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  • 特開-支持装置及び制御プログラム 図1
  • 特開-支持装置及び制御プログラム 図2
  • 特開-支持装置及び制御プログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093110
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】支持装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20220616BHJP
【FI】
A47C7/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206214
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】畑中 有季
(72)【発明者】
【氏名】高久 由香里
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA02
3B084JE02
(57)【要約】
【課題】心地良い居住空間を提供する。
【解決手段】支持装置10は、居住空間において座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面12と、支持面12に複数設けられ、人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する温冷感デバイス20と、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する温度制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間において座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面と、
前記支持面に複数設けられ、前記人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する付与部と、
複数の前記付与部の温度を制御する温度制御部と、
を備える支持装置。
【請求項2】
前記支持面に設けられ、前記人の背面の荷重又は接触を検知する検知部を更に備え、
前記温度制御部は、前記検知部により検知された前記人の背面の荷重又は接触に応じて、複数の前記付与部の温度を制御する
請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記人の体格を推定する体格推定部を更に備え、
前記温度制御部は、前記体格推定部により推定された前記人の体格に応じて、複数の前記付与部の温度を制御する
請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記温度制御部は、前記人の骨、筋肉、血管、神経、又は経穴の位置に応じて、複数の前記付与部の温度を制御する
請求項3に記載の支持装置。
【請求項5】
前記温度制御部は、前記人の体の外側部位に近接する付与部の温度を、その他の付与部の温度よりも高くする
請求項3又は4に記載の支持装置。
【請求項6】
前記温度制御部は、前記人の体の内側部位に近接する付与部の温度を、その他の付与部の温度よりも低くする
請求項3から5のいずれかに記載の支持装置。
【請求項7】
前記温度制御部は、複数の前記付与部の温度を時間変化させる
請求項1から6のいずれかに記載の支持装置。
【請求項8】
前記温度制御部は、前記居住空間において当該支持装置が設けられた位置、当該支持装置の周囲の環境、時間、又は前記人の状態、滞在時間、若しくは滞在目的に応じて、複数の前記付与部の温度を制御する
請求項1から7のいずれかに記載の支持装置。
【請求項9】
前記付与部の前記人の背面に接触する面は、伸縮性を有する材料または複数の部材が接続され接続部が可動する構造体により構成される
請求項1から8のいずれかに記載の支持装置。
【請求項10】
当該支持装置は、前記居住空間を構成する建材、設備、又は機器に組み込まれる
請求項1から9のいずれかに記載の支持装置。
【請求項11】
コンピュータを、
居住空間において座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面に複数設けられ、前記人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する付与部の温度を制御する温度制御部
として機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人の姿勢を支えるための支持装置、及び支持装置を制御するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調設備が広く普及したことにより、居住空間の温度を外気温によらずに快適な温度に保てるようになっている。また、居住者が長い時間を過ごす居室や寝室には、ソファやベッドなど、居住者が座位や臥位でくつろぐことができる設備が設置されることが多い。快適な居住空間は、居住者の豊かな暮らしの基礎となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020-066564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の住宅や公共施設などの建物などにおいては、洗面室やトイレなどの滞在時間が比較的短いことが想定される場所には空調設備が設置されないことが多かった。本発明者らは、接触温冷感を付与する技術(例えば、特許文献1参照)を改良することにより、より快適で心地良い居住空間を提供する技術に想到した。