(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093022
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 15/00 20060101AFI20220616BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20220616BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20220616BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20220616BHJP
【FI】
G09B15/00 Z
G09B5/02
G10H1/00 102
G10H1/00 Z
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206078
(22)【出願日】2020-12-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】520490657
【氏名又は名称】Ks presents株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】黒田 和良
【テーマコード(参考)】
2C028
5D478
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA09
2C028BB01
2C028BC05
5D478EB06
5D478EB25
5D478FF27
5D478HH02
5D478HH15
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供する。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理装置である。情報処理装置は、所定の課題をユーザに付与することと、ユーザによる課題に対する演奏データを取得することと、取得した演奏データについて、複数のユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、格納した演奏データを所定の表示手段に表示させることと、表示手段に表示された演奏データの中からユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理装置であって、
所定の課題を前記ユーザに付与することと、
前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、
取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、
格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、
前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、楽曲のジャンルに応じた所定の演奏パート毎に、前記ユーザによる前記演奏データを取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ユーザに演奏指導、教育を行う教師による前記課題に対する演奏データを前記ユーザに提供する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
複数の前記ユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを該ユーザに更に提供し、
ネットワークを介して前記仮想スタジオにアクセスした前記ユーザによる前記課題に対する演奏データをリアルタイムで取得するとともに、予め前記記憶部に格納された前記課題に対する演奏データをリアルタイムで取得した該演奏データと重ね合わせて該ユーザに提供する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理方法であって、
コンピュータが、
所定の課題を前記ユーザに付与することと、
前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、
取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、
格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、
前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項6】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
所定の課題を前記ユーザに付与することと、
前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、
取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、
格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、
前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを用いて、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音楽演奏の学習において、アマチュアアーティストの多くは、身近な人とバンドを組んだり、音楽教室に通ったり、音楽を聴き自ら演奏をしたりして、練習を行っている。
【0003】
また、特許文献1には、自宅に居ながらにして先生のアドバイスを受けることができる双方向性を持った楽器演奏教育システムが開示されている。当該技術によれば、先生側および生徒側の電子機器がネットワークで接続され、先生側は、生徒側システムから送られてくる生徒の演奏データを再生し、生徒の演奏に対するアドバイスを作成、送信する。そうすると、生徒側は、送信された演奏指導データに基づいて練習することができ、先生が離れていても練習内容について適切なアドバイスを受けることができる。
【0004】
