(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022092994
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】マイクロフォンシールド
(51)【国際特許分類】
H04R 1/12 20060101AFI20220616BHJP
H04R 1/08 20060101ALI20220616BHJP
【FI】
H04R1/12
H04R1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206033
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】516126540
【氏名又は名称】山本 裕樹
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕樹
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BE10
(57)【要約】
【課題】人間の口部から放出される吐息に含まれる飛沫の拡散を防止する機能に優れたマイクロフォンシールドを提供する。
【解決手段】マイクロフォンシールド10は、人の手で握持可能なグリップ部1b及びグリップ部1bの先端に設けられた集音部1aを有するマイクロフォン1に装着して使用するものである。マイクロフォンシールド10は、マイクロフォン1のグリップ部1bに係止可能な係止部11と、係止部11の背面側に設けられたヒンジ部から延設された隔壁部13と、隔壁部13の周縁13a,13b,13cに沿ってマイクロフォン1の集音部1aに向かって突設されたリブ14a,14b,14cと、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の手で握持可能なグリップ部及び前記グリップ部の先端に設けられた集音部を有するマイクロフォンに装着して使用するマイクロフォンシールドであって、
マイクロフォンの一部に係止可能な係止部と、前記係止部から延設された隔壁部と、前記隔壁部の周縁の少なくとも一部に沿って前記マイクロフォンの集音部に向かって突設されたリブと、を備えたマイクロフォンシールド。
【請求項2】
前記係止部が、マイクロフォンのグリップ部の外周の少なくとも一部を握持可能な握持部材で形成された請求項1記載のマイクロフォンシールド。
【請求項3】
前記隔壁部が、弾性変形可能な合成樹脂製のシート材で形成された請求項1または2記載のマイクロフォンシールド。
【請求項4】
前記シート材が、吸湿機能、吸液機能、吸着機能、抗菌機能、殺菌機能、吸音機能、遮音機能、透光機能のうちの1以上を有する請求項3記載のマイクロフォンシールド。
【請求項5】
前記握持部材が、複数のマイクロフォンのグリップ部を束ねて握持可能な請求項2記載のマイクロフォンシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ用マイクや演説会などで使用されるマイクロフォンに装着して使用するマイクロフォンシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ店、スナック、バー、クラブなどにおいて歌っている歌唱者の口部から飛散する飛沫がマイクに付着して不潔な状態になるのを防止するため、従来、様々な形状のマイクロフォンカバーが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。これらのマイクロフォンカバーは、マイクロフォン自体に飛沫が付着するのを阻止する効果は有しているが、歌唱者の口部から飛散する飛沫が周囲に拡散するのを防止することはできない。
【0003】
一方、昨今、流行している新型コロナウイルスの感染者拡大を阻止する対策の一つとして、カラオケ店などで歌っている歌唱者の口部からの飛沫拡散を防止する手段が提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献3に記載されたマイクカバーがある。
【0004】
特許文献3に記載されたマイクカバーは、人体の口部から飛散する飛沫がマイクヘッド周辺から前方に拡散するのを防御するための防御壁を有し、この防御壁は、飛沫を受け止めるための複数のシートを相互に剥離可能に重ね合わせた飛沫受止体を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-111690号公報
【特許文献2】登録実用新案第3025153号公報
【特許文献3】特許第6738507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、特許文献1,2に記載れたマイクロフォンカバーは、マイクロフォン自体に飛沫が付着するのを阻止することはできるが、歌唱者の口部から飛散する飛沫が周囲に拡散するのを防止することはできない。
【0007】
一方、特許文献3に記載されたマイクカバーは、当該マイクカバーを構成する防御壁が、マイクロフォンの集音部(マイクヘッド)の周りを包囲するように装着されるので、人体の口部から放出される吐息に伴って発生する空気流が防御壁の内面に当接してUターンし、防御壁の周縁部から外へ漏出することがある。防御壁の周縁部から漏出する空気流には、人体の口部から吐息とともに飛散した飛沫が含まれているので、飛沫の拡散を防止効果が不十分である。
【0008】
