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▶ 鳴瀬 益幸の特許一覧

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  • 特開-冷却枕 図1
  • 特開-冷却枕 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093007
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】冷却枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A47G9/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206059
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000244316
【氏名又は名称】鳴瀬 益幸
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】鳴瀬 益幸
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA02
3B102AB07
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】構成部材が比較的少なく、簡素な構造であり、優れた冷却作用を発揮し、メンテナンスも容易な冷却枕を提供する。
【解決手段】冷却枕10は、柔軟な非透水性材料で形成され上面に開口部6を有する収容部材5と、収容部材5内に出し入れ可能に配置された水分を含む冷却部材1,2,3,4と、開口部6を上方に向けて露出させた状態で収容部材5を被覆する遮熱部材7と、を備えている。使用者の頭部Hの後頭部分などが、開口部6から露出する冷却部材1の表面1aに接触することにより頭部Hが冷却され、また、頭部Hとの接触により冷却部材1に含まれる水分が気化して冷却部材1から気化熱を奪うので冷却部材1の昇温が抑制される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な非透水性材料で形成され上面に開口部を有する収容部材と、
前記収容部材内に出し入れ可能に配置された吸水性を有する冷却部材と、
前記開口部を上方に向けて露出させた状態で前記収容部材を被覆する遮熱部材と、を備えた冷却枕。
【請求項2】
前記収容部材が、天然樹脂製若しくは合成樹脂製の膜材である請求項1記載の冷却枕。
【請求項3】
前記冷却部材並びに前記遮熱部材が、天然繊維、合成繊維若しくはこれらの混合繊維で形成されたタオル、布材、不織布材、あるいは、合成樹脂で形成された多孔質材料のうちの1以上である請求項1または2記載の冷却枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が就寝するときに使用する、頭部を冷やす機能を有する冷却枕に関する。
【背景技術】
【0002】
夏場の暑い時季は寝苦しく、発熱量の多い頭部に接触している枕の温度が上昇すると、増々寝苦しくなるので、熟睡できないことが多い。このような問題を解決するため、従来、就寝中に頭部を冷やす機能を有する様々な枕が提案されているが、本発明に関連するものとして、例えば、特許文献1に記載された「気化熱を利用した冷い枕」がある。
【0003】
前記「気化熱を利用した冷い枕」は、吸水させたスポンジを多数の小孔を有する樹脂膜で包んだものを発泡スチロール製外箱内に収容し、その上面をタオルなどで覆った構造を有している。枕の上に載せた頭の重みでスポンジの中の水が押し出され、その上のタオルが毛細管現象にて均質にタオルを湿潤させ、タオル中の水が蒸発するときにタオルと、その近辺の熱を奪ってタオルを冷たくする作用を発揮する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-177073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「気化熱を利用した冷い枕」は、構造が複雑であり、構成部材も多いので、この「冷たい枕」を使用する際には、吸水させたスポンジを多数の小孔を有する樹脂膜で包んだものを発泡スチロール製外箱内に収容し、その上面を、内径が順次小さくなった多数の孔を有する複数の薄い樹脂膜で覆い、その上面にタオルを配置する必要があり、実際に使用可能となるまでの準備作業が面倒である。
【0006】
また、前記「冷たい枕」は発汗量の多い夏場に使用するものであるため、衛生上の観点から使用後は毎回洗浄することが望ましいが、前述したように構成部材が多いので、各部材の洗浄などのメンテナンスに多くの手間を要する。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、構成部材が比較的少なく、簡素な構造であり、優れた冷却作用を発揮し、メンテナンスも容易な冷却枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷却枕は、
柔軟な非透水性材料で形成され上面に開口部を有する収容部材と、
前記収容部材内に出し入れ可能に配置された吸水性を有する冷却部材と、
前記開口部を上方に向けて露出させた状態で前記収容部材を被覆する遮熱部材と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記冷却枕においては、前記収容部材は、天然樹脂製若しくは合成樹脂製の膜材を使用することができる。