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、心地良い居住空間を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の支持装置は、居住空間において座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面と、支持面に複数設けられ、人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する付与部と、複数の付与部の温度を制御する温度制御部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、制御プログラムである。このプログラムは、コンピュータを、居住空間において座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面に複数設けられ、人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する付与部の温度を制御する温度制御部として機能させる。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る支持装置の例を示す図である。
図2】実施の形態に係る制御装置の機能ブロックを示す図である。
図3図3(a)(b)は、制御パターンの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態において、居住空間で座位又は臥位をとる使用者の姿勢を支持するための支持装置を開示する。本実施の形態の支持装置は、座位又は臥位をとる人の背面を支えるための支持面に、温感又は冷感を付与するための付与部を複数設け、それぞれの付与部の温度を制御することにより、使用者の背面に接触温冷感を付与する。これにより、空調設備などが設けられていない場合であっても、使用者が快適に過ごすことが可能な環境を提供することができる。また、複数の付与部のそれぞれの温度を、使用者の体格や周囲の状態などに合わせてきめ細かく制御することができるので、より心地良い環境を提供することができる。
【0011】
図1は、実施の形態に係る支持装置の例を示す。支持装置10は、使用者が座るための座面11と、座面11に座った人の背面を支えるための支持面12と、支持面12に複数設けられ、人の背面の少なくとも一部に温感又は冷感を付与する付与部の一例である温冷感デバイス20と、支持面12に設けられ、人の背面の温度、荷重、又は接触を検知する検知部30と、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する制御装置100と、を備える。
【0012】
本実施の形態においては、支持装置10が洗面室に設けられる例について主に説明する。従来の一般的な住宅において、洗面室などの水回り空間は、使用者が洗顔したり、身支度を整えたり、入浴のために脱衣したり、入浴後に体のケアをして着衣したり、家事や作業などを行うために短時間滞在することが想定されていた。そのため、水回り空間には、空調設備や椅子などが設けられないことが多かった。
【0013】
しかし、本発明者らは、従来は短時間しか滞在しないことが想定されていた居住空間においても、使用者が体を休めてリラックスしたり、気分をリフレッシュしたりすることが可能となれば、使用者がどこにいても快適に過ごすことができ、より良い生活のリズムを生み出すことができるような居住空間を提供することができると考えた。とくに、起床時、外出前、帰宅時、入浴後、就寝前など、毎日の暮らしの中で節目となるタイミングで滞在する洗面室において使用者がリラックスしたりリフレッシュしたりすることができるようになれば、使用者が毎日の暮らしのリズムを整え、心身の状態をより良好に維持することが可能となる。
【0014】
使用者が座面11に座り、支持面12にもたれて椅座位をとると、制御装置100は、居住空間において支持装置10が設けられた部屋又は位置、支持装置10の周囲の環境、時間、支持装置10に座っている人の状態、滞在時間、若しくは滞在目的などに応じて、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する。
【0015】
例えば、洗面室に設けられた支持装置10に、朝の外出前の身支度をしている使用者が座った場合は、制御装置100は、温冷感デバイス20の温度を下げ、使用者の首周りに冷感を付与してもよい。これにより、使用者にすっきりとした爽快感を与え、気分をリフレッシュさせることができる。また、洗面室に設けられた支持装置10に、帰宅した使用者が座った場合は、制御装置100は、温冷感デバイス20の温度を上げ、使用者の肩周りに温感を付与してもよい。これにより、使用者を包み込むような温もりを与え、心身をリラックスさせることができる。
【0016】
また、洗面室に設けられた支持装置10に、入浴を終えた使用者が座った場合は、制御装置100は、温冷感デバイス20の温度を下げ、使用者の背面に冷感を付与してもよい。これにより、入浴後の使用者の火照った体を適度に冷やし、発汗を抑えることができるとともに、気分をリフレッシュさせることができる。また、洗面室に設けられた支持装置10に、就寝前の身支度を終えた使用者が座った場合は、制御装置100は、温冷感デバイス20の温度を上げ、使用者の背面に温感を付与してもよい。これにより、使用者の心身をリラックスさせ、快適な睡眠に誘うことができる。
【0017】
温冷感デバイス20は、少なくとも支持面12に複数設けられる。温冷感デバイス20は、座面11に設けられてもよい。温冷感デバイス20は、使用者が支持装置10に座ったときに、頭部、頸部、肩、背、腰、臀部、脚、足元など、温冷感を付与することにより効果的に快適さを感じさせることが可能な部位に近接する位置に設けられてもよい。温冷感デバイス20は、使用者の骨格、筋肉、血管、神経、経穴などの位置、分布、形状などに合った位置、数、形状で設けられてもよい。
【0018】