そして、遠隔地の受講者が仮想現実の教室授業に参加することを可能にする教育システムとして、例えば、特許文献2には、インターネットを利用した集合参加型教育システムが開示されている。当該技術では、受講者端末機に仮想現実の教室と、この教室の授業に参加する受講者および指導者の肖像画像をそれぞれ表示させるとともに、指導者の指導を動画等により配信して、リアルタイムの教室授業が進行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-282095号公報
【特許文献2】特開2002-169901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から知られている音楽演奏の学習において、例えば音楽教室に通う場合には、その教室の所在地まで通学する必要があり、時間的または場所的な制約が問題となる場合があった。ここで、特許文献1に記載の技術によれば、先生側および生徒側の電子機器がネットワークで接続されることで、生徒ユーザは自宅に居ながらにして先生のアドバイスを受けることができるため、上記の制約が改善され得る。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、先生と生徒ユーザとの1対1での楽器演奏教育を対象としている。楽曲のジャンルによっては各楽器の演奏パートを重ね合わせて一つの音楽が完成するため、このようなジャンルの楽曲においては、生徒ユーザ1人分の演奏パートの教育では高い学習効果が得られない虞がある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術によれば、複数の受講ユーザが仮想現実の教室授業に参加できるものの、その対象は各種国家試験や資格試験の受験講座である。そして、従来はスタジオ等に一同に集まって練習が行われていた音楽演奏の分野における、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供する技術はこれまで皆無であった。
【0008】
本開示の目的は、ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の情報処理装置は、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、所定の課題を前記ユーザに付与することと、前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、を実行する制御部を備える。
【0010】
上記の構成によると、ユーザは、スタジオ等に集まることなく、自身の演奏を、同一の課題の演奏を学習する複数のユーザからの演奏データと重ね合わせて、音楽演奏の学習を行うことができる。そのため、ユーザは、時間的または場所的な制約が改善されつつ、音楽演奏について高い学習効果が得られる。このとき、制御部は、楽曲のジャンルに応じた所定の演奏パート毎に、ユーザによる演奏データを取得てもよいし、ユーザに演奏指導、教育を行う教師による課題に対する演奏データをユーザに提供してもよい。また、制御部は、複数のユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを該ユーザに更に提供し、ネットワークを介して仮想スタジオにアクセスしたユーザによる課題に対する演奏データをリアルタイムで取得するとともに、予め記憶部に格納された課題に対する演奏データをリアルタイムで取得した該演奏データと重ね合わせて該ユーザに提供してもよい。これによれば、ユーザは、現実のスタジオ等に一同に集まらずともセッション形式で音楽演奏の練習を行うことができ、音楽演奏についての高い学習効果が得られる。
【0011】
また、本開示は、コンピュータによる情報処理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理方法は、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理方法であって、コンピュータが、所定の課題を前記ユーザに付与することと、前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、を実行する。
【0012】
また、本開示は、情報処理プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理プログラムは、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理プログラムであって、コンピュータに、所定の課題を前記ユーザに付与することと、前記ユーザによる前記課題に対する演奏データを取得することと、取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの該演奏データを所定の記憶部に格納することと、格納した前記演奏データを所定の表示手段に表示させることと、前記表示手段に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された演奏データを該ユーザに提供することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における、情報処理システムに含まれるサーバの構成要素をより詳細に示すとともに、サーバと通信を行うユーザ端末の構成要素を示した図である。
【
図3】第1実施形態において、電子楽器からユーザ端末に取り込まれる演奏データのユーザインターフェースを例示する図である。
【
図4】第1実施形態において、ユーザ端末の表示部に表示される演奏データを概念的に例示する図である。
【
図5】第1実施形態において、自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する第1の図である。
【
図6】第1実施形態において、自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する第2の図である。
【
図7】第1実施形態において、自身の演奏を教師による演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する図である。
