で又はガイドされない状態であっても、ガイド部446側に走行することができる。
【0036】
ガイド部446は、走行路41bの側方に内側島部461の側面が位置しており、走行体6の車輪611,612,621,631が内側島部461に当接した場合に、走行体6の走行方向を走行路41bに沿った合流部443側にガイドすることができる。出場部404側の合流部443では、走行路41bと走行路41dとが合流して、走行体6を出場部404側から次段に連結された単線軌道部材3側にガイドする。
【0037】
なお、走行路41dは、走行路41aと上下対称に構成されており、走行路41aと同様に、分岐部441、ガイド部442、合流部443を含む。また、走行路41cは、走行路41bと上下対称に構成されており、走行路41bと同様に、分岐部441、ガイド部444、交差部445、ガイド部446、合流部443を含む。
【0038】
また、切換軌道部材4は、連結部51及び被連結部52を除くと図3の左右対称に構成されており、走行体6が図3の出場部403,404側から入場して、入場部401,402側から出場することもできる。この場合、図3に示す合流部443は分岐部として機能し、分岐部441は合流部として機能する。
【0039】
切換軌道部材4は、走行路41の一端側に連結部51を有し、走行路41の他端側に被連結部52を有する。単線軌道部材3と同様に、連結部51にも進路ガイド部42が延設される。被連結部52の開口部521には、単線軌道部材3の連結部51を切換軌道部材4の厚み方向から係合させることができる。連結部51と被連結部52とを連結させた場合、連結部51の拡幅部512は被連結部52の拡幅部521a内に配置される。また、連結部51の首部511には、腕部523の突出部523aが係合する。従って、連結部51と被連結部52とが連結した状態では、連結部51と被連結部52とは走行路31(又は走行路41)の延設方向への移動が規制される。これにより、単線軌道部材3の連結状態を安定支持することができる。切換軌道部材4は、連結部51が設けられた始端側である分岐部441側、及び走行路41の終端側である合流部443側に、単線軌道部材3を連結可能に構成される。
【0040】
図5は、筐体を断面により示し各内部構成を模式的に示した走行体6の模式図である。また、図6は、走行体6のブロック図である。走行体6は、先頭車両61、中間車両62及び後尾車両63を有し、全体が三両編成で構成される。先頭車両61、中間車両62及び後尾車両63における車輪611,621,631は自由回転可能に支持されており、先頭車両61の一部の車輪612は駆動輪として機能する。先頭車両61、中間車両62及び後尾車両63は、前後が開口した中空筒状の連結部材64により連結されている。各車両61~63内の複数の回路基板632,613や実装部品等の配線は、連結部材64の中空部を介した配線により接続されているが、図示は省略する。連結部材64は、各車両61~63に対して上下方向を軸線としてヒンジ接続され、走行方向に対して左右に回動可能に連結されている。
【0041】
中間車両62には、電源622と、電源スイッチ623とが設けられる。本実施形態の電源622は、二本の一次電池であるが、二次電池を用いてもよい。また、本実施形態の電源スイッチ623は、スライドスイッチであり、中間車両62の上面に設けられた開口から操作部が突出している。
【0042】
後尾車両63には、複数の回路基板632が配置されている。回路基板632は、マイコン等の制御部632a(図6参照)、レギュレータ、各駆動部のスイッチ回路等を含む。また、後尾車両63は、リモコン端末7(図7参照)からの制御指示を赤外線等の無線信号により受信する受信部633と、音声を出力するスピーカ634とを有する。受信部633の受光部は、後尾車両63の上面に設けられた開口から露出している。スピーカ634は、後尾車両63の上面側に配置されており、後尾車両63の上方へ向けて音声を放音することができる。
【0043】
先頭車両61には、車輪612を駆動可能なモータである走行駆動部614と、光センサ615と、摺動部材618の上下動を制御するモータである切換駆動部616と、が設けられる。後尾車両63の回路基板632から引き出された配線は、回路基板613を介して走行駆動部614、光センサ615及び切換駆動部616に接続される。走行駆動部614は、複数のギヤを介して車輪612の軸部に固定された従動ギヤを回転させ、車輪612の回転を制御することができる。光センサ615は、赤外線等の任意の波長を用いた投受光センサであり、先頭車両61の下方に位置する走行面(単線軌道部材3や切換軌道部材4)に光を照射して反射された光の強度を読み取ることができる。本実施形態の制御部632aは、光センサ615が読み取った図1の識別部35の符号パターン(符号351及び符号352の配列順)により、走行体6の走行位置を検出することができる。光センサ615は、先頭車両61の底面図に示すように、左右の車輪611,612の間の略中間に位置している。
