(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022093152
(43)【公開日】2022-06-23
(54)【発明の名称】修正液
(51)【国際特許分類】
C09D 10/00 20060101AFI20220616BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220616BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20220616BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20220616BHJP
【FI】
C09D10/00
C09D7/61
C09D7/20
C09D7/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020206280
(22)【出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】倉賀野 朝子
(72)【発明者】
【氏名】内野 昌洋
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CB182
4J038GA03
4J038HA216
4J038HA286
4J038HA436
4J038HA456
4J038HA526
4J038JB13
4J038JB24
4J038KA06
4J038MA14
4J038NA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、良好な塗膜が形成できる修正液を提供する。
【解決手段】酸化チタンと、炭化水素溶剤と、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物と、炭化水素溶剤に可溶な樹脂とからなる修正液。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンと、炭化水素溶剤と、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物とを少なくとも含有する修正液。
【請求項2】
前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が表面に水酸基を有することを特徴とする請求項1に記載の修正液。
【請求項3】
前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウム、酸化チタン、窒化ケイ素から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の修正液。
【請求項4】
前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物との重量比が5以上1500以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の修正液。
【請求項5】
前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウムであり、乾式シリカとの比重差が0.7以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の修正液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誤字などに対して覆うように塗布して誤字を隠蔽し、その上に新たに文字等を再筆記できるようにする修正液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、修正のために誤字等を被覆して隠蔽させる手段として、高い隠蔽性を備えることが知られている酸化チタンが多く使われている。酸化チタンは比重が高いので沈降し易く、沈降した酸化チタンは経時的にハードケーキと呼ばれる硬い沈降層となり、容器を振とうしただけでは再分散できないものになってしまうため、酸化チタンを使用した修正液やマーカー用インキは容器の中に金属やガラス製の攪拌体を入れ、使用前に容器を振り、沈降した酸化チタンを再分散して使用するものであった。
特許文献1には、このような酸化チタンを隠蔽材として使用した修正液に、再分散性の向上のために乾式法により得られた無水シリカを使用したものが開示されている。
また、特許文献2には、修正液としても使用できる白色インキとして、再分散性の向上のために針状粒子を使用したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-152097号公報
【特許文献2】特開2012-131927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、特許文献2に開示されている修正液や白色インキは、酸化チタンの再分散性を向上させる働きはあるものと考えられる。しかしながら市販品を使用するユーザーにおいては、再分散性が良いという印象があまり得られていないことが判明し、本発明者らの詳細なる研究の結果、新たに修正液の使用のされ方に起因する問題が明らかになった。
すなわち、通常、修正液の使用方法は、容器内に修正液と共に収容された金属棒などの攪拌体を容器を振とうするなどして動かし、容器内の修正液を攪拌してから塗布作業がなされることが多いが、この攪拌してからの塗布と、不使用静置の状態とが繰り返されることと共に、誤字の場面しか使用されないことに起因して不使用静置の状態がある程度の長時間になることが多く、この攪拌、塗布使用してある程度長期の再静置がなされることが繰り返された場合に、次第に使用時に容器を数回振る程度では酸化チタンの十分な分散状態が形成されず、薄い液のみが吐出されたり、粘稠物が吐出されたりして、均一な塗膜が形成されず、結果として誤記などに対する隠蔽性が不十分となってくることがあった。これは、各使用回では攪拌しきれなかったり攪拌が不十分な状態が蓄積されるなどして沈降層が次第にハードケーキ化してくる現象が起こるものと考えられ、特許文献1、特許文献2を含む従来の修正液においては、一度きりの長期経時における再分散性などしか評価していなく、繰り返し使用における問題には着目していないものであった。
【0005】