【
図8】第1実施形態における情報処理システムの動作の流れを例示する図である。
【
図9】第2実施形態において、セッション形式で自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
第1実施形態における情報処理システムの概要について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システム100は、ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理システムであって、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、を含んで構成される。なお、本実施形態における情報処理システム100を利用するユーザは、ジャズ演奏を学習するユーザであって、各ユーザの電子楽器500(電子ピアノ、ドラム、ギター、ベース等)が、MIDI(Musical Digital Interface)によってユーザ端末400と接続されている。
【0017】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークである。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0018】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、
図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0019】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0020】
また、サーバ300は、本実施形態に係る情報処理システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0021】
ユーザ端末400は、情報処理システム100を利用するユーザが保有する携帯端末等の電子機器であればよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。このユーザ端末400の例えばUSB(Universal Serial Bus)コネクタと、各ユーザの電子楽器500の例えばMIDI(Musical Digital Interface)コネクタは、接続ケーブルによって接続することができる。
【0022】
次に、
図2に基づいて、主にサーバ300の構成要素の詳細な説明を行う。
図2は、第1実施形態における、情報処理システム100に含まれるサーバ300の構成要素をより詳細に示すとともに、サーバ300と通信を行うユーザ端末400の構成要素を示した図である。
【0023】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0024】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400やその他の外部装置と通信可能に接続される。
【0025】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400等から送信されたデータを取得する。
【0026】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、課題付与部3031と、取得部3032と、提供部3033と、の3つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0027】
課題付与部3031は、音楽演奏に関する所定の課題(例えば、課題楽曲)を通信によりユーザ端末400に送信することで、該課題をユーザに付与する。
【0028】
そして、ユーザは、自身の電子楽器500とユーザ端末400とを用いて課題に取り組むことができる。ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0029】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、MIDIデータ入力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。MIDIデータ入力部4023は、例えばUSBコネクタである。
【0030】
図3は、本実施形態において、電子楽器500からユーザ端末400に取り込まれる演奏データのユーザインターフェースを例示する図である。なお、このようなユーザインターフェースは、オーディオエディタ等の所定のアプリがユーザ端末400に事前にインストールされることで実現され得る。
図3に例示する画面SC1は、ユーザが自身の演奏パートを録音するための画面であって、ユーザ端末400の表示部4021に表示される。画面SC1には、ツールバーSC11、トラックエリアSC12が示される。ツールバーSC11には、再生、停止等のボタンや、録音メータ、再生メータ、各種の編集ボタン等が配置されている。ユーザは、録音ボタンSC111を押下して電子楽器500を演奏することで、その演奏データがユーザ端末400に取り込まれる。そして、取り込まれた演奏データは、その波形がトラックエリアSC12に表示される。なお、本実施形態では、トラックエリアSC12に複数の演奏データ波形を表示可能に構成され、演奏データを合成することができる。
【0031】
ここで、
図2に戻って、サーバ300の制御部303が有する取得部3032は、ユーザによる電子楽器500の演奏を取り込んだユーザ端末400から送信された演奏データを通信により取得することで、該演奏データを取得する。そして、取得部3032は、取得した演奏データをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0032】
ここで、取得部3032は、情報処理システム100を利用して音楽演奏の学習を行うユーザであって、課題付与部3031によって付与された同一の課題の演奏を学習する複数のユーザからの演奏データを記憶部302に記憶させる。
【0033】
