(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092862
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
(51)【国際特許分類】
C09K 9/02 20060101AFI20220616BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20220616BHJP
C09D 11/18 20060101ALI20220616BHJP
C09D 11/16 20140101ALI20220616BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20220616BHJP
C09D 5/06 20060101ALI20220616BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20220616BHJP
B43K 5/00 20060101ALI20220616BHJP
B43K 7/00 20060101ALI20220616BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20220616BHJP
B43K 29/02 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
C09K9/02 C
C09D11/322
C09D11/18
C09D11/16
C09D201/00
C09D5/06
C09D7/41
B43K5/00
B43K7/00
B43K8/02
B43K29/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020205821
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中島 明雄
【テーマコード(参考)】
2C350
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
2C350GA01
2C350GA03
2C350GA04
4J038BA021
4J038BA211
4J038CC021
4J038CE021
4J038CG001
4J038CK031
4J038DH001
4J038EA011
4J038JA03
4J038JB24
4J038JC17
4J038KA08
4J038KA21
4J038MA08
4J038MA09
4J038NA16
4J038PA18
4J038PB11
4J038PB13
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC08
4J038PC09
4J038PC10
4J039AB02
4J039AD03
4J039AD06
4J039AD09
4J039AD14
4J039AE04
4J039AE06
4J039BC03
4J039BC05
4J039BC33
4J039BC37
4J039BC47
4J039BC54
4J039BE01
4J039EA29
4J039GA21
4J039GA24
4J039GA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子受容性化合物として特定の化合物を用いることにより、可逆熱変色機能を発現させる可逆変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供する。
【解決手段】(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として式(1)の化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
(式(1)中、R
1~R
5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基等を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として式(1)で示される化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物。
【化1】
(式(1)中、R
1~R
5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
【請求項2】
前記式(1)の化合物が式(2)で表される化合物である請求項1記載の可逆熱変色性組成物。
【化2】
(式(2)中、R
3は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
【請求項3】
式(2)において、R3はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数1乃至12のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基のいずれかである請求項2記載の可逆熱変色性組成物。
【請求項4】
前記(イ)成分1質量部に対して、(ロ)成分0.1~100質量部、(ハ)成分5~200質量部の範囲で含有されてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性組成物。
【請求項5】
前記(イ)成分1質量部に対して、(ロ)成分0.1~50質量部、(ハ)成分5~100質量部の範囲で含有されてなる請求項4記載の可逆熱変色性組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
【請求項7】
請求項6記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる可逆熱変色性液状組成物。
【請求項8】
印刷用インキ、筆記具用インキ、塗布具用インキ、スタンプ用インキ、インクジェット用インキ、塗料、紫外線硬化型インキ、絵の具、化粧料、及び繊維用着色液からなる群から選ばれる請求項7記載の可逆熱変色性液状組成物。
【請求項9】
請求項6記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなる可逆熱変色性塗布用固形成形体。
【請求項10】
固形筆記体又は固形化粧料である請求項9記載の可逆熱変色性塗布用固形成形体。
【請求項11】
請求項6記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とを含んでなる可逆熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11記載の可逆熱変色性成形用樹脂組成物を成形してなる可逆熱変色性成形体。
【請求項13】
支持体と、請求項6記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる可逆熱変色性積層体。
【請求項14】
請求項8記載の筆記具用インキを収容してなる筆記具。
【請求項15】
前記筆記具がボールペンである請求項14記載の筆記具。
【請求項16】
前記筆記具がマーキングペンである請求項14記載の筆記具。
【請求項17】
前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる請求項14乃至16のいずれか一項に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。昇温により消色し、降温により発色する可逆熱変色性組成物及びそれを内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と、電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の相溶体からなる可逆熱変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関して幾つかの提案が開示されている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
前記可逆熱変色性組成物に含まれる電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-11242号公報
【特許文献2】特開2002-53853号公報
【特許文献3】特開2010-106052号公報
【特許文献4】特開2012-229294号公報
【特許文献5】特開2013-10810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この種の(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物に適用される(ロ)電子受容性化合物について検討した結果、特定の化合物を用いると可逆熱変色機能を発現できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物として式(1)で示される化合物と、(ハ)前記(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを含んでなる可逆熱変色性組成物を要件とする。
【化1】
(式(1)中、R
1~R
5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
更には、前記一般式(1)の化合物が一般式(2)で表される化合物であること、
【化2】
(式(2)中、R
3は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
式(2)において、R
3はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数1乃至12のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基のいずれかであること、前記(イ)成分1質量部に対して、(ロ)成分0.1~100質量部、(ハ)成分5~200質量部の範囲で含有されてなること、前記(イ)成分1質量部に対して、(ロ)成分0.1~50質量部、(ハ)成分5~100質量部の範囲で含有されてなること等を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる可逆熱変色性液状組成物、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなる可逆熱変色性塗布用固形成形体、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と成形用樹脂とを含んでなる、可逆熱変色性成形用樹脂組成物、支持体と、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる、可逆熱変色性積層体等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、電子受容性化合物として特定の化合物を用いることにより、電子供与性呈色性有機化合物との電子授受反応を満たし、更に(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とを混合することにより可逆熱変色機能を十分に発現させることのできる可逆変色性組成物及びそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分及び(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることができる(
図1参照)。
【0009】
また、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t
1以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t
4以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t
2~消色開始温度t
3の間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物を用いることもできる(
図2参照)。
【0010】
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は、色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
前記フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕-3′-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4′-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等を挙げることができる。
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0011】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
前記(ロ)成分としては式(1)で示される非フェノール系の電子受容性化合物(顕色剤)が用いられる。
【化3】
(式(1)中、R
1~R
5はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
式(1)のR
1~R
5におけるハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
【0012】
また、式(1)のR1~R5におけるアルキル基として、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられ、炭素数は通常C1~C12であり、好ましくはC1~C8であり、より好ましくはC1~C6である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル等の直鎖のアルキル基、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、イソペンチル、イソヘキシル、イソオクチル等の分岐鎖のアルキル基、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状のアルキル基等が挙げられる。
【0013】
式(1)のR1~R5におけるアルコキシ基として、直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基が挙げられ、炭素数は通常C1~C12であり、好ましくはC2~C8であり、より好ましくはC2~C6である。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキシロキシ、n-ヘプトキシ、n-オクチロキシ、n-ノニロキシ、n-デシロキシ等の直鎖のアルコキシ基、イソプロポキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、イソアミロキシ、t-アミロキシ、イソヘキシロキシ、t-ヘキシロキシ、イソヘプトキシ、t-ヘプトキシ、イソオクチロキシ、t-オクチロキシ、2-エチルヘキシロキシ、イソノニロキシ、イソデシロキシ等の分岐鎖アルコキシ基、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキシロキシ、シクロヘプトキシ等の環状アルコキシ基が挙げられる。
【0014】
式(1)のR1~R5におけるアリールオキシ基として、C6~C12アリールオキシ基が挙げられ、フェノキシ、ナフチロキシ、ビフェニロキシ等が挙げられる。
【0015】
式(1)のR1~R5におけるアルキルカルボニルオキシ基として、C1~C10の直鎖、分岐鎖または環状のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられ、メチルカルボニルオキシ、エチルカルボニルオキシ、n-プロピルカルボニルオキシ、n-ブチルカルボニルオキシ、n-ペンチルカルボニルオキシ、n-ヘキシルカルボニルオキシ、n-ヘプチルカルボニルオキシ、n-オクチルカルボニルオキシ、n-ノニルカルボニルオキシ、n-デシルカルボニルオキシ等の直鎖のアルキルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ、イソブチルカルボニルオキシ、sec-ブチルカルボニルオキシ、t-ブチルカルボニルオキシ、イソアミルカルボニルオキシ、t-アミルカルボニルオキシ、イソヘキシルカルボニルオキシ、t-ヘキシルカルボニルオキシ、イソヘプチルカルボニルオキシ、t-ヘプチルカルボニルオキシ、イソオクチルカルボニルオキシ、t-オクチルカルボニルオキシ、2-エチルヘキシルカルボニルオキシ、イソノニルカルボニルオキシ、イソデシルカルボニルオキシ等の分岐鎖のアルキルカルボニルオキシ基、シクロプロピルカルボニルオキシ、シクロブチルカルボニルオキシ、シクロペンチルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘプチルカルボニルオキシ等の環状のアルキルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0016】