本願発明は、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、良好な塗膜が形成できる修正液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、酸化チタンと、炭化水素溶剤と、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物とを少なくとも含有する修正液を第一の要旨とし、前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が表面に水酸基を有することを第二の要旨とし、前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウム、酸化チタン、窒化ケイ素から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物であることを第三の要旨とし、前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物との重量比が5以上1500以下であることを第四の要旨とし、前記長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウムであり、乾式シリカとの比重差が0.7以下であることを第五の要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトは、炭化水素溶剤中で鎖が枝分かれしたように繋がり外力に応じて部分的に凝集と分散を繰り返す緩い凝集体を形成する物質として知られているが、そのような緩い凝集体の中に長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が存在することによって、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトによる凝集体の構造が均一にならず、全体として粗密がある複合的な構造を形成するものと推察される。長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子は、その形状が他の粒子と大きく異なり、また、乾式シリカ等上記の物質に対して十分に粗大な関係にあり、密になるような固い凝集構造を形成することを抑制すると共に、かき混ぜ効果により外力の影響を凝集状態に大きく作用させる働きも発揮され、結果的に流動しやすい複合凝集構造となるものと推察され、酸化チタンが密に凝集するハードケーキ化を抑制すると共に、上記複合凝集構造が支配的に酸化チタンの分散状態を長期的に維持しつつも、緩やかで攪拌され易い凝集体となり、攪拌、塗布使用して再静置されることが繰り返された場合でも、攪拌体による押し固め作用も受けずにハードケーキ化を防止し、薄い液のみが吐出されたり、粘稠物が吐出されたりすることもなく、誤記を確実に隠蔽する均一な塗膜が形成されるものである。
更に、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が表面に水酸基を有するものとすることで、該粒子が乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトと水素結合を形成するものと推察され、酸化チタンのハードケーキ化をより抑制するものとなる。
更に、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が、有機系の物質より剛性のある炭酸カルシウム、酸化チタン、窒化ケイ素から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物であることにより、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトとの複合的な緩やかな凝集構造に対するかき混ぜ効果が効率的に発揮され易いものとすることができる。
また、修正液中における、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物との重量比が5以上1500以下であることによって、酸化チタンを分散した状態として維持しつつも、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトの凝集体中に効率よく存在して、より緩やかで攪拌され易い複合凝集構造を形成すると共に、攪拌効果を効率性が高いものとすることができ、より好ましいものとなる。
更に、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウムであり、乾式シリカとの比重差が0.7以下であることにより、複合凝集構造から沈降速度の差による分離が起きにくく該粒子や乾式シリカが分離されること防ぎ、複合凝集構造が維持され易く、上記の緩やかな凝集による効果やかき混ぜ効果が効率的に発揮され易いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の修正液に使用する酸化チタンは、隠蔽力の高い白色顔料であり、表面をアルミナやシリカなどで処理されたものも使用することができる。酸化チタンの具体例としては、TITONE SR-1、同R-650、同R-62N、同R-42、同R-7E、同R-21、同R-25、同R-32、同R-5N、同R-45M、同TCR-10(以上、堺化学工業(株)製)、クロノスKR-310、同KR-380、同480(以上、チタン工業(株)製)、タイピュアR-900、同R-902、同R-960、同R-931(以上、デュポン・ジャパン・リミテッド製)、TITANIX JR-301、同JR-805、同JR-806、同JR-603、同JR-800、同JR-403、同JR-701、同JRNC、同JR-605(以上、テイカ(株)製)、TIPAQUE R-820、同R-830、同R-550、同R-780、同R-780-2(以上、石原産業(株)製)などが挙げられる。これらの酸化チタンは、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。添加量は、修正液全量に対し、20重量%以上60重量%以下であると、隠蔽性の点で好ましい。
【0010】
炭化水素溶剤は、修正液の粘度を調製するために使用するもので、具体的には、ノルマルペンタン(沸点36.0℃)、シクロペンタン(沸点49.2℃)、メチルシクロペンタン(沸点71.8℃)ノルマルヘキサン(沸点68.7℃)、2-メチルペンタン(沸点60.2℃)、3-メチルペンタン(沸点63.2℃)、2,2-ジメチルブタン(沸点49.7℃)、2,3-ジメチルブタン(沸点58.0℃)、ノルマルヘプタン(沸点98.4℃)、2-メチルヘキサン(沸点90.0℃)、3-メチルヘキサン(沸点91.8℃)、2,2-ジメチルヘキサン(沸点79.2℃)、2,3-ジメチルペンタン(沸点89.7℃)、2,4-ジメチルペンタン(沸点80.5℃)、3,3-ジメチルペンタン(沸点86.0℃)、3-エチルペンタン(沸点93.4℃)、2,2,3-トリメチルブタン(沸点80.0℃)、ノルマルオクタン(沸点125.6℃)、4-メチルヘプタン(沸点117.7℃)、2-メチルヘプタン(沸点117.6℃)、3-メチルヘプタン(沸点118.9℃)、2,2-ジメチルヘキサン(沸点108.8℃)、2,3-ジメチルヘキサン(沸点115.6℃)、2,4-ジメチルヘキサン(沸点109.4℃)、2,5-ジメチルヘキサン(沸点109.1℃)、3,3-ジメチルヘキサン(沸点111.9℃)、3,4-ジメチルヘキサン(沸点117.7℃)、3-エチルヘキサン(沸点118.5℃)、2,2,3-トリメチルペンタン(沸点109.8℃)、2,2,4-トリメチルペンタン(沸点99.2℃)、2,3,3-トリメチルペンタン(沸点114,7℃)、2,3,4-トリメチルペンタン(沸点113,4℃)、2-メチル-3-エチルペンタン(沸点115.6℃)、3-メチル-3-エチルペンタン(沸点118.2℃)、シクロヘキサン(沸点80.0℃)、メチルシクロヘキサン(沸点100.9℃)、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)等の脂肪族炭化水素溶剤などが挙げられる。