【0010】
前記冷却枕においては、前記冷却部材並びに前記遮熱部材は、天然繊維、合成繊維若しくはこれらの混合繊維で形成されたタオル、布材、不織布材、あるいは、合成樹脂で形成された多孔質材料のうちの1以上を使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、構成部材が比較的少なく、簡素な構造であり、優れた冷却作用を発揮し、メンテナンスも容易な冷却枕を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態である冷却枕を示す一部省略平面図である。
図2図1中のA-A線における一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図2に基づいて、本発明の実施形態である冷却枕10について説明する。図1図2に示すように、冷却枕10は、柔軟な非透水性材料で形成され上面に開口部6を有する収容部材5と、収容部材5内に出し入れ可能に配置された吸水性を有する冷却部材1,2,3,4と、開口部6を上方に向けて露出させた状態で収容部材5を被覆する遮熱部材7と、を備えている。
【0014】
収容部材5は、天然樹脂の一つであるゴム製の膜材で形成されているが、これに限定するものではないので、その他、柔軟な非透水性材料であれば、合成樹脂製(例えば、シリコンゴム製、ポリエチレン製、ビニル製など)の膜材を使用することもできる。
【0015】
冷却部材1,2,3,4並びに遮熱部材7は天然繊維である木綿で形成されたタオルを用いているが、これに限定しないので、吸水性を有するものであれば、合成繊維若しくは天然繊維と合成繊維の混合繊維で形成されたタオル、布材、不織布材、あるいは、合成樹脂で形成された多孔質材料などを使用することができる。
【0016】
次に、冷却枕10の使い方に説明する。なお、冷却枕10の使い方は限定しないので、後述する使い方に限定するものではない。図2に示すように、吸水性及び保水性を有する複数の冷却部材1,2,3,4に水分を吸い込ませ、これらの冷却部材1,2,3,4を順次、開口部6から収容部材5内へ装入し、積層状態に配置する。冷却部材1,2,3,4の枚数や厚さなどは限定しないので、使用者の好みや使用条件などによって増減することができる。
【0017】
次に、開口部6を上方に向けて露出させた状態で収容部材5の外周面5a及び底面5bを遮熱部材7で被覆する。遮熱部材7は乾いたタオルを使用しているが、これに限定するものではない。
【0018】
この後、就寝すべく仰臥した使用者の頭部Hを、冷却枕10の上面に露出している開口部6上に載せれば、通常の枕と同様に使用することができる。収容部材5は柔軟な材料で形成されているので、頭部Hを開口部6上に載せると、その重さで収容部材5の上面5c部分が頭部Hの形状に沿うように弾性的に撓むとともに、開口部6に露出している冷却部材1の上面1aの一部が頭部Hに向かって突出し、後頭部分に接触した状態となる。このように、頭部Hが水分を含む冷却部材1と接触することにより、頭部Hが冷やされるので、気温の高い時季であっても快適な睡眠をとることができる。
【0019】
また、後頭部分と接触している冷却部材1に含まれる水分が体温によって気化(蒸発)し、このとき気化熱(蒸発熱)を奪うので、冷却部材1の温度上昇を抑制することができ、快適な睡眠の促進に有効である。
【0020】
一方、冷却部材1の上面1aから水分が気化(蒸発)すると、冷却部材1中に含まれる水分が減少するが、冷却部材2,3,4に含まれる水分が順次、冷却部材1中へ供給されるので水分がなくなることはなく、長時間(例えば、8~10時間程度)に亘って頭部Hを冷やし続けることができる。
【0021】
また、収容部材5の外周面5a及び底面5bは遮熱部材7で被覆されているので、周囲の気温によって冷却部材1,2,3,4の温度が上昇するのを防止することができ、遮熱部材7は吸水性を有する乾いたタオルであるため、収容部材5の外周面5a及び底面5bに生じた結露水が漏出して寝具などを濡らすことも防止することができる。
【0022】
冷却枕10は冷却部材1,2,3,4と、収容部材5と、遮熱部材7とで形成されているため、構成部材が比較的少なく、簡素な構造であり、頭部Hと冷却部材1の上面1aとの接触により優れた冷却作用を発揮し、また、体温により冷却部材1の上面1aから水分が気化するときに冷却部材1から気化熱を奪うので、冷却部材1,2,3,4の温度上昇を抑制することができる。
【0023】
また、冷却枕10を使用した後は、収容部材5の開口部6から冷却部材1,2,3,4を取り出して洗濯したり、空になった収容部材5の内部を開口部6から清掃したりすることができ、遮熱部材7は収容部材5に着脱可能であるため、メンテナンスも容易である。
【0024】
なお、図1図2に基づいて説明した冷却枕10は、本発明に係る冷却枕の一例を示すものであり、本発明に係る冷却枕は前述した冷却枕10に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る冷却枕は、気温の高い夏場などに就寝する場合に使用することができ、寝具製造業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1,2,3,4 冷却部材
1a,5c 上面
5 収容部材
5a 外周面
5b 底面
6 開口部
7 遮熱部材
10 冷却枕
H 頭部
図1
図2