【0044】
摺動部材618は、複数のギヤを介して切換駆動部616とギヤ接続される押圧部材617と、圧縮コイルばねである弾性部材Sにより上下動可能に構成される。摺動部材618は、上方に円板状の受け部618aと、この受け部618aの下面の略中心から下方に延設される円柱状の突起である進路切換部618bとを有する。摺動部材618は、円柱状の収容部618cに上下動可能に収容されている。弾性部材Sは、受け部618aと、収容部618cの底部との間に配置され、摺動部材618を上方へ付勢している。
【0045】
また、押圧部材617は、切換駆動部616側のギヤと歯合して回動可能に設けられる軸部617aと、軸部617aから前方に延設された腕部617bとを有する。押圧部材617は、切換駆動部616により軸部617a周りに回動し、摺動部材618を押圧しない図5の状態と、腕部617bにより弾性部材Sの弾発力に抗して摺動部材618を下方へ移動させる状態と、に制御される。摺動部材618が下方に押し下げられた状態では、進路切換部618bが先頭車両61の下面から外出して、鎖線で示すように先端を車輪611,612よりも下方に位置させる。進路切換部618bは、先頭車両61の底面図に示すように、先頭車両61の前輪の軸部よりも前方側であって、左右の車輪611の間の略中間に位置している。
【0046】
また、図6に示すように、前述した各機能部(受信部633、スピーカ634、走行駆動部614、光センサ615及び切換駆動部616)は、制御部632aにより制御される。制御部632aは、図8で後述するように、進路切換部618bを進路ガイド部42へ係脱させて走行方向を進路ガイド部42に沿ってガイドさせるか否かを制御する。
【0047】
図7は、リモコン端末7のブロック図である。リモコン端末7は、制御部71、送信部72及び入力部73を備える。送信部72は、走行体6の受信部633に対して制御指示を赤外線等の無線信号により送信する。入力部73は、発車及び停車を指示するスライドスイッチ731,732と、走行体6が走行する軌道(第一軌道2A又は第二軌道2B)の切り換えを指示するプッシュボタン733と、「駅1」~「駅3」のうちから停車駅を指定するプッシュボタン734~736と、を有する。
【0048】
ユーザは、リモコン端末7を操作して、走行体6の発車、停車、切換軌道部材4におけるポイント切換等を、遠隔制御することができる。
【0049】
次に、走行玩具1の制御例について説明する。図8は、走行体6の制御部632aによる制御フローチャートを示している。まず、ユーザは、図1に示した軌道装置2の任意の位置に走行体6を配置する。電源スイッチSWが操作されると、走行体6は停車した状態で待機する(ステップS01)。
【0050】
走行体6の制御部632aは、ステップS02でリモコン端末7から「発車指示信号」を受信すると、モータである走行駆動部614を駆動させて走行を開始する(S03)。制御部632aは、ステップS04で、リモコン端末7からいずれかの信号を受信したか判定し、受信しない場合は(S04,NO)走行しながらステップS04の処理を繰り返す。ステップS04で、制御部632aは、リモコン端末7のプッシュボタン734~736の押下により「駅停車指示」を受信した場合ステップS05の処理に進み、プッシュボタン733の押下により「切換指示」を受信した場合はステップS11の処理に進み、スライドスイッチ731の操作により「停車指示」を受信した場合はステップS14の処理に進む。
【0051】
ステップS05で、制御部632aは、スピーカ634から停車駅「駅1」、「駅2」、「駅3」に対応する停車案内の音声を再生する。この音声は、停車駅をアナウンスする音声と、停車駅に応じた音楽とを含むことができる。
【0052】
ステップS06で、制御部632aは、停車駅を検出したか判定する。例えば、制御部632aは、光センサ615により読み取った識別部35が、識別部35Bである場合は「駅1」と判定し、識別部35Cである場合は「駅2」と判定し、識別部35Dである場合は「駅3」と判定する。従って、制御部632aは、ステップS04で受信した停車駅と一致する識別部35を検出した場合はステップS07の処理に進み、識別部35を検出しない場合又は検出した識別部35がステップS04で受信した停車駅と一致しない場合はステップS08の処理に進む。