市販されている具体例としては、マルカゾールFH(シクロペンタン、丸善石油化学(株)製)、メチルシクロヘキサン(三協化学(株)製)、エクソールDSP 100/140(環状の脂肪族炭化水素溶剤、初留点102℃、乾点138℃)(エクソンモービル(米国)製)が挙げられる。2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタンは、イソヘキサンと総称され、市販されている具体例としては、高純度イソヘキサン(三協化学(株)製)が挙げられる。2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、2,2,3-トリメチルブタンは、イソヘプタンと総称され、市販されている具体例としては、イソヘプタン(東京化成工業(株)製)が挙げられる。4-メチルヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,3-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、3-エチルヘキサン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,3,4-トリメチルペンタン、2-メチル-3-エチルペンタン、3-メチル-3-エチルペンタンは、イソオクタンと総称され、市販されている具体例としては、マルカゾール8(丸善石油化学(株)製)、イソオクタン(三協化学(株)製)が挙げられる。これらの炭化水素溶剤は、塗膜の乾燥性を考慮すると沸点40~150℃のものが好ましい。これらの炭化水素溶剤は、単独もしくは混合して使用可能であり、その使用量は修正液全量に対して、30~60重量%であると良好な塗布性が得られるので、好ましい。
【0011】
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子は、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物と併用することで、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、良好な塗膜が形成できる修正液を提供できる。
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子としては、窒化ケイ素ウィスカー、炭化ケイ素ウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ウィスカー状炭酸カルシウム、ウィスカー状酸化チタン、アルミナ径ウィスカー、マグネシアウィスカー、ムライトウィスカー、ホウ酸マグネシウムウィスカー、ホウ化チタンウィスカー、アルミナ及びアルミナシリカ短繊維、シリカ短繊維、ジルコニアファイバー(短繊維)、カオリン系セラミックス短繊維などが挙げられる。市販されている具体例としては、FTL-100(長径1.68μm、短径0.13μm、アスペクト比12.9、比重4.2、表面に水酸基を有する酸化チタン)、FTL-200(長径2.86μm、短径0.21μm、アスペクト比13.6、比重4.2、表面に水酸基を有する酸化チタン)、FTL-300(長径5.15μm、短径0.27μm、アスペクト比19.1、比重4.2、表面に水酸基を有する酸化チタン)(以上、石原産業(株)製)、ウイスカルA(長径20μm、短径1μm、アスペクト比20.0、比重2.86、表面に水酸基を有する炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製)、Silar(長径40μm、短径0.55μm、アスペクト比72.7、比重3.2、表面に水酸基を有する炭化ケイ素、Haydale Technologies Inc(英国)製)、窒化ケイ素ウィスカー(長径170μm、短径1.3μm、アスペクト比130.7、比重3.18、表面に水酸基を有する窒化ケイ素、タテホ化学工業(株)製)などが挙げられる。なお、上記の粒子を遊星型ボールミル等を用いて破砕することで、粒子の長径とアスペクト比を調整することもできる。長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子の使用量が、修正液全量に対して5重量%以上15重量%以下であると、修正液の中で攪拌効果を発揮できる程度に存在すると共に、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトの凝集体の中で流動しやすい複合凝集構造を形成し易いと考えられ、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても良好な塗膜の形成が維持し、修正液の安定した吐出も得られ好ましい。長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上131以下であると、流動性が良好で、粒子が剛性を有して壊れにくく、良好な攪拌効果を維持できるので好ましく、さらに、長径が5μm以上40μm以下、短径が0.2μm以上1μm以下、アスペクト比(長径/短径)が8以上73以下であると、さらに流動性が良く、粒子が壊れにくく、良好な攪拌効果をさらに維持できるので特に好ましい。長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子は、その周囲で凝集体を形成する乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物の1次粒子の平均粒子径が7nm以上30nm以下であると十分に粗大な粒子径の関係のものとなり、かき混ぜ効果により外力の影響を凝集状態に大きく作用させる働きも効率よく発揮されることなる。
【0012】
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が表面に水酸基を有するものであると、該粒子が乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトと水素結合を形成するものと推察され、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトの凝集体とによる全体として粗密がある複合的な構造が維持され易く、緩やかで攪拌され易い凝集状態を維持し、攪拌、塗布使用して再静置されることが繰り返された場合に、薄い液のみが吐出されたり、粘稠物が吐出されたりすることもなく、均一で誤記を確実に隠蔽する塗膜が形成される。
【0013】
乾式シリカは、四塩化ケイ素を気相中で燃焼加水分解(乾式法)して作られるものであって、ケイ酸ナトリウムと酸との反応(湿式法)で生成するホワイトカーボン、シリカゲル等の湿式シリカとは構造と性質を異にする。乾式シリカは、一次粒子で内部表面積を持たないので嵩密度が低く(嵩比重:30~60g/L)、1次粒子径も小さい(平均1次粒子径:7~40nm)。なお、湿式シリカは、非常に大きな内部表面積を持ち、嵩比重が比較的高く(130~400g/L)、1次粒子径も大きい(平均1次粒子径:150~7000nm)。更に、乾式シリカは、粒子表面のシラノール基同士の水素架橋結合により、炭化水素溶剤中で鎖が枝分かれしたように繋がり外力に応じて部分的に凝集と分散を繰り返す緩い凝集体を形成する。