そして、サーバ300の制御部303が有する提供部3033は、記憶部302に格納された演奏データをユーザ端末400の表示部4021に表示させる。提供部3033は、ユーザ端末400と通信を行うことで上記を表示させることができる。
【0034】
図4は、本実施形態において、ユーザ端末400の表示部4021に表示される演奏データを概念的に例示する図である。上述したように、サーバ300の記憶部302には、複数のユーザからの演奏データが格納されている。なお、本実施形態では、ジャズ演奏の演奏パート毎にピアノ、ドラム、ギター、ベースを演奏するユーザが情報処理システム100を利用していて、各ユーザが演奏したピアノ、ドラム、ギター、ベースの演奏データが記憶部302に格納されている。この場合、ユーザ端末400の表示部4021には、ピアノ、ドラム、ギター、ベースの演奏データを表すアイコン等が表示され、それを見たユーザはこれらの演奏データがダウンロード可能なことを認識できる。なお、ユーザ端末400の表示部4021には、演奏データを表すアイコンとともにそのデータを作成したユーザ(その演奏データの演奏者)を表す識別IDやそのデータの作成日等が表示されてもよい。
【0035】
そして、ユーザは、ユーザ端末400の表示部4021に表示された上記のアイコンをクリックすることで、該アイコンに紐づけられた演奏データをダウンロードすることができる。詳しくは、ユーザが、操作入力部4022を介して演奏データの選択操作をユーザ端末400に入力すると、サーバ300の提供部3033は、ユーザ端末400から送信された演奏データのダウンロード要求を通信により取得する。そして、提供部3033は、記憶部302に格納されている複数の演奏データの中からダウンロード要求に合致する演奏データをユーザ端末400に送信することで、ユーザによって選択された演奏データをユーザに提供する。
【0036】
以上に述べた情報処理システム100によれば、ユーザは、自身の演奏を、同一の課題の演奏を学習する複数のユーザからの演奏データと重ね合わせて、音楽演奏の学習を行うことができる。ここで、
図5は、本実施形態において、自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する第1の図である。
図5に例示する画面SC2も、上記の
図3に示した画面SC1と同様にユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC2には、ツールバーSC11、トラックエリアSC12が示される。ここで、トラックエリアSC12には、自身が演奏するパート(例えば、ドラム)のトラックデータSC121に加えて、サーバ300によって提供された他のユーザの演奏パート(例えば、ピアノ、ギター、ベース)のトラックデータSC222、SC223、SC224が表示される。そして、ユーザは、ツールバーSC11に配置された編集ボタン等を用いて、自身の演奏を、同一の課題の演奏を学習する複数のユーザからの演奏データと重ね合わせることができる。なお、このとき、ユーザは、録音ボタンSC111を押下して、他のユーザの演奏に併せて自身の演奏を再度ユーザ端末400に取り込んでもよいし、再生ボタンSC112を押下して、既に取り込んでいる自身の演奏データを他のユーザの演奏に併せて再生してもよい。
【0037】
このような、各楽器の演奏パートを重ね合わせて完成する一つの音楽についての学習において、ユーザは、スタジオ等に一同に集まることなく、同一の課題の演奏を学習する複数のユーザの各演奏パートの演奏データを利用しながら自身の演奏を学習することができる。そのため、ユーザは、時間的または場所的な制約が改善されつつ、音楽演奏について高い学習効果が得られる。なお、このとき、ユーザは、教育を行う教師による指導や学習教材を利用しながら音楽演奏の学習をしてもよい。
【0038】
以上に述べたように、本開示によれば、ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供することができる。
【0039】
なお、上記の
図5では、自身の演奏と異なるパートの演奏データを重ね合わせる例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、自身の演奏と同じパートの演奏データを重ね合わせてもよい。
図6は、本実施形態において、自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する第2の図である。
図6に例示する画面SC3も、上記の
図3に示した画面SC1と同様にユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC3には、ツールバーSC11、トラックエリアSC12が示される。ここで、トラックエリアSC12には、自身が演奏するパート(例えば、ドラム)のトラックデータSC121に加えて、サーバ300によって提供された他のユーザの演奏パート(例えば、ドラム)のトラックデータSC322、SC323が表示される。
【0040】
これによれば、自身の演奏と、同一の課題の演奏を学習する複数の他のユーザの演奏と、を比較することができる。そうすると、他のユーザの学習の進捗度合いを把握できたり、他のユーザの演奏から新たな学びを得たりすることができる。そして、このように学びを共有することによって、音楽演奏についての高い学習効果が得られる。
【0041】
また、本開示では、例えば、演奏指導、教育を行う教師による演奏データを重ね合わせてもよい。
図7は、本実施形態において、自身の演奏を教師による演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する図である。
図7に例示する画面SC4も、上記の
図3に示した画面SC1と同様にユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC4には、ツールバーSC11、トラックエリアSC12が示される。ここで、トラックエリアSC12には、自身が演奏するパート(例えば、ドラム)のトラックデータSC121に加えて、サーバ300によって提供された教師の演奏パート(例えば、ドラム)のトラックデータSC422が表示される。これによれば、ユーザは、自身の演奏と、教師の演奏と、を比較することができ、演奏の比較から新たな学びを得ることができる。