式(1)のR1~R5におけるアリールカルボニルオキシ基は、C6~C12アリールカルボニルオキシ基が挙げられ、フェニルカルボニルオキシ、ナフチルカルボニルオキシ、ビフェニルカルボニルオキシ等が挙げられる。
【0017】
式(1)のR1~R5におけるアルキルカルボニルアミノ基として、C1~C10の直鎖、分岐鎖または環状のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n-プロピルカルボニルアミノ、n-ブチルカルボニルアミノ、n-ペンチルカルボニルアミノ、n-ヘキシルカルボニルアミノ、n-ヘプチルカルボニルアミノ、n-オクチルカルボニルアミノ、n-ノニルカルボニルアミノ、n-デシルカルボニルアミノ等の直鎖のアルキルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ、イソブチルカルボニルアミノ、sec-ブチルカルボニルアミノ、t-ブチルカルボニルアミノ、イソアミルカルボニルアミノ、t-アミルカルボニルアミノ、イソヘキシルカルボニルアミノ、t-ヘキシルカルボニルアミノ、イソヘプチルカルボニルアミノ、t-ヘプチルカルボニルアミノ、イソオクチルカルボニルアミノ、t-オクチルカルボニルアミノ、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ、イソノニルカルボニルアミノ、イソデシルカルボニルアミノ等の分岐鎖のアルキルカルボニルアミノ基、シクロプロピルカルボニルアミノ、シクロブチルカルボニルアミノ、シクロペンチルカルボニルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘプチルカルボニルアミノ等の環状のアルキルカルボニルアミノ基が挙げられる。
【0018】
式(1)のR1~R5におけるアリールカルボニルアミノ基としては、C6~C12アリールカルボニルアミノ基が挙げられ、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ、ビフェニルカルボニルアミノ等が挙げられる。
【0019】
式(1)のR1~R5におけるアルキルスルホニルアミノ基としては、C1~C10の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルスルホニルアミノ基が挙げられ、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n-プロピルスルホニルアミノ、n-ブチルスルホニルアミノ、n-ペンチルスルホニルアミノ、n-ヘキシルスルホニルアミノ、n-ヘプチルスルホニルアミノ、n-オクチルスルホニルアミノ、n-ノニルスルホニルアミノ、n-デシルスルホニルアミノといった直鎖のアルキルスルホニルアミノ基、イソプロピルスルホニルアミノ、イソブチルスルホニルアミノ、sec-ブチルスルホニルアミノ、t-ブチルスルホニルアミノ、イソアミルスルホニルアミノ、t-アミルスルホニルアミノ、イソヘキシルスルホニルアミノ、t-ヘキシルスルホニルアミノ、イソヘプチルスルホニルアミノ、t-ヘプチルスルホニルアミノ、イソオクチルスルホニルアミノ、t-オクチルスルホニルアミノ、2-エチルヘキシルスルホニルアミノ、イソノニルスルホニルアミノ、イソデシルスルホニルアミノ等の分岐鎖のアルキルスルホニルアミノ基、シクロプロピルスルホニルアミノ、シクロブチルスルホニルアミノ、シクロペンチルスルホニルアミノ、シクロヘキシルスルホニルアミノ、シクロヘプチルスルホニルアミノ等の環状のアルキルスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0020】
式(1)のR1~R5におけるアリールスルホニルアミノ基としては、C6~C12アリールスルホニルアミノ基が挙げられ、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ、ビフェニルスルホニルアミノ等が挙げられる。
【0021】
式(1)のR1~R5におけるモノアルキルアミノ基としては、C1~C10の直鎖、分岐鎖又は環状のモノアルキルアミノ基が挙げられ、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、n-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ、n-ヘキシルアミノ、n-ヘプチルアミノ、n-オクチルアミノ、n-ノニルアミノ、n-デシルアミノ等の直鎖のモノアルキルアミノ基、イソプロピルアミノ、イソブチルアミノ、sec-ブチルアミノ、t-ブチルアミノ、イソアミルアミノ、t-アミルアミノ、イソヘキシルアミノ、t-ヘキシルアミノ、イソヘプチルアミノ、t-ヘプチルアミノ、イソオクチルアミノ、t-オクチルアミノ、2-エチルヘキシルアミノ、イソノニルアミノ、イソデシルアミノ等の分岐鎖のモノアルキルアミノ基、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ、シクロヘプチルアミノ等の環状のモノアルキルアミノ基が挙げられる。
【0022】
式(1)のR1~R5におけるジアルキルアミノ基として、C1~C10の直鎖、分岐鎖又は環状のジアルキルアミノ基が挙げられ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジ-n-ブチルアミノ、ジ-n-ペンチルアミノ、ジ-n-ヘキシルアミノ、ジ-n-ヘプチルアミノ、ジ-n-オクチルアミノ、ジ-n-ノニルアミノ、ジ-n-デシルアミノ等の直鎖のジアルキルアミノ基、ジイソプロピルアミノ、ジイソブチルアミノ、ジ-sec-ブチルアミノ、ジ-t-ブチルアミノ、ジイソアミルアミノ、ジ-t-アミルアミノ、ジイソヘキシルアミノ、ジ-t-ヘキシルアミノ、ジイソヘプチルアミノ、ジ-t-ヘプチルアミノ、ジイソオクチルアミノ、ジ-t-オクチルアミノ、ジ-(2-エチルヘキシル)アミノ、ジイソノニルアミノ、ジイソデシルアミノ等の分岐鎖のジアルキルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ、ジシクロブチルアミノ、ジシクロペンチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジシクロヘプチルアミノ等の環状のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0023】
式(1)のR1~R5におけるアリールアミノ基として、C6~C12のモノアリールアミノ基又はジアリールアミノ基が挙げられ、フェニルアミノ(アニリノ)、ナフチルアミノ、ビフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジナフチルアミノ、ジ(ビフェニル)アミノ等が挙げられる。
【0024】
式(1)におけるR1~R5は、アルキル基または水素原子であり、より好ましくは、直鎖のC1~C12アルキル基または水素原子であり、更に好ましくは、直鎖のC1~C8アルキル基または水素原子である。
また、好ましくは、式(1)におけるR1、R2、R4、およびR5は、水素原子であり、R3は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数1乃至12のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基であり、更に好ましくは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数2乃至8のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基である。
【0025】
式(1)中のジフェニル尿素構造の一方のベンゼン環に結合する部分骨格の置換位置としては、ベンゼン環上のアミノカルボニル基に対してオルト位、メタ位、またはパラ位が挙げられ、オルト位またはメタ位が好ましく、メタ位がより好ましい。
【0026】
式(1)の化合物のうち、式(2)で表される化合物が好適に用いられる。
【化4】
(式(2)中、R
3は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基を表す。)
更に、式(2)において、R
3はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数1乃至12のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基のいずれかであることが好ましく、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、炭素数1乃至8のアルキル基、炭素数2乃至8のアルコキシ基、炭素数6乃至12のアリールオキシ基である。
【0027】
なお、前記(ロ)成分の他、公知の電子受容性化合物をさらに含んでなるものであってもよい。
前記電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、カルボン酸及びその誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、無機酸類等が挙げられる。カルボン酸及びその誘導体としては、芳香族カルボン酸及びその誘導体、又は、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸及びその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、ハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、無機塩類等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等を例示できる。
【0028】
以下に公知の電子受容性化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0029】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0030】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0031】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0032】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0033】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
α,α′,4α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕、
〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0034】
カルボン酸及びその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0035】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0036】
(イ)成分及び(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
本発明の可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0037】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0038】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0039】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル化合物も有効である。
前記エステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0040】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
【0041】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
前記脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0042】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0043】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0044】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0045】
また、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
【化5】
〔式中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、X
1及びX
2のいずれか一方は-(CH
2)
nOCOR
2又は-(CH
2)
nCOOR
2、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、R
2は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、r及びpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す。〕
式(3)で示される化合物のうち、R
1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにR
1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
なお、式(3)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(4)で示される化合物である。
【化6】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
式(4)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0046】
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
【化7】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、X及びYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(5)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
【0047】
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化8】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(6)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0048】
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
【化9】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(7)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0049】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
式(8)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0050】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0051】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基又は炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子又はメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0052】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化13】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0又は1を示す。)