特に、カラオケを使用して歌っている人や演説している人などは通常より大きな声を出しており、これに伴って強い吐息を放出しているので、前述したように、吐息に伴って発生し、防御壁の内面に当接してUターンし、防御壁の周縁部から漏出する空気流に含まれる飛沫の拡散は無視できないレベルに達することがある。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、人間の口部から放出される吐息に含まれる飛沫の拡散を防止する機能に優れたマイクロフォンシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るマイクロフォンシールドは、人の手で握持可能なグリップ部及び前記グリップ部の先端に設けられた集音部を有するマイクロフォンに装着して使用するマイクロフォンシールドであって、
マイクロフォンの一部に係止可能な係止部と、前記係止部から延設された隔壁部と、前記隔壁部の周縁の少なくとも一部に沿って前記マイクロフォンの集音部に向かって突設されたリブと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記マイクロフォンシールドにおいては、前記係止部を、マイクロフォンのグリップ部の外周の少なくとも一部を握持可能な握持部材で形成することができる。
【0012】
前記マイクロフォンシールドにおいては、前記隔壁部を、弾性変形可能な合成樹脂製のシート材で形成することができる。
【0013】
マイクロフォンシールドにおいては、前記シート材は、吸湿機能、吸液機能、吸着機能、抗菌機能、殺菌機能、吸音機能、遮音機能、透光機能のうちの1以上を有するものとすることができる。
【0014】
前記マイクロフォンシールドにおいては、前記握持部材は、複数のマイクロフォンのグリップ部を束ねて握持可能なものとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、人間の口部から放出される吐息に含まれる飛沫の拡散を防止する機能に優れたマイクロフォンシールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態であるマイクロフォンシールドを正面上方側から見た一部省略斜視図である。
【
図2】
図1に示すマイクロフォンシールドを側面上方側から見た一部省略斜視図である。
【
図3】
図1中のA-A線における一部省略断面図である。
【
図4】
図1中のB-B線における一部省略断面図である。
【
図5】その他の実施形態であるマイクロフォンシールドを示す一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1~
図5に基づいて、本発明の実施形態であるマイクロフォンシールド10,20について説明する。
【0018】
初めに、
図1~
図4に基づいて、マイクロフォンシールド10について説明する。
図1,
図2に示すように、マイクロフォンシールド10は、人の手で握持可能なグリップ部1b及びグリップ部1bの先端に設けられた集音部1aを有するマイクロフォン1に装着して使用するものである。
【0019】
マイクロフォンシールド10は、マイクロフォン1のグリップ部1bに係止可能な係止部11と、係止部11の背面側に設けられたヒンジ部12から上方及び左右方向に広がるように延設された隔壁部13と、隔壁部13の周縁13a,13b,13cに沿ってマイクロフォン1の集音部1aに向かって突設されたリブ14a,14b,14cと、を備えている。
【0020】
係止部11は、その長手方向にスリット11sを有し、横断面がC字形状をなし、弾性的に拡縮可能な部材で形成されている。係止部11の内周面はマイクロフォン1のグリップ部1bの外周面に相似した形状をなし、グリップ部1bの外周の一部を握持可能な握持部材で形成されている。マイクロフォン1のグリップ部1bに対し、係止部11は着脱可能である。
【0021】
マイクロフォンシールド10の隔壁部13は弾性変形可能な合成樹脂製のシート材で形成され、
図2に示すように、係止部11と隔壁部13との間に設けられたヒンジ部12は塑性変形可能であるため、隔壁部13は係止部11に対し、
図2中の矢線P方向に傾動可能であり、傾動後は、その状態に保たれる。従って、マイクロフォン1に対する隔壁部13の傾斜角度を適切にセットすることができる。
【0022】
図1に示すように、隔壁部13の正面視形状は四辺形(横長の長方形)をなし、4つの周縁13a,13b,13c,13dのうち、最下部に位置する周縁13dを除く、左右並びに最上部に位置する3つの周縁13a,13c並びに周縁13bにそれぞれリブ14a,14c並びにリブ14bが設けられている。
図3,
図4に示すように、リブ14a,14b,14cはそれぞれ隔壁部13の面方向と直交する方向に突出するように形成されている。隔壁部13の形状やリブを設ける領域は限定しないので、使用条件に応じて設定することができる。
【0023】
マイクロフォンシールド10において、隔壁部13及びリブ14a,14b,14cを形成するシート材は、抗菌機能、殺菌機能及び透光機能を有する合成樹脂材料で形成されている。
【0024】
マイクロフォンシールド10の使い方は限定しないが、例えば、
図1,
図2に示すように、マイクロフォン1のグリップ部1bを係止部11で把持するように装着して使用することができる。このとき、マイクロフォン1のグリップ部1bに対する隔壁部13の取り付け角度は、前述したように、ヒンジ部12を介して隔壁部13を傾動させることによって調整することができる。
【0025】
図1,