乾式シリカの具体例としては、アエロジル130(1次粒子の平均粒子径16nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同200(1次粒子の平均粒子径12nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同300(粒子径7nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同380(1次粒子の平均粒子径7nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同R972(表面をメチル基で覆い、疎水化した疎水性乾式シリカ、1次粒子の平均粒子径16nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同50(1次粒子の平均粒子径30nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同RX200(表面をメチル基で覆い、疎水化した疎水性乾式シリカ、1次粒子の平均粒子径12nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同R976-S(表面をメチル基で覆い、疎水化した疎水性乾式シリカ、1次粒子の平均粒子径7nm、嵩比重50g/L、比重2.2)、同R972CF(表面をメチル基で覆い、疎水化した疎水性乾式シリカ、粒子径16nm、嵩比重30g/L、比重2.2)、同TT600(粒子径40nm、嵩比重60g/L、比重2.2)(以上、日本アエロジル(株)製)などが挙げられる。乾式シリカの使用量は、吐出性や薄い塗膜を形成して乾燥性も良好な修正液とするために、修正液全量に対して0.01~1重量%とすることができる。表面をメチル基で覆い疎水化した疎水性乾式シリカであると、炭化水素溶剤に濡れやすく、安定な凝集粒子を形成できるので好ましい。
【0014】
脂肪酸アマイドは、脂肪酸とアミンからなる有機アマイドワックスであり、その具体例として、A670-20M、A671-EZ、6820-20M、6820-10M、FS-6010(以上、楠本化成(株)製)などが挙げられる。脂肪酸アマイドの使用量は、修正液全量に対して0.01~1.5重量%とすると、吐出し易く、塗膜が薄く形成することができ、塗膜が乾燥し易く、良好な修正液とすることができる。
【0015】
変性ウレアは、ウレア基と低極性基が長く連結した構造からなる物質であり、その具体例として、BYK-410、BYK-411、BYK7411ES(以上、BYK-Chemie(独国)製)などが挙げられる。変性ウレアの使用量は、修正液全量に対して0.01~1重量%とすると、吐出し易く、塗膜が薄く形成することができ、塗膜が乾燥し易く、良好な修正液とすることができる。
【0016】
酸化ポリエチレンは、ポリエチレンを酸化処理し極性基を導入したワックスであり、その具体例として、PF-920、PF-911、PF-930、4401-25M(以上、楠本化成(株)製)などが挙げられる。酸化ポリエチレンの使用量は、修正液全量に対して0.01~1重量%とすると、吐出し易く、塗膜が薄く形成することができ、塗膜が乾燥し易く、良好な修正液とすることができる。
【0017】
ベントナイトは、4級アンモニウムカチオンなどで有機変性した有機ベントナイトであると、炭化水素溶剤に濡れやすく、安定な凝集粒子を形成できるので好ましい。有機ベントナイトの具体例として、エスベンN-400、エスベンW、エスベンNX、エスベンNX80、エスベンNZ、エスベンNZ70(以上、(株)ホージュン製)、CLAYTONE-AF、CLAYTONE-APA、CLAYTONE-HY(以上、BYK-Chemie(独国)製)などが挙げられる。ベントナイトの使用量は、修正液全量に対して0.01~1重量%とすると、吐出し易く、塗膜が薄く形成することができ、塗膜が乾燥し易く、良好な修正液とすることができる。
【0018】
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物との修正液中における重量比が5以上1500以下であると、酸化チタンを分散した状態として維持しつつも、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトの凝集体中に効率よく存在して、より緩やかで攪拌され易い複合凝集構造を形成すると共に、攪拌効果を効率性が高いものとすることができるので好ましい。なお、上記重量比は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子の修正液中における重量を、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物の修正液中における重量で除して計算した値である。
【0019】
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と乾式シリカとの修正液中における体積占有率の比が3.8以上1153.8以下であることによって、乾式シリカ表面のシラノール基が、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と水素結合を形成し、複合的な構造を再現性高く形成でき、酸化チタンを分散した状態として維持しつつも、より緩やかで攪拌され易い凝集体であると共に、攪拌効果を効率性が高いものとすることができるので好ましい。
本発明における体積占有率の比とは、下記の計算式1にて求められる。
計算式1:
配合物Aと配合物Bの体積占有率の比=(修正液中の配合物Aの質量/配合物Aの比重)/(修正液中の配合物Bの質量/配合物Bの比重)
【0020】
長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウムであり、乾式シリカとの比重差が0.7以下であると、緩やかで攪拌され易い凝集状態を維持し、複合構造体から該粒子や乾式シリカが分離されること防ぎ、上記の緩やかな凝集による効果やかき混ぜ効果が効率的に発揮され易いものとすることができるものと推察され、上記の緩やかな凝集による効果やかき混ぜ効果が効率的に発揮され易いものとすることができるので好ましい。
【0021】
これら必須の配合物の他に、種々の目的のために他の物質を配合することができる。