【0042】
次に、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れについて説明する。
図8は、本実施形態における情報処理システム100の動作の流れを例示する図である。
図8では、本実施形態における情報処理システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0043】
本実施形態では、先ず、サーバ300によって、課題がユーザに付与される(S101)。サーバ300は、音楽演奏に関する所定の課題(例えば、課題楽曲)を通信によりユーザ端末400に送信し(S102)、ユーザ端末400が該課題を取得する(S103)。
【0044】
次に、ユーザ端末400によって、電子楽器500から演奏データが取り込まれる(S104)。各ユーザの電子楽器500は、MIDIによってユーザ端末400と接続されていて、このMIDIと、ユーザ端末400に事前にインストールされた所定のアプリと、を介して、演奏データが取り込まれる。そして、ユーザ端末400は、取り込んだ演奏データをサーバ300に送信する(S105)。
【0045】
そして、サーバ300は、演奏データを取得する(S106)。ここで、サーバ300は、同様にして複数のユーザからの演奏データを取得し、それらを記憶部302に格納する(S107)。このようにして格納された演奏データは、データ一覧としてユーザ端末400に送信される(S108)。
【0046】
そうすると、ユーザ端末400は、データ一覧を取得し、それを表示部4021に表示させる(S109)。そして、ユーザ端末400は、ユーザからのデータの選択を受け付ける(S110)。詳しくは、ユーザが操作入力部4022を介してユーザ端末400に入力した演奏データの選択操作を取得する。ユーザ端末400は、それをダウンロード要求としてサーバ300に送信する(S111)。
【0047】
サーバ300は、ダウンロード要求を取得し(S112)、記憶部302に格納されている複数の演奏データの中からその要求に合致する演奏データを選別し(S113)、その演奏データをユーザ端末400に送信する(S114)。そうすると、ユーザ端末400が、その演奏データを取得する(S115)。
【0048】
以上に述べた情報処理システム100によれば、ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供することができる。
【0049】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、情報処理システム100のユーザが、同一の課題の演奏を学習する複数のユーザの各演奏パートの演奏データをサーバ300からダウンロードして利用することで、自身の演奏を学習する例について説明した。これに対して、本実施形態では、サーバ300が、複数のユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを該ユーザに提供する。そして、仮想スタジオにアクセスしたユーザによる課題に対する演奏データをリアルタイムで取得するとともに、予め記憶部302に格納された課題に対する演奏データをリアルタイムで取得した該演奏データと重ね合わせて該ユーザに提供する。これについて、以下に詳しく説明する。
【0050】
サーバ300は、ネットワーク200上の仮想スタジオにアクセスするためのIPアドレスおよびパスワードをユーザに送信することで、仮想スタジオを該ユーザに提供する。そして、仮想スタジオにアクセスしたユーザは、ユーザ端末400を介してユーザ同士の演奏データを共有することで音楽演奏のセッションを行うことができる。
【0051】
ここで、
図9は、本実施形態において、セッション形式で自身の演奏を他のユーザによる演奏データと重ね合わせるためのユーザインターフェースを例示する図である。
図9に例示する画面SC5も、上記の
図3に示した画面SC1と同様にユーザ端末400の表示部4021に表示され、画面SC5には、ツールバーSC11、トラックエリアSC12が示される。ここで、トラックエリアSC12には、自身が演奏するパート(例えば、ドラム)のトラックデータSC521がリアルタイムで表示される。また、トラックエリアSC12には、他のユーザが演奏するパート(例えば、ピアノ、ベース)のトラックデータSC522、SC523がリアルタイムで表示される。そして、このようにリアルタイムでセッションに参加するユーザについては、「オンライン」という表示とともに、その演奏動画が表示される。なお、本実施形態では、ギターパートのユーザがオンラインセッションに参加していない。この場合、サーバ300は、予め記憶部302に格納されたギターパートの演奏データをリアルタイムで取得したその他パートの演奏データと重ね合わせてユーザに提供する。これによれば、ユーザは、現実のスタジオ等に一同に集まらずともセッション形式で音楽演奏の練習を行うことができ、音楽演奏についての高い学習効果が得られる。
【0052】
以上に述べた情報処理システム100によっても、ネットワークを用いた音楽演奏の学習において、複数のユーザ間で双方向性を持った学習環境を提供することができる。
【0053】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0054】
また、上記の実施形態ではジャズ演奏を例にして説明したが、これに限定する意図はなく、周知の他のジャンルの音楽演奏であってもよい。また、楽器を用いた音楽演奏に限定する意図もなく、コーラスやカラオケ等であってもよい。
【0055】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、提供部3033をサーバ300とは別の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別の演算処理装置はサーバ300と好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0056】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0057】