式(11)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0053】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化14】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0054】
さらに、(ハ)成分として下記式(13)で示される化合物であってもよい。
【化15】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基又は炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
式(13)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0055】
さらに、(ハ)成分として下記式(14)で示される化合物であってもよい。
【化16】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
式(14)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0056】
本発明の可逆熱変色性組成物は、前記(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0057】
さらに、可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合しても良い。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、及び(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で配合される。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0058】
光安定剤のうち紫外吸収収剤としては、例えば、
2,4-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2,2′-ジヒドロキシ-4,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,2′,4,4′-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、
2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、
ビス-(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)-メタン、
2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン、
4-ドデシルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-オクタデシルオキシベンゾフェノン、
2,2′-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、
2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾフェノン
等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
サリチル酸フェニル、
サリチル酸4-tert-ブチルフェニル、
サリチル酸4-オクチルフェニル、
2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-4-ヒドロキシベンゾエート、
1-ヒドロキシベンゾエート、
3-tert-ブチル-1-ヒドロキシベンゾエート、
1-ヒドロキシ-3-tert-オクチルベンゾエート、
レゾルシノールモノベンゾエート
等のサリチル酸系紫外線吸収剤、
2-エチル-2-シアノ-3,3′-ジフェニルアクリレート、
2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3′-ジフェニルアクリレート、
2-エチルヘキシル-2-シアノ-3-フェニルシンナート
等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤、
2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-〔3,5-ビス(a,a-ジメチルベンジル)-2-ヒドロキシフェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
β-〔3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕プロピオン酸-ポリエチレングリコール300エステル、
2-(3-ドデシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
ビス{β-〔3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕}プロピオン酸-ポリエチレングリコール300エステル、
2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル-5-プロピルオクチレート)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-〔2-ヒドロキシフェニル-3,5-ジ-(1,1′-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、
2-(3-tert-ブチル-5-オクチルオキシカルボニルエチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-5-テトラオクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2-ヒドロキシ-4-オクトオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-〔2′-ヒドロキシ-3′-(3″,4″,5″,6″-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5′-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、
2-(5-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、
エタンジアミド-N-(2-エトキシフェニル)-N′-(4-イソドデシルフェニル)、
2,2,4,4-テトラメチル-20-(β-ラウリル-オキシカルボニル)-エチル-7-オキサ-3,20-ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸-21-オン
等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ペントキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジフェニル-6-〔2-ヒドロキシ-4-(2-ブトキシエトキシ)フェニル〕-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ペントキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ジ-p-トレイル-6-〔2-ヒドロキシ-4-(2-ヘキシルオキシエトキシ)フェニル〕-1,3,5-トリアジン、
2-{4-〔(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-{4-〔(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ〕-2-ヒドロキシフェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2-[4-{〔2-ヒドロキシ-3-(2′-エチル)ヘキシル〕オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、
2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチルオキシフェニル)-6-〔2,4-ビス(ブチルオキシフェニル)〕-1,3,5-トリアジン、
2-{2-ヒドロキシ-4-〔(1-オクチルオキシカルボニルエトキシ)フェニル〕}-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン
等のトリアジン系紫外線吸収剤等を例示できる。
【0059】
酸化防止剤(老化防止剤)としては、例えば、
コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、
ポリ{〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕}ヘキサメチレン、
2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタペチル-4-ピペリジル)、
N,N′-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス〔N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタペチル-4-ピペリジル)アミノ〕-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、
ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバシン酸)、
4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]デカン-2,4-ジオン
等のヒンダードアミン系酸化防止剤、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、
2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、
オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
2,2-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
4,4-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
2,2-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-〔β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル}、
2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、
2,2-エチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、
ビス〔3,3-ビス-(4′-ヒドロキシ-3′-tert-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕-グリコールエステル、
1,3,5-トリス(3′,5′-ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-[1H,3H,5H]-トリオン、
トコフェノール、
1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、
トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
1,6-ヘキサジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
2,2-チオエチレンビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
N,N′-ヘキサメチレンビス(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、
トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
2,2,4-トリメチル-1,2-ハイドロキノン、
スチレートフェノール、
2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、
ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート
等のフェノール系酸化防止剤、
ジラウリル-3,3′-チオジプロピオネート、
ジミリスチル-3,3′-チオジプロピオネート、
ジステアリル-3,3′-チオジプロピオネート、
ステアリルチオプロピルアミド
等の硫黄系酸化防止剤、
トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、
ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスファネート-ジエチルエステル、
トリフェニルホスファイト、
ジフェニルイソデシルホスファイト、
フェニルイソデシルホスファイト、
4,4′-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、
オクタデシルホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、
9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、
10-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、
10-デシロキシ-9,10-ジヒドロキシ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、
2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、
2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、
オクチル化ジフェニルアミン
等のリン酸系酸化防止剤
等を例示できる。
【0060】
一重項酸素消光剤としては、カロチン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等が挙げられ、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、β-カロチン、1,3-シクロヘキサジエン、2-ジエチルアミノメチルフラン、2-フェニルアミノメチルフラン、9-ジエチルアミノメチルアントラセン、5-ジエチルアミノメチル-6-フェニル-3,4-ジヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-O-エチルホスホナート、ニッケル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-O-ブチルホスホナート、ニッケル〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕n-ブチルアミン、ニッケル〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕2-エチルヘキシルアミン、ニッケルビス〔2,2′-チオビス(4-tert-オクチルフェノラート)〕、ニッケルビス〔2,2′-スルホンビス(4-オクチルフェノラート)〕、ニッケルビス(2-ヒドロキシ-5-メトキシフェニル-N-n-ブチルアルドイミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビス(ジチオビアセチル)等を例示できる。
【0061】
スーパーオキシドアニオン消光剤としては、例えば、スーパーオキシドジスムターゼとコバルト、及びニッケルの錯体等を例示できる。
【0062】
オゾン消光剤としては、例えば、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N-フェニル-β-ナフチルアミン、α-トコフェロール、4,4′-メチレン-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、P,P′-ジアミノジフェニルメタン、2,2′-メチレン-ビス(6-tert-ブチル-p-クレゾール)、N,N′-ジフェニル-P-フェニレンジアミン、N,N′-ジフェニルエチレンジアミン、N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン等を例示できる。