炭化水素溶剤に可溶な樹脂を顔料の分散や修正液の紙面等への定着のため使用することができる。炭化水素溶剤に可溶な樹脂としては、マレイン酸樹脂、アルキッド樹脂、熱可塑性エラストマー、石油樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂なども使用できる。顔料分散性、紙面への定着性などを考慮するとアクリル系の樹脂が好ましい。アクリル系樹脂として、各種モノマーの共重合体が使用できる。使用可能なモノマーは、アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ノルマルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メタクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、オレイルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、アミノ基を含有するモノマーとしては、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジ-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジシクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,Nジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドN,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエン、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N-チロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。炭化水素溶剤に可溶な樹脂の使用量は樹脂固形分量が修正液全体の3~15重量%であると再筆記可能である十分な定着性が得られるので好ましい。
【0022】
更に、修正液の色調を合わせるために白色、黒色または有彩色の顔料を併用したり、隠蔽力を向上させるために体質顔料、樹脂粒子なども使用することもできる。具体例としては、球状、塊状の粒子としては、炭微粒子酸化チタン、架橋ポリメタクリル酸メチル、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、湿式シリカ、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、板状の粒子としては、マイカ、タルク、窒化ホウ素、二硫化モリブデンなどがある。ケイ酸アルミニウムとしては、キョーワード700(ケイ酸アルミニウム、協和化学工業(株)製)が挙げられる。着色顔料として、黄色酸化鉄と低次酸化チタンは、酸化チタンと比べ比重差が少ないので、沈降速度の差が少なくて色調が変化しにくいので好ましい。黄色酸化鉄は黄色の顔料で、市販の黄色酸化鉄としては、タロックスLL-XLO、同LL-100、同LEMON、同HY-100、同HY-200、同HY-250(以上、チタン工業(株)製)、バイフェロックス415、同420、同1420、同3420、同1420M、同910、同920、同930、同940、同943、同960、同3905、同3910、同3920、同3950、同920Z、同1920(以上、バイエル(株)製)、YP-200N、YP-100N、YP-50N(以上、利根産業(株)製)などが好ましく挙げられる。また、これらの黄色酸化鉄は単独もしくは2種以上併用して使用可能であり、その使用量は、修正液全量に対して0.01~5重量%が好ましい。低次酸化チタンは黒色顔料であり、市販の低次酸化チタンとしては、黒色導電性酸化チタンM-1、同S-1(以上、石原産業(株)製)、Tilack D(赤穂化成(株)製)が挙げられる。また、これらの低次酸化チタンは単独もしくは2種以上併用して使用可能であり、その使用量は、修正液全量に対して0.01~5重量%が好ましい。その他の顔料として、PV FAST YELLOW H2G(C.I.Pigment Yellow)、PV FAST YELLOW H3R-LHC(C.I.Pigment Yellow 181)、PV FAST BLUE BG(C.I.Pigment Blue 15:3)(以上、クラリアントケミカルズ(株)製)、T-18Nシグナルグリーン(緑色蛍光顔料、DayGlo社(米国))、クロモファインレッド6820(C.I.Pigment Violet 19、大日精化工業(株)製)なども使用できる。
【0023】
酸化チタンや顔料等の分散安定性の為に、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリカルボン酸高分子などの陰イオン性界面活性剤、ポリエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩などの分散剤を添加することが出来る。
【0024】
本発明の修正液は、上記各成分をボールミル、アトライター、サンドグラインダー、インペラー等の攪拌分散機を使用して分散混合することによって得られる。
【0025】
添付図面に基づき本発明の修正液を好ましく使用する塗布具の一例について説明する。ただし、寸法、材質、形状、その相対的配置等は、これに限定されず、本発明の修正液は、他の塗布具構造として、刷毛式のつけ筆タイプの塗布具や、ボールペン先タイプの塗布具、修正液タンクが予め圧縮空気が内蔵されているなどしている加圧式タイプの塗布具などにも充填して使用することもできる。
【0026】
図1及び
図1のI部拡大図である
図2に示した通り、修正液1を収容する可撓性を有したポリアミド樹脂製のブロー成形品よりなる有底筒状の後軸2と、吐出口3aを開口して修正液1を外部に吐出させるための切削加工したステンレス製のチップ3と、後軸2とチップ3を中継して接続するポリブチレンテレフタレート樹脂製の射出成形品よりなる前軸4と、自己潤滑性に優れたポリアセタール樹脂製の射出成形品よりなる塗布体6により構成されている。
塗布具の使用状態を示す斜視図である
図3に示したように、吐出された修正液の塗膜5は、塗布体6によってより効果的に平滑に塗膜を形成させることができるものである。
【0027】
後軸2は、形状が変形可能な可撓性を有したものとなっており、修正液1を吐出させる際に、把持した手で強く握るなどの押圧変形により、後軸2の内部を圧縮加圧させ、修正液1を開口した吐出口3aへ供給するよう成してある。もちろん、後軸2の内部を圧縮加圧させる手段は、本例のものに限られるものではなく、後端をノックして後軸2の内部を加圧させるようなポンプ加圧機構など、塗布具の仕様に応じて適宜設定できる。更に、材質としては、修正液1に反応せず、形状が変形可能な可撓性を有したものであればよく、本例のようなポリアミド樹脂に限られるものではなく、ポリアセタール樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、フッ素樹脂などにより成してもよい。また、後軸2の内部には、容器を振とうさせるなどして修正液1を攪拌可能な炭素鋼よりなる攪拌体7が収容されている。本例では、攪拌体7に棒状の炭素鋼を一つ配置したが、材質や形状、攪拌体7の個数などは、修正液1の配合成分や後軸2の大きさや形状に併せて適宜設定される。特に、後軸2の内部に収容される修正液1に対して比較的比重が大きく、且つ反応性のないものであれば、修正液を効率的に攪拌することができる。
【0028】