図2に示すようにマイクロフォンシールド10が装着されたマイクロフォン1がカラオケ店などにおいて使用された場合、マイクロフォン1のグリップ部1bを手で握って歌う歌唱者の吐息に伴って生じる飛沫混じり空気流は、集音部1aの近傍を通過して隔壁部13に当接し、ここで遮蔽されるので、飛沫の拡散を防止することができる。
【0026】
また、隔壁部13に当接した後の飛沫混じりの空気流は、隔壁部13の面方向に広がるが、隔壁部13の周縁13a,13b,13cに沿ってリブ14a,14b,14cが突設されているので、周縁13a,13b,13cから外に向かって飛沫混じりの空気流が漏出するのを防止することができる。
【0027】
従って、マイクロフォンシールド10は、特許文献3に記載されたマイクカバーに比べ、人間の口部から放出される吐息に含まれる飛沫の拡散を防止する機能に優れている。また、マイクロフォンシールド10において、隔壁部13及びリブ14a,14b,14cを形成するシート材は、抗菌機能、殺菌機能及び透光機能を有する合成樹脂材料で形成されているので、隔壁部13及びリブ14a,14b,14cに付着した飛沫に含まれる細菌の繁殖を防止することができ、歌唱者の視界を妨げることもない。
【0028】
隔壁部13及びリブ14a,14b,14cを形成するシート材が吸湿機能、吸液機能若しくは吸着機能などを有するものであれば、隔壁部13などに付着した飛沫が拡散したり、落下したりするのを防止することができ、また、吸音機能や遮音機能などを有するものであれば、マイクロフォン1の集音部1aに対する音響的な悪影響を防止することができる。
【0029】
次に、
図5に基づいて、その他の実施形態であるマイクロフォンシールド20について説明する。
図5に示すように、マイクロフォンシールド20は、マイクロフォン1のグリップ部1b(
図1参照)に係止可能な握持部材で形成された係止部21と、係止部21に連設されたヒンジ部22から上方及び左右方向に広がるように延設された隔壁部23と、隔壁部23の周縁23a,23b,23c,23dのうち、最下部の周縁23dを除く、周縁23a,23b,23cに沿って突設されたリブ24a,24b,24cと、を備えている。リブ24a,24b,24cはそれぞれ隔壁部23の面方向と直交する方向に突出するように形成されている。
【0030】
係止部21は可撓性を有するシート材で形成され、正面視形状が略四辺形状をなし、その左右の側縁部21L,21R寄りの部分にそれぞれの側縁部21L,21Rの長手方向に沿って複数のスリット状の開口部21a,21b,21c,21dが開設されている。開口部21a,21b並びに開口部21c,21dをそれぞれ連通するようにベルト25,26が挿通されている。ベルト25,26の両端部分には互いに係合・離脱可能な面ファスナFが設けられている。
【0031】
マイクロフォンシールド20の使い方は限定しないが、前述した
図2に示すように、マイクロフォン1のグリップ部1bの外周を係止部21で包み込みように巻き付けた後、係止部21の外周をベルト25,26で適度に締め付け、ベルト25,26の両端部分にある面ファスナF,Fを重ね合わせると、
図2に示すような状態に装着される。このとき、マイクロフォン1のグリップ部1bに対する隔壁部23の傾斜角度は、ヒンジ部22を介して隔壁部23を傾動させることによって調整することができる。
【0032】
図1,
図2で示したように、マイクロフォンシールド20が装着されたマイクロフォン1がカラオケ店などにおいて使用された場合、マイクロフォン1のグリップ部1bを手で握って歌う歌唱者の吐息に伴って生じる飛沫混じり空気流は、集音部1aの近傍を通過して隔壁部23に当接し、ここで遮蔽されるので、飛沫の拡散を防止することができる。
【0033】
また、隔壁部23に当接した後の飛沫混じりの空気流は、隔壁部23の面方向に広がるが、隔壁部23の周縁23a,23b,23cに沿ってリブ24a,24b,24cが突設されているので、周縁23a,23b,23cから外に向かって飛沫混じりの空気流が漏出するのを防止することができる。
【0034】
従って、マイクロフォンシールド20は、特許文献3に記載されたマイクカバーに比べ、人間の口部から放出される吐息に含まれる飛沫の拡散を防止する機能に優れている。また、係止部21を形成する握持部材は、複数のマイクロフォンのグリップ部を束ねて握持することができるので、例えば、演説会や講演会などにおいて複数のマイクロフォンを使用する必要がある場合にも的確に対応可能であり、優れた飛沫拡散防止効果を得ることができる。
【0035】
なお、
図1~
図5に基づいて説明したマイクロフォンシールド10,20は、本発明に係るマイクロフォンシールドを例示するものであり、本発明に係るマイクロフォンシールドは、前述したマイクロフォンシールド10,20に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るマイクロフォンシールドは、カラオケ店や演説会などのマイクロフォンを使用する状況下において、人間の口部から飛散する飛沫の拡散防止手段として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 マイクロフォン
1a 集音部
1b グリップ部
10,20 マイクロフォンシールド
11,21 係止部
11s スリット
12,22 ヒンジ部
13,23 隔壁部
13a,13b,13c,13d,23a,23b,23c,23d 周縁
14a,14b,14c,24a,24b,24c リブ
21a,21b,21c,21d 開口部
21L,21R 側縁部
25,26 ベルト
F 面ファスナ