温冷感デバイス20は、ペルチェ素子やヒートポンプなどの技術により温度が制御されてもよいし、温冷水が内部に供給されることにより温度が制御されてもよい。温冷感デバイス20は、電熱線や導電性インクなどのヒーターにより昇温されてもよいし、発熱体、蓄熱体、蒸気などにより昇温されてもよい。
【0019】
温冷感デバイス20の、人の背面に接触する面は、伸縮性を有する材料により構成されてもよい。例えば、温冷感デバイス20の接触面は、ゴムや樹脂などのシート、メッシュ生地、スポンジやビーズなどの発砲体などにより構成されてもよい。また、人の背面に接触する面は、複数の部材が接続され、接続部が可動な構造体などにより構成されてもよい。これにより、人の背面に温冷感デバイス20の接触面を密着させることができるので、より効果的に接触温冷感を付与することができる。
【0020】
検知部30は、温度を検知するための温度センサ、接触を検知するための接触センサ、荷重を検知するための荷重センサなどを含んでもよい。温度センサにより検知された情報は、温冷感デバイス20の温度を制御するために用いられる。接触センサ又は荷重センサにより検知された情報は、温冷感デバイス20の温度の制御の要否を判定したり、座っている人の体格を判定したり、温冷感デバイス20の温度を制御したりするために用いられる。座っている人の背面の形状や温度などを的確に把握するために、支持面12のうち座っている人の背面が接触する範囲に、複数の検知部30が設けられてもよい。複数の検知部30は、格子状、直線上、曲線上、多角形の辺や頂点などに設けられてもよい。
【0021】
図1には、椅座位をとる人の姿勢を支持するために、座面11と支持面12を備える支持装置10の例を示したが、支持装置10は、他の姿勢を支持するものであってもよい。例えば、床やベッドなどに座って長座位又は半座位をとる人の姿勢を支持する場合、支持装置10は、座面11を備えず、背を支持するための支持面12を備えてもよい。また、床やベッドなどに寝て臥位をとる人の姿勢を支持する場合、支持装置10は、座面11を備えず、全身を支持するための支持面12を備えてもよい。
【0022】
支持装置10は、居住空間を構成する建材、設備、又は機器に組み込まれてもよい。例えば、座位をとる人の姿勢を支持するための支持装置10は、壁、扉、柱、階段などの建材や、棚や洗面台などの設備や、システムキッチンやシステム収納などに組み込まれてもよい。また、臥位をとる人の姿勢を支持するための支持装置10は、床やカーペットなどの建材や、ソファやベッドなどの設備などに組み込まれてもよい。これにより、居住空間を有効に活用して、快適性を向上させることができる。また、電源や配線などを建材、設備、機器などに埋め込むことができるので、デザイン性を向上させることができる。支持装置10は、居住空間を構成する建材などとは独立して構成されてもよい。これにより、支持装置10の位置を移動させることができるので、様々な場所で支持装置10を使用することができる。
【0023】
図2は、実施の形態に係る制御装置100の機能ブロックを示す。各ブロックは、ハードウェア的には、CPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等により実現される。ここでは、それらの連携により実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェアの組合せにより様々な態様で実現できる。
【0024】
制御装置100は、通信装置102、処理装置110、及び記憶装置150を備える。通信装置102は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置102は、有線又は無線の任意の通信技術を用いて、他の装置との間で通信を行ってもよい。
【0025】
記憶装置150は、体格データ保持部151、パターンデータ保持部152、及びユーザ情報保持部153を備える。
【0026】
体格データ保持部151は、人の体格に関するデータを保持する。体格データ保持部151は、例えば、標準的な人の頭部、頸部、肩、背、腰、臀部、脚、足元などの形状や位置関係を表すデータを保持する。体格データ保持部151は、複数の異なる体格のデータを保持してもよい。
【0027】
パターンデータ保持部152は、複数の温冷感デバイス20の温度の制御パターンを表すデータを保持する。制御パターンは、複数の温冷感デバイス20のそれぞれの温度の分布及び時間変化を表す。パターンデータ保持部152は、居住空間において支持装置10が設けられた位置、支持装置10の周囲の環境、支持装置10に座っている人の状態、滞在時間、滞在目的などの条件と、その条件に合った温冷感デバイス20の温度の制御パターンとを対応付けて保持する。
【0028】
ユーザ情報保持部153は、使用者に関する情報を保持する。ユーザ情報保持部153は、例えば、使用者の年齢、性別、職業、スケジュール、起床時間、外出時間、帰宅時間、就寝時間、居住空間における行動の特徴、趣味、家族構成、居住地などの属性情報を保持する。
【0029】
処理装置110は、検知情報取得部111、体格推定部112、関連情報取得部113、及び温度制御部114を備える。
【0030】
検知情報取得部111は、温度センサ、接触センサ、及び荷重センサにより検知された情報を取得する。
【0031】
体格推定部112は、検知情報取得部111により取得された情報に基づいて、支持装置10に座っている人の体格を推定する。体格推定部112は、温度、接触位置、又は荷重の分布に基づいて、体の輪郭を推定してもよい。体格推定部112は、体格データ保持部151に保持されたデータを参照して、肩や腰などの位置を特定し、特定した位置を起点として、骨、筋肉、血管、神経、経穴などの位置を特定してもよい。
【0032】