【0063】
本発明の可逆熱変色性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」又は「顔料」と表すことがある)を形成したり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂中に分散させて可逆熱変色性樹脂粒子(以下、「樹脂粒子」と表すことがある)を形成することもできる。
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料とすることが好ましい。これは、マイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
なお、マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、内包物:壁膜の質量比が7:1~1:1であることが好ましく、内包物と壁膜の質量比が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度及び鮮明性の低下が防止される。より好ましくは、内包物:壁膜の質量比が6:1~1:1である。
【0064】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.01~50μm、より好ましくは0.1~30μm、さらに好ましくは0.5~20μmの範囲である。マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が50μmを超えると、インキ、塗料、或いは樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。一方、マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子の平均粒子径が0.01μm未満では、高濃度の発色性を示し難くなる。
なお、平均粒子径の測定は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア〔(株)マウンテック製、製品名:マックビュー〕にて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター(株)製、製品名:Multisizer 4e〕にて、コールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、前記ソフトウェア又はコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にして、キャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製、製品名:LA-300〕にて、体積基準の粒子径及び平均粒子径を測定しても良い。
【0065】
可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤は、水及び/又は有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させてインキ組成物(以下、「インキ」と表すことがある)とすることで、スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷用インキ/刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料/インクジェット用インキ/紫外線硬化型インキ/マーキングペン用、ボールペン用、万年筆用、筆ペン用等の筆記具用インキ/塗布具用インキ/スタンプ用インキ/絵の具/化粧料/繊維用着色液等の可逆熱変色性液状組成物として利用できる。
【0066】
可逆熱変色性液状組成物には各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
【0067】
筆記具用インキに用いられる筆記具用ビヒクルとしては、有機溶剤を含む油性ビヒクル、或いは、水と、必要により有機溶剤を含む水性ビヒクルが挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
【0068】
筆記具用インキとしては、ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、ビヒクル中に高分子凝集剤を含み、マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキが挙げられる。
【0069】
ビヒクル中に剪断減粘性付与剤を含むインキ(剪断減粘性インキ)は、マイクロカプセル顔料の凝集や沈降を抑制できると共に、筆跡の滲みを抑制できるため、良好な筆跡を形成することができる。
さらに、剪断減粘性インキをボールペン形態の筆記具に収容する場合、筆記具の不使用時における、ボールとチップの間隙からのインキ漏れを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
【0070】
剪断減粘性付与剤としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万~800万)、アルカガム、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノニンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類、N-アルキル-2-ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物等を例示できる。
【0071】
ビヒクル中に高分子凝集剤を含むインキ(凝集性インキ)は、マイクロカプセル顔料が高分子凝集剤を介して緩やかな凝集体を形成し、マイクロカプセル顔料同士が接触して凝集することが抑制されるため、顔料の分散性を向上させることができる。
【0072】
高分子凝集剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類等が挙げられる。
水溶性多糖類としては、例えば、トラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリン、水溶性セルロース誘導体等を例示できる。
さらに、水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を例示できる。
前記高分子凝集剤の中でも、分散性に優れることから、ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
【0073】
高分子凝集剤として具体的には、住友精化(株)製、製品名:HEC Aグレード、同Sグレード、同CFグレード、ダイセルファイケム(株)製、製品名:HECダイセル SPタイプ、同SEタイプ、同EEタイプ、ダウケミカル日本(株)製、製品名:CELLOSIZE WPタイプ、同QPタイプ、同EPタイプ、三晶(株)製、製品名:SANHEC等を例示できる。
高分子凝集剤はインキ全量に対して、好ましくは0.1~1質量%、より好ましくは0.3~0.5質量%の範囲で配合される。前記範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料が緩やかな凝集体を形成し、顔料の分散性を向上させる効果を十分に発現させることができる。
【0074】
さらに、インキには、分散剤を配合することによりマイクロカプセル顔料の分散性を高めることができる。
また、高分子凝集剤と分散剤を併用することもでき、両者を併用する場合、マイクロカプセル顔料の分散性を向上させることができると共に、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性をよりいっそう向上させることができる。
【0075】
分散剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン-マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース及びその誘導体、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂、アクリル系高分子、PO・EO付加物、ポリエステルのアミン系オリゴマー等を例示できる。
前記分散剤の中でも、マイクロカプセル顔料の分散性に優れることから、アクリル系高分子分散剤が好ましく、カルボキシル基を有するアクリル系高分子分散剤がより好ましく、側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤がさらに好ましい。
分散剤として特に好ましくは、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子分散剤であり、具体的には、日本ルーブリゾール(株)製、製品名:ソルスパース43000を例示できる。
分散剤は、インキ全量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.1~1.5質量%の範囲で配合される。分散剤の配合割合が2質量%を超えると、外部から振動等が加わった際にマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上し易くなる。一方、分散剤の配合割合が0.01質量%未満では、分散性向上の効果が発現され難くなる。
【0076】
また、高分子凝集剤と共に、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤と有機窒素硫黄化合物を併用することにより、高分子凝集剤を介して形成されるマイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性を向上させることができる。
有機窒素硫黄化合物は、マイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体を、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤によって分散させる分散性をより向上させるため、インキを筆記具に収容して実用に供する際、振動によるマイクロカプセル顔料の沈降をよりいっそう抑制することができる。
【0077】
有機窒素硫黄化合物としては、チアゾール系化合物、イソチアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイソチアゾール系化合物から選ばれる化合物が挙げられ、例えば、2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-(チオシアネートメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール(TCMTB)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等から選ばれる一種又は二種以上の化合物を例示できる。
前記有機窒素硫黄化合物の中でも、2-(4-チアゾイル)-ベンズイミダゾール(TBZ)、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンから選ばれる一種又は二種以上の化合物が好ましい。
有機窒素硫黄化合物として具体的には、(株)パーマケム・アジア製、製品名:トップサイド88、同133、同170、同220、同288、同300、同400、同500、同600、同700Z、同800、同950、北興産業(株)製、製品名:ホクスターHP、同E50A、ホクサイドP200、同6500、同7400、同MC、同369、同R-150等を例示できる。
なお、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤:有機窒素硫黄化合物の質量比は、好ましくは1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:5である。前記範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料の緩やかな凝集体の分散性、及び、振動によるマイクロカプセル顔料の沈降を抑制する効果を十分に発現させることができる。
【0078】
さらに、インキ中には、水溶性樹脂を配合することにより筆跡の紙面への固着性や粘性を付与できると共に、側鎖にカルボキシル基を有する櫛型構造のアクリル系高分子分散剤と有機窒素硫黄化合物を含むインキ中での、マイクロカプセル顔料の分散性を高める機能をいっそう向上させることができる。
【0079】
水溶性樹脂としては、例えば、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を例示できる。
前記水溶性樹脂の中でも、ポリビニルアルコールが好ましく、さらに、インキが酸性域でも可溶性に富むことから、けん化度が70~89モル%の部分けん化度型ポリビニルアルコールがより好ましい。
水溶性樹脂は、インキ全量に対して、好ましくは0.3~3.0質量%、より好ましくは0.5~1.5質量%の範囲で配合される。
【0080】
さらに、インキ中には、比重調整剤を配合することによりビヒクルの粘度が低い場合に、インキが外部から振動等の刺激を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上して、局在化することを抑制することができる。
【0081】
マイクロカプセル顔料の比重は、マイクロカプセル顔料の粒子径、マイクロカプセルに内包される成分やその含有量、カプセル壁膜の成分や膜厚、及びマイクロカプセル顔料の着色状態、温度によって左右されるが、その比重は、マイクロカプセル顔料が完全着色状態であり、20℃の環境下で水を基準物質とした場合、好ましくは1.05~1.20、より好ましくは1.10~1.20、さらに好ましくは1.12~1.15の範囲である。また、ヒステリシス幅(ΔH)が大きいマイクロカプセル顔料は、分子内に芳香環を2つ以上有する(ハ)成分を用いることが多く、前記のような大きい比重を有しているが、このような顔料は、比重調整剤を配合したインキ中において、ビヒクルの粘度が低い場合でも、輸送等によって外部から振動などの影響を受けた際にインキ中でマイクロカプセル顔料が沈降又は浮上することが抑制される。
なお、マイクロカプセル顔料の比重は、下記の方法により測定することができる。
【0082】
(マイクロカプセル顔料の比重測定方法)
1.スクリュー管瓶にグリセリン水溶液30mlと完全発色状態のマイクロカプセル顔料1gを投入、混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得る。
2.マイクロカプセル顔料分散液30mlを20℃に調温し、回転数1000rpm、30秒間の遠心条件で遠心分離機にかける。なお、遠心分離機としては、冷却・卓上遠心機〔(株)コクサン製、製品名:H103N〕を用いることができる。
3.マイクロカプセル顔料分散液を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半がビーカー底部に沈殿している場合、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を上げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
マイクロカプセル顔料の大半が液面で浮遊した状態を確認した場合は、このときのグリセリン水溶液よりもグリセリン濃度を下げた水溶液を用いて、再度1~2の操作を行い分散液の状態を観察する。
前記一連の操作は、マイクロカプセル顔料の大半が液面に浮上している、又は沈殿している状態ではなく、グリセリン水溶液の液面やスクリュー管瓶底部付近以外の部分が均一に着色している状態が目視で確認されるまで繰り返す。この状態が観察された際のグリセリン水溶液の比重を測定し、マイクロカプセル顔料の比重とする。なお、グリセリン水溶液の比重は、20℃に調温した水溶液を、JIS K0061 7.1項記載の浮ひょう法により測定することができる。
【0083】
顔料の沈降、浮上安定性は、ビヒクルと顔料との比重差が極小のときに最大となり、前記比重調整剤は、ビヒクルの比重をマイクロカプセル顔料の比重に近づけるものである。ビヒクルの比重は、ビヒクル中に溶解させた水溶性物質の比重とその添加量に左右されるため、ビヒクル中に比重の大きい比重調整剤をより多く添加し、溶解させると、ビヒクルの比重をより大きくすることができる。
【0084】
比重調整剤としては、ビヒクルに溶解し、ビヒクルの比重がマイクロカプセル顔料の比重に近づくように調整できるものが挙げられ、例えば、原子量90~185の範囲に含まれる6族元素の酸素酸及びその塩を例示できる。
【0085】
前記酸素酸及びその塩は、遷移金属元素の酸素酸及びその塩からなる群から選択されるものであり、その酸素酸イオンは金属原子などに酸素原子が通常4若しくは6配位した四面体又は八面体を形成してなるものといわれている。