前軸4は、貫通孔を有し、後軸2とチップ3を連通させて後軸2に収容した修正液1をチップ3の吐出口3aから吐出するための、所謂後軸2とチップ3の中継のために配置している。本例のものは前軸4と後軸2を着脱可能なねじ螺合により接合させ、製造時の修正液1の充填や、使用後の修正液1補充を可能としているが、前軸4は、貫通孔を有していれば、製造時の修正液1の充填手段などに応じては、後軸2及びチップ3の接合手段は螺合や圧入に限られるものではなく、接合部分からの修正液1の溶剤分の揮発や流出を密閉によって抑制し得るものであれば、後軸2を圧入によって接合したり、後軸2及び/又はチップ3を溶融や接着剤により接着したり成してもよい。前軸4の材質としては、本例のようなポリブチレンテレフタレート樹脂製の射出成形品に限られるものではなく、修正液1と反応せず後軸2とチップ3を中継し得るものであればよく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂のほか、金属や硝子などにより成してもよい。また、図示はしないが前軸4には、未使用時における修正液1の乾燥によって、使用時おけるチップ3の吐出口3aの開口の妨げを抑制するためのキャップが、チップ3及び塗布体6を被覆して外気を遮断するように配置される。更に、前軸4は、貫通孔を有して後軸1とチップ3の中継を成すものであるので、後軸1とチップ3及び塗布体6が接合可能であり、前述のキャップがチップ3及び塗布体6を被覆して外気を遮断するように着脱可能に配置されるものであれば、前軸4を必ずしも配置させる必要はない。なお、キャップは必ずしも使用する必要はなく、未使用時にできた修正液1の乾燥物を使用時に破壊してチップ3の吐出口3aを開口して修正液1を吐出可能とさせるものとしてもよい。
【0029】
チップ3の内部は、非使用時には、弾性部材として修正液1が吐出口3aから外部へ滲み出ない強度のコイルスプリング8の設置により、芯体9が閉塞部3bに付勢され圧接して吐出口3aを閉塞し、芯体9の後退により閉塞部3bとの圧接を解除する、所謂弁機構となっている。この芯体9の先端部9aは、使用時に被塗布面に接触して押圧され後退し、弾性部材であるコイルスプリング8による圧接を解除して吐出口3aを開口させるため、塗布体6の突起部6aの先端部6bよりも被塗布面側に突出するように成してある。また、芯体9が被接触面に接触して押圧された際に開口する吐出口3aの大きさは、修正液1が吐出された際、塗膜5をより効果的に平滑に形成させ得るに好ましい量になるよう設定してあるが、塗布体6の形状や大きさ、吐出量の仕様に応じて適宜設定される。なお、本例ではステンレス製のコイルスプリング8、切削加工したステンレス製チップ3及び芯体9を使用したが、修正液1と反応性やシール性、吐出口3aの開閉に支障を生じないものであれば、本例の材質や切削加工などに限られるものではなく、これらの各部品若しくは一部の部品をポリアセタール樹脂やポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、フッ素樹脂などによる射出成形品により成してもよい。
【0030】
塗布体6は、チップ3の吐出口3aと径方向に略同一線上の基部6cから、互いに向かい合い平行となる位置に、突起部6aが二本配置されている。これにより、使用時において芯体9が被接触面に接触し、吐出口3aが開口した際、この塗布体6の突起部6aと基部6c及び被接触面に囲まれた箇所に修正液1が広がる。
図3の塗布具の使用状態を示す斜視図で示したように、塗布体6の突起部6aと基部6c及び被接触面に囲まれた箇所に修正液1が広がった状態のままで塗布を行うことにより、極めて均一に修正液1の塗膜5が形成されることとなり、修正液1の塗膜5をより効果的に、且つ平滑に形成させることができ得る。また、本例の塗布体6は、自己潤滑性に優れたポリアセタール樹脂製の射出成形品にて形成し、且つ突起部6aの被接触面に当接する箇所を曲面状とすることで、被接触面との引っかかりや摩擦抵抗を抑制して、より滑らかに塗布しやすいものとしてあるが、修正液1に反応しないものであれば、材質ではポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂のほか、金属や硝子などであってもよい。更には、突起部6aが塗布体6とは別の部品として取り付けるものであってもよいし、突起部6aの形状も曲面状に限られるものでなく、塗布具の仕様に応じて材質や形状は適宜設定できる。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0032】
(修正液の作製)
下記表1~10に実施例1~41及び比較例1~10の修正液と、後述の各種試験をした結果を示す。
各実施例及び比較例の修正液は、粒子1~14を除く各成分を遊星型ボールミル(遊星型ボールミルカルテットP-5、フリッチュ社(独国)製)、φ2mmビーズ、250rpmで30分間分散処理し、表に対応した粒子1~14を添加し、スリーワンモーターで1時間攪拌し、修正液を得た。配合物としては、具体的には下記のものを使用した。
【0033】
<酸化チタン>
酸化チタン-1:TITONE R-7E(酸化チタン、堺化学工業(株)製)
酸化チタン-2:TITONE R-62N(酸化チタン、堺化学工業(株)製)
酸化チタン-3:TITANIX JR-800(酸化チタン、テイカ(株)製)
酸化チタン-4:TITANIX JR-805(酸化チタン、テイカ(株)製)
酸化チタン-5:TIPAQUE R-780(酸化チタン、石原産業(株)製)
酸化チタン-6:TIPAQUE R-780-2(酸化チタン、石原産業(株)製)
酸化チタン-7:TITONE R-5N(酸化チタン、堺化学工業(株)製)
酸化チタン-8:クロノスKR-380(酸化チタン、チタン工業(株)製)
【0034】
<炭化水素溶剤に可溶な樹脂>
樹脂-1:ダイヤナールBR-105(アクリル樹脂、三菱ケミカル(株)製)
樹脂-2:ダイヤナールBR-115(アクリル樹脂、三菱ケミカル(株)製)
樹脂-3:ダイヤナールBR-1122(アクリル樹脂、三菱ケミカル(株)製)
樹脂-4:アクリロイドB-67(アクリル樹脂、ローム&ハース社(米国)製)
【0035】
<炭化水素溶剤>
溶剤-1:高純度イソヘキサン(三協化学(株)製)
溶剤-2:マルカゾールFH(シクロペンタン、丸善石油化学(株)製)
溶剤-3:メチルシクロヘキサン(三協化学(株)製)
【0036】
<界面活性剤>
界面活性剤-1:アンチゲル 6217(界面活性剤、Brend Schewegmann GmbH & Co.KG(独国)製)
界面活性剤-2:DISPERBYK-102(界面活性剤、BYK-Chemie(独国)製)
界面活性剤-3:SCHWEGO wett 6292(界面活性剤、Brend Schewegmann GmbH & Co.KG(独国)製)
界面活性剤-4:DISPERBYK-108(界面活性剤、BYK-Chemie(独国)製)
界面活性剤-5:ディスパロン PW-36(界面活性剤、楠本化成(株)製)
界面活性剤-6:ホモゲノールL-18(界面活性剤、花王(株)製)
界面活性剤-7:プロファン(界面活性剤、三洋化成工業(株)製)
【0037】
<乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイト>
乾式シリカ-1:アエロジルR972(疎水性乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