【0053】
ステップS07では、制御部632aは受信した停車駅と検出した識別部35が示す駅とが一致しているため、走行体6を停車させる。このように、制御部632aはリモコン端末7が指定した任意の駅に停車することができる。
【0054】
ステップS08で、制御部632aは、トラック内(現在走行中の第一軌道2A又は第二軌道2B内)にステップS04で受信した停車駅が有るか判定する。例えば、制御部632aは、初期値としてステップS04で「駅停車指示」を受信してからの経過時間が予め定めた閾値以下である場合は暫定的に指定駅あり(S08,YES)と判定し、ステップS06の処理に戻ることができる。一方、制御部632aは、走行体6を走行させながら指定駅が検出されるまで、ステップS06及びステップS08の処理を繰り返し、経過時間が予め定めた閾値を超えた場合はトラック内(現在走行中の第一軌道2A又は第二軌道2B内)に指定駅が存在しないと判定し(S08,NO)、ステップS09の処理に進む。又は、制御部632aは、図1の第一軌道2A又は第二軌道2Bを周回走行して識別部35Gを二回検出する間に指定された駅に対応する識別部35B~35Dが検出されない場合に(即ち、第一軌道2A又は第二軌道2Bを一周する間に指定駅を検出しない場合に)、トラック内(現在走行中の第一軌道2A又は第二軌道2B内)に指定駅が存在しない(S08,NO)と判定してもよい。
【0055】
ステップS09で、制御部632aは、光センサ615により識別部35Gを検出したか判定する。制御部632aは、識別部35Gを検出しない場合(S09,NO)ステップS06の処理に戻り、識別部35Gを検出するまではステップS09及びステップS07の処理を繰り返す。一方、制御部632aは、識別部35Gを検出した場合(S09,YES)、ステップS10の処理に進む。
【0056】
ステップS10では、走行体6は切換軌道部材4でポイント切換を行う。識別部35Gを検出した場合、走行体6は切換軌道部材4の直前に位置する。ステップS10で、制御部632aは、図5に示した走行体6の切換駆動部616を駆動させて摺動部材618を下降させ、進路切換部618bを走行体6の下面側から突出させる。すると、図4(b)の鎖線で示すように、進路切換部618bと進路ガイド部42とが係合して、走行体6の走行方向は慣性方向とは異なる走行路41b側にガイドされる(図3も参照)。走行体6は、進路ガイド部42にガイドされて出場部404から次段の単線軌道部材3に進み、第二軌道2B上を走行することができる(図1参照)。なお、制御部632aは、走行体6の進路の切り換えが完了するまでの所定の時間、進路切換部618bを突出させるように制御することができる。例えば、制御部632aは、先頭車両61が分岐部441に位置する間に進路切換部618bを突出させてもよいし、先頭車両61が分岐部441に位置する前から進路の切り換えを終えて先頭車両61又は後尾車両63が合流部443を通過する迄の間に進路切換部618bを突出させてもよい。その後、制御部632aは、ステップS06の処理に戻る。また、制御部632aは、ステップS06で指定駅を示す識別部35B~35Dを検出した場合(S06,YES)停車し(S07)、ステップS01の待機処理に戻る。
【0057】
また、ステップS11で、制御部632aは、警笛音をスピーカ634から再生する。ステップS12で、制御部632aは、光センサ615により識別部35Gを検出したか判定する。制御部632aは、識別部35Gを検出しない場合(S12,NO)識別部35Gを検出するまではステップS12の処理を繰り返す。一方、制御部632aは、識別部35Gを検出した場合(S12,YES)、ステップS13の処理に進む。
【0058】
ステップS13で、制御部632aは、ステップS10と同様に、切換軌道部材4において走行体6の進路を第一軌道2Aから第二軌道2Bへ、又は、第二軌道2Bから第一軌道2Aへポイント切換を行う。その後、制御部632aは、ステップS04の処理に戻る。
【0059】
また、ステップS14で、制御部632aは、走行駆動部614を制御して走行体6を停車させる。
【0060】