四面体又は八面体ユニットとしては、単独のものでもよいし、それらが稜、頂点を介して結合した構造を持つポリ酸及びその塩であるポリ酸塩であってもよい。ポリ酸は金属元素の酸素酸が縮合生成した多重酸であるが、ただ一種類の金属によって構成され、縮合する陰イオンが全て同じ型のポリ酸をイソポリ酸といい、二種類以上の陰イオンが縮合したポリ酸をヘテロポリ酸という。そして、それぞれの塩をイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩という。上記ポリ酸にはイソポリ酸、ヘテロポリ酸等が、上記ポリ酸塩にはイソポリ酸塩、ヘテロポリ酸塩等が含まれる。
【0086】
比重調整剤としては、単独の酸素酸及びその塩、イソポリ酸及びその塩、ヘテロポリ酸及びその塩等が挙げられる。
単独の酸素酸としては、例えば、モリブデン酸、タングステン酸等を例示でき、さらに単独の酸素酸の塩としては、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸リチウム、タングステン酸マグネシウム等を例示できる。
イソポリ酸としては、例えば、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸、メタタングステン酸、パラタングステン酸、イソタングステン酸等を例示でき、さらに、イソポリ酸塩としては、メタモリブデン酸ナトリウム、メタモリブデン酸カリウム、メタモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸ナトリウム、パラモリブデン酸カリウム、パラモリブデン酸アンモニウム、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム等を例示できる。
ヘテロポリ酸としては、例えば、モリブドリン酸、モリブドケイ酸、タングストリン酸、タングストケイ酸等を例示でき、さらに、ヘテロポリ酸塩としては、モリブドリン酸ナトリウム、モリブドケイ酸ナトリウム、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウム等を例示できる。
前記酸素酸及びその塩は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0087】
前記比重調整剤の中でも、メタタングステン酸、パラタングステン酸、メタタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸カリウム、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸バリウム、パラタングステン酸ナトリウム、イソタングステン酸ナトリウム、タングストリン酸、タングストケイ酸、タングストリン酸ナトリウム、タングストケイ酸ナトリウムが好ましく、イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、パラタングステン酸ナトリウムがより好ましい。
前記イソタングステン酸ナトリウム、メタタングステン酸ナトリウム、及びパラタングステン酸ナトリウムは安全性が高いだけでなくそれ自体が高比重のため、添加量に応じて高比重の液体を調整することが容易であり、好適である。
【0088】
比重調整剤は、インキ全量に対して、好ましくは2~20質量%、より好ましくは5~15質量%の範囲で配合される。比重調整剤の配合割合が20質量%を超えると、マイクロカプセル顔料が凝集し易くなる。一方、比重調整剤の配合割合が2質量%未満では、ビヒクルの比重調整効果が乏しくなる。
また、マイクロカプセル顔料:比重調整剤の質量比は、好ましくは0.05~4.0、より好ましくは0.075~2.0、さらに好ましくは0.1~1.5である。
【0089】
筆記具用ビヒクルが水性ビヒクルである場合に、ビヒクルには、少なくとも水が含まれるが、水はインキ全量に対して、好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%の範囲で配合される。
【0090】
さらに、インキ中には、水溶性有機溶剤を配合することによりインキの水分蒸発を抑制し、ビヒクルの比重変動を防いでマイクロカプセル顔料の良好な分散安定性を維持すると共に、高分子凝集剤、又は、高分子凝集剤と分散剤とが形成する緩やかな凝集体の構造を安定化することができる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等を例示できる。
インキに配合するマイクロカプセル顔料のヒステリシス幅(ΔH)が大きい場合、マイクロカプセル顔料の比重は1より大きく、ビヒクルの比重を調整する際に、水より比重が大きい水溶性有機溶剤を用いると比重の調整を容易とし易いことから、水溶性有機溶剤としては、比重が1.1を超えるグリセリン等が好ましい。
【0091】
水溶性有機溶剤はインキ全量に対して、好ましくは1~40質量%、より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が40質量%を超えると、比重調整剤の溶解安定性が低下し易くなる。一方、水溶性有機溶剤の配合割合が1質量%未満では、水分蒸発抑制効果が乏しくなる。
【0092】
また、筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、インキ中にオレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加して、ボール受け座の摩耗を防止することが好ましい。
【0093】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤或いは防黴剤等の各種添加剤を配合することもできる。
pH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等を例示できる。
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等を例示できる。
防腐剤或いは防黴剤としては、例えば、石炭酸、1,2-ベンズチアゾリン-3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等を例示できる。
その他の添加剤としては、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0094】
前記インキ中には、インキ全量に対して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が前記範囲にあることにより、所望の発色濃度が得られると共にインキ流出性の低下を防止することができる。
【0095】
本発明によるインキ組成物は、従来知られている任意の方法により製造することができる。具体的には、上記した各成分を必要量配合し、プロペラ攪拌、ホモディスパー、又はホモミキサー等の各種撹拌機やビーズミル等の各種分散機などにて混合し、製造することができる。
【0096】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数3.84sec-1の条件で測定した場合、マイクロカプセル顔料の沈降又は凝集を抑制できることから、好ましくは1~2000mPa・s、より好ましくは3~1500mPa・s、さらに好ましくは500~1000mPa・sの範囲である。また、20℃の環境下において、回転数384sec-1の条件で測定した場合、ボールペンのペン先からのインキ吐出性を良好とすることができることから、粘度は、好ましくは1~200mPa・s、より好ましくは10~100mPa・s、さらに好ましくは20~50mPa・sの範囲である。
粘度が前記範囲にあることにより、マイクロカプセル顔料の分散安定性や、ボールペンの機構内におけるインキの易流動性を高いレベルで維持することができる。
なお、粘度は、デジタル粘度計〔ブルックフィールド社製、製品名:DV-II、コーン型ローター(CPE-42)〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、剪断速度3.84sec-1(1rpm)、又は、剪断速度384sec-1(100rpm)の条件で測定することができる。
【0097】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは20~50mN/m、より好ましくは25~45mN/mの範囲である。表面張力が前記範囲にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、白金プレートを用いて垂直平板法により測定することができる。
【0098】
本発明による筆記具用インキがボールペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~10、より好ましくは4~9の範囲である。pHが前記範囲にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S型〕にて、インキを20℃の環境下に置いて測定することができる。
【0099】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その粘度は、20℃の環境下において、回転数6rpmの条件で測定した場合、好ましくは3~25mPa・s、より好ましくは4~20mPa・s、さらに好ましくは5~15mPa・sの範囲である。また、回転数12rpmの条件で測定した場合、好ましくは2~20mPa・s、より好ましくは3~15mPa・s、さらに好ましくは4~15mPa・sの範囲である。回転数30rpmの条件で測定した場合、好ましくは1~20mPa・s、より好ましくは2~15mPa・s、さらに好ましくは3~10mPa・sの範囲である。粘度が前記範囲にあることにより、インキの流動性とマイクロカプセル顔料の分散安定性を向上させることができる。
なお、粘度は、BL型回転粘度計〔東機産業(株)製、製品名:TVB-M型粘度計、B型ローター〕にて、インキを20℃の環境下に置いて、測定することができる。
【0100】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、その表面張力は、20℃の環境下において、好ましくは25~50mN/m、より好ましくは25~45mN、さらに好ましくは35~45mN/mの範囲である。表面張力が前記範囲内にあることにより、筆記線の滲みや、紙面への裏抜けを抑制することが容易であると共に、インキの紙面に対する濡れ性を向上させることができる。
なお、表面張力は、表面張力計測器〔協和界面科学(株)製、製品名:DY-300〕にて、インキを20℃環境下に置いて、ガラスプレートを用いて垂直平板法により測定することができる。
【0101】
本発明による筆記具用インキがマーキングペンに用いられる場合、そのpHは、好ましくは3~8、より好ましくは4~7、さらに好ましくは5~6の範囲である。pHが前記範囲にあることにより、インキ中に含有されるマイクロカプセル顔料の低温域での凝集又は沈降を抑制することができる。
なお、pHは、pHメーター〔東亜ディーケーケー(株)製、製品名:IM-40S型〕にて、インキを20℃の環境下に置いて測定することができる。
【0102】
本発明による筆記具用インキを収容した筆記具は、筆記具用インキ全量中に、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が5~40質量%の範囲で配合されてなり、20℃において、旧JIS P3201に準拠する筆記用紙Aに50m筆記した際の筆記具のインキ消費量が60~280mgであり、且つ、発色状態の筆跡の濃度値を、消色状態の筆跡の濃度値で除した値Cが20以上であることが好ましい。
【0103】
マイクロカプセル顔料の配合割合が40質量%を超えると、インキ流出性が低下し易く、また、紙面上のマイクロカプセル顔料の堆積量が過度となり、発色状態の筆跡を消去又は変色させるためにより多くの熱が必要となるため、筆跡を擦過して消去又は変色させる際に手への負担を伴い易くなる。一方、マイクロカプセル顔料の配合割合が5質量%未満では、所望の発色濃度が得られ難くなる。
【0104】
前記筆記具用インキを収容するボールペン、マーキングペン等の筆記具について説明する。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に剪断減粘性インキを充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したボールペンチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
ボールペンチップとしては、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を例示できる。
なお、ボールペンチップ及びボールの材質としては特に限定されるものではなく、例えば、超硬合金(超硬)、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等を例示できる。
ボールの直径は、好ましくは0.3~2.0mm、より好ましくは0.3~1.5mm、さらに好ましくは0.3~1.0mm径程度のものが適用できる。
一般的に、直径の小さいボールを備えたボールペンはインキ消費量が少なく、筆跡濃度が低くなり易く、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキを収容したボールペンでは、高い筆跡濃度が得られ難い傾向にある。さらに、ボール表面のインキ量が少ないため、ボール表面が乾燥(ドライアップ)して、カスレなどの筆跡不良を生じ易く、特に、筆跡濃度を向上させる目的でインキ中のマイクロカプセル顔料の配合割合を増やしインキ中の固形分率を高くすると、耐ドライアップ性能が低下し易い傾向にある。しかしながら、本発明による筆記具用インキは、直径が0.3~0.5mmであるボールを備えたボールペンに用いた場合に、顔料の固形分率を増やすことなく筆跡濃度を高くすることができ、耐ドライアップ性能を損なうことなく筆跡濃度を向上させると共に、発色状態と消色状態のコントラストに優れた筆記具とすることができる。
また、一般的に、直径の大きいボールを備えたボールペンはインキ消費量が多く、筆跡濃度は高くなり易く、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有する筆記具用インキを収容したボールペンでは、高い筆跡濃度が得られるものの、筆跡を消色させた際の残色が視認され易い傾向にある。しかしながら、本発明による筆記具用インキは、直径が0.5~1.0mmであるボールを備えたボールペンに用いた場合に、筆跡の消色状態における残色を視認され難くすることができ、発色状態と消色状態のコントラストに優れた筆記具とすることができる。
【0105】
インキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体、金属製管状体が用いられる。
インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介してインキ収容管とチップを連結してもよい。
なお、インキ収容管はレフィルの形態として、レフィルを樹脂製、金属製等の軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0106】
また、インキを出没式のボールペンに収容する場合、出没式ボールペンの構造、形状は特に限定されるものではなく、ボールペンレフィルに設けられた筆記先端部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されており、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造であれば全て用いることができる。
出没機構としては、例えば、(1)軸筒の後部側壁より前後方向に移動可能な操作部(クリップ)を径方向外方に突設させ、操作部を前方にスライド操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドスライド式の出没機構、(2)軸筒後端に設けた操作部を前方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる後端ノック式の出没機構、(3)軸筒側壁外面より突出する操作部を径方向内方に押圧することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させるサイドノック式の出没機構、(4)軸筒後部の操作部を回転操作することにより軸筒前端開口部から筆記先端部を出没させる回転式の出没機構等を例示できる。
出没式ボールペンは軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部を軸筒前端開口部から出没させる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