乾式シリカ-2:アエロジル200(乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
乾式シリカ-3:アエロジルRX200(疎水性乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
乾式シリカ-4:アエロジル50(乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
乾式シリカ-5:アエロジル380(乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
乾式シリカ-6:アエロジルR976-S(疎水性乾式シリカ、日本アエロジル(株)製)
脂肪酸AM-1:ディスパロン 6820-20M(脂肪酸アマイド、有効成分20%、楠本化成(株)製)
変性ウレア-1:BYK-411(変性ウレア、有効成分27%、BYK-Chemie(独国)製)
酸化PE-1:PF-920(酸化ポリエチレン、有効成分20%、楠本化成(株)製)
ベントナイト-1:エスベンN-400(有機ベントナイト、(株)ホージュン製)
【0038】
<長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子>
粒子-1:ウイスカルA(炭酸カルシウム、長径20μm、短径1μm、アスペクト比20.0、比重2.86、丸尾カルシウム(株)製)
粒子-2:FTL-300(酸化チタン、長径5.15μm、短径0.27μm、アスペクト比19.1、比重4.2、石原産業(株)製)
粒子-3:Silar(炭化ケイ素、長径40μm、短径0.55μm、アスペクト比72.7、比重3.2、Haydale Technologies Inc(英国)製)
粒子-4:FTL-100(長径1.68μm、短径0.13μm、アスペクト比12.9、比重4.2、石原産業(株)製)
粒子-5:FTL-200(長径2.86μm、短径0.21μm、アスペクト比13.6、比重4.2、石原産業(株)製)
粒子-6:窒化ケイ素ウィスカー(長径170μm、短径1.3μm、アスペクト比130.7、比重3.18、タテホ化学工業(株)
粒子-7:ウイスカルAを遊星型ボールミル(遊星型ボールミルカルテットP-5、フリッチュ社(独国)製)で、φ10mmビーズを使用し、150rpm、5分間、破砕処理することで得た粒子(炭酸カルシウム、長径10μm、短径1μm、アスペクト比10.0、比重2.86)
粒子-8:ウイスカルAを遊星型ボールミル(遊星型ボールミルカルテットP-5、フリッチュ社(独国)製)で、φ10mmビーズを使用し、200rpm、5分間、破砕処理することで得た粒子(炭酸カルシウム、長径8μm、短径1μm、アスペクト比8.0、比重2.86)
粒子-9:ウイスカルAを遊星型ボールミル(遊星型ボールミルカルテットP-5、フリッチュ社(独国)製)で、φ10mmビーズを使用し、250rpm、5分間、破砕処理することで得た粒子(炭酸カルシウム、長径5μm、短径1μm、アスペクト比5.0、比重2.86)
【0039】
<長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上でない粒子>
粒子-10:PANGEL-B5(含水マグネシウムシリケート、長径1.7μm、短径0.02μm、アスペクト比85.0、TOLSA社(スペイン))
粒子-11:NYAD-G(ケイ酸カルシウム、長径825μm、短径55μm、アスペクト比15.0、IMERYS社(米国))
粒子-12:NYAD 1250(ケイ酸カルシウム、長径12μm、短径4μm、アスペクト比3.0、IMERYS社(米国))
粒子-13:スーパーS(重質炭酸カルシウム、長径4μm、短径4μm、アスペクト比1.0、丸尾カルシウム(株)製)
粒子-14:PC(軽質炭酸カルシウム、長径1.2μm、短径0.48μm、アスペクト比2.5、白石工業(株)製)
なお、本発明における長径、短径は、JIS Z 8827-1:2008の方法で、粒子の画像を撮影し、無作為に選んだ200個の粒子のフェレー径(Feret diameter、粒子の像を2本の平行線で挟んだときの平行線の間隔)の最大値(最大フェレ―径)を長径(L)、最小値(最小フェレ―径)を短径(D)として測定し、下記式により求められる値とする。
長径=Σ(Li2)/ΣLi
短径=Σ(Di2)/ΣDi
アスペクト比=L/D=[Σ(Li2)/ΣL]/[Σ(Di2)/ΣDi]
(粒子一つ一つの長径(粒径)をそれぞれL1、L2、・・・、L200とし、短径をそれぞれD1、D2、・・・、D200とした。)
【0040】
<顔料>
黒色顔料-1:TilackD(低次酸化チタン、黒色顔料、赤穂化成(株)製)
黄色顔料-1:タロックスLL-100(黄色酸化鉄、チタン工業(株)製)
黄色顔料-2:PV FAST YELLOW H2G(C.I.Pigment Yellow 120、クラリアントケミカルズ(株)製)
緑色顔料-1:T-18Nシグナルグリーン(緑色蛍光顔料、DayGlo社(米国)製)
青色顔料-1:PV FAST BLUE BG(C.I.Pigment Blue 15:3、クラリアントケミカルズ(株)製)
赤色顔料-1:クロモファインレッド6820(C.I.Pigment Violet 19、大日精化工業(株)製)
橙色顔料-1:PV FAST YELLOW H3R-LHC(C.I.Pigment Yellow 181、クラリアントケミカルズ(株)製)
体質顔料-1:キョーワード700(ケイ酸アルミニウム、協和化学工業(株)製)
【0041】
可塑剤-1:MAR-N(メチルアセチルリシノレート、大八化学(株)製)
湿式シリカ-1:P-603(湿式シリカ、水澤化学工業(株)製)
湿式シリカ-2:P-801(湿式シリカ、水澤化学工業(株)製)
アミノ酸-1:GP-1(ジブチルラウロイルグルタミド、味の素(株)製)
【0042】
表に記載した「重量比」は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物とが、重量比で、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物の含有量を1とした時の長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子の含有量の比を示す。
【0043】
表に記載した「体積占有率の比」は、修正液中における、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカとの体積占有率の比を示す。
【0044】
表に記載した「比重差」は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である炭酸カルシウム粒子と、乾式シリカとの比重差を示す。
【0045】
実施例及び比較例に係る修正液を評価するため、
図1に示した塗布具を作成し、実施例1~41及び比較例1~10の修正液を7mL充填したものを、試験用塗布具とした。
【0046】