関連情報取得部113は、温冷感デバイス20の温度を制御するために参照される関連情報を取得する。関連情報取得部113は、例えば、居住空間において支持装置10が設けられた位置、支持装置10の周囲の環境、支持装置10に座っている人の状態、滞在時間、滞在目的などの情報を取得する。関連情報取得部113は、例えば、外気温、室温、天気、湿度、明るさ、音などの環境に関する情報や、人の体温、心拍数、血圧、健康状態、疲労度、行動、予定などの人に関する情報などを取得してもよい。関連情報取得部113は、気象情報などを提供するサーバから情報を取得してもよいし、使用者が使用する携帯端末などから情報を取得してもよい。
【0033】
温度制御部114は、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する。温度制御部114は、関連情報取得部113により取得された関連情報に基づいて、パターンデータ保持部152に保持された制御パターンの中から、最適な制御パターンを選択する。温度制御部114は、選択された制御パターンにしたがって、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する。
【0034】
温度制御部114は、体格推定部112により推定された体格に応じて、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する。温度制御部114は、座っている人の骨、筋肉、血管、神経、又は経穴の位置に応じて、複数の温冷感デバイス20の温度を制御する。例えば、これらの部位に選択的に温感を付与することにより、心身をリラックスさせてもよい。また、これらの部位に選択的に冷感を付与することにより、心身をリフレッシュさせてもよい。
【0035】
温度制御部114は、人の体の外側部位に近接する温冷感デバイス20の温度を、その他の温冷感デバイス20の温度よりも高くしてもよい。ここで、「外側」は、人体の正中面から遠い側をいう。例えば、肩の周囲の温度をより高くして温感を付与してもよい。これにより、使用者の心身をリラックスさせることができる。
【0036】
温度制御部114は、人の体の内側部位に近接する温冷感デバイス20の温度を、その他の温冷感デバイス20の温度よりも低くしてもよい。ここで、「内側」は、人体の正中面に近い側をいう。例えば、首の周囲の温度をより低くして冷感を付与してもよい。これにより、使用者の心身をリフレッシュさせることができる。
【0037】
図3(a)(b)は、制御パターンの例を示す。図3(a)(b)に示す例では、複数の温冷感デバイス20が格子状に支持面12に配置されている。また、背中の中央付近に近接する温冷感デバイス20の温度を高くし、肩の周囲に近接する温冷感デバイス20の温度を更に高くする制御パターンが選択されている。図3(a)に示すように、比較的体格の大きい人が支持装置10に座った場合、温度制御部114は、体格推定部112により推定された使用者の体格を基準として、制御パターンにしたがい、使用者の背中の中央付近に近接する温冷感デバイス20の温度を高く、使用者の肩の周囲に近接する温冷感デバイス20の温度を更に高く制御する。図3(b)に示すように、比較的体格の小さい人が支持装置10に座った場合も、温度制御部114は、体格推定部112により推定された使用者の体格を基準として、制御パターンにしたがい、使用者の背中の中央付近に近接する温冷感デバイス20の温度を高く、使用者の肩の周囲に近接する温冷感デバイス20の温度を更に高く制御する。
【0038】
温度制御部114は、検知情報取得部111により取得された人の背面の荷重又は接触に応じて、複数の温冷感デバイス20の温度を制御してもよい。例えば、温冷感デバイス20の温度を上げる際に、支持面12に対する荷重が高い部位や接触面積の広い部位の温冷感デバイス20の温度を、他の温冷感デバイス20の温度よりも低くしてもよい。これにより、温冷感デバイス20に密着している部位の温度が上がり過ぎないようにすることができるので、発汗や蒸れなどによる不快感を抑えることができる。逆に、支持面12に対する荷重が低い部位や接触していない部位の温冷感デバイス20の温度を、他の温冷感デバイス20の温度よりも高くしてもよい。これにより、温冷感デバイス20に密着していない部位にも効果的に温感を付与することができる。温冷感デバイス20の温度を下げる場合も同様である。
【0039】
温度制御部114は、複数の温冷感デバイス20の温度を所定のパターンで時間変化させてもよい。温冷感デバイス20の温度を長時間一定に維持すると、感覚が慣れてしまって温感や冷感を感じにくくなる。したがって、温度制御部114は、ランダムに、又は定期的に、温冷感デバイス20の温度を時間変化させてもよい。これにより、より効果的に温感又は冷感を付与することができる。
【0040】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0041】
実施の形態では、温冷感デバイス20が支持面12に固定的に設けられたが、別の例では、温冷感デバイス20を可動に設けられてもよいし、変形可能な温冷感デバイス20が設けられてもよい。この場合、温度制御部114は、体格推定部112により推定された体格に合わせて温冷感デバイス20を移動又は変形させてもよい。
【0042】
実施の形態では、接触センサや荷重センサなどを用いて、支持装置10に座った人の体格を推定したが、別の例では、カメラなどの非接触の検知技術を用いて体格を推定してもよいし、使用者の体格を表すデータを予め登録しておき、支持装置10に座った人を識別することにより体格を取得してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 支持装置、11 座面、12 支持面、20 温冷感デバイス、30 検知部、100 制御装置、102 通信装置、110 処理装置、111 検知情報取得部、112 体格推定部、113 関連情報取得部、114 温度制御部、150 記憶装置、151 体格データ保持部、152 パターンデータ保持部、153 ユーザ情報保持部。
図1
図2
図3