【0107】
インキ収容管に充填したインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。
インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなり、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等を例示できる。
インキ逆流防止体組成物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0108】
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等を例示できる。
さらに、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体組成物を併用して用いてもよい。
【0109】
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された繊維加工体からなるマーキングペンチップを直接或いは中継部材を介して軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体に凝集性インキを含浸させたマーキングペンや、チップの押圧により開放する弁体を介してチップとインキ収容管とを配置し、該インキ収容管内にインキを直接収容させたマーキングペン等を例示できる。
【0110】
マーキングペンチップとしては、例えば、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、フェルト体等の従来より汎用の気孔率が概ね30~70%の範囲から選ばれる連通気孔の多孔質部材を例示でき、一端を砲弾形状、長方形状、チゼル形状等の目的に応じた形状に加工して実用に供される。
【0111】
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体やフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
【0112】
また、弁体は、従来より汎用のポンピング式形態が使用できるが、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0113】
さらに、前記ボールペンやマーキングペンの形態は前述したものに限らず、相異なる形態のチップを装着させたり、相異なる色のインキを導出させるペン先を装着させた複合式筆記具(両頭式やペン先操出式等)であってもよい。
【0114】
前記筆記具用インキを収容した筆記具を用いて、被筆記面に筆記して得られる筆跡は、指による擦過や、加熱具又は冷却具により変色させることができる。
加熱具としては、PTC素子等の抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等の媒体を充填した加熱変色具、スチームやレーザー光を用いた加熱変色具、ヘアドライヤーの適用等が挙げられる。簡便な方法により変色させることができることから、好ましくは摩擦部材が用いられる。
冷却具としては、ペルチエ素子を利用した通電冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、畜冷剤、冷蔵庫や冷凍庫の適用等が挙げられる。
【0115】
摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
なお、鉛筆による筆跡を消去するための一般的な消しゴムを使用して、筆跡を擦過してもよいが、擦過時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前記摩擦部材が好適に用いられる。
摩擦部材の材質としては、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等を例示できる。
【0116】
また、筆記具と、筆記具とは別体の任意形状の摩擦部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、前記摩擦部材を筆記具に設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。
キャップを備える筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式の筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
【0117】
また、前記インキは、スタンプ用インキとして用いることもできる。
スタンプ用インキの媒体としては水が用いられるが、必要により水溶性有機溶剤を用いることもできる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類及びそれらの低級アルキルエーテル、2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、尿素等を例示できる。
スタンプ用インキに可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いる場合には、前記水溶性有機溶剤の中でも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0118】
水溶性有機溶剤は、インキ全量に対して、好ましくは30~60質量%、より好ましくは30~55質量%、さらに好ましくは40~50質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が前記範囲内にあることにより、インキが乾燥したり、吸湿したりすることがなく、鮮明な印像が得られ易くなる。
水溶性有機溶剤の配合割合が60質量%を超えると、吸湿性が高くなり易く、印像が滲んだり、斑が出たりするため、鮮明な印像が得られ難くなる。一方、水溶性有機溶剤の配合割合が30質量%未満では、印面が乾燥し、印像が掠れるなど、鮮明な印像が得られ難くなる。
【0119】
また、前記媒体として水溶性有機溶剤の他に、有機溶剤を用いることもできる。
有機溶剤としては、例えば、ヒマシ油脂肪酸アルキルエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコール系溶剤、エチルホルメート、アミルホルメート、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、アミルアセテート、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート、ブチル-3-メトキシプロピオネート、メチルラクテート、エチルラクテート、エチル-2-ヒドロキシブチレート、ブチルブチレート、ブチルステアレート、エチルカプレート、ジエチルオキサレート、エチルピルベート、エチルベンゾエート等のエステル系溶剤、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、n-ドデカン、ジイソブチレン、ジペンテン、ヘキセン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、アミルクロライド、ブチルクロライド等のハロゲン化炭化水素系溶剤、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルペンタノール等のアルコール系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メトキシメチルペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸等のプロピオン酸系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ベンゾニトリル等の高極性溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を例示できる。
【0120】
さらに、インキには、増粘剤を配合することもできる。
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万~800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類等を例示できる。
前記増粘剤の中でも、アルカリ可溶型アクリルエマルジョンが好ましい。
増粘剤としてアルカリ可溶型アクリルエマルジョンを用いる場合、インキのpHは、好ましくは6~11、より好ましくは7~11、さらに好ましくは7~10に調整される。
【0121】
さらに、インキ中には、バインダー樹脂を添加することにより印像の固着性を高めたり、インキの粘度を調整できる。
バインダー樹脂としては、樹脂エマルジョン、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。
樹脂エマルジョンとしては、例えば、ポリアクリル酸エステル、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、α-オレフィン-マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の水分散体等を例示できる。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スチレン-マレイン酸共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体等を例示できる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を例示できる。
前記樹脂エマルジョンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0122】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤或いは防黴剤等の各種添加剤を配合することもできる。
pH調整剤としては、例えば、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等を例示できる。
防腐剤或いは防黴剤としては、例えば、石炭酸、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等を例示できる。
その他の添加剤としては、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0123】
また、必要に応じてアクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
【0124】
また、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物及びトレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を配合することもできる。
【0125】
前記インキ中には、インキ全量に対して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が40質量%を超えると、インキ中でのマイクロカプセル顔料の分散安定性が低下し易くなる。一方、マイクロカプセル顔料の配合割合が10質量%未満では、発色濃度が低下し易くなる。
【0126】
前記スタンプ用インキは、スタンプパッド用インキ、連続気孔を有する印材を備えたスタンプ用インキとして用いることができる。
例えば、インキをスタンプパッドに含浸させて、接触させるスタンプの印面にインキを供給するスタンプパッドを得ることができる。また、インキを、連続気孔を有する印材を備えたスタンプの印材に含浸させることによりスタンプを得ることもできる。
【0127】
連続気孔を有する印材を備えたスタンプは、印材である連続気孔を有するゴム状弾性体にインキが含浸されてなり、これを被押印面に押しつけると連続気孔の開口部からインキが被押印面に移り、スタンプの表面形状が転写される。転写を望まない箇所は凹部となっているか、或いはその開口部が閉塞加工されてインキが被押印面に付着することを防止する。
スタンプの表面形状としては、日付や記号、「極秘」、「CONFIDENTIAL」、「済」、「受領」等の文字が挙げられる。
【0128】
連続気孔を有する印材は、その印面が露出するようにスタンプ基材に納められ、露出面は不使用時のインキの乾燥や不慮の接触による汚染を防止するためキャップを備えることが好ましい。
なお、連続気孔を有する印材の後部には、印材にインキを供給するインキ貯留部を設けて、押印回数を増加させる構成とすることもできる。
【0129】
また、印材には予めインキを含浸してスタンプに取り付ける他、印材を取り付けたスタンプの印材にインキを含浸させることもできる。
印材を取り付けたスタンプの印材にインキを含浸させる場合、印材の前面からインキを含浸させてもよいし、印材の後面からインキを含浸させてもよい。
また、インキ貯留部を有するスタンプも同様に、予めインキ貯留部にインキを充填してスタンプに取り付けてもよいし、印材とインキ貯留部を設けたスタンプのインキ貯留部にインキを充填してもよい。
【0130】
前記スタンプは、各種被押印面に対して印像を形成可能である。さらに、スタンプ用インキにより形成される印像は、指による擦過や、前述の加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。簡便な方法により変色させることができることから、加熱具としては、前述の摩擦部材が好ましい。
【0131】
また、スタンプと、スタンプとは別体で任意形状の摩擦部材(摩擦体)とを組み合わせてスタンプセットを得ることもできるが、前述の摩擦部材をスタンプに設けることにより、携帯性に優れるものとすることができる。
【0132】
可逆熱変色性液状組成物を塗布又は印刷する場合、支持体の材質は特に限定されるものではなく全て有効であり、例えば、紙、合成紙、繊維、布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示できる。
支持体の形状は平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
支持体上に、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤を含む可逆熱変色層を設けることにより、可逆熱変色性積層体(可逆熱変色性印刷物)を得ることができる。
支持体上に非熱変色性着色層(非熱変色像)が予め形成されているものにあっては、温度変化により着色層又は像を、可逆熱変色層によって隠顕させることができ、変化の様相をさらに多様化させることができる。
【0133】
さらに、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤を、賦形剤に溶融ブレンドして成形することにより可逆熱変色性塗布用固形成形体とし、固形筆記体や固形化粧料として利用することができる。
固形筆記体としては、例えば、クレヨン、鉛筆芯、シャープペンシル芯、固形ゲルマーカー等を例示できる。
固形化粧料としては、例えば、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、アイシャドー、口紅等を例示できる。
【0134】
固形筆記体に用いられる賦形剤としては、ワックス、ゲル化剤、粘土等が挙げられる。
ワックスとしては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等を例示できる。
ゲル化剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等を例示できる。
粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト等を例示できる。
【0135】
前記賦形材の中でも、筆跡濃度を向上させやすいことから、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステル、又はデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、α-オレフィン重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のワックス等を例示できる。
【0136】
さらに、前記ポリオレフィンワックスの中でも、筆記し易いことから、軟化点が100~130℃の範囲にあり、且つ、針入度が10以下であるものが好ましい。
針入度が10を越えると、固形筆記体が柔らかすぎて筆記し難くなると共に、筆跡の消去時に筆跡が紙面上で伸びてしまう(ワックスが薄層化される)ことにより被筆記面の空白部分を汚染したり、他の紙への色移りや汚れを生じ易くなる。