視認隠蔽性:隠蔽率測定紙(JIS K 5600に準拠)上の白色部と黒色部にかけて試験用塗布具を使用して直線を引き、目視による塗膜の隠蔽性について評価した。白色部上の塗膜部分と黒色部上の塗膜部分とで視認される色合いが異なると認識される場合、視認隠蔽性が無いものと評価されるものである。各条件における表における視認隠蔽性試験結果の表記と条件の説明を下記に記載する。
初期視認隠蔽性:配合直後の修正液を充填した試験用塗布具で、前記隠蔽率測定紙の白色部と黒色部にかけて直線を引いて塗膜を形成し、目視により塗膜の視認隠蔽性について評価した。
1回目視認隠蔽性:初期視認隠蔽性を評価した試験用塗布具にキャップをつけて、吐出口を上向きで室温6ヶ月静置後、試験用塗布具を5回振ってからキャップを外して、前記隠蔽率測定紙の白色部と黒色部にかけて直線を引いて塗膜を形成し、目視により塗膜の視認隠蔽性について評価した。
2回目視認隠蔽性:1回目視認隠蔽性を評価した試験用塗布具にキャップをつけて、吐出口を上向きで再度室温6ヶ月静置した後に、試験用塗布具を5回振ってからキャップを外して、前記隠蔽率測定紙の白色部と黒色部にかけて直線を引いて塗膜を形成し、目視により塗膜の視認隠蔽性について評価した。
3回目視認隠蔽性:2回目視認隠蔽性を評価した試験用塗布具にキャップをつけて、吐出口を上向きで再度室温6ヶ月静置した後に、試験用塗布具を5回振ってからキャップを外して、前記隠蔽率測定紙の白色部と黒色部にかけて直線を引いて塗膜を形成し、目視により塗膜の視認隠蔽性について評価した。
視認隠蔽性の評価基準:
〇:白色部上の塗膜部分と黒色部上の塗膜部分とで色合いが異なることが視認できない。
×:白色部上の塗膜部分と黒色部上の塗膜部分とで色合いが異なることが視認できる。
【0047】
(隠蔽率試験)
各実施例、比較例で得た修正液を50μmのアプリケーターで、隠蔽率測定紙(JIS K 5600、隣接して白色部と黒色部が印刷され、かつワニスが塗布されていて、溶剤又は水で希釈された塗料で容易に塗れるが浸透されないもの)に塗布し、乾燥後、隠蔽率測定紙の白色部の塗膜と黒色部の塗膜のY値をカラーコンピューター(SE6000、日本電色工業(株)製)で測定し、その比(黒色部の塗膜のY値/白色部の塗膜のY値)を百分率で計算して、隠蔽率とした。隠蔽率は、100%に近いほど、隠蔽性が高いこととなり、90%未満は隠蔽性が不十分で、塗膜の下の色が透けて見えてしまう。各条件における表における隠蔽率試験結果の表記と条件の説明を下記に記載する。
初期隠蔽率(%):修正液作製直後に、上記隠蔽率試験にて隠蔽率を測定した。
1回目隠蔽率(%):試験用塗布具にキャップをつけて、吐出口を上向きで室温6ヶ月静置後、試験用塗布具を5回振ってから前軸を外して、修正液を取り出し、上記隠蔽率試験にて隠蔽率を測定した。
2回目隠蔽率(%):1回目隠蔽率(%)の測定で修正液を取り出した直後に前軸を戻した試験用塗布具を吐出口を上向きで再度室温6ヶ月静置した後に、試験用塗布具を5回振ってから前軸を外して修正液を取り出し、上記隠蔽率試験にて隠蔽率を測定した。
3回目隠蔽率(%):2回目隠蔽率(%)測定で修正液を取り出した直後に前軸を戻した試験用塗布具を吐出口を上向きで再度室温6ヶ月静置した後に、試験用塗布具を5回振ってから前軸を外して修正液を取り出し、上記隠蔽率試験にて隠蔽率を測定した。
隠蔽率の変化率:初期隠蔽率(%)と3回目隠蔽率(%)の変化率(3回目隠蔽率/初期隠蔽率)を算出した。
【0048】
(変形荷重試験)
各実施例、比較例で得た修正液を、ねじ口瓶S-5(ガラス容器、日電理化硝子(株)製、深さ70mm、内径17mm、容量12mL)に50mmの高さまで入れ、FUDOH レオメーター RTC-3010D(レオメーター、(株)レオテック製)を用い、外径10mm厚さ1mmのアダプターを速度2cm/minで修正液中に押し込んでいく時の荷重を測定し、修正液の液面から49mmの深さまで達した時点までの最大荷重値を変形荷重とし、外力に対する変形しやすさ(流動性)の指標とした。アダプターが瓶の底に達すると修正液内を押し込む荷重の検出にならずレオメーターが計測する値が極大化するため、アダプターが修正液に浸入してから瓶の底に達する直前の49mmまでの検出とした。変形荷重の数値が小さいほど、修正液内にてアダプターの定速押し込みに必要な荷重が小さいと考えられ、外力に対して変形しやすく緩やかで効率的なかき混ぜ効果が発揮され易いものと考えられる。各条件における表における変形荷重試験結果の表記と条件の説明を下記に記載する。
1回目変形荷重(g):作製した修正液を入れたねじ口瓶S-5に蓋をして密閉し、室温6ヶ月静置後、蓋を外して、上記変形荷重試験を行った。
2回目変形荷重(g):1回目変形荷重を測定した直後の修正液をスパチュラで10秒間攪拌し、蓋をして密閉し、室温6ヶ月静置後、蓋を外して、上記変形荷重試験を行った。
3回目変形荷重(g):2回目変形荷重を測定した直後の修正液をスパチュラで10秒間攪拌し、蓋をして密閉し、室温6ヶ月静置後、蓋を外して、上記変形荷重試験を行った。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
実施例1~41の修正液は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が表面に水酸基を有し、炭酸カルシウム、酸化チタン、窒化ケイ素から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物なので、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、良好に吐出され、平滑で隠蔽率が高く良好な塗膜が得られた。特に、実施例1~13、30~41の修正液は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と、乾式シリカ、脂肪酸アマイド、変性ウレア、酸化ポリエチレン、ベントナイトから選ばれる1種もしくは2種以上の混合物との重量比が5以上1500以下であるため、隠蔽率の変化率がほぼ1であり、変形荷重も1回目変形荷重と3回目変形荷重がほぼ一定であり、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、特に隠蔽率が高く良好な塗膜が得られた。
また、実施例1~13の修正液は、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子が炭酸カルシウムであり、乾式シリカとの比重差が0.7以下であるので、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、特に隠蔽率が高く良好な塗膜が得られた。
更に、実施例1~13の修正液は、修正液中における、長径が1.6μm以上170μm以下、短径が0.1μm以上1.3μm以下、アスペクト比(長径/短径)が5以上である粒子と乾式シリカ、との体積占有率の比が3.8以上1153.8以下であるため、攪拌、塗布使用と長期間静置とを繰り返しても、特に隠蔽率が高く良好な塗膜が得られた。
【0060】
これに対し、比較例1~10の修正液は、攪拌、塗布使用と長期間静置を繰り返した視認隠蔽性を評価すると、薄い液のみが吐出されて視認隠蔽性がない塗膜となった。比較例1~10の修正液は、3回目隠蔽率も90%を大きく下回り、塗膜の下の隠蔽率試験紙の黒色部が透けて見えて隠蔽されず、良好でない塗膜となった。