以上、本実施形態では、走行体6の車輪611,612,621,631をガイドする走行路41を複数の方向に分岐させる分岐部441と、走行体6の慣性方向とは異なる方向の走行路41に沿って配置された進路ガイド部42と、を有する軌道装置2の構成について説明した。走行体6は、切換軌道部材4(又は分岐部441)を直接操作することなく走行方向を選択することができる。従って、走行体6の軌道を手軽に変更可能な走行玩具1を構成することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は本実施形態によって限定されることは無く、種々の変更を加えて実施することができる。例えば、本実施形態では、識別部35における符号351は黒色とし、符号352は白色としたが、光センサ615により二値(「1」又は「0」)を読み取り可能な構成であれば、任意の色で構成することができる。
【0062】
また、本実施形態では、識別部35としてバーコードを設けた例について説明したが、他の一次元コード、RFIDのような非接触タグ等のその他の構成を用いることができる。識別部35として非接触タグを用いた場合は、光センサ615の代わりに非接触タグの読取部を配置することができる。
【0063】
また、本実施形態では、走行駆動部614、光センサ615、切換駆動部616、電源スイッチSW、電源622、受信部633、スピーカ634を各車両61~63に分散して設けたが、何れかの車両61~63に纏めて配置してもよいし、分散する組み合わせを本実施形態とは異なる任意の組み合わせで配置してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、単線軌道部材3に進路ガイド部42と略同じ幅及び深さの進路ガイド部32を設けたが、単線軌道部材3には進路ガイド部32を設けない構成とすることができる。この場合も、走行体6は、切換軌道部材4において進路ガイド部42と進路切換部618bが係合することにより走行方向を切り換えることができる。
【0065】
また、切換軌道部材4の分岐部441において、走行体6の慣性方向に延設される走行路41は、直線状に延設される方向(直進方向)に限らず、走行体6の車輪611,612,621,631が側壁45等によりガイドされたカーブ方向であってもよい。この場合、走行体6の慣性方向とは異なる方向の走行路41としては、車輪611,612,621,631にガイドされるカーブ方向よりも更に曲率の大きい(更に内側)のカーブ方向とすることができる。進路ガイド部42は、その曲率の大きいカーブ方向の走行路41に沿って設けることができる。従って、走行体6は、進路切換部618bを動作させて任意の方向の走行路41を選択することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 走行玩具 2 軌道装置
2A 第一軌道 2B 第二軌道
3(3A~3H) 単線軌道部材 3a 端部
3a1 端面 3b 端部
3b1 端面 3c 軌道面
3d 設置面 4 切換軌道部材
4a 端部 4a1 端面
4b 端部 4b1 端面
4c 軌道面 4d 設置面
6 走行体 7 リモコン端末
30 本体部 31 走行路
32 進路ガイド部 33 側壁
34 内壁 35 識別部
35B~35D,35G,35H 識別部 36 走行ガイド部
40 本体部 41(41a~41d) 走行路
42 進路ガイド部 43 走行面
45 側壁 46 島部
46 端部側島部 51 連結部
52 被連結部 61 先頭車両
62 中間車両 63 後尾車両
64 連結部材 71 制御部
72 送信部 73 入力部
311 内面 401 入場部
402 入場部 403 出場部
404 出場部 441 分岐部
442 ガイド部 443 合流部
444 ガイド部 445 交差部
446 ガイド部 461 内側島部
462~465 端部側島部 471 内壁
472 内壁 511 首部
512 拡幅部 521 開口部
521a 拡幅部 522 スリット
523 腕部 523a 突出部
611 車輪 612 車輪
613 回路基板 614 走行駆動部
615 光センサ 616 切換駆動部
617 押圧部材 617a 軸部
617b 腕部 618 摺動部材
618a 受け部 618b 進路切換部
618c 収容部 621 車輪
622 電源 623 電源スイッチ
631 車輪 632 回路基板
632a 制御部 633 受信部
634 スピーカ 731,732 スライドスイッチ
733~736 プッシュボタン S 弾性部材
SW 電源スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8