なお、ポリオレフィンワックスの軟化点及び針入度は、JIS K2207に規定された測定方法に準拠して測定することができ、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。つまり、固形筆記体は、針入度の値が小さいほど硬く、大きいほど柔らかいことを示す。
【0137】
ポリオレフィンワックスとして具体的には、ヤスハラケミカル(株)製、製品名:ネオワックスシリーズ、三洋化成工業(株)製、製品名:サンワックスシリーズ、三井化学(株)製、製品名:ハイワックスシリーズ、Honeywell社製、製品名:A-Cポリエチレン等を例示できる。
【0138】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、炭素数12~22の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましくパルミチン酸、ステアリン酸がより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとして具体的には、三菱化学フーズ(株)製、製品名:リョートーシュガーエステルシリーズ、第一工業製薬(株)製、製品名:シュガーワックスシリーズ等を例示できる。
【0139】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、炭素数14~18の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましくパルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸がより好ましい
デキストリン脂肪酸エステルとして具体的には、千葉製粉(株)製、製品名:レオパールシリーズ等を例示できる。
【0140】
また、固形筆記体に用いられる賦形材として、側鎖結晶性ポリオレフィンが好ましい。ここで側鎖結晶性ポリオレフィンとは、直線状の主鎖に対して、比較的長い側鎖が結合した構造を有しているものである。通常の直鎖状ポリオレフィンは、直鎖状である主鎖が折りたたまれて結晶化するため融解が広い温度範囲で起こり易いのに対し、側鎖結晶性ポリオレフィンは、結晶化が主としてポリオレフィン主鎖ではなく側鎖で起こり、その結果、融点(Mp)が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。
このような側鎖結晶性ポリオレフィンの中でも、特に、側鎖に炭素数12~28の長鎖アルキル基を有しているものが好ましい。また、側鎖の長鎖アルキル基は特に限定されるものではなく、直鎖型であっても分岐型であってよいが、結晶性に優れることから直鎖型の長鎖アルキル基が好ましい。
なお、側鎖のアルキル基は置換基を有していてもよいが、置換基によって結晶性が下がり易く、結晶性を調整するために側鎖結晶性ポリオレフィンの側鎖を、例えば、スチレンなどによって変性させることもできる。また、長鎖アルキル基は、水素結合を形成する官能基を有すると、水素結合によって長鎖アルキル基同士が結合して凝集し、結晶性が向上するため好ましい。
【0141】
また、側鎖結晶性ポリオレフィンには、高度な分岐構造を有するポリオレフィン(以下、「高分岐ポリオレフィン」と表す)が包含されるが、これを賦形材として用いることもできる。高分岐ポリオレフィンは、結晶化の際に主鎖が折りたたまれ難いため、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。
【0142】
なお、固形筆記体の機械的強度や熱変色特性に優れ、さらに製造時に取り扱い易いことから、賦形材は、重量平均分子量(Mw)が2,000~50,000であるものが好ましく、10,000~30,000であるものがより好ましい。また、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000であるものが好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ポリスチレンを基準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
【0143】
側鎖結晶性ポリオレフィンとして具体的には、豊国製油(株)製、製品名:HSクリスタ4100(Mw:16,000、Mp:44.4℃)、同6100(Mw:28,000、融点:60.6℃)、出光興産(株)製、製品名:エルクリスタ4100(Mw:16,000)、同6100(Mw:28,000)等を例示できる。
高分岐ポリオレフィンとして具体的には、ベイカーヒューズ社製、製品名:VYBAR103(Mw:17,348、Mn:4,400、Mp:67.7℃)、VYBAR260(Mw:20,278、Mn:2,600、Mp:54.7℃)、VYBAR343(Mw:10,164、Mp:36.0℃)、VYBAR825(Mn:2,800)等を例示できる。
【0144】
賦形材は、固形筆記体全量に対して、好ましくは0.2~70質量%、より好ましくは0.5~40質量%の範囲で配合される。賦形剤の配合割合が前記範囲内にあることにより、固形筆記体としての形状が得られ易いと共に、固形筆記体の筆跡濃度が高くなり易くなる。
賦形剤の配合割合が70質量%を超えると、十分な筆記濃度が得られ難くなる。一方、賦形剤の配合割合が0.2質量%未満では、筆記可能な芯材としての形状が得られ難くなる。
【0145】
また、固形筆記体中には、フィラーを配合することにより固形筆記体の強度の向上や書き味を調整することができる。
フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、窒化硼素、チタン酸カリウム、ガラスフレーク等を例示できる。
前記フィラーの中でも、成形性に優れ、マイクロカプセル顔料を用いた場合に熱変色特性を損ない難いことから、タルク又は炭酸カルシウムが好ましい。
【0146】
フィラーは、固形筆記体全量に対して、好ましくは10~65質量%の範囲で配合される。フィラーの配合割合が65質量%を超えると、発色性や書き味が低下し易くなる。一方、フィラーの配合割合が10質量%未満では、固形筆記体の強度が低下し易くなる。
【0147】
さらに、固形筆記体中には、バインダー樹脂を配合することにより固形筆記体の強度を向上させることができる。
バインダー樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂等が挙げられ、例えば、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ピロリドン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、塩基性基含有樹脂等を例示できる。
前記バインダー樹脂の中でも、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が好ましく、これらの樹脂とポリエステルポリオール樹脂とを併用することによって、成形安定性を向上させることができる。
バインダー樹脂は、固形筆記体全量に対して、好ましくは0.5~5質量%の範囲で配合される。
【0148】
また、固形筆記体中には、ヒンダードアミン化合物を配合することにより、被筆記面の筆跡を消去した箇所の残像を視認され難くすることができる。このため、被筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができる。
【0149】
ヒンダードアミン化合物としては、他の成分との相溶性に富み、ブリードアウトし難く、経時後も明瞭な筆跡を形成できることから、分子量が1000以下であるものが好ましい。
また、融点は120℃以下であることが好ましい。融点が低いことにより、製造時に過度の熱を加えることなく固形筆記体を製造することができ、固形筆記体中に含有される可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤の劣化を防止することができる。
【0150】
その他、必要に応じて、各種添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、粘度調整剤、防黴剤或いは防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等を例示できる。
【0151】
固形筆記体は、単独で筆記体として使用してもよいし、内芯として用いてその外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造(二重芯)としてもよい。
外殻は、内部にある固形筆記体(内芯)が物理的接触によって損傷を受けることを防止し、固形筆記体全体の機械的強度の向上に寄与する。外殻には、筆跡形成に寄与する可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤を含んでいてもよいし含んでいなくてもよいが、一般に固形筆記体の先端は錐状に削られることが多いため、外殻は筆跡には影響を与えないことが多い。そのため、外殻には可逆熱変色性着色剤を配合しないのが一般的である。
【0152】
外殻には、必要に応じて、各種添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、非熱変色性着色剤、防黴剤或いは防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等を例示できる。
【0153】
固形筆記体は、押出成形や、圧縮成形等の製造方法により製造することができる。
上記した、内芯の外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造の固形筆記体は、例えば、内芯の塊状物の外周面に外殻を配設し、プレスにて圧縮成形をする等の製造方法により製造することができる。
【0154】
固形筆記体の太さや長さは、目的に応じて任意に選択される。例えば、固形筆記体を鉛筆の芯として利用する場合、一般的な太さは2.0~5.0mm、好ましくは2.5~4.0mmである。また、長さは60~300mm、好ましくは80~200mmである。
【0155】
また、固形筆記体を芯鞘構造とする場合の、内芯の太さ及び外殻の厚さも任意に選択される。外殻の厚さが厚いと耐衝撃性に優れ、一方で外殻の厚さが薄いと内芯の露出量が多くなるため、使い勝手に優れ易くなる。内芯の半径長さに対する外殻の厚さは、好ましくは10~100%、より好ましくは20~50%の範囲である。
なお、固形筆記体の太さや長さは、鉛筆以外の用途、例えば、シャープペンシルの芯、クレヨン等の用途に応じて適切に調整される。
【0156】
前記固形筆記体は、各種被筆記面に対して筆記することが可能であり、さらに、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤を用いているため、被筆記面に筆記して得られた筆跡は、指による擦過や、前述の加熱具又は冷熱具の適用により変色させることができる。簡便な方法により変色させることができることから、加熱具としては、前述の摩擦部材が好ましい。
【0157】
また、固形筆記体と、固形筆記体とは別体で任意形状の摩擦部材(摩擦体)とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできるが、摩擦部材を固形筆記体、又は、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装に設けることにより、携帯性に優れたものとすることができる。具体的には、外装が木や紙などの鉛筆や、クレヨン等の形状に、摩擦部材を設けた形態等が挙げられる。
【0158】
さらに、可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料又は樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレット、粉末、又はペースト形態とし、可逆熱変色性成形用樹脂組成物として利用できる。
前記可逆熱変色性成形用樹脂組成物を汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フィルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
また、熱可塑性樹脂に溶融ブレンドすることにより、トナー、粉体塗料を得ることもできる。
【0159】
なお、前記可逆熱変色性液状組成物、塗布用固形成形体、成形用樹脂組成物中に、一般の染料及び顔料等の非熱変色性着色剤を配合することにより、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈する。
【0160】
前記成形体又は積層体上には、光安定剤及び/又は透明性金属光沢顔料を含む層を積層させることにより、耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等が挙げられる。
透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料等が挙げられる。
【0161】
可逆熱変色性組成物及びそれを内包したマイクロカプセル顔料又は樹脂粒子を用いた製品として具体的には、以下のものを例示できる。
(1)玩具類
人形及び動物形象玩具、人形及び動物形象玩具用毛髪、人形の家及び家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴及び靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、風呂敷等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子、スカーフ、マフラー等、
(3)屋内装飾品
絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、カーペット、ラグ、椅子張り地、シート、マット、額縁、造花、写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ、時計、眼鏡等、
(6)文房具類
筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、手帳、粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具等。
【実施例0162】
以下に実施例を示す。なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性組成物の調製
(イ)成分として2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-(ジペンチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-tert-ブチルフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてミリスチルアルコール25部、ステアリン酸ブチル25部を混合し、加温溶解して黒色から無色に変色する可逆熱変色性組成物を得た。
【0163】
実施例2
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-(ジペンチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-メチルフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmの黒色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0164】
実施例3
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-(ジペンチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-メチルオキシフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmの黒色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0165】
実施例4
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-(ジペンチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-クロロフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmの黒色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0166】
実施例5