100・・・情報処理システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
【手続補正書】
【提出日】2021-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理装置であって、
課題楽曲を複数の前記ユーザに付与することと、
複数の前記ユーザが楽器を演奏して前記課題楽曲に取り組んだ各演奏パート毎に前記ユーザによる演奏データを取得することと、
取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの前記演奏データを記憶部に格納することと、
前記記憶部に格納した前記演奏データを表示部に表示させることと、
前記表示部に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された前記演奏データを前記ユーザに提供することと、
を実行する制御部を備え、
前記記憶部は、前記課題楽曲に対する各楽器の演奏パートの演奏データを予め記憶しており、
前記制御部は、
複数の前記ユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを複数の前記ユーザに提供することと、
ネットワークを介して前記仮想スタジオにアクセスした複数の前記ユーザが前記課題楽曲に取り組んだ演奏データをリアルタイムで取得することと、
前記記憶部に格納された前記演奏データのうち、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データと、前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データとを重ね合わせて、複数の前記ユーザがそれぞれ保有するユーザ端末の前記表示部に表示させることと、
を実行し、
前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏データは、オンラインという表示とともに前記表示部に表示させ、かつ、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏データは、前記ユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバに記憶されていたことを意味するサーバデータという表示と共に、前記表示部に表示させること、
を実行する情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ユーザに演奏指導、教育を行う教師による前記課題楽曲に対する演奏データを前記ユーザに提供する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理方法であって、
コンピュータが、
課題楽曲を複数の前記ユーザに付与することと、
複数の前記ユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを複数の前記ユーザに提供することと、
ネットワークを介して前記仮想スタジオにアクセスした複数の前記ユーザが楽器を演奏して前記課題楽曲に取り組んだ各演奏パート毎に前記ユーザによる演奏データを取得することと、
取得した前記演奏データについて、複数の前記ユーザからの前記演奏データを記憶部に格納することと、
前記記憶部に格納した前記演奏データを表示部に表示させることと、
前記表示部に表示された前記演奏データの中から前記ユーザによって選択された前記演奏データを前記ユーザに提供することと、
ネットワークを介して前記仮想スタジオにアクセスした複数の前記ユーザが前記課題楽曲に取り組んだ演奏データをリアルタイムで取得することと、
前記記憶部に格納された前記演奏データのうち、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データと、前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データとを重ね合わせて、複数の前記ユーザがそれぞれ保有するユーザ端末の前記表示部に表示させることと、
を実行し、
前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏データは、オンラインという表示とともに前記表示部に表示させ、かつ、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏データは、前記ユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバに記憶されていたことを意味するサーバデータという表示と共に、前記表示部に表示させること、
を実行する情報処理方法。
【請求項4】
ユーザに音楽演奏の学習機会を提供する情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
課題楽曲を複数の前記ユーザに付与することと、
複数の前記ユーザによる音楽演奏のセッションを可能とする仮想スタジオを複数の前記ユーザに提供することと、
ネットワークを介して前記仮想スタジオにアクセスした複数の前記ユーザが前記課題楽曲に取り組んだ演奏データをリアルタイムで取得することと、
前記記憶部に格納された前記演奏データのうち、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データと、前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏パートの前記演奏データとを重ね合わせて、複数の前記ユーザがそれぞれ保有するユーザ端末の前記表示部に表示させることと、
を実行し、
前記セッションにリアルタイムで参加する前記ユーザの前記演奏データは、オンラインという表示とともに前記表示部に表示させ、かつ、前記セッションに参加していない前記ユーザの前記演奏データは、前記ユーザ端末にネットワークを介して接続されるサーバに記憶されていたことを意味するサーバデータという表示と共に、前記表示部に表示させること、
を実行させる情報処理プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】