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-〔9H〕キサンテン]-3-オン2部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-メチルフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmの青色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0167】
実施例6
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として9-エチル(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ(a)キサンテン-12,1′(3′H)イソベンゾフラン]-3′-オン3部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmのピンク色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0168】
実施例7
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-(ジペンチルアミノフルオラン4部、(ロ)成分としてウレア,N-[3-[[(4-tert-ブチルフェニル)サルフォニル]オキシ]フェニル]-N-フェニル-5部、(ハ)成分としてステアリン酸ネオペンチル50を混合して可逆熱変色性組成物を調製し、界面重合法によりマイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記マイクロカプセル顔料懸濁液から顔料を遠心分離により単離し、平均粒子径が2μmの黒色から無色に変色する可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0169】
測定試料の作製
実施例1の可逆熱変色性組成物を内径1mm、長さ78mmの透明ガラス製毛細管に、毛細管底部から約10mmの高さまで封入し、測定試料を得た。
前記測定試料の可逆熱変色性組成物を封入した部分全体を透明熱媒体の中に浸漬し、透明熱媒体の温度を変化させながら、可逆熱変色性組成物の変色状態を目視で観察して、t1(完全発色温度)、t2(発色開始温度)、t3(消色開始温度)、t4(完全消色温度)、ΔH(ヒステリシス幅:t3とt4の中間の温度-t1とt2の中間の温度)を求めた。
実施例2乃至6の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料40部を、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルジョン50部、レベリング剤1部、消泡剤1部、粘度調整剤0.5部、水7.5部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて可逆熱変色性インキを調製した。
前記インキを用いて上質紙にベタ柄をスクリーン印刷して測定試料を得た。
前記測定試料を色差計(TC-3600型色差計、東京電色株式会社製)の測定部分にセットし、試料部分を2℃/分の速度で昇温、降温させ、各温度における色濃度として明度値を測定し、色濃度-温度曲線を作成した。前記色濃度-温度曲線よりt1(完全発色温度)、t2(発色開始温度)、t3(消色開始温度)、t4(完全消色温度)、ΔH(ヒステリシス幅:t3とt4の中間の温度-t1とt2の中間の温度)を求めた。
以下の表1に試験結果を示す。
【0170】
【0171】
応用例1
ボールペンの作製
実施例2で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)20部、キサンタンガム0.3部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透剤性付与剤0.5部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防腐剤0.2部、水58.9部からなる可逆熱変色性インキ組成物を調製した。
前記可逆熱変色性インキ組成物をポリプロピレン製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介して0.5mmステンレス鋼ボールを先端に抱持したボールペンチップと連結させた。
次いで、前記ポリプレン製パイプの後端より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更に尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸胴、後軸胴を組み付け、キャップを嵌めた後、遠心分離により脱気処理を行い、ボールペンを得た。
なお、前記後軸筒後部に摩擦体としてSEBS樹脂を装着してなる。
前記ボールペンを用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で黒色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は-18℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、前記紙面を冷凍庫に入れて-18℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0172】
応用例2
マーキングペンの作製
実施例2で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)25.0部、櫛型高分子分散剤〔日本ルーブリゾール(株)製、商品名:ソルスパース43000〕0.5部、有機窒素硫黄化合物〔北興化学工業(株)製、商品名:ホクサイドR-150、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの混合物〕1.0部、ポリビニルアルコール0.5部、グリセリン35.0部、消泡剤0.02部、水37.98部を混合して可逆熱変色性インキ組成物を得た。
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に前記インキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒内に収容し、軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工ペン体(チゼル型)をホルダーを介して接続状態に組み立て、キャップを装着してマーキングペンを得た。
前記軸筒後端部には摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
前記マーキングペンを用いて紙面に筆記して黒色の文字(筆跡)を形成した。
前記筆跡は、室温(25℃)で黒色を呈しており、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は-18℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、前記紙面を冷凍庫に入れて-18℃以下に冷却すると、再び文字が黒色になる変色挙動を示し、前記変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0173】
応用例3
固形筆記体の作製
実施例5で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-17℃以下に冷却して青色に発色させたもの)40部と、タルク(フィラー)35部と、側鎖結晶性ポリオレフィン(賦形剤)〔豊国製油(株)製、製品名:HSクリスタ4100〕10部と、ポリオレフィンワックス(賦形剤)〔三洋化成工業(株)製、製品名:サンワックス131-P(軟化点110℃、針入度3.5)〕10部と、スチレン-アクリル酸共重合樹脂2部と、ポリビニルアルコール樹脂2部と、ヒンダードアミン系光安定剤1部とを、ニーダーにて混練し、内芯用混錬物を調製した。
次いで、タルク(フィラー)69部と、ショ糖脂肪酸エステル10部と、ポリオレフィンワックス(賦形剤)10部と、エチレン-酢酸ビニル共重合体10部とを、ニーダーにて混練し、外殻用混錬物を調製した。
前記内芯用混練物が内芯となるように、その外周面に外殻用混練物を巻き付け、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mm(内芯がφ2mmであり、外殻の被覆厚が0.5mm)に成形することで、芯鞘構造の固形筆記体を作製した。なお、前記の寸法は設定値であり、圧縮成形後に-17℃まで冷却し、常温に戻すことで固形筆記体を製造したものである。
前記固形筆記体を、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで鉛筆を得た。さらに、鉛筆の後端に、金属製の連結部材を介してSEBS樹脂からなる円柱状摩擦体を固着して摩擦体付固形筆記具(摩擦体付鉛筆)を作製した。
前記固形筆記具を用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は-17℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、紙面を冷凍庫に入れて-17℃以下に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0174】
応用例4
スタンプの作製
実施例6で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却してピンク色に発色させたもの)20部と、グリセリン50部と、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、製品名:プライマルDR73〕1.5部と、トリエタノールアミン0.9部と、ポリビニルピロリドン50%水溶液10部と、シリコン系消泡剤0.2部と、浸透レベリング剤0.5部と、防腐剤0.2部と、水16.7部とを混合して可逆熱変色性スタンプ用インキを調製した。
前記スタンプ用インキを、連続気孔を有する印材に含浸させ、印材の印面が露出するようにスタンプ基材に固着し、キャップを嵌めてスタンプを作製した。
なお、スタンプ基材の後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
前記スタンプを用いて被押印面(紙面)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキが円滑に流出して被押印面に移り、印像が滲むことなく、明瞭な印像を連続して形成することができた。
印像は、室温(25℃)ではピンク色を呈しており、摩擦部材を用いて擦過すると、該印像は消色して無色となり、この状態は-18℃以下に冷却しない限り維持することができた。
なお、紙面を冷凍庫に入れて-18℃以下に冷却すると、再び印像がピンク色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0175】
応用例5
可逆熱変色性印刷物の作製
実施例3で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して黒色に発色させたもの)30部と、赤色染料5部と、アマニ油系オフセットインキビヒクル65部とを混合して、可逆熱変色性オフセットインキを調製した。
印刷媒体として上質紙の表裏両面に、前記オフセットインキを用いてオフセット印刷を施し、乾燥して硬化させて日にち(熱変色像)を形成した。
なお、表面と裏面の熱変色像は重なり合わないように形成されてなる。
次いで、非変色性の黒色オフセットインキを用いてオフセット印刷を施し、乾燥して硬化させて枠線(非変色像)を形成して、可逆熱変色性印刷物を作製した。
前記可逆熱変色性印刷物は、初期は黒色の日にちが形成された手帳形態の印刷物であるが、摩擦部材を用いて表面の任意の箇所の熱変色像を擦過することにより生じた摩擦熱により赤色に変色させることができ、変色した状態は室温(25℃)で維持できるため、休日のスケジュール管理に有用であった。
また、変色させた箇所の裏面に設けられた日にちは、表面の熱変色像を変色させた際に熱が伝わって変色することがないため、正確なスケジュール管理を行うことができた。
【0176】
応用例6
可逆熱変色性表示体の作製
支持体として白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)の表面に、実施例2で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料をバインダー樹脂を含むビヒクル中に分散させたインキを用いて印刷して可逆変色層を設け、更にその上面に厚み16μmの透明ポリエステルフィルムでラミネート処理して、可逆的熱変色性表示体を得た。
前記表示体を、一旦、-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に黒色に発色させた後、熱転写プリンターを用いて印字して白色の抜き文字を形成した。
前記白色の抜き文字は、前記表示体が-18℃~64℃の温度域に保持されている限り視認される。
また、前記表示体を再び-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に黒色に発色させると白色の抜き文字は視認されなくなり、前記熱転写プリンターを用いて白色の抜き文字を形成することにより、繰り返し何度も使用することができた。
【0177】
応用例7
人形の作製
実施例7で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料5部と、分散剤1部と、融点180℃のナイロン12(94部)と、ピンク色の一般顔料0.1部とを、エクストルーダ-にて200℃で溶融混合して、芯部用の可逆熱変色性ペレットを調製した。
可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出成形機に、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出成形機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部:鞘部の体積比が6:4となるように、18孔の吐出孔より200℃で紡出し、外径90μmの単糸18本からなる可逆熱変色性複合繊維を調製した。
さらに、可逆熱変色性複合繊維を常法により人形の頭部に植毛し、可逆熱変色性複合繊維を用いた毛髪を備えた人形を作製した。
前記人形の毛髪を、一旦、13℃以下に冷却し、完全に黒色に発色させた後、32℃の温水に浸漬すると黒色からピンク色に変化した。また、温水から取り出して13℃の冷水に浸漬すると再び黒色に変化した。この変化は繰り返し行うことができた。
【0178】
応用例8
可逆熱変色性ミニチュアカーの調製
実施例7で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料15部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液40部、キシレン20部、メチルイソブチルケトン20部、ポリイソシアネート系硬化剤5部からなるビヒクル中に攪拌混合して可逆熱変色性スプレー塗料を得た。
前記、可逆熱変色性スプレー塗料を、白色のミニチュアカーのボディ全体にスプレー塗装を施して乾燥して可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性ミニチュアカー(玩具)を得た。
前記ミニチュアカーを、一旦、13℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に黒色に発色させた後、32℃の温水に浸漬すると白色となった。温水から取り出して13℃の冷水に浸漬すると再び黒色になり、前記の様相は繰り返し行うことができた。
【0179】
応用例9
可逆熱変色性マグカップの作製
実施例7で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、硬質液状エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤2部、揺変性付与剤2部、消泡剤0.5部を混合し、更に常温硬化型の脂肪族ポリアミン40部を添加して可逆熱変色性エポキシインキを得た。
前記可逆熱変色性エポキシインキを用いて、陶器製マグカップの側面に曲面印刷機を用いてステンレススクリーン版にて水玉模様の印刷を施し、70℃で1時間加熱硬化させて可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性マグカップを得た。
前記マグカップに、一旦、13℃以下の冷水が注がれると可逆熱変色層が黒色に発色して水玉模様が視認されるが、この状態から冷水を取り除き32℃の湯が注がれると可逆熱変色層が消色して無色になる。さらにこの状態から湯を取り除き、13℃の冷水が注がれると可逆熱変色層が発色して再び黒色の水玉模様が視覚される。
なお、この様相変化は温度変化により繰り返